RufusでLinuxやWindowsのブータブルUSBを作成しよう

RufusでLinuxやWindowsのブータブルUSBを作成しよう:究極ガイド

はじめに

コンピュータの世界では、OSのインストール、システムのリカバリ、診断、あるいはOSを一時的に試してみたいなど、様々な状況で「ブータブルメディア」が必要になります。かつてはCD-ROMやDVDが主流でしたが、現代ではUSBメモリがその役割を担っています。小さくて持ち運びが容易なUSBメモリは、ブータブルメディアとして非常に便利です。

ブータブルUSBを作成するためのツールは数多く存在しますが、その中でも特に人気があり、高速かつ多機能で信頼性の高いツールが「Rufus」です。RufusはWindows上で動作し、WindowsやLinux、その他のOSのISOイメージから簡単にブータブルUSBを作成できます。その使いやすさとパワフルさから、多くの技術者や一般ユーザーに愛用されています。

この記事では、Rufusを使ってWindowsやLinuxのブータブルUSBを作成するための詳細な手順を、それぞれのOSに特化した注意点や設定オプションの説明を含めて徹底的に解説します。約5000語というボリュームで、初心者からある程度経験のあるユーザーまで、Rufusを使ったブータブルUSB作成に必要なすべての情報を網羅することを目指します。この記事を読めば、Rufusを使ったブータブルUSB作成に自信を持てるようになるはずです。

ブータブルUSBとは何か? なぜRufusを使うのか?

ブータブルUSBとは?

ブータブルUSBとは、コンピュータの起動時に、内蔵ストレージ(HDDやSSD)にインストールされているOSではなく、USBメモリに格納されたOSや起動可能なプログラムからコンピュータを立ち上げることができるように特別に設定されたUSBメモリのことです。

ブータブルUSBは以下のような用途で活用されます。

  • OSのインストール: 新しいコンピュータにOSをインストールしたり、既存のOSを再インストール・アップグレードしたりする場合に使用します。WindowsやLinuxのインストールメディアとして最も一般的です。
  • ライブOSの実行: USBメモリからOS(特にLinuxディストリビューション)を直接起動し、コンピュータのストレージに何も変更を加えることなくOSを試したり、一時的に使用したりできます。これは、OSの互換性を確認したり、トラブルシューティングを行ったりする際に便利です。
  • システムのリカバリと診断: OSが起動しなくなった場合やシステムに問題が発生した場合に、ブータブルUSBからリカバリ環境や診断ツールを起動して問題を解決します。ウイルススキャンツールやパーティション管理ツールなども、ブータブルメディアとして提供されることがあります。
  • パスワードリセット: ログインパスワードを忘れてしまった場合に、ブータブルツールを使ってパスワードをリセットまたは回避します。

なぜRufusを使うのか?

ブータブルUSB作成ツールはRufus以外にも存在しますが、Rufusが広く推奨される理由はその優れた特徴にあります。

  • 高速性: Rufusは他のツールと比較して、ブータブルUSBの作成速度が非常に高速です。これは、ISOイメージの読み込みやUSBメモリへの書き込みを効率的に行うように設計されているためです。
  • 使いやすさ: シンプルで直感的なユーザーインターフェースを備えており、基本的な操作は数回のクリックで完了します。複雑な設定も、必要なユーザー向けに提供されています。
  • 多機能性: Windowsのインストールメディア、LinuxのライブUSB、さらにはFreeDOSディスクなど、様々な種類のブータブルメディア作成に対応しています。特にWindowsのインストールメディア作成においては、UEFIとBIOS、GPTとMBRといった複雑な設定を適切に処理できる強力な機能を持ちます。
  • 携帯性: インストール不要のポータブルアプリケーションとして提供されているため、ダウンロードした実行ファイルをダブルクリックするだけで使用できます。レジストリを汚染することもありません。
  • 信頼性: 多くのユーザーによってテストされ、広く使われている実績があり、安定した動作が期待できます。
  • オープンソース: 無料で利用でき、ソースコードも公開されています。

これらの理由から、RufusはブータブルUSB作成ツールのデファクトスタンダードの一つとなっています。

Rufusのダウンロードとインストール

Rufusを使用する最初のステップは、Rufusの実行ファイルをダウンロードすることです。Rufusはインストールが不要なポータブルアプリケーションとして提供されています。

  1. Rufusの公式サイトにアクセス: Webブラウザを開き、Rufusの公式サイトにアクセスします。URLは通常 https://rufus.ie/ です。公式サイト以外からダウンロードすると、マルウェアなどが含まれている危険性があるため、必ず公式サイトを利用してください。
  2. ダウンロードセクションを見つける: サイトのページを下にスクロールすると、「ダウンロード」セクションがあります。
  3. 最新版をダウンロード: 通常、「ダウンロード」セクションの一番上にあるリンクがRufusの最新版です。通常は「Rufus [バージョン番号]」という名前のリンクになっています。
    • インストーラ版はなく、ポータブル版のみが提供されています。ファイルをダウンロードするだけで使用できます。
    • 「ポータブル」というキーワードが含まれているリンクは、設定ファイル(.iniファイル)をRufusと同じフォルダに保存するバージョンです。設定を持ち運びたい場合に便利ですが、通常版(ポータブルというキーワードがないもの)でもデフォルトでは設定ファイルは生成されません。どちらをダウンロードしても基本的な機能は同じです。
    • 「他のバージョン」のリンクをクリックすると、過去のバージョンやベータ版もダウンロードできますが、特別な理由がない限りは最新版をダウンロードすることを強く推奨します。最新版にはバグ修正や機能改善が含まれています。
  4. ファイルを保存: リンクをクリックすると、Rufusの実行ファイル(例: rufus-[バージョン番号].exe)がダウンロードされます。ダウンロード先を聞かれる場合は、分かりやすい場所に保存してください(例: デスクトップ、ダウンロードフォルダ)。

ダウンロードが完了したら、これでRufusを使用する準備は完了です。インストール作業は必要ありません。ダウンロードした実行ファイルをダブルクリックするだけでRufusが起動します。

注意点: RufusはUSBドライブへの書き込みを行うため、Windowsのユーザーアカウント制御(UAC)によって管理者権限が必要であることを尋ねられる場合があります。「はい」をクリックして許可してください。

ブータブルUSB作成の準備

実際にRufusを使ってブータブルUSBを作成する前に、いくつかの準備が必要です。

  1. 作業用PC: Windowsがインストールされているコンピュータが必要です。Rufusはこの上で動作します。
  2. USBメモリ: ブータブルメディアとして使用するUSBメモリが必要です。
    • 容量: 必要な容量は、作成するブータブルメディアの種類によって異なります。
      • Windows 10/11のインストールメディアの場合、通常8GB以上のUSBメモリが必要です。最新のWindowsイメージ(特にPro版など複数のエディションを含むもの)はファイルサイズが大きいため、余裕を持って16GB以上のUSBメモリを用意するのが安全です。
      • 一般的なLinuxディストリビューション(Ubuntu, Fedoraなど)のライブ/インストールメディアの場合、4GB〜8GB以上の容量が必要です。デスクトップ環境を含むフル機能版は8GB以上が推奨されます。
      • より小さなツールやミニマルなOSの場合は、1GBや2GBでも十分なことがあります。
      • 重要な注意: USBメモリの仕様上の容量と実際に使用できる容量は異なります。表示されている容量よりわずかに少ない容量しか使えないため、ギリギリの容量ではなく少し余裕を持った容量のUSBメモリを用意しましょう。
    • 速度: USB 3.0/3.1/3.2対応の高速なUSBメモリを使用すると、作成時間もブート後の動作(特にライブOSの場合)も大幅に短縮されます。ただし、古いUSB 2.0メモリでもブータブルUSBの作成自体は可能です。
    • データのバックアップ: ブータブルUSB作成プロセスでは、対象のUSBメモリ内のデータはすべて消去されます。 USBメモリに重要なデータが入っている場合は、必ず事前に別の場所にバックアップしておいてください。
  3. OSのISOイメージファイル: ブータブルUSBに書き込みたいOSやツールのISOイメージファイルが必要です。
    • Windowsの場合:
      • Microsoftの公式ウェブサイトから「メディア作成ツール」を使ってISOファイルをダウンロードするのが一般的です。ただし、RufusはMedia Creation Toolよりも柔軟な設定が可能です。
      • Rufusの特定のバージョン(通常は最新版)では、Rufus自体の中からWindowsのISOファイルを直接ダウンロードする機能が隠しオプションとして提供されている場合があります(Ctrl+Alt+Dキーを押すと表示されることもあります)。
      • Microsoftの公式ダウンロードページ(例: Windows 10/11 ダウンロードページ)からISOファイルを直接ダウンロードすることも可能です。
      • 合法的なプロダクトキーを所有している場合は、ボリュームライセンスサービスセンターなどからISOファイルを入手できる場合もあります。
    • Linuxの場合:
      • 各Linuxディストリビューションの公式サイトからダウンロードできます。例: Ubuntu, Fedora, Linux Mint, Debianなど。ダウンロードページには通常、ISOファイルへのリンクが用意されています。ダウンロードする際は、自分のコンピュータのアーキテクチャ(主に64ビット版、ごくまれに32ビット版)に合ったものを選んでください。
    • その他のツール:
      • Parted Magic, Hire’s BootCD PEなどのシステムツール、各種レスキューディスクなども通常、ISOファイル形式で配布されています。それぞれの公式サイトからダウンロードします。

これらの準備が整ったら、いよいよRufusを使ってブータブルUSBを作成する作業に進めます。

Rufusを使ったWindowsブータブルUSBの作成

Windowsのインストールメディアを作成する場合、Rufusはその高い互換性と柔軟性から非常に便利なツールです。特に、GPT/UEFIとMBR/BIOSの選択、ファイルシステムやクラスターサイズの調整など、Media Creation Toolでは提供されない高度な設定が可能です。

ここでは、Windows 10またはWindows 11のインストールメディアを作成する手順を例に説明します。

  1. Rufusを起動: ダウンロードしたrufus-X.Y.exeのような実行ファイルをダブルクリックして起動します。管理者権限の許可を求められたら「はい」をクリックします。
  2. USBメモリを選択: Rufusのウィンドウ上部にある「デバイス」のドロップダウンリストから、ブータブルUSBとして使用したいUSBメモリを選択します。
    • PCに複数のUSBデバイスが接続されている場合、間違ったデバイスを選択しないように注意してください。容量やデバイス名を確認して、正しいUSBメモリを選択しているか必ず確認しましょう。もしUSBメモリが表示されない場合は、一度抜き差ししてみるか、「高度なオプションを表示」にチェックを入れて「USBハードディスクを一覧表示」などにチェックを入れてみてください。
  3. ISOイメージを選択:ブートのセレクション」の右側にある「選択」ボタンをクリックします。ファイル選択ダイアログが表示されるので、事前にダウンロードしておいたWindowsのISOイメージファイルを選択し、「開く」をクリックします。
    • ISOファイルを選択すると、RufusはそのISOファイルの内容を分析し、後述する他の設定項目(特にパーティション構成とターゲットシステム)を自動的に推奨値に変更することがあります。
  4. イメージオプションを選択: ISOファイルが選択されると、「イメージオプション」が表示されます。
    • 通常は「標準Windowsインストール」を選択します。これでOSのインストールメディアが作成されます。
    • 「Windows To Go」というオプションもありますが、これはWindowsをUSBメモリから直接起動して使用するためのもので、インストールメディアとは異なります。通常はこのオプションは選択しません。
  5. パーティション構成とターゲットシステムを設定: ここが最も重要な設定項目の一つです。適切に設定しないと、対象のPCで起動できない場合があります。
    • パーティション構成:
      • GPT」または「MBR」を選択します。
      • GPT (GUID Partition Table) は、比較的新しいUEFI (Unified Extensible Firmware Interface) ベースのシステムで使用される新しい標準です。2TBを超えるディスクを扱え、パーティションの数に実質的な制限がありません。
      • MBR (Master Boot Record) は、従来のBIOS (Basic Input/Output System) および UEFIのCSM (Compatibility Support Module) モードで使用される古い標準です。2TBまでのディスクに制限があり、プライマリパーティションは最大4つまでです。
      • どちらを選ぶべきか?
        • 最近のPC(概ね2010年以降に製造されたもの)でUEFIをサポートしている場合: GPTを選択するのが一般的です。ほとんどの現代のPCはUEFIで起動するように設定されています。
        • 古いPC(BIOSのみ、またはUEFIだがBIOS互換モードで使いたい場合): MBRを選択するのが一般的です。
        • どちらのPCでも使えるようにしたい場合: RufusはGPT/UEFIとMBR/BIOSの両方に対応したブータブルUSBを単一のイメージで作成することはできません。もし両方に対応したい場合は、それぞれのパーティション構成で2つの異なるUSBメモリを作成する必要があります。しかし、Windows 10/11のインストールであれば、現代のPCはほぼUEFIに対応しているため、GPTを選択しておけば多くの場合は問題ありません。
        • 迷ったら: 対象のPCがUEFIかBIOSかを確認してください。通常、PC起動時に表示される画面や、Windowsの設定画面(「システム情報」など)で確認できます。RufusがISOから推奨する設定に従うのも一つの手です。
    • ターゲットシステム: パーティション構成をGPTまたはMBRに設定すると、Rufusはそれに合わせて「ターゲットシステム」を自動的に設定します。
      • GPTを選択した場合、ターゲットシステムは通常「UEFI (非CSM)」または類似の設定になります。これは、UEFIネイティブモードでの起動を意味します。
      • MBRを選択した場合、ターゲットシステムは通常「BIOS (またはUEFI-CSM)」または類似の設定になります。これは、BIOSモードまたはUEFIのBIOS互換モードでの起動を意味します。
      • 特別な理由がない限り、パーティション構成に応じてRufusが自動設定したターゲットシステムを変更する必要はありません。
  6. ボリュームラベルとファイルシステムを設定:
    • ボリュームラベル: USBメモリをPCに接続したときに表示される名前です。任意で分かりやすい名前(例: Win10_Install, W11_Boot_GPTなど)を設定できます。デフォルトのままでも構いません。
    • ファイルシステム:
      • Windowsインストールメディアの場合、通常は「NTFS」を選択します。NTFSはWindowsで広く使われているファイルシステムで、4GBを超えるファイルを扱うことができます。Windowsのインストールイメージ(特にinstall.wimファイル)は4GBを超えることが多く、FAT32ではこれをコピーできないため、NTFSが適しています。
      • ただし、一部の古いUEFIシステムはFAT32でフォーマットされたブートパーティションしか認識できないという制約があります。Rufusは、この問題を回避するために、インストールイメージが4GBを超える場合でも、ブートに必要なファイル(小さなファイル群)をFAT32のパーティションに置き、残りの大きなファイルを含むインストールイメージ本体をNTFSパーティションに置くという「UEFI:NTFS」と呼ばれる仕組みを自動的に採用することがあります。この場合、ファイルシステムはデフォルトで「Large FAT32」や「NTFS」のようになっていますが、Rufusが内部で適切な分割処理を行いますので、特に意識する必要はありません。
      • 特別な理由がない限り、RufusがISOファイルに基づいて推奨するファイルシステムを選択するのが無難です。
    • クラスターサイズ: ファイルシステム内のデータの最小単位です。通常はデフォルト設定(通常4096バイトなど)のままで問題ありません。変更する必要はほとんどありません。
  7. 「スタート」ボタンを押す: すべての設定が完了したら、ウィンドウ下部の「スタート」ボタンをクリックします。
  8. 警告メッセージを確認: RufusはUSBメモリ内のデータがすべて消去されることを警告するメッセージを表示します。内容をよく読み、選択したUSBメモリに重要なデータが含まれていないことを確認したら、「OK」をクリックして続行します。
  9. 作成プロセスの進行: RufusはブータブルUSBの作成を開始します。
    • USBメモリのフォーマット。
    • 必要なブートファイルやパーティションの作成。
    • ISOイメージファイルからUSBメモリへのファイルのコピー。
    • 進行状況はウィンドウ下部のステータスバーで確認できます。また、「ログ」ボタンをクリックすると、詳細な処理内容を確認できます。
  10. 完了: 作成プロセスが完了すると、ステータスバーが緑色になり「準備完了」と表示されます。「閉じる」ボタンをクリックしてRufusを終了するか、別のブータブルUSBを作成する場合はUSBメモリを交換して手順を繰り返します。

これでWindowsのブータブルUSBが完成しました。作成したUSBメモリを、WindowsをインストールしたいPCに挿入し、PCの起動時にUSBメモリからブートするように設定することで、Windowsインストーラーを起動できます。

高度な設定項目(Windowsインストール時)

Rufusにはデフォルトでは表示されない隠しオプションや、追加の設定があります。

  • 高度なオプションを表示: Rufusウィンドウ下部の「高度なオプションを表示」にチェックを入れると、以下のような項目が表示される場合があります。
    • 「USBハードディスクを一覧表示」:通常はリムーバブルディスクのみが表示されますが、チェックを入れるとUSB接続のHDDなども表示できます。誤ってPCの内蔵HDDなどを選択しないよう注意が必要です。
    • 「UEFI-CSM を強制的に使用」:特定の状況でUEFIのCSMモード(BIOS互換モード)での起動を強制したい場合に利用します。通常は不要です。
    • 「使用されているブート可能なパーティションのチェックを拡張」:ブート可能性に関するより詳細なチェックを行うオプションです。
  • Windowsの設定: WindowsのISOファイルを選択すると、「イメージオプション」の下に「Windowsの設定」という項目が表示される場合があります。ここでは、以下のオプションを設定できます。
    • Windows 11 セットアップのこのPCの要件をスキップする: TPM 2.0、セキュアブート、8GB RAM、アカウント必須などのWindows 11の厳しいシステム要件をバイパスしてインストールできるようにする機能です。非対応PCにWindows 11をインストールしたい場合に非常に便利です。
    • Microsoft アカウントの要求をスキップする: Windows 11 Pro/Homeのセットアップ時にMicrosoftアカウントでのサインインを必須とせず、ローカルアカウントでセットアップを進められるようにする機能です。
    • プライバシーに関する質問をスキップする: セットアップ時のプライバシー関連の質問をスキップします。
    • ローカルアカウントの自動作成 (Windows 10 より古いバージョン): 古いWindowsバージョンでローカルアカウントを自動作成できます。
    • 地域オプションとプライバシーオプションを自動設定: インストール中のいくつかの設定を自動化します。
    • ユーザーアカウントを作成し、地域オプションを設定する: ユーザー名、キーボードレイアウト、地域などを事前に設定できます。
    • ユーザーアカウントを作成し、同じロケール情報を使用する: 上記と同様ですが、地域設定を自動化します。
    • これらのオプションは、ISOイメージに特定の変更を加えることで実現されます。必要な場合に活用すると、インストール作業が楽になります。

Rufusを使ったLinuxブータブルUSBの作成

RufusはWindowsだけでなく、様々なLinuxディストリビューションのライブUSBやインストールメディアの作成にも広く利用されています。Linuxの場合、Windowsとは異なる設定オプションや考慮事項があります。

ここでは、一般的なLinuxディストリビューション(Ubuntuなどを想定)のISOイメージを使ってブータブルUSBを作成する手順を例に説明します。

  1. Rufusを起動: ダウンロードしたrufus-X.Y.exeのような実行ファイルをダブルクリックして起動します。管理者権限の許可を求められたら「はい」をクリックします。
  2. USBメモリを選択:デバイス」のドロップダウンリストから、ブータブルUSBとして使用したいUSBメモリを選択します。Windowsの場合と同様、間違ったデバイスを選択しないように注意してください。
  3. ISOイメージを選択:ブートのセレクション」の右側にある「選択」ボタンをクリックし、ダウンロードしておいたLinuxディストリビューションのISOイメージファイルを選択して「開く」をクリックします。
    • ISOファイルを選択すると、RufusはそのISOファイルの内容を分析し、最適な書き込みモード(ISOイメージモードまたはDDイメージモード)を推奨してきます。
  4. イメージオプションを選択: LinuxのISOイメージを選択した場合、「イメージオプション」で通常以下の2つの選択肢が表示されます(ISOファイルの内容によります)。
    • ISOイメージモード(推奨): このモードでは、ISOファイルの内容を解釈し、USBメモリ上にブート可能なファイルシステムを作成し、そこにファイルやフォルダをコピーします。最も一般的な方法であり、通常はこちらを選択します。後述する「永続パーティション」などのオプションもこのモードでのみ利用可能です。
    • DDイメージモード: このモードでは、ISOファイルをUSBメモリに生のデータとして(バイト単位で)直接書き込みます。これはISOファイルの完全なコピーを作成する方法であり、特定の低レベルのツールやOSイメージで互換性の問題が発生する場合に有効です。ただし、このモードで作成されたUSBメモリは通常、残りの領域を他の目的で使用することができませんし、永続パーティションなどのオプションも利用できません。また、書き込み後にUSBメモリの総容量がISOイメージのサイズと等しくなったように見えることがありますが、これはパーティション情報が上書きされたためであり、適切に再フォーマットすれば元の容量に戻せます。
    • 基本的には「ISOイメージモード(推奨)」を選択してください。 Rufusが通常推奨するモードです。
  5. 永続パーティションサイズを設定 (Persistence size): ISOイメージモードを選択した場合、特定のLinuxディストリビューション(Ubuntuなど、ライブ環境でのデータ保存をサポートしているもの)では、「永続パーティションサイズ」というスライダーが表示されることがあります。
    • 永続パーティションとは? これは、ライブUSBとして起動したLinux環境での設定変更、インストールしたソフトウェア、保存したファイルなどを、シャットダウン後もUSBメモリ上に保持するための領域です。この領域を設定しない(スライダーを左端の「0」のままにする)と、起動するたびに毎回初期状態に戻る「ライブ環境」になります。
    • 設定方法: スライダーを右に動かすことで、永続パーティションとして確保する容量を増やせます。利用可能なUSBメモリの容量の範囲内で設定できます。例えば、16GBのUSBメモリで4GBのISOイメージを使用する場合、残りの約12GBを永続パーティションに割り当てることも可能です。
    • 注意点:
      • すべてのLinuxディストリビューションがこの機能をサポートしているわけではありません。サポートしていないISOイメージではスライダーが表示されません。
      • 永続パーティションは、通常、FAT32のパーティション上に作成されます(正確には、FAT32パーティション内のファイルとして作成されることが多い)。FAT32には1つのファイルのサイズが4GBまでという制限があるため、永続パーティションのサイズも4GBまでに制限される場合があります。Rufusはこの制限を考慮してスライダーの上限を調整してくれるはずです。4GB以上の永続領域が必要な場合は、USBメモリをext4などの別のファイルシステムでフォーマットして手動で設定する必要がある場合があり、これはRufusの機能範囲外になります。
      • 永続パーティションを設定すると、書き込みプロセスに時間がかかる場合があります。
      • 永続パーティションはUSBメモリの寿命を縮める可能性があるため、頻繁な書き込みを行う場合は注意が必要です。
  6. パーティション構成とターゲットシステムを設定: Windowsの場合と同様に、対象となるPCのブート方式(UEFIまたはBIOS)に合わせて「GPT」または「MBR」を選択します。
    • 最近のPCでUEFIブートしたい場合はGPT、古いPCやBIOS互換モードで起動したい場合はMBRを選択します。
    • ほとんどのLinuxディストリビューションはUEFIとBIOSの両方をサポートしています。RufusがISOファイルを見て自動的に適切な設定を推奨することが多いです。
  7. ボリュームラベルとファイルシステムを設定:
    • ボリュームラベル: 任意で分かりやすい名前を設定します。
    • ファイルシステム: 通常、LinuxのライブUSBは「FAT32」でフォーマットされます。UEFIシステムがブートパーティションをFAT32でなければ認識しないことがあるためです。RufusはISOファイルの内容に合わせて最適なファイルシステム(通常FAT32)を自動的に選択してくれます。特別な理由がない限り、デフォルト設定のままにしておきます。
    • クラスターサイズ: 通常はデフォルトでOKです。
  8. 「スタート」ボタンを押す: 設定が完了したら、「スタート」ボタンをクリックします。
  9. 警告メッセージを確認: USBメモリのデータが消去されること、および(ISOイメージモードの場合)ISOファイルをコピーするモードに関する確認メッセージが表示されます。内容をよく読み、問題なければ「OK」をクリックして続行します。DDイメージモードを選択した場合は、ISOファイルを完全に書き換えることに関する警告が表示されます。
  10. 作成プロセスの進行: RufusはブータブルUSBの作成を開始します。ステータスバーで進行状況を確認できます。
  11. 完了: 作成が完了すると、「準備完了」と表示されます。

これでLinuxのブータブルUSBが完成しました。作成したUSBメモリを対象のPCに挿入し、USBメモリからブートするように設定すれば、Linuxのライブ環境を起動したり、インストールを開始したりできます。

Linux固有の注意点

  • セキュアブート (Secure Boot): 最近のUEFIシステムでセキュアブートが有効になっている場合、署名されていないブートローダーを含むLinuxディストリビューションは起動できないことがあります。多くの主要なLinuxディストリビューション(Ubuntu, Fedoraなど)はセキュアブートに対応するために署名済みのブートローダーを提供していますが、そうでない場合や、Rufusの作成プロセスで問題が発生した場合は、PCのUEFI設定でセキュアブートを一時的に無効にする必要があるかもしれません。
  • ISOイメージモードとDDイメージモード: DDモードは互換性は高いですが、USBメモリ全体がISOイメージの内容で上書きされるため、後のパーティション変更などが難しくなります。通常はISOイメージモードで十分です。RufusがDDモードを推奨してくるのは、そのISOファイルがISOモードでの書き込みに適していない(例: カスタムビルドされたイメージなど)場合が多いです。
  • 永続パーティション: ライブ環境を頻繁に利用する、設定を保存したいといった場合に便利ですが、パフォーマンスは内蔵ストレージ上のOSに比べて劣ります。また、USBメモリの書き込み寿命にも影響します。

Rufusの高度な設定項目

Rufusには、一般的な使用ではあまり必要とされないものの、特定の状況で役立つ高度なオプションがいくつかあります。

  • 高度なオプションの表示: Rufusウィンドウ下部の「高度なオプションを表示」にチェックを入れると、追加のチェックボックスや設定項目が表示されます。
  • ログの保存: Rufusウィンドウ下部の「ログ」ボタンをクリックすると、Rufusが実行した操作の詳細なログが表示されます。トラブルシューティングの際に、このログを保存して開発者やフォーラムで質問する際に添付すると、問題の特定に役立ちます。「ログ」ウィンドウのディスクアイコンをクリックすると、ログをファイルとして保存できます。
  • Rufusの設定ファイル (.ini): ポータブル版ではないRufusの実行ファイルを使用した場合、設定はレジストリに保存されます。ポータブル版を使用するか、「高度なオプションを表示」にチェックを入れて表示される「Rufus 設定を .ini ファイルとして保存」にチェックを入れると、Rufusと同じフォルダにrufus.iniというファイルが作成され、ここに設定が保存されます。複数のPCでRufusを同じ設定で使用したい場合に便利です。
  • Windows To Go: 「イメージオプション」で選択できる「Windows To Go」は、Windows Enterprise/EducationエディションをUSBメモリから直接起動して実行するための機能です。これにより、どのPCでも自分のWindows環境を持ち運んで使用できます。ただし、Enterprise/Educationエディションのライセンスが必要であり、USBメモリの性能(高速なUSB 3.0/3.1、特定の認証を受けたものなど)が動作に大きく影響します。一般的なWindowsインストールメディア作成とは目的が異なります。
  • その他のイメージ形式: RufusはISOファイルだけでなく、特定の圧縮イメージファイルやrawイメージファイルなども読み込める場合があります。ただし、対応形式はRufusのバージョンやイメージの内容に依存します。
  • BIOSブータブルなパーティション構成: MBRを選択した場合に表示される「BIOSブータブルなパーティション構成」では、「パーティション1つ」または「パーティション2つ」を選択できます。「パーティション1つ」が一般的ですが、一部の非常に古いシステムでは「パーティション2つ」が必要な場合があります。通常はデフォルトのまま「パーティション1つ」で問題ありません。

これらの高度な設定は、特定のニーズがある場合や、通常の手順でうまくいかない場合に試す価値があります。ただし、よく理解せずに変更すると、意図しない結果を招く可能性もあるため注意が必要です。

作成したブータブルUSBからの起動

RufusでブータブルUSBを作成したら、次はそれを使ってPCを起動する必要があります。PCの起動プロセスを変更して、内蔵ストレージではなくUSBメモリから読み込むように設定する必要があります。

  1. PCの電源を切る: ブートしたいPCの電源を完全に切ります。
  2. USBメモリを挿入: 作成したブータブルUSBをPCのUSBポートに挿入します。可能であれば、USB 3.0ポート(通常、ポート内部が青色になっている)に挿すと、読み込み速度が向上します。
  3. PCの電源を入れ、ブートメニューまたはUEFI/BIOS設定画面に入る: PCの電源を入れた直後、通常はメーカーのロゴなどが表示されている間に、特定のキーを押すことでブートメニューまたはUEFI/BIOS設定画面に入れます。押すべきキーはPCのメーカーやモデルによって異なりますが、一般的なキーは以下の通りです。
    • ブートメニュー: F2, F10, F12, Esc キーなど。このメニューからは、今回一度だけUSBメモリから起動するように選択できます。
    • UEFI/BIOS設定画面: F1, F2, F10, Del キーなど。この画面では、起動順序(ブートオーダー)を恒久的に変更したり、UEFI/BIOSに関する詳細な設定を行ったりできます。
    • 確認方法: PCの起動時に画面下部などに「Press [Key] to enter Setup」や「Press [Key] for Boot Menu」のようなメッセージが表示されることが多いです。それが表示されない場合や、表示が速すぎて分からない場合は、PCのマニュアルを参照するか、PCのメーカー名と「BIOS 起動キー」などのキーワードで検索してみてください。
  4. ブート順序を変更する:
    • ブートメニューの場合: 表示されたメニューの中から、挿入したUSBメモリの名前(メーカー名や「USB HDD」「UEFI: [USBメモリ名]」などと表示されることが多い)を選択し、Enterキーを押します。
    • UEFI/BIOS設定画面の場合:
      • 通常、「Boot」「Boot Order」「Boot Sequence」などのタブやメニューを探します。
      • 起動デバイスのリストが表示されているので、USBメモリ(「USB HDD」やUEFIモードの場合は「UEFI: [USBメモリ名]」のように表示される)を一番上、または内蔵ストレージ(HDD/SSD)より上位に移動させます。移動方法は画面に表示されているキー操作(矢印キーや+/-キーなど)に従います。
      • 設定変更を保存して終了します。保存方法は通常F10キーです。「Save Changes and Exit」のような項目を選択します。
  5. USBメモリから起動する: 設定を保存してPCが再起動すると、USBメモリの内容が読み込まれ、WindowsインストーラーやLinuxのライブ環境などが起動します。

UEFIとBIOS、GPTとMBR、セキュアブートに関する補足

  • UEFI vs. BIOS: UEFIはBIOSの後継となる新しいファームウェアです。起動が高速で、2TB以上のストレージをネイティブサポートし、グラフィカルな設定画面を持つなどの利点があります。現代のPCのほとんどはUEFIを採用しています。BIOSは古いPCで使われているシンプルなファームウェアです。
  • GPT vs. MBR: これはストレージのパーティション分割形式です。UEFIはGPT形式のストレージからブートするのが標準です。BIOSはMBR形式のストレージからブートするのが標準です。UEFIにはCSM (Compatibility Support Module) という機能があり、BIOS互換モードで起動することでMBR形式のストレージや古いOSも起動できますが、UEFIネイティブモード(非CSM)の方が高速でセキュアです。ブータブルUSBを作成する際は、対象のPCがUEFIで起動するかBIOSで起動するか(またはUEFIのCSMモードで起動するか)に合わせて、USBメモリのパーティション構成(GPTかMBRか)を適切に選択する必要があります。Rufusはこの関係を考慮して設定を自動で調整してくれます。
  • セキュアブート (Secure Boot): UEFIの一機能で、OSローダーなどが信頼できる署名を持っているか確認することで、不正なコードの実行を防ぎます。Windows 8以降がプリインストールされたPCでは通常有効になっています。セキュアブートが有効な場合、署名されていないブートローダーを持つOS(一部のLinuxディストリビューションなど)は起動できません。 Rufusthで作成したWindowsメディアは通常セキュアブートに対応していますが、Linuxの場合はディストリビューションによります。Linuxを起動したい場合は、PCのUEFI設定でセキュアブートを一時的に無効にする必要がある場合があります。

トラブルシューティング

Rufusを使ったブータブルUSB作成や、作成したUSBからの起動に関して、いくつかの一般的なトラブルとその解決策をまとめます。

  • 問題: RufusでUSBメモリが認識されない/表示されない
    • 解決策:
      • USBメモリがPCに正しく挿入されているか確認します。別のUSBポートに挿し替えてみてください。
      • USBメモリ自体が故障していないか、他のPCで認識されるか確認します。
      • Rufusの「高度なオプションを表示」にチェックを入れ、「USBハードディスクを一覧表示」にチェックを入れてみてください。USBメモリがリムーバブルディスクとしてではなく、固定ディスクとして認識されている場合に表示されることがあります。
      • Rufusを再起動したり、PCを再起動したりしてみます。
  • 問題: ブータブルUSB作成プロセスが途中で失敗する (エラーが発生する)
    • 解決策:
      • 使用しているISOイメージファイルが破損していないか確認します。もう一度ISOファイルをダウンロードし直してみてください。ダウンロード元によっては、ハッシュ値(SHA256など)が公開されている場合があるので、ダウンロードしたファイルのハッシュ値と比較して一致するか確認すると良いでしょう。
      • 使用しているUSBメモリに物理的な問題(不良セクタなど)がないか確認します。別のUSBメモリを使って試してみてください。
      • Rufusのバージョンが古い可能性があります。最新版のRufusをダウンロードして試してください。
      • PCのセキュリティソフトやファイアウォールがRufusの動作を妨害している可能性があります。一時的に無効にして試してみてください(自己責任で、作業後は元に戻してください)。
      • PCのメモリ(RAM)に問題がある場合、書き込みエラーが発生することがあります。メモリテストを行ってみるのも一つの方法です。
      • Rufusのログを確認します。「ログ」ボタンをクリックして表示されるウィンドウに、失敗の原因を示す情報(エラーコードやメッセージ)が含まれていることがあります。
  • 問題: 作成したUSBからPCが起動しない
    • 解決策:
      • ブート順序の確認: PCのUEFI/BIOS設定で、USBメモリが内蔵ストレージより優先して起動するように設定されているか再度確認します。
      • UEFI vs. BIOS (GPT vs. MBR) の確認: 作成時に選択したパーティション構成(GPTまたはMBR)と、対象PCのブートモード(UEFIまたはBIOS/CSM)が合っているか確認します。新しいUEFI PCなのにMBR/BIOSモードで作成した、古いBIOS PCなのにGPT/UEFIモードで作成した、といった場合に起動できません。PCの起動時にUEFIモードとLegacy/CSMモードを選択できる場合は、Rufusで作成したUSBのパーティション構成に合わせてモードを切り替えてみてください。
      • セキュアブートの確認 (UEFI PC): セキュアブートが有効になっていると、署名されていないOSは起動できません。Linuxなどを起動したい場合は、UEFI設定でセキュアブートを一時的に無効にしてみてください。
      • USBポートの確認: 一部の古いPCでは、特定のUSBポート(例: USB 3.0ポート)からBIOS/UEFIが起動できない場合があります。別のUSBポート(例: USB 2.0ポート)に挿し替えて試してみてください。
      • ISOイメージの確認: 使用したISOイメージファイル自体が起動可能でなかったり、破損していたりする可能性があります。別の方法でISOイメージを入手したり、Rufus以外でブータブルUSBを作成して起動できるか確認したりしてみてください。
      • USBメモリの故障: USBメモリ自体が書き込み後に故障した可能性があります。別のUSBメモリで再度作成して試してみてください。
  • 問題: Windowsインストールメディアで、インストール先のドライブが表示されない / パーティション構成を変更できない
    • 解決策:
      • これはRufusの問題ではなく、Windowsインストーラーが内蔵ストレージのストレージコントローラー(特にNVMe SSDなど)のドライバを持っていない場合に発生しやすい問題です。Windowsインストール中にストレージドライバを別途読み込ませる必要があります。PCメーカーのサポートサイトからストレージ(チップセット)ドライバをダウンロードし、別のUSBメモリなどに入れておき、インストーラーの「ドライバーの読み込み」オプションから読み込ませてください。
  • 問題: LinuxライブUSBで永続パーティションが機能しない
    • 解決策:
      • 使用しているLinuxディストリビューションのISOイメージが永続パーティション機能をサポートしているか確認します。すべてのLinuxが対応しているわけではありません。
      • Rufusで永続パーティションサイズを適切に設定したか確認します。
      • FAT32ファイルシステムの制限により、永続パーティションのサイズが4GBまでに制限される場合があります。それを超えるサイズを設定しようとしていないか確認します。
      • USBメモリ自体に書き込み権限の問題や故障がないか確認します。
  • 問題: 作成したUSBメモリの容量が減ってしまったように見える (特にDDモード使用後)
    • 解決策: DDイメージモードで作成した場合、USBメモリ全体のパーティション情報がISOイメージの内容で上書きされるため、WindowsのエクスプローラーなどからはISOイメージのサイズ分のパーティションしか見えなくなることがあります。これは正常な動作ですが、USBメモリを元の状態に戻してフル容量を使えるようにするには、ディスク管理ツール(Windowsの「ディスクの管理」など)でUSBメモリ上のすべてのパーティションを削除し、新しいパーティションをUSBメモリのフル容量で作成し、フォーマットし直す必要があります。Rufusにも「パーティション構成をリセット」のような機能が含まれている場合があります。

トラブルシューティングは、問題が発生した環境や使用したISOイメージ、USBメモリによって多岐にわたります。上記の解決策を試しても問題が解決しない場合は、Rufusの公式サイトのFAQを参照したり、PCやOSに関するフォーラムなどで具体的な状況を説明して質問したりすると良いでしょう。

Rufusの代替ツール (簡単に触れる)

Rufusは非常に優れたツールですが、目的によっては他のツールの方が適している場合もあります。簡単にいくつか紹介します。

  • Ventoy: 一つのUSBメモリに複数のISOイメージファイルをコピーしておき、起動時にメニューから選択して起動できるツールです。RufusのようにISOごとにUSBを作成する必要がなく、マルチブート環境を簡単に構築できます。ISOファイルをUSBメモリにコピーするだけで良いという手軽さが魅力です。
  • Media Creation Tool (Microsoft公式): Microsoftが提供するWindows専用のツールです。Windows 10やWindows 11の最新版ISOファイルをダウンロードし、ブータブルUSBまたはISOファイルを作成できます。公式ツールなので信頼性は高いですが、Rufusほど詳細な設定(パーティション構成の選択など)はできません。
  • UNetbootin: LinuxディストリビューションのブータブルUSB作成に特化したツールです。Windows、macOS、Linux上で動作します。対応ディストリビューションのリストから選択してダウンロードから作成まで行える機能もあります。
  • balenaEtcher (旧Etcher): シンプルで使いやすいインターフェースが特徴のツールです。ISOイメージだけでなく、他のディスクイメージ形式(.imgなど)にも対応しています。クロスプラットフォーム(Windows, macOS, Linux)で動作します。Rufusほどの詳細な設定機能はありませんが、手軽にブータブルメディアを作成したい場合に便利です。

これらのツールもそれぞれに利点がありますが、WindowsとLinuxの両方のブータブルUSBを高速かつ柔軟な設定で作成したい場合は、やはりRufusが最もバランスの取れた強力な選択肢と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、Rufusを使ってWindowsとLinuxのブータブルUSBを作成するための詳細な手順、必要な準備、設定オプション、そしてトラブルシューティングについて解説しました。Rufusは、その高速性、使いやすさ、多機能性から、ブータブルUSB作成ツールの決定版とも言える存在です。

  • Windowsのインストールメディア作成においては、GPT/UEFIとMBR/BIOSの選択、ファイルシステム(NTFSとFAT32)に関する詳細な制御が可能で、Windows 11のシステム要件回避などの便利な機能も備わっています。
  • LinuxのブータブルUSB作成においては、ISOイメージモードとDDイメージモードの選択、そして永続パーティションの設定といったLinux固有のニーズに対応しています。
  • 作成したブータブルUSBから正常に起動するためには、PCのUEFI/BIOS設定でブート順序を適切に変更することが不可欠です。UEFI、BIOS、GPT、MBR、セキュアブートといった概念を理解することも、スムーズな作業のために役立ちます。

ブータブルUSBは、OSのインストールやトラブル解決など、コンピュータを扱う上で非常に重要なツールです。Rufusを使いこなすことで、これらの作業をより効率的かつ正確に行うことができるようになります。

この記事が、あなたがRufusを使って目的のブータブルUSBを作成する手助けとなれば幸いです。作業の際は、USBメモリ内のデータが消去されることを忘れずに、必ずバックアップを取ってください。安全なコンピュータライフのために、Rufusをぜひ活用してください!

免責事項

この記事は、Rufusを使ったブータブルUSB作成の一般的な手順と情報を提供するものです。PCのハードウェア構成、UEFI/BIOSのバージョン、使用するISOイメージの種類、Rufusのバージョンなど、様々な要因によって実際の画面表示や手順、結果が異なる場合があります。ブータブルメディア作成作業は、対象のUSBメモリのデータを完全に消去する操作を含むため、作業を行う際はご自身の責任において十分注意深く行ってください。この記事の情報によって生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。

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