あなたに最適な Arcserve UDP ライセンスを見つける方法:詳細解説と選定ガイド
はじめに:データ保護の重要性とライセンス選定の課題
現代のビジネスにおいて、データは最も重要な資産の一つです。ビジネス継続性の確保、顧客からの信頼維持、そして法的規制への遵守のためには、データの確実なバックアップと迅速なリカバリが不可欠です。ランサムウェア攻撃、ハードウェア故障、人為的なミス、自然災害など、データ損失のリスクは常に存在します。
Arcserve Unified Data Protection (UDP) は、物理サーバー、仮想環境、クラウド、そして主要なアプリケーションを含む多様なIT環境を統合的に保護する、包括的なデータ保護ソリューションです。バックアップ、リカバリ、レプリケーション、ハイブリッド環境対応、そして災害復旧(DR)といった機能を単一のアーキテクチャで提供し、複雑化するIT環境におけるデータ保護とBC/DR戦略をシンプルかつ効率的に実現します。
しかし、Arcserve UDP の導入を検討する際に直面する最初の、そして最も重要な課題の一つが、「どのライセンスを選べば良いのか?」という点です。Arcserve UDP のライセンス体系は、保護対象の環境、必要な機能、そしてビジネスの規模によって多岐にわたります。最適なライセンスを選択することは、導入コストと運用コストを最適化し、必要な機能を過不足なく利用するために非常に重要です。誤ったライセンス選定は、不要なコスト増や必要な機能が利用できないといった問題を引き起こす可能性があります。
この記事では、Arcserve UDP のライセンス体系を詳細に解説し、皆様のIT環境と要件に最適なライセンスを見つけるための具体的な方法、考慮すべき要素、そしてステップバイステップの選定プロセスを提供します。約5000語にわたり、Arcserve UDP のライセンスに関する疑問を解消し、最適な選択をサポートすることを目指します。
Arcserve UDP ライセンス体系の全体像:複雑性の背景と主要モデル
Arcserve UDP のライセンス体系が多岐にわたる背景には、保護対象となるIT環境の多様性があります。企業のITインフラは、オンプレミスの物理サーバーから、仮想化環境(VMware vSphere, Microsoft Hyper-Vなど)、プライベートクラウド、そしてパブリッククラウド(AWS, Azureなど)へと広がっています。さらに、データベース(SQL Server, Oracle)、メールサーバー(Exchange)、業務アプリケーションなど、保護すべき対象はファイルやOSイメージだけでなく、アプリケーションレベルの整合性も求められるようになっています。
このような多様な環境と高度な保護要件に対応するため、Arcserve UDP のライセンスは複数の「課金単位」と「購入モデル」、そして「エディション」の組み合わせで構成されています。
主要な課金単位:
Arcserve UDP のライセンスにおける主な課金単位は以下の3つです。
- ソケットライセンス (Socket License): 主に仮想環境の保護に使用されます。保護対象のハイパーバイザーホストが搭載する物理CPUのソケット数に基づいてライセンスされます。
- 容量ライセンス (Capacity License): 物理、仮想、クラウドなど、環境を問わず保護対象データの総容量(通常は重複排除前の論理容量、通称「フロントエンド容量」)に基づいてライセンスされます。様々な環境が混在する場合や、将来の環境変化に対応しやすい柔軟性を提供します。
- エージェントライセンス (Agent License): 主に物理サーバーや特定のアプリケーション単位でライセンスされます。保護対象となるサーバーやワークロードの数に基づいて課金されます。
これらの課金単位は、後述する「エディション」と組み合わさることで、提供される機能範囲や保護対象が決定されます。
購入モデル:
Arcserve UDP のライセンスには、大きく分けて二つの購入モデルがあります。
- パーペチュアルライセンス (Perpetual License): いわゆる「買い切り」型のライセンスです。永続的にライセンスを使用する権利を購入し、初年度の保守サポートが含まれます。2年目以降は別途保守契約を更新することで、ソフトウェアのアップデートやテクニカルサポートを受けられます。初期投資は大きくなりますが、長期的に見ると総コストが抑えられる場合があります。
- サブスクリプションライセンス (Subscription License): 年間または複数年の期間契約型のライセンスです。契約期間中はライセンスの使用権と保守サポートが含まれます。初期投資を抑えられ、運用コスト(Opex)として計上しやすいのが特徴です。常に最新のソフトウェアを利用できるメリットがあります。クラウド連携機能や DRaaS (Disaster Recovery as a Service) などは、サブスクリプションでの提供が一般的です。
エディション:
Arcserve UDP は提供される機能範囲によって複数のエディションに分かれています(バージョンによって名称や機能差は変動する可能性がありますが、一般的な傾向として以下のようなエディションが存在します)。エディションによって、どのライセンスモデル(ソケット、容量)が提供されるか、また利用できる機能(アプリケーション対応範囲、レプリケーション機能、仮想スタンバイ、Instant VM、テープ連携、DRaaS連携など)が異なります。
- Standard Edition: 基本的なファイル/フォルダレベルのバックアップ、イメージバックアップ、基本的な重複排除機能など、シンプルで基本的なデータ保護機能を提供します。
- Advanced Edition: Standard の機能に加え、主要な仮想環境(VMware, Hyper-V)向けの機能強化、仮想スタンバイ、Instant VM、および主要なアプリケーション(Exchange, SQL Serverなど)の限定的な保護機能をサポートする場合があります。
- Premium Edition: Advanced の機能に加え、より幅広いアプリケーション(SharePoint, Oracle, SAPなど)の高度な保護、テープデバイスへのバックアップ、より柔軟なレプリケーション設定など、包括的なデータ保護機能を提供します。
- Enterprise Plus Edition: Premium の全ての機能に加え、Arcserve Cloud や DRaaS との密接な連携、グローバル重複排除、高度なオーケストレーション機能など、大規模環境や高度なBC/DR要件に対応する最上位エディションです。
これらの要素(課金単位、購入モデル、エディション)を理解することが、最適なライセンスを選定するための第一歩となります。次に、それぞれのライセンスモデルについて詳しく見ていきましょう。
主要なライセンスモデルの詳細解説
Arcserve UDP の主要なライセンスモデルであるソケット、容量、エージェントについて、それぞれの特徴、適した環境、メリット・デメリットを詳しく解説します。
1. ソケットライセンス (Socket License)
特徴:
主に仮想環境(VMware vSphere, Microsoft Hyper-Vなど)を保護するためのライセンスモデルです。ライセンスの課金単位は、保護対象となるハイパーバイザーホストが搭載する物理CPUの「ソケット数」です。
対象環境:
仮想化率が高く、主に仮想マシン(VM)の保護が中心となる環境に最適です。特に、1台のハイパーバイザーホスト上で多くのVMが稼働しているような場合に有利になります。
課金単位の詳細:
例えば、2ソケットCPUを搭載した物理サーバー上で VMware ESXi が稼働しており、そのESXiホスト上で複数のVMが稼働している場合、このESXiホストを保護するためには「2ソケット」のライセンスが必要になります。そのホスト上のVM数自体はライセンス数に影響しません(一部例外や制限がある場合もありますが、基本的にVM数は無制限です)。クアッドコアやオクタコアといったコア数は関係なく、物理的なソケットの数のみで計算されます。
メリット:
* 仮想環境に最適: 仮想化率の高い環境では、VM数に関わらずソケット数で課金されるため、VMが増えてもライセンスコストが増えない点が大きなメリットです。多くのVMを効率的に保護できます。
* ライセンス管理の簡素化: サーバー台数やVM数ではなく、比較的安定しているソケット数で管理できるため、ライセンス管理が容易になります。
* 費用対効果: 仮想環境においてVM数が多いほど、ソケットあたりの保護対象が多くなるため、容量ライセンスやエージェントライセンスと比較して費用対効果が高くなる傾向があります。
デメリット:
* 物理環境保護には別途考慮が必要: ソケットライセンスは基本的に仮想環境向けです。物理サーバーの保護が必要な場合は、容量ライセンスやエージェントライセンスを別途組み合わせるか、ソケットライセンスに含まれる一部の限定的な物理保護機能(エディションによる)を利用する必要があります。ただし、本格的な物理保護が必要であれば、容量ライセンスが推奨されるケースが多いです。
* ソケット数の増加でコスト増: ハードウェアのリプレースなどでハイパーバイザーホストのソケット数が増えると、それに比例してライセンスコストも増加します。
* 小規模仮想環境では割高になる可能性: 非常に小規模な仮想環境で、稼働VM数が少ない場合、ソケット単価が割高に感じられる場合があります。
提供エディション:
主に Advanced, Premium, Enterprise Plus といった、仮想環境向け機能が充実したエディションで提供されます。
2. 容量ライセンス (Capacity License)
特徴:
物理、仮想、クラウド、アプリケーションなど、保護対象の環境を問わず、保護対象データの総容量(フロントエンド容量)に基づいてライセンスされるモデルです。最も柔軟性が高く、様々な環境が混在するエンタープライズ環境に適しています。
対象環境:
物理サーバーと仮想サーバーが混在している環境、複数の拠点のデータを一元管理したい場合、将来的にクラウド環境や新しいアプリケーションの保護が必要になる可能性がある場合など、多様な環境や変化に対応したい場合に最適です。
課金単位の詳細:
ライセンスの課金単位は、保護対象となるサーバーやワークロードの「保護元データ容量」の合計値です。これは、バックアップ取得前のオリジナルのデータ容量であり、バックアップによって削減される重複排除や圧縮の効果は含まれません。例えば、物理サーバー上のCドライブとDドライブ(合計1TB)、仮想マシンのディスク容量(合計2TB)、Exchange Server のデータベース容量(合計500GB)を保護する場合、合計で3.5TBの容量ライセンスが必要、といった考え方になります(エディションや構成によって計算方法は異なる場合があります)。正確な容量は、専用ツールや見積もりプロセスで確認する必要があります。
メリット:
* 高い柔軟性: 物理、仮想、クラウド、アプリケーションなど、様々な種類の保護対象を単一のライセンスモデルでカバーできます。環境の種類や台数にとらわれず、容量という共通単位で管理できます。
* 環境変化への対応: 将来的に物理サーバーが減って仮想サーバーが増えたり、クラウド環境への移行が進んだりしても、容量が変わらなければライセンスを変更する必要がありません(大幅な容量変動がなければ)。環境変化への対応が容易です。
* 管理の一元化: 複数の異なる環境を保護している場合でも、容量ライセンス一つで管理できるため、ライセンス管理がシンプルになります。
デメリット:
* データ増加によるコスト増: 保護対象のデータ容量が増加すると、それに比例してライセンスコストも増加します。データの増加率を正確に予測し、余裕を持った容量を見積もる必要があります。
* 初期の見積もりが重要: 正確な容量を見積もるためには、現状の環境を詳細に調査する必要があります。見積もりを誤ると、ライセンス不足や過剰な投資につながる可能性があります。
* 重複排除効果がコストに直接影響しない: Arcserve UDP の強力な重複排除機能はバックアップデータの保存容量を大幅に削減できますが、容量ライセンスの課金単位は重複排除前の論理容量であるため、ライセンスコスト自体は重複排除効果で直接的には削減されません。ただし、必要なストレージ容量が削減されるため、インフラコスト全体の最適化には貢献します。
提供エディション:
Standard, Advanced, Premium, Enterprise Plus など、幅広いエディションで提供されます。エディションによって利用できる機能やアプリケーション対応範囲が異なります。
3. エージェントライセンス (Agent License)
特徴:
主に物理サーバーや特定のアプリケーション単位でライセンスされるモデルです。保護対象となるサーバーの台数や、特定のアプリケーションのインスタンス数に基づいて課金されます。
対象環境:
物理サーバーの数が比較的少ない環境、特定のアプリケーション(Exchange, SQL Server, SharePointなど)のみを重点的に保護したい環境に適しています。仮想環境が中心の環境には不向きです。
課金単位の詳細:
保護対象となる物理サーバー1台につき1ライセンス、あるいは特定のアプリケーション(例: Exchange Server)のインスタンス1つにつき1ライセンス、といった形で課金されます。例えば、3台の物理サーバーを保護する場合、3ライセンスが必要になります。
メリット:
* 物理サーバー中心環境で明朗会計: 保護対象の物理サーバー台数が少ない場合、ソケットや容量といった他の単位よりもシンプルで分かりやすいライセンス体系です。
* 特定のアプリケーション保護: 特定のアプリケーション(Exchange, SQLなど)に特化した保護が必要な場合に、そのアプリケーションのエージェントライセンスを選択できます(エディションによる)。
* 小規模環境に適している場合がある: 保護対象が数台の物理サーバーに限られるような小規模環境では、容量ライセンスよりも初期コストを抑えられる場合があります。
デメリット:
* サーバー台数増加でコスト増: 保護対象となる物理サーバー台数が増加すると、それに比例してライセンスコストも増加します。
* 仮想環境には不向き: 仮想環境のVMを保護する場合、VM数が増えるとライセンスコストが直線的に増加するため、ソケットライセンスや容量ライセンスの方が有利になることがほとんどです。
* 混在環境では管理が複雑になる可能性: 物理と仮想が混在する環境でエージェントライセンスとソケットライセンスを組み合わせる場合など、ライセンス管理が複雑になる可能性があります。容量ライセンスの方がシンプルに管理できる場合があります。
提供エディション:
Standard, Advanced, Premium, Enterprise Plus といったエディションで提供されますが、エディションによって保護できるアプリケーションの種類や機能範囲が異なります。例えば、Exchange や SQL Server のアプリケーションエージェントは、Advanced 以上のエディションで提供されることが一般的です。
購入モデルの詳細解説:パーペチュアル vs サブスクリプション
前述した通り、ライセンスの購入モデルにはパーペチュアルとサブスクリプションがあります。どちらを選ぶかは、初期投資の考え方、予算の種類(Capital Expenditure – CapEx vs Operational Expenditure – Opex)、そして将来的な利用計画によって判断します。
1. パーペチュアルライセンス (Perpetual License)
特徴:
ライセンスを永続的に使用する権利を購入するモデルです。ソフトウェア資産として計上されることが一般的です。
コスト構造:
ライセンス購入時にまとまった「初期費用」が発生します。これには通常、初年度の保守サポートが含まれています。2年目以降は、継続して製品アップデートやテクニカルサポートを受けるために、年間保守契約を更新する必要があります。保守費用は、通常、ライセンス購入費用の一定割合(例: 20%程度)となります。
メリット:
* 長期利用で総コストが抑えられる可能性: 5年以上といった長期にわたって同じライセンスを使用する場合、保守費用を合算しても、サブスクリプションを継続するよりも総コストが低くなる可能性があります。
* 資産計上: ライセンス費用をソフトウェア資産として計上したい場合に適しています。
* ライセンス利用権が永続的: 一度購入すれば、保守契約が切れてもそのバージョンのライセンス使用権は残ります(サポートやアップデートは受けられなくなります)。
デメリット:
* 初期投資が大きい: ライセンス購入時にまとまった費用が必要となるため、初期の負担が大きくなります。
* 保守契約が必須(推奨): 最新バージョンへのアップデートやサポートを受けるためには、保守契約の継続が不可欠です。保守契約を更新しないと、問題発生時のサポートを受けられず、セキュリティリスクや運用リスクが高まります。
* 予算の種類の制約: CapEx予算での支出となるため、Opex予算での導入が求められる場合には不向きです。
2. サブスクリプションライセンス (Subscription License)
特徴:
ライセンスと保守サポートをセットで、年間または複数年単位で契約するモデルです。
コスト構造:
契約期間中は定期的に「期間料金」が発生します。この料金にライセンスの使用権と保守サポートが含まれています。
メリット:
* 初期投資が抑えられる: まとまった初期費用が不要なため、導入のハードルが低くなります。
* Opexでの運用が可能: 費用を運用コスト(Opex)として処理しやすいため、CapEx予算が限られている場合に適しています。
* 常に最新バージョンの利用が可能: 契約期間中は常に最新のソフトウェアバージョンを利用できます。新しい機能やセキュリティパッチをすぐに適用できます。
* 必要な期間だけ利用可能: プロジェクト単位での利用や、一時的なデータ保護ニーズに対応しやすいモデルです。
* クラウド連携やDRaaS: Arcserve のクラウドサービス(Cloud Direct, Cloud Hybrid, UDP DRaaS)は、基本的にサブスクリプションでの提供となります。
デメリット:
* 長期利用では総コストが高くなる可能性: 非常に長期間(例: 7年以上)利用する場合、パーペチュアル+保守を継続するよりも総コストが高くなる可能性があります。
* 契約期間中の継続コスト: 契約期間中は費用が発生し続けます。契約を解除すると、ライセンスの使用権も失われます。
* 資産計上に向かない: 一般的に費用として処理されるため、資産計上したい場合には不向きです。
どちらを選ぶか:
どちらのモデルが良いかは、企業の予算計画、財務方針、利用計画、そして必要な機能(特にクラウド連携やDRaaSはサブスクリプションが前提となることが多い)によって異なります。
- 短期~中期的な利用、初期費用を抑えたい、Opexで運用したい、常に最新版を利用したい場合: サブスクリプションが適しています。
- 長期的な利用を計画している、CapEx予算がある、資産として計上したい場合: パーペチュアルが適している可能性があります。ただし、保守契約の継続が前提となります。
多くの場合、特にクラウドとの連携や高度なDRaaSを利用する現代のIT環境では、サブスクリプションモデルが選択されるケースが増えています。
エディションによる機能差の詳細解説
Arcserve UDP のエディション(Standard, Advanced, Premium, Enterprise Plusなど)は、利用できる機能範囲を決定します。最適なライセンスを選定するためには、まず必要な機能レベルを明確にし、対応するエディションを絞り込むことが重要です。
以下に、一般的なエディションごとの機能差の傾向を説明します(バージョンによって機能内容は変動する可能性があります)。
1. Standard Edition
- 主な機能:
- 物理/仮想サーバーのイメージバックアップおよびファイル/フォルダバックアップ
- 基本的な重複排除機能
- ローカルディスク、共有フォルダ、重複排除データストアへのバックアップ
- ファイルレベルリカバリ、ベアメタルリカバリ(BMR)
- 対象環境:
- 物理サーバーまたは仮想サーバーが中心の比較的シンプルな環境
- ファイル/フォルダレベルまたはOSイメージレベルのバックアップのみが必要な場合
- 特定のアプリケーション(Exchange, SQLなど)の整合性バックアップが不要な場合
- 制限事項:
- アプリケーションレベルの高度な保護機能は限定的または利用不可
- 仮想スタンバイ、Instant VMなどの高度なリカバリ機能は利用不可
- テープ連携機能は利用不可
- クラウド連携機能は限定的または利用不可
- 対応OSやハイパーバイザーに制限がある場合がある
2. Advanced Edition
-
Standard の機能 + α:
- 主要なハイパーバイザー(VMware vSphere, Microsoft Hyper-V)への対応強化
- 仮想スタンバイ: バックアップデータから仮想マシンを作成し、スタンバイ状態に保つ機能
- Instant VM: バックアップデータから瞬時に仮想マシンを起動し、緊急時アクセスを可能にする機能
- 主要なアプリケーション(Exchange Server, SQL Serverなど)の基本的なアプリケーションレベル保護(整合性バックアップ、一部のアイテムレベルリカバリなど)
- より高度な重複排除機能
-
対象環境:
- 仮想環境が中心で、RPO/RTOを短縮したい場合
- 主要なアプリケーションの基本的な保護が必要な場合
- BC/DR対策として仮想スタンバイやInstant VMを利用したい場合
-
制限事項:
- 対応アプリケーションは限定的
- 特定のエンタープライズアプリケーション(Oracle, SAPなど)や高度なアプリケーション機能は利用不可
- テープ連携機能は利用不可(通常)
- クラウド連携機能は限定的
3. Premium Edition
-
Advanced の機能 + α:
- より幅広いアプリケーション対応: Exchange Server, SQL Server, SharePoint Server, Oracle Database, SAP R/3 および SAP HANA など、主要なエンタープライズアプリケーションの包括的なアプリケーションレベル保護(データベースレベルリカバリ、テーブルレベルリカバリなど)
- テープ連携: バックアップデータをテープデバイスに二次コピーする機能(長期保管やオフサイト保管に利用)
- より柔軟なレプリケーション設定
- グローバル重複排除の一部機能(限定的)
-
対象環境:
- 複数の重要なエンタープライズアプリケーションを運用しており、アプリケーションレベルのきめ細やかな保護と迅速なリカバリが必要な環境
- テープを利用した長期保管やオフサイト保管が必要な環境
-
制限事項:
- DRaaS との密接な連携は限定的(通常)
- グローバル重複排除の全機能は利用不可(通常)
4. Enterprise Plus Edition
-
Premium の全ての機能 + α:
- Arcserve Cloud / Arcserve UDP DRaaS との密接な連携: クラウドへのデータバックアップ/レプリケーション、クラウド上での災害復旧サイト構築・運用
- グローバル重複排除: 複数拠点や複数のRPS (Recovery Point Server) 間での重複排除
- 高度なBC/DRオーケストレーション機能
- より高度なレポート機能
-
対象環境:
- 大規模なエンタープライズ環境で、物理・仮想・クラウドが混在している場合
- 高度なBC/DR要件があり、DRaaSの利用や複数拠点間での効率的なデータ保護が必要な場合
- グローバルなデータ保護戦略を展開している場合
-
特徴: 最上位エディションであり、Arcserve UDP が提供するほぼ全ての機能を利用できます。
エディション選定のポイント:
まず、保護対象の環境と、バックアップ・リカバリ・BC/DRにおいて「絶対に必要な機能」と「あると望ましい機能」をリストアップします。特に、特定のアプリケーション(Exchange, SQL, Oracle, SAPなど)のアプリケーションレベル保護が必要か、仮想スタンバイやInstant VMが必要か、テープ連携が必要か、DRaaS連携が必要かといった点が、エディション選定の大きな分かれ目となります。必要な機能を全て満たす最小のエディションを選択することで、コストを最適化できます。
あなたに最適なライセンスを見つけるためのステップ
Arcserve UDP の多様なライセンスモデル、購入モデル、エディションの中から最適なものを選定するためには、計画的かつ体系的なアプローチが必要です。以下のステップに沿って検討を進めることを推奨します。
ステップ1:保護対象環境の正確な把握
これが最も基礎的で重要なステップです。保護が必要なIT資産を漏れなくリストアップし、それぞれの詳細情報を収集します。
- 物理サーバー: 台数、OSの種類とバージョン、CPUソケット数、ストレージ容量(OS領域、データ領域)、搭載アプリケーション
- 仮想環境: ハイパーバイザーの種類とバージョン(VMware vSphere, Microsoft Hyper-Vなど)、ハイパーバイザーホストの台数、各ホストの物理CPUソケット数、稼働している仮想マシンの台数、各VMのOS種類、仮想ディスク容量、搭載アプリケーション
- クラウド環境: IaaS(AWS EC2, Azure VMなど)で稼働しているインスタンスの台数、OS種類、ストレージ容量、搭載アプリケーション。SaaS(Microsoft 365など)の保護要件。
- アプリケーション: 保護が必要な主要アプリケーション(Exchange Server, SQL Server, SharePoint Server, Oracle Database, SAPなど)の種類、バージョン、インスタンス数、データベースサイズ
- ファイルサーバー: 保護が必要なファイルサーバーの台数、OS種類、データ容量
- その他: NAS、iSCSI LUN、その他のデバイスで保護が必要なもの
特に、容量ライセンスを検討する場合は「保護対象となるデータの論理容量(フロントエンド容量)」、ソケットライセンスを検討する場合は「ハイパーバイザーホストの物理CPUソケット数」を正確に把握することが不可欠です。
ステップ2:データ保護要件の明確化
単にバックアップするだけでなく、どのような状況から、どれくらいの時間をかけて、どこまで復旧する必要があるのかを明確にします。BC/DR計画と連携させて検討します。
- RPO (Recovery Point Objective): どの時点のデータまで復旧できれば良いか(データの損失許容量)。例えば、毎日午前0時のデータ、あるいは直前までといった要件によって、バックアップ頻度や取得方式(増分、差分、継続的)が変わります。
- RTO (Recovery Time Objective): システム停止から復旧までにかけて良い最大時間。数時間以内に復旧が必要な場合、Instant VMや仮想スタンバイといった迅速なリカバリ機能が必要になります。数日かけても良い場合は、テープからのリストアでも対応できるかもしれません。
- 保持期間: バックアップデータをどれくらいの期間保持する必要があるか(日次、週次、月次、年次など)。法令や社内規程で定められている場合が多いです。長期保管にはテープ連携やクラウドへのアーカイブが有効です。
- オフサイト保管: バックアップデータを別の場所(遠隔地のデータセンター、クラウド、テープ保管サービスなど)に保管する必要があるか。災害対策に必須の要件です。
- BC/DR要件: 災害発生時に事業を継続するための具体的な計画(代替サイトへのフェイルオーバー、DRサイトの構築など)。DRaaSの利用やレプリケーション機能が必要になります。
- 監査・コンプライアンス要件: データ保護に関する業界規制や法的要件(GDPR, HIPAA, PCI DSSなど)を満たす必要があるか。特定の保持期間や暗号化、アクセス制御などの機能が求められる場合があります。
ステップ3:必要な機能のリストアップ
ステップ2で明確にした要件を満たすために、Arcserve UDP のどのような機能が必要かをリストアップします。
- 重複排除: バックアップデータの保存容量を削減したいか(ソース側重複排除、グローバル重複排除)
- レプリケーション: バックアップデータを別の拠点やArcserve Cloudに複製したいか
- 仮想スタンバイ: バックアップデータから仮想マシンをスタンバイ状態に保ち、迅速な切り替えを可能にしたいか
- Instant VM: バックアップデータから仮想マシンを瞬時に起動したいか
- アプリケーションレベル保護: Exchange, SQL, SharePoint, Oracle, SAPなどのアプリケーションの整合性を保証したバックアップや、アイテム/データベースレベルのリカバリが必要か
- テープ連携: バックアップデータをテープに保管したいか
- クラウド連携: AWS, Azureなどのパブリッククラウドや、Arcserve Cloud にバックアップ/レプリケーションしたいか
- DRaaS: Arcserve UDP Cloud Direct や UDP DRaaS を利用して、クラウド上での災害復旧を実現したいか
- 暗号化: バックアップデータを暗号化してセキュリティを強化したいか
- レポート・モニタリング: 集中管理コンソール(UDP コンソール)での監視やレポート機能はどの程度必要か
ステップ4:将来の計画を考慮
IT環境は常に変化します。将来的な変化を見越してライセンスを選定することで、後々のコスト増や手間の発生を防ぎます。
- データ増加予測: 今後、保護対象データ容量はどれくらい増加すると予測されるか。容量ライセンスの場合、この予測が重要になります。
- サーバー増設・リプレース計画: 物理サーバーやハイパーバイザーホストの増設・リプレース計画があるか。ソケットライセンスやエージェントライセンスの場合、台数やソケット数の増加にどう対応するかを検討します。
- 仮想化・クラウド移行計画: 物理環境から仮想環境へ、あるいはオンプレミスからクラウドへの移行計画があるか。環境の変化に対応しやすいライセンスモデルを選択することが重要です。
- 新規アプリケーション導入計画: 今後、保護が必要な新しいアプリケーションを導入する計画があるか。対応エディションやライセンスモデルを事前に確認しておきます。
ステップ5:予算の確認
データ保護にかけることができる予算を確認します。初期投資(CapEx)とランニングコスト(Opex)のどちらを重視するかによって、購入モデル(パーペチュアル vs サブスクリプション)の選択に影響します。
ステップ6:各ライセンスモデルとエディションの比較検討
ステップ1~5で収集した情報と要件に基づき、各ライセンスモデル(ソケット、容量、エージェント)とエディションの組み合わせを比較検討します。
- 仮想環境中心か、物理・仮想混在か、物理中心か? これがライセンスモデル(ソケット vs 容量 vs エージェント)選択の大きな指針となります。
- 必要な機能は何か? これでエディション(Standard ~ Enterprise Plus)を絞り込みます。
- 現状の容量、ソケット数、サーバー台数は? これで各モデルでの概算ライセンス数を計算します。将来予測も加味します。
- CapEx vs Opex どちらを重視? これで購入モデル(パーペチュアル vs サブスクリプション)を検討します。
例えば、「中規模の仮想環境(ハイパーバイザーホスト10台、各2ソケット、VM数100台以上)で、Instant VMやExchange/SQLのアプリケーション保護が必要」といった要件であれば、まず必要な機能から Advanced または Premium エディションが候補になります。次に、環境が仮想中心でVM数が多いことから、ソケットライセンスが有利である可能性が高いと考えられます。購入モデルは予算と方針によります。
ステップ7:シナリオ例との比較
後述する具体的なシナリオ例と、自社の環境・要件を比較してみます。類似のシナリオが提示されていれば、その推奨ライセンスモデルを参考に検討を進めることができます。
ステップ8:Arcserve パートナーまたはベンダーへの相談
ここまでのステップで自己分析は可能ですが、Arcserve のライセンス体系は複雑であり、特定の環境や要件に対して最適な構成を見極めるには専門知識が必要です。必ず Arcserve の正規販売代理店やパートナー企業に相談し、見積もりと技術的なアドバイスを受けることを強く推奨します。
- 提供した環境情報と要件に基づき、最適なライセンス構成を提案してもらう。
- 正確な容量計算やソケット数計算の支援を受ける。
- 将来的な環境変化や拡張計画に関するアドバイスを受ける。
- 評価版の利用を検討し、実際の環境で検証を行う。
専門家の知見を活用することで、最適なライセンスを確実に選定し、無駄な投資を防ぐことができます。
具体的なシナリオ別おすすめライセンス例
ここからは、いくつかの典型的なIT環境とデータ保護要件を想定し、それぞれに適した Arcserve UDP ライセンスの考え方と推奨例を提示します。これらはあくまで一般的な例であり、個別の詳細な要件によって最適な構成は異なります。必ずステップ8で推奨した専門家への相談を行ってください。
シナリオ1:小規模物理サーバー中心(~10台、ファイル/OSバックアップ)
- 環境: 物理サーバー数台(例: 5台)、主にWindows Server、ファイルサーバーや簡単な業務アプリケーションが稼働。仮想環境は利用していない。
- 要件: OSイメージのバックアップ、重要なファイル/フォルダのバックアップ。シンプルなリカバリ(BMR、ファイルリカバリ)。予算は抑えたい。
- 適したライセンスの考え方:
- 物理サーバーが中心かつ台数が少ないため、エージェントライセンスが候補となります。
- 必要な機能は基本的なバックアップとリカバリのみであるため、Standard Editionでも要件を満たせる可能性が高いです。
- 容量ライセンスでも対応可能ですが、台数が少ない場合はエージェントの方が割安になる傾向があります。
- 推奨例:
- Arcserve UDP Agent for Windows Standard Edition エージェントライセンス (物理サーバー台数分)
- もし将来的な拡張や機能追加の可能性があれば、Advanced Edition のエージェントライセンスも検討。
- 購入モデルは、予算と利用計画に応じてパーペチュアルまたはサブスクリプションを選択。
シナリオ2:中規模仮想環境中心(VMware/Hyper-V ~50ソケット、VM数多数)
- 環境: VMware vSphere または Microsoft Hyper-V 環境。ハイパーバイザーホスト数台~数十台(合計物理ソケット数~50ソケット程度)。仮想マシン数は100台以上。一部Exchange ServerやSQL ServerのVMあり。
- 要件: 仮想マシン全体の効率的なイメージバックアップ。RTO短縮のためのInstant VMまたは仮想スタンバイ。主要なアプリケーション(Exchange, SQL)のアプリケーションレベル保護。
- 適したライセンスの考え方:
- 仮想環境中心でVM数が多いため、ソケットライセンスが最も有利となる可能性が高いです。VMが増えてもソケット数が変わらなければライセンスコストは増加しません。
- Instant VMや仮想スタンバイ、アプリケーション保護が必要なため、Advanced Edition または Premium Edition が候補となります。
- 物理サーバーが少数ある場合は、ソケットライセンスに含まれる限定的な物理保護機能で対応するか、別途容量ライセンスやエージェントライセンスを組み合わせるか検討が必要です。
- 推奨例:
- Arcserve UDP Advanced / Premium Edition ソケットライセンス (ハイパーバイザーホストの合計物理ソケット数分)
- Advanced または Premium のどちらを選ぶかは、必要なアプリケーション保護のレベル(Premium の方が対応アプリケーションが豊富)やその他の機能(Premium はテープ連携あり)によります。
- 購入モデルは、予算と利用計画に応じてパーペチュアルまたはサブスクリプションを選択。クラウド連携を検討するならサブスクリプションが有利です。
シナリオ3:大規模物理・仮想混在環境(サーバー数百台、データ数百TB、複数のアプリケーション)
- 環境: 大量の物理サーバーと仮想サーバーが混在。合計サーバー数百台、保護対象データ容量数百TB。Exchange, SQL Server, SharePoint Server, Oracle Database, SAPなど複数の基幹アプリケーションが稼働。複数の拠点がある場合も。
- 要件: 全てのサーバー/アプリケーションの統合的な保護。高度なアプリケーションレベル保護。重複排除によるストレージ容量削減。遠隔地へのレプリケーションまたはオフサイト保管(テープ利用含む)。迅速なリカバリ。
- 適したライセンスの考え方:
- 物理・仮想が混在しており、保護対象の種類が多岐にわたるため、容量ライセンスが最も管理しやすく柔軟性が高いモデルとなります。
- 複数の基幹アプリケーション保護、テープ連携、高度なリカバリ機能が必要なため、Premium Edition または Enterprise Plus Edition が候補となります。
- データ容量増加への対応を計画的に行う必要があります。
- 複数拠点間のグローバル重複排除や、高度なDR戦略(DRaaS含む)が必要であれば Enterprise Plus 一択となります。
- 推奨例:
- Arcserve UDP Premium / Enterprise Plus Edition 容量ライセンス (保護対象データの合計論理容量分)
- Premium か Enterprise Plus かは、グローバル重複排除、DRaaS連携、高度なオーケストレーション機能の要否によります。
- 購入モデルは、長期的な運用か、Opexを重視するか、クラウド連携を強く推進するかによって判断。大規模環境では、総コストと管理の観点から容量ライセンスのサブスクリプションが選ばれるケースが多いです。
シナリオ4:ハイブリッドクラウド環境(オンプレミス + Azure/AWS)、DRaaS を重視
- 環境: オンプレミスに物理/仮想サーバーがあり、一部または全部を Azure や AWS 上のIaaSインスタンスでも運用している、または将来移行予定。Arcserve Cloud も利用したい。
- 要件: オンプレミスとクラウド上のデータを統合的に保護したい。遠隔地DRサイトとして Arcserve Cloud を利用し、迅速な災害復旧を実現したい (DRaaS)。
- 適したライセンスの考え方:
- オンプレミスとクラウドが混在するため、容量ライセンスが適しています。クラウド上のインスタンスも容量ベースでカウントされることが一般的です。
- DRaaS や Arcserve Cloud との密接な連携が重要な要件であるため、Enterprise Plus Edition が必須となります。
- クラウド連携機能はサブスクリプションでの提供が基本であるため、購入モデルはサブスクリプションが推奨されます。
- 推奨例:
- Arcserve UDP Enterprise Plus Edition 容量ライセンス サブスクリプション (オンプレミス + クラウド上の保護対象データの合計論理容量分)
- DRaaS の具体的なサービスレベルや容量に応じて、Arcserve UDP Cloud Direct や UDP DRaaS の追加ライセンス/契約が必要になる場合があります。
シナリオ5:特定の基幹アプリケーション(Exchange/SQL Server)保護が最重要
- 環境: 少数のサーバーで大規模な Exchange Server や SQL Server が稼働しており、その保護が最も重要な要件。
- 要件: アプリケーション整合性を保証したバックアップ。きめ細やかなアイテムレベル(メール、データベーステーブルなど)での高速リカバリ。
- 適したライセンスの考え方:
- アプリケーションレベルの高度な保護が必要なため、Advanced Edition 以上のエディションが必要です(対応アプリケーションはエディションによる)。通常は Premium Edition が推奨されます。
- ライセンスモデルは、サーバー台数が少ない物理サーバーであればエージェントライセンス、仮想環境であればソケットライセンス、混在していれば容量ライセンスが候補となります。
- 推奨例:
- Arcserve UDP Premium Edition
- 物理サーバーの場合: エージェントライセンス (保護対象サーバー台数分)
- 仮想サーバーの場合: ソケットライセンス (ハイパーバイザーの合計物理ソケット数分)
- 物理・仮想混在の場合: 容量ライセンス (保護対象データの合計論理容量分)
- 購入モデルは、予算と利用計画に応じてパーペチュアルまたはサブスクリプションを選択。
- Arcserve UDP Premium Edition
これらのシナリオは典型的な例です。お客様固有の環境、データ量、サーバー台数、仮想化率、拠点数、そして最も重要なRPO/RTOやBC/DR要件によって、最適なライセンスは大きく変動します。繰り返しになりますが、必ず専門家にご相談ください。
ライセンス選定時の注意点とよくある質問 (FAQ)
Arcserve UDP のライセンスを選定する上で、特に注意すべき点やよくある質問をまとめました。
ライセンス体系の変更について
ソフトウェアベンダーのライセンス体系は、製品のバージョンアップや市場の変化に合わせて変更されることがあります。新しいバージョンがリリースされる際に、ライセンスモデルの追加、廃止、課金単位の見直し、エディション構成の変更などが行われる可能性があります。
- 注意点: 常に最新のライセンス情報を確認することが重要です。この記事の情報も、特定の時点での一般的な体系に基づいています。最新の情報は必ず Arcserve 社の公式サイトまたは正規販売代理店に確認してください。
評価版の活用方法
Arcserve UDP には評価版が用意されています。実際の環境にインストールして機能を試せるだけでなく、ライセンス見積もりツールとしても活用できる場合があります。
- 注意点: 評価版は機能制限や期間制限がある場合があります。また、評価版での使用感だけでライセンスを決定せず、正式なライセンス構成と見積もりを専門家に確認してください。
保守契約の重要性
パーペチュアルライセンスの場合、初年度以降の保守契約は任意ですが、継続することを強く推奨します。
- 注意点: 保守契約がない場合、ソフトウェアのバージョンアップやセキュリティパッチの適用ができません。また、技術的な問題が発生した場合のサポートも受けられなくなります。データ保護というミッションクリティカルなシステムにおいて、サポートが受けられない状態は非常に大きなリスクとなります。
旧バージョンからの移行
旧バージョンの Arcserve 製品(Arcserve Backup など)から Arcserve UDP に移行する場合、既存のライセンスを新しい体系に引き継げる(トレードアップ)パスが用意されている場合があります。
- 注意点: 旧製品のライセンス情報を確認し、どのような移行パスが利用できるか、費用はどのくらいかかるかなどを Arcserve 社または販売代理店に確認してください。
重複排除が容量計算に与える影響
容量ライセンスは、バックアップによって重複排除される前の「保護対象の論理容量(フロントエンド容量)」で計算されるのが一般的です。
- 注意点: Arcserve UDP の強力な重複排除機能によって、バックアップデータの保存容量は大幅に削減されますが、この削減効果は容量ライセンスの課金単位には直接影響しません。ライセンス見積もり時には、重複排除後の容量ではなく、重複排除前のデータ容量を基に計算する必要があります。ただし、重複排除は必要なストレージ容量を削減するため、インフラコスト全体の最適化には大きく貢献します。
クラスター環境のライセンス計算
Microsoft フェールオーバークラスターなどのクラスター環境を保護する場合、ライセンスのカウント方法に注意が必要です。アクティブ/パッシブ構成の場合、アクティブノード数のみでカウントされることが多いですが、アクティブ/アクティブ構成の場合は全てのノードがカウントされるなど、製品によって計算方法が異なる場合があります。
- 注意点: クラスター環境を保護する場合は、必ず Arcserve 社または販売代理店に具体的な構成を伝えて、正確なライセンス数を計算してもらってください。
無償版/エッセンシャル版について
Arcserve は、特定の小規模環境や特定の機能に限定した無償版や、コストを抑えたエッセンシャル版を提供している場合があります。
- 注意点: 無償版やエッセンシャル版は、機能や保護対象、容量などに厳しい制限があることが一般的です。ビジネス環境での利用においては、必要な要件を満たせるかを十分に確認し、将来的な拡張性も考慮して、有償版ライセンスを検討することをお勧めします。
まとめ:適切なライセンス選定は成功の鍵
Arcserve UDP は、多様なIT環境を統合的に保護するための強力なソリューションです。その機能を最大限に活用し、データ保護とBC/DR戦略を成功させるためには、適切なライセンスの選定が不可欠です。
ソケットライセンス、容量ライセンス、エージェントライセンスといった主要な課金モデル、パーペチュアルとサブスクリプションという購入モデル、そして機能範囲によって分かれるエディション(Standard, Advanced, Premium, Enterprise Plus)の組み合わせの中から、お客様の現在のIT環境、データ保護要件、将来計画、そして予算に最も合致するものを見つけ出す必要があります。
本記事で解説したステップ(環境把握、要件定義、機能リストアップ、将来計画考慮、予算確認、比較検討、シナリオ比較)を踏むことで、自己分析を深めることができます。しかし、Arcserve UDP のライセンス体系は詳細かつ専門的であり、最適な構成を見極めるには専門家の知見が不可欠です。
データ保護の専門家である Arcserve の正規販売代理店やパートナー企業に必ずご相談ください。 お客様の環境と要件を丁寧にヒアリングし、最新のライセンス情報に基づいた最適な構成と見積もりを提案してもらうことで、最適な Arcserve UDP ライセンスを確実に手に入れることができます。
適切なライセンスは、データ保護システムの導入コストと運用コストを最適化し、必要な機能を確実に利用できるようにすることで、ビジネス継続性の確保とデータ資産の保護というミッションクリティカルな目標達成を強力に支援します。ライセンス選定に時間をかけ、慎重に検討することが、Arcserve UDP 導入成功への最初の、そして最も重要なステップとなります。
免責事項
本記事に記載されている Arcserve UDP のライセンス情報、エディション別の機能、課金単位、購入モデル、および推奨シナリオは、一般的な傾向や情報に基づいています。Arcserve 社の製品仕様、ライセンス体系、価格、提供されるサービスは、バージョンアップや市場状況の変化により変更される可能性があります。
本記事の内容は、あくまで読者の皆様が Arcserve UDP のライセンス体系を理解し、自社の環境に最適なライセンス選定を進める上での参考情報として提供されるものです。最新かつ正確なライセンス情報、およびお客様固有の環境に基づいた最適なライセンス構成と見積もりについては、必ず Arcserve Japan 合同会社またはその正規販売代理店に直接お問い合わせください。
本記事の内容に基づいてライセンス選定を行った結果について、筆者および掲載元は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。