Ubuntu Live USBガイド:作成・起動・インストールまで

はい、承知いたしました。Ubuntu Live USBの作成から起動、インストールまでの詳細なステップを含むガイド記事を作成します。約5000語(日本語の場合、文字数で6000~8000字程度に相当することが多いです)を目指し、各ステップを丁寧に解説します。


Ubuntu Live USBガイド:作成・起動・インストールまで徹底解説

オープンソースOSとして世界中で広く使われているUbuntu。その導入や試用、あるいは緊急時のシステム復旧などに欠かせないのが「Live USB」です。Live USBを使えば、PCの内蔵ストレージに変更を加えることなくUbuntuを試したり、USBメモリから直接起動してOSをインストールしたり、トラブルシューティングを行ったりと、様々なことが可能になります。

このガイドでは、Ubuntu Live USBを初めて作成する方でも安心して作業できるよう、必要な準備から、Live USBの作成方法(複数のツールを比較紹介)、作成したUSBからのPC起動、そしてUbuntuのインストール手順までを、詳細かつ分かりやすく解説します。

はじめに:Ubuntu Live USBとは? なぜ使うのか?

Ubuntu Live USBとは、UbuntuのOSイメージが書き込まれたUSBメモリのことです。このUSBメモリをPCに挿入して起動することで、PCの内蔵ストレージにあるOS(WindowsやmacOSなど)を起動することなく、USBメモリから直接Ubuntuを一時的に実行できます。

Live USBがなぜ重要で、どのような用途で使われるのか、そのメリットを見てみましょう。

  • Ubuntuの試用: PCにインストールする前に、Ubuntuが自分のハードウェアで問題なく動作するか、インターフェースや操作感が好みに合うかなどを試せます。内蔵ストレージには一切変更が加わらないため、気軽に試すことができます。
  • Ubuntuのインストール: Live USBは、PCにUbuntuを正式にインストールするための最も一般的な方法です。インストーラーが起動し、パーティション設定などを行いながら内蔵ストレージにOSを書き込みます。
  • システムレスキューとトラブルシューティング: 内蔵ストレージのOSが起動しなくなった場合でも、Live USBからUbuntuを起動すれば、ファイルにアクセスしたり、データのバックアップを取ったり、システム修復ツールを実行したりできます。
  • ポータブルな作業環境: Live USBに「永続化領域(Persistent Partition)」を設定することで、Liveセッション中の設定変更や作成したファイルをUSBメモリ内に保存し、別のPCで起動した際にもその状態を引き継ぐことが可能です。これにより、自分だけのポータブルなOS環境を持ち運べます。(ただし、パフォーマンスはインストール版に劣ります)。
  • 古いPCの活用: スペックの低い古いPCでも、軽量なUbuntuフレーバー(Xubuntu, Lubuntuなど)のLive USBを使えば、Webブラウジングや文書作成といった基本的な作業が可能になる場合があります。

これらのメリットから、Ubuntu Live USBはUbuntuの世界に触れるための最初のステップとして、また熟練ユーザーにとっても非常に有用なツールと言えます。

準備するものリスト

Ubuntu Live USBを作成し、そこからPCを起動してインストールを行うために、以下のものを用意する必要があります。

  1. USBメモリ

    • 容量: Ubuntu DesktopのISOイメージは約4GBあります。Live USBとして使うためには、8GB以上の容量を持つUSBメモリを用意するのが一般的です。永続化領域を設定したい場合は、さらに容量が大きいもの(16GB以上推奨)が良いでしょう。
    • 速度: USB 3.0以上の高速なUSBメモリを使用すると、作成時間やLiveセッション中の読み込み速度が向上し、快適になります。古いUSB 2.0でも機能しますが、全体的に時間がかかります。
    • 状態: 使用するUSBメモリ内のデータは、作成プロセス中にすべて消去されます。必ず、重要なデータが含まれていないか、または事前にバックアップを取ったことを確認してください。 また、信頼性の低い安価なUSBメモリは避けることをお勧めします。
  2. Ubuntu ISOイメージファイル

    • Ubuntuの公式サイトからダウンロードできる、OS全体のディスクイメージファイルです。このファイルをUSBメモリに書き込みます。
    • どのバージョンのUbuntuを選ぶかについては、後述します。
  3. Live USB作成ツール

    • ISOファイルをUSBメモリに正しく書き込むための専用ソフトウェアです。Windows、macOS、Linuxなど、使用しているPCのOSに対応したツールを選びます。有名なツールとしては、Rufus (Windows)、Balena Etcher (クロスプラットフォーム)、Ventoy (クロスプラットフォーム)、UNetbootin (クロスプラットフォーム)、Ubuntu標準の「スタートアップ・ディスクの作成」ツール (Linux) などがあります。
  4. インターネット接続

    • Ubuntu ISOファイルのダウンロードに必要です。また、Liveセッション中やインストール中にアップデートや追加ソフトウェアをダウンロードする場合にも必要になります。
  5. Live USBを作成するPC

    • Windows、macOS、またはLinuxがインストールされているPCで作成作業を行います。
  6. UbuntuをインストールするPC(必要な場合)

    • Ubuntuのシステム要件を満たしているか確認しておきましょう。Ubuntu Desktop 22.04 LTSの推奨環境は、2GHzデュアルコアプロセッサ、4GBのシステムメモリ、25GBのハードドライブ空き容量です。古いPCにインストールする場合は、より軽量なUbuntuフレーバーを検討するのも良いでしょう。

Ubuntu ISOイメージファイルのダウンロードと確認

Live USB作成の最初のステップは、Ubuntuの公式ISOイメージファイルをダウンロードすることです。

1. 公式サイトからのダウンロード

Ubuntuの公式ダウンロードページにアクセスします。
https://ubuntu.com/download/desktop

2. バージョンの選択:LTS版と通常版

通常、デスクトップ用途には「Ubuntu Desktop」を選択します。ダウンロードページには、主に以下の2種類のバージョンがあります。

  • LTS版 (Long Term Support): 長期サポート版です。通常5年間(有料サポートを含めるとさらに長い場合も)セキュリティアップデートやバグ修正が提供されます。安定性を重視する場合や、頻繁にアップグレードしたくない場合におすすめです。現在の最新LTS版は22.04 (Jammy Jellyfish) です(記事執筆時点)。
  • 通常版 (Interim Release): 6ヶ月ごとにリリースされ、9ヶ月間サポートされます。最新のソフトウェアや技術がすぐに試せますが、サポート期間が短いため頻繁なアップグレードが必要になります。

初めてUbuntuを使う方や、安定して長く使いたい場合は、LTS版を選ぶのが最も無難です。

ダウンロードページには、各バージョンのダウンロードボタンが表示されています。通常は直接ダウンロードが始まりますが、ミラーサイトのリストが表示される場合もあります。お住まいの地域に近いミラーサイトを選択すると、ダウンロード速度が速くなることがあります。

ISOファイルは容量が大きいため、ダウンロードには時間がかかる場合があります。安定したインターネット接続を利用し、可能であれば有線接続で行うことをお勧めします。

3. ダウンロードしたISOファイルの整合性チェック

ダウンロードしたISOファイルが破損していないか、また改ざんされていないかを確認することは非常に重要です。破損したISOファイルでLive USBを作成すると、起動しなかったり、インストール中にエラーが発生したりします。整合性チェックには、ファイルのハッシュ値(SHA256など)を利用します。

Ubuntuのダウンロードページには、ダウンロードリンクと共に各ISOファイルのSHA256ハッシュ値が記載されています。ダウンロードしたファイルのSHA256ハッシュ値を計算し、公式サイトの値と一致するかを確認します。

  • Windowsでの確認方法:

    1. コマンドプロンプトまたはPowerShellを開きます。
    2. 以下のコマンドを実行します。ファイル名とパスはダウンロードしたISOファイルに合わせて変更してください。
      • コマンドプロンプト: certutil -hashfile C:\Users\YourUsername\Downloads\ubuntu-22.04.x-desktop-amd64.iso SHA256
      • PowerShell: Get-FileHash C:\Users\YourUsername\Downloads\ubuntu-22.04.x-desktop-amd64.iso -Algorithm SHA256
    3. 表示されたハッシュ値が、公式サイトに記載されているSHA256の値と完全に一致することを確認します。
  • macOSでの確認方法:

    1. ターミナルを開きます。
    2. 以下のコマンドを実行します。ファイル名とパスはダウンロードしたISOファイルに合わせて変更してください。
      • shasum -a 256 /Users/YourUsername/Downloads/ubuntu-22.04.x-desktop-amd64.iso
    3. 表示されたハッシュ値が、公式サイトの値と一致することを確認します。
  • Linuxでの確認方法:

    1. ターミナルを開きます。
    2. 以下のコマンドを実行します。ファイル名とパスはダウンロードしたISOファイルに合わせて変更してください。
      • sha256sum /home/yourusername/Downloads/ubuntu-22.04.x-desktop-amd64.iso
    3. 表示されたハッシュ値が、公式サイトの値と一致することを確認します。

ハッシュ値が一致しない場合は、ISOファイルが破損している可能性があります。ダウンロードをやり直してください。

Live USB作成ツールの選択と入手

ダウンロードしたISOイメージをUSBメモリに書き込むためには、専用のツールが必要です。ここでは、主要なツールとその特徴を紹介します。使用しているOSに応じて、最適なツールを選択してください。

Windowsユーザー向け

  • Rufus:

    • 特徴: Windowsで最も人気があり、機能が豊富で高速なツールです。ISOモードとDDモード、パーティション構成(MBR/GPT)やターゲットシステム(BIOS/UEFI)の細かな設定、永続化領域の作成(Ubuntuなど一部Linux配布版のみ)など、多くのオプションを備えています。起動可能なUSBドライブを作成するのに特化しています。
    • メリット: 高機能、高速、信頼性が高い。細かな設定が可能。
    • デメリット: Windows専用。初心者には設定項目が多く迷うことがあるかもしれない。
    • 入手先: 公式サイトからダウンロードできます。インストール不要なポータブル版もあります。
      https://rufus.ie/
  • Balena Etcher:

    • 特徴: シンプルでモダンなインターフェースを持つ、クロスプラットフォーム(Windows, macOS, Linux)対応のツールです。ISOファイルだけでなく、.imgなどのディスクイメージファイルも書き込めます。操作は「イメージを選択」「ドライブを選択」「Flash!」の3ステップで完了し、非常に分かりやすいです。書き込み後に検証機能があり、書き込みミスを防げます。
    • メリット: 操作が簡単、見た目が良い、クロスプラットフォーム、書き込み検証機能。
    • デメリット: Rufusに比べて設定項目は少ない(永続化領域の作成などはできない)。
    • 入手先: 公式サイトからダウンロードできます。
      https://www.balena.io/etcher/
  • Ventoy:

    • 特徴: 他のツールとは設計思想が異なります。Ventoyを一度USBメモリにインストールすると、その後はISOファイルをUSBメモリにコピーするだけで、複数のOSのLiveイメージを起動できるようになります。作成ツールではなく、「マルチブート可能なUSBドライブ環境」を作成するツールです。
    • メリット: 複数のISOを1本のUSBで管理できる、ISOファイルをコピーするだけで使える(再フォーマット不要)、アップデートが容易。
    • デメリット: USBメモリへのVentoy自体のインストールが必要。RufusやEtcherほどメジャーではないかもしれない。
    • 入手先: 公式サイトからダウンロードできます。
      https://www.ventoy.net/

macOSユーザー向け

  • Balena Etcher: Windows版と同様、簡単操作でLive USBを作成できます。macOS版もあります。

  • ddコマンド:

    • 特徴: macOSやLinuxに標準搭載されているコマンドラインツールです。ディスクイメージをバイナリレベルでそのまま書き込みます。非常に強力ですが、操作を誤ると内蔵ストレージのデータを消去する危険性もあります。
    • メリット: 追加ツールのインストール不要、高速。
    • デメリット: コマンドライン操作、危険性が伴う。初心者には非推奨。
    • 使い方: 後述の「Live USBの作成手順 (ddコマンド)」を参照。
  • Ventoy (Mac版): macOSでもVentoyをUSBメモリにインストールし、マルチブート環境を構築できます。

Linuxユーザー向け

  • Ubuntu標準の「スタートアップ・ディスクの作成」ツール:

    • 特徴: Ubuntuにデフォルトで含まれているツールです。ISOファイルを選択し、USBメモリを指定するだけで簡単にLive USBを作成できます。永続化領域の設定も可能です。
    • メリット: Ubuntuに標準搭載、操作が簡単、永続化領域も設定可能。
    • デメリット: Ubuntu専用、Rufusほど細かな設定はできない。
    • 使い方: アプリケーションメニューから検索して起動できます。
  • Balena Etcher (Linux版): macOS/Windows版と同様です。

  • ddコマンド: macOS版と同様に利用できます。Linuxでは標準的なコマンドです。

    • 使い方: 後述の「Live USBの作成手順 (ddコマンド)」を参照。
  • Ventoy (Linux版): LinuxでもVentoyをUSBメモリにインストールし、マルチブート環境を構築できます。

これらのツールの中から、使い慣れたOSや目的に合ったものを選んでください。初心者には、Rufus (Windows), Balena Etcher (クロスプラットフォーム), Ubuntu標準ツール (Linux) がおすすめです。複数のOSイメージを扱いたい場合はVentoyが非常に便利です。

Live USBの作成手順 (ツール別詳細解説)

ここでは、主要なLive USB作成ツールの具体的な手順を解説します。お手持ちのOSと選択したツールに合わせて進めてください。作業を開始する前に、使用するUSBメモリに重要なデータが入っていないか、再度確認してください。

1. Rufus (Windows向け)

RufusはWindowsで最も多機能なLive USB作成ツールの一つです。ここでは、Ubuntu Live USBの作成に特化した手順を解説します。

  1. Rufusのダウンロードと起動:

    • Rufusの公式サイト (https://rufus.ie/) から最新版をダウンロードします。通常はポータブル版(exeファイルをダウンロードするだけ)で十分です。
    • ダウンロードしたexeファイルをダブルクリックしてRufusを起動します。必要に応じて管理者権限を許可します。
  2. USBドライブの選択:

    • 「ドライブ」ドロップダウンメニューから、Live USBとして使用するUSBメモリを選択します。誤ったドライブを選択しないように十分注意してください。 容量やドライブレターを確認し、正しいUSBメモリを選んでいるか再確認します。
  3. ISOイメージファイルの選択:

    • 「ブートの選択」の右にある「選択」ボタンをクリックします。
    • ファイル選択ダイアログが表示されるので、ダウンロードしておいたUbuntuのISOイメージファイルを選択し、「開く」をクリックします。
    • RufusがISOファイルを読み込み、適切な設定を自動的にいくつか提案します。
  4. パーティション構成とターゲットシステムの設定:

    • 「パーティション構成」と「ターゲットシステム」は、PCの起動モード(BIOSまたはUEFI)に合わせて設定します。Rufusは通常、選択したISOとPCの環境から最適な設定を自動で選択してくれますが、手動で変更することも可能です。
    • UEFIモードで起動したい場合:
      • パーティション構成: GPT
      • ターゲットシステム: UEFI (非CSM) または UEFI
    • Legacy BIOSモードで起動したい場合:
      • パーティション構成: MBR
      • ターゲットシステム: BIOS (または UEFI-CSM) または BIOS
    • 最近のPCはほとんどがUEFIモードですが、古いPCや特定の環境ではLegacy BIOSが必要な場合があります。迷ったら、Rufusの自動設定に従うか、UEFIモードを試すのが一般的です。
    • 注意: 一部の古いISOやツールでは、MBR/BIOS構成でないと起動できない場合があります。
  5. ボリュームラベル、ファイルシステムなどの設定:

    • 「ボリュームラベル」はUSBドライブの名前です。任意の分かりやすい名前(例: Ubuntu_Live)に変更できます。
    • 「ファイルシステム」と「クラスターサイズ」は、通常はRufusが推奨する設定(FAT32など)のままで構いません。
  6. 永続化領域(Persistent Partition)の設定 (オプション):

    • Rufusでは、Live USBに永続化領域を設定できます。これにより、Liveセッション中に加えた設定変更や保存したファイルを、再起動後も維持できるようになります。
    • 「永続化領域のサイズ」のスライダーを右に動かすことで、永続化領域として使用する容量を指定できます。USBメモリの総容量や、ISOイメージのサイズ、必要に応じてサイズを調整します。
    • 注意: 永続化領域はすべてのLinux配布版やLive USBでサポートされているわけではありません。Ubuntu Desktopではサポートされています。また、永続化領域を設定すると、Liveセッションの起動に時間がかかったり、動作が不安定になったりすることがあります。不要であれば0MBのままにしておきます。
  7. 「スタート」ボタンのクリック:

    • すべての設定を確認したら、「スタート」ボタンをクリックします。
    • 作業内容(USBメモリの内容がすべて消去されることなど)についての警告が表示されます。内容を理解し、問題なければ「OK」をクリックして続行します。
    • ISOイメージの書き込み方法(ISOモードまたはDDモード)を選択するダイアログが表示されることがあります。通常は「ISOイメージモードで書き込むことを推奨 (Recommended)」を選択します。DDイメージモードはより低レベルな書き込みですが、特別な理由がない限りISOモードで問題ありません。
  8. 作成中の進捗表示と完了:

    • RufusがLive USBの作成を開始します。進行状況がプログレスバーで表示されます。これには数分から数十分かかる場合があります。
    • 完了すると、「状態」が「準備完了」と表示され、完了音が鳴ります。「閉じる」ボタンをクリックしてRufusを終了します。

これでUbuntu Live USBの作成は完了です。

2. Balena Etcher (Windows/macOS/Linux向け)

Balena Etcherは、シンプルで視覚的に分かりやすい操作が特徴です。クロスプラットフォームなので、Windows、macOS、Linuxのいずれでも同じ手順で作成できます。

  1. Balena Etcherのダウンロードとインストール/起動:

    • Balena Etcherの公式サイト (https://www.balena.io/etcher/) からお使いのOS用のバージョンをダウンロードします。
    • ダウンロードしたファイルを指示に従ってインストールします(macOSやLinuxでは解凍して実行権限を与える場合もあります)。
    • Balena Etcherを起動します。必要に応じて管理者権限を許可します。
  2. ISOイメージファイルの選択:

    • 「Flash from file」または「+ Select image」ボタンをクリックします。
    • ダウンロードしておいたUbuntuのISOイメージファイルを選択し、「開く」または「Select」をクリックします。
  3. USBドライブの選択:

    • 「Select target」または「+ Select target」ボタンをクリックします。
    • Live USBとして使用するUSBメモリを選択します。誤ったドライブを選択しないように十分注意してください。 Etcherは内蔵ストレージなど、通常書き込み対象とすべきでないドライブは非表示にしてくれる安全機能がありますが、念のため容量などで確認します。
    • 複数のドライブを選択することも可能ですが、ここでは1つだけ選択します。
    • 選択したら、「Select 1 target」または「Continue」をクリックします。
  4. 書き込み開始:

    • すべて確認したら、「Flash!」ボタンをクリックします。
    • OSによっては、操作の実行許可を求めるダイアログが表示されるので、パスワードを入力するなどして許可します。
  5. 作成中の進捗表示と完了:

    • EtcherがLive USBの作成を開始します。進行状況がプログレスバーで表示されます。書き込み(Flashing)と検証(Validating)の2つのステップがあります。これには数分から数十分かかる場合があります。
    • 完了すると、「Flash Complete!」と表示されます。「Flash another」で別のUSBを作成したり、「Close」で終了したりできます。

これでUbuntu Live USBの作成は完了です。Etcherは操作ミスを防ぐための検証機能を備えているため、作成後の信頼性が高いのが特徴です。

3. Ventoy (Windows/macOS/Linux向け)

Ventoyは他のツールとは異なり、一度Ventoy環境をUSBメモリに構築すれば、複数のISOファイルをコピーするだけでマルチブート可能なUSBになります。

  1. Ventoyのダウンロード:

    • Ventoyの公式サイト (https://www.ventoy.net/) からお使いのOS用の最新版をダウンロードします。Windows版はzipファイル、Linux版はtar.gzファイルです。
  2. VentoyのUSBメモリへのインストール:

    • Windows:
      • ダウンロードしたzipファイルを解凍します。
      • 解凍したフォルダ内の Ventoy2Disk.exe を右クリックし、「管理者として実行」を選択して起動します。
      • Ventoyウィンドウが表示されます。上部のドロップダウンメニューから、VentoyをインストールしたいUSBメモリを選択します。ここでも誤ったドライブを選択しないように細心の注意を払ってください。
      • 「Option」メニューから「Partition Style」(MBRまたはGPT)、「Secure Boot Support」(有効化)などを設定できますが、通常はデフォルトのままで問題ありません。
      • 「Install」ボタンをクリックします。
      • USBメモリの内容がすべて消去されることに関する警告が2回表示されます。内容を理解し、問題なければ「はい」を2回クリックして続行します。
      • インストールが完了すると、ウィンドウに「Installation finished successfully !」と表示されます。「OK」をクリックして閉じます。
    • Linux:
      • ダウンロードしたtar.gzファイルを解凍します。
      • ターミナルを開き、解凍したフォルダに移動します。
      • 以下のコマンドを実行します(USBデバイス名は lsblk コマンドなどで確認し、/dev/sdXX 部分を実際のデバイス名(例: sdb)に置き換えてください。パーティション番号(sdb1など)ではなく、デバイス名全体を指定します)。
        • sudo sh ventoy2disk.sh -i /dev/sdX
      • USBメモリの内容がすべて消去されることに関する警告が表示されます。内容を理解し、続行する場合は Y を入力してEnterを押します。再度確認が表示されるので、もう一度 Y を入力してEnterを押します。
      • インストールが完了すると、「Install Ventoy to /dev/sdX successfully finished.」と表示されます。
    • macOS:
      • ダウンロードしたtar.gzファイルを解凍します。
      • ターミナルを開き、解凍したフォルダに移動します。
      • 以下のコマンドを実行します(USBデバイス名は diskutil list コマンドなどで確認し、/dev/diskXX 部分を実際のデバイス番号(例: disk2)に置き換えてください。パーティション番号(disk2s1など)ではなく、デバイス名全体を指定します)。
        • sudo sh ventoy2disk.sh -i /dev/diskX
      • Linuxと同様の確認が表示されるので、 Y を入力して続行します。
      • インストールが完了すると、「Install Ventoy to /dev/diskX successfully finished.」と表示されます。

Ventoyのインストールが完了すると、USBメモリは「Ventoy」というボリュームラベルで認識されるようになります。

  1. ISOファイルのコピー:
    • VentoyがインストールされたUSBメモリを開きます。
    • ダウンロードしておいたUbuntuのISOイメージファイルを、このUSBメモリのルートフォルダにコピーするだけです。サブフォルダを作成してそこに格納しても構いません。
    • これで、このISOファイルからUbuntuを起動できるようになりました。

Ventoyのメリットは、別のOSのISOファイル(例えばWindowsのインストールISOや別のLinux配布版など)も同じUSBメモリにコピーしておけば、Ventoyの起動メニューから選択して起動できる点です。

4. ddコマンド (macOS/Linux向け)

ddコマンドは強力ですが、操作を間違えるとPCの内蔵ストレージを含む任意のディスクのデータを消去してしまう可能性があるため、上級者向けのツールです。使用には十分な注意が必要です。

  1. USBデバイス名の確認:

    • Linux: ターミナルを開き、USBメモリを挿入する前と後で lsblk コマンドを実行し、増えたデバイス名(例: /dev/sdb, /dev/sdc など)を確認します。パーティション番号(/dev/sdb1 など)ではなく、デバイス名全体を指定します。
    • macOS: ターミナルを開き、USBメモリを挿入する前と後で diskutil list コマンドを実行し、増えたデバイス名(例: /dev/disk2, /dev/disk3 など)を確認します。パーティション番号(/dev/disk2s1 など)ではなく、デバイス名全体を指定します。
    • 重要: 間違ったデバイス名を指定すると、OSがインストールされている内蔵ストレージなどを消去してしまう可能性があります。確認は慎重に行ってください。
  2. USBデバイスのマウント解除:

    • ddコマンドで書き込む前に、対象のUSBデバイスがOSによってマウントされていない状態にする必要があります。
    • Linux: デスクトップ環境によっては自動的にマウントされます。lsblk の出力でマウントポイントが表示されている場合、umount /dev/sdXN (Xはデバイス名、Nはパーティション番号) コマンドでアンマウントします。デバイス全体をアンマウントするには umount /dev/sdX* のようにワイルドカードを使います。
    • macOS: diskutil unmountDisk /dev/diskX (Xはデバイス番号) コマンドでデバイス全体のパーティションをアンマウントします。
  3. ddコマンドの実行:

    • 以下のコマンドを実行します。if= にはダウンロードしたISOファイルのパス、of= には確認したUSBデバイス名を指定します。bs=4M は一度に書き込むブロックサイズを指定しており、書き込み速度を向上させます。status=progress は進行状況を表示するためのオプションです(一部のddバージョンで利用可能)。
    • Linux: sudo dd if=/path/to/ubuntu.iso of=/dev/sdX bs=4M status=progress
    • macOS: sudo dd if=/path/to/ubuntu.iso of=/dev/rdiskX bs=4M (/dev/rdiskX を使うことでRaw disk accessとなり、通常より高速です。status=progress はmacOSのddコマンドにはない場合があります。)
    • コマンド実行には管理者権限が必要なため、sudo を使用します。パスワードの入力を求められます。
    • 再度警告: of= の指定を間違えないように何度も確認してください。
  4. 完了:

    • コマンドの実行が完了するまで待ちます。進行状況が表示されない場合は、完了するまで何も表示されないことがあります。コマンドが完了すると、書き込んだ容量と速度、時間が表示されます。
    • 書き込み完了後、バッファされているデータを確実にUSBメモリに書き出すために、sync コマンドを実行することを推奨します。
    • sync

これでLive USBの作成は完了です。USBメモリを安全に取り外してください。

作成したLive USBからのPC起動

Live USBが作成できたら、次にそのUSBメモリからPCを起動します。PCは通常、内蔵ストレージ(ハードディスクやSSD)からOSを起動するように設定されていますが、この設定を変更してUSBメモリから起動させる必要があります。これはPCのUEFIまたはBIOS設定で行います。

注意: PCのメーカーやモデルによって、UEFI/BIOS設定画面へのアクセス方法や表示内容は異なります。ここでは一般的な手順を解説します。

1. PC起動時のブートメニューまたはUEFI/BIOS設定画面へのアクセス

  1. 作成したLive USBを、PCのUSBポートに挿入します。PCの電源が入っている場合はシャットダウンします。
  2. PCの電源を入れます。
  3. 電源投入直後、メーカーロゴなどが表示されている間に、特定のキーを連打または長押しします。このキーを押すことで、ブートメニューが表示されるか、UEFI/BIOS設定画面に入ることができます。

    • よく使われるキー(メーカー例):
      • Dell: F2 (BIOS), F12 (Boot Menu)
      • HP: F10 (BIOS), F9 (Boot Menu)
      • Lenovo: F2 または Fn+F2 (BIOS), F12 (Boot Menu), Enter (Startup Interrupt Menu)
      • ASUS: Del または F2 (BIOS), F8 (Boot Menu)
      • Acer: F2 (BIOS), F12 (Boot Menu)
      • Microsoft Surface: Volume Upボタンを長押ししながら電源ボタンを押す
      • Fujitsu: F2 (BIOS), F12 (Boot Menu)
      • 東芝: F2 (BIOS), F12 (Boot Menu)
      • 自作PCのマザーボード: Del または F2 (BIOS)
    • 正確なキーはPCのマニュアルを確認するか、起動直後の画面に表示される指示(例: “Press F2 to enter Setup”, “Press F12 for Boot Menu”)を注意深く見てください。
  4. ブートメニューから起動する場合:

    • 表示されたブートデバイスのリストから、挿入したUSBメモリを選択してEnterキーを押します。USBメモリは「USB HDD」「USB KEY」「UEFI: [USBメモリ名]」などの名前で表示されることが多いです。
    • この方法が最も手軽で、内蔵ストレージからの起動設定を変更する必要がないため、通常はこちらを試すのがおすすめです。
  5. UEFI/BIOS設定画面から起動する場合:

    • 特定のキーを押してUEFI/BIOS設定画面に入ります。
    • 設定画面の操作は、通常キーボードで行います。画面の指示(例: F10=Save & Exit, ESC=Exit, 矢印キーで移動, Enterで決定)に従います。
    • 「Boot」「Boot Order」「Boot Sequence」といった項目を探します。
    • 表示されているブートデバイスのリストで、USBメモリ(「USB HDD」「UEFI: [USBメモリ名]」など)を一番上に移動させます。変更方法は通常、F5/F6キーや+/-キーなどでリスト内の項目を上下させる形式です。
    • 設定を変更したら、「Save and Exit」(設定を保存して終了)を選択します。通常はF10キーに割り当てられています。変更を保存して終了することを確認するメッセージが表示されるので、同意して続行します。
    • PCが再起動し、今度は設定したブート順序に従ってUSBメモリから起動を試みます。

2. UEFIモードとLegacy BIOSモード、Secure Bootについて

最近のPCはUEFI (Unified Extensible Firmware Interface) という新しい起動方式を採用しています。古いPCや一部の環境ではLegacy BIOS (またはCSM – Compatibility Support Module) という従来の方式が使われています。

  • UEFI: 新しい標準で、大容量ディスクへの対応、起動の高速化、Secure Bootなどのセキュリティ機能を提供します。Live USBもUEFIで起動するように作成するのが一般的です(RufusでGPT/UEFIを選択するなど)。
  • Legacy BIOS (CSM): 従来の起動方式です。RufusでMBR/BIOSを選択してLive USBを作成した場合などに利用します。
  • Secure Boot: UEFIの一機能で、署名されていないOSローダーやドライバーの起動をブロックすることで、マルウェアなどによる不正な起動を防ぎます。UbuntuはSecure Bootに対応していますが、古いバージョンやサードパーティ製ドライバーなどを使用する場合、Secure Bootを無効化しないと起動できないことがあります。もしUSBからの起動やLiveセッションがうまくいかない場合は、UEFI設定でSecure Bootを一時的に無効にしてみてください。Secure Bootの設定項目は通常、「Security」「Boot」などのタブにあります。

UEFI設定で「Boot Mode」のような項目がある場合、「UEFI Only」「Legacy Only」「UEFI and Legacy (CSM)」などの選択肢があります。UEFIで起動したい場合は「UEFI Only」または「UEFI and Legacy (CSM)」を選択し、ブート順序で「UEFI: [USBメモリ名]」を優先します。

3. Ventoyを使った場合の起動

Ventoyで作成したLive USBから起動した場合、PCのブートメニューでVentoyのUSBメモリを選択すると、Ventoy独自のメニューが表示されます。このメニューには、USBメモリにコピーされているすべてのISOファイルがリスト表示されます。キーボードの矢印キーで起動したいOS(UbuntuのISOファイル)を選択し、Enterキーを押せば、そのISOからLiveセッションまたはインストーラーが起動します。

Ubuntu Liveセッションの開始と試用

USBメモリからPCが正常に起動すると、Ubuntuの初期画面が表示されます。

  1. GRUBメニュー:

    • 最初に、GRUB (Grand Unified Bootloader) メニューが表示されることがあります。ここで、「Try or Install Ubuntu」(またはそれに類する項目)が自動的に選択され、カウントダウン後に自動で起動するか、Enterキーを押して続行を促されます。
    • 特別な起動オプション(例: グラフィックカードの問題など)が必要な場合は、この画面で編集することもありますが、通常はデフォルト設定で問題ありません。
  2. 言語選択:

    • Ubuntuのスプラッシュ画面が表示された後、使用言語を選択する画面が表示されます。左側のリストから「日本語」を選択します。
  3. 「Ubuntuを試す」か「Ubuntuをインストール」か:

    • 言語を選択すると、右側に2つの大きなボタンが表示されます。
      • 「Ubuntuを試す (Try Ubuntu)」: PCの内蔵ストレージに影響を与えずに、USBメモリからUbuntuを起動して使用します。インストール前にUbuntuを試したい場合に選択します。
      • 「Ubuntuをインストール (Install Ubuntu)」: PCの内蔵ストレージにUbuntuを正式にインストールする場合に選択します。
    • ここではまずUbuntuを試すために、「Ubuntuを試す」をクリックします。
  4. Liveデスクトップ環境の起動:

    • 選択後、Ubuntuのデスクトップ環境が起動します。画面が表示されるまで少し時間がかかる場合があります。
    • 起動後、画面左側にはランチャー(Dock)、上部にはステータスバーが表示されます。WindowsやmacOSとは異なるインターフェースですが、基本的な操作(アプリケーションの起動、ウィンドウ操作など)は直感的に行えます。

Liveセッションでできること

Liveセッション中は、内蔵ストレージにインストールされているOSを起動することなく、以下のことが可能です。

  • Ubuntuの操作感を試す: アプリケーションメニューを開いたり、設定画面を見たりして、Ubuntuのインターフェースやプリインストールされているソフトウェア(Firefoxウェブブラウザ、LibreOfficeなど)を試すことができます。
  • インターネット接続: 有線LANを接続するか、Wi-Fiを設定すれば、インターネットにアクセスできます。ウェブブラウジングやメールチェックが可能です。
  • ファイルアクセス: 内蔵ストレージや他の外部ストレージに保存されているファイルにアクセスできます。これにより、OSが起動しないPCからデータを救出することも可能です。ファイルマネージャー(Nautilus)から「Other Locations」などを選択してアクセスできます。
  • ハードウェア互換性の確認: サウンド、ネットワーク(Wi-Fi、Bluetooth)、ディスプレイ、プリンターなどの周辺機器がUbuntuで認識され、正常に動作するかを確認できます。
  • トラブルシューティングツールの実行: GParted(パーティション編集ツール)やDisks(ディスクユーティリティ)などのツールを使って、内蔵ストレージのパーティション状況を確認したり、簡単な修復作業を行ったりできます。
  • インストール前の最終確認: ディスク容量、パーティション構成などを確認し、インストール計画を練ることができます。

Liveセッションの限界

Liveセッションはあくまで一時的な環境です。

  • パフォーマンス: USBメモリからの読み込みになるため、内蔵ストレージからの起動に比べて動作が遅く感じる場合があります。特にアプリケーションの起動やファイルアクセスに時間がかかります。
  • 設定の保存: デフォルトでは、Liveセッション中に変更した設定や作成したファイルは、PCをシャットダウンしたり再起動したりすると失われます(永続化領域を設定した場合を除く)。

Ubuntuの操作感に慣れたり、ハードウェアの互換性を確認したりするのにLiveセッションは非常に有用です。試用してみて「これなら使えそうだ」と感じたら、次のステップであるインストールに進みましょう。インストールはLiveセッション中から行うことができます。

Ubuntuのインストール手順

Liveセッションを試してみて、UbuntuをPCにインストールすることを決めたら、Live USBから本格的なインストールを開始できます。インストール作業はPCの内蔵ストレージに変更を加えるため、必ず事前に重要なデータのバックアップを取っておくことを強く推奨します。

1. インストーラーの起動

Liveセッション中にUbuntuデスクトップの左側ランチャーにある「Install Ubuntu」アイコンをダブルクリックします。

2. インストール前の準備

インストーラーが起動すると、いくつかの初期設定と確認が行われます。

  • 言語選択: 再度、使用言語を選択します。通常はLiveセッションで選択した言語(日本語)が自動的に選択されています。
  • キーボードレイアウト: 使用しているキーボードのレイアウトを確認します。「Detect Keyboard Layout」をクリックしてキーボードをいくつか叩いてみれば、自動で検出してくれる場合があります。通常は「Japanese」を選択すれば良いでしょう。
  • ネットワーク接続: インストール中にアップデートや追加ソフトウェア(サードパーティ製ドライバーなど)をダウンロードするために、インターネットに接続しておくと便利です。Wi-Fiに接続する場合は、この画面で設定できます。有線LANの場合は、通常自動的に接続されます。
  • アップデートとその他のソフトウェア:
    • Updates and other software: インストールの種類を選択します。
      • Normal installation (通常のインストール): ウェブブラウザ、オフィススイート(LibreOffice)、メディアプレーヤー、ゲームなどの一般的なソフトウェアを含むフルインストールです。
      • Minimal installation (最小インストール): ウェブブラウザと基本的なユーティリティのみを含む、よりスリムなインストールです。ディスク容量を節約したい場合や、必要なソフトウェアだけを自分でインストールしたい場合に選択します。
    • Other options (その他のオプション):
      • Download updates while installing Ubuntu (Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする): チェックを入れると、インストール中に最新のアップデートが適用されるため、インストール後に手動でアップデートする手間が省けます。インターネット接続が必要です。
      • Install third-party software for graphics and Wi-Fi hardware and additional media formats (グラフィックスやWi-Fiハードウェア用のサードパーティ製ソフトウェアおよびその他のメディア形式をインストールする): チェックを入れると、クローズドソースのドライバーやコーデック(MP3, MP4など)がインストールされます。特にWi-FiやグラフィックカードがUbuntu標準ドライバーでうまく動作しない場合に重要です。通常はチェックを入れることを強く推奨します。 インターネット接続が必要です。

設定を選択したら、「続ける」をクリックします。

3. インストールの種類(パーティション設定)

インストールの種類を選択する画面は、Ubuntuインストールの最も重要なステップの一つであり、特に注意が必要です。PCのディスク構成や、Windowsなど他のOSとの共存をどうするかによって選択肢が変わります。

  • ディスクを消去してUbuntuをインストール (Erase disk and install Ubuntu):

    • 最もシンプルで推奨される方法です。 このオプションを選択すると、PCの内蔵ストレージ全体が消去され、Ubuntuが自動的にパーティションを作成してインストールされます。
    • 警告: このオプションを選択すると、内蔵ストレージにあるすべてのデータ(WindowsやmacOS、他のOS、保存したファイルなど)が完全に消去されます。 実行する前に、必要なデータのバックアップを必ず取ってください。
    • 他にOSがインストールされていないPCや、PCをUbuntu専用にしたい場合に適しています。
  • 他のOSと共存 (Install Ubuntu alongside [Other OS]):

    • 既にWindowsなどがインストールされているPCで、Ubuntuをもう一つのOSとしてインストールし、起動時にどちらのOSを使うか選択できるようにする場合(デュアルブート)に選択します。
    • このオプションを選択すると、インストーラーは既存のOSのパーティションを検出し、グラフィカルなスライダーなどでUbuntuに割り当てるディスク容量を簡単に設定できます。既存のOSのパーティションは維持されます。
    • 重要: Windowsとのデュアルブートの場合: インストール前に、Windows側でUbuntuに割り当てる分のディスク領域を事前に確保(パーティションの縮小)しておくことを推奨します。Windowsの「ディスクの管理」ツール(Windowsキー + X を押して「ディスクの管理」を選択)で、既存のパーティション(通常はC:ドライブ)を右クリックし、「ボリュームの縮小」を選択して空き領域を作成します。この空き領域が、Ubuntuがインストールされる場所になります。インストーラーがこの空き領域を自動で検出します。
  • それ以外 (Something else):

    • ディスクを完全に制御したい場合、既存のパーティションを維持したいがデュアルブートオプションが適切でない場合、あるいは複雑なパーティション構成(例: /home を別のパーティションにしたい、/boot を分離したい、複数のディスクにインストールしたいなど)にしたい場合に選択します。
    • このオプションを選択すると、パーティションエディタが表示され、自分でパーティションを作成、編集、削除し、それぞれをどのように使うか(マウントポイント)を指定する必要があります。高度な知識が必要なオプションです。 間違った操作をすると、他のOSやデータが失われる可能性があります。
    • 手動パーティション設定の考え方:

      • EFI System Partition (ESP): UEFIモードで起動する場合に必須です。通常、既存のESP(Windowsなどが使用しているもの)があればそれを使用します。ない場合は、約100-500MBのFAT32形式のパーティションを作成し、「EFI System Partition」として使用するように設定します。通常 /boot/efi にマウントされます。
      • **/ (root) Partition:** OSのシステムファイルやプログラムがインストールされる場所です。必須です。ファイルシステムは通常 **ext4** を選択します。推奨サイズは25GB以上ですが、使用目的やインストールするソフトウェアによって調整します。マウントポイントを/` に設定します。
      • /home Partition (オプション): ユーザーのホームディレクトリ(ドキュメント、画像、設定ファイルなど)を保存するパーティションです。必須ではありませんが、OSを再インストールする際に /home を分離しておけば、ユーザーデータや設定を保持したままOSだけをクリーンにインストールできるというメリットがあります。ファイルシステムは ext4 を選択します。サイズは保存するデータ量によりますが、数十GBから数百GB以上必要になることもあります。マウントポイントを /home に設定します。
      • swap area (スワップ領域): PCの物理メモリ(RAM)が不足した際に、一時的にデータが書き込まれる領域です。スワップパーティションとして作成するか、スワップファイルを使用する方法があります。物理メモリが8GB以上あるPCでは、スワップ領域が不要な場合や、スワップファイルで十分な場合が多いです。必要なサイズは物理メモリの量によりますが、物理メモリと同等かそれ以下で十分なことが多いです。古いPCやメモリが少ないPC、休止状態(hibernate)を使用したい場合は、スワップパーティションを作成することを検討します。種類を「swap area」に設定します。
      • /boot Partition (オプション): ブートローダー(GRUB)のカーネルイメージなどを保存するパーティションです。一部の特殊な環境(LVMやRAIDなど)で必要になることがありますが、ほとんどの一般的なインストールでは / パーティションに含まれるため、独立させる必要はありません。独立させる場合は、数百MBから1GB程度のext4パーティションを作成し、マウントポイントを /boot に設定します。
    • 「それ以外」を選択した場合、パーティションリストが表示されます。既存のパーティションを変更したり、新しいパーティションを作成したり、削除したりできます。

      • 空き領域(free space)を選択し、「+」ボタンをクリックすると新しいパーティションを作成できます。
      • 作成または選択したパーティションをダブルクリックするか、「変更」ボタンをクリックすると、サイズ、種類(論理/基本)、ファイルシステム、マウントポイントなどを設定できます。
      • 作成するパーティションごとに、サイズ、パーティションのタイプ(Primary/Logical)、ファイルシステム(ext4、swap area、FAT32など)、マウントポイント(/, /home, /boot/efi など)、そしてフォーマットするかどうかを指定します。
      • ブートローダーをインストールするデバイス(通常はUbuntuをインストールするドライブの先頭、UEFIモードの場合はESPがあるドライブ)を画面下部のドロップダウンメニューで指定します。

パーティション設定は非常に重要です。特に他のOSと共存させたい場合や、手動で設定する場合は、手順を間違えないように慎重に進めてください。 不安な場合は、事前に他の情報源(オンラインガイド、フォーラムなど)で確認することをお勧めします。

設定が完了したら、「インストール」をクリックします。パーティションの変更内容の確認が表示されるので、内容をよく確認し、問題なければ「続ける」をクリックします。

4. タイムゾーンとユーザー情報の入力

  • タイムゾーンの設定: 地図上または都市名を入力して、現在地のタイムゾーンを選択します。通常は自動で検出されます。
  • ユーザーアカウントの設定:
    • あなたの名前 (Your name): フルネームを入力します。ログイン画面などに表示されます。
    • コンピューターの名前 (Your computer’s name): ネットワーク上でPCを識別するための名前です。自動で提案されますが、変更できます。
    • ユーザー名の入力 (Pick a username): ログインやコマンドラインで使用するユーザー名です。自動で提案されますが、変更できます。半角英数字小文字が一般的です。
    • パスワードの入力 (Choose a password): セキュリティのため、強固なパスワードを設定します。
    • パスワードの確認入力 (Confirm your password): 入力ミスがないか確認します。
    • ログイン方法の選択 (Choose a login method):
      • Log in automatically (自動的にログインする): PC起動時にパスワード入力なしで自動ログインします。利便性は高いですが、セキュリティリスクがあります。
      • Require my password to log in (ログイン時にパスワードを要求する): PC起動時およびスリープからの復帰時にパスワード入力が必要です。セキュリティを重視する場合に選択します。

情報を入力したら、「続ける」をクリックします。

5. インストールの実行

パーティション設定とユーザー情報の入力が完了すると、実際のインストール作業が開始されます。
画面にはインストール中の進捗状況がプログレスバーで表示され、同時にUbuntuの様々な機能を紹介するスライドショーが流れます。これにはディスク速度やPCのスペックによって時間がかかります(通常15分~数十分)。

インストール中にエラーが発生した場合は、パーティション設定やISOファイルの破損、ハードウェアの問題などが考えられます。エラーメッセージをメモしておき、原因を特定して対処する必要があります。

6. インストールの完了と再起動

インストールが完了すると、「Installation is complete (インストールが完了しました)」というメッセージが表示されます。

  • 「Restart Now (今すぐ再起動)」ボタンをクリックします。
  • 再起動の準備中、画面に「Please remove the installation medium, then press ENTER:」またはそれに類するメッセージが表示されます。これは、作成に使用したLive USBメモリをPCから安全に取り外してから、Enterキーを押すようにという指示です。USBメモリを取り外さないまま再起動すると、再びLive USBから起動してしまう可能性があるためです。

USBメモリを取り外し、Enterキーを押すとPCが再起動します。これで、内蔵ストレージにインストールされたUbuntuが起動するはずです。

インストール後の基本的な設定

Ubuntuのインストールが完了し、初めてログインしたら、快適に利用するための基本的な設定をいくつか行うことをお勧めします。

  1. システムのアップデート:

    • インストール中にアップデートをダウンロードしなかった場合や、インストール後に新しいアップデートが公開されている場合があります。システムを最新の状態に保つことは、セキュリティや安定性のために重要です。
    • アプリケーションメニューから「Software Updater」(ソフトウェアアップデーター)を起動します。利用可能なアップデートが検出され、インストールを促されます。
    • または、ターミナルを開いて以下のコマンドを実行することもできます。
      bash
      sudo apt update
      sudo apt upgrade

      sudo は管理者権限でコマンドを実行するためのものです。パスワードの入力を求められます。
  2. 追加ドライバーのインストール:

    • 特にNVIDIA製のグラフィックカードや一部のWi-Fiチップなどは、動作に必要なプロプライエタリ(クローズドソース)なドライバーのインストールが推奨されます。
    • アプリケーションメニューから「Software & Updates」(ソフトウェアとアップデート)を起動し、「Additional Drivers」(追加のドライバー)タブを選択します。
    • システムがハードウェアをスキャンし、利用可能な追加ドライバーをリスト表示します。推奨されるドライバーを選択して「Apply Changes」(変更を適用)をクリックします。
  3. 日本語環境の設定:

    • インストール時に日本語を選択していれば基本的な日本語環境は整っていますが、日本語入力メソッド(IME)の細かい設定が必要な場合があります。
    • アプリケーションメニューから「Settings」(設定)を開き、「Region & Language」(地域と言語)を探します。
    • 「Input Sources」(入力ソース)に日本語入力メソッド(例: Fcitx5)が追加されているか確認し、必要に応じて設定を行います。多くの場合、一度再起動すると正しく動作するようになります。
  4. ソフトウェアのインストール:

    • Ubuntuには多くの便利なソフトウェアがプリインストールされていますが、必要に応じて追加のソフトウェアをインストールできます。
    • アプリケーションメニューから「Ubuntu Software」(または「Snap Store」)を起動します。これはアプリストアのようなもので、様々なソフトウェアを検索、インストール、管理できます。
    • または、ターミナルから sudo apt install [ソフトウェア名] コマンドを使ってインストールすることも可能です。

これらの初期設定を行うことで、より快適にUbuntuを利用できるようになります。

よくある問題とトラブルシューティング

Live USBの作成、起動、インストール中に様々な問題が発生する可能性があります。ここでは、特によくある問題とその対処法をいくつか紹介します。

  1. Live USBがPCに認識されない、またはそこから起動しない:

    • 問題: USBメモリがPCに挿入されているにも関わらず、ブートメニューに表示されない、または選択しても内蔵ストレージから起動してしまう。
    • 原因と対処法:
      • BIOS/UEFI設定の問題:
        • ブート順序が正しく設定されていない。UEFI/BIOS設定画面に入り、USB HDDやUEFI:[USB Name]などが内蔵ストレージより優先されるように変更する。
        • UEFIモードとLegacy BIOSモードの設定。Live USBがUEFIで作成されているかLegacy BIOS (CSM) 向けに作成されているかに合わせ、BIOS設定で適切なモードを選択する(例: UEFI Only, UEFI and Legacy, Legacy Only)。
        • Secure Bootが有効になっている。一部の環境ではSecure Bootを無効にしないと起動できないことがあるため、一時的に無効化を試す。
      • USBポートの問題: 特定のUSBポート(例: USB 3.0ポート)で問題が発生する場合がある。別のUSBポート(例: USB 2.0ポート)に挿し直してみる。
      • USBメモリ自体の問題: USBメモリが物理的に故障しているか、フォーマット形式に問題がある。別のUSBメモリで再作成してみる。
      • ISOファイルの破損または作成ツールの問題: ダウンロードしたISOファイルが破損している、またはLive USB作成ツールが正しく書き込めなかった。ISOファイルの整合性チェックを再度行うか、別のLive USB作成ツール(Rufus, Etcherなど)を使って再作成してみる。
  2. Liveセッションが起動しない、フリーズする、画面表示がおかしい:

    • 問題: Live USBから起動しようとすると途中で画面が真っ暗になる、ロゴ表示で止まる、フリーズする、画面が乱れる。
    • 原因と対処法:
      • グラフィックドライバーの問題: 特にNVIDIAなどのクローズドソースドライバーが必要なグラフィックカードで発生しやすい。起動時のGRUBメニューで、起動オプションに nomodeset を追加して起動を試す。これにより、OS標準の基本的なグラフィックモードで起動します。起動後、追加ドライバーをインストールします。
      • ハードウェア互換性: PCの特定のハードウェア(マザーボード、コントローラーなど)がUbuntuと完全に互換性がない可能性がある。古いPCや非常に新しいハードウェアで起こりやすい。Ubuntuのバージョンを変えてみる、Ubuntuの公式フォーラムなどで同じハードウェアのユーザーがいないか調べてみる。
      • メモリ不足: PCの物理メモリがUbuntuの動作に必要な最低限度を下回っている。メモリ増設を検討するか、より軽量なUbuntuフレーバー(Lubuntuなど)を試す。
  3. インストールが途中で失敗する、エラーが出る:

    • 問題: パーティション設定中やファイルのコピー中にエラーが発生し、インストールが中断される。
    • 原因と対処法:
      • パーティション設定の問題: 設定したパーティション構成に誤りがある(例: 必須パーティションがない、サイズが不適切、ESPが見つからないなど)。特に手動パーティション設定の場合は設定内容を再確認する。Windowsとのデュアルブートで領域確保が不十分な場合もある。
      • ディスクのエラー: インストール先のHDD/SSDに物理的または論理的なエラーがある。LiveセッションからDisksなどのツールを使ってディスクのS.M.A.R.T.情報などを確認し、必要に応じて修復を試みる。
      • ISOファイルの破損: 再度ISOファイルの整合性チェックを行い、必要であればダウンロードし直す。
      • ネットワーク接続の問題: インストール中にアップデートやサードパーティ製ソフトウェアのダウンロードに失敗している。インターネット接続が安定しているか確認する。有線LANで試す、ルーターを再起動するなど。
  4. インストール後にUbuntuが起動しない、Windowsが起動してしまう:

    • 問題: インストール完了後、再起動してもUbuntuが起動せず、以前のOSが起動したり、エラー画面が表示されたりする。
    • 原因と対処法:
      • ブートローダーの問題: Ubuntuのブートローダー(GRUB)が正しくインストールされなかった、またはWindowsがブートローダーを上書きしてしまった。
      • UEFI設定の問題: ブート順序がまだLive USBまたはWindows内蔵ストレージ優先になっている。BIOS/UEFI設定画面に入り、ブート順序でUbuntuが優先されるように変更する。UEFIモードの場合、「UEFI: ubuntu」のようなエントリがブート順リストにあるはずです。
      • Secure Boot: Secure Bootが有効になっている場合、GRUBが起動できないことがある。Secure Bootを無効にしてみる。
      • デュアルブート時のWindows Boot Manager: Windowsとのデュアルブートの場合、デフォルトではWindows Boot Managerが優先される設定になっていることがある。UEFI設定でUbuntuのブートエントリを選択するか、Windows側からBCDbootコマンドやEasyBCDなどのツールを使ってUbuntuをブートメニューに追加する必要がある場合がある(ただし、これは上級者向けです)。
  5. Wi-Fiやその他デバイスが使えない:

    • 問題: インストール後、Wi-Fiに接続できない、サウンドが出ない、プリンターが認識されないなど。
    • 原因と対処法:
      • ドライバーの問題: サードパーティ製ドライバーが必要なハードウェアであるにも関わらず、インストール時にインストールしなかった、または自動でインストールされなかった。インストール後の基本的な設定で説明した「追加のドライバー」ツールを確認し、利用可能なドライバーをインストールする。
      • ハードウェアの非サポート: そのハードウェアがUbuntuでサポートされていない可能性がある。メーカーの公式サイトやUbuntuのフォーラムで情報を探す。

これらのトラブルシューティング手順は一般的なものです。問題が解決しない場合は、表示されるエラーメッセージを正確に記録し、Ubuntuの公式ドキュメントやフォーラム、コミュニティサイトで質問してみると良いでしょう。

まとめ

本ガイドでは、Ubuntu Live USBの作成から、それを使ったPCの起動、そしてUbuntuのインストールに至るまでの詳細な手順を解説しました。

Live USBは、PCの内蔵ストレージに手を加えることなくUbuntuを試せる便利なツールであると同時に、本格的にUbuntuをPCにインストールするための入り口でもあります。また、OSが起動しなくなったPCのデータ復旧やトラブルシューティングにも活用できます。

Live USBの作成には、Rufus、Balena Etcher、Ventoyなど、様々なツールがあり、それぞれに特徴があります。ご自身の環境や目的に合ったツールを選ぶことで、スムーズに作業を進めることができます。

Live USBからPCを起動する際には、PCのUEFI/BIOS設定でブート順序を変更する必要があります。UEFIモード、Legacy BIOSモード、Secure Bootといった設定項目は少々複雑に感じるかもしれませんが、PCのマニュアルを参照したり、慎重に操作したりすることで対応できます。

Ubuntuのインストール作業では、特にパーティション設定が重要です。ディスク全体を使うのか、他のOSと共存させるのか、手動で細かく設定するのか、ご自身のPCの状況や目的に合わせて慎重に選択し、必要な場合はデータのバックアップを忘れずに行ってください。

もし途中で問題が発生しても、慌てずにエラーメッセージを確認し、本ガイドのトラブルシューティングセクションやオンラインの情報源を参考に原因を探り、対処してみてください。

このガイドが、あなたがUbuntuの世界に第一歩を踏み出すための助けとなれば幸いです。Ubuntuは非常に活発なコミュニティを持つ、強力で柔軟なOSです。Live USBでの試用やインストールを通じて、ぜひその魅力を体験してみてください。


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