はい、承知いたしました。
CentOS Streamのダウンロードからインストールまでの全手順を、図解(スクリーンショットを想定した説明)を含めて詳細に解説した約5000語の記事を作成します。
【完全図解】CentOS Stream 9 入門:ダウンロードからインストールまで全手順を徹底解説
はじめに
この記事では、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のアップストリーム(開発版)として注目を集める「CentOS Stream」の最新版(本記事執筆時点ではCentOS Stream 9)を、PCやサーバーにインストールする手順を、ゼロから徹底的に解説します。
Linuxを初めて触る初心者の方でも安心して進められるよう、公式サイトからのISOイメージのダウンロード、インストール用USBメモリの作成、そして実際のインストール作業まで、一つ一つのステップを豊富なスクリーンショット(を想定した説明)と共に、丁寧に解説していきます。
CentOS Streamとは?
CentOS Streamは、かつて多くのサーバーで利用されていたCentOS Linuxの後継と位置づけられるLinuxディストリビューションです。その最大の特徴は、商用LinuxのデファクトスタンダードであるRed Hat Enterprise Linux (RHEL) の「次期バージョン」に搭載される機能を先行して体験できる点にあります。
- CentOS Linux (~8まで): RHELのクローンとして、RHELのリリース後にそのソースコードを元に作られていました(ダウンストリーム)。安定性が非常に高い反面、最新技術の導入は遅れる傾向にありました。
- CentOS Stream (9以降): RHELの開発プロセスの中間に位置し、Fedora Linuxで開発された機能がRHELとしてリリースされる前に、このCentOS Streamに投入されます(ミッドストリーム)。これにより、開発者はRHELの次期バージョンをいち早く検証・開発でき、安定性と先進性を両立させています。
学習用途はもちろん、開発環境や最新技術を試したいホビー用途まで、幅広いシーンで活用できるOSです。
この記事の対象読者
- これからLinuxを学び始めたいと考えている方
- CentOS StreamをPCやサーバーにインストールしてみたい方
- GUI付きのサーバー環境を構築したい方
- 過去にLinuxのインストールで挫折した経験がある方
専門用語も都度解説を加えていきますので、安心して読み進めてください。
インストールに必要なもの
- インストール対象のPCまたはサーバー:
- 64bit (x86_64) 対応のCPU
- 最低2GB以上のメモリ(4GB以上を推奨)
- 最低20GB以上のディスク空き容量(30GB以上を推奨)
- インターネット接続環境(有線LANを推奨)
- 作業用のPC:
- Windows, macOS, Linuxのいずれかが動作するPC。インストール用USBメモリを作成するために使用します。
- USBメモリ:
- 容量8GB以上のもの。中のデータはすべて消去されるため、空のものか、消えても良いデータが入ったものをご用意ください。
準備が整ったら、さっそくCentOS Streamの世界へ旅立ちましょう。
第1章:CentOS Stream 9 のダウンロード
最初のステップは、インストールに必要な「ISOイメージファイル」を公式サイトからダウンロードすることです。ISOイメージとは、OSのインストールディスク(DVD)の中身を丸ごと一つのファイルにしたものです。
1-1. 公式サイトへアクセス
まず、WebブラウザでCentOS Streamの公式サイトにアクセスします。
公式サイト: https://www.centos.org/centos-stream/
【図1-1:CentOS Stream公式サイトのトップページ】
サイトにアクセスすると、CentOS Streamのロゴと共にダウンロードボタンが表示されています。
ページ中央にあるアーキテクチャ選択肢から「x86_64」をクリックします。これは、一般的なPCやサーバーで使われているCPUの種類です。
1-2. ミラーサイトの選択とISOイメージのダウンロード
「x86_64」をクリックすると、ダウンロード可能なミラーサイト(同じファイルをコピーして置いてあるサーバー)の一覧が表示されます。日本のミラーサイトを選ぶと、より高速にダウンロードできる可能性があります。
【図1-2:ミラーサイト一覧】
ftp.riken.jp
やftp.jaist.ac.jp
など、URLに.jp
が含まれるサイトが日本のミラーサイトです。
いずれかのミラーサイトのリンクをクリックすると、ファイル一覧が表示されます。ここでダウンロードするのは、DVD版のISOイメージです。
- CentOS-Stream-9-latest-x86_64-dvd1.iso: このファイルを探してクリックします。ファイルサイズが約8GBと非常に大きいので、安定したインターネット環境でダウンロードしてください。
ISOイメージの種類について
* dvd1.iso: インストールに必要なすべてのパッケージが含まれた、標準的なイメージです。オフライン環境でも、GUIを含むほとんどのインストールが可能です。この記事ではこれを使用します。
* boot.iso: ネットワークインストール用の最小限のイメージです。インストーラー本体のみが含まれており、インストールに必要なパッケージはインターネット経由でダウンロードします。
ダウンロードが開始されたら、完了するまでしばらく待ちます。
1-3. 【重要】ダウンロードしたファイルのチェックサム検証
ダウンロードしたISOファイルが、通信エラーなどで破損していないかを確認するために「チェックサム検証」を行います。これは、ファイルの信頼性を担保するための非常に重要な手順です。
ダウンロードページには、CHECKSUM
という名前のファイルがあります。このファイルを開くと、各ISOファイルのハッシュ値(一種の指紋のようなもの)が記載されています。
【図1-3:CHECKSUMファイルの内容】
SHA256 (CentOS-Stream-9-latest-x86_64-dvd1.iso) = [長い16進数の文字列]
のような記述があります。
この [長い16進数の文字列]
と、手元にダウンロードしたISOファイルのハッシュ値が一致すれば、ファイルは正常であると確認できます。
Windowsでの検証手順:
- コマンドプロンプトまたはPowerShellを開きます。
- ISOファイルをダウンロードしたフォルダに移動します。(例:
cd C:\Users\YourUser\Downloads
) - 以下のコマンドを実行します。
powershell
certutil -hashfile CentOS-Stream-9-latest-x86_64-dvd1.iso SHA256 - 表示されたハッシュ値と、公式サイトのCHECKSUMファイルに記載の値が一致することを確認します。
macOS/Linuxでの検証手順:
- ターミナルを開きます。
- ISOファイルをダウンロードしたフォルダに移動します。(例:
cd ~/Downloads
) - 以下のコマンドを実行します。
bash
sha256sum CentOS-Stream-9-latest-x86_64-dvd1.iso - 表示されたハッシュ値と、公式サイトのCHECKSUMファイルに記載の値が一致することを確認します。
ハッシュ値が一致すれば、ダウンロードは成功です。次のステップに進みましょう。
第2章:インストール用USBメモリの作成
ダウンロードしたISOイメージをUSBメモリに書き込み、「ブータブルUSBメモリ(OSを起動できるUSBメモリ)」を作成します。ここでは、Windowsで定番の「Rufus」というツールを使った方法を解説します。
macOSやLinuxユーザーの場合
BalenaEtcher
というツールがクロスプラットフォームで利用でき、直感的な操作で人気です。公式サイトからダウンロードしてご利用ください。手順はRufusとほぼ同様で、「ISOファイルを選択」→「USBメモリを選択」→「書き込み開始」の3ステップで完了します。
2-1. Rufusのダウンロードと起動
- Rufusの公式サイトにアクセスします。
公式サイト:https://rufus.ie/
- ダウンロードセクションから、最新版のRufus(ポータブル版でOK)をダウンロードします。
- ダウンロードした
.exe
ファイルをダブルクリックして起動します。インストールは不要です。
2-2. Rufusを使った書き込み手順
【図2-1:Rufusのメイン画面】
Rufusを起動すると、シンプルな設定画面が表示されます。
以下の手順で設定を進めます。
-
デバイス: PCに準備したUSBメモリを接続します。Rufusが自動で認識し、ドロップダウンメニューに表示されます。複数のUSB機器が接続されている場合は、間違えないように容量などを確認して正しいものを選択してください。(注意:選択したUSBメモリ内のデータはすべて消去されます!)
-
ブートの種類の選択: 「選択」ボタンをクリックし、先ほどダウンロードした
CentOS-Stream-9-latest-x86_64-dvd1.iso
ファイルを指定します。 -
パーティション構成: 通常は「GPT」を選択します。近年のPCのほとんどはGPT/UEFI方式を採用しています。
-
ターゲットシステム: パーティション構成でGPTを選ぶと、自動的に「UEFI (CSM無効)」が選択されます。そのままで問題ありません。
-
ボリュームラベル: USBメモリの名前です。ISOファイルを選択すると自動で設定されますが、自由に変更しても構いません。
-
ファイルシステム / クラスターサイズ: デフォルトのままで問題ありません。
すべての設定が完了したら、画面右下の「スタート」ボタンをクリックします。
【図2-2:Rufusの設定完了後の画面】
デバイス、ISOイメージが正しく選択されていることを最終確認します。
2-3. 書き込みモードの選択と完了
「スタート」をクリックすると、書き込みモードを確認するダイアログが表示されることがあります。
【図2-3:ISOイメージモードの確認ダイアログ】
「ISO イメージモードで書き込む (推奨)」が選択されていることを確認し、「OK」をクリックします。
次に、USBメモリ内のデータがすべて消去されるという最終警告が表示されます。
【図2-4:データ消去の最終警告】
問題がなければ「OK」をクリックして、書き込みを開始します。
書き込みが始まると、プログレスバーが緑色に進んでいきます。完了までには数分かかりますので、PCの電源を切ったり、USBメモリを抜いたりしないように注意してください。
プログレスバーが100%になり、「準備完了」と表示されたら、ブータブルUSBメモリの作成は成功です。「閉じる」ボタンでRufusを終了し、USBメモリをPCから取り外して構いません。
第3章:インストール前の準備:BIOS/UEFI設定
作成したUSBメモリからCentOS Streamインストーラーを起動するために、PCのBIOS(バイオス)またはUEFI(ユーイーエフアイ)の設定を変更する必要があります。
BIOS/UEFIは、OSが起動する前にPCの基本的なハードウェアを制御するシステムです。ここで行う設定は主に2つです。
-
セキュアブートの無効化(必要な場合):
セキュアブートは、不正なOSの起動を防ぐためのセキュリティ機能です。CentOS Streamはセキュアブートに対応していますが、稀にインストーラーが起動しない原因になることがあります。もしUSBから起動できない場合は、この設定を無効化(Disabled)してみてください。 -
ブート順序の変更:
PCが起動する際に、どのデバイス(ハードディスク、SSD, USBメモリなど)からOSを読み込みに行くかの優先順位を設定します。今回は作成したUSBメモリから起動したいので、USBメモリを最優先に設定します。
3-1. BIOS/UEFI設定画面への入り方
- CentOS StreamをインストールしたいPCの電源を完全にオフにします。
- 電源を入れ、直後に特定のキーを連打します。このキーはPCのメーカーによって異なりますが、一般的には以下のキーが使われます。
- Delete (Del) キー
- F2 キー
- F1, F10, F12, Esc キーなど
PCの起動画面に「Press [Key] to enter setup」のようなメッセージが一瞬表示されるので、それを見逃さないようにしましょう。わからない場合は、お使いのPCのメーカー名と「BIOS 起動」などのキーワードで検索してみてください。
3-2. 設定の変更
BIOS/UEFIの画面はメーカーによってデザインが大きく異なりますが、探すべき項目は同じです。
【図3-1:BIOS/UEFI設定画面の例】
青やグレーを基調としたテキストベースの画面や、マウス操作が可能なグラフィカルな画面などがあります。「Boot」や「Security」といったメニューを探します。
-
セキュアブートの無効化:
「Security」や「Boot」メニューの中に「Secure Boot」という項目があります。これを選択し、「Disabled」(無効)に変更します。 -
ブート順序の変更:
「Boot」や「Boot Priority」「Boot Order」といったメニューを探します。- インストール用のUSBメモリをPCに接続した状態でBIOS/UEFI画面に入ります。
- 起動デバイスの一覧が表示されるので、キーボードの矢印キーやマウスで、接続したUSBメモリ(例:
UEFI: Generic USB Flash Disk
のような名前で表示されます)を一番上に移動させます。
設定が完了したら、「Save and Exit」(保存して終了)を選択してBIOS/UEFIを終了します。通常はF10キーがこの機能に割り当てられています。PCが自動的に再起動します。
正しく設定できていれば、PCは内蔵ディスクではなく、USBメモリからCentOS Streamのインストーラーを読み込み始めます。
第4章:CentOS Stream 9 のインストール作業
いよいよ、CentOS Streamのインストール本番です。ここからはインストーラーの指示に従って対話形式で設定を進めていきます。
4-1. インストーラーの起動
USBメモリから正常に起動すると、黒い背景に白い文字のメニュー画面が表示されます。
【図4-1:インストーラー起動メニュー】
メニューには以下の選択肢が表示されています。
Install CentOS Stream 9
Test this media & install CentOS Stream 9
Troubleshooting
- Install CentOS Stream 9: すぐにインストールを開始します。
- Test this media & install CentOS Stream 9: インストールメディア(USBメモリ)が正常に作成されているかをテストしてからインストールを開始します。初回や不安な場合はこちらを選択することをお勧めします。
ここでは「Install CentOS Stream 9」を選択し、Enterキーを押します。
画面に大量のログが流れた後、グラフィカルなインストーラーが起動します。
4-2. 言語の選択
最初に表示されるのは、インストール中に使用する言語を選択する画面です。
【図4-2:言語選択画面】
左のリストを下にスクロールし、「日本語 Japanese」を見つけます。
- リストから「日本語」を選択します。
- 右のペインで「日本語 (日本)」が選択されていることを確認します。
- 右下の「続行」ボタンをクリックします。
4-3. インストール概要(最重要画面)
次に表示されるのが「インストール概要」画面です。ここがインストール設定の心臓部となります。すべての項目が感嘆符(!)や警告マークなしで、正しく設定されるまで先に進めません。
【図4-3:インストール概要画面】
「地域設定」「ソフトウェア」「システム」「ユーザーの設定」の4つのカテゴリに分かれています。各項目を上から順に設定していきましょう。
項目1:キーボード (地域設定)
デフォルトで日本語が選択されていますが、念のため確認します。
- 「キーボード」をクリックします。
- レイアウトが「日本語」になっていることを確認します。もし英語配列などになっている場合は、「+」ボタンで日本語キーボードを追加し、不要なレイアウトを「-」ボタンで削除します。
- 右側のテキストボックスで
@[{
などの記号を実際に入力し、キーボードレイアウトが正しいかテストできます。 - 問題がなければ、左上の「完了」ボタンをクリックして概要画面に戻ります。
項目2:言語サポート (地域設定)
こちらもデフォルトで日本語が選択されています。クリックして内容を確認し、問題がなければ「完了」で戻ります。
項目3:時刻と日付 (地域設定)
システムのタイムゾーンを設定します。
- 「時刻と日付」をクリックします。
- 地図が表示されるので、「地域」を「アジア」、「都市」を「東京」に設定します。地図上の日本をクリックしても設定できます。
- 画面右上の「ネットワーク時刻」のスイッチがオンになっていることを確認します。これにより、インターネット上の正確な時刻サーバーと自動で同期されるようになります。
- 左上の「完了」をクリックします。
項目4:インストールソース (ソフトウェア)
どこからインストールパッケージを読み込むかの設定です。今回はISOイメージからインストールするので、自動的に「ローカルメディア」が選択されています。確認のみでOKです。「完了」をクリックします。
項目5:ソフトウェアの選択 (ソフトウェア)
どのような用途でこのOSを使うかを決定する、非常に重要な設定です。
- 「ソフトウェアの選択」をクリックします。
-
左側の「ベース環境」から、インストールの基本構成を選択します。
- サーバー (GUI使用): CUI(コマンド操作)とGUI(グラフィカルなデスクトップ環境)の両方が使える、一般的なサーバー環境です。初心者の方にはこちらがおすすめです。
- サーバー: GUIを含まない、CUIのみの最小限のサーバー環境です。リソースを節約したい上級者向けです。
- 最小限のインストール: OSとして動作するのに最低限必要なパッケージのみをインストールします。非常に軽量ですが、後から必要なものをすべて手動で追加する必要があります。
- ワークステーション: デスクトップPCとして利用するための環境です。オフィススイートや開発ツールなどが含まれます。
- カスタムオペレーティングシステム: 自分でパッケージを1から選択する上級者向けです。
今回は「サーバー (GUI使用)」を選択します。
-
右側の「選択した環境用の追加ソフトウェア」では、ベース環境に加えてインストールしたいツール群を選択できます。今回は特に選択せず、デフォルトのままで進めます。必要であれば後からいつでも追加できます。
- 左上の「完了」をクリックします。パッケージの依存関係のチェックが走り、少し時間がかかる場合があります。
項目6:インストール先 (システム) – 最重要・要注意!
どのディスクに、どのようにCentOS Streamをインストールするかを設定します。操作を誤ると既存のOSやデータをすべて消去してしまう可能性があるため、慎重に作業してください。
- 「インストール先」をクリックします。
- 「ローカルの標準ディスク」セクションに、PCに搭載されているディスク(SSDやハードディスク)の一覧が表示されます。CentOS Streamをインストールしたいディスクにチェックを入れます。
(仮想環境の場合はvda
など、物理PCの場合はsda
やnvme0n1
などと表示されます)
【図4-4:インストール先のディスク選択画面】
インストールしたいディスクを選択します。
次に、「ストレージの設定」を決めます。
- 自動構成: インストーラーがディスク全体を自動的にパーティション分割してくれます。ディスクを丸ごとCentOS Stream専用にする場合や、初心者の方はこちらが簡単でおすすめです。
- カスタム: 自分でパーティションのサイズや種類を細かく設定します。既存のOSと共存させる(デュアルブート)場合や、特定の要件がある上級者向けです。
今回は、最も一般的な「自動構成」を選択します。
- 「ストレージの設定」で「自動構成」にチェックが入っていることを確認します。
- 左上の「完了」をクリックします。
もしディスクに十分な空き容量がない場合や、パーティションの再設定が必要な場合は、追加のダイアログが表示されることがあります。その際は「領域の再利用」をクリックし、「すべて削除」を選択して「領域の再利用」ボタンを押すことで、ディスクを初期化して進めることができます。(この操作はディスク内の全データを削除します!)
項目7:KDUMP (システム)
カーネルクラッシュダンプの仕組みです。システムがクラッシュした際に、原因究明のためのメモリ情報を保存する機能です。デフォルトで有効になっており、特に変更する必要はありません。「完了」をクリックします。
項目8:ネットワークとホスト名 (システム)
ネットワーク接続と、ネットワーク上でのコンピューターの名前(ホスト名)を設定します。
- 「ネットワークとホスト名」をクリックします。
- 左側のペインに、ネットワークインターフェース(有線LANなら
eth0
やenpXsY
、無線LANならwlan0
など)が表示されます。 - 利用するインターフェースを選択し、画面右上のスイッチをオンにします。
【図4-5:ネットワーク設定画面】
スイッチをオンにすると、ルーターのDHCP機能によってIPアドレスなどが自動で割り当てられます。
- IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトルート(ゲートウェイ)、DNSが正しく取得できていることを確認します。
- 画面左下の「ホスト名」の入力欄に、このコンピューターに付けたい名前を入力します。(例:
centos-server
) - 入力後、「適用」ボタンをクリックしてホスト名を確定させます。
- 左上の「完了」をクリックします。
項目9:rootパスワード (ユーザーの設定)
root
は、Linuxシステムにおける最高権力を持つ管理者ユーザーです。このパスワードを設定します。
- 「rootパスワード」をクリックします。
- 「rootパスワード」と「確認」の欄に、強力なパスワードを入力します。推測されにくいよう、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた長いものが推奨されます。
- パスワードが弱いと、下に警告メッセージが表示されますが、「完了」を2回クリックすれば設定できます。
- 「rootアカウントをロック」にはチェックを入れないでください。
- パスワードを設定したら、左上の「完了」を2回クリックします。
項目10:ユーザーの作成 (ユーザーの設定)
日常的な作業をrootユーザーで行うのはセキュリティ上危険です。sudo(管理者権限でコマンドを実行できる)権限を持った一般ユーザーを作成します。
- 「ユーザーの作成」をクリックします。
- 以下の項目を入力します。
- フルネーム: ユーザーの氏名(例:
Taro Yamada
) - ユーザー名: ログイン時に使用する名前(例:
taro
)。英小文字で始めるのが一般的です。 - このユーザーを管理者にする: 必ずチェックを入れます。 これにより
sudo
コマンドが使えるようになります。 - パスワード: このユーザーのログインパスワードを設定します。
- パスワードの確認: 同じパスワードを再入力します。
- フルネーム: ユーザーの氏名(例:
- すべての項目を入力したら、左上の「完了」を2回クリックします。
【図4-6:すべての設定が完了したインストール概要画面】
すべての項目に警告マークがなくなり、右下の「インストールの開始」ボタンがクリックできるようになっていることを確認します。
4-4. インストールの開始と完了
すべての設定が完了したら、右下の「インストールの開始」ボタンをクリックします。
いよいよディスクへのファイルのコピーと設定が始まります。
【図4-7:インストール進行状況画面】
プログレスバーが表示され、インストールが進行します。完了までにはPCの性能によりますが、10分~30分程度かかります。
インストールが完了すると、プログレスバーが100%になり、画面下部に「システムの再起動」ボタンが表示されます。
【図4-8:インストール完了画面】
「完了しました!」というメッセージが表示されます。
- 「システムの再起動」ボタンをクリックします。
- PCが再起動プロセスに入ったら、速やかにインストール用USBメモリを抜き取ります。
(抜かないと、再びインストーラーが起動してしまいます)
第5章:インストール後の初期設定
再起動後、CentOS Streamのロゴが表示され、システムの初回起動が始まります。
5-1. ライセンスへの同意
最初に、ライセンス情報の同意画面が表示されます。
【図5-1:ライセンス情報画面】
「ライセンス情報 (ライセンスに同意する必要があります)」という項目があります。
- 「ライセンス情報」をクリックします。
- 「ライセンス契約に同意します。」のチェックボックスにチェックを入れます。
- 左上の「完了」ボタンをクリックします。
- 右下の「設定の完了」ボタンがクリックできるようになるので、これをクリックします。
5-2. ログインとウェルカム画面
設定が完了すると、GUIのログイン画面が表示されます。
【図5-2:ログイン画面】
インストール時に作成したユーザー名が表示されています。
- 作成したユーザー名をクリックします。
- パスワード入力欄が表示されるので、設定したパスワードを入力してEnterキーを押します。
初回ログイン時には、GNOMEデスクトップ環境のウェルカムツアーが始まります。
【図5-3:ウェルカム画面】
「ようこそ」という画面が表示されます。
- 言語が「日本語」になっていることを確認し、「次へ」をクリック。
- キーボードレイアウトが「日本語」になっていることを確認し、「次へ」をクリック。
- プライバシー(位置情報サービス)の設定をします。お好みでオン/オフを選択し、「次へ」をクリック。
- オンラインアカウントの接続画面が表示されます。ここでは「スキップ」をクリックします。
- 「CentOS Streamを使い始める」という画面が表示されたら、「CentOS Streamを使い始める」ボタンをクリックして、ツアーを終了します。
これで、見慣れたデスクトップ画面が表示されます。インストールは無事成功です!
5-3. システムのアップデート
最後に、システムを最新の状態にアップデートしておきましょう。これはセキュリティを保つ上で非常に重要な作業です。
- 画面左上の「アクティビティ」をクリックします。
- 検索バーに「terminal」または「端末」と入力し、表示された「端末」アイコンをクリックします。
【図5-4:端末(ターミナル)の起動】
黒い画面のコマンド入力ウィンドウが開きます。
-
以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
dnf
はCentOS Streamのパッケージ管理コマンドです。update
はパッケージを更新する命令、sudo
はこのコマンドを管理者権限で実行するという意味です。bash
sudo dnf update -y -
[sudo] taro のパスワード:
と表示されるので、ログイン時に使用したあなたのユーザーのパスワードを入力してEnterキーを押します。(パスワードを入力しても画面には何も表示されませんが、正常に入力されています) - アップデート可能なパッケージのリストが表示され、自動的にダウンロードとインストールが始まります。(
-y
オプションは、すべての確認に「yes」と自動で答えるためのものです)
処理が完了し、コマンドプロンプト([taro@centos-server ~]$
のような表示)が再び表示されたら、アップデートは完了です。
これで、CentOS Stream 9のインストールと初期設定はすべて完了です。
まとめ
この記事では、CentOS Stream 9のISOイメージのダウンロードから、インストール用USBメモリの作成、BIOS/UEFIの設定、そしてOSのインストールと初期設定まで、一連のプロセスを詳細に解説しました。
手順を振り返ってみましょう。
- ダウンロード: 公式サイトからDVD ISOイメージをダウンロードし、チェックサムで破損がないかを確認しました。
- メディア作成: Rufusを使い、ダウンロードしたISOイメージからブータブルUSBメモリを作成しました。
- 事前準備: PCのBIOS/UEFI設定で、USBメモリから起動できるようにブート順序を変更しました。
- インストール: インストーラーの指示に従い、言語、キーボード、ソフトウェア、インストール先ディスク、ネットワーク、ユーザーアカウントなどを設定し、インストールを実行しました。
- 初期設定: 再起動後にライセンスに同意し、システムを最新の状態にアップデートしました。
一見複雑に見えるLinuxのインストールも、一つ一つの手順を丁寧に行えば、決して難しいものではありません。これであなたは、最新のサーバーOS環境を手に入れました。
ここから、Webサーバー(Apache/Nginx)を構築したり、データベース(MariaDB/PostgreSQL)を動かしたり、Dockerを使ってコンテナ技術を学んだりと、あなたの冒険は始まったばかりです。
ぜひこのCentOS Stream環境を活用して、Linuxの世界をさらに深く探求してみてください。