はい、承知いたしました。2024年版のClash for Windowsの使い方・設定ガイドを初心者向けに、約5000語の詳細な記事として記述します。
【2024年最新】Clash for Windows 使い方・設定ガイド|初心者向け
はじめに:インターネット接続の新しい形「Clash」とは?
インターネットを安全かつ柔軟に利用するためのツールとして、VPNやプロキシといった技術は広く知られています。これらの技術は、あなたのインターネット接続を第三者のサーバー経由でルーティングすることで、IPアドレスを隠したり、地理的な制限を回避したり、通信を暗号化したりするのに役立ちます。
しかし、一般的なVPNやプロキシサービスは「全ての通信を特定のサーバー経由で送る」というシンプルな動作をします。これは便利な反面、特定のウェブサイトやサービスに対しては直接接続したい、特定のアプリだけプロキシを使いたい、といった細かな制御が難しい場合があります。また、複数のサーバーを使い分けたい場合にも、その都度設定を切り替える必要があり手間がかかります。
ここで登場するのが、ルールベースのプロキシクライアントである「Clash」です。Clashは、あなたのインターネット通信を、事前に定義された「ルール」に基づいて、直接接続するか、特定のプロキシサーバーを経由するか、あるいは接続を拒否するかなどを自動的に判断して振り分けることができる強力なツールです。
例えるなら、通常のVPNが「全ての荷物を一つの郵便局経由で送る」のに対し、Clashは「荷物の種類(宛先)に応じて、郵便局、宅配便、または直接手渡しなど、最適な方法を自動的に判断して振り分ける」ようなイメージです。
この柔軟性と自動化の機能が、Clashを多くのユーザーにとって魅力的な選択肢にしています。特に、複数の国にあるサーバーを利用したい、特定のウェブサイトへのアクセスだけをプロキシ経由にしたい、特定のアプリはプロキシを使わないようにしたい、といった複雑なニーズを持つ場合に、Clashはその真価を発揮します。
Clash自体は、これらのルールに基づいて通信を処理する「コアエンジン」です。このコアエンジンはコマンドラインインターフェース(CUI)として動作するため、そのままでは初心者には使いづらいものです。そこで登場するのが、Clashコアエンジンの機能をより直感的かつ使いやすくするための「GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)」アプリケーションです。
本記事で解説する「Clash for Windows」は、その名の通りWindowsオペレーティングシステム上で動作する、Clashコアエンジン用の人気GUIアプリケーションの一つです。Clash for Windowsを使うことで、コマンドライン操作をすることなく、視覚的なインターフェースを通じてClashの強力な機能を簡単に設定・管理することができます。
Clash for Windowsとは?なぜ選ばれるのか?
Clash for Windows (CfW) は、開発生産性を高めるためにElectronフレームワークを用いて開発された、Clashコアエンジン向けのオープンソースGUIクライアントです。多くのユーザーに選ばれる理由としては、以下の点が挙げられます。
- 使いやすいインターフェース: コマンドライン操作が不要で、グラフィカルな画面から簡単に設定や操作ができます。初心者でも視覚的に現在の状態や設定を確認できます。
- 多機能性: ルールベースのルーティングはもちろん、複数のプロキシサーバーの管理、サーバーの遅延テスト、接続情報の確認、ログ機能など、Clashコアエンジンの機能を最大限に活用できます。
- 柔軟な設定: プロファイル(設定ファイル)をURLから簡単にインポートでき、複数の設定を切り替えるのも容易です。プロキシグループ機能により、サーバーの自動切り替え(速度テストやフォールバック)も設定可能です。
- TUNモードのサポート: システム全体のトラフィックをClash経由でルーティングできるTUNモードに対応しており、システムプロキシに対応していないアプリケーションの通信も制御できます。
- 活発なコミュニティ: オープンソースプロジェクトであり、多くのユーザーや開発者によって支えられています。情報や設定例などもインターネット上で見つけやすいです。
一方で、Clash for Windowsはオープンソースであり、特定の企業が運営する商用VPNサービスとは異なります。プロキシサーバー自体はClash for Windowsに含まれておらず、別途自分で用意するか、プロキシサービスプロバイダーから提供される設定ファイル(サブスクリプションURLなど)を利用する必要があります。つまり、Clash for Windowsはあくまで「クライアントソフトウェア」であり、インターネット接続の「道筋を決める交通整理役」のようなものです。実際に通信を中継する「トンネル」は、プロキシサービスプロバイダーから提供されます。
本記事では、このClash for Windowsを、全くの初心者の方でも使えるように、ダウンロードからインストール、基本的な設定方法、各機能の説明、そしてよくある疑問やトラブルシューティングまで、徹底的に解説します。
Step 1: Clash for Windowsのダウンロードとインストール
Clash for Windowsはオープンソースソフトウェアであり、開発は主にGitHubで行われています。最も安全で最新のバージョンを入手するには、公式のGitHubリリースページからダウンロードするのが推奨されます。非公式サイトからのダウンロードは、マルウェアなどが含まれているリスクがあるため避けてください。
1. GitHubリリースページへのアクセス
ウェブブラウザを開き、以下のClash for Windows公式GitHubリポジトリにアクセスします。
https://github.com/Fndroid/clash_for_windows_pkg
このページの右上にある「Releases」または、ページ下部のREADMEセクションにある最新リリースのリンクをクリックします。
2. 最新バージョンの特定とダウンロード
リリースページに移動すると、最新のバージョンが一番上に表示されています。タイトルの下に、そのバージョンで変更された内容(Changelog)が記載されています。
下にスクロールすると、「Assets」という項目があります。ここに、異なるオペレーティングシステムやアーキテクチャ向けのダウンロードファイルがリストアップされています。Windowsユーザーは、通常以下のいずれかのファイルを選択します。
Clash.for.Windows.Setup.<バージョン番号>.exe
: こちらが一般的なインストーラー形式です。通常はこのファイルを選択します。Clash.for.Windows.Setup.<バージョン番号>.x64.exe
: 64ビット版Windows専用のインストーラー。多くのモダンなWindows PCはこちらです。どちらを選べば良いかわからない場合は、通常はこちらで問題ありません。Clash.for.Windows.Setup.<バージョン番号>.ia32.exe
: 32ビット版Windows専用のインストーラー。古いPCを使っている場合などに必要になることがあります。
ファイル名の.exe
で終わるファイルが実行可能なインストーラーです。自分のPCの環境(ほとんどの場合64ビット)に合わせて適切なファイルをダウンロードしてください。ファイルをクリックするとダウンロードが開始されます。
3. インストールの実行
ダウンロードが完了したら、ダウンロードした.exe
ファイルをダブルクリックしてインストーラーを起動します。
- ユーザーアカウント制御(UAC): Windowsのユーザーアカウント制御のダイアログが表示される場合があります。「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と表示されたら、「はい」をクリックして許可します。Clash for Windowsはシステムプロキシの設定変更や、TUNモードに必要なネットワークアダプターのインストールを行うため、管理者権限が必要になります。
- インストールオプション: インストーラーが起動すると、通常はインストール先フォルダの指定などが表示されます。特別な理由がない限り、デフォルトの設定のまま「Next」(次へ)や「Install」(インストール)をクリックして進めてください。
- インストール完了: インストールが完了すると、「Finish」(完了)ボタンが表示されます。「Run Clash for Windows」(Clash for Windowsを実行する)のようなチェックボックスにチェックが入っている場合、そのまま完了ボタンをクリックするとClash for Windowsが起動します。
これでClash for Windowsのインストールは完了です。初回起動時には、Windowsファイアウォールの設定変更を求められることがありますが、Clashが正しく機能するために許可してください。
Step 2: プロファイル(設定ファイル)の追加
Clash for Windowsは、それ単体ではインターネット接続を中継する機能を持っていません。通信をどのようにルーティングするか、どのプロキシサーバーを使うかといった全ての情報は、「プロファイル」と呼ばれる設定ファイルに記述されています。この設定ファイルをClash for Windowsに読み込ませることで、初めてClashが機能するようになります。
プロファイルは通常、利用しているプロキシサービスプロバイダーから提供されます。最も一般的な形式は、サブスクリプションURLと呼ばれるURLです。このURLにアクセスすると、Clash互換のYAML形式の設定ファイルがダウンロードできるようになっています。
プロファイルの入手方法の例:
- 多くのプロキシサービスプロバイダーのウェブサイトに、ユーザーごとの「マイページ」や「ダッシュボード」があり、そこに「ClashサブスクリプションURL」や「Clash設定ダウンロード」のような項目があります。
- URLの形式はプロバイダーによって異なりますが、多くは特定のドメイン以下にランダムな文字列を含む形になっています。
Clash for Windowsへのプロファイルの追加手順:
- Clash for Windowsを起動します。
- 左側のメニューから「Profiles」(プロファイル)タブをクリックします。
- プロファイル画面が表示されます。ここに現在Clash for Windowsに読み込まれているプロファイルが一覧表示されます(最初は何も表示されていないか、デフォルトのサンプルプロファイルがある場合があります)。
-
プロファイルを追加するには、上部にある入力フィールドを利用します。
- サブスクリプションURLから追加する場合 (推奨):
- プロバイダーから提供されたClashサブスクリプションURLをコピーします。
- Clash for Windowsの「Profiles」タブの上部にある
Enter a URL to download profile
と表示されている入力フィールドに、コピーしたURLを貼り付けます。 - 入力フィールドの右側にある「Download」(ダウンロード)ボタンをクリックします。
- Clash for WindowsがURLにアクセスし、設定ファイルをダウンロードします。ダウンロードが成功すると、そのプロファイルが画面左側に一覧表示されます。ファイル名はURLから自動的に付けられることが多いですが、ダウンロード後に名前を変更することも可能です。
- ローカルファイルから追加する場合:
- 既にPC上にClash互換のYAML設定ファイル(例:
config.yaml
)がある場合は、この方法で追加します。 - 「Profiles」タブの上部にある「Import from file」(ファイルからインポート)ボタンをクリックします。
- エクスプローラーが開くので、追加したい設定ファイル(
.yaml
または.yml
拡張子)を選択して「開く」をクリックします。 - ファイルが読み込まれ、プロファイル一覧に追加されます。
- 既にPC上にClash互換のYAML設定ファイル(例:
- サブスクリプションURLから追加する場合 (推奨):
-
プロファイルのアクティベート:
- ダウンロードまたはインポートしたプロファイルは、一覧に表示されるだけではまだ有効になっていません。
- 有効にしたいプロファイルをクリックして選択します。
- 選択されたプロファイルがアクティベートされ、Clash for Windowsがその設定内容(プロキシリスト、プロキシグループ、ルールなど)を読み込み、適用する準備が整います。アクティベートされたプロファイルは、他のプロファイルとは異なる色で表示されるなどの視覚的な変化があります。画面上部に現在アクティベートされているプロファイル名が表示される場合もあります。
これで、Clash for Windowsにプロファイルが正常に読み込まれ、使用可能な状態になりました。次に、このプロファイルを使って実際にインターネットに接続する方法を解説します。
Step 3: 基本的な操作と設定
プロファイルをアクティベートしたら、Clash for Windowsを起動し、システムにプロキシ設定を適用する必要があります。
1. Clashコアの起動
プロファイルをアクティベートすると、Clash for Windowsは自動的にClashコアエンジンを起動しようとします。画面下部(または上部)に、Clashコアの起動状況を示すステータスが表示されます。正常に起動すると、「Clash core running」のような表示になることが多いです。
もし起動しない場合は、エラーログ(画面左メニューの「Logs」タブで確認できます)を確認したり、プロファイルが正しい形式であるかプロバイダーに確認したりする必要があります。
2. システムプロキシの有効化
Clash for Windowsを介してインターネットに接続するには、Windowsのシステムプロキシ設定を変更する必要があります。これにより、ブラウザや多くのアプリケーションがClash for Windowsをプロキシとして認識し、Clashfor Windowsを経由して通信を行うようになります。
- Clash for Windowsの左側メニューから「General」(一般設定)タブをクリックします。
- 画面上部に「System Proxy」(システムプロキシ)というトグルスイッチがあります。
- このスイッチをクリックしてオンにします。スイッチが緑色などになり「On」と表示されれば成功です。
これにより、Windowsのシステムプロキシ設定がローカルのClash for WindowsがListenしているアドレスとポートに自動的に変更されます。ウェブブラウザを開いて、プロキシが有効になっているか確認してみましょう。IPアドレス確認サイトなどにアクセスして、表示されるIPアドレスがプロキシサーバーのものになっていれば成功です。
システムプロキシをオフにする場合:
インターネットに直接接続したい場合や、Clashの利用を止めたい場合は、「System Proxy」のスイッチをオフに戻します。Clash for Windowsを終了する際も、通常はこのスイッチをオフにしてから終了するのが良い習慣です。
3. 常時起動や最小化設定 (Generalタブ)
「General」タブには、他にも便利な設定があります。
- Start with Windows: Windows起動時にClash for Windowsを自動的に起動するかどうかを設定します。常にプロキシを利用したい場合に便利です。
- Allow LAN: 同じローカルネットワーク上の他のデバイスから、このPC上のClash for Windowsをプロキシとして利用することを許可するかどうかを設定します。通常はオフで問題ありません。
- Mixed Port / SOCK Port / HTTP Port: Clash for WindowsがローカルでListenしているポート番号を表示します。これらのポート番号は、システムプロキシとして設定されたり、特定のアプリケーションで手動プロキシ設定を行う際に使用されます。デフォルトのままで問題ないことが多いですが、他のアプリケーションとポートが競合する場合などは変更が必要になることもあります。
- TUN Mode: 後述するTUNモードの有効/無効を切り替えます。デフォルトは無効です。
- Service Mode: TUNモードを使用する場合に必要となるモードです。通常、TUNモードを有効にする際に自動的にオンになりますが、管理者権限が必要な設定です。
- Proxy Mode: Clash for Windowsの動作モードを選択します。これについては後述します。
4. プロキシモードの選択 (Generalタブ)
Clashの最も重要な機能の一つが、通信をどのようにルーティングするかを制御する「モード」です。Generalタブの「Proxy Mode」ドロップダウンメニューから選択できます。主なモードは以下の3つです。
- Rule (ルールモード): これがClashの基本的な動作モードであり、最も推奨されるモードです。 アクティブなプロファイルに記述されている「ルール」に従って通信を振り分けます。例えば、「特定の日本のウェブサイトへは直接接続」「特定の海外のウェブサイトへはプロキシAを経由」「それ以外の通信はプロキシBを経由」といった複雑な制御が可能です。初めてClashを使う場合、基本的にはこのモードを選択しておけば間違いありません。
- Global (グローバルモード): 全てのインターネット通信を、現在選択されているプロキシサーバーまたはプロキシグループ経由で送信します。 例外なく全ての通信がプロキシを経由するため、ルールを無視して全ての通信を隠したい場合などに使用できます。ただし、国内のサイトへのアクセスなどもプロキシ経由となるため、速度が遅くなったり、意図しない挙動を引き起こしたりする可能性があります。テスト目的以外では、あまり常用は推奨されません。
- Direct (ダイレクトモード): 全てのインターネット通信をプロキシを使わずに直接接続します。 これはClashを一時的に無効化したい場合に便利です。Clash for Windowsは起動したままですが、システムプロキシが設定されていても通信は直接行われます。Clashを完全に停止するのではなく、一時的に迂回させたい場合に利用します。
通常は「Rule」モードを選択し、プロファイルに含まれるルールに基づいて通信を振り分けさせるようにします。
5. プロキシサーバー/グループの選択 (Proxiesタブ)
ルールモードで動作している場合でも、プロファイルによっては特定のプロキシグループ内で「どのサーバーを使うか」を手動で選択できる場合があります。また、グローバルモードでは全ての通信に使うプロキシを選択する必要があります。
- 左側のメニューから「Proxies」(プロキシ)タブをクリックします。
- ここに、アクティブなプロファイルに含まれるプロキシサーバー(ノード)とプロキシグループが一覧表示されます。
- リストは通常、プロキシグループごとに整理されています。プロキシグループ名(例:
✈️ Select
,🔮 Auto
,♻️ Fallback
など)が表示され、その下にそのグループに含まれる個別のプロキシサーバーが表示されます。 - グループの種類によっては、グループ名の右側にピンのようなアイコンが表示され、クリックすることでそのグループ内で現在アクティブなサーバー(ノード)を切り替えることができます。
select
タイプのグループの場合:ピンアイコンをクリックすると、そのグループに含まれる全てのサーバーが表示され、手動で選択できます。url-test
やfallback
などの自動選択タイプのグループの場合:ピンアイコンは表示されないか、クリックしても選択肢が表示されません。これらのグループは設定されたルール(速度テストや優先順位)に基づいて自動的にサーバーを選択します。
- グローバルモードを選択している場合、「Global」という特別なグループが表示され、ここで全ての通信に使用するプロキシサーバーを手動で選択できます。
プロキシサーバーの名前の横には、そのサーバーへの接続遅延(レイテンシ、ms単位)が表示されることがあります。サーバー名の右側にある更新アイコンをクリックすると、そのサーバーの遅延を再度テストできます。遅延が小さいほど、応答速度が速い(快適に使える可能性が高い)ことを示します。
ここでは、プロファイル作成者が定義したプロキシグループやノード構成が表示されるため、表示内容はプロファイルによって大きく異なります。初心者の方は、まずselect
タイプのグループ(もしあれば)で、遅延テスト結果の良いサーバーを選択してみるのがおすすめです。
Step 4: 各機能の詳細説明
ここからは、Clash for Windowsの主要な機能タブについて、さらに詳しく見ていきます。
General (一般設定)
- System Proxy: Windowsのシステムプロキシ設定をClash for Windowsにリダイレクトするかどうかを切り替えます。ブラウザやシステムプロキシを利用する多くのアプリの通信をClash経由にするために必須です。オンにするには管理者権限が必要な場合があります。
- Start with Windows: PC起動時にClash for Windowsを自動的に起動させます。
- Allow LAN: ローカルネットワーク上の他のデバイスから、このPCのIPアドレスとClash for WindowsがListenしているポートを指定してプロキシとして利用することを許可します。家庭内で複数のデバイスでClashを利用したい場合などに使用できますが、セキュリティリスクを理解した上で利用してください。
- Mixed Port: HTTPおよびSOCKS5プロキシの両方を提供するローカルポート番号です。デフォルトは7890です。アプリケーションがプロキシ設定を求められた際に、このポート番号を指定します。
- SOCK Port: SOCKS5プロキシのみを提供するローカルポート番号です。デフォルトは7891です。
- HTTP Port: HTTPプロキシのみを提供するローカルポート番号です。デフォルトは7890(Mixed Portと共有)です。
- Clash Core Logs: Clashコアエンジンのログレベルを選択します。
Debug
: 最も詳細なログを出力します。トラブルシューティングに役立ちますが、ログ量が多くなります。Info
: 通常の情報ログを出力します。デフォルトとして推奨されます。Warning
: 警告メッセージのみを出力します。Error
: エラーメッセージのみを出力します。Silent
: ログを全く出力しません。
ログは「Logs」タブで確認できます。
- TUN Mode: Windowsのネットワークアダプターレベルで通信を捕捉し、Clash経由でルーティングするモードです。システムプロキシ設定を無視するアプリケーション(ゲームなど)の通信も制御できます。有効にするには「Service Mode」をオンにする必要があり、管理者権限が常に必要になります。詳細については後述します。
- Service Mode: TUNモードを有効にするために必要なサービスモードです。TUNモードをオンにする際に有効化を求められます。WindowsサービスとしてClashの機能の一部がバックグラウンドで動作するようになります。
- Proxy Mode: 前述のRule, Global, Directのいずれかを選択します。
- System Proxy Exceptions: システムプロキシを有効にしている場合でも、特定のホストやIPアドレスについてはプロキシを経由しないように除外設定を行います。通常は「localhost」やローカルネットワークの範囲などがデフォルトで設定されています。必要に応じて編集できます。
- GEOIP Database: IPアドレスの地理情報(どの国に属するかなど)を判別するためのデータベースの自動更新設定です。ルールでGEOIPを使用する場合に必要です。
- Rule Provider Database: ルールプロバイダー(外部からルールリストを取得するための設定)で使用されるデータベースの自動更新設定です。プロファイルによっては、ルール自体を外部ファイルから取得する設定が含まれている場合があります。
- UWP Loopback Exemption: Universal Windows Platform (UWP) アプリケーション(Microsoft Storeからインストールされるアプリなど)がシステムプロキシを正しく利用できるようにするための設定です。通常は有効にしておきます。
- Allow Crash Reporting: アプリケーションがクラッシュした場合に、匿名のレポートを開発者に送信するかどうかを設定します。
Proxies (プロキシ)
アクティブなプロファイルに含まれるプロキシサーバーとプロキシグループを一覧表示します。
- プロキシサーバー(ノード): 個別の接続先サーバー(例: 日本-東京, 米国-ニューヨークなど)です。プロトコル(Shadowsocks, VMess, VLESS, Trojanなど)、暗号化方式、ポート番号などの情報を含みますが、CfWの画面では簡潔に表示されます。サーバー名の右側に表示される数値は、そのサーバーへの接続遅延(Ping値)です。
- プロキシグループ: 複数のプロキシサーバーや他のプロキシグループをまとめたものです。プロキシグループには、以下の「Policy」タイプがあります。
select
: ユーザーが手動でグループ内のサーバーを選択します。CfWのProxiesタブでピンアイコンをクリックして切り替えます。url-test
: グループ内のサーバーに対して定期的にURLテストを実行し、応答速度が最も速いサーバーを自動的に選択します。CfWの画面では、自動的に選択されたサーバーが表示されます。速度テストのURLや間隔はプロファイルで定義されています。fallback
: グループ内のサーバーをリスト順に試行し、最初に接続に成功したサーバーを使用します。リストの先頭にあるサーバーが利用できない場合、次のサーバーにフォールバック(切り替え)します。信頼性を重視する場合に使用されます。テストの間隔やURLはプロファイルで定義されています。load-balance
: グループ内のサーバーにトラフィックを分散させます。複数のサーバーを同時に使用する場合に利用されますが、初心者にはあまり馴染みがないかもしれません。
- グループの切り替え:
select
タイプのグループ名の横にあるピンアイコンをクリックすると、ドロップダウンリストが表示され、そのグループ内で使用するプロキシサーバーを手動で選択できます。選択したサーバーがそのグループのデフォルトとして使用され、ルールでそのグループが指定されている通信はそのサーバーを経由します。 - 遅延テスト: 個別のプロキシサーバー名の右側にある更新アイコンをクリックすると、そのサーバーへの接続遅延を再測定できます。これにより、現在最も高速なサーバーを見つけるのに役立ちます。
Profiles (プロファイル)
Clash for Windowsに読み込まれているプロファイル一覧を管理するタブです。
- プロファイルリスト: 読み込まれたプロファイルがカード形式で一覧表示されます。アクティブなプロファイルは強調表示されます。
- アクティベート: 使用したいプロファイルのカードをクリックすると、そのプロファイルがアクティベートされ、Clashコアがその設定で再起動されます。
- ダウンロード/インポート: 画面上部からURLまたはローカルファイルを選択して新しいプロファイルを追加できます。
- 更新: プロファイルのカードを右クリックすると、「Update」オプションが表示されます。URLからダウンロードしたプロファイルの場合、このオプションを選択すると、元のURLから最新の設定ファイルを再ダウンロードして更新できます。プロバイダー側でサーバーリストが変更された場合などに使用します。
- 名前の変更/削除: プロファイルのカードを右クリックすると、「Rename」(名前の変更)や「Delete」(削除)オプションが表示されます。
- 設定ファイルの表示: プロファイルのカードを右クリックすると、「Edit」(編集)オプションが表示され、YAML形式の生の設定ファイルを表示・編集できます。ただし、YAML形式の理解がない場合は、誤って編集するとClashが起動しなくなる可能性があるため、初心者はこの機能の使用に注意が必要です。
Logs (ログ)
Clashコアエンジンの動作ログが表示されます。
- Clashコアの起動状況、エラーメッセージ、接続試行のログなどがリアルタイムで表示されます。
- インターネット接続がうまくいかない場合や、Clash for Windowsの挙動がおかしい場合に、このタブのログを確認することで原因の手がかりを得られることがあります。
- 「General」タブの「Clash Core Logs」設定でログレベルを調整できます。トラブルシューティング時は「Info」または「Debug」に設定すると詳細な情報が得られます。
Connections (接続)
現在Clashを経由しているアクティブなインターネット接続の一覧が表示されます。
- アプリケーション名、接続先のホスト名やIPアドレス、使用されているプロキシルールやプロキシグループ、アップロード/ダウンロード速度などがリアルタイムで表示されます。
- 特定のアプリケーションの通信がどのルールで処理されているか、どのプロキシサーバーを経由しているかなどを視覚的に確認できます。
- 特定の接続を右クリックして終了させることも可能です。
Settings (設定)
Clash for Windowsアプリケーション自体の設定を行うタブです。
- General Settings: 言語設定、テーマ(ライト/ダーク)、通知設定(Clashコアの起動/停止時など)、トレイアイコンの設定などが可能です。
- Network Settings: Clash for Windowsが使用するネットワークインターフェースに関する設定など。通常はデフォルトで問題ありません。
- Proxy Settings: アップデート確認時にプロキシを使用するかなどの設定。
- About: Clash for Windowsのバージョン情報、GitHubページへのリンク、ライセンス情報などが表示されます。
- Update: アプリケーション自体のアップデートを確認・実行します。定期的に確認して最新バージョンに保つことをお勧めします。
- Config Directory: Clash for Windowsの設定ファイルなどが保存されているフォルダの場所を表示します。
Step 5: より深く理解する – プロキシグループとルール
Clashの強力さを支えているのが、プロキシグループとルールの仕組みです。これらを理解すると、Clashの柔軟なルーティングがいかに実現されているかが分かります。
プロキシグループの役割
前述の通り、プロキシグループは複数のプロキシサーバーや他のグループをまとめるコンテナです。しかし、単にまとめるだけでなく、そのグループがどのように最終的なプロキシサーバーを選択するかという「ポリシー」を定義します。
select
: ユーザーが手動で選びます。これは最も単純で直接的なポリシーです。例えば、「地域別選択」というグループを作り、その中に日本、アメリカ、シンガポールなどのサーバーを登録しておけば、ユーザーは必要に応じていつでも切り替えられます。url-test
: サーバーの応答速度に基づいて自動的に選択します。設定されたURLに対して定期的にHTTPリクエストを送信し、最も速く応答したサーバーをそのグループの代表として使用します。例えば、「最速サーバー」というグループを作り、複数の高速サーバーを登録しておけば、Clashが常に最適なサーバーを自動的に選び続けてくれます。これにより、手動でサーバーの遅延をテストして切り替える手間が省けます。fallback
: サーバーリストの信頼性に基づいて自動的に選択します。リストの先頭から順にサーバーを試行し、最初に接続に成功したサーバーを使用します。主に、特定の機能(例: Netflix視聴用)を持つサーバーリストを定義しておき、もし最初のサーバーが利用できない場合でも自動的に代替サーバーに切り替えて欲しい場合などに使用されます。速度よりも「利用可能であること」を重視します。
プロファイルを作成するプロバイダーは、これらのポリシーを組み合わせて複雑なグループ構成を定義します。例えば、「最終出口」というselect
グループを作り、その中に「最速サーバー(url-test
グループ)」と「特定の用途向けサーバー(別のselect
グループ)」、そして「直接接続(DIRECT
)」といった選択肢を登録しておく、といった設計が可能です。ユーザーは「最終出口」グループで、自動選択に任せるか、特定用途サーバーを使うか、直結するかを選べるようになります。
ルールの役割
ルールは「どのような通信を、どのプロキシサーバーまたはグループを経由させるか」を定義するものです。プロファイルファイル内のrules:
セクションに記述されており、上から順番に評価されます。最初に一致したルールが適用され、それ以降のルールは評価されません。 この「上から順番」という点が非常に重要です。
一般的なルールの書式は RULE-TYPE,VALUE,POLICY
です。
RULE-TYPE
: どのような条件で通信を識別するかを指定します。DOMAIN-SUFFIX
: 指定したドメインとそのサブドメイン全てに一致します(例:DOMAIN-SUFFIX,google.com,ProxyA
はgoogle.com
,www.google.com
,mail.google.com
など全てに適用されます)。DOMAIN
: 指定した完全一致のドメインにのみ一致します(例:DOMAIN,www.google.com,ProxyA
はwww.google.com
にのみ適用されます)。DOMAIN-KEYWORD
: 指定したキーワードを含むドメインに一致します(例:DOMAIN-KEYWORD,google,ProxyA
はgoogle.com
,google.co.jp
,mygoogle.net
などキーワード「google」を含むドメインに適用されます)。IP-CIDR
: 指定したIPアドレスの範囲に一致します(例:IP-CIDR,192.168.1.0/24,DIRECT
はローカルネットワーク内のIPアドレスに適用されます)。GEOIP
: 指定した国コード(2文字、例:CN
,US
,JP
)に属するIPアドレスに一致します。これには前述のGEOIPデータベースが必要です(例:GEOIP,CN,DIRECT
は中国国内への通信を直結させます)。PROCESS
: Windowsなど一部のプラットフォームで、指定したプロセス名(アプリケーション名)に一致します(例:PROCESS,telegram.exe,ProxyB
はTelegramアプリの通信に適用されます)。MATCH
: これは常にリストの最後に置かれるべきルールです。 これまでのどのルールにも一致しなかった全ての通信に適用されます(例:MATCH,ProxyC
は、どのルールにも一致しなかった全ての通信をProxyC経由で送信します)。
VALUE
: ルールタイプに対応する値(ドメイン名、IPアドレス範囲、国コード、プロセス名など)です。POLICY
: そのルールに一致した通信をどう処理するかを指定します。DIRECT
: プロキシを使わずに直接インターネットに接続します。REJECT
: 接続を拒否します(通信がブロックされます)。- プロキシサーバー名またはプロキシグループ名: 指定したプロキシサーバーまたはプロキシグループを経由して接続します。
ルールの例(プロファイルの一部):
yaml
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,openai.com,🎯 Global
- GEOIP,CN,DIRECT
- GEOIP,JP,DIRECT
- IP-CIDR,192.168.0.0/16,DIRECT
- IP-CIDR,10.0.0.0/8,DIRECT
- IP-CIDR,172.16.0.0/12,DIRECT
- MATCH,🌍 Others
この例では、以下のような処理が行われます:
1. openai.com
またはそのサブドメインへの通信は、「🎯 Global」というプロキシグループを経由します。
2. 中国国内のIPアドレスへの通信は直接接続します。
3. 日本国内のIPアドレスへの通信は直接接続します。
4. プライベートIPアドレス範囲への通信は直接接続します。
5. 上記のどのルールにも一致しなかった全ての通信は、「🌍 Others」というプロキシグループを経由します。
プロバイダーから提供されるプロファイルには、非常に多くのルールが含まれていることが一般的です。これにより、様々なウェブサイトやサービス(ストリーミングサービス、ゲーム、SNSなど)へのアクセスが適切にルーティングされるよう設計されています。初心者の方は、これらのルールを自分で編集する必要はありませんが、Ruleモードがどのように動作しているかを理解しておくと、挙動がおかしい場合の切り分けなどに役立ちます。
Step 6: TUNモードの詳細
「TUN Mode」は、Clash for Windowsのもう一つの重要な機能です。通常のシステムプロキシ設定では、アプリケーション側がプロキシ設定を認識してそれに従う必要があります。ほとんどのブラウザや多くのアプリケーションはこのシステムプロキシ設定を利用しますが、一部のアプリケーション(特にオンラインゲームやコマンドラインツールなど)はシステムプロキシ設定を無視し、直接インターネットに接続しようとすることがあります。
TUNモードは、このようなアプリケーションの通信もClash経由でルーティングするために使用されます。TUNモードを有効にすると、Clash for Windowsはシステム上に「仮想ネットワークアダプター(TUNインターフェース)」を作成します。Windowsのネットワークスタックは、この仮想アダプターに送られてきた全てのIPパケットをClash for Windowsに渡し、Clash for Windowsがこれらのパケットをプロファイルの設定(ルールやプロキシ)に従って処理し、実際のネットワークを通じて送信します。
例えるなら、システムプロキシが「アプリケーションに『この郵便局を使ってね』とお願いする」のに対し、TUNモードは「自宅と外部ネットワークの間に郵便局を設置し、そこを通らないと荷物がやり取りできないようにする」ようなイメージです。
TUNモードのメリット:
- システムプロキシに対応していないアプリケーションの通信もClash経由で制御できるようになります。
- システム全体のトラフィックをClashのルールで管理できるため、より包括的なルーティングが可能です。
TUNモードのデメリット:
- 有効にするには管理者権限が常に必要です。
- システム上の他のネットワークソフトウェア(VPNクライアント、ファイアウォール、仮想化ソフトウェアなど)と競合する可能性があります。
- 仮想ネットワークアダプターを介するため、場合によっては通信速度に影響を与える可能性があります。
- 設定や環境によっては、ネットワーク接続が不安定になることがあります。
TUNモードを有効にする手順:
- Clash for Windowsの「General」タブを開きます。
- 「TUN Mode」のスイッチをオンにします。
- 「TUN Mode」をオンにすると、「Service Mode」が自動的にオンになるか、オンにするよう促されます。「Service Mode」をオンにするには管理者権限が必要なため、UACダイアログが表示されたら許可してください。
- 「Service Mode」が正常に開始されると、TUNモードが有効になります。画面下部のステータス表示などがTUNモードが有効であることを示す表示に変わります。
TUNモードを有効にした場合、通常はSystem Proxyをオフにしたままにしておきます。これは、TUNモードが既にシステム全体の通信を捕捉しているため、System Proxyを同時に有効にすると設定が二重になり、競合やループが発生する可能性があるためです。
もしTUNモードを有効にしてインターネットに接続できなくなった場合、まずは「Service Mode」と「TUN Mode」の両方をオフに戻し、System Proxyをオンにして通常モードで接続できるか確認してください。TUNモードはより高度な設定であり、環境によってはトラブルが発生しやすいため、初心者の方はまずSystem ProxyモードでClashの機能に慣れることをお勧めします。
Step 7: よくある疑問とトラブルシューティング
Clash for Windowsを使っていて遭遇しがちな疑問や問題、そしてその解決策について説明します。
Q1: Clash for Windowsを起動してもインターネットに接続できません。
- システムプロキシが有効になっていますか? 「General」タブで「System Proxy」がオンになっているか確認してください。オフになっている場合はオンにしてください。
- プロファイルはアクティベートされていますか? 「Profiles」タブで、使用したいプロファイルがクリックされて選択されているか確認してください。
- アクティブなプロファイルは正しいですか? 使用期限が切れていないか、プロバイダーから提供された最新のものであるか確認してください。必要であれば「Profiles」タブでプロファイルを「Update」してみてください。
- 選択されているプロキシサーバーは有効ですか? 「Proxies」タブで、現在選択されているサーバー(Globalモードの場合、またはRuleモードでselectグループを使用している場合)が有効であるか、遅延テストで適切な数値が出ているか確認してください。遅延テストでエラーが出るサーバーは利用できない可能性が高いです。別のサーバーやグループを試してみてください。
- Clashコアは起動していますか? 画面下部や「Logs」タブで、Clashコアが正常に起動しているか確認してください。起動エラーが表示されている場合は、プロファイル設定に問題がある可能性があります。
- WindowsファイアウォールはClashをブロックしていませんか? 初回起動時に許可を求められることが多いですが、もしブロックされている場合は解除してください。
- 他のVPNやプロキシソフトウェアと競合していませんか? 同時に複数のプロキシやVPNソフトウェアを起動していると競合することがあります。Clash for Windowsを使う際は、他の関連ソフトウェアを終了させてみてください。
- インターネット接続自体は正常ですか? Clash for Windowsを完全に終了し、システムプロキシもオフにした状態で、インターネットに直接接続できるか確認してください。
Q2: 特定のウェブサイトやアプリケーションだけ接続できません。
- Ruleモードを使用していますか? Globalモードでは全ての通信がプロキシ経由になるため、一部サービスで問題が発生することがあります。Ruleモードに切り替えてみてください。
- プロファイルのルールに問題があるかもしれません。 特定のサイトやアプリへの通信が、意図しないプロキシサーバーを経由しているか、またはREJECT(拒否)ルールに一致している可能性があります。「Connections」タブでそのサイトやアプリの通信がどのように処理されているか確認してみましょう。ただし、プロファイルのルールを自分で修正するのは初心者には難しい場合があります。プロバイダーに問い合わせるか、他のプロファイルやプロキシグループを試してみてください。
- TUNモードを試す必要があるかもしれません。 アプリケーションがシステムプロキシ設定を無視している場合、System ProxyモードではClashを経由しません。TUNモードを有効にして試してみてください(ただしTUNモードには管理者権限や他の競合リスクが伴います)。
Q3: 以前は使えていたのに、急に遅くなったり不安定になりました。
- プロキシサーバーの負荷が高い可能性があります。 「Proxies」タブで他のサーバーの遅延テストを行い、より高速なサーバーに切り替えてみてください(selectグループの場合)。
- プロバイダー側で問題が発生している可能性があります。 利用しているプロキシサービスプロバイダーのアナウンスなどを確認してください。
- プロファイルが古くなっているかもしれません。 プロバイダー側でサーバーリストが更新されている可能性があるので、「Profiles」タブでプロファイルを「Update」してみてください。
- ネットワーク環境に一時的な問題があるかもしれません。 ルーターやモデムを再起動してみる、時間帯を変えてみるなどの対策も有効です。
Q4: Clash for Windowsをアンインストールしたいのですが。
- アンインストールの前に、「General」タブで「System Proxy」と「TUN Mode」/「Service Mode」を必ずオフにしてください。これにより、Windowsのネットワーク設定が元に戻ります。これを忘れると、アンインストール後にインターネットに接続できなくなることがあります。
- オフにしたことを確認したら、Windowsの「設定」>「アプリ」>「アプリと機能」から「Clash for Windows」を選択し、「アンインストール」を実行してください。
Q5: TUNモードが有効になりません / TUNモードで接続できません。
- 「Service Mode」はオンになっていますか? TUNモードには「Service Mode」が必須です。管理者権限でオンにしてください。
- PCを再起動してみてください。「Service Mode」のインストールやTUNアダプターの認識に再起動が必要な場合があります。
- 他のVPNクライアントやネットワーク仮想化ソフトウェア(VirtualBox, VMwareなど)がインストールされている場合、それらがTUNモードと競合している可能性があります。それらを終了させるか、一時的に無効にして試してみてください。
- Windowsのネットワークアダプター設定に「TAP-Windows Adapter V9」のような仮想アダプターや、Clashが作成したTUNアダプターが表示されているか確認してください。アダプター自体に問題がある場合、Clash for Windowsのアンインストールと再インストールが必要になることもあります。
- 常に管理者としてClash for Windowsを起動する必要がある場合があります。
Q6: プロファイルを編集したいのですが、YAML形式がわかりません。
- YAML形式は、設定を構造化するためのシンプルな記述形式ですが、インデント(行頭の空白)などが非常に重要です。誤った編集はClashの起動失敗に繋がります。
- 初心者の方は、YAMLファイルを直接編集するのではなく、提供されたプロファイルをそのまま利用することを強く推奨します。
- もし学習意欲があれば、YAMLの基本的な構文について学び、バックアップを取った上で慎重に編集してください。ルールやグループの記述方法はClashの公式ドキュメントなどを参照する必要がありますが、プロバイダーが提供する設定ファイルは非常に複雑な場合があります。
- Clash for Windows自体には、GUIでルールやグループを細かく編集する機能は限定的です(主にselectグループの選択)。より高度な設定をGUIで行いたい場合は、別のGUIクライアントや、プロキシサービスが提供するウェブベースの設定ツールなどを検討する必要があるかもしれません。
Step 8: セキュリティとプライバシーに関する注意点
Clash for Windowsは強力で柔軟なツールですが、インターネット接続の根幹に関わるため、セキュリティとプライバシーに関する注意点も理解しておく必要があります。
- 信頼できるプロバイダーを利用する: プロキシサービスはあなたのインターネット通信を中継します。つまり、プロバイダーはあなたの通信内容(暗号化されていない場合)や接続先の情報を技術的に把握することができます。信頼できる、ログを取らない方針を明示しているプロバイダーを選択することが非常に重要です。無料または出所の不明なプロファイルやプロキシサーバーの利用は、セキュリティやプライバシーのリスクが非常に高いです。
- プロファイルの出所を確認する: サブスクリプションURLやYAMLファイルは、必ず信頼できるプロバイダーの公式サイトから入手してください。見知らぬ場所からダウンロードしたファイルには、悪意のある設定やマルウェアが含まれている可能性があります。
- 通信の暗号化を確認する: 利用しているプロキシプロトコル(Shadowsocks, VMess, VLESS, Trojanなど)は、通常、通信内容を暗号化します。しかし、Clashの設定やプロバイダーによっては暗号化されていないHTTPプロキシなども含まれる可能性があります。重要な通信(ログイン情報や個人情報を含むもの)を行う際は、HTTPSで接続されているか(ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されているか)などを確認し、通信内容が暗号化されていることを確認してください。
- Clash for Windows自体のセキュリティ: Clash for Windowsはオープンソースであり、多くのユーザーによって利用・監査されています。公式のGitHubから最新版を入手し、常にアップデートを確認することをお勧めします。
- TUNモードと管理者権限: TUNモードはシステム全体のネットワークを制御できる強力な機能であり、有効にするには管理者権限が必要です。これは正当な機能ですが、もしClash for Windowsがマルウェアに感染した場合、システムネットワーク全体が悪用されるリスクがあります。信頼できるソースからダウンロードし、常にPC全体のセキュリティ対策(OSのアップデート、ウイルス対策ソフトなど)を怠らないようにしてください。
- 法律と規制: インターネット利用に関する法律や規制は国や地域によって異なります。Clash for Windowsやプロキシサービスを利用する際は、お住まいの地域および接続先地域の法律や利用規約を遵守してください。
Step 9: まとめと次のステップ
これで、Clash for Windowsの基本的な使い方と設定方法について一通り理解できたはずです。
初心者向けClash for Windows利用のステップまとめ:
- 信頼できるプロキシサービスプロバイダーを見つける。
- プロバイダーからClash互換のサブスクリプションURLを入手する。
- Clash for Windowsを公式GitHubからダウンロードしてインストールする。
- Clash for Windowsを起動し、「Profiles」タブでサブスクリプションURLを貼り付けてプロファイルをダウンロード・アクティベートする。
- 「General」タブで「System Proxy」をオンにする(または必要に応じてTUNモードをオンにする)。
- 「Proxies」タブで、必要に応じて(selectグループの場合)利用したいプロキシサーバーを選択する。
- ウェブブラウザやアプリケーションを開いて、インターネット接続がClash経由になっているか確認する。
最初はRuleモードとSystem Proxy機能だけを使ってみるのが最もシンプルです。慣れてきたら、Proxyタブでのサーバー切り替えや遅延テスト、Connectionsタブでの通信確認、そして必要に応じてTUNモードなどを試してみてください。
次のステップとして:
- 利用しているプロキシプロバイダーが提供するClashプロファイルに関する説明(各プロキシグループの役割など)を読んでみる。
- Clashのルール記述方法について少しずつ学び、簡単なカスタムルールを追加してみる(ただし、これは中級者向けです)。
- Clash for Windowsの公式ドキュメントやコミュニティフォーラムなどを参照し、さらに深い機能や高度な設定について調べてみる。
Clashは非常に柔軟性の高いツールであり、その設定はプロファイルに大きく依存します。プロバイダーによってプロファイルの内容や構成は大きく異なるため、もし不明な点があれば、まずはそのプロバイダーのサポートやドキュメントを参照するのが最も効率的な解決策となるでしょう。
このガイドが、あなたのClash for Windowsを使った安全で柔軟なインターネット接続の第一歩となれば幸いです。
免責事項: 本記事はClash for Windowsの一般的な使用方法に関する情報を提供するものであり、特定のプロキシサービスの利用を推奨したり保証したりするものではありません。Clash for Windowsおよび関連サービスのご利用にあたっては、ご自身の判断と責任において行ってください。また、インターネットの利用に関しては、お住まいの国や地域の法律およびプロキシサービスの利用規約を遵守してください。ソフトウェアのバージョンアップによりインターフェースや設定項目が変更される場合があります。最新の情報は公式ドキュメントを参照してください。