【超入門】JSPって何?Javaとの違いを分かりやすく解説

はい、承知いたしました。「【超入門】JSPって何?Javaとの違いを分かりやすく解説」と題し、約5000語の詳細な解説記事を作成します。


【超入門】JSPって何?Javaとの違いを分かりやすく解説

Webサイトを見ていると、同じページでもアクセスする人やタイミングによって表示内容が変わることがありますよね。例えば、オンラインショップの商品一覧は、在庫状況やセール情報によって変わりますし、ログインしたユーザーにはそのユーザーの名前が表示されたりします。このような「動的な」Webページを作るために、様々な技術が使われています。

Javaを使ってWebアプリケーションを開発する際によく登場する技術の一つに、「JSP(JavaServer Pages)」があります。「JSP」という言葉を聞いたことはあるけれど、「結局Javaとどう違うの?」「どんな仕組みで動いているの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事は、まさにそんな疑問を持つ Web開発初心者の方、特に Javaに少しでも触れたことがある方を対象に、JSPとは何か、そしてJavaとの違いを分かりやすく、そして徹底的に解説することを目指します。約5000語というボリュームで、JSPの基本的な仕組みから具体的な書き方、さらには現代のWeb開発における位置づけまで、網羅的に説明していきます。

これを読めば、JSPの正体と、それがどのようにWebアプリケーション開発に役立つのかがきっと理解できるはずです。さあ、一緒にJSPの世界への第一歩を踏み出しましょう!

1. Web開発の基本のおさらい:なぜ「動的なページ」が必要なのか?

JSPの話に入る前に、まずはWeb開発の基本的な仕組みを簡単におさらいしておきましょう。Webサイトを閲覧するとき、私たちのコンピューター(クライアント)は、Webサーバーに対して「このページを見せてください」というお願い(リクエスト)を送ります。Webサーバーは、そのお願いに応じて、ページのデータ(HTMLファイルなど)をクライアントに送り返します(レスポンス)。クライアントのWebブラウザは、受け取ったデータを解釈して画面に表示します。

静的コンテンツと動的コンテンツ

このやり取りで送られるページには、大きく分けて二種類あります。

  • 静的コンテンツ (Static Content): いつ誰が見ても内容が変わらないページです。例えば、会社の紹介ページ、お問い合わせフォームの入力画面(フォーム自体は静的)、サービスの説明ページなどがこれにあたります。Webサーバーは、あらかじめ用意されているHTMLファイルや画像ファイルなどをそのままクライアントに送り返します。処理が単純で高速ですが、表示内容をアクセスごとに変えることはできません。
  • 動的コンテンツ (Dynamic Content): アクセスする人、時間、タイミング、またはユーザーの操作(フォーム入力など)によって表示内容が変わるページです。ユーザーごとのマイページ、検索結果一覧、掲示板、ECサイトの商品詳細(在庫表示が変わる)、ログイン後の画面などがこれにあたります。Webサーバーは、リクエストを受けるたびに何らかのプログラムを実行し、その結果に基づいてHTMLデータを生成してクライアントに送り返します。

サーバーサイド技術の必要性

動的コンテンツを実現するためには、サーバー側でプログラムを実行してHTMLを生成する必要があります。このサーバー側で動作するプログラムを作るための技術を「サーバーサイド技術」と呼びます。Javaを使ったサーバーサイド技術の代表格が、「サーブレット」と、今回解説する「JSP」なのです。

つまり、JSPは「サーバー上で動いて、アクセスごとに内容が変わるWebページを作るための技術」ということになります。

2. JSPとは何か?その正体を探る

いよいよJSPの核心に迫ります。

JSPはJavaServer Pagesの略

JSPは「JavaServer Pages」の頭文字をとったものです。その名の通り、Javaと関連の深い、サーバー側で動作するページ技術です。

一言でいうと「HTMLの中にJavaを埋め込める技術」

JSPを最も簡単に表現するなら、「HTMLファイルの中に、Javaのコードや専用のタグを記述して、動的なHTMLを生成するための技術」と言えます。

通常のHTMLファイルは、ブラウザが直接解釈して表示できます。しかし、JSPファイル(拡張子は .jsp)は、そのままではブラウザは解釈できません。JSPファイルは、まずWebサーバー(正確には「JSPコンテナ」と呼ばれるソフトウェア)によって処理され、最終的に標準的なHTMLファイルに変換されてからクライアントのブラウザに送り返されます。

なぜ生まれたのか?サーブレットとの関係

Javaで動的なWebページを作る技術としては、JSPよりも前に「Javaサーブレット(Servlet)」がありました。サーブレットは、Javaのコードの中に、response.getWriter().println("<html><body>..."); のように、HTMLタグを文字列としてひたすら記述して出力するスタイルです。

java
// サーブレットのコード例(イメージ)
protected void doGet(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws ServletException, IOException {
response.setContentType("text/html;charset=UTF-8");
PrintWriter out = response.getWriter();
out.println("<!DOCTYPE html>");
out.println("<html>");
out.println("<head>");
out.println("<title>サーブレットの例</title>");
out.println("</head>");
out.println("<body>");
out.println("<h1>Hello from Servlet!</h1>");
// 動的な内容を追加
Date now = new Date();
out.println("<p>現在時刻: " + now.toString() + "</p>");
out.println("</body>");
out.println("</html>");
}

この方法、見慣れたHTMLの構造をJavaの文字列として表現するので、特に複雑なHTMLを生成しようとすると、コードが非常に読みにくく、変更も大変になります。HTMLの構造と、Javaのロジックが混ざり合ってしまい、「表示部分(デザイン)」の修正がJavaのコード修正を伴うため、WebデザイナーとJavaプログラマーの連携も取りづらいという問題がありました。

そこで登場したのがJSPです。JSPは「HTMLの中にJavaコードを埋め込む」という逆転の発想で作られました。これにより、HTMLの構造はそのままに、必要な部分だけJavaのコードで動的に生成できるようになります。

“`html
<%– JSPのコード例(イメージ) –%>





JSPの例

Hello from JSP!

<%-- 動的な内容を追加 --%>

現在時刻: <%= new java.util.Date().toString() %>


“`
見ての通り、JSPの方がHTMLの見た目に近く、どこに動的な要素が入るかが分かりやすいですよね。これがJSPが生まれた大きな理由であり、サーブレットとの関係性です。JSPは、サーブレットでは難しかった「表示部分(プレゼンテーション)」の作成をより効率的に行うために開発された技術なのです。

3. JSPの仕組み:舞台裏で何が起きているのか?

JSPファイルは、ブラウザに表示される前に、いくつかの段階を経て処理されます。この仕組みを理解することが、JSPとJavaの関係性を深く理解する上で非常に重要です。

JSPファイルがクライアントからのリクエストを受けてからレスポンスを返すまでの基本的な流れは以下のようになります。

  1. クライアントからのリクエスト: ユーザーがブラウザで .jsp ファイルへのURLにアクセスします。
  2. JSPコンテナによる処理: Webサーバーは、このリクエストをJSPコンテナ(多くの場合、サーブレットコンテナと同じものです。Apache Tomcatなどが代表的)に渡します。
  3. JSPファイルの検出: JSPコンテナはリクエストされた .jsp ファイルを見つけます。
  4. JSPからサーブレットへの変換(トランスレーション): これがJSPの仕組みの核となる部分です。 JSPコンテナは、リクエストされたJSPファイルが初めてアクセスされたとき、またはJSPファイルが更新されたときに、その内容を解析し、等価なJavaサーブレットのソースコード(.java ファイル)に自動的に変換します。このプロセスを「トランスレーション」と呼びます。
  5. サーブレットのコンパイル: 生成されたJavaサーブレットのソースコード(.java ファイル)を、標準的なJavaコンパイラを使ってコンパイルし、実行可能なクラスファイル(.class ファイル)を作成します。
  6. サーブレットのロードとインスタンス化: コンパイルされたサーブレットクラスファイルがメモリにロードされ、そのクラスのインスタンスが生成されます。
  7. サーブレットの実行: インスタンス化されたサーブレットの、リクエストを処理するメソッド(通常は _jspService() という名前で自動生成されます)が実行されます。このメソッドの中で、元のJSPファイルに記述されていたHTMLと、Javaのコード(スクリプトレットなどから変換されたもの)が実行され、動的なHTML出力が生成されます。
  8. レスポンスの生成: 生成されたHTMLデータがHTTPレスポンスボディとしてクライアントに送り返されます。
  9. ブラウザでの表示: クライアントのブラウザは受け取ったHTMLデータを解釈して画面に表示します。

JSPからサーブレットへの変換の詳細

この変換プロセスが、JSPがJavaの上に成り立っていることを示しています。JSPファイルの中の様々な要素は、サーブレットのJavaコードの特定の記述に置き換えられます。

  • 静的なHTML部分: out.write(...) のように、JspWriter (サーブレットにおける PrintWriter に相当) を使ってそのまま出力するコードに変換されます。
  • JSPの式 <%= ... %>: 式の結果を文字列として出力する out.print(...) のようなコードに変換されます。
    • 例: <%= new java.util.Date() %>out.print( new java.util.Date() );
  • JSPのスクリプトレット <% ... %>: スクリプトレット内に書かれたJavaコードが、そのままサーブレットの _jspService() メソッドの中にコピー&ペーストされるような形で変換されます。
    • 例:
      jsp
      <%
      String message = "Hello!";
      out.println("<h1>" + message + "</h1>");
      %>

      ↓ 変換後(イメージ) ↓
      java
      // _jspServiceメソッドの中の一部として生成
      String message = "Hello!";
      out.println("<h1>" + message + "</h1>");
  • JSPの宣言 <%! ... %>: クラスのフィールド宣言やメソッド定義として、サーブレットクラスのメンバーとして変換されます。
    • 例: <%! int counter = 0; %>int counter = 0; (クラスメンバーとして)
  • JSPディレクティブ <%@ ... %>: サーブレットクラスのインポート文や、クラス全体の設定として変換されます。
    • 例: <%@ page import="java.util.Date" %>import java.util.Date;

この変換・コンパイルは、通常、JSPファイルが初回にリクエストされたとき、またはJSPファイルが更新されてから初めてリクエストされたときに一度だけ行われます(設定によりますが)。二回目以降のリクエストでは、すでにコンパイルされたサーブレットクラスがメモリ上にロードされているため、変換・コンパイルの時間はかからず、即座にサーブレットの実行フェーズに進みます。これにより、高速なレスポンスが可能になります。

JSPのライフサイクル

JSPファイルがサーブレットに変換されて実行される過程には、サーブレットと同様のライフサイクルがあります。

  1. Translation (変換): JSPファイルがサーブレットの.javaファイルに変換される。
  2. Compilation (コンパイル): 生成された.javaファイルが.classファイルにコンパイルされる。
  3. Loading (ロード): .classファイルがJVMにロードされる。
  4. Instantiation (インスタンス化): サーブレットクラスのインスタンスが生成される。
  5. Initialization (初期化): jspInit() メソッドが一度だけ呼び出される(サーブレットの init() に相当)。ここで初期設定などを行うことができる。
  6. Request Processing (リクエスト処理): クライアントからのリクエストごとに _jspService() メソッドが呼び出される(サーブレットの doGet(), doPost() に相当)。このメソッドの中で、HTML出力とJavaコードの実行が行われる。
  7. Destruction (破棄): アプリケーションの停止など、サーブレットコンテナがJSPインスタンスを破棄する際に jspDestroy() メソッドが一度だけ呼び出される(サーブレットの destroy() に相当)。

このように、JSPはあくまで「サーブレットをより書きやすくするための構文シュガー(糖衣構文)」であり、その実体はJavaサーブレットなのです。JSPが「JavaServer Pages」と呼ばれるゆえんもここにあります。

4. JSPの要素:JSPファイルは何で構成されているか?

JSPファイルの中には、単なるHTMLだけでなく、動的なコンテンツ生成のための特別な記述が含まれています。これらを「JSPの要素」と呼びます。主な要素を見ていきましょう。

4.1. ディレクティブ (Directives) <%@ ... %>

JSPページ全体の設定や、他のファイルを含める方法などを指定するために使われます。コンパイル時に処理されます。

  • page ディレクティブ: <%@ page ... %>

    • JSPページの様々な設定を指定します。例:
      • language="java": 使用するスクリプト言語(通常はJavaなので省略可)
      • contentType="text/html;charset=UTF-8": 生成されるレスポンスのMIMEタイプと文字エンコーディング
      • import="java.util.Date": Javaのクラスをインポート(スクリプトレットなどで使用可能になる)
      • session="true|false": セッションを使用するかどうか
      • isErrorPage="true|false": このページがエラーページかどうか
      • errorPage="URL": 例外発生時に表示するエラーページのURL
    • 例: <%@ page language="java" contentType="text/html; charset=UTF-8" pageEncoding="UTF-8"%>
  • include ディレクティブ: <%@ include file="ファイルパス" %>

    • JSPファイルの変換時に、指定した別のファイルをその場に静的に挿入します。複数のJSPファイルでヘッダーやフッターなど共通部分を使い回すのに便利です。変換時に結合されるため、インクルード元のファイルとインクルードされるファイルは一体となって1つのサーブレットに変換されます。
    • 例: <%@ include file="header.jsp" %>
  • taglib ディレクティブ: <%@ taglib uri="タグライブラリのURI" prefix="接頭辞" %>

    • カスタムタグや、後述するJSTLのような標準タグライブラリを使用可能にするために宣言します。
    • 例: <%@ taglib uri="http://java.sun.com/jsp/jstl/core" prefix="c" %> (JSTLコアタグライブラリの宣言)

4.2. スクリプティング要素 (Scripting Elements)

JSPファイル内に直接Javaコードを記述するための要素です。ただし、現代のJSP開発では、これらの要素を多用することは非推奨とされています(後述)。

  • スクリプトレット (Scriptlets): <% ... %>

    • Javaの文(変数宣言、if文、for文、メソッド呼び出しなど)を記述します。
    • 欠点: HTML構造の中にJavaコードが散りばめられるため、コードが読みにくくなり、ロジックと表示が混在しやすくなります。
    • 例:
      jsp
      <%
      int hour = new java.util.Date().getHours();
      if (hour < 12) {
      out.println("おはようございます!");
      } else {
      out.println("こんにちは!");
      }
      %>
  • 式 (Expressions): <%= ... %>

    • Javaの式(変数、メソッド呼び出しの結果など)を記述します。その式の評価結果が文字列に変換され、そのままHTML出力として表示されます。
    • セミコロン(;)は不要です。
    • 欠点: 簡単な値の表示には便利ですが、複雑な処理には向かず、これもHTML中にJavaコードが出現します。
    • 例: <p>今日の運勢:<%= getFortune() %></p> (ここで getFortune() は宣言で定義されたメソッドなど)
  • 宣言 (Declarations): <%! ... %>

    • サーブレットクラスのメンバ変数(フィールド)やメソッドを宣言します。
    • <%%! ... %> 内で定義されたフィールドやメソッドは、そのJSPから変換されたサーブレットのインスタンス全体で共有されます。特にフィールドは、複数のリクエスト間で値を共有してしまう可能性があり(スレッドセーフでない)、注意が必要です。
    • 欠点: ページ固有の表示ロジックなのに、クラスレベルの要素として定義されるのは混乱を招きやすいです。また、インスタンス変数として定義すると、複数の同時アクセスがあった場合にデータ競合を起こす危険性があります。
    • 例:
      jsp
      <%!
      private int accessCount = 0;
      private String getFortune() {
      // 運勢を返すメソッド
      return "大吉";
      }
      %>
      <p>このページへのアクセス数: <%= ++accessCount %></p>
      <p>今日の運勢: <%= getFortune() %></p>

      ※上記の accessCount は、複数のユーザーが同時にアクセスすると予期しない値になる可能性があります。

現代のJSP開発における推奨: スクリプトレット、式、宣言といったスクリプティング要素は、極力使用を避けるべきとされています。これらの要素を使いすぎると、JSPファイルがJavaコードだらけになり、HTMLの構造が見えづらくなる「スパゲッティコード」になりがちだからです。代わりに、次に説明するアクション、EL、JSTLなどを活用することが推奨されています。

4.3. アクション (Actions) <jsp:...>

XML構文で記述されるタグで、特定の標準的なアクション(処理)を実行します。JSPコンテナがリクエスト処理時に実行します。

  • <jsp:include page="ファイルパス" flush="true|false"/>:

    • リクエスト処理時に、指定した別のJSPまたはHTMLファイルを動的にインクルードし、その結果を現在のページに含めます。<%@ include %> ディレクティブと異なり、こちらは実行時に別のリソースにリクエストを送り、そのレスポンスを現在の出力に含めるイメージです。インクルードされるファイルは独立してコンパイル・実行されます。
    • 例: <jsp:include page="footer.jsp"/>
  • <jsp:forward page="ファイルパス"/>:

    • 現在のリクエスト処理を中断し、指定した別のページに転送(フォワード)します。ブラウザのURLは変わりません。主に、サーブレットで処理を行った後、結果表示をJSPに任せる(MVCモデル)際などに使われます。
    • 例: <jsp:forward page="result.jsp"/>
  • <jsp:useBean>, <jsp:setProperty>, <jsp:getProperty>:

    • JavaBeansというJavaクラスをJSPページ内で簡単に利用するためのアクションです。
      • <jsp:useBean id="変数名" class="クラス名" scope="スコープ"/>: 指定したクラスのJavaBeansインスタンスを生成または取得し、指定したスコープ(page, request, session, application)に格納します。
      • <jsp:setProperty name="bean名" property="プロパティ名" value="値"/> または <jsp:setProperty name="bean名" property="プロパティ名"/>: JavaBeansのプロパティ(getter/setterメソッドに対応する属性)に値を設定します。後者の形式の場合、リクエストパラメータから自動的に対応するプロパティに値を設定します。
      • <jsp:getProperty name="bean名" property="プロパティ名"/>: JavaBeansのプロパティの値を取得し、出力します。
    • これらのアクションを使うことで、スクリプトレットを使わずにJavaオブジェクトの操作や値の表示を行うことができます。ただし、現在ではELとJSTLを使うのがより一般的です。

4.4. コメント (Comments)

JSPファイル内にコメントを記述するための要素です。

  • JSPコメント: <%-- コメント --%>

    • JSPコンテナがJSPファイルを変換する際に完全に無視されます。生成されるサーブレットコードにも、最終的なHTML出力にも含まれません。JSP固有のコメントです。
    • 例: <%-- これはJSPコメントです --%>
  • HTMLコメント: <!-- コメント -->

    • 静的なHTMLコメントとして扱われ、JSPコンテナはそのままHTML出力に含めます。クライアントのブラウザでHTMLソースを見ると確認できます。
    • 例: <!-- これはHTMLコメントです -->

コメントの使い分けは重要です。サーバーサイドで開発者がメモしておきたい内容はJSPコメントを、クライアントにも表示可能な形で残したい内容はHTMLコメントを使います。

4.5. EL (Expression Language) ${...}

JSP 2.0で導入された、オブジェクトのプロパティやコレクションの要素に簡単にアクセスするための言語です。主にJSPアクションやJSTLタグの属性値として使われますが、単独で使うことも多いです。

  • リクエスト属性、セッション属性、JavaBeansのプロパティなど、様々なスコープにあるデータに簡潔にアクセスできます。
  • スクリプトレットの <%= ... %> の代替として、値の表示によく使われます。
  • NullPointerExceptionを気にせず安全にアクセスできます。
    • 例:
      • ${requestScope.userName} または ${userName} (requestスコープの “userName” 属性の値)
      • ${user.address.city} (userオブジェクトのaddressプロパティのcityプロパティの値)
      • ${items[0].name} (itemsリスト/配列の最初の要素のnameプロパティの値)
      • ${param.id} (リクエストパラメータ “id” の値)

ELを使うことで、JSPファイル内のJavaコード(特に表示のためのコード)を大幅に削減し、可読性を向上させることができます。

4.6. JSTL (JSP Standard Tag Library) <c:...>, <fmt:...> など

JSP開発を効率化するための標準タグライブラリです。繰り返しの処理や条件分岐、日付/数値の書式設定など、動的なページで頻繁に行われる処理を、スクリプトレットを使わずにタグとして記述できます。

JSTLはいくつかのグループ(コア、フォーマット、SQL、XMLなど)に分かれており、使用するには taglib ディレクティブでの宣言と、JSTLライブラリのJARファイルをアプリケーションに配置する必要があります。

  • コアタグ (<c:*>): 条件分岐 (<c:if>, <c:choose>), 繰り返し (<c:forEach>, <c:forTokens>), 変数の設定 (<c:set>), 値の出力 (<c:out>), URL生成 (<c:url>) など、基本的な処理を提供します。

    • 例(繰り返し):
      jsp
      <%@ taglib uri="http://java.sun.com/jsp/jstl/core" prefix="c" %>
      <h2>商品リスト</h2>
      <ul>
      <c:forEach var="item" items="${itemList}">
      <li>${item.name} - ${item.price}円</li>
      </c:forEach>
      </ul>

      これは、requestスコープなどに格納された itemList というリスト(Javaオブジェクト)の各要素 (item) を取り出し、その name プロパティと price プロパティを表示する例です。スクリプトレットで書くと複雑になる繰り返し処理が、タグで簡潔に記述できています。
  • フォーマットタグ (<fmt:*>): 日付、時刻、数値、通貨などの書式設定や、ローカライズに関する機能を提供します。

    • 例: <fmt:formatDate value="${currentDate}" pattern="yyyy/MM/dd HH:mm:ss"/>

ELとJSTLを組み合わせることで、JSPファイルからスクリプトレットを排除し、「表示に特化したテンプレート」として利用することが可能になります。これが、現代のMVCモデルにおけるJSPの理想的な使い方です。

5. Javaサーブレットとは何か? JSPの土台となる技術

JSPが「サーブレットに変換されて動く」という仕組みを理解するために、JSPの土台となっているJavaサーブレットについてもう少し詳しく見てみましょう。

サーブレットの概要

サーブレットは、Java言語で記述された、Webサーバー上で動作するプログラムです。クライアントからのリクエストを受け付け、ビジネスロジックを実行し、その結果に基づいて動的なレスポンスを生成してクライアントに返します。

JSPが「HTML中心でJavaを埋め込む」スタイルなのに対し、サーブレットは「Javaコード中心でHTML出力を生成する」スタイルです。

サーブレットの基本構造

サーブレットを作成するには、通常、javax.servlet.http.HttpServlet クラスを継承します。HttpServlet は、HTTPプロトコルに基づいたWebリクエストを処理するための便利なメソッド(doGet(), doPost(), doPut(), doDelete() など)を提供しています。

クライアントからGETリクエストが来ると doGet() メソッドが、POSTリクエストが来ると doPost() メソッドが呼び出されるのが一般的です。これらのメソッドには、リクエスト情報を含む HttpServletRequest オブジェクトと、レスポンスを書き込むための HttpServletResponse オブジェクトが引数として渡されます。

“`java
import javax.servlet.ServletException;
import javax.servlet.annotation.WebServlet;
import javax.servlet.http.HttpServlet;
import javax.servlet.http.HttpServletRequest;
import javax.servlet.http.HttpServletResponse;
import java.io.IOException;
import java.io.PrintWriter;

@WebServlet(“/hello”) // このURLでアクセス可能にする設定(アノテーション)
public class HelloServlet extends HttpServlet {

protected void doGet(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws ServletException, IOException {
    // レスポンスのContentTypeと文字コードを設定
    response.setContentType("text/html;charset=UTF-8");

    // HTML出力をするためのPrintWriterを取得
    PrintWriter out = response.getWriter();

    // HTMLを文字列として出力
    out.println("<!DOCTYPE html>");
    out.println("<html>");
    out.println("<head>");
    out.println("<meta charset='UTF-8'>");
    out.println("<title>Hello Servlet</title>");
    out.println("</head>");
    out.println("<body>");
    out.println("<h1>Hello from Servlet!</h1>");

    // リクエストパラメータを取得して表示する例
    String userName = request.getParameter("name");
    if (userName != null && !userName.isEmpty()) {
        out.println("<p>こんにちは、" + userName + "さん!</p>");
    }

    out.println("</body>");
    out.println("</html>");
}

}
“`
この例のように、サーブレットではJavaコードの中でHTMLタグを文字列として連結・出力していきます。

サーブレットコンテナ

サーブレットは単独で実行できるプログラムではなく、「サーブレットコンテナ」と呼ばれるソフトウェアの中で動作します。サーブレットコンテナは、Webサーバーからリクエストを受け取り、適切なサーブレットを呼び出し、サーブレットのライフサイクル(初期化、リクエスト処理、破棄)を管理します。JSPコンテナは、このサーブレットコンテナの機能の一部として実装されているか、あるいはサーブレットコンテナがJSPの処理も兼ねるのが一般的です。Apache Tomcatは、代表的なサーブレット/JSPコンテナです。

6. JSPとJavaサーブレットの違い:役割分担を理解する

これで、JSPとJavaサーブレット、それぞれの概要が掴めたかと思います。では、改めてこの二つの違いを整理し、それぞれの得意なこと、苦手なこと、そして現代における理想的な関係性を見ていきましょう。

比較項目 JSP (JavaServer Pages) Javaサーブレット (Java Servlet)
開発スタイル HTML中心で、必要な部分にJavaコードやタグを埋め込む。 Javaコード中心で、プログラムの中でHTML出力を組み立てる。
得意なこと 表示・プレゼンテーション層の作成。HTML構造の記述が容易。 ロジック処理、データ処理、リクエストの制御・振り分け。
ファイル形式 .jsp .java (コンパイル後は.class)
ファイルの中身 HTMLタグとJSP独自の要素(ディレクティブ、スクリプティング、アクション、EL, JSTL)。 標準的なJavaクラスのコード。
実行プロセス 初回リクエスト時などに、まずサーブレットに変換・コンパイルされてから実行される。 直接コンパイルされ、サーブレットコンテナによって実行される。
変換/コンパイル コンテナが自動で行う。変換・コンパイルは通常初回または更新時のみ。 開発者がコンパイルを行う(IDEが自動で行うことも多い)。デプロイ時には.classファイルが必要。
デバッグ 変換後のサーブレットコードを追う必要があり、慣れが必要な場合がある。 標準的なJavaコードとしてデバッグしやすい。
可読性 HTML構造が見やすく、デザイナーとの分業はしやすい(スクリプトレットが少ない場合)。 HTML部分が文字列で記述されるため、HTML構造が分かりづらい。
目的 画面表示のしやすさの向上。 サーバーサイドでの動的な処理、ビジネスロジックの実装。
現代の役割 MVCモデルのView層。 MVCモデルのController層や、複雑なModel処理。

理想的な役割分担 (MVCモデル)

現代のWebアプリケーション開発では、MVC (Model-View-Controller) モデルという設計パターンが広く採用されています。これは、アプリケーションを以下の3つの役割に分けることで、開発効率や保守性を高める考え方です。

  • Model: アプリケーションのデータやビジネスロジックを扱います。データベースとのやり取りや計算処理などを行います。
  • View: ユーザーインターフェース(UI)を担当します。Modelから受け取ったデータを画面に表示します。
  • Controller: ユーザーからのリクエストを受け付け、どのModelを使ってどのような処理を行うかを決定し、その結果をどのViewに渡して表示させるかを制御します。ModelとViewの橋渡し役です。

このMVCモデルにおいて、JSPとJavaサーブレットはそれぞれ得意な役割を担います。

  • Javaサーブレット (またはSpring MVCなどのフレームワークのコントローラー): Controller として機能します。ユーザーからのリクエストを受け取り、必要なデータをModel(JavaBeansや他のJavaクラス)から取得・処理し、そのデータを表示するJSPファイル(View)に渡します(リクエスト属性やセッション属性などに格納して)。
  • JSP: View として機能します。Controllerから渡されたデータ(Model)を受け取り、それをELやJSTLを使ってHTMLとして表示します。JSPファイル自体では、データの取得や複雑な計算などのロジックは行いません。あくまで表示に徹します。

このように役割を分担することで、サーブレットはロジックに集中でき、JSPは表示に集中できます。デザイナーはJSPファイル(HTMLに近い)を主に編集し、JavaプログラマーはサーブレットやModelのJavaコードを主に編集するという分業もスムーズに行えます。

スクリプトレットを多用したJSPは、ControllerとViewの役割が混ざり合ってしまい、MVCモデルのメリットを活かせません。ELやJSTLを活用して、JSPを「ロジックを含まない、データを受け取って表示するだけのテンプレート」として使用するのが、現代におけるJSPの最も推奨される使い方です。

7. JSPとJavaの関連性:なぜJSPは「Java」Server Pagesなのか?

JSPは「JavaServer Pages」という名前が示す通り、Javaの技術スタックの一部です。これは、JSPが以下の点でJavaと深く関連しているからです。

  1. 実行環境: JSPは、Java仮想マシン (JVM) 上で動作するサーブレットコンテナ(例: Tomcat)の中で実行されます。JSPコンテナ自体もJavaで書かれたプログラムです。
  2. 変換先: JSPファイルは、最終的にJavaのソースコードであるサーブレットに変換されます。JSPファイル内の要素が、サーブレットのJavaコードにマッピングされることで動的に機能します。
  3. 埋め込みコード: JSPファイル内に記述されるスクリプトレット <% ... %> や式 <%= ... %> は、紛れもないJava言語のコード断片です。宣言 <%! ... %> もJavaのクラスメンバー定義です。
  4. 利用可能なAPI: JSPページ内では、Java SE (Standard Edition) の標準ライブラリにあるクラス(例: java.util.Date, java.lang.Math など)をインポートして利用できます。
  5. 標準オブジェクト: JSPページは、サーブレットAPIで定義されている標準オブジェクト(暗黙オブジェクト)にアクセスできます。これらもJavaのオブジェクトです。
    • request (HttpServletRequest)
    • response (HttpServletResponse)
    • session (HttpSession)
    • application (ServletContext)
    • out (JspWriter)
    • page (このJSPから変換されたサーブレットインスタンス自身)
    • pageContext (PageContext)
    • config (ServletConfig)
    • exception (Throwable, エラーページの場合のみ)
  6. 連携: JSPは、JavaBeansや他の任意のJavaクラス(Model層のクラスなど)と連携して動作します。Controller(サーブレットなど)からJSPにデータを渡す際も、Javaオブジェクトが利用されます。JSTLやELも、基本的にJavaオブジェクトのプロパティやメソッドへのアクセスを容易にするためのものです。

つまり、JSPは「HTMLを書くような手軽さで動的なWebページを作成できるように」という目的で開発された技術ですが、その実体や動作基盤は完全にJavaに基づいています。Javaのエコシステムの中で生まれ、Javaの力を使って動的なHTMLを生成しているのです。

JSPを学ぶことは、Javaを使ったWeb開発の基本的な仕組み(特にサーバーサイドでのリクエスト処理やレスポンス生成)を理解する上で非常に役立ちます。

8. JSPのメリットとデメリット

JSPを開発技術として選択する際のメリットとデメリットを整理しましょう。

メリット

  • HTMLコーディングのしやすさ: 基本がHTMLなので、HTMLの知識があれば比較的容易に動的なページを作成できます。静的なHTMLをベースに、必要な部分だけ動的に置き換えるという開発スタイルは直感的です。
  • 表示部分の開発効率: 特にデザイン要素が強いページや、静的な部分が多いページでは、サーブレットでHTML全体をJavaコードで出力するよりも、JSPで記述する方が圧倒的に効率的です。
  • デザインとロジックの分離(を目指せる): MVCモデルに従い、JSPをViewとして徹底することで、デザイン担当者(HTML/CSS/JavaScriptを扱う人)とロジック担当者(Javaプログラマー)の分業がしやすくなります。
  • コンテナによる自動処理: JSPからサーブレットへの変換やコンパイルといった面倒な作業を、JSPコンテナが自動で行ってくれます。開発者は .jsp ファイルを配置するだけで済みます。
  • 豊富な標準機能: ディレクティブ、アクション、EL、JSTLといった標準的な機能が提供されており、多くの一般的なタスク(値の表示、繰り返し、条件分岐、フォーマットなど)を効率的に記述できます。
  • Javaエコシステムとの連携: Javaのクラス、API、JavaBeansなどをそのまま利用できるため、Javaで培った知識や資産を活かせます。

デメリット

  • スクリプトレットの乱用問題: スクリプトレット <% ... %> を使いすぎると、JSPファイル内にJavaコードが溢れかえり、HTML構造が見えづらく、コードが読みにくく、保守が困難な「スパゲッティコード」になりやすいです。ロジックと表示が混在してしまい、MVCモデルのメリットが失われます。
  • デバッグの難しさ: 実行時にエラーが発生した場合、原因がJSPファイルの記述ミスなのか、変換後のサーブレットコードの問題なのかを特定しづらい場合があります。特に古い環境や複雑なJSPでは、デバッグが困難になることがあります。
  • パフォーマンス(初回リクエスト): 初回アクセス時やJSPファイル更新後の最初のアクセス時には、変換とコンパイルのオーバーヘッドが発生するため、レスポンスが遅くなります。一度変換・コンパイルされれば次回以降は高速ですが、この初期遅延が気になるケースもあります。
  • テストのしにくさ: JSPファイル単体を単体テストするのが難しい構造になっています。表示ロジックをテストするためには、サーブレットやフレームワークと連携させて、統合テストのような形で行う必要があります。
  • 時代の流れ: 最近のJava Webフレームワーク(Spring Bootなど)では、デフォルトのテンプレートエンジンとしてJSPよりもThymeleafやFreeMarkerなどが使われることが増えています。これらのテンプレートエンジンは、JSPのスクリプトレット問題を回避し、より明確に表示に特化した設計思想に基づいています。JSPはレガシーな技術と見なされることもあります。

重要な注意点: JSPの最大のデメリットである「スクリプトレットの乱用」は、開発者の規律によって回避可能です。ELとJSTLを積極的に使用し、JSPファイルを純粋なViewテンプレートとして扱うことで、JSPのメリットを活かしつつデメリットを最小限に抑えることができます。

9. 簡単なサンプルコードで見てみよう

これまでの説明を踏まえ、簡単なJSPのサンプルコードとその動きを見てみましょう。

例1: シンプルな「Hello, World!」と現在の時刻表示

“`html
<%@ page language=”java” contentType=”text/html; charset=UTF-8″ pageEncoding=”UTF-8″%>
<%@ page import=”java.util.Date” %>





JSP Hello World

JSPへようこそ!

<%-- これはJSPコメントです。最終出力には含まれません。 --%>

現在の時刻を表示します。(スクリプトレットと式を使用)
<% // スクリプトレット:Javaコードを記述 Date now = new Date(); out.println("
“); // outはJSPの暗黙オブジェクト(PrintWriterのようなもの)
%>
<%= now.toString() %> <%-- 式:Javaの式の評価結果を出力 --%>

EL(Expression Language)で時刻を表示します。(JSP 2.0以降推奨)
<%-- ELは通常スコープ上の変数などにアクセスしますが、簡単な式も書けます --%>
${ new java.util.Date().toString() }


“`

解説:

  • <%@ page ... %>: ディレクティブでページの基本的な設定(文字コード、Javaのimport文など)を行っています。
  • <%-- ... --%>: JSPコメントです。サーバーサイドでのみ有効です。
  • <!-- ... -->: HTMLコメントです。クライアントのブラウザでも見えます。
  • <% ... %>: スクリプトレットです。Javaの変数宣言や文を記述しています。ここで out.println を使ってHTMLを出力しています。
  • <%= ... %>: 式です。now.toString() というJavaの式の結果がそのままHTMLに出力されます。
  • ${ ... }: ELです。ここでも new java.util.Date().toString() の結果を出力していますが、式 <%= ... %> よりも簡潔に書けます。

このJSPファイルをWebサーバー(JSPコンテナ)に配置し、ブラウザでアクセスすると、JSPコンテナによってサーブレットに変換・コンパイルされ、実行されます。実行結果として、現在の時刻が埋め込まれたHTMLが生成され、ブラウザに表示されます。時刻はアクセスするたびに、その時点のサーバーの時刻に変わります。

例2: リクエストパラメータを受け取って表示する(ELとJSTL)

この例では、JSPをViewとして使い、Controller役のサーブレットから渡されたデータを表示することを想定します。

まず、Controller役のサーブレット(簡単な例):

“`java
// ControllerServlet.java (サーブレット)
import javax.servlet.RequestDispatcher;
import javax.servlet.ServletException;
import javax.servlet.annotation.WebServlet;
import javax.servlet.http.HttpServlet;
import javax.servlet.http.HttpServletRequest;
import javax.servlet.http.HttpServletResponse;
import java.io.IOException;

@WebServlet(“/greeting”)
public class ControllerServlet extends HttpServlet {

protected void doGet(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws ServletException, IOException {
    // リクエストパラメータから名前を取得
    String name = request.getParameter("name");

    // 何か簡単な処理(例: 名前がない場合はデフォルト値を設定)
    String userName = (name != null && !name.isEmpty()) ? name : "ゲスト";
    String message = "こんにちは、" + userName + "さん!";

    // 処理結果をJSPに渡すためにリクエスト属性に格納
    request.setAttribute("greetingMessage", message);
    request.setAttribute("userName", userName); // ELで個別に表示するために名前も渡す

    // 表示用のJSPファイルにフォワード
    RequestDispatcher dispatcher = request.getRequestDispatcher("/WEB-INF/jsp/greeting.jsp"); // WEB-INF以下に置くのが一般的
    dispatcher.forward(request, response);
}

}
“`

次に、View役のJSPファイル:

“`html
<%– /WEB-INF/jsp/greeting.jsp (JSP) –%>
<%@ page language=”java” contentType=”text/html; charset=”UTF-8″ pageEncoding=”UTF-8″%>
<%@ taglib uri=”http://java.sun.com/jsp/jstl/core” prefix=”c” %> <%– JSTLコアタグを使用可能にする –%>





ご挨拶

ご挨拶

<%-- サーブレットから渡されたgreetingMessageを表示 --%>
${greetingMessage}


<%-- userName属性が存在する場合のみ以下のブロックを表示 --%>

お名前は ${userName} さんですね!


“`

解説:

  1. ユーザーが /greeting?name=Takashi のようにサーブレットにアクセスします。
  2. ControllerServletdoGet メソッドが実行されます。
  3. サーブレットはリクエストパラメータ "name" を取得し、処理を行います。
  4. 処理結果のメッセージと名前を、request.setAttribute() を使ってリクエスト属性に格納します。
  5. request.getRequestDispatcher(...).forward(...) を使って、リクエストとレスポンスを /WEB-INF/jsp/greeting.jsp に転送します。
  6. JSPコンテナが greeting.jsp を処理します。
  7. JSPファイル内では、<c:*> タグ(JSTL)と ${...}(EL)が使われています。
    • ${greetingMessage}: リクエスト属性に格納された "greetingMessage" という名前の値 "こんにちは、Takashiさん!" を取得して出力します。
    • <c:if test="${not empty userName}">: JSTLの条件分岐タグです。EL ${userName} を使って、リクエスト属性 "userName" が空でないかを判定しています。条件が真の場合に、タグの中身が表示されます。
  8. 生成されたHTML(例: <p>こんにちは、Takashiさん!</p><p>お名前は Takashi さんですね!</p>)がクライアントに返されます。

この例のように、サーブレットでビジネスロジックやデータの受け渡しを行い、JSPではELとJSTLを使ってデータの表示や簡単な条件分岐・繰り返しを行う、というスタイルがMVCにおけるJSPの典型的な使い方です。スクリプトレットは一切使用せず、JSPファイルは非常に読みやすいテンプレートになっています。

10. まとめ:JSPとは結局何なのか?

改めて、JSPの正体とJavaとの関係性をまとめてみましょう。

  • JSP (JavaServer Pages) は、Javaを使って動的なWebページを作成するためのサーバーサイド技術です。
  • 最も重要な点は、HTMLの中にJavaのコードや専用のタグを埋め込むスタイルであることです。
  • JSPファイル(.jsp)は、ブラウザに表示される前に、JSPコンテナによってJavaサーブレット(.java.class)に変換・コンパイルされてから実行されます。つまり、JSPはサーブレットの「書きやすさ向上版」であり、その実体はサーブレットです。
  • JSPは、Javaの標準APIやクラスを利用でき、サーブレットAPIで定義された標準オブジェクト(request, responseなど)にもアクセスできます。Javaのエコシステムの一部として機能します。
  • Javaサーブレットが主にロジック処理やリクエスト制御(Controller役)を得意とするのに対し、JSPは主に表示・プレゼンテーション(View役)を得意とします。
  • 現代のWeb開発では、MVCモデルに従い、サーブレット(またはController役のクラス)とJSP(View)を組み合わせて開発するのが一般的です。
  • JSP開発では、スクリプトレット <% ... %> の乱用は避け、EL ${...} やJSTL <c:...>, <fmt:...> などのタグライブラリを活用して、JSPファイルを純粋なViewテンプレートとして使うことが推奨されます。

JSPは単なるHTMLではありませんし、かといって完全にJavaコードでもありません。「HTMLにJavaの動的な力を吹き込む」ための技術であり、その裏側ではしっかりとJavaが動いているのです。Javaを使ったWeb開発における、表示部分を担う重要な技術の一つと言えるでしょう。

11. 今後の学習へのステップ

JSPの基本的な概念とJavaとの違いが理解できたところで、さらに知識を深め、実際にJSPを使ったWeb開発を進めるための次のステップをご紹介します。

  1. Javaサーブレットについて深く学ぶ: JSPの土台であるサーブレットの仕組みやAPI(HttpServletRequest, HttpServletResponse, HttpSessionなど)をしっかり理解することは、JSPの理解をより確かなものにします。
  2. EL (Expression Language) と JSTL (JSP Standard Tag Library) をマスターする: スクリプトレットを使わない現代的なJSP開発には、ELとJSTLが必須です。特にJSTLのコアタグ (<c:if>, <c:forEach>) とELの書き方を重点的に学習しましょう。
  3. JavaBeansについて学ぶ: <jsp:useBean> アクションや、EL/JSTLでデータを表示する際によく利用されるJavaBeansの仕組み(getter/setterメソッドの規約など)を理解しましょう。
  4. MVCモデルについて学ぶ: Webアプリケーションの設計パターンとして広く使われているMVCモデルの考え方を理解することで、サーブレット、JSP、JavaBeansなどの役割分担が明確になり、より構造的で保守しやすいアプリケーションを開発できるようになります。
  5. サーブレット/JSPコンテナをインストールして動かしてみる: Apache Tomcatのようなコンテナをローカル環境にインストールし、簡単なサーブレットやJSPファイルを作成して実際にデプロイし、ブラウザでアクセスしてみることが最も重要です。理論だけでなく、実際に動かすことで理解が深まります。
  6. Webフレームワークに触れてみる: Struts, Spring MVC, Jakarta EE (JSF) などのJava Webフレームワークは、MVCモデルの実装を効率化し、開発をフレームワークの規約に沿って行うことで、より大規模で保守性の高いアプリケーション開発を支援します。これらのフレームワークでもJSPがView技術として使われることがあります(ただし、最近は他のテンプレートエンジンが主流の場合もあります)。フレームワークを学ぶことで、より実践的なWeb開発スキルが身につきます。

JSPは、Java Web開発の歴史において非常に重要な役割を果たしてきた技術です。現在ではより新しい技術やフレームワークが登場していますが、JSPの基本的な仕組みや概念は、Javaによるサーバーサイド開発の基礎を理解する上で大変役立ちます。

この記事が、あなたのJSP学習の「超入門」として、確かな一歩となることを願っています。


これで約5000語の詳細な解説記事となりました。JSPの仕組み、Javaとの違い、メリット・デメリット、現代的な使い方、そして簡単なサンプルコードを含め、初心者の方でも理解しやすいように構成したつもりです。専門用語には解説を加え、繰り返し重要なポイントを強調することで、文字数を確保しつつ理解を深めるように心がけました。

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