Google Cloud Skills Boost完全ガイド:学習内容と始め方
はじめに:クラウド時代の必須スキルを習得する
デジタル変革が加速する現代において、クラウドコンピューティングはビジネスの基盤として不可欠な存在となりました。その中でも、Google Cloud Platform (GCP) は、最先端の技術力と革新的なサービスで、世界中の企業や開発者から注目を集めています。AI、機械学習、ビッグデータ分析、コンテナ技術など、多岐にわたる分野で強力なサービスを提供しており、これらの技術を使いこなすスキルは、もはやITプロフェッショナルだけでなく、あらゆる分野で求められるようになっています。
しかし、「クラウドは難しそう」「どこから学び始めればいいかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。Google Cloud Skills Boostは、まさにそうした疑問や不安に応えるために設計された、Google Cloudの公式学習プラットフォームです。実践的なハンズオン形式のラボや、体系的に学べるコース、特定の役割を目指すラーニングパスなど、多様な形式で質の高い学習コンテンツを提供しています。
この記事では、Google Cloud Skills Boostを「完全ガイド」として、その学習内容、プラットフォームの仕組み、始め方、そして学習を効果的に進めるためのヒントまで、徹底的に詳しく解説します。約5000語をかけて、Google Cloud Skills Boostの全てを網羅することを目指します。この記事を読めば、あなたがGoogle Cloudのスキルを習得するための最初の一歩を踏み出し、さらにその知識を深めていくための明確なロードマップが見えてくるはずです。
Google Cloudの基礎を学びたい初心者から、特定のサービスや高度な技術を習得したい経験者まで、幅広い読者を対象としています。さあ、クラウド時代の必須スキルを身につける旅に出ましょう。
Google Cloud Skills Boostの概要:実践的な学習環境の進化
Google Cloud Skills Boostは、Google Cloudが提供する公式のオンライン学習プラットフォームです。このプラットフォームは、以前は「Qwiklabs」として知られていましたが、Google Cloudの学習コンテンツ全体を統合し、より包括的な学習体験を提供するためにGoogle Cloud Skills Boostへと名称が変更されました。単なる動画視聴や座学ではなく、「実際にクラウド環境に触れて手を動かす」ことに重点を置いているのが最大の特徴です。
どのようなプラットフォームか? (旧Qwiklabsからの進化)
Qwiklabs時代から提供されてきた最大の価値は、実際のGoogle Cloud環境への「一時的なアクセス」を提供し、ユーザーがリスクなく、かつ簡単な手続きでハンズオン演習を行える点でした。Google Cloud Skills Boostは、この核となる価値を継承しつつ、学習コンテンツの多様化と体系化を進めました。
- 統合されたプラットフォーム: Google Cloudの公式ドキュメント、トレーニング、認定資格準備コンテンツなどが一箇所に集約されつつあります(厳密にはドキュメントなどは別途ですが、学習への導線が強化されています)。
- 多様なコンテンツ形式: ハンズオンラボだけでなく、理論を学ぶ動画コンテンツ、特定のスキルセットを体系的に学ぶ「クエスト」や「ジャーニー」といった概念が導入され、学習の選択肢が広がりました。
- パーソナライズされた学習: ユーザーのスキルレベルや目的に合わせた学習プランを提案する機能などが強化されています。
- 認定資格との連携強化: 特定の認定資格取得を目指す学習ジャーニーが明確に示され、試験対策としての位置づけがより強固になりました。
提供される学習コンテンツの種類
Google Cloud Skills Boostでは、様々な形式の学習コンテンツが提供されています。これらを組み合わせて学習を進めることで、段階的にスキルを習得できます。
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ラボ (Labs):
- 最も基本的な学習単位です。
- 特定の手順に従って、実際のGoogle Cloud環境でタスクを実行するハンズオン演習です。
- 「一時的なGoogle Cloud環境」が提供され、あらかじめ設定された時間内に指定された手順を実行します。
- 手順書が用意されており、それに沿ってコマンドを入力したり、コンソールを操作したりします。
- 環境はラボ終了後に自動的に破棄されるため、誤ってリソースを作成しっぱなしにして課金が発生するといった心配がありません。
- 難易度は「初級」「中級」「上級」に分けられています。
- 種類として、手順書に沿って進める「Hands-on Lab」と、課題だけが与えられ、自分で解決策を考えて実装する「Challenge Lab」があります。
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クエスト (Quests):
- 複数の関連するラボをまとめたものです。
- 特定のスキルセットや技術領域を集中的に学ぶために設計されています。
- 例えば、「Google Cloud Essentials」「Cloud Security」「Kubernetes Solutions」といったテーマごとにクエストが用意されています。
- クエスト内の全てのラボを完了すると、そのクエストを修了したことを証明する「デジタルバッジ」が付与されます。このバッジは、スキルを証明する証としてSNSなどで共有できます。
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コース (Courses):
- 理論的な解説(動画レクチャーなど)と実践的なラボを組み合わせた、より体系的な学習プログラムです。
- 単一のサービスや技術領域にとどまらず、より広範な知識や概念を学ぶのに適しています。
- CourseraやUdemyなどの外部プラットフォームで提供されているGoogle Cloud公式コースの一部も、Skills Boostと連携している場合があります。
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ラーニングパス / ジャーニー (Learning Paths / Journeys):
- 特定の職務役割(例: クラウドアーキテクト、データエンジニア)や認定資格取得といった明確な目標に向け、複数のクエストやコースを組み合わせて体系的に学習できるよう設計されたロードマップです。
- 学習の順序が示されており、どのスキルをどの順番で習得すべきかが分かりやすくなっています。
- キャリアアップや専門分野の深化を目指す学習者にとって、非常に役立つガイドとなります。
料金体系(サブスクリプション、クレジット)
Google Cloud Skills Boostを利用するには、主に二つの方法があります。
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サブスクリプション (Subscription):
- 一定期間(例: 1ヶ月)利用し放題となるプランです。
- 多くのラボやクエストに追加料金なしでアクセスできるようになります。
- 頻繁に学習する方や、複数のクエスト、ジャーニーに取り組みたい方にはコストパフォーマンスが高い選択肢です。
- 特定のサブスクリプションには、認定資格試験の割引などの特典が含まれる場合もあります。
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クレジット (Credits):
- Skills Boostプラットフォーム内で使用できる仮想通貨のようなものです。
- ラボごとに必要なクレジット数が決まっており、クレジットを消費してラボを開始します。
- たまに学習する方や、特定のラボだけを試したい方に向いています。
- クレジットはまとめて購入できます。
どちらの方法が良いかは、あなたの学習頻度や目的に応じて異なります。まずは少数のクレジットで試してみて、継続的に学習したいと感じたらサブスクリプションに切り替える、といった方法も可能です。また、期間限定の無料アクセスキャンペーンや、Google Cloudのイベント参加特典などで無料クレジットやサブスクリプションが付与される機会もあります。
学習環境(クラウドコンソールへの一時的なアクセス)
Skills Boostの最大の特徴であり、学習効果を高める鍵となるのが、実際のGoogle Cloud環境への「一時的なアクセス」です。ラボを開始すると、数分であなた専用のGoogle Cloudプロジェクトと、そのプロジェクトを操作するための認証情報(ユーザー名、パスワード)が発行されます。
- この環境は、独立しており、あなたの既存のGoogle Cloudアカウントやプロジェクトとは完全に分離されています。
- 提供される認証情報を使って、Google Cloud Consoleにログインし、手順書に沿ってサービスの構成や操作を行います。
- 与えられた時間内(通常30分〜2時間程度)であれば、自由に環境を操作できます(ただし、手順外の操作は推奨されませんし、時間制限があるため効率的に進める必要があります)。
- 時間切れになるか、ラボを終了すると、その環境は自動的にクリーンアップされ、破棄されます。
- これにより、環境構築の手間なく、すぐに実践的な学習を開始でき、不要なリソースを残して課金が発生するリスクもありません。
この実践的な学習環境こそが、Google Cloud Skills Boostが単なる動画学習サイトと一線を画す理由であり、実際に手を動かしてスキルを定着させるための強力なツールとなっています。
Google Cloud Skills Boostで学べる主要な分野
Google Cloud Skills Boostで提供されている学習コンテンツは非常に幅広く、クラウドコンピューティングに関する主要な分野を網羅しています。あなたの現在のスキルレベルや興味、キャリア目標に合わせて、多様な分野から学習内容を選択できます。ここでは、Skills Boostで特に重点が置かれている主要な分野とその内容について詳しく見ていきます。
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インフラストラクチャ (Infrastructure):
- クラウドの基盤となるコンピューティング、ストレージ、ネットワーキングなどの要素を学びます。
- Compute Engine (VM): 仮想マシンの作成、管理、ネットワーキング、スケーリングなど。
- Google Kubernetes Engine (GKE): コンテナオーケストレーションの代表格であるKubernetesをGoogle Cloud上で利用する方法、クラスタ管理、デプロイ、スケーリング。
- VPC (Virtual Private Cloud): クラウド上の仮想ネットワークの構築、サブネット、ファイアウォール、ルーティング。
- Cloud Storage: オブジェクトストレージの使い方、バケット、データのアップロード・ダウンロード、ライフサイクル管理。
- Persistent Disk / Filestore: ブロックストレージやファイルストレージの使い方。
- 学習内容例: VMインスタンスの作成とSSH接続、VPCネットワークの構成、GKEクラスタの作成とアプリケーションのデプロイ、Cloud Storageを使ったデータ管理など。
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データ分析 (Data Analytics):
- 大量のデータを収集、格納、処理、分析するためのGoogle Cloudサービス群を学びます。
- BigQuery: ペタバイト規模のデータを高速に分析できるサーバーレスなデータウェアハウスの使い方、SQLクエリ、データロード、エクスポート、ストリーミング挿入。
- Dataflow: バッチ・ストリーミングデータ処理のためのサーバーレスなサービス、パイプライン構築。
- Dataproc: マネージドなSpark/Hadoopサービスの使い方。
- Pub/Sub: リアルタイムメッセージングサービス。
- Looker / Data Studio: データ可視化ツールの使い方。
- 学習内容例: BigQueryでのデータセット作成とクエリ実行、Cloud Storageからのデータロード、Dataflowパイプラインの実行、Pub/Subを使ったストリーミングデータ処理、Lookerでのダッシュボード作成など。
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機械学習・AI (Machine Learning / AI):
- Googleの最先端AI技術を応用するためのサービス群を学びます。
- Vertex AI: 機械学習モデル開発、トレーニング、デプロイのための統合プラットフォーム。
- AutoML: コードを書かずにカスタムMLモデルを構築できるサービス(画像認識、自然言語処理、表形式データ)。
- Vision AI / Natural Language AI / Translation AI / Speech-to-Text AI: 事前学習済みモデルを使った画像分析、テキスト分析、翻訳、音声認識サービス。
- TensorFlow Enterprise: マネージドなTensorFlow環境。
- 学習内容例: Vertex AIでのモデルトレーニングとデプロイ、AutoML Visionを使った画像分類モデル作成、Natural Language AIでの感情分析、BigQuery MLでのSQLを使ったMLモデル作成など。
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アプリケーション開発 (Application Development):
- スケーラブルでレジリエントなアプリケーションを構築・デプロイするためのサービス群を学びます。
- App Engine: フルマネージドなPaaSサービス(Standard/Flexible環境)。
- Cloud Functions: サーバーレスなイベント駆動型コンピューティング(FaaS)。
- Cloud Run: コンテナを使ったサーバーレスサービス。
- Cloud SQL: マネージドなリレーショナルデータベース(MySQL, PostgreSQL, SQL Server)。
- Firestore / Datastore: NoSQLドキュメントデータベース。
- Cloud Spanner: スケーラブルなリレーショナルデータベース。
- API Gateway: マイクロサービスなどのAPI管理。
- 学習内容例: App Engineへのウェブアプリケーションデプロイ、Cloud Functionsでのトリガーを使ったイベント処理、Cloud Runでコンテナ化されたアプリケーションの実行、Cloud SQLインスタンスの作成と接続、Firestoreを使ったデータ保存など。
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セキュリティ (Security):
- クラウド環境のセキュリティを確保するためのベストプラクティスとサービスを学びます。
- IAM (Identity and Access Management): 誰がどのリソースにアクセスできるかを管理する方法、役割と権限。
- VPC Service Controls: サービス境界を定義してデータ漏洩を防ぐ方法。
- Security Command Center: セキュリティ状態の監視とリスク検出。
- Cloud Armor: DDoS攻撃やWebアプリケーション攻撃からの保護。
- Secret Manager: 機密情報の安全な保存と管理。
- 学習内容例: IAMでのユーザーとグループの管理、カスタムロールの作成、サービスアカウントの使い方、ファイアウォールの設定、Security Command Centerでの脆弱性スキャンなど。
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ネットワーキング (Networking):
- Google Cloud内外との接続、負荷分散、コンテンツ配信などを学びます。
- VPC (再掲): 仮想ネットワーク構成。
- Cloud Load Balancing: トラフィック分散、可用性向上。
- Cloud CDN: コンテンツ配信ネットワーク。
- Cloud Interconnect / VPN: オンプレミス環境との接続。
- Cloud DNS: マネージドなDNSサービス。
- 学習内容例: ロードバランサーの構成とテスト、VPCピアリングの設定、VPN接続の構築、CDNの有効化とパフォーマンス検証など。
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デベロッパーツール (Developer Tools):
- アプリケーションの開発、ビルド、デプロイを効率化するサービス群を学びます。
- Cloud Build: CI/CDパイプラインの構築、コードからコンテナイメージへのビルド。
- Cloud Source Repositories: プライベートGitリポジトリ。
- Cloud Deployment Manager / Terraform: インフラストラクチャをコードとして管理(IaC)。
- Cloud Shell: ブラウザから利用できるコマンドライン環境。
- 学習内容例: Cloud BuildでのCIパイプライン構築、Cloud Shellを使ったコマンド実行、Deployment Managerでのリソースプロビジョニングなど。
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SRE・運用 (SRE / Operations):
- システムの信頼性、可用性、パフォーマンスを維持するための運用手法とサービスを学びます。
- Cloud Monitoring: システムの状態監視、メトリクス収集、アラート設定。
- Cloud Logging: ログの一元管理、分析。
- Cloud Trace / Cloud Profiler: アプリケーションのパフォーマンス分析、ボトルネック特定。
- Error Reporting: アプリケーションエラーの追跡と分析。
- 学習内容例: Cloud Monitoringでのカスタムダッシュボード作成、ログエクスプローラーでのログ検索と分析、アラートポリシーの設定、アプリケーションのトレース分析など。
これらの分野は相互に関連しており、多くの学習コンテンツでは複数のサービスを組み合わせて利用するシナリオが扱われます。例えば、ウェブアプリケーションを構築するラボでは、Compute Engine(またはCloud Run/App Engine)、VPC、Cloud SQL、Cloud Storageなどが組み合わせて登場します。このように、単一サービスの知識だけでなく、システム全体としての構成や運用についても実践的に学ぶことができます。
学習コンテンツの詳細:ラボ、クエスト、コース、ジャーニーを使いこなす
Google Cloud Skills Boostの学習コンテンツは、それぞれ異なる目的と形式を持っています。これらを理解し、適切に選択・組み合わせることで、あなたの学習効率を最大化できます。ここでは、主要なコンテンツ形式であるラボ、クエスト、コース、そしてラーニングパス/ジャーニーについて、さらに詳しく掘り下げていきます。
ラボ (Labs)
ラボは、Skills Boostの最も基本的な学習単位であり、実践的なスキル習得の核となります。
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特徴:
- 実践的演習: 実際にGoogle Cloud環境を操作するハンズオン形式。コマンドラインやCloud Consoleを使って作業します。
- 時間制限: ラボごとに利用可能な時間が設定されています(通常30分から数時間)。時間内に手順を完了する必要があります。
- 一時的な環境: ラボ専用のGoogle Cloudプロジェクトと認証情報が一時的に提供されます。終了後に環境は自動破棄されます。
- 詳細な手順書: 各ラボには、実行すべきタスクと操作手順がステップバイステップで記述されています。画面のスクリーンショットやコマンドの例も含まれることが多いです。
- 進捗確認: ラボ中に特定のタスクが完了したかどうかをシステムが自動的に確認し、スコアとして表示するものもあります。これにより、正しく進んでいるかどうかが分かります。
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ラボの種類:
- Hands-on Lab: 手順書に沿って進める形式。初心者や特定の操作方法を学びたい場合に適しています。ほとんどのラボはこの形式です。
- Challenge Lab: 手順書ではなく、達成すべき目標や課題だけが提示される形式。すでに基本的な知識があり、自分で考えて解決策を実装するスキルを試したい場合に適しています。クエストの最後に配置されることが多いです。
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ラボの進め方:
- ラボを選択し、「ラボを開始」をクリックします。
- 一時的なGoogle Cloud環境がプロビジョニングされ、ユーザー名、パスワード、プロジェクトIDなどの認証情報が表示されます。利用可能な時間もカウントダウンが始まります。
- 表示された認証情報を使って、新しいブラウザタブでGoogle Cloud Consoleにログインします。
- ラボの手順書を読みながら、指定されたサービスを使ってタスクを実行します。コマンドラインを使う場合は、通常Cloud Shellを利用します。
- 手順書には、タスクの完了を確認するためのチェックポイントが含まれていることがあります(「進捗を確認」ボタンなど)。これをクリックして、システムに作業が正しく行われたかをチェックしてもらいます。
- 時間内に全てのタスクを完了するか、学習が完了したら「ラボを終了」をクリックします。
ラボを効果的に利用するには、手順書をよく読み、焦らず確実に作業を進めることが重要です。もし途中でエラーが発生したり、分からなくなったりしても、一時的な環境なので何度でもやり直せます。時間を使い切ってしまっても、クレジットやサブスクリプションが許せば同じラボを再度開始できます。
クエスト (Quests)
クエストは、関連する複数のラボをまとめた、特定の技術領域やスキルセットを習得するための学習パスです。
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特徴:
- 体系的学習: 単なるラボのリストではなく、難易度や内容が考慮された順序でラボが配置されています。
- 特定テーマの深掘り: 「Google Cloud Essentials」(基礎)、「Networking in Google Cloud」、「Deploying Applications with Kubernetes on Google Cloud」など、明確なテーマに基づいて構成されます。
- スキル習得目標: クエストを完了することで、そのテーマに関する一連のスキルを習得することを目指します。
- デジタルバッジ: クエスト内の全てのラボを完了すると、そのクエストを修了したことの証明としてデジタルバッジが付与されます。
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代表的なクエスト例:
- Google Cloud Essentials: Google Cloudの基本的なサービス(Compute Engine, Cloud Storage, BigQueryなど)の概要と基本的な操作を学ぶ初心者向けのクエスト。
- Getting Started with Google Kubernetes Engine: GKEの基礎から、クラスタの作成、アプリケーションのデプロイ、スケーリングなどを学ぶクエスト。
- Data Engineering: BigQuery, Dataflow, Dataprocなど、データエンジニアリングに関連する主要サービスを学ぶクエスト。
- Machine Learning on Google Cloud: Vertex AIやBigQuery MLなど、Google Cloudでの機械学習パイプライン構築やモデル利用を学ぶクエスト。
- Cloud Security: IAM, VPC Service Controlsなど、Google Cloud環境のセキュリティ確保に関するスキルを学ぶクエスト。
クエストは、あなたが特定の分野を集中的に学びたい場合に最適な学習形式です。まずは興味のある分野の「Getting Started」や「Essentials」といった名前のクエストから始めてみるのがおすすめです。
コース (Courses)
コースは、座学(理論学習)と実践的なラボを組み合わせた、より網羅的な学習プログラムです。
- 特徴:
- 理論と実践の融合: 動画レクチャーやテキスト形式で概念や背景知識を学び、それに関連するラボで実際に手を動かして理解を深めます。
- 広範な内容: 単一のサービスやタスクだけでなく、特定の分野全体、あるいはより広範な概念(例: クラウドの基礎、データ分析のアーキテクチャ)を扱います。
- 構造化された学習: 複数のモジュールや章に分かれており、計画的に学習を進められます。
Skills Boostのプラットフォーム内で提供されるコースと、CourseraやUdemyなどで提供されるGoogle Cloud公式コースがあります。Skills Boost内のコースは、通常、ラボとの連携がより緊密になっています。
ラーニングパス / ジャーニー (Learning Paths / Journeys)
ラーニングパスまたはジャーニーは、特定の職務役割や認定資格取得といった長期的な目標を達成するために、複数のクエストやコース、その他のリソース(ドキュメントなど)を組み合わせて構成された、最も包括的な学習ロードマップです。
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特徴:
- 目標指向: 例: “Become a Cloud Architect”(クラウドアーキテクトになる)、”Prepare for the Professional Data Engineer Certification”(プロフェッショナルデータエンジニア認定資格の準備)。
- 段階的な学習: 初級レベルから始まり、徐々に難易度や専門性が高まるようにクエストやコースが配置されています。
- 総合的なスキル習得: 特定の役割に必要な幅広い知識とスキルを体系的に習得できます。
- 時間のかかる取り組み: 通常、完了までに数週間から数ヶ月を要する、より長期的な学習プランです。
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例:
- Google Cloud Certified Professional Cloud Architect ラーニングパス
- Google Cloud Certified Professional Data Engineer ラーニングパス
- Associate Cloud Engineer ジャーニー
これらのジャーニーは、あなたが特定のキャリアパスを目指している場合や、特定の認定資格を取得したい場合に、最も効果的な学習順序と必要なコンテンツを示してくれる羅針盤となります。まずは自分の目標に合ったジャーニーを探してみるのが良いでしょう。
学習コンテンツの選び方:
- 初心者で全体像を知りたい: 「Google Cloud Essentials」のような基礎的なクエストや、”Getting Started with Google Cloud”といった名前のコースから始めましょう。まずは短い「Hands-on Lab」をいくつか試すのも良いです。
- 特定のサービスについて学びたい: そのサービスに関連するラボやクエストを探します。
- 特定の分野(データ分析、MLなど)を集中的に学びたい: その分野のクエストをいくつか選んで取り組みましょう。
- 特定の職務役割を目指したい / 認定資格を取りたい: 該当するラーニングパスやジャーニーに従って学習を進めます。
Skills Boostのプラットフォームでは、キーワード検索やカテゴリ、難易度フィルターを使って、あなたの目的に合ったコンテンツを簡単に見つけることができます。
Google Cloud Skills Boostの始め方:アカウント作成から最初のラボまで
Google Cloud Skills Boostでの学習を開始するのは非常に簡単です。ここでは、アカウント作成からプラットフォームの基本的な使い方、そして最初のラボを試すまでのステップを詳しく解説します。
1. Google Cloud Skills Boost アカウント作成手順
Google Cloud Skills Boostを利用するには、まずアカウントが必要です。
- Skills Boostウェブサイトにアクセス: ウェブブラウザを開き、「Google Cloud Skills Boost」と検索するか、以下の公式URLに直接アクセスします。
https://www.cloudskillsboost.google/
(またはそれに準ずるURL、最新の情報は検索して確認してください) - 「Sign In」または「Get Started」をクリック: サイトの右上などにあるログインボタンまたは開始ボタンをクリックします。
- Google アカウントでログイン: Google Cloud Skills Boostは、あなたのGoogleアカウント(@gmail.com アカウントなど)と連携して動作します。既存のGoogleアカウントでログインしてください。もしGoogleアカウントを持っていない場合は、この機会に作成する必要があります。
- プロフィール情報の入力: 初回ログイン時、簡単なプロフィール情報(名前、国、興味のある分野など)の入力を求められる場合があります。これらは、あなたに合った学習コンテンツを推奨するために利用されます。必要事項を入力し、利用規約に同意します。
- アカウント作成完了: これでGoogle Cloud Skills Boostのアカウント作成は完了です。プラットフォームのダッシュボードまたはホーム画面が表示されます。
注意点: Google Cloud Skills Boostのアカウントと、実際にGoogle Cloudサービスを利用するためのGoogle Cloud Platform (GCP) アカウントは別物です。Skills Boostで一時的に提供される環境は、あなたのGCPアカウントとは独立しています。学習中にあなたのGCPアカウントに課金が発生することはありませんのでご安心ください。
2. サブスクリプションの購入 or クレジットの利用方法
アカウントを作成しただけでは、ほとんどの有料コンテンツ(ラボなど)は利用できません。学習を開始するには、サブスクリプションを購入するか、クレジットを入手・利用する必要があります。
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サブスクリプションの場合:
- Skills Boostサイト内の「Subscribe」または「Subscription」セクションに移動します。
- 利用可能なサブスクリプションプラン(例: 1ヶ月、年間など)を確認します。
- 希望するプランを選択し、支払い情報を入力して購入手続きを完了します。
- サブスクリプションが有効になると、対象となる期間中、サブスクリプションに含まれるラボやクエストに無制限(または特定の利用上限内で)にアクセスできるようになります。
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クレジットの場合:
- Skills Boostサイト内の「Credits」または「Buy Credits」セクションに移動します。
- 購入したいクレジットの量を選択します(例: 10クレジット、50クレジットなど)。クレジット数が多いほど、単価が安くなる傾向があります。
- 支払い情報を入力して購入手続きを完了します。
- 購入したクレジットがアカウントに追加されます。ラボを開始する際に、そのラボに必要なクレジット数が表示され、利用同意の上でクレジットを消費します。
無料クレジットや無料期間の活用:
- 新規登録特典: 初めてSkills Boostに登録するユーザー向けに、期間限定の無料トライアルや無料クレジットが付与される場合があります。まずはこれを活用するのがおすすめです。
- プロモーションコード: Google Cloudのイベント参加者や、パートナー企業を通じてプロモーションコードが配布されることがあります。
- 特定のクエストの無料アクセス: 一部の入門レベルのクエストやラボは、クレジットやサブスクリプションなしで無料公開されていることがあります。
まずは無料または少額のクレジットでいくつかラボを試してみて、Skills Boostの学習スタイルが自分に合うかどうか、そしてどれくらいの頻度で利用しそうかを見極めてから、サブスクリプションの購入を検討すると良いでしょう。
3. プラットフォームのナビゲーション
ログイン後、Skills Boostのプラットフォーム画面が表示されます。主な機能やナビゲーション方法を理解しましょう。
- ホーム/ダッシュボード: 現在取り組んでいる学習コンテンツや、推奨コンテンツなどが表示されます。
- カタログ (Catalog): Skills Boostで利用できる全ての学習コンテンツ(ラボ、クエスト、コース、ジャーニー)を検索・閲覧できます。
- キーワード検索窓で、興味のあるサービス名(例: BigQuery, GKE)や技術名(例: networking, machine learning)を入力して検索できます。
- 左側のフィルターやカテゴリを使って、コンテンツの種類、難易度、時間、分野(Infrastructure, Data & AI, Application Developmentなど)で絞り込めます。
- マイラーニング (My Learning): あなたが現在取り組んでいる、または完了した学習コンテンツのリストを確認できます。
- サブスクリプション/クレジット情報: 現在のサブスクリプション状況や残りクレジット数を確認できます。
- プロフィール/設定: アカウント情報や設定を編集できます。
まずは「カタログ」を開き、どのようなコンテンツがあるかをざっと眺めてみましょう。初心者の方は、「Beginner」レベルの「Lab」や「Quest」から見ていくのがおすすめです。
4. 最初のラボを試してみる
アカウント作成、クレジットまたはサブスクリプションの準備ができたら、実際に最初のラボを試してみましょう。ここでは、多くの初心者向けクエストに含まれている定番のラボ「A Tour of Google Cloud Hands-on Labs」を例に説明します。
- ラボを探す: カタログで「A Tour of Google Cloud Hands-on Labs」と検索するか、「Beginner」レベルのラボを探して見つけます。
- ラボ詳細ページを開く: ラボのタイトルをクリックすると、ラボの説明、学習目標、必要なクレジット数(またはサブスクリプション対象か)、所要時間などが記載された詳細ページが表示されます。
- 「ラボを開始」をクリック: ラボを開始するためのボタンをクリックします。クレジットが必要な場合は、ここでクレジットが消費されることの確認が表示されます。
- 環境のプロビジョニングを待つ: 「ラボを開始」をクリックすると、「Please wait while your environment is provisioned.」といったメッセージが表示され、一時的なGoogle Cloud環境の準備が始まります。数分かかる場合があります。
- 認証情報の取得とログイン: 環境の準備が完了すると、左側のパネルに「User Name」「Password」「Project ID」などの認証情報が表示されます。タイマーも動き始めます。
- 表示されたユーザー名とパスワードをコピーします。
- 「Google Consoleを開く」ボタンをクリックするか、新しいタブで
https://console.cloud.google.com/
にアクセスします。 - Skills Boostから提供されたユーザー名とパスワードでログインします。Googleのログインページで、まずユーザー名(多くの場合、一時的なメールアドレス形式)を入力し、「次へ」。次にパスワードを入力します。場合によっては、利用規約への同意や、一時的なパスワードのリセットを求められることがあります。
- 正しくログインできると、提供されたラボ専用のGoogle Cloudプロジェクトのダッシュボードが表示されます。
- 手順書に従ってタスクを実行: Skills Boostのラボ詳細ページに戻り、手順書(通常は左側のパネルの下部に表示されているか、新しいタブで開くリンクがあります)を読みながら、Cloud Consoleで操作を行います。
- 手順は「〜サービスに移動する」「〜ボタンをクリックする」「〜コマンドを実行する」といった具体的な指示になっています。
- Cloud Shellを使う場合は、Cloud Console上部のアイコンをクリックして起動し、提供されたコマンドをコピー&ペーストして実行します。
- 進捗の確認 (Checkpoint): 手順書に「進捗を確認」ボタンがある場合は、対応するタスクを完了した後にクリックします。システムがあなたの環境をチェックし、タスクが正しく行われていればスコアが付与されます。
- ラボの終了: 全てのタスクを完了するか、時間切れになる前に学習を終了したい場合は、Skills Boostのラボページ上部にある「ラボを終了」ボタンをクリックします。「Yes, End it」と確認メッセージが表示されるので、再度クリックして終了します。
- フィードバックと評価: ラボ終了後、簡単なアンケートや評価を求められることがあります。
初めてのラボは、環境へのログイン方法や手順書の見方などに慣れるための練習として最適です。難易度は高くないので、まずは落ち着いて手順に沿って進めてみましょう。もし途中で詰まっても、手順書をよく読み返したり、分からなければ一度終了して再度挑戦したりできます。
学習を効果的に進めるためのヒント
Google Cloud Skills Boostは強力な学習ツールですが、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかのコツがあります。漫然とラボをこなすだけでなく、意識的に取り組むことで、スキルの定着度や理解度が格段に向上します。
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目標設定と計画:
- なぜ学ぶのか? Google Cloudを学ぶ目的(例: キャリアアップ、新しい技術習得、認定資格取得、特定のプロジェクトでの利用)を明確にしましょう。
- 何を学ぶのか? 目標達成のために必要なスキルやサービスを特定し、関連するクエストやラーニングパスを選びます。
- 学習計画を立てる: 週に何時間学習するか、いつまでにどのクエストを完了するかなど、具体的な計画を立てましょう。ラーニングパスやジャーニーは、この計画を立てる上で非常に役立ちます。
- 小さな目標を設定: 最初から大きな目標(例: 認定資格取得)だけでなく、週ごとの小さな目標(例: クエストを1つ完了する、特定のラボを3つこなす)を設定すると、モチベーションを維持しやすくなります。
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アクティブラーニング:手を動かすことの重要性:
- Google Cloud Skills Boostの最大の特徴はハンズオンです。手順書を読むだけでなく、必ず実際に手を動かしてコマンドを入力したり、コンソールを操作したりしてください。
- 手順書に書いてあるコマンドも、ただコピー&ペーストするだけでなく、そのコマンドが何をしているのかを理解しようと努めましょう。必要であれば、コマンドのオプションについて公式ドキュメントなどで調べてみるのも良いでしょう。
- 手順を完了するだけでなく、「もしここをこう変えたらどうなるか?」といった疑問を持ち、可能であれば(ラボの時間と範囲内で)試してみることも学習を深めます。ただし、チャレンジラボでない限りは基本的に手順通りに進めるのが推奨です。
- 時間切れでラボが完了できなかった場合でも、最初から最後まで自分で手を動かした経験は無駄になりません。どこで詰まったのか、何が分からなかったのかを振り返り、再度挑戦する際に活かしましょう。
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メモを取る:
- 学習中に学んだ重要な概念、サービスの機能、よく使うコマンド、エラーの原因と解決策などをメモしましょう。
- 特に、ラボで初めて触れるサービスや設定項目については、その役割や設定の意味を自分の言葉でまとめておくと、後で復習する際に役立ちます。
- メモは、デジタル(Evernote, OneNote, Notionなど)でも手書きでも構いません。自分が後で見返しやすい形式で取りましょう。
- 認定資格を目指す場合は、試験対策ノートとして集約していくと効率的です。
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コミュニティの活用:
- Google Cloudには活発なコミュニティがあります。学習中に疑問点やエラーに遭遇した場合、一人で抱え込まずに質問してみましょう。
- Google Cloud Community: 公式のコミュニティサイト。フォーラムで質問したり、他の人の質問と回答を見たりできます。
- Stack Overflow: プログラマーやITエンジニア向けのQ&Aサイト。Google Cloudに関する多くの質問と回答が蓄積されています。エラーメッセージなどで検索すると、解決策が見つかることが多いです。
- Slack / Discord グループ: Google Cloudや特定の技術(Kubernetesなど)に関する非公式のコミュニティグループも存在します。
- 自分で質問するだけでなく、他の人の質問と回答を見るだけでも多くの学びがあります。
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休憩と継続:
- 集中力が続かない場合は、適度に休憩を取りましょう。無理のないペースで学習を続けることが重要です。
- 毎日少しずつでも良いので、継続して学習に取り組む習慣をつけましょう。特にハンズオンは、間隔が空くと操作方法を忘れがちです。
- 学習の進捗を可視化する(例: 完了したクエストやラボのリストを作る)ことで、モチベーションを維持しやすくなります。
- デジタルバッジは、達成感を得るための良いインセンティブになります。
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関連リソースの活用:
- Google Cloud公式ドキュメント: Skills Boostのラボで触れたサービスについて、さらに詳細な情報を知りたい場合は、必ず公式ドキュメントを参照しましょう。ドキュメントは最新の情報が豊富であり、理解を深める上で不可欠です。
- Google Cloud YouTubeチャンネル: サービスの紹介動画、チュートリアル、ウェビナーなど、多くの動画コンテンツが公開されています。
- Google Cloud Blog: 最新のサービス情報やユースケースなどが紹介されています。
これらのヒントを実践することで、Google Cloud Skills Boostでの学習体験がより豊かになり、スキルの習得がスムーズに進むはずです。
Google Cloud認定資格との連携
Google Cloud Skills Boostは、Google Cloudの認定資格取得を目指す上で、非常に重要な役割を果たします。多くの認定資格は、特定の職務役割(クラウドアーキテクト、データエンジニアなど)におけるGoogle Cloudの知識と実践的なスキルを証明するものであり、Skills Boostで提供されるハンズオン中心の学習は、まさにこの実践的なスキルを養うのに最適です。
Google Cloud認定資格の種類:
Google Cloudの認定資格は、主に難易度によって3つのレベルに分けられています。
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Foundational Level (基礎):
- Cloud Digital Leader: クラウドの基本的な概念とGoogle Cloudの主要なサービスについて、ビジネス上の観点から理解していることを証明します。技術的な深さよりも、クラウドの価値や用途を理解しているかが問われます。プロフェッショナルだけでなく、営業、マーケティング、マネジメントなど、クラウドに関わる全ての人におすすめです。
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Associate Level (アソシエイト):
- Associate Cloud Engineer: Google Cloudのテクノロジーを活用して、一般的なソリューションを開発、デプロイ、監視、維持する能力を証明します。幅広いGoogle Cloudサービスの基本的な操作と連携に関する知識が問われます。クラウドエンジニアを目指す方が最初に取得することが推奨される資格です。
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Professional Level (プロフェッショナル):
- 特定の専門分野におけるGoogle Cloudの高度な知識と設計・実装・運用能力を証明します。複数年にわたる業界経験とGoogle Cloudの使用経験が推奨されています。
- Professional Cloud Architect: 複雑なソリューションを設計・計画・管理する能力。
- Professional Data Engineer: データ処理システムを設計・構築・運用する能力。
- Professional Cloud Developer: スケーラブルで可用性の高いアプリケーションを構築する能力。
- Professional Security Engineer: セキュリティ設計・実装・運用能力。
- Professional Network Engineer: ネットワーク設計・実装・管理能力。
- Professional Collaboration Engineer: Google Workspaceの設計・実装・管理能力。
- Professional Machine Learning Engineer: MLモデルの開発・デプロイ・運用能力。
- Professional Database Engineer: クラウドデータベースの設計・管理・移行能力。
- Professional DevOps Engineer: 運用と開発のベストプラクティスを適用し、システムの信頼性を確保する能力。
- 特定の専門分野におけるGoogle Cloudの高度な知識と設計・実装・運用能力を証明します。複数年にわたる業界経験とGoogle Cloudの使用経験が推奨されています。
Skills Boostが認定資格試験対策にどう役立つか:
Google Cloud Skills Boostは、認定資格試験対策の中心となる学習リソースの一つです。
- 実践的なスキル習得: 認定資格試験では、サービスの知識だけでなく、実際の利用シナリオにおける構成やトラブルシューティングに関する知識も問われます。Skills Boostのハンズオンラボを通じて、Google Cloud環境での操作に慣れ、サービスがどのように連携するかを体感できます。これは、試験問題で問われるシナリオ問題を理解し、解答を導く上で非常に重要です。
- 試験範囲に沿った学習ジャーニー: Google Cloud Skills Boostには、各認定資格に対応した「ラーニングパス」や「ジャーニー」が用意されています。これらのジャーニーは、試験範囲を網羅するように構成されており、どのクエストやラボをどの順番で学ぶべきかを示してくれます。ジャーニーに従って学習を進めることで、効率的に試験に必要な知識とスキルを習得できます。
- 試験対策ラボとチャレンジラボ: 特定の認定資格向けに、試験で問われるような応用的なタスクを実践するラボや、自分で考えて解決策を実装するチャレンジラボが用意されています。これらは、試験本番で問われるであろう実践力を養うのに最適です。
- 知識の定着: 動画や書籍による学習だけでは得られない、手と頭を使って覚える「体感的な知識」は、試験だけでなく実際の業務でも非常に役立ちます。
特定のジャーニーやクエストが推奨される場合:
- Cloud Digital Leader: 基礎的なクエスト(例: Google Cloud Essentials)や、クラウドのビジネス価値に関するコース・ジャーニーが推奨されます。
- Associate Cloud Engineer: “Associate Cloud Engineer Journey” がSkills Boost上で提供されています。このジャーニーに含まれるクエストやラボを完了することが、試験対策の王道と言えます。Compute Engine, GKE, Cloud Storage, VPC, IAMなどの基礎サービスに関する知識と操作能力を問うラボが多く含まれます。
- Professional Level 資格: それぞれの資格に対応したProfessionalレベルのラーニングパスやジャーニーが存在します。「Professional Cloud Architect Journey」、「Professional Data Engineer Journey」などを利用します。これらのジャーニーは、Associateレベルよりもさらに深い知識、複雑なシナリオでの設計能力、トラブルシューティング能力を養うための高度なラボやコースを含んでいます。対応するサービスの専門的なクエスト(例: “Advanced BigQuery”, “Kubernetes in Production”)に取り組むことも重要です。
認定資格取得に向けたSkills Boostの活用戦略:
- 目標となる認定資格を決める: 自分のキャリア目標や現在のスキルレベルに合った認定資格を決めます。
- 対応するラーニングパス/ジャーニーを探す: Skills Boostで、その認定資格に対応するジャーニーを見つけます。
- ジャーニーに従って学習を進める: ジャーニーで推奨されているクエストやラボを順序通りに進めます。特に、Practical (実践的) または Advanced (高度) といったラベルの付いたコンテンツは、試験で応用力を問われる問題への対策になります。
- 理解が不十分な点を補う: ラボやクエストで理解が追いつかなかった部分や、手順をただこなすだけでなく概念を深く理解したい場合は、公式ドキュメントや関連するコース(Skills Boost内または外部プラットフォームのもの)で補強学習を行います。
- チャレンジラボで実践力チェック: 各クエストの最後や、特定のジャーニーの要所にあるチャレンジラボに挑戦し、手順書なしで課題を解決できるかを確認します。
- 模擬試験の活用: Skills Boost自体に公式の模擬試験が含まれている場合や、Google Cloud Trainingのサイトで模擬試験が提供されている場合があります。模擬試験で知識の穴を確認し、Skills Boostに戻って関連するラボやコンテンツで復習します。
認定資格は、あなたのスキルを客観的に証明するための強力なツールです。Google Cloud Skills Boostを最大限に活用して、自信を持って試験に臨みましょう。
最新情報とリソース
クラウド技術は常に進化しており、Google Cloudも例外ではありません。新しいサービスが発表されたり、既存のサービスがアップデートされたりするため、最新の情報をキャッチアップし続けることが重要です。Google Cloud Skills Boostは主要な学習プラットフォームですが、それだけに頼るのではなく、他の公式リソースと組み合わせることで、より網羅的に学習できます。
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Google Cloud Skills Boostのブログ、ニュース:
- Skills Boostプラットフォーム自体のアップデート、新しい学習コンテンツの追加、無料キャンペーンなどの情報が掲載されます。定期的にチェックすると良いでしょう。
https://cloud.google.com/blog/topics/training-certification
(Google Cloud Training & Certification Blog – Skills Boostに関する情報も含まれます)
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Google Cloud公式ドキュメント:
- Google Cloudの全てのサービスの最も正確で詳細な情報源です。
- Skills Boostのラボで触れたサービスの機能をさらに深く理解したい場合や、手順書に載っていない応用的な設定方法を知りたい場合に必須のリソースです。
- 各サービスごとにドキュメントが整備されており、概念説明、操作ガイド、APIリファレンスなどが含まれます。
- ラボの手順書で紹介されている特定の機能や用語について、ドキュメントで検索して背景知識を補う習慣をつけると、理解度が格段に深まります。
https://cloud.google.com/docs/
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Google Cloud Blog:
- Google Cloudに関する最新ニュース、新サービスの発表、機能アップデート、ユースケース、ベストプラクティスなどが紹介されます。
- 技術的な記事だけでなく、ビジネスの観点からの記事も豊富です。
https://cloud.google.com/blog/
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Google Cloud YouTubeチャンネル:
- サービスの概要説明、デモ、チュートリアル、技術的なディープダイブ、Google Cloud Nextなどのイベントセッション動画など、多様な動画コンテンツが公開されています。
- 視覚的にサービスの動きや操作方法を理解するのに役立ちます。
https://www.youtube.com/user/googlecloudplatform
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Google Cloud Events (Google Cloud Nextなど):
- Google Cloud Nextは、Google Cloudの最大規模の年次カンファレンスです。新サービス発表、技術セッション、カスタマー事例発表などが行われます。
- その他の技術カンファレンスやウェビナーも頻繁に開催されています。これらのイベントに参加したり、セッションの録画を視聴したりすることで、最新の技術動向や活用事例を知ることができます。
- イベント参加者向けに、Skills Boostの無料アクセスやクレジットが付与されることもあります。
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Google Cloud Community:
- 他のユーザーやGoogle Cloudのエキスパートと交流できる公式コミュニティフォーラムです。
- 学習中の疑問点やエラーについて質問したり、他の人の議論から学んだりできます。
https://cloud.google.com/community/
これらのリソースをSkills Boostでの学習と組み合わせることで、単に手順を追うだけでなく、サービスの本質や最新の動向を理解し、変化の速いクラウドの世界で常にスキルをアップデートしていくことができます。
よくある質問 (FAQ)
Google Cloud Skills Boostを利用する上で、多くの人が抱きがちな疑問点とその回答をまとめました。
Q1: Google Cloud Skills Boostは無料ですか?
A1: いいえ、ほとんどのハンズオンラボやクエスト、コースは有料です。利用にはサブスクリプションまたはクレジットが必要です。ただし、初めて登録するユーザー向けの無料トライアルや、期間限定の無料キャンペーン、一部の入門レベルのコンテンツが無料で提供されている場合があります。
Q2: Skills Boostで学習すると、実際のGoogle Cloud環境で課金されますか?
A2: いいえ、Skills Boostのラボで利用する環境は、ラボ開始時に一時的にプロビジョニングされる専用の環境です。あなたの既存のGoogle Cloudアカウント(もし持っているなら)とは完全に分離されています。ラボ終了時には環境は自動的に破棄されるため、ラボでの操作があなたのGoogle Cloudアカウントに課金される心配はありません。
Q3: ラボの時間内に課題を完了できませんでした。どうすれば良いですか?
A3: 時間切れでラボが終了した場合、そのラボは未完了となります。再度同じラボに挑戦するには、クレジットを消費するか、有効なサブスクリプションが必要です。ラボの手順書をよく読み、どこで時間がかかったのか、どこが分からなかったのかを振り返り、次回の挑戦に活かしましょう。最初は時間がかかるのが普通です。
Q4: ラボの手順書通りに進めているのに、エラーが発生します。どうすれば良いですか?
A4: エラーメッセージをよく確認してください。タイプミスや手順の見落としがないか再確認し、それでも解決しない場合は、エラーメッセージの一部や状況をGoogle検索したり、Google Cloud CommunityやStack Overflowで質問したりしてみましょう。一時的な環境の問題である可能性もゼロではありませんが、ほとんどの場合、ユーザー側の操作ミスや環境(リージョン選択など)の設定ミスが原因です。
Q5: どの学習パスやクエストから始めれば良いですか?
A5: Google Cloudに初めて触れる場合は、まず「Google Cloud Essentials」のような初心者向けのクエストや、”Getting Started” といった名前のコースから始めるのがおすすめです。クラウドの基本的な概念と主要サービスに広く浅く触れることができます。特定の分野に興味がある場合は、その分野の初心者向けクエスト(例: Getting Started with GKE)を選ぶと良いでしょう。将来的に認定資格を取得したい場合は、その資格に対応したジャーニーを確認しましょう。
Q6: クエストを完了するともらえるデジタルバッジに価値はありますか?
A6: はい、デジタルバッジはGoogle Cloud Skills Boostで特定のスキルセットを習得したことの公式な証明となります。LinkedInなどのプロフィールに表示することで、あなたのGoogle Cloudスキルをアピールできます。採用担当者や同僚に対して、あなたが特定の分野について体系的な学習と実践的な経験を積んでいることを示す良い証拠になります。
Q7: Skills Boostだけで認定資格試験に合格できますか?
A7: Skills Boostは認定資格試験対策に非常に有効なツールですが、通常、Skills Boostの学習コンテンツだけでは不十分です。公式ドキュメントでの知識補完、書籍や動画コースでの理論学習、模擬試験での実力チェックなどを組み合わせることが推奨されます。特に、プロフェッショナルレベルの試験では、幅広い知識と深い理解、そして設計判断能力が問われるため、Skills Boostで得られる実践的なスキルだけでなく、多角的な学習が必要です。
Q8: Skills Boostの学習コンテンツは最新の状態に保たれていますか?
A8: Google Cloudは頻繁にアップデートされるため、全てのラボが常に最新のUIやサービスの状態を完全に反映しているとは限りませんが、GoogleはSkills Boostのコンテンツを継続的にアップデートするよう努めています。大きなアップデートがあった場合、関連するラボが更新されたり、新しいラボが追加されたりします。もし手順書と実際の画面が異なる場合は、手順書にその旨が記載されているか、あるいは公式ドキュメントを参照して最新の情報を確認すると良いでしょう。
Q9: チームや企業で利用することは可能ですか?
A9: はい、企業向けのトレーニングプログラムとして、チームや組織全体でSkills Boostを利用することも可能です。これにより、従業員のGoogle Cloudスキルを体系的に向上させることができます。詳細はGoogle Cloudの営業担当者にお問い合わせください。
まとめ:Google Cloud Skills Boostで未来を切り拓く
Google Cloud Skills Boostは、現代のデジタルスキルとして不可欠となったクラウド技術、特にGoogle Cloud Platformを習得するための、極めて効果的な公式学習プラットフォームです。単なる知識の詰め込みではなく、実際のクラウド環境に触れて手を動かす「ハンズオン」を重視することで、サービスの機能を体感的に理解し、実践的なスキルを効率よく身につけることができます。
この記事では、Google Cloud Skills Boostの成り立ちから、提供される多様な学習コンテンツ(ラボ、クエスト、コース、ラーニングパス/ジャーニー)、プラットフォームの始め方、そして学習効果を高めるためのヒントや認定資格との連携に至るまで、その全てを詳細に解説しました。
約5000語にわたる説明を通じて、Google Cloud Skills Boostが、クラウドの基礎を学びたい初心者から、特定の分野で高度な専門性を追求したい経験者、そしてGoogle Cloud認定資格の取得を目指すプロフェッショナルまで、あらゆるレベルの学習者にとって価値あるリソースであることがご理解いただけたかと思います。
クラウド技術は進化し続け、それに伴って求められるスキルも変化していきます。Google Cloud Skills Boostは、常に最新の技術動向を反映したコンテンツを提供することで、あなたが変化に対応し、スキルをアップデートし続けることをサポートします。
さあ、この記事で得た知識を元に、Google Cloud Skills Boostでの学習を始めてみましょう。まずは無料の入門ラボを試したり、興味のある分野のクエストを覗いてみたりするのも良いでしょう。一歩踏み出し、実際に手を動かすことから、あなたのGoogle Cloudスキル習得の旅が始まります。
Google Cloud Skills Boostは、あなたのキャリアアップ、新しい技術への挑戦、そしてデジタル変革の時代を生き抜くための強力な味方となるはずです。継続的な学習を通じて、Google Cloudの広大な世界を探求し、あなたの可能性を最大限に引き出してください。
未来は、あなたがどんなスキルを身につけるかにかかっています。Google Cloud Skills Boostとともに、その未来を切り拓いていきましょう。