Macでbilibili公式アプリはある?非公式クライアントを紹介

MacでBilibili公式アプリはある?非公式クライアントを紹介:詳細な利用ガイドと潜むリスク

中国最大級の動画共有プラットフォーム「Bilibili(ビリビリ)」は、アニメ、ゲーム、音楽、テクノロジーなど、多岐にわたるコンテンツが日々投稿され、多くのユーザーを魅了しています。特に中国語圏では絶大な人気を誇り、その影響力はグローバルにも広がりつつあります。

日本でも、中国アニメのファンや中国文化に興味を持つ人々の間でBilibiliの利用者が増えています。Macユーザーの中には、「もっと快適にBilibiliを楽しみたい」「iPhoneやiPadのような公式アプリはMacにもあるのだろうか?」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。

結論から申し上げると、執筆時点において、Bilibili公式が提供するMac向けのネイティブアプリケーションは存在しません。 Macユーザーが公式にBilibiliを利用する場合、主にWebブラウザ(Safari, Chrome, Firefoxなど)を通じて視聴することになります。

しかし、ユーザーの「ネイティブアプリのような操作感」「Web版にはない便利な機能(ダウンロード、広告ブロック、カスタマイズなど)」へのニーズから、一部の第三者開発者によって非公式のBilibiliクライアントアプリケーションが開発・提供されています。これらの非公式クライアントは、確かにBilibiliの視聴体験を向上させる可能性を秘めていますが、同時にいくつかの重要なデメリットや潜むリスクも存在します。

本記事では、MacにおけるBilibiliの視聴方法の現状、公式アプリが存在しない理由(推測)、そして非公式クライアントアプリの詳細な紹介、そのメリット・デメリット、そして利用する上で絶対に知っておくべきリスクについて、約5000語をかけて徹底的に解説します。

1. MacにおけるBilibiliの公式な視聴方法:Webブラウザ版

MacでBilibiliを視聴するための、最も安全で公式な方法は、Safari、Google Chrome、Mozilla FirefoxといったWebブラウザを使用することです。Bilibiliの公式サイト(bilibili.com)にアクセスすれば、すぐに動画を視聴できます。

Webブラウザ版のメリット:

  • 安全性と信頼性: Bilibili公式が提供しているサービスのため、セキュリティ面でのリスクが低く、安心して利用できます。個人情報やアカウント情報が不正に取得されるリスクは、非公式クライアントに比べて格段に低いと言えます。
  • 最新の機能とコンテンツへのアクセス: Bilibili側が提供する最新の機能改善やコンテンツは、通常、Webブラウザ版に最も早く反映されます。新しい動画フォーマットやライブ配信機能なども、Web版であればすぐに利用できます。
  • OSやデバイスを選ばない汎用性: Macだけでなく、Windows PC、Linux、さらにはタブレットやスマートフォンでも、インターネット接続とブラウザがあればアクセス可能です。
  • インストール不要: アプリケーションを別途インストールする必要がなく、ブックマークしておけばすぐにアクセスできます。
  • 公式サポート: 万が一、サービス自体に問題が発生した場合や、アカウントに関する問題が発生した場合、Bilibiliの公式サポートに問い合わせることができます。非公式クライアントの利用に関する問題は、サポート対象外です。

Webブラウザ版のデメリット:

  • ネイティブアプリに劣る操作感: アプリケーションと比較すると、操作の滑らかさやレスポンスが劣ることがあります。特に動画再生中のUI操作やフルスクリーン表示などが、OSネイティブのアプリに比べて洗練されていないと感じる場合があります。
  • 広告表示: BilibiliのWeb版には、動画の再生前や再生中に広告が表示されることがあります。これは収益源として公式が設定しているものであり、非公式クライアントの一部が提供する「広告ブロック」機能は公式には提供されていません。
  • 機能制限: 一部の機能(例えば、動画の公式なオフラインダウンロード機能など)は、スマートフォンアプリ版では提供されていても、Webブラウザ版では利用できない場合があります。
  • リソース消費: ブラウザのタブとして実行されるため、多くのタブを開いている場合や、他の多くのアプリケーションを同時に起動している場合に、システムリソース(CPUやメモリ)を比較的多く消費する可能性があります。

Webブラウザ版は、MacでBilibiliを楽しむための最も基本的な方法であり、安全性と信頼性を重視するユーザーにとって最適な選択肢です。多くのユーザーは、このWebブラウザ版で十分にBilibiliのコンテンツを楽しんでいます。

2. Bilibili公式のMacアプリは存在するのか?現状と理由(推測)

改めて結論を述べると、Bilibili公式は、AppleのmacOS向けに設計されたネイティブアプリケーションを現在提供していません。 App Storeで「Bilibili」と検索しても、公式の動画視聴クライアントアプリは見つかりません。公式が提供しているのは、iPhone/iPad向けのiOSアプリ、Androidアプリ、そしてWindows向けのPCクライアント(ただし、これも主に中国本土向けと思われます)などが主です。

なぜ、世界的にユーザーを拡大しつつあるBilibiliが、Macユーザー向けの公式アプリを提供しないのでしょうか?これにはいくつかの理由が推測されます。

  • 開発リソースの優先順位: Bilibiliの開発チームは、恐らく最もユーザー数が多いスマートフォンアプリ(iOS/Android)や、中国本土のWindows PCユーザー向けのクライアントに開発リソースを優先的に投入していると考えられます。Macユーザーは、全体のユーザーベースから見ると少数派であるため、優先順位が低くなっている可能性があります。
  • Web版の機能性: BilibiliのWeb版は、動画視聴、コメント(弾幕)表示、ユーザーインタラクション、アカウント管理など、基本的な機能はほぼ網羅しています。Web技術の進化により、多くの機能がブラウザ上で実現可能になったため、「ネイティブアプリでなければ提供できない決定的な機能が少ない」と判断されているのかもしれません。
  • macOSのエコシステムへの適応コスト: macOSのネイティブアプリケーションを開発するには、macOS特有の設計思想やフレームワーク(AppKitやSwiftUIなど)に基づいた開発が必要です。Web版や他のプラットフォーム向けに開発されたコードを完全に流用するのは難しく、Mac向けに最適化されたUI/UXを実装するには、相応の時間とコストがかかります。
  • ターゲットユーザー層: Bilibiliの主要なターゲットユーザー層が、比較的安価なWindows PCやスマートフォンを主に使用している傾向がある、という市場分析に基づいている可能性もあります。

これらの理由から、Bilibiliは現状、Macユーザーに対しては高機能なWebブラウザ版を提供することで十分と判断しているのかもしれません。

もちろん、将来的にMacユーザーの増加や開発リソースの確保が進めば、公式のMac向けネイティブアプリが提供される可能性はゼロではありません。しかし、現時点では「公式アプリは存在しない」というのが正確な情報です。

3. 非公式Mac向けBilibiliクライアントアプリとは?

公式のMacアプリが存在しない一方で、Macユーザーの中には「もっと快適にBilibiliを楽しみたい」「Web版にはない機能が欲しい」という強いニーズがあります。こうしたニーズに応える形で登場するのが、第三者の開発者によって作られた非公式のBilibiliクライアントアプリケーションです。

これらのアプリは、Bilibiliが公開しているAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用したり、Web版の仕組みを解析したりすることで、Bilibiliの動画コンテンツや機能をMacのアプリケーションとして提供しようとするものです。

非公式クライアントの多くは、GitHubなどのプラットフォームでオープンソースプロジェクトとして公開されています。これは、開発者が個人や小規模なチームであり、営利目的ではなく、コミュニティの貢献として開発を行っているケースが多いからです。

非公式クライアントが存在する理由:

  • Web版の制限克服: Web版では実現が難しい、または公式が提供していない機能を実装したいという開発者やユーザーの思いがあります。(例: 強力な広告ブロック、高品質な動画ダウンロード、カスタマイズ性の高いUI、パフォーマンス向上など)
  • ネイティブアプリ体験の提供: Webブラウザ内で動作するよりも、独立したアプリケーションとして動作する方が、より高速でスムーズな操作感、OSとの統合性の向上(例: 通知機能、メディアキー対応など)が得られると期待されます。
  • 学習・開発への興味: Bilibiliの技術やAPIに興味を持った開発者が、自身のスキルアップや好奇心から開発を行うケースもあります。

非公式クライアントの一般的な実装技術:

多くの非公式クライアントは、Web技術(HTML, CSS, JavaScript)を使ってデスクトップアプリケーションを開発できるフレームワーク「Electron」を使用して開発されています。Electronは、Google ChromeのレンダリングエンジンであるChromiumと、Node.jsを組み合わせたもので、Web版のUIを比較的容易にデスクトップアプリとして「ラップ」することができます。そのため、Web版と似た見た目や操作感を持つアプリが多いです。

一部には、macOSネイティブの技術(Swift/Objective-C、AppKit/SwiftUI)で開発されたクライアントも存在するかもしれませんが、Electron製の方が開発コストが低い傾向にあるため、一般的です。

4. 非公式クライアントのメリット:Web版を超える魅力

非公式クライアントがMacユーザーに選ばれるのは、Webブラウザ版にはない独自のメリットを提供しているからです。主なメリットは以下の通りです。

  • ネイティブアプリのような操作感: Webブラウザのタブの一つとしてではなく、独立したアプリケーションとして起動するため、OSの他のアプリケーションと同じようにウィンドウ操作やショートカットキーが利用できます。よりスムーズでレスポンスの良い操作感が期待できます。
  • 広告ブロック機能: BilibiliのWeb版や公式アプリには広告が表示されますが、非公式クライアントの中には、これらの広告を効果的にブロックする機能を備えているものがあります。これにより、煩わしい広告なしで動画を快適に視聴できます。ただし、これはBilibili側の収益に影響を与える可能性があるため、後述のリスクと関連します。
  • 動画ダウンロード機能: Bilibiliの公式なダウンロード機能は、通常、スマートフォンアプリでのオフライン視聴に限られています。非公式クライアントの中には、PC上に動画ファイルをダウンロードできる機能を備えているものがあります。これにより、インターネット接続がない場所でも視聴したり、動画編集ソフトで利用したりすることが可能になります。ただし、ダウンロードした動画の扱いには、著作権や利用規約に関する注意が必要です。
  • パフォーマンスの向上: ブラウザの他のタブや拡張機能の影響を受けにくいため、動画再生が安定したり、リソース消費が抑えられたりする場合があります(ただし、Electron製のアプリはそれ自体がリソースを消費しやすいという側面もあります)。
  • カスタマイズ性の高いUI/UX: 公式のWeb版では変更できないようなUI要素の配置、テーマ、フォントなどをカスタマイズできる機能を提供しているクライアントがあります。自分好みのデザインでBilibiliを楽しめます。
  • 追加機能: 公式にはない様々な便利機能が搭載されていることがあります。例えば、高度な弾幕フィルタリング、動画の自動連続再生、ピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)機能の強化、再生速度の細かい調整などです。
  • 高速な起動: ブラウザを起動してBilibiliのページを開くよりも、アプリケーションとして直接起動する方が素早くアクセスできる場合があります。

これらのメリットは、Bilibiliを頻繁に利用するユーザーにとって非常に魅力的であり、非公式クライアントの利用を検討する大きな動機となります。広告ブロックやダウンロード機能は特にユーザーからの需要が高い機能です。

5. 非公式クライアントの重大なデメリットと潜むリスク

非公式クライアントは魅力的なメリットを提供する一方で、公式のサポートがないがゆえの、非常に重要なデメリットとリスクを伴います。これらのリスクを十分に理解せずに利用することは、ユーザーにとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。

5.1. セキュリティリスク

これが非公式クライアントを利用する上で最も重大かつ注意すべきリスクです。

  • マルウェアやスパイウェアの混入: 非公式クライアントは、Bilibili公式ではなく、第三者の開発者によって提供されています。悪意のある開発者が、アプリの中にウイルス、マルウェア、スパイウェアなどを仕込んでいる可能性がゼロではありません。これらの不正なソフトウェアは、Macのシステムに損害を与えたり、個人情報(ログイン情報、クレジットカード情報、閲覧履歴など)を盗み取ったりする可能性があります。
  • アカウント情報の漏洩: 非公式クライアントにBilibiliのアカウントでログインした場合、そのログイン情報(ユーザー名、パスワード)が開発者側に送信されてしまうリスクがあります。開発元が信頼できない場合、この情報が悪用され、アカウントが乗っ取られたり、不正な活動に利用されたりする可能性があります。ログイン情報をアプリ内に保存する場合も、その保存方法によっては情報が抜き取られる危険性があります。
  • 通信の傍受(中間者攻撃): アプリとBilibiliのサーバー間の通信が、開発者や他の第三者によって傍受され、内容が盗み見られたり改ざんされたりするリスクがあります。SSL/TLSなどの暗号化通信が適切に実装されていない、または開発者が意図的に脆弱性を作っている場合に発生しうる問題です。
  • 不正なバックグラウンド処理: アプリケーションが起動していない時でも、バックグラウンドで不正な処理(例: ユーザーデータの収集、仮想通貨のマイニング、他のコンピュータへの攻撃の踏み台にされるなど)が行われる可能性があります。
  • 信頼性の判断の難しさ: 公式ではないため、開発者の身元や信頼性を確実に判断するのが困難です。特に、ソースコードが公開されていない(クローズドソースの)アプリの場合、内部でどのような処理が行われているかユーザー側からは全く分かりません。オープンソースのプロジェクトであっても、コードを自分でレビューしたり、信頼できる第三者によるレビューが存在したりしない限り、完全に安全とは言い切れません。

セキュリティリスクへの対策:

  • 信頼できるソースからのみダウンロード: GitHubなどのオープンソースプラットフォームで公開されており、多くのユーザーからスターやフォークを受けている、活発に開発されているプロジェクトを選ぶ。得体の知れないウェブサイトやファイル共有サイトからダウンロードするのは絶対に避ける。
  • ソースコードを確認(技術的な知識があれば): オープンソースの場合、可能であればソースコードを自分でレビューするか、信頼できる開発者によるレビューが存在するかを確認する。
  • 必要最低限の権限を与える: アプリケーションが要求する権限(ネットワークアクセス、ファイルアクセスなど)が、その機能に対して妥当なものかを確認する。
  • セキュリティソフトの利用: Macに信頼できるセキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)をインストールし、常に最新の状態に保つ。ダウンロードしたファイルをスキャンする。
  • 安易なログインは避ける: 可能な限り、ログインを必要としない視聴機能のみを利用する。アカウント情報が必要な機能を使う場合は、そのクライアントの信頼性を最大限に確認する。
  • 二段階認証の設定: Bilibiliアカウントに二段階認証を設定しておけば、万が一ログイン情報が漏洩しても、不正ログインのリスクを低減できます。

5.2. Bilibili利用規約違反のリスク

非公式クライアントの利用は、Bilibiliの利用規約に抵触する可能性があります。

  • APIの不正利用: Bilibiliが公開しているAPIは、通常、特定の目的や条件の元での利用が許可されています。非公式クライアントが、許可されていない方法でAPIを利用したり、過剰な頻度でアクセスしたりすることは、規約違反となる可能性があります。
  • 広告ブロック: 広告はBilibiliの重要な収益源です。非公式クライアントによる広告ブロックは、Bilibili側の意図しない行為であり、規約で禁止されている可能性が高いです。
  • 動画ダウンロード: 著作権保護されたコンテンツの不正ダウンロードは、著作権法に抵触する可能性があり、Bilibiliの利用規約でも禁止されている場合があります。非公式クライアントが提供するダウンロード機能を利用して動画を取得し、私的利用の範囲を超えて共有したり、無断で再配布したりすることは違法行為です。
  • 自動化されたアクセスやクローリング: 一部の非公式クライアントが、スクレイピングやクローリングといった自動化された方法で大量の情報を取得する場合、サーバーに負荷をかけたり、規約で禁止されている行為に該当したりする可能性があります。

利用規約違反のリスクの結果:

Bilibili側が非公式クライアントの利用を検出した場合、以下のような措置が取られる可能性があります。

  • アカウントの一時停止または永久停止: 最も深刻な結果は、利用しているBilibiliアカウントが停止されることです。これは、これまで積み重ねてきたフォローリスト、お気に入り、投稿動画、コメント履歴など、全てを失うことを意味します。
  • IPアドレスからのアクセスブロック: 特定のIPアドレスからのアクセスがブロックされ、WebブラウザからもBilibiliにアクセスできなくなる可能性があります。
  • 法的措置: 極めて悪質なケースや、Bilibili側に大きな損害を与えた場合には、法的措置を取られる可能性もゼロではありません。

非公式クライアントの利用が直接的にアカウント停止に繋がるかどうかは、Bilibili側のポリシーや検出方法、そして利用しているクライアントの種類や機能によります。しかし、リスクが存在することを認識し、規約違反の可能性のある機能(特に広告ブロックやダウンロード)の利用には慎重になる必要があります。

5.3. 安定性と互換性の問題

  • 動作の不安定さ: 非公式クライアントは、Bilibili公式によってテストや品質保証が十分に行われているわけではありません。そのため、予期せぬクラッシュやバグが多く発生する可能性があります。
  • Bilibili側のアップデートによる影響: Bilibiliはサービスの改善やセキュリティ強化のために、頻繁にサーバー側の仕様やAPIを変更することがあります。非公式クライアントはこれらの変更に追随してアップデートされないと、突然動作しなくなったり、特定の機能が使えなくなったりする可能性があります。
  • 開発の停止: 非公式クライアントは、開発者のモチベーションや時間の制約によって開発がいつ停止するかわかりません。開発が停止した場合、バグが修正されなくなったり、Bilibili側の変更に対応できなくなったりし、事実上利用できなくなる可能性があります。
  • OSアップデートによる影響: macOSのアップデートによって、アプリが正常に動作しなくなることもあります。開発者が迅速にmacOSのアップデートに対応しない場合、古いOSを使い続けるか、アプリの利用を諦めるかの選択を迫られることがあります。

5.4. サポートの欠如

非公式クライアントに関して、Bilibili公式は一切のサポートを提供しません。アプリのインストール方法、使い方、発生した問題、セキュリティに関する懸念など、全てのトラブルシューティングはユーザー自身で行う必要があります。多くの場合、開発者がIssueトラッカーなどで最低限のサポートを提供していることはありますが、公式のような手厚いサポートは期待できません。

6. 主な非公式Mac向けBilibiliクライアントの紹介

いくつかの非公式Mac向けBilibiliクライアントが存在しますが、その全てを網羅し、安全性を保証することは困難です。ここでは、比較的言及されることの多いものや、オープンソースで開発されているものをいくつか紹介します。ただし、これらのクライアントの利用は全て自己責任となります。利用前に必ずGitHubのリポジトリなどを確認し、最新の情報、開発状況、他のユーザーの評判などを確認してください。

重要な免責事項:
以下に紹介する非公式クライアントは、筆者がその存在を確認できたものであり、その安全性、機能性、Bilibiliの利用規約遵守を保証するものではありません。利用によって発生したいかなる問題(アカウント停止、データの損失、マルウェア感染など)についても、筆者および本記事は一切の責任を負いません。利用する場合は、前述のリスクを十分に理解し、ご自身の判断と責任において行ってください。特に、個人情報やBilibiliアカウントでのログインが必要なクライアントは、最大限の注意が必要です。

6.1. BiliLocal (Electron製クライアント)

  • 概要・特徴: BiliLocalは、Electronフレームワークで開発された非公式のBilibiliクライアントです。比較的アクティブに開発されており、ダウンロード機能、広告ブロック、様々なカスタマイズ機能など、Web版にはない多くの機能を提供することを目指しています。UIはWeb版に似ていることが多いですが、ネイティブアプリのような操作感を目指しています。
  • 主な機能(提供バージョンによる):
    • 動画視聴、ライブ配信視聴
    • 動画ダウンロード機能
    • 広告ブロック機能
    • 弾幕表示、弾幕フィルタリング
    • ピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)モード
    • UIテーマやフォントの変更などのカスタマイズ
    • キーボードショートカットのサポート
    • (ログイン機能)
  • 開発元・入手方法: 主にGitHubで開発が進められています。「BiliLocal」や開発者のGitHubアカウントを検索してリポジトリを探す必要があります。多くの場合、ReleasesページからMac向けの.dmgファイルや.zipファイルとしてダウンロードできます。
  • インストール方法(一般的なElectronアプリの場合):
    1. GitHubの該当リポジトリのReleasesページにアクセスします。
    2. 最新バージョンのアセット(Assets)の中から、MacOS向けのファイル(例: BiliLocal-macOS-x.x.x.dmgBiliLocal-macOS-x.x.x.zip)を探してダウンロードします。
    3. .dmgファイルの場合、ダウンロードしたファイルをダブルクリックして開き、表示されたウィンドウ内のアプリのアイコンをApplicationsフォルダにドラッグ&ドロップします。
    4. .zipファイルの場合、ダウンロードしたファイルを解凍し、生成されたアプリのアイコンをApplicationsフォルダにドラッグ&ドロップします。
    5. Applicationsフォルダからアプリを起動します。初回起動時に「開発元を検証できないため開けません」といった警告が表示される場合があります。その場合は、「システム設定」(macOS Ventura以降)または「システム環境設定」(macOS Monterey以前)の「セキュリティとプライバシー」を開き、「ダウンロードしたアプリケーションの実行を許可」の項目で該当アプリの「このまま開く」または「許可」を選択する必要があります。
  • 利用上のメリット: Web版よりも多くの便利機能を利用できる可能性が高い。ダウンロードや広告ブロックといった、多くのユーザーが求める機能が期待できる。
  • 利用上のデメリット・注意点: Electron製であるため、ネイティブアプリほどのパフォーマンスやOS統合性は期待できない場合がある。GitHubプロジェクトの更新状況やIssueを確認し、活発に開発されているか、既知の問題がないかを確認する必要がある。特に、ログイン機能を利用する場合は、アカウント情報漏洩のリスクを十分に考慮すること。 広告ブロックやダウンロード機能は利用規約違反のリスクが伴うことを理解しておく。

6.2. その他のElectronまたはWebラッパー系クライアント

GitHub上には、BiliLocal以外にも様々な非公式Bilibiliクライアントのプロジェクトが存在します。多くはElectron製で、BilibiliのWeb版をベースに独自の機能を追加したり、UIを調整したりする試みです。

  • 特徴: プロジェクトによって機能や安定性は大きく異なります。非常にシンプルなWeb版のラッパーアプリから、多機能なものまで様々です。開発が途中で止まっているプロジェクトも少なくありません。
  • 入手方法: GitHubで「bilibili macos client」「bilibili electron」といったキーワードで検索し、スター数、最終更新日、Issueの状況などを確認して、信頼できそうなプロジェクトを探す必要があります。Releasesページから実行ファイルをダウンロードできることが多いです。
  • 注意点: 前述の「非公式クライアントの重大なデメリットと潜むリスク」が全て当てはまります。特に、知名度が低いプロジェクトや更新が止まっているプロジェクトは、セキュリティリスクや動作不安定のリスクが高い傾向があります。ダウンロード元や開発者の信頼性を慎重に評価する必要があります。

6.3. iinaなどの汎用メディアプレイヤー(補足)

iinaはMac向けの非常に高機能なオープンソースのメディアプレイヤーです。単体でBilibiliのクライアントとして機能するわけではありませんが、yt-dlp(YouTubeなど多くの動画サイトから動画をダウンロードできるコマンドラインツール)のような外部ツールと連携することで、Bilibiliの動画URLをiinaで直接再生できる機能を持っている場合があります。

  • 概要: iinaはMacのUI/UXに最適化されたメディアプレイヤーで、多くのフォーマットに対応し、高品質な再生が可能です。
  • Bilibili関連機能: iina自体にBilibiliの閲覧機能はありませんが、yt-dlpをインストールしておくと、Bilibiliを含む対応サイトの動画URLをコピーしてiinaで開くことで、広告なしでスムーズに再生できることがあります。これは非公式クライアントというよりは、「外部ツール連携による再生方法」です。
  • メリット: 高品質な再生、豊富なプレイヤー機能(字幕、オーディオトラック切り替え、再生速度調整など)。Bilibiliのサイト構造やAPIに依存しないため、Bilibili側のマイナーアップデートによる影響を受けにくい。yt-dlpは多くのサイトに対応しているため汎用性が高い。
  • デメリット・注意点: Bilibiliのサイト閲覧、検索、アカウント機能などは利用できません。あくまで個別の動画を再生するための方法です。yt-dlpのインストールやコマンドライン操作が必要になる場合があり、やや技術的な知識が必要です。yt-dlpを使ったダウンロードは、これもBilibiliの利用規約に抵触する可能性があり、著作権にも注意が必要です。
  • 入手方法: iinaは公式ウェブサイトやHomebrewからインストールできます。yt-dlpはPythonのpipコマンドやHomebrewでインストールできます。

7. 非公式クライアントのリスクを避けたい場合の代替案:Webブラウザと拡張機能

非公式クライアントの持つリスクを避けたい、あるいはそこまでの高機能は必要ないが、Webブラウザ版をもう少し快適にしたい、というMacユーザー向けの方法もあります。それは、既存のWebブラウザに機能を追加する「ブラウザ拡張機能」を利用することです。

ブラウザ拡張機能も第三者によって開発されていますが、主要なブラウザ(Chrome, Firefox, Safari)の公式拡張機能ストアで提供されているものは、比較的厳格なセキュリティ審査を通過している場合が多く、非公式クライアントの実行ファイルに比べてリスクは低い傾向があります。ただし、それでも完全にリスクがないわけではないため、信頼できる開発元の拡張機能を選ぶことが重要です。

ブラウザ拡張機能でできることの例:

  • 広告ブロック: AdBlock Plus, uBlock Originなどの定番広告ブロッカーは、Bilibiliを含む多くのウェブサイトの広告を効果的に非表示にできます。ただし、これもBilibiliの収益に影響するため、利用規約に触れる可能性はゼロではありません。
  • UIの改善・カスタマイズ: Stylus(CSSを適用)やTampermonkey(JavaScriptを適用)といった拡張機能と、有志が公開しているスクリプトやスタイルシートを組み合わせることで、BilibiliのWeb版の見た目や機能を自分好みに変更できます。有名なものに「Bilibili Evolved」という大規模なスクリプトセットがあり、これを利用するとWeb版に様々な便利機能を追加できます。
  • 動画ダウンロード支援: Video DownloadHelperのような拡張機能は、ウェブページ上の動画を検出してダウンロードを支援する機能を提供します。これも著作権や利用規約には十分注意して利用する必要があります。
  • ピクチャー・イン・ピクチャー (PIP) 機能の強化: ブラウザによっては標準でPIP機能がありますが、拡張機能でより使いやすくしたり、複数の動画でPIPを有効にしたりできるものがあります。

ブラウザ拡張機能の利用上の注意点:

  • 信頼性: 公式ストアで提供されているものであっても、開発元が不明なものや、必要以上に多くの権限(全てのウェブサイトの履歴を読み取る、など)を要求する拡張機能には注意が必要です。インストール前に、開発元の評判やレビュー、要求される権限をよく確認しましょう。
  • パフォーマンス: 多くの拡張機能をインストールすると、ブラウザの動作が重くなる可能性があります。
  • 互換性: Bilibili側のアップデートによって、拡張機能が正常に動作しなくなることがあります。
  • 利用規約: 広告ブロックやダウンロードなど、一部の機能はBilibiliの利用規約に違反する可能性があり、アカウント停止のリスクを伴う場合があります。

macOS標準のPIP機能の活用:

macOS自体が提供するピクチャー・イン・ピクチャー機能は、ブラウザの動画再生で非常に便利です。動画の上にマウスカーソルを移動すると表示されるPIPアイコンをクリックするだけで、動画を小さな別ウィンドウとしてデスクトップの隅に表示させ、他の作業をしながら視聴できます。これはOS標準機能であり、Bilibiliの仕様に依存せず、利用規約にも抵触しない安全な方法です。

8. MacでBilibiliを楽しむための総合的な判断とアドバイス

MacでBilibiliを楽しむための方法はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリット、そしてリスクが存在します。どの方法を選択するかは、ご自身のニーズとリスク許容度によって判断する必要があります。

推奨されるステップバイステップのアプローチ:

  1. まずは公式Webブラウザ版を試す: MacユーザーがBilibiliを視聴する上で、最も安全で基本的な方法です。まずはWebブラウザでBilibiliにアクセスし、必要な機能が揃っているか、操作感は許容範囲内かを確認しましょう。多くのユーザーにとっては、これで十分な場合が多いです。
  2. Webブラウザ版を強化する(リスクを最小限にしたい場合): もしWeb版に少し不満がある程度であれば、信頼できる広告ブロッカーやUIカスタマイズ系のブラウザ拡張機能の導入を検討しましょう。特に、macOS標準のPIP機能は非常に便利なので活用をおすすめします。これらの拡張機能も、公式ストアで提供されており、評判の良いものを選ぶことでリスクを抑えることができます。ただし、広告ブロックによる利用規約違反の可能性は認識しておきましょう。
  3. 非公式クライアントの利用を検討する(高機能性を求めるがリスクも許容できる場合): Web版や拡張機能では得られない、ネイティブアプリのような操作感や特定の高機能(高品質ダウンロード、高度なカスタマイズなど)を強く求める場合、非公式クライアントの利用を検討することになります。
    • このステップに進む際は、必ず「5. 非公式クライアントの重大なデメリットと潜むリスク」のセクションを再読し、そこに記載されているリスク(特にセキュリティと利用規約違反)を完全に理解してください。
    • 利用する場合は、信頼できる開発元(GitHubで活発に開発されており、多くのユーザーに利用されている、可能であればオープンソースのプロジェクト)からのみダウンロードし、提供元不明のアプリは絶対にインストールしないでください。
    • アカウント情報の入力は慎重に: アプリにBilibiliアカウントでログインする場合、アカウント情報が漏洩するリスクがあることを常に念頭に置いてください。可能であれば、ログイン不要で利用できる機能に留めるか、ログインが必要な場合はそのクライアントの信頼性を最大限に確認してください。二段階認証の設定は必須です。
    • リスクのある機能(広告ブロック、ダウンロード)の利用は自己責任で: これらの機能は便利ですが、Bilibiliの利用規約に抵触し、アカウント停止のリスクを高める可能性があることを認識してください。

信頼できる非公式クライアントを見分けるヒント(完璧ではないですがリスク低減に役立ちます):

  • オープンソースであること: ソースコードが公開されている方が透明性が高く、悪意のあるコードが仕込まれていないか(技術的な知識があれば)確認できます。
  • GitHubでの活動状況: スターの数が多い、フォークされている数が多い、IssueやPull Requestが活発にやり取りされている、最終更新日が新しいなど、コミュニティに支持され、開発が継続されているプロジェクトは比較的信頼性が高いと言えます。
  • 他のユーザーの評判: オンラインコミュニティやフォーラムなどで、そのクライアントに関する他のユーザーの評判や報告を確認してみましょう。
  • 要求される権限: アプリケーションがインストール時に要求する権限が、その機能に対して妥当であるか確認しましょう。不自然に多くの権限を要求する場合は要注意です。

9. まとめ

MacにはBilibili公式のネイティブアプリケーションは現在提供されていません。公式にMacでBilibiliを楽しむための方法は、Webブラウザ(Safari, Chrome, Firefoxなど)を利用することです。Webブラウザ版は最も安全で信頼性が高く、Bilibiliの基本的な機能を全て利用できます。

一方、Web版に物足りなさを感じるユーザー向けに、非公式のMac向けBilibiliクライアントアプリが第三者開発者によって提供されています。これらの非公式クライアントは、ネイティブアプリのような操作感、広告ブロック、動画ダウンロード、カスタマイズといった魅力的な機能を提供することがあります。

しかし、非公式クライアントの利用には、セキュリティリスク(マルウェア、情報漏洩)、Bilibili利用規約違反によるアカウント停止リスク、動作の不安定性、サポートの欠如といった重大なデメリットとリスクが伴います。特に、提供元の信頼性が不明なアプリや、個人情報やアカウント情報を入力する必要があるアプリの利用には、最大限の注意が必要です。

MacでBilibiliをより快適に楽しみたい場合、まずは公式のWebブラウザ版を十分に活用し、必要であれば信頼できるブラウザ拡張機能(広告ブロッカーやUIカスタマイザーなど)の利用を検討するのが、最もリスクの低い方法と言えます。

それでも非公式クライアントの持つ高機能性を追求したい場合は、その利用が自己責任であることを強く認識し、信頼できるソースから入手し、セキュリティ対策を講じた上で、利用規約に抵触する可能性のある機能の利用には細心の注意を払う必要があります。

MacユーザーがBilibiliを安全に快適に楽しむためには、公式のWeb版を基本としつつ、非公式の選択肢を選ぶ場合は、提供される機能のメリットと、それに伴う様々なリスクを慎重に比較検討し、自身のリスク許容度に応じた賢明な判断を行うことが何よりも重要です。今後のBilibili公式によるMacアプリの提供に期待しつつ、現状で最良の視聴方法を選びましょう。

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