NASユーザー必見!Synology Photosで写真を賢く管理する完全ガイド
1. はじめに:溢れる写真、どう管理する? NASユーザーのための究極解
スマートフォンやデジタルカメラの普及により、私たちはかつてないほど大量の写真を撮影するようになりました。思い出の瞬間、大切な人との時間、美しい風景…日々の記録はデジタルデータとして私たちのデバイスに蓄積されていきます。しかし、その「蓄積」が新たな課題を生み出しています。
写真管理を取り巻く現状と課題
- 容量不足: スマートフォンのストレージはすぐに一杯になり、常に容量を気にしながら撮影しなければなりません。
- 分散管理: スマートフォン、タブレット、PC、外付けHDD、さらには複数のクラウドサービス…写真データがバラバラの場所に保存され、どこに何があるか分からなくなります。
- クラウドサービスのコスト: 無料枠を超えると月額課金が発生し、写真が増えるにつれて費用がかさんでいきます。また、プライバシーに関する懸念を持つ人もいます。
- プライバシーの問題: クラウドサービスに写真を預けることに抵抗を感じる人も少なくありません。自分の大切なデータを、自宅で安全に管理したいというニーズがあります。
- 整理の手間: 撮影した写真を後で見返そうと思っても、膨大なデータの中から目当ての写真を探し出すのは一苦労です。手作業での整理には限界があります。
あなたはこのような悩みをお持ちではないでしょうか? 特にSynology NASユーザーであるあなたにとって、これらの課題を解決し、写真をより快適に、より安全に管理するための最適なソリューションが存在します。それが、Synologyが提供する写真・動画管理アプリケーション「Synology Photos」です。
Synology Photosは、あなたのSynology NASをパワフルな写真管理センターに変貌させます。自宅に設置したNASに写真を一元的に集約し、高度な機能を使って整理・管理・共有できるのです。これは、容量の心配、プライバシーの懸念、そして煩雑な手作業による整理からあなたを解放する画期的な方法です。
この記事では、Synology Photosの魅力から、具体的な機能、セットアップ方法、写真の取り込み、賢い管理テクニック、さらには他のサービスからの移行方法まで、Synology Photosを使いこなすための全てを詳細に解説します。約5000語にわたるこの完全ガイドを読めば、あなたの写真管理の概念が変わるはずです。さあ、Synology Photosの世界に飛び込み、写真との新しい付き合い方を始めましょう。
2. Synology Photosとは? NASで実現する次世代の写真管理
Synology Photosは、Synology DiskStation Manager (DSM) 上で動作する写真・動画管理アプリケーションです。あなたのSynology NASにインストールすることで、NASを個人用のプライベートクラウドストレージ兼、高機能な写真管理システムとして活用できます。
Synology Photosの立ち位置:MomentsとPhoto Stationの統合
Synologyは以前、写真管理アプリケーションとして「Moments」と「Photo Station」という二つの異なるアプリケーションを提供していました。
- Moments: コンシューマー向けに特化し、AIによる自動整理(顔認識、被写体認識など)とシンプルなインターフェースが特徴でした。スマートフォンからの自動バックアップ機能なども人気でした。
- Photo Station: より伝統的なフォルダーベースの管理に強く、ウェブサイト形式での共有や、細かな権限設定が可能なビジネス・プロフェッショナル向けの色合いが強いアプリケーションでした。
これらの二つのアプリケーションは、それぞれに良い点がありましたが、ユーザーによってはどちらを使うべきか迷ったり、両方の機能を使いたい場合に不便を感じたりすることがありました。
Synology Photosは、このMomentsとPhoto Stationの長所を統合し、よりシンプルで強力な単一の写真管理ソリューションとして開発されました。Momentsの持つAIを活用した自動整理機能や直感的な操作性と、Photo Stationの持つフォルダーベースの管理の柔軟性、高度な共有機能などを一つのアプリケーションに統合することで、あらゆるユーザーのニーズに応えられるようになりました。
Synology Photosの基本的な考え方
Synology Photosは、写真を「共有スペース」と「パーソナルスペース」という二つの異なる領域で管理できます。
- パーソナルスペース: 各DSMユーザーが自分の領域として持つスペースです。スマートフォンからの自動バックアップは通常このスペースに行われます。個人の写真や、他人に見られたくないプライベートな写真を管理するのに適しています。フォルダー構成はユーザー自身が自由に決められます。
- 共有スペース: NASにアクセスできる複数のユーザーで共有するスペースです。家族写真やイベント写真など、複数のメンバーで見たい、編集したい写真を置くのに適しています。共有スペースはNASの管理者が有効化し、ユーザー権限を設定します。フォルダー構成は共有スペース内で一元的に管理されます。
この二つのスペースを使い分けることで、個人用の写真と共有用の写真を効率的に管理できます。また、どちらのスペースも、AIによる自動整理機能(人物、場所、被写体など)の恩恵を受けることができます。
Synology Photosは、あなたのNASのストレージ容量を最大限に活用し、写真データをあなたの管理下で安全に保管します。インターネット接続があれば、どこからでも安全にアクセスできるため、まるで自分専用のクラウドサービスのように利用できます。しかし、データは自宅にあるので、プライバシーの心配は最小限に抑えられます。
3. Synology Photosの魅力とメリット:なぜNASで写真管理なのか?
Synology PhotosをNASで利用することには、様々な魅力とメリットがあります。これこそが、多くのNASユーザーがSynology Photosを選ぶ理由です。
3.1 プライバシーとセキュリティ:あなたの写真はあなたのもの
- 自宅保管による安心感: 最も大きなメリットの一つは、写真データがあなたの自宅にあるSynology NASに保存されることです。クラウドサービスのように外部のデータセンターに預けるわけではないため、第三者にデータが閲覧されるリスクを最小限に抑えられます。
- データの所有権: 写真データの完全な所有権と管理権限はあなた自身にあります。サービス規約の変更や、一方的なサービス終了によってデータへのアクセスが失われる心配がありません。
- 高度なセキュリティ機能: Synology NASは、ファイアウォール、侵入防御システム、SSL/TLS暗号化通信など、データのセキュリティを保護するための様々な機能を備えています。これらの機能を活用することで、外部からの不正アクセスを防ぎ、データを安全に保つことができます。アクセス権限の設定もユーザー単位で細かく行えます。
3.2 容量の心配不要:ストレージはあなたのもの
- NASの容量を利用: Synology Photosが使用するストレージは、そのままあなたのNASの容量です。スマートフォンのように数GB〜数百GBの制限に悩まされることはありません。
- 容量の拡張性: NASはHDDを追加したり、より大容量のHDDに交換したりすることで、簡単にストレージ容量を拡張できます。写真データが増え続けても、必要に応じて容量を増やすことができるため、将来的な心配がありません。数テラバイト、数十テラバイトといった大容量での管理も可能です。
- 無制限のアップロード: クラウドサービスの無料枠のようにアップロード容量に制限はありません。NASの物理的な容量が許す限り、どれだけたくさんの写真をアップロードしても追加費用はかかりません。
3.3 コストパフォーマンス:初期投資のみでランニングコストなし
- 一度の購入: Synology NASの購入費用が初期投資となります。HDDの費用もかかりますが、一度購入してしまえば、その後Synology Photosを使用すること自体に追加の月額料金や年額料金は一切発生しません(電気代はかかりますが、クラウドサービスの月額費用と比較すれば通常はかなり安価です)。
- 容量課金からの解放: 写真が増えるたびにストレージプランをアップグレードして課金が増える…という心配がありません。写真が増えても、ランニングコストは基本的に変わりません。長期的に見れば、有料クラウドサービスを利用するよりもはるかにコスト効率が良い場合が多いです。
3.4 高速アクセス:ローカルネットワークの恩恵
- 自宅内での高速閲覧: 自宅のローカルネットワーク内でSynology Photosにアクセスする場合、インターネット回線を介さないため、非常に高速に写真や動画を閲覧できます。大量の写真をスクロールしたり、高解像度の写真を拡大したりする操作もスムーズです。
- 大容量動画の再生: サイズの大きな動画ファイルも、ローカルネットワークであればストレスなく再生できます。
3.5 豊富な機能:賢く、便利に管理
Synology Photosは、写真管理を助けるための様々な便利機能を搭載しています。
- AIによる自動整理: 顔認識による人物アルバム、GPS情報による場所アルバム、AIによる被写体(動物、食べ物、乗り物など)認識によるスマートタグなど、人工知能を活用して写真を自動的に分類・整理します。
- 強力な検索機能: 日付、場所、人物、キーワード、カメラ情報など、様々な条件で写真を絞り込んで検索できます。AIスマート検索を使えば、「犬が写っている写真」「夕焼けの写真」といったあいまいな条件でも検索が可能です。
- 柔軟なアルバム作成: 条件を指定して自動的に写真が追加される「条件付きアルバム」や、手動で写真を選んで作成する「手動アルバム」など、目的に応じた様々なアルバムを作成できます。
- 簡単な共有機能: 特定の写真やアルバムを、他のSynology Photosユーザーや、パスワード保護された公開リンクを使って外部のユーザーと簡単に共有できます。家族や友人との写真共有がスムーズに行えます。
- モバイルアプリからの自動バックアップ: スマートフォン向けアプリ「Synology Photos Mobile」を使えば、スマートフォンのカメラロールに保存された写真を自動的にNASにバックアップできます。これにより、スマートフォンの容量を気にせず撮影でき、紛失や故障時にも写真データを失う心配がありません。
3.6 他のSynologyサービスとの連携:NASエコシステムの一部として
Synology Photosは、Synology NASが提供する他の様々なサービスと連携することで、さらに便利に利用できます。例えば、ファイル管理ツールであるSynology Driveと同じファイル構造を参照できるため、他のファイルと一緒に写真を管理することも可能です。また、Hyper Backupを使ってNAS全体のデータをバックアップしておけば、写真データを含む全ての資産を災害や機器故障から守ることができます。
これらのメリットを総合すると、Synology Photosは、プライバシーを重視し、容量やコストを気にせず、かつ高度な機能で写真を賢く管理したいと考えているSynology NASユーザーにとって、間違いなく最良の選択肢と言えるでしょう。
4. Synology Photosの主要機能:写真を使いこなすためのツール群
Synology Photosには、あなたの写真ライブラリを最大限に活用するための強力な機能が多数搭載されています。ここでは、その主要な機能を詳しく見ていきましょう。
4.1 アルバム機能:写真を整理し、見つけやすくする
Synology Photosのアルバム機能は、あなたの写真ライブラリを様々な視点から整理し、アクセスしやすくするための中心的な機能です。
- タイムライン表示: Synology Photosのデフォルトの表示方法です。すべての写真が撮影日時に従って時系列で表示されます。過去の特定の時期の写真を遡って見たい場合に便利です。ズームイン・ズームアウトで表示される写真の密度を変更できます。
- フォルダー表示: NAS上の実際のファイル構造(フォルダー構成)に基づいて写真を表示します。自分で整理したフォルダー構造で写真を見たい場合に適しています。パーソナルスペースと共有スペースでそれぞれ独自のフォルダー構造を持てます。
- 自動作成アルバム: Synology Photosが写真のメタデータやAI分析結果に基づいて自動的に作成するアルバムです。
- 人物: 顔認識機能で検出された人物ごとにアルバムが作成されます。名前を付けることで、特定の人物が写っている写真を簡単に見つけられます。
- 場所: GPS情報に基づいて、写真が撮影された場所(国、都市など)ごとにアルバムが作成されます。世界地図上で写真がどこで撮られたかを見ることもできます。
- タグ: 写真に付与されたスマートタグ(AIによる被写体認識の結果)や、手動で追加したキーワードタグごとにアルバムが作成されます。
- ビデオ: 写真ライブラリ内のビデオファイルのみを集めたアルバムです。
- 最近追加: 最近ライブラリに追加された写真を表示します。
- 評価: 写真に付けた評価(星1~5)に基づいてアルバムが作成されます。
- ジオフェンス: 事前に設定した特定の場所(自宅、職場など)の近くで撮影された写真を集めたアルバムです。
- 重複: 内容が重複している可能性のある写真を検出して表示します。ストレージ容量の節約に役立ちます。
- 条件付きアルバム: 自分で設定した複数の条件(例:「2023年に撮影」「日本の写真」「人物:〇〇さんが写っている」「評価4以上」など)に合致する写真が自動的に集まるアルバムです。特定のテーマの写真だけを集めたい場合に非常に便利です。新しい写真が条件に合致すれば、自動的にこのアルバムに追加されます。
- 手動アルバム: 自分で写真を選んで作成する従来のアルバムです。特定のイベント(結婚式、誕生日など)のために、時系列や場所に関係なく写真を集めたい場合に作成します。
これらのアルバム機能を組み合わせることで、あなたの写真ライブラリを様々な角度から整理し、目的に応じて素早く写真を見つけ出すことが可能になります。
4.2 整理・管理機能:あなたのライブラリをきれいに保つ
Synology Photosは、写真データを効率的に管理するための様々なツールを提供します。
- 自動整理: アップロードされた写真は、撮影日時やGPS情報に基づいて自動的に整理され、タイムラインや場所アルバムに反映されます。
- スマートタグ (AIによる被写体認識): 写真の内容をAIが分析し、写っている被写体(例:猫、車、山、食べ物など)に基づいて自動的にタグを付与します。これにより、検索や自動作成アルバムの精度が向上します。
- 顔認識と人物アルバム: 写真に写っている顔を検出し、同じ人物と思われる顔をグループ化します。それぞれのグループに名前を付けることで、人物ごとに写真を整理できます。認識精度は非常に高く、写真の整理に革命をもたらします。
- キーワード、評価、色ラベルによる手動タグ付け: 写真に任意のキーワードタグ、1~5段階の評価、あるいは色ラベル(赤、黄、緑など)を付けて、手動での整理や絞り込みを強化できます。
- 重複写真の検出と削除: 同じまたは非常に似た写真ファイルを自動的に検出し、一覧表示します。不要な重複を削除することで、ストレージ容量を節約できます。
- EXIF/IPTC/XMP情報の表示と編集: 写真に埋め込まれた撮影情報(カメラ機種、設定、GPS情報など)や、後から追加したメタデータ(キーワード、キャプションなど)を表示できます。一部のメタデータはSynology Photos上から編集することも可能です。
- RAWファイルのサポート: 主要なカメラメーカーのRAWファイル形式に対応しています。RAWファイルのサムネイル表示や、対応形式であればプレビュー表示も可能です。
- ジオフェンス機能: 自宅や職場など、特定の場所を登録しておくと、その場所の近くで撮影された写真を自動的に集めるアルバムを作成できます。
これらの機能により、Synology Photosはあなたの写真ライブラリを単なるファイルの集まりではなく、整理され、検索しやすい、価値あるデジタル資産へと変貌させます。
4.3 共有機能:写真をもっとオープンに
大切な思い出を家族や友人と共有するのも、写真管理の重要な側面です。Synology Photosは、簡単かつ安全に写真を共有するための柔軟な機能を提供します。
- 特定の写真/アルバムの共有(公開リンク): 選択した写真やアルバムに対して、インターネット経由でアクセス可能な公開リンクを作成できます。リンクを知っている人なら誰でも写真を見られるようにするか、パスワードを設定してセキュリティを高めることも可能です。リンクの有効期限を設定することもできます。
- 特定のSynology Photosユーザー/グループとの共有: NAS上にSynology Photosユーザーとして登録されている他のユーザーと、写真やアルバムを直接共有できます。共有された相手は、自分のSynology Photosインターフェース内で共有された写真を見たり、設定によってはコメントや写真の追加などの操作も行えます。
- コラボレーションアルバム: 複数のSynology Photosユーザーが写真を追加したり、編集したりできる共有アルバムを作成できます。家族や友人との旅行やイベントの写真をみんなで集めたい場合に最適です。
これらの共有機能を使えば、手間なく、かつプライバシーに配慮しながら写真を楽しむことができます。
4.4 検索機能:膨大な写真の中から一瞬で見つけ出す
数万、数十万枚の写真の中から、目的の一枚を探し出すのは至難の業です。Synology Photosの強力な検索機能が、この課題を解決します。
- キーワード検索: ファイル名、キャプション、キーワードタグ、スマートタグなどに含まれるキーワードで写真を検索できます。
- メタデータ検索: 撮影日、撮影場所(国、都市)、カメラ機種、レンズ、F値、シャッタースピード、ISO感度などのEXIF情報で検索できます。
- 人物検索: 顔認識で名前を付けた特定の人物が写っている写真を検索できます。
- AIスマート検索: AIが写真の内容を理解し、より高度な検索を可能にします。「犬が走っている写真」「青い空と海」「夕食の食事」といった、あいまいな言葉や被写体の特徴で検索できます。これはMomentsから引き継がれた強力な機能です。
- 複合検索: これらの条件を組み合わせて、より絞り込んだ検索が可能です。「2022年に沖縄で撮影された、家族が写っている写真」のように、複数の条件を指定できます。
Synology Photosの検索機能を使えば、探したい写真がどんなにたくさんあっても、驚くほど簡単に見つけ出すことができます。
4.5 バックアップ機能:大切な写真を失わないために
スマートフォンの写真バックアップは、写真管理において最も基本的かつ重要な機能の一つです。Synology Photosはこれを簡単かつ自動で行います。
- モバイルアプリからの自動バックアップ: スマートフォン向けアプリ「Synology Photos Mobile」をインストールし、設定を有効にすると、スマートフォンのカメラロールに新しい写真や動画が追加されるたびに、自動的にSynology NASにアップロードされます。バックアップはバックグラウンドで行われるため、ユーザーは何も意識する必要はありません。自宅のWi-Fi接続時のみアップロードするなど、設定をカスタマイズすることも可能です。
- PCからのアップロード/バックアップ: WebブラウザからSynology Photosにアクセスして手動で写真をアップロードできるほか、Synology Drive Clientなどのツールを使ってPC上の特定のフォルダーとNAS上のフォルダーを同期・バックアップすることで、PCに保存された写真もSynology Photosライブラリに取り込むことができます。
これらのバックアップ機能により、スマートフォンの紛失や故障、PCのトラブルなどによって大切な写真データを失うリスクを大幅に低減できます。写真は常にあなたのNASに安全に保管されます。
4.6 表示機能:写真を美しく、便利に楽しむ
Synology Photosは、写真や動画を快適に閲覧するための様々な表示機能を提供します。
- 高解像度表示: NASに保存されたオリジナルの高解像度写真を表示できます。拡大しても細部まで鮮明に見ることができます。
- スライドショー: 選択した写真やアルバムを、BGM付きでスライドショー再生できます。家族や友人と一緒に写真を見返す際に便利です。
- EXIF情報の表示: 写真を個別に表示する際に、撮影日時、カメラ機種、設定、ファイルサイズなどの詳細なEXIF情報を簡単に確認できます。
- 地図表示: GPS情報が記録された写真は、地図上に撮影場所を表示できます。旅行の経路を写真で追体験するといった楽しみ方も可能です。
- 動画再生: NASに保存された動画ファイルを、Synology Photosのインターフェース上で直接再生できます。
4.7 モバイルアプリ (Synology Photos Mobile):いつでもどこでもアクセス
iOSおよびAndroid向けに提供されている「Synology Photos Mobile」アプリは、Synology Photosを外出先やスマートフォンから利用するための不可欠なツールです。
- 写真の閲覧: NASに保存された写真ライブラリ全体を、スマートフォンから快適に閲覧できます。タイムライン表示、アルバム表示、フォルダー表示に対応しています。
- 写真のアップロード: スマートフォンのカメラロールから、手動で写真を選択してNASにアップロードできます。
- 自動バックアップ: 前述の通り、スマートフォンの写真を自動的にNASにバックアップする機能です。
- オフラインアクセス(一部): 一度表示した写真はキャッシュされるため、オフラインの状態でも一部の写真を見ることができます。
- 共有: スマートフォンから直接、写真やアルバムを共有できます。
- キャスト機能: アプリから写真や動画をChromecastやAirPlay対応デバイスにキャストして、テレビなどの大画面で表示できます。
Synology Photos Mobileアプリを使えば、あなたの写真ライブラリは常にあなたの手の中にあります。
4.8 PC/Webアクセス:大画面での快適操作
PCからSynology Photosにアクセスするには、Webブラウザを使用するのが一般的です。
- ブラウザからのアクセス: PCのWebブラウザでNASのDSMにアクセスし、Synology Photosを起動することで、すべての機能を利用できます。大画面で写真を整理したり、アルバムを作成したりするのに最適です。
- Synology Drive Clientなど他のツールからの連携: Synology Drive Clientを使ってNASとPC間で特定のフォルダーを同期させていれば、そのフォルダーに写真を追加するだけで、自動的にSynology Photosライブラリにも反映されます。
これらの多機能により、Synology Photosは単なる写真保存場所ではなく、あなたの写真生活を豊かにするための強力なプラットフォームとなります。
5. Synology Photosのセットアップと基本操作:始めてみよう
Synology Photosを使い始めるのは非常に簡単です。以下の手順に従ってセットアップと基本的な操作を行いましょう。
5.1 Synology NASの準備
Synology Photosを使用するには、まずSynology NASが稼働している必要があります。
- NASのセットアップ: Synology NASをネットワークに接続し、HDDを装着して電源を入れます。
- DSM (DiskStation Manager) のインストール: WebブラウザからNASにアクセスし、画面の指示に従ってDSMをインストールします。最新バージョンのDSMを使用することをお勧めします。
- DSMの基本設定: 管理者アカウントの設定、ネットワーク設定、QuickConnect IDの設定(外部からのアクセスが必要な場合)などを行います。
5.2 Synology Photosパッケージのインストール
DSMが稼働したら、Synology Photosをインストールします。
- パッケージセンターを開く: DSMのデスクトップ画面にある「パッケージセンター」アイコンをクリックします。
- Synology Photosを検索: パッケージセンターの検索バーに「Synology Photos」と入力して検索します。
- インストール: Synology Photosパッケージが見つかったら、「インストール」ボタンをクリックします。必要な依存関係も一緒にインストールされます。
- パッケージの起動: インストールが完了したら、DSMのメインメニューにSynology Photosのアイコンが表示されるので、クリックして起動します。
初回起動時には簡単な初期設定ウィザードが表示されることがあります。指示に従って進めてください。
5.3 写真のアップロード方法
Synology Photosに写真を取り込む方法はいくつかあります。
- Webブラウザからのアップロード:
- PCのWebブラウザでSynology Photosを開きます。
- アップロードしたいフォルダー(パーソナルスペースまたは共有スペース内の任意のフォルダー)に移動します。
- 画面右上のアップロードアイコン(雲の矢印)をクリックするか、写真ファイルをブラウザウィンドウにドラッグ&ドロップします。
- アップロードが完了すると、写真がライブラリに表示されます。
- Synology Drive Clientを使った同期/バックアップ:
- PCにSynology Drive Clientをインストールします。
- NASのSynology Drive Serverと接続設定を行います。
- Synology Photosのフォルダー(例:
home/Photos
やphoto
共有フォルダー)を同期またはバックアップ対象に指定します。 - PC上の指定したフォルダーに写真を追加すると、自動的にNASにコピーされ、Synology Photosに表示されます。
- モバイルアプリからの自動バックアップ:
- スマートフォンに「Synology Photos Mobile」アプリをインストールします。
- アプリを開き、NASのIPアドレスまたはQuickConnect ID、ユーザー名、パスワードを入力してログインします。
- 設定メニューから「写真のバックアップ」を選択し、有効にします。
- バックアップ元(カメラロール全体など)とバックアップ先(パーソナルスペースのフォルダーなど)を指定します。
- 以降、スマートフォンで撮影した写真や動画は指定したNASの場所に自動的にアップロードされます。
- ネットワークドライブとしてマウントしてコピー:
- PCのエクスプローラー(Windows)やFinder(macOS)でNAS上の共有フォルダー(例:
photo
共有フォルダーや各ユーザーのhome/Photos
フォルダー)をネットワークドライブとしてマウントします。 - PC上の写真ファイルを、マウントしたネットワークドライブ上のSynology Photosのフォルダーに通常のファイルコピー操作で移動またはコピーします。
- コピーが完了すると、Synology Photosが自動的にファイルを検出してライブラリに追加し、インデックス作成を開始します。
- PCのエクスプローラー(Windows)やFinder(macOS)でNAS上の共有フォルダー(例:
どの方法でアップロードしても構いませんが、大量の写真を最初にまとめて取り込む場合は、ネットワークドライブとしてマウントするか、Synology Drive Clientを使うのが効率的です。
5.4 ユーザー権限の設定(共有スペースの場合)
Synology Photosの共有スペースは、複数のユーザーがアクセスして写真を見る・管理するための領域です。共有スペースを使用する場合は、DSMの管理者アカウントで以下の設定を行います。
- 共有スペースの有効化: Synology Photosの設定(歯車アイコン)を開き、「共有スペース」タブで共有スペースを有効にします。共有スペースで使用するフォルダー(通常は
photo
共有フォルダー)を指定します。 - 権限設定: 同じく「共有スペース」タブで、「共有スペース権限設定」を行います。ここで、どのDSMユーザーやグループが共有スペースにアクセスできるか、そしてどのような権限(閲覧のみ、アップロード/管理)を持つかを設定します。
- フォルダー構造の準備: 必要に応じて、DSMのFile Stationなどを使って共有スペース内のフォルダー構造を作成しておきます。
パーソナルスペースは各ユーザーに紐づいているため、基本的にはそのユーザー自身が管理します。他のユーザーと共有する場合は、共有機能を使って特定の写真やアルバムを共有することになります。
5.5 初回インデックス作成と顔認識
写真をSynology Photosに初めてアップロードすると、Synology Photosはこれらのファイルをスキャンし、インデックスを作成します。このインデックス作成により、写真がタイムラインやアルバムに表示され、検索が可能になります。
また、顔認識や被写体認識といったAI機能も、このインデックス作成の過程で実行されます。写真の枚数が多い場合、この初回インデックス作成とAI分析にはかなりの時間がかかることがあります。NASのCPU性能や写真の枚数にもよりますが、数時間から数日かかることも珍しくありません。この処理中はNASの負荷が高くなる場合があります。
インデックス作成の進捗は、Synology Photosの画面右上などに表示されるアイコンや、DSMのタスクマネージャーなどで確認できます。気長に完了を待ちましょう。
これで、Synology Photosの基本的なセットアップと写真の取り込みは完了です。次は、これらの機能を活用して写真を賢く管理する方法を見ていきましょう。
6. 実践的な写真管理テクニック:Synology Photosを最大限に活用する
Synology Photosの機能を理解したところで、実際に写真を賢く管理するための具体的なテクニックを紹介します。
6.1 写真の取り込みワークフローの確立
スムーズな写真管理のためには、写真の取り込み方法を決めておくことが重要です。
- スマートフォンの写真: Synology Photos Mobileアプリの自動バックアップを有効にしておけば、基本的にはこれだけでOKです。Wi-Fi接続時のみアップロードするように設定しておくと、通信量を気にせず利用できます。
- デジタルカメラの写真:
- PC経由: カメラからPCに写真を取り込み、PC上の写真管理ソフトで一次選別や簡単な編集を行った後、Synology Drive ClientでNASと同期しているフォルダーにコピーするか、ネットワークドライブとしてNASに直接コピーします。
- 直接NASへ: 一部のカメラやカードリーダーは、NASに直接接続して写真を取り込める場合があります(ただし対応は限定的)。より簡単なのはPC経由でしょう。
- 古い写真(スキャンデータなど): スキャンした写真データや、外付けHDDに保存してあった古い写真データも、Webブラウザやネットワークドライブ経由でNASのSynology Photosフォルダーにコピーすることで取り込めます。
重要なのは、撮影した写真が最終的に必ずSynology Photosライブラリに集まるような仕組みを作ることです。
6.2 フォルダー構成の考え方
Synology PhotosはタイムラインやAIアルバムが強力ですが、フォルダー表示もできますし、多くの人がファイルシステム上での整理に慣れています。以下に一般的なフォルダー構成の例を挙げます。
- 年/月/日:
2023/2023-10/2023-10-27
のように、撮影年月日に従って階層構造を作る方法。最もシンプルで汎用的です。 - イベント別:
旅行/2023_ハワイ旅行
や子供/七五三_2022
のように、特定のイベントごとにまとめる方法。後からイベント単位で見返しやすいです。 - 組み合わせ:
2023/旅行/2023_ハワイ旅行
のように、年月とイベントを組み合わせる方法。
これらのフォルダー構成は、パーソナルスペースと共有スペースで異なる構造にしても構いません。共有スペースでは家族みんなが分かりやすい共通のルールで構成するのがおすすめです。例えば、共有スペースのルートを年ごとに分け、その中にイベント別のフォルダーを作成するなどが考えられます。
例(共有スペース photo
内):
photo/
├── 2023/
│ ├── 2023-01_正月
│ ├── 2023-05_GWキャンプ
│ └── 2023-08_夏休み旅行
└── 2024/
├── 2024-01_新年会
└── 2024-03_お花見
重要なのは、自分や家族が見返しやすい、あるいは他のサービスから移行する際に馴染みのある構成を採用することです。
6.3 スマートアルバムと手動アルバムの賢い使い分け
- スマートアルバムの活用: Synology Photosの強みである自動作成アルバム(人物、場所、タグなど)や条件付きアルバムを積極的に活用しましょう。「子供が写っている写真」「ペットが写っている写真」「特定の旅行先で撮った写真」などは、条件付きアルバムで自動化すると整理の手間が省けます。例えば、「人物:息子、娘」と「年:2023年」を条件にしたアルバムを作成すれば、2023年に撮影された息子さんや娘さんが写っている写真だけが自動で集まります。
- 手動アルバムの使い方: スマートアルバムでは表現できない、特定の目的のためのアルバムは手動で作成します。「結婚式のベストショット集」「お気に入りの風景写真100選」など、厳選した写真や特定のテーマでまとめたい場合に便利です。また、共有したい写真だけを集めたアルバムを手動で作成することもできます。
6.4 タグ付け・評価・色ラベルの戦略
検索や絞り込みの精度を高めるために、必要に応じて手動でタグ付けや評価を行いましょう。
- キーワードタグ: AIによるスマートタグだけでは不十分な場合や、より個人的なキーワード(例:「〇〇さんの誕生日」「美味しかったお店」)を追加したい場合に手動でキーワードタグを付与します。
- 評価: お気に入りの写真や、後で編集したい写真などに評価を付けておくと、後から「評価5の写真だけ」で絞り込むことができます。
- 色ラベル: 特定の用途(例:「印刷候補」「編集済み」「SNS投稿用」)で写真を分類したい場合に、色ラベルを活用できます。
すべての写真に細かくタグ付けする必要はありません。後で見返す可能性が高い写真や、特別な写真に絞って行うと、効率的に整理できます。
6.5 共有機能の上手な使い方
- 家族内共有: Synology Photosの共有スペースを利用するのが最も簡単です。共有スペースに家族写真をアップロードすれば、家族全員が自分のアカウントでSynology Photosにログインして写真を見たり、追加したりできます。ユーザーごとに権限を設定できるので、誰がアップロードできるかなどをコントロールできます。
- 友人・親戚との共有: 特定のイベントの写真だけを共有したい場合は、手動アルバムを作成し、公開リンクを発行するのが便利です。パスワードを設定しておけば、リンクを知っている人以外は見られないので安心です。有効期限を設定しておけば、不要になった際に自動的に共有が停止されます。
- コラボレーションアルバム: 複数人で一緒に撮影した旅行やイベントの写真をお互いに共有し合いたい場合は、コラボレーションアルバムを作成します。参加者は各自が撮影した写真をアルバムに追加できるため、写真の収集が非常にスムーズに行えます。
6.6 NAS自体のバックアップ戦略
Synology Photosで写真データをNASに一元管理することは非常に安全な方法ですが、NAS自体もハードウェアである以上、故障のリスクはゼロではありません。また、人為的なミスで重要なファイルを削除してしまう可能性もあります。万が一に備えて、Synology NAS全体のバックアップも必ず行いましょう。
- Hyper Backup: Synologyが提供するバックアップアプリケーションです。NAS内のデータ(ファイル、アプリケーション設定など)を、別のNAS、外部HDD、クラウドストレージ(Google Drive, Dropbox, Backblaze B2など)にバックアップできます。写真データを含むNAS全体のバックアップを定期的に行うことを強く推奨します。
7. 他のサービスからの移行:思い出をSynology Photosへ集結させる
現在、他のサービス(Google Photos、OneDrive、PCなど)で写真を管理している方も多いでしょう。Synology Photosに移行して一元管理するための方法を解説します。
7.1 Google Photosからの移行
多くのユーザーがGoogle Photosを利用していると思います。Google Photosからの移行は、Google Takeoutを利用するのが最も一般的な方法です。
- Google Takeoutでデータをエクスポート:
- WebブラウザでGoogle Takeout(takeout.google.com)にアクセスし、Googleアカウントでログインします。
- エクスポートするデータの選択画面で、「Googleフォト」のみを選択します。
- エクスポート形式やファイルサイズ、配信方法などを設定します。写真の枚数が多い場合は、数GBごとに分割してエクスポートすることをおすすめします。配信方法は、Google Driveへの保存か、ダウンロードリンクのメール通知が便利です。
- エクスポートを開始します。写真の量によっては数時間から数日かかることがあります。完了すると、指定した方法でデータを受け取れます。
- エクスポートしたデータのダウンロード: Google Driveに保存した場合はそこから、ダウンロードリンクを受け取った場合はリンクから、エクスポートされたZIPファイルまたはTGZファイルをPCにダウンロードします。ファイルサイズが大きい場合は分割されているので、すべてダウンロードしてください。
- エクスポートデータの解凍: ダウンロードした圧縮ファイルを解凍します。解凍ツールが必要です。解凍すると、写真ファイル(JPG, PNGなど)と、それに対応するJSONファイル(メタデータが含まれる)がフォルダー構造内に格納されています。Google Takeoutのエクスポートは、Google Photos上のアルバム構成を反映したフォルダー構造になっていることが多いです。
- Synology NASへのアップロード/コピー: 解凍したフォルダーごと、Synology Photosのフォルダー(パーソナルスペースまたは共有スペース)にコピーします。前述の「Webブラウザからのアップロード」「Synology Drive Clientを使った同期/バックアップ」「ネットワークドライブとしてマウントしてコピー」のいずれかの方法を利用します。大量のデータのため、ネットワークドライブとしてマウントしてPCのエクスプローラー/Finderでコピーするのが最も安定しています。
- Synology Photosでのインデックス作成: NASにコピーされた写真は、Synology Photosによって自動的にスキャンされ、インデックスが作成されます。この際、JSONファイルに含まれる撮影日時などのメタデータもSynology Photosに読み込まれ、タイムラインやアルバムに反映されます。顔認識なども行われます。
Google Photosからの移行時の注意点:
- JSONファイル: Google Takeoutは写真ファイルと一緒にJSONファイルを出力します。このJSONファイルに撮影日時やGPS情報、キャプションなどが記録されているため、写真ファイルと一緒にNASにコピーすることが重要です。Synology Photosは対応するJSONファイルがあれば、その情報を読み取ってメタデータを補完します。
- アルバム構造: Google Photosのアルバム構造は、Google Takeoutによってある程度フォルダー構造として再現されますが、完全に一致しない場合や、Synology Photosのアルバム機能とは連携しない場合があります。Synology Photos側で改めてアルバムを整理する必要が出てくるかもしれません。
- 重複写真: Google Photosには重複写真を非表示にする機能などがありますが、Takeoutでエクスポートされる際に重複が含まれる可能性があります。Synology Photosの重複検出機能で確認・整理すると良いでしょう。
- 顔認識: Google Photosの顔認識データはエクスポートされません。Synology Photos側で改めて顔認識が行われます。
7.2 OneDrive/Dropboxからの移行
OneDriveやDropboxなどの一般的なクラウドストレージサービスからの移行は比較的シンプルです。
- データのダウンロード: 各サービスのウェブサイトや専用デスクトップアプリを使って、クラウドストレージ上の写真データが保存されているフォルダーをPCにダウンロードします。
- Synology NASへのアップロード/コピー: ダウンロードした写真データを、Synology Photosのフォルダー(パーソナルスペースまたは共有スペース)にコピーします。Google Photosからの移行と同様、ネットワークドライブとしてマウントしてコピーするのが効率的です。
- Synology Photosでのインデックス作成: NASにコピーされた写真がSynology Photosでスキャンされ、ライブラリに追加されます。
OneDriveやDropboxは、ファイルシステム構造(フォルダー構成)でデータを管理しているため、Synology Photosのフォルダー表示との親和性が高いです。既存のフォルダー構造をそのままSynology Photosに引き継ぎやすいでしょう。
7.3 PC/外付けHDDからの移行
PCや外付けHDDに分散して保存されている写真データをSynology Photosに集約するのも簡単です。
- データの整理(任意): PCや外付けHDD上で、Synology Photosに取り込みたい写真データを一つのフォルダーにまとめたり、不要な写真を削除したりしておくと、後の作業がスムーズです。必要であれば、NASにコピーしたいフォルダー構成を事前に作成しておきます。
- Synology NASへのアップロード/コピー: PCや外付けHDDからSynology Photosのフォルダー(パーソナルスペースまたは共有スペース)にデータをコピーします。ネットワークドライブとしてマウントしてコピーする方法が最も適しています。外付けHDDをNASのUSBポートに直接接続し、DSMのFile Stationを使ってコピーする方法も可能です(対応機種やHDD形式による)。
- Synology Photosでのインデックス作成: NASにコピーされた写真がSynology Photosでスキャンされ、ライブラリに追加されます。
この方法の場合、写真に埋め込まれた撮影日時やGPS情報が正しく記録されていれば、Synology Photosのタイムラインや自動作成アルバムに問題なく反映されます。手動で整理していたフォルダー構成も引き継ぐことができます。
移行全体の注意点:
- 容量確認: 移行元の写真データ総容量を確認し、Synology NASに十分な空き容量があることを事前に確認してください。
- ファイル形式: Synology Photosが対応しているファイル形式(JPG, PNG, HEIC, RAWなど)であることを確認してください。
- メタデータ: 撮影日時、GPS情報などのメタデータが正しく記録されているかを確認してください。これが正確であるほど、Synology Photosの自動整理機能の効果が高まります。JSONファイルが必要なサービスからの移行では、JSONも忘れずにコピーしてください。
- 移行中のデータ保全: 移行元、NAS、そして可能であれば別の場所にバックアップを取っておくなど、移行中にデータが失われることのないよう慎重に進めてください。
8. Synology Photosの応用と連携:さらに広がる可能性
Synology Photosは単体でも強力ですが、他のSynologyサービスや機能と連携させることで、さらに便利に活用できます。
8.1 Synology Driveとの連携
Synology Driveは、NASをプライベートクラウドストレージとして利用するためのファイル同期・共有ツールです。Synology Photosは、基本的にSynology Driveが管理するファイル領域(home/Photos
または photo
共有フォルダー)内の写真ファイルを読み込んで表示しています。
- ファイル管理の一元化: 写真ファイルをSynology Drive Clientで同期しているフォルダーに保存しておけば、同時にSynology Photosにも表示されるため、ファイル管理と写真管理を連携させることができます。
- 他のファイルとの連携: 写真と関連する他のファイル(例えば、旅行の写真と一緒に旅程表や予約確認書など)を同じフォルダー構造内で管理しやすくなります。
ただし、Synology Photosで行ったアルバム作成やタグ付けといった情報は、主にSynology Photosのデータベースに保存されており、ファイル自体のメタデータに直接書き込まれるわけではない点に注意が必要です。
8.2 Synology Moments / Photo Stationからの移行・統合
旧アプリケーションであるMomentsまたはPhoto Stationを利用していた場合、Synology Photosを初めてインストールする際に、既存のライブラリをSynology Photosに統合するためのオプションが表示されます。
- スムーズな移行: 通常、指示に従って統合プロセスを実行すれば、MomentsやPhoto Stationで管理していた写真データと、Momentsで蓄積された顔認識データやスマートタグなどの情報をSynology Photosに引き継ぐことができます。
- 注意点: 統合プロセスには時間がかかる場合があります。また、一部の設定やカスタマイズは引き継がれない可能性があるため、統合後にSynology Photos側で再設定が必要になることもあります。特に、Photo Stationのアルバム構造や権限設定など、Momentsとは異なる部分は確認が必要です。統合後は、原則としてMomentsとPhoto Stationは使用停止(アンインストール推奨)となります。
8.3 DLNAメディアサーバーとの連携
Synology NASにはDLNAメディアサーバー機能が搭載されています。これを有効にすると、NAS内の写真や動画、音楽ファイルを、ネットワーク上のDLNA対応テレビやメディアプレーヤーで再生できるようになります。
- テレビでの写真鑑賞: Synology Photosのライブラリにある写真(通常は
photo
共有フォルダー)を、DLNAメディアサーバー経由でリビングのテレビに映し出し、家族みんなで鑑賞できます。Synology Photosの機能(アルバムなど)は使えませんが、撮影年月日やフォルダー構成で参照できます。
8.4 その他の連携
Synology Photosは、将来的には他のサービスとの連携や、APIによる機能拡張の可能性も秘めています。現在は限定的ですが、例えば以下のような活用も考えられます。
- サードパーティ製アプリとの連携: Synology PhotosのAPIが公開されれば、他の写真編集アプリや管理ツールと連携して、より高度なワークフローを構築できる可能性があります。
- ウェブサイトへの埋め込み: Synology Photosで管理している写真を、個人のブログやウェブサイトに簡単に埋め込めるようになる機能などが追加されるかもしれません。
9. トラブルシューティングとQ&A:困ったときは
Synology Photosを使用中に困ったことや疑問点が出てくるかもしれません。ここでは、よくあるトラブルとその対処法、そしてQ&A形式でよくある質問に答えます。
Q1: 顔認識が進まない、または精度が悪い。
- A1: 顔認識は初回インデックス作成時に集中的に行われますが、写真の枚数やNASの性能によっては非常に時間がかかります。DSMのタスクマネージャーでSynology Photos関連のプロセス(
syno-photo-face-detection
など)がCPUを使用しているか確認してください。NASの負荷が高い状態が続いている場合は、処理中です。完了を気長に待ちましょう。認識精度については、すべての顔を認識できるわけではありません。写っている顔が小さい、不鮮明、横向きなどの場合は認識されないことがあります。新しい写真を追加することで、認識精度が向上することもあります。認識済みの顔に名前を付けていくことで、AIの学習が進み、精度が向上する場合もあります。
Q2: インデックス作成がなかなか終わらない。
- A2: 大量の写真を一度にアップロードした場合、インデックス作成には膨大な時間とNASのリソースが必要です。特に初回インデックス作成時はNASのCPUやディスクがフル稼働する場合があります。NASのステータスランプが点滅している場合や、DSMのタスクマネージャーでCPU使用率が高い場合は、処理中です。NASの再起動や、インデックス作成を一時停止・再開してみることも有効な場合があります。また、インデックス作成はNASがアイドル状態のときに優先的に行われるため、NASで他の重いタスク(ファイル転送、動画トランスコーディングなど)を実行していると遅くなります。
Q3: モバイルアプリからの自動アップロードが途中で止まる。
- A3:
- スマートフォンの通信状態(Wi-Fi接続になっているかなど)を確認してください。モバイルデータ通信でアップロードしない設定になっている場合があります。
- スマートフォンのバッテリー状態を確認してください。低電力モードになっている場合や、バッテリー残量が少ない場合はアップロードが一時停止されることがあります。
- Synology Photos Mobileアプリがバックグラウンドで動作することを許可しているか確認してください。スマートフォンの設定でアプリのバックグラウンド更新やバッテリー使用制限などがかかっていると、アップロードが中断されることがあります。
- NASが正しく稼働しており、外部(または内部)からアクセス可能か確認してください。QuickConnect IDやIPアドレスでNASに接続できているか確認しましょう。
- NASのストレージ容量が一杯になっていないか確認してください。
- アプリを一度終了して再起動してみる、スマートフォンの再起動も試してみてください。
Q4: 共有リンクが無効になってしまった。
- A4: 共有リンク作成時に有効期限を設定した場合、その期限が切れていないか確認してください。期限切れの場合は、再度共有リンクを作成する必要があります。また、共有元の写真ファイルやアルバムがNAS上から削除されていないか確認してください。
Q5: ストレージ容量が足りなくなってきた。
- A5:
- Synology Photosの重複検出機能を使って、不要な重複写真を削除しましょう。
- NASの他の共有フォルダーに大容量のファイル(動画など)がないか確認し、整理または別のストレージに移動しましょう。
- Synology NASのストレージ容量を拡張することを検討しましょう。対応するHDDを追加したり、既存のHDDより大容量のものに交換したりすることで容量を増やせます。RAID構成によっては、稼働中のまま容量拡張できる場合もあります。
Q6: どんなファイル形式に対応していますか?
- A6: JPEG, PNG, GIF, BMP, TIFFといった一般的な画像形式に加え、主要なカメラメーカーのRAW形式(CR2, NEF, ARWなど)、HEIC形式に対応しています。動画はMP4, MOVなど、多くの形式に対応していますが、NASの機種によってはスムーズな再生のためにトランスコーディングが必要な場合があり、対応コーデックに制限がある場合もあります。Synologyの公式ウェブサイトやSynology Photosのヘルプで、詳細な対応ファイル形式リストを確認できます。
Q7: 写真のアップロードや閲覧が遅い。
- A7:
- ネットワーク速度: NASとPC/スマートフォンの間のネットワーク速度が遅い可能性があります。特に無線LANを使用している場合、電波状況やWi-Fi規格を確認してください。可能であれば有線LAN接続を試してください。インターネット経由でアクセスしている場合は、インターネット回線の上り・下り速度が影響します。
- NASの負荷: NASが他の重い処理(バックアップ、ファイル転送、動画トランスコーディング、Dockerコンテナの実行など)を行っている場合、Synology Photosの応答が遅くなることがあります。タスクマネージャーでNASのCPU、メモリ、ディスク使用率を確認してください。
- 写真ファイルのサイズ: 高解像度でファイルサイズが大きい写真の場合、表示に時間がかかることがあります。
これらのQ&Aやトラブルシューティング情報は、Synologyの公式サポートサイトやコミュニティフォーラムにも豊富に情報がありますので、そちらも参考にしてください。
10. まとめ:あなたの写真ライブラリに自由と安心を
この記事では、Synology NASユーザーのための写真・動画管理アプリケーション「Synology Photos」について、その機能、メリット、使い方、移行方法などを詳しく解説してきました。
改めてSynology Photosの最大の価値をまとめると、以下の3点に集約できます。
- プライバシーとセキュリティ: 大切な写真データを自宅のNASで一元管理することで、プライバシーを最大限に保護し、データの所有権を確保できます。
- 容量とコストの自由: NASの容量が許す限り、どれだけ写真が増えても追加の月額費用はかかりません。容量が足りなくなれば、比較的安価にストレージを拡張できます。
- 賢く便利な管理機能: AIによる自動整理、強力な検索機能、柔軟な共有機能など、あなたの写真ライブラリを効率的に整理し、活用するための豊富なツールが揃っています。
スマートフォンやクラウドサービスの容量制限に悩まされることなく、複数の場所に分散した写真データを探し回る手間から解放され、そして何より、あなたの写真が誰かに見られるかもしれないという不安から自由になること。これがSynology Photosが提供する最も価値のある体験です。
Synology Photosは、Photo StationとMomentsというSynologyの長年の写真管理開発の経験が集約された、完成度の高いアプリケーションです。使いやすさと高機能を両立し、写真管理における現代的な課題の多くを解決してくれます。
もしあなたがSynology NASユーザーでありながら、まだSynology Photosを本格的に活用していないのであれば、ぜひこの記事を参考に、あなたの写真ライブラリをSynology Photosに集約してみてください。そして、AIによる自動整理の便利さ、自宅からの高速アクセス、そして何より「自分のデータは自分で守っている」という安心感をぜひ体験してください。
Synology Photosは、単なる写真管理ツールではなく、あなたのデジタルライフにおける大切な思い出を守り、豊かにするためのパートナーとなるでしょう。さあ、Synology Photosで、あなたの写真をもっと賢く、もっと楽しく管理しましょう!