Ubuntu ディスク容量の確認方法【初心者向け】徹底解説
Linuxディストリビューションの中でも特に人気が高いUbuntu。デスクトップ用途からサーバーまで幅広く利用されています。Ubuntuを使っていると、ふと「ディスクの容量はどれくらい残っているんだろう?」「特定のファイルやフォルダが容量を圧迫していないか?」と気になるときがあるでしょう。
ディスク容量の確認は、Ubuntuを快適に使い続ける上で非常に重要です。容量が不足すると、新しいソフトウェアがインストールできなかったり、システムのアップデートができなくなったり、最悪の場合はOSが正常に動作しなくなることもあります。
この記事では、Ubuntuを使い始めたばかりの初心者の方でも理解できるよう、ディスク容量を確認するための様々な方法を、コマンドラインツールからGUIツールまで、詳細な使用例とともに徹底的に解説します。
この記事で学べること:
- なぜディスク容量の確認が必要なのか
- ファイルシステム全体の空き容量を確認する
dfコマンドの使い方 - 特定のディレクトリやファイルの容量を確認する
duコマンドの使い方 dfとduの違いと使い分け- 視覚的にディスク使用量を確認できるGUIツールの使い方
- 容量が不足した場合の一般的な対処法
- ディスク容量管理のベストプラクティス
- よくある質問(FAQ)
さあ、あなたのUbuntuのディスク容量について、詳しく見ていきましょう。
1. なぜディスク容量の確認が必要なのか?
コンピューターのストレージ(ハードディスクやSSDなど)は、OS、アプリケーション、そしてあなたの大切なデータ(写真、動画、ドキュメントなど)を保管する場所です。このストレージの容量は無限ではありません。容量がいっぱいになってしまうと、様々な問題が発生します。
ディスク容量の確認が重要な主な理由は以下の通りです。
- システムの安定性維持とアップデート: Ubuntuのシステムファイルやアプリケーションは、定期的にアップデートされます。これらのアップデートには追加のディスク容量が必要になることがよくあります。容量が不足していると、アップデートが失敗したり、システムが不安定になったりする可能性があります。
- 新しいソフトウェアのインストール: 新しいアプリケーションやツールをインストールするには、当然ながらそれらを保存するためのスペースが必要です。容量がなければインストールはできません。
- データの保存: 写真、動画、音楽、ドキュメントなどの個人的なデータを保存するスペースが必要です。容量が不足すると、新しいファイルを保存できなくなります。
- パフォーマンスの低下: ディスク容量が極端に少なくなると、システムが一時ファイルを書き込めなくなったり、スワップ領域(メモリが不足したときにディスクの一部をメモリのように使う領域)が確保できなくなったりして、システムの動作が遅くなることがあります。
- 予期せぬエラーの回避: 一部のアプリケーションは、動作中に一時ファイルを生成します。十分な空き容量がないと、これらのアプリケーションがエラーを起こしたり、クラッシュしたりすることがあります。
これらの問題を未然に防ぎ、Ubuntuシステムを常に最適な状態で使用するためには、定期的にディスク容量を確認し、必要に応じて不要なファイルを削除したり、データを整理したりすることが不可欠です。
2. ディスク容量確認の基本的なコマンド: df
Linuxコマンドラインでディスク容量(正確にはファイルシステム単位の空き容量)を確認するための最も基本的なコマンドは df です。df は “disk free” の略で、マウントされているファイルシステムのディスク容量の使用状況を表示します。
ターミナル(端末)を開いて、以下のコマンドを入力してみましょう。
bash
df
実行すると、以下のような出力が表示されるはずです(内容はシステムによって異なります)。
ファイルシステム 1K-ブロック 使用 使用可 使用率% マウント地点
udev 4004980 0 4004980 0% /dev
tmpfs 80348 1688 78660 3% /run
/dev/sda1 121793300 17856328 103936972 15% /
tmpfs 401736 0 401736 0% /dev/shm
tmpfs 5120 4 5116 1% /run/lock
tmpfs 401736 0 401736 0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda15 1048572 303880 744692 29% /boot/efi
tmpfs 80344 16 80328 1% /run/user/1000
/dev/sdb1 975977980 543210980 432767000 56% /mnt/data
この出力にはいくつかの列がありますが、このままだと「1K-ブロック」という単位が分かりにくく、容量が直感的に把握しにくいですね。
2.1. 人間が読める形式で表示する (-h オプション)
容量をもっと分かりやすく、キロバイト (K)、メガバイト (M)、ギガバイト (G)、テラバイト (T) といった単位で表示したい場合は、-h (human-readable) オプションを使います。
bash
df -h
出力例:
ファイルシステム サイズ 使用 使用可 使用率% マウント地点
udev 3.9G 0 3.9G 0% /dev
tmpfs 79M 1.7M 77M 3% /run
/dev/sda1 117G 18G 100G 15% /
tmpfs 393M 0 393M 0% /dev/shm
tmpfs 5.0M 4.0K 5.0M 1% /run/lock
tmpfs 393M 0 393M 0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda15 1024M 297M 728M 29% /boot/efi
tmpfs 79M 16K 79M 1% /run/user/1000
/dev/sdb1 931G 518G 413G 56% /mnt/data
こちらの表示の方が断然分かりやすいですね!各列の意味を見ていきましょう。
- ファイルシステム (Filesystem): 容量が表示されているファイルシステムのデバイス名や種類です。
/dev/sda1のようなものは、物理的なストレージデバイス上のパーティションを示します。tmpfsやudevは、物理的なディスクではなくメモリ上に作られる一時的なファイルシステムです。/dev/sda1のように/にマウントされている行が、OSのシステムファイルやあなたのホームディレクトリなどが保存されているメインのパーティションであることが多いです。 - サイズ (Size): そのファイルシステムの合計容量です。
- 使用 (Used): そのファイルシステムで現在使用されている容量です。
- 使用可 (Avail): そのファイルシステムで現在利用可能な容量です。
- 使用率% (Use%): 容量全体に対する使用済みの容量の割合です。(
使用 ÷ サイズ × 100で計算されます) - マウント地点 (Mounted on): そのファイルシステムがシステム上のどこにマウント(接続)されているかを示します。
/はルートディレクトリ、/homeはユーザーのホームディレクトリ、/boot/efiはシステムの起動に関するファイルが置かれる場所など、重要な場所がマウントされています。
通常、私たちが確認したいのは、OSやホームディレクトリが置かれているメインのパーティション(マウント地点が / や /home の行)の容量です。上記の例では、/dev/sda1 が / にマウントされており、サイズが 117G、使用済みが 18G、利用可能が 100G、使用率が 15% であることが分かります。
2.2. ファイルシステムの種類も表示する (-T オプション)
ファイルシステムの種類(例えば ext4, XFS, NTFS など)を知りたい場合は、-T (print type) オプションを使います。
bash
df -hT
出力例:
ファイルシステム タイプ サイズ 使用 使用可 使用率% マウント地点
udev devtmpfs 3.9G 0 3.9G 0% /dev
tmpfs tmpfs 79M 1.7M 77M 3% /run
/dev/sda1 ext4 117G 18G 100G 15% /
tmpfs tmpfs 393M 0 393M 0% /dev/shm
tmpfs tmpfs 5.0M 4.0K 5.0M 1% /run/lock
tmpfs tmpfs 393M 0 393M 0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda15 vfat 1024M 297M 728M 29% /boot/efi
tmpfs tmpfs 79M 16K 79M 1% /run/user/1000
/dev/sdb1 ext4 931G 518G 413G 56% /mnt/data
「タイプ (Type)」列が追加され、各ファイルシステムの種類が表示されています。Ubuntuの標準的なファイルシステムは ext4 です。USBメモリやSDカードを接続すると vfat や ntfs といったファイルシステムが表示されることもあります。
2.3. 特定のファイルシステムのみ表示/除外する (-t, -x オプション)
たくさんのファイルシステムが表示されていて、見たいものだけを絞りたい場合は、-t (type) または -x (exclude-type) オプションを使います。例えば、物理ディスク上のファイルシステム(ext4, vfatなど)だけを見たい場合、メモリ上のファイルシステムである tmpfs を除外すると見やすくなります。
tmpfs を除外する場合:
bash
df -h -x tmpfs
出力例:
ファイルシステム サイズ 使用 使用可 使用率% マウント地点
udev 3.9G 0 3.9G 0% /dev
/dev/sda1 117G 18G 100G 15% /
/dev/sda15 1024M 297M 728M 29% /boot/efi
/dev/sdb1 931G 518G 413G 56% /mnt/data
特定のタイプ(例えば ext4)だけを表示する場合:
bash
df -h -t ext4
出力例:
ファイルシステム サイズ 使用 使用可 使用率% マウント地点
/dev/sda1 117G 18G 100G 15% /
/dev/sdb1 931G 518G 413G 56% /mnt/data
このように、-t や -x オプションを使うことで、出力の中から必要な情報だけを抜き出すことができます。通常、ストレージ容量として気にするのは物理ディスク上のファイルシステムなので、一時的なファイルシステムである tmpfs, udev, devtmpfs, cgroup などを -x で除外すると分かりやすくなります。
bash
df -h -x tmpfs -x devtmpfs -x overlay -x cgroup
-x オプションは複数指定することも可能です。overlay はDockerなどで使われるファイルシステムです。
2.4. inode の使用状況確認 (-i オプション)
ディスク容量の確認とは少し異なりますが、関連する重要な情報として inode の使用状況があります。inode(アイノード)とは、Linuxファイルシステムがファイルやディレクトリを管理するための情報(ファイルの所有者、パーミッション、サイズ、作成/更新日時など)を格納するデータ構造です。ファイルやディレクトリごとにinodeが割り当てられます。
通常、ディスク容量が先に不足しますが、非常に小さなファイルを大量に作成すると、ディスク容量には余裕があっても、inodeを使い切ってしまうことがあります。inodeが枯渇すると、新しいファイルやディレクトリを作成できなくなります。
inodeの使用状況を確認するには -i (inodes) オプションを使います。
bash
df -hi
出力例:
ファイルシステム Iノード I使用 I使用可 I使用率% マウント地点
udev 3.9M 461 3.9M 1% /dev
tmpfs 79K 636 78K 1% /run
/dev/sda1 7.3M 444K 6.8M 7% /
tmpfs 393K 18 393K 1% /dev/shm
tmpfs 5.0M 4 5.0M 1% /run/lock
tmpfs 393K 16 393K 1% /sys/fs/cgroup
/dev/sda15 1000K 389 1000K 1% /boot/efi
tmpfs 79K 120 79K 1% /run/user/1000
/dev/sdb1 58M 803K 57M 2% /mnt/data
この出力では、「Iノード」「I使用」「I使用可」「I使用率%」の列が追加されています。これらはそれぞれinodeの合計数、使用済みのinode数、利用可能なinode数、使用率を示します。ディスク容量の使用率が低くても、inodeの使用率が100%に近い場合は注意が必要です。
2.5. df コマンドのその他の便利なオプション
df コマンドには他にも便利なオプションがあります。いくつか紹介します。
-a,--all: 容量が0のファイルシステムも含め、すべてのファイルシステムの情報を表示します。通常は容量が0のものは表示されません。--total: 表示されるファイルシステムの合計容量を最後の行に表示します。-P,--portability: POSIX規格に準拠した出力形式にします(通常とあまり変わりませんが、スクリプトなどで処理しやすい形式です)。--sync: 表示する前に、全てのファイルシステムのバッファをディスクに同期します。これにより、より正確な最新の使用状況が表示される可能性がありますが、時間がかかることがあります。通常は不要です。-B,--block-size=SIZE: 容量の単位を指定します。例えば-B Mでメガバイト単位、-B Gでギガバイト単位で表示できます。-hオプションの方が人間には分かりやすいですが、特定の単位で厳密に見たい場合に便利です。
例えば、すべてのファイルシステムの合計容量をメガバイト単位で表示したい場合:
bash
df -a --total -B M
ただし、初心者の方はまずは -h オプションの使い方をしっかりマスターすれば十分でしょう。
2.6. まとめ: df コマンドの使い分け
- ファイルシステム全体の空き容量を手軽に確認したい:
df -h - ファイルシステムの種類も知りたい:
df -hT - 特定のファイルシステム(例: ext4)だけ見たい:
df -h -t ext4 - 一時ファイルシステムなどを除外して見やすくしたい:
df -h -x tmpfs -x devtmpfs ... - inodeの使用状況を確認したい:
df -hi
df コマンドは、ファイルシステム単位の容量全体を把握するのに非常に役立ちます。しかし、「どこが容量をたくさん使っているのか?」を知りたい場合には、別のコマンドが必要です。それが次に説明する du コマンドです。
3. ディレクトリ(フォルダ)ごとの容量を確認するコマンド: du
df コマンドがファイルシステム「全体」の空き容量や使用済み容量を表示するのに対し、du コマンドは “disk usage” の略で、「特定のファイルやディレクトリ」がどれくらいの容量を使っているかを表示します。
これが、「どこが容量を圧迫しているか」を調べる際に非常に強力なツールとなります。
3.1. df と du の違い
df と du はどちらもディスク容量に関連するコマンドですが、取得する情報と算出方法が異なります。
df: ファイルシステム が報告する容量情報を参照します。ディスク全体のサイズ、使用済み、利用可能を「ファイルシステム単位」で表示します。これはファイルシステムが管理するメタデータに基づいています。削除されたファイルでも、そのファイルを開いているプロセスが残っている場合、ディスク上の領域は解放されず、dfの使用済み容量には反映されないことがあります。du: 指定したディレクトリやファイルに実際にアクセスし、含まれるファイルのサイズを合計して容量を計算します。これはファイルシステムの内容を「物理的に」スキャンします。削除されたファイルでまだディスクが解放されていない領域は、duの計算には含まれません。
この違いから、df と du で同じパーティションの容量を計算した場合でも、微妙に値が異なることがあります。通常、df はシステム全体の空き容量を素早く確認するのに使い、du は特定の場所(ディレクトリ)がどれだけ容量を使っているかを詳細に調べるのに使います。
3.2. du コマンドの基本的な使い方
du コマンドは、引数に確認したいファイルやディレクトリのパスを指定します。引数を省略すると、現在のディレクトリ以下の容量を表示します。
現在のディレクトリ以下の容量を確認する場合(サブディレクトリも全て表示されるため、非常に長い出力になる可能性があります):
bash
du
特定のディレクトリ(例: /home/your_username/Documents)の容量を確認する場合:
bash
du /home/your_username/Documents
引数として指定したディレクトリ内の全てのサブディレクトリとファイルの容量が、再帰的に表示されます。一番下に、指定したディレクトリ自体の合計容量が表示されます。
出力例(du /home/user/Documents の場合):
4 /home/user/Documents/report.txt
8 /home/user/Documents/images/photo1.jpg
12 /home/user/Documents/images
4 /home/user/Documents/data/config.ini
8 /home/user/Documents/data
28 /home/user/Documents
デフォルトの単位はシステムによって異なりますが、通常はブロック数(通常512バイトまたは1キロバイト)で表示されます。これも df と同様に、人間が読める形式にしたいところです。
3.3. 人間が読める形式で表示する (-h オプション)
df と同じように、du も -h (human-readable) オプションで容量を分かりやすい単位 (K, M, G, T) で表示できます。
bash
du -h /home/user/Documents
出力例:
4.0K /home/user/Documents/report.txt
8.0K /home/user/Documents/images/photo1.jpg
12K /home/user/Documents/images
4.0K /home/user/Documents/data/config.ini
8.0K /home/user/Documents/data
28K /home/user/Documents
これで容量が直感的に把握しやすくなりました。
3.4. 合計サイズのみを表示する (-s オプション)
du のデフォルト出力は、指定したディレクトリ内の全てのサブディレクトリの容量を表示するため、非常に長いリストになることがあります。もし、指定したディレクトリ自身の合計容量だけを知りたい場合は、-s (summarize) オプションを使います。
bash
du -sh /home/user/Documents
出力例:
28K /home/user/Documents
-s オプションと -h オプションを組み合わせた -sh は、特定のディレクトリがどれくらいの容量を占めているかを素早く確認するのに非常によく使われる組み合わせです。
例: ホームディレクトリ全体の容量を確認する
bash
du -sh /home/your_username
例: ダウンロードディレクトリの容量を確認する
bash
du -sh ~/Downloads
(~ はホームディレクトリのショートカットです)
3.5. 指定した深さまで表示する (-d オプション)
デフォルトでは、du はサブディレクトリを再帰的に深く追っていきます。しかし、知りたいのは「このディレクトリの直下にある各サブディレクトリの容量」だけで、それより深い階層の情報は不要な場合もあります。このような場合に -d (max-depth) オプションを使います。
例えば、/var ディレクトリ直下の各ディレクトリの容量を知りたいが、それより下の階層は見たくない場合、深さを 1 に指定します。
bash
du -h -d 1 /var
出力例:
4.0K /var/backups
16M /var/cache
4.0K /var/crash
4.0K /var/local
0 /var/mail
4.0K /var/opt
60K /var/snap
4.0K /var/spool
1.5G /var/log
288M /var/lib
4.0K /var/metrics
1.8G /var
この出力の最後の行 (1.8G /var) が、/var ディレクトリ全体の合計容量です。それより上の行は、/var の直下にある各ディレクトリ (backups, cache, log, lib など) の合計容量を示しています。このオプションを使うと、どのサブディレクトリが容量を多く使っているかを階層を絞って効率的に調べることができます。
深さを 0 に指定すると、-s オプションと同じように指定したディレクトリ自身の合計容量だけが表示されます。
“`bash
du -h -d 0 /var
これは du -sh /var と同じ結果になります
“`
3.6. 特定のファイルやディレクトリを除外する (--exclude オプション)
容量を確認する際に、特定の種類のファイル(例: .iso ファイル)や特定のディレクトリを除外したい場合があります。--exclude オプションを使うと、指定したパターンに一致するファイルやディレクトリを容量計算から除外できます。
例えば、現在のディレクトリ以下で .iso ファイルを除外して容量を計算したい場合:
bash
du -h --exclude='*.iso' .
特定のサブディレクトリ(例: temp ディレクトリ)を除外したい場合:
bash
du -h --exclude='temp' .
特定のディレクトリとその中の全てのファイルを除外したい場合、パターンはワイルドカード * を使う必要があります。
bash
du -h --exclude='temp/*' .
複数のパターンを除外したい場合は、--exclude オプションを複数回指定します。
bash
du -h --exclude='temp/*' --exclude='*.log' .
3.7. du コマンドのその他の便利なオプション
-a,--all: ディレクトリだけでなく、ファイル の容量も一つずつ表示します。デフォルトではディレクトリの合計容量(そのディレクトリ内のファイルとサブディレクトリの合計)が表示されます。-c,--total: 表示される各項目に加えて、すべての項目の合計容量を最後に表示します。-sオプションを使わずに全体の合計を知りたい場合に便利です。--apparent-size: ファイルシステムが報告する「実際のディスク使用量」ではなく、ファイルそのものの「見かけ上のサイズ」を表示します。圧縮ファイルシステムや疎なファイル(sparse file)などでは、見かけ上のサイズと実際のディスク使用量が異なることがあります。通常はデフォルトの「実際のディスク使用量」で確認します。--block-size=SIZE:-hオプションのように自動で単位を調整するのではなく、指定した単位で厳密に表示します。例えば--block-size=1Mで常にメガバイト単位で表示できます。
3.8. du と他のコマンドを組み合わせて容量の大きいディレクトリを特定する
du コマンドは、sort、head、tail といった他の標準コマンドと組み合わせることで、容量を多く消費している場所を効率的に見つける強力なツールになります。
例1: ルートディレクトリ / 直下で容量の大きいディレクトリ トップ10 を探す
ルートディレクトリは通常多くのファイルシステムがマウントされているため、-x オプションで他のファイルシステムのマウントポイントを除外すると、ルートパーティション自体の容量使用状況を見やすくなります。ここでは / パーティション(ext4 と仮定)の容量を確認し、その直下(深さ1)の各ディレクトリの容量でソートし、上位10件を表示してみましょう。
bash
sudo du -h -d 1 -x devtmpfs -x tmpfs -x cgroup -x overlay / | sort -h | tail -n 10
このコマンドの意味を解説します。
sudo: ルートディレクトリ/やその配下には通常ユーザーがアクセスできないディレクトリ(/rootなど)があるため、管理者権限で実行します。パスワードの入力を求められます。du -h -d 1: 人間が読める形式 (-h) で、深さ1 (-d 1) までのディレクトリ容量を表示します。/の直下にあるディレクトリ(/bin,/etc,/home,/varなど)と/自体の合計容量が表示されます。-x ...: 一時ファイルシステムや他のマウントポイントを除外します。これにより、/パーティション自身の容量計算が正確になります。|: パイプ(pipe)です。左側のコマンドの標準出力を右側のコマンドの標準入力に渡します。sort -h:du -hの出力を、人間が読める形式の数値 (-h) としてソートします。デフォルトでは昇順(小さい順)になります。|: もう一度パイプで繋ぎます。tail -n 10: 入力されたデータの最後の10行を表示します。sortコマンドはデフォルトで昇順なので、最後の10行が容量の大きい方から10件ということになります。
このコマンドを実行すると、ルートディレクトリ直下で容量を最も消費しているディレクトリが上位10件、大きい順に表示されます。通常、/var (ログ、キャッシュ、パッケージ情報など)、/opt (手動でインストールしたソフトウェアなど)、/usr (システムプログラムやライブラリなど)、/home (ユーザーデータ) あたりが大きく表示されることが多いです。
例2: ホームディレクトリ内の各ディレクトリの容量を確認する
自分のホームディレクトリ (~) の中で、どのサブディレクトリが一番容量を使っているかを調べたい場合。深さ1で、-s (summarize) オプションを使って各サブディレクトリの合計容量を表示し、それらをソートします。
bash
du -sh ~/.[^.]* ~/.[^.]*/.* ~/.[^.]*/.*/.* */ .?* | sort -h | tail
(注: 上記コマンドは隠しファイル/ディレクトリも含めるための複雑なパターンですが、単純にホームディレクトリ直下を見る場合は以下のようにします)
bash
du -sh ~/.* ~/.[^.]* */ | sort -h
または、もっと簡単に深さを指定して、du -h -d 1 ~ とすると、ホームディレクトリ直下の各ディレクトリの容量とホームディレクトリ全体の容量が表示されます。そこから大きいものを手動で見つけるか、以下のように sort と tail を使います。
bash
du -h -d 1 ~ | sort -h | tail
これでもホームディレクトリ直下のサブディレクトリの容量が表示され、大きいものから10件が最後に表示されます。ただし、この出力にはホームディレクトリ自体の合計容量も含まれる点に注意してください。
より正確に、ホームディレクトリ直下の各サブディレクトリの容量だけを大きい順に見たい場合は、以下のコマンドが使えます。
“`bash
ホームディレクトリ直下の隠しディレクトリも含む、各サブディレクトリに対して du -sh を実行し、ソート
du -sh /home/your_username/ /home/your_username/.[^.] | sort -h
``.[^.]*` は隠しディレクトリにマッチさせるためのパターンです。)
(
上記のコマンドを実行すると、あなたのホームディレクトリ直下にある Desktop, Documents, Downloads, Pictures, Videos, .cache, .config, .local などの各ディレクトリが使用している合計容量がリストアップされ、容量の少ない順にソートされます。容量の多い順に見たい場合は、最後に | tail を付ければ良いでしょう。
これらの例のように、du コマンドは単体で使うだけでなく、他のコマンドと組み合わせることで、ディスク使用状況の調査能力が飛躍的に向上します。特に容量が不足してきたときには、「どのディレクトリが原因か?」を特定するために、これらの組み合わせ技が非常に役立ちます。
3.9. まとめ: du コマンドの使い分け
- 特定のディレクトリ以下のファイルとサブディレクトリ全ての容量を確認したい:
du /path/to/directory - 上記の容量を人間が読める形式で確認したい:
du -h /path/to/directory - 特定のディレクトリ自身の合計容量だけを知りたい:
du -sh /path/to/directory - 特定のディレクトリ直下の各サブディレクトリの容量を知りたい:
du -h -d 1 /path/to/directory - 容量の大きいディレクトリを効率的に見つけたい:
du -h -d 1 /some/path | sort -h | tail
4. GUI ツールでの確認方法
コマンドラインでの操作に慣れていない初心者の方にとって、コマンドを打つのは少しハードルが高いかもしれません。幸いなことに、Ubuntuにはディスクの使用状況を視覚的に分かりやすく表示してくれるGUIツールが標準で搭載されています。
そのツールは「ディスク使用量アナライザー」(Disk Usage Analyzer)という名前です。Ubuntuのアプリケーションメニューから起動できます。
4.1. ディスク使用量アナライザー (Baobab) の起動
- 画面左上の「アクティビティ」(またはUbuntuボタン)をクリックします。
- 検索バーに「ディスク使用量」と入力します。
- 表示された「ディスク使用量アナライザー」のアイコンをクリックして起動します。
または、ターミナルから以下のコマンドで起動することもできます。
bash
baobab
4.2. ディスク使用量アナライザーの使い方
ツールを起動すると、自動的にコンピュータのファイルシステムをスキャンし始めます。スキャンが完了すると、以下のような画面が表示されます。
画面は大きく分けて3つの領域に分かれています。
- 左側のリスト表示エリア: コンピュータにマウントされているファイルシステム(パーティションや外部ドライブなど)がリスト表示されます。それぞれの合計容量、使用済み容量、空き容量が確認できます。
- 中央のグラフ表示エリア: 選択したファイルシステムやディレクトリ内の容量を、円グラフやツリーマップ(四角形の集合)で視覚的に表示します。各セグメントや四角形のサイズが、容量の使用率に対応しています。
- 右側のディレクトリツリー表示エリア: 選択したファイルシステム内のディレクトリ構造がツリー形式で表示されます。各ディレクトリの容量や含まれるファイル数が表示され、クリックしてドリルダウンしていくことができます。
主な操作方法:
- ファイルシステムの選択: 左側のリストから確認したいファイルシステム(例: 「ファイルシステム /」や接続したUSBドライブなど)をクリックします。中央と右側の表示が更新されます。
- グラフの操作: 中央のグラフ(デフォルトは円グラフ)は、扇形をクリックすると、その部分のディレクトリ構造にドリルダウンして表示を切り替えることができます。元の階層に戻るには、グラフの中心部分や上部のパス表示をクリックします。
- ディレクトリツリーの操作: 右側のツリービューでディレクトリ名をクリックすると、そのディレクトリの詳細情報が表示されます。矢印アイコンをクリックすると、そのディレクトリの中身を展開・折り畳みできます。
- 容量の大きい場所を探す: 中央のグラフで大きな扇形や四角形になっている部分が、容量を多く使っているディレクトリです。それをクリックしてさらに詳しく見ていくことで、容量の消費源を特定できます。右側のツリービューでも、容量の大きいディレクトリは一目で分かります。
- ファイルの場所を開く: 右側のツリービューでファイルやディレクトリを右クリックすると、「フォルダを開く」などのオプションが表示され、ファイルマネージャーでその場所を開くことができます。これで不要なファイルを直接削除することが可能です。
- 表示形式の切り替え: ツールバーにあるボタンで、グラフ表示を円グラフとツリーマップで切り替えたり、容量の単位(KB, MB, GB)を切り替えたりできます。
ディスク使用量アナライザーは、コマンドラインを使わなくても、直感的な操作でディスクの全体的な使用状況を把握し、容量を多く消費している場所を視覚的に特定できるため、初心者の方には特におすすめの方法です。どのディレクトリやファイルが容量を圧迫しているのかがグラフで一目瞭然なので、次に説明する「容量不足時の対処法」に移る際の原因特定に非常に役立ちます。
5. 容量が不足した場合の対処法
df や du コマンド、またはディスク使用量アナライザーを使って、ディスク容量が残り少ないことが判明したり、特定のディレクトリが異常に大きくなっていることが分かったりした場合、容量を解放するための対策を講じる必要があります。
以下に、容量不足を解消するための一般的な対処法をいくつか紹介します。
5.1. 不要なファイルの削除
最も基本的な対処法です。気づかないうちに溜まっていく不要なファイルを削除します。
- ゴミ箱を空にする: GUIのファイルマネージャーでゴミ箱アイコンを右クリックし、「ゴミ箱を空にする」を選択します。またはターミナルから
rm -rf ~/.local/share/Trash/*コマンドでも削除できます(慎重に実行してください)。 - ダウンロードディレクトリ (
~/Downloads) の整理: ダウンロードしたファイルの中に、もう必要ないものがあれば削除します。 - 一時ファイルやキャッシュファイルの削除:
- APTパッケージマネージャーのキャッシュをクリアする:
bash
sudo apt autoremove # 不要になった依存関係にあるパッケージを削除
sudo apt clean # ダウンロード済みのパッケージファイルを削除 - ユーザーのキャッシュディレクトリ (
~/.cache) の中身を削除する:
bash
rm -rf ~/.cache/*
(注: これにより一部のアプリケーションの起動が遅くなることがありますが、通常は安全です。心配な場合は、ディレクトリの中身を確認してから削除するか、まずは一時ファイルっぽいものだけを削除します。)
- APTパッケージマネージャーのキャッシュをクリアする:
- 古いログファイルの削除: システムやアプリケーションのログファイルは
/var/logディレクトリに保存され、時間とともに大きくなることがあります。ただし、システムが管理しているログファイル(logrotateなど)を手動で削除する場合は注意が必要です。通常はsudo apt cleanや古いカーネルの削除で十分な場合が多いです。特定のログファイルが異常に大きい場合は調査が必要です。
5.2. 大きなファイルの特定と削除/移動
du コマンドやディスク使用量アナライザーを使って、容量を最も消費しているファイルやディレクトリを特定します。
duとsortを使って大きなファイルをリストアップする:
特定のディレクトリ以下で、容量の大きいファイルを見つけたい場合、findコマンドとduを組み合わせる方法があります。例えば、ホームディレクトリ以下で100MBより大きいファイルを探す場合:
bash
find ~ -type f -size +100M -print0 | xargs -0 du -h | sort -h
(-print0とxargs -0はファイル名にスペースなどが含まれていても正しく処理するためのテクニックです。)
または、特定のディレクトリ内のファイルサイズをリストアップし、大きい順にソートする:
bash
du -h ~/Videos/* | sort -rh | head -n 10
(動画ディレクトリ内のファイル容量を逆順ソートして上位10件を表示)- ディスク使用量アナライザーを使う: GUIツールでグラフやツリービューを見ながら、直感的に大きなファイルやディレクトリを見つけ、右クリックメニューからファイルマネージャーで開いて削除します。動画、音楽、大量の写真、ISOイメージファイルなどが容量を圧迫していることが多いです。
- 削除だけでなく移動も検討: すぐに削除できない重要なデータでも、あまり使わないものは外付けHDDやクラウドストレージに移動させることで、システムディスクの容量を解放できます。
5.3. 不要なソフトウェアのアンインストール
もう使わないアプリケーションはアンインストールしましょう。特にサイズの大きいアプリケーションは容量を大きく解放できます。
Ubuntuソフトウェアセンターからアンインストールする方法と、コマンドラインを使う方法があります。
- Ubuntuソフトウェアセンター: ソフトウェアセンターを開き、「インストール済み」タブなどで不要なアプリケーションを見つけてアンインストールします。
- コマンドライン (apt): アプリケーション名を指定してアンインストールします。
bash
sudo apt remove package_name
完全に設定ファイルなども削除したい場合は--purgeオプションを追加します。
bash
sudo apt remove --purge package_name
アンインストール後、不要になった依存関係のパッケージをまとめて削除します。
bash
sudo apt autoremove
5.4. 古いカーネルの削除
Ubuntuではシステムアップデートの際に新しいLinuxカーネルがインストールされますが、古いカーネルはすぐに削除されず、複数世代分がシステムに残るようになっています。これは、新しいカーネルに問題があった場合に古いカーネルで起動し直せるようにするためです。しかし、古いカーネルはそれぞれ数十MBから数百MBの容量を使用するため、溜まってくると無視できないサイズになります。
不要になった古いカーネルは apt autoremove コマンドでまとめて削除できます。
まず、現在使用しているカーネルのバージョンを確認します。
bash
uname -r
そして、インストールされているカーネルのリストを確認します。
bash
dpkg -l | grep linux-image
これらのリストを見て、現在使用しているバージョン以外の古いカーネル(linux-image-x.y.z-... のような名前)があれば、sudo apt autoremove で削除できます。
bash
sudo apt autoremove
apt autoremove は、もうどのパッケージからも依存されていない(つまり不要になった)パッケージを削除するコマンドです。古いカーネルも通常はこの対象に含まれるため、このコマンド一発でクリーンアップできます。ただし、念のため、実行時に表示される削除対象のリストの中に、自分が残しておきたい重要なパッケージが含まれていないか確認しましょう。
5.5. その他
- Swapファイルのサイズ調整: SwapファイルやSwapパーティションはデフォルトで設定されますが、メモリを多く搭載しているシステムではそこまで大きなサイズは必要ない場合があります。設定を変更してサイズを小さくすることで容量を解放できますが、これはやや上級者向けの作業になります。
- パーティションのリサイズ: もし隣接するパーティションに空き容量がある場合、パーティションサイズを変更してシステムパーティション(
/がマウントされているパーティション)を拡張することで容量を増やすことができます。しかし、この操作は失敗するとデータが失われるリスクがあり、慎重に行う必要があります。通常はLive USBなどから起動して行う作業です。初心者の方は無理に行わない方が良いでしょう。 - 外部ストレージの利用: 重要なデータや容量の大きいファイルは、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、ネットワークストレージ (NAS)、クラウドストレージサービス (Google Drive, Dropbox, OneDriveなど) に移動して保管することで、システムディスクの容量を解放できます。
容量不足はシステムの安定性に関わるため、早めに対処することが重要です。まずは不要なファイルの削除やキャッシュのクリア、古いカーネルの削除といったリスクの少ない方法から試してみましょう。
6. ディスク容量管理のベストプラクティス
ディスク容量の管理は一度行えば終わり、というものではありません。システムを使っている限り、容量は少しずつ消費されていきます。常に快適な環境を維持するために、いくつかのベストプラクティスを紹介します。
- 定期的なチェック: 週に一度、または月に一度など、定期的に
df -hコマンドでシステム全体の空き容量を確認する習慣をつけましょう。使用率が80%を超えてきたら、本格的な整理に取り掛かる目安とすると良いでしょう。 - ファイルを整理整頓する習慣: ファイルをダウンロードしたり作成したりする際に、分かりやすい場所に保存し、不要になったらすぐに削除する習慣をつけましょう。デスクトップやダウンロードフォルダにファイルを溜め込みすぎないように注意します。
- 不要なソフトウェアを溜め込まない: もう使わないアプリケーションは、すぐにアンインストールするようにしましょう。
- 大きなファイルを意識する: 動画ファイルやISOイメージ、仮想マシンのイメージファイルなど、一つのファイルで容量を大きく消費するものは、どこに置いているかを把握しておき、定期的に見直しましょう。
- 自動化ツールの活用: システムのログファイル管理やキャッシュのクリアなど、一部のクリーンアップ作業はシステムによって自動的に行われています (
logrotate,aptのキャッシュ管理など)。これらの設定を理解しておくと、手動でのクリーンアップの必要性を減らせます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: df と du の値が違うのはなぜですか?
A1: df はファイルシステムが報告する全体の使用状況を、du は特定のファイルやディレクトリの合計サイズを計算します。両者は算出方法が異なるため、値が一致しないことがあります。主な理由として以下が挙げられます。
- 削除されたファイルがまだ解放されていない: ファイルを削除しても、そのファイルを開いているプロセスが終了するまで、ディスク上の領域はすぐに解放されないことがあります。
dfは解放されていない領域も含めて「使用済み」とカウントする場合がありますが、duはファイルシステム上に存在するファイルだけをスキャンするため、削除されたファイルは計算に含まれません。 - ハードリンク: 複数のファイル名が同じinode(ディスク上の同じデータ)を指している場合(ハードリンク)、
duはそのデータを複数回カウントする可能性がありますが(オプションによる)、dfはファイルシステムが管理する実際のディスク使用量を報告するため重複は発生しません。 - マウントバインドやオーバーレイ: 特殊なマウント方法を使用している場合、
dfとduの計算に違いが出ることがあります。 - 予約領域:
ext4などのファイルシステムは、デフォルトで一部の容量(通常は5%)をrootユーザーのために予約しています。これはシステムが容量不足で起動できなくなるのを防ぐためです。dfはこの予約領域を「使用可能」な容量に含めないことがありますが、duはファイルサイズを合計するため、予約領域は意識しません。
通常の使用においては、これらの違いは無視できる範囲内であることが多いですが、大きく異なる場合は上記のような理由が考えられます。
Q2: ルートディレクトリ(/)の容量がすぐいっぱいになります。なぜですか?
A2: ルートディレクトリはシステムの中心であり、OSのシステムファイルだけでなく、/var (ログ、キャッシュ、パッケージ情報)、/usr (アプリケーション、ライブラリ)、/opt (追加ソフトウェア)、/home (ユーザーデータ、別のパーティションにしない場合) など、多くの重要なディレクトリが含まれています。
特に /var/log (ログファイル)、/var/cache/apt/archives (APTのパッケージキャッシュ)、/var/lib/docker (Dockerのイメージやコンテナ) などが肥大化しやすい場所です。また、ユーザーデータを /home ディレクトリ以下に保存している場合、写真や動画などで /home が / と同じパーティションにあると、/ 全体の容量を大きく消費します。
du -h -d 1 / | sort -h | tail のようなコマンドで、/ 直下で容量を消費しているディレクトリを特定し、その中をさらに du で掘り下げていくことで、容量を圧迫している原因を見つけることができます。
Q3: 「使用済み」と「利用可能」の合計が「サイズ」と一致しません。なぜですか?
A3: df コマンドの出力で、「使用済み」と「利用可能」を合計しても「サイズ」と一致しないことがあります。これは、ファイルシステムによっては一部の容量をルートユーザーのために予約しているためです(前述のQ1参照)。この予約領域は、通常ユーザーからは利用できませんが、ファイルシステムの「サイズ」には含まれています。df コマンドは通常ユーザー視点での「利用可能」容量を表示するため、予約領域は「利用可能」に含まれず、合計がサイズより小さくなります。
この予約領域も含めた合計容量を確認したい場合は、rootユーザーで df コマンドを実行するか、df --total オプションを使用してみてください。
また、ファイルシステムによっては、スーパーユーザー用に予約されたブロックを表示するオプション (df -h --sync) があります。
Q4: 容量を確認しても、何を消せばいいか分かりません。
A4: まずは以下の場所を確認してみてください。
~/Downloads: ダウンロードしたものの、もう不要になったファイルがあるかもしれません。~/.cache: アプリケーションのキャッシュファイルです。削除しても問題ないことが多いですが、心配なら中身を少し確認してみてください。- ゴミ箱: GUIのゴミ箱を空にしましょう。
sudo apt autoremoveとsudo apt clean: 不要なパッケージやキャッシュを安全に削除できます。du -h -d 1 ~やdu -h -d 1 /などで容量の大きいディレクトリを探す: ホームディレクトリ内やルートディレクトリ直下で容量を多く使っている場所を特定します。特に~/Videos,~/Pictures,~/Music,~/Documentsといったデータフォルダ、/var/log,/var/cache,/optなどを重点的に調べます。- ディスク使用量アナライザー (Baobab) を使う: 視覚的に容量の大きいファイルやディレクトリを見つけるのに最適です。
これらの場所を確認し、不要なものを特定して削除したり、外部ストレージに移動したりすることで、多くの場合は容量を解放できます。
8. まとめ
この記事では、Ubuntuのディスク容量を確認するための様々な方法を、初心者向けに詳細に解説しました。
- ファイルシステム全体の空き容量は
df -hコマンドで手軽に確認できます。 - 特定のディレクトリが使用している容量は
du -sh /path/to/directoryコマンドで確認できます。 - 容量を圧迫している場所を特定するには、
du -h -d N /path/to/directoryや、duとsort,tailを組み合わせたコマンドが強力です。 - コマンドラインが苦手な場合は、GUIツールの「ディスク使用量アナライザー」が非常に役立ちます。
- 容量が不足した場合は、不要ファイルの削除、大きなファイルの特定・移動・削除、不要ソフトウェアのアンインストール、古いカーネルの削除などが有効な対処法です。
- 定期的なチェックとファイル整理の習慣は、容量不足を防ぐ上で非常に重要です。
ディスク容量の管理は、Ubuntuシステムを安定して、そして快適に使い続けるために避けては通れない道です。これらのツールや方法をマスターして、あなたのUbuntu環境を常に最適な状態に保ちましょう。
この記事で紹介したコマンドやツールが、あなたのUbuntuライフの一助となれば幸いです。不明な点があれば、オンラインコミュニティやフォーラムで質問することもできます。さあ、今日からあなたのUbuntuのディスク容量を賢く管理していきましょう!