はい、承知いたしました。「図解でわかるAzure Virtual Desktopの価格|最新料金体系を紹介」というタイトルの約5000語の記事を作成します。
図解でわかるAzure Virtual Desktopの価格|最新料金体系を紹介
リモートワークの普及、働き方改革の推進により、場所やデバイスを選ばずに業務を遂行できる仮想デスクトップ(VDI)の需要が急速に高まっています。中でも、マイクロソフトが提供するAzure Virtual Desktop (AVD) は、既存のMicrosoft 365やWindowsライセンスを活用できる点、Azureの豊富なサービスと連携できる点から、多くの企業で導入が進んでいます。
AVDの導入を検討する上で、最も気になる点の一つが「コスト」でしょう。AVDの料金体系は、単一のサービス料金ではなく、複数のAzureサービスの組み合わせで構成されています。そのため、「一体いくらかかるのか?」「どうすればコストを最適化できるのか?」といった疑問を抱く方も少なくありません。
この記事では、「図解でわかる」というコンセプトに基づき、AVDの複雑に見える料金体系を構成要素ごとに分解し、それぞれの課金ロジックや考慮すべき点、そして最新の料金体系に基づいたコスト最適化の方法を、初心者の方にも分かりやすく詳細に解説します。約5000語のボリュームで、AVDの価格に関する疑問を解消し、適切なコスト見積もりと最適化戦略の立案に役立つ情報を提供します。
はじめに:Azure Virtual Desktop (AVD) とは
Azure Virtual Desktop (AVD) は、Microsoft Azure上で動作するデスクトップおよびアプリケーション仮想化サービスです。ユーザーは、様々なデバイス(PC、スマートフォン、タブレットなど)からインターネット経由で、Azure上に展開されたWindowsデスクトップやアプリケーションに安全にアクセスできます。
AVDを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 場所やデバイスを選ばない働き方の実現: インターネット環境があれば、どこからでも企業のデスクトップ環境にアクセス可能。
- セキュリティの向上: デリケートなデータはデータセンター(Azure)側で管理され、エンドポイントには保存されないため、情報漏洩リスクを低減できます。多要素認証などのAzure AD機能との連携も容易です。
- 管理の簡素化: デスクトップ環境の展開、管理、アップデートを一元的に行えます。特にWindows 10/11 Enterprise マルチセッションOSを利用すれば、1台の仮想マシンで複数のユーザーにデスクトップ環境を提供できるため、管理対象となるVM数を大幅に削減できます。
- スケーラビリティと柔軟性: 利用ユーザー数の増減に合わせて、必要なリソースをオンデマンドで拡張・縮小できます。
これらの多くのメリットを持つAVDですが、導入にあたっては、そのコスト構造を正確に理解することが不可欠です。
Azure Virtual Desktop (AVD) の価格を構成する主要要素
AVDの料金は、冒頭でも述べたように、単一のサービス料金ではなく、基盤となる複数のAzureサービスの利用量に応じて発生します。AVDサービスそのもの(管理プレーン機能)は、特定のMicrosoft 365またはWindowsライセンスを持っていれば無料で利用できますが、ユーザーが実際に利用するデスクトップ環境を提供するインフラストラクチャにかかるコストは別途発生します。
AVDの価格を構成する主要な要素は以下の通りです。
- コンピューティング(仮想マシン – セッションホスト):
- ユーザーが接続して実際にアプリケーションを動かす仮想マシンの利用料。AVDコストの大部分を占めることが多い。
- ストレージ:
- 仮想マシンのOSディスク、ユーザープロファイル(FSLogix)の保存場所、その他データディスクの利用料。
- ネットワーク:
- 仮想マシンからインターネットへのデータ転送量などにかかる料金。
- ライセンス:
- AVDに接続するためのユーザー単位のMicrosoft 365またはWindowsライセンス費用。これはAzureインフラ費用とは別。
- その他の関連サービス:
- AVD環境の構築・運用に必要に応じて利用する追加のAzureサービス(ドメインサービス、バックアップ、監視など)の利用料。
これらの要素が組み合わさることで、最終的なAVDの利用コストが決まります。次に、これらの各要素について、料金体系と考慮すべき点を詳しく見ていきましょう。
詳細解説:各価格構成要素のブレークダウン
ここでは、AVDの価格を構成する主要な要素について、それぞれの課金方法、選択肢、コストに影響を与える要因を詳しく解説します。
3.1. コンピューティング(仮想マシン – セッションホスト)
仮想マシン(VM)は、ユーザーが利用するデスクトップ環境をホストする「セッションホスト」として機能します。AVD環境における最も大きなコスト要因となることが一般的です。
課金体系:
- VMの料金は、選択したインスタンスタイプ(vCPU数、メモリ量、ストレージタイプ)、リージョン、そして実行時間(秒単位)に基づいて課金されます。
- VMが「実行中」の状態にある限り課金が発生します。VMを停止し、「割り当て解除 (Deallocated)」の状態にすると、コンピューティングリソースの課金は停止します(ただし、ストレージなどの課金は続きます)。
インスタンスタイプの選択とサイジング:
VMのコストは、そのスペック(インスタンスタイプ)に大きく依存します。ユーザーのワークロードや同時接続ユーザー数に応じて、適切なVMサイズを選択することが非常に重要です。
- ワークロードの種類:
- ライトユーザー: メール、Officeアプリケーション(Word, Excelなど)の基本操作が中心。比較的少ないvCPUとメモリで対応可能。(例: Ddsv5, Edsv5シリーズの small サイズ)
- ミディアムユーザー: Officeアプリケーションの高度な利用、Web会議、一部のビジネスアプリケーション利用。ある程度のvCPUとメモリが必要。(例: Ddsv5, Edsv5シリーズの medium サイズ)
- ヘビーユーザー: グラフィック処理を含むアプリケーション(CAD, 動画編集)、ソフトウェア開発環境、大規模データ処理。多くのvCPU、メモリ、高性能ストレージが必要。(例: Ddsv5, Edsv5, NVv4シリーズの large/xlarge サイズ)
- 同時接続ユーザー数: Windows 10/11 Enterprise マルチセッションを利用する場合、1台のVMを複数のユーザーで共有します。VMのスペックに対して何人のユーザーを収容できるか(ユーザー密度)がコスト効率に直結します。ユーザー密度は、ワークロードの種類(上記ライト/ミディアム/ヘビー)とVMスペックによって大きく変動します。例えば、ライトユーザーであれば1vCPUあたり数人、ヘビーユーザーであれば1vCPUあたり1人未満といった見積もりが必要です。適切なユーザー密度を見極めるには、PoC(概念実証)や既存環境の分析が役立ちます。
- VMシリーズの例:
- 汎用 (General Purpose): Dsv5, Ddsv5, Esv5, Edsv5 シリーズなど。バランスの取れたvCPUとメモリ比率。多くの一般的なワークロードに適しています。AVDのセッションホストとしてよく利用されます。
- メモリ最適化 (Memory Optimized): Esv5, Edsv5 シリーズなど(汎用と重複)。特定のシリーズでは、vCPUあたりのメモリが多く提供され、メモリを大量に使用するアプリケーションに適しています。
- コンピューティング最適化 (Compute Optimized): Fsv2 シリーズなど。高いCPU性能が求められるワークロードに適しています。
- GPU搭載 (GPU Optimized): NV, NVv4, NVadsA10 v5 シリーズなど。グラフィック処理や機械学習などに特化したVM。高価ですが、特定のヘビーワークロードには不可欠です。
適切なインスタンスタイプを選択するためには、ユーザーのワークロードを分析し、必要なvCPU、メモリ、ストレージ性能を見積もり、ユーザー密度を考慮してVMの台数を算出する必要があります。過剰なスペックは無駄なコストに繋がりますし、不足するとユーザー体験が悪化します。
同時マルチセッション vs. シングルセッション:
AVDの大きな特徴の一つは、Windows 10/11 Enterprise マルチセッションOSを利用できる点です。これにより、サーバーOSのように1台のVM上で複数のユーザーセッションを実行できます。
- Windows 10/11 Enterprise マルチセッション: 1台のVMを複数ユーザーで共有するため、必要なVM台数を削減でき、管理コストとコンピューティングコストの両方を削減できます。ほとんどのAVD導入シナリオで推奨されます。
- Windows 10/11 Enterprise シングルセッション: ユーザーごとに専用のVMを割り当てます。特定のアプリケーション要件がある場合や、ユーザーごとに独立した環境が必要な場合に利用します。VM台数はユーザー数と同じになるため、マルチセッションに比べてコンピューティングコストは高くなる傾向があります。
- Windows Server OS: Windows Server OSをセッションホストとして利用することも可能ですが、この場合は別途RDS CAL(Remote Desktop Services Client Access License)が必要になります。多くの場合はWindows 10/11 Enterprise マルチセッションの方がライセンス面・コスト面で有利です。
マルチセッションOSを積極的に活用することで、コンピューティングコストを大幅に最適化できます。
予約インスタンス (Reserved Instances – RI):
Azure VMのコストを削減する最も強力な手段の一つが、予約インスタンス (RI) です。
- 仕組み: 1年間または3年間の期間で、特定のリージョンの特定のVMインスタンスタイプ(シリーズ、サイズ)の使用量を予約購入します。
- 割引: オンデマンド料金と比較して、大幅な割引(最大で約72%)が適用されます。
- 適用方法: 予約したタイプのVMが、予約したリージョンで実行されている時間に対して自動的に割引が適用されます。常に稼働しているベースロードのVMに対して適用することで、最大の効果が得られます。
- 考慮点: 予約期間中は料金が発生し続けるため、VMの使用量が予約量を下回った場合、その分の予約は無駄になります。将来的にワークロードが大きく変動しないか、計画的な判断が必要です。また、VMのサイズやシリーズを変更した場合、予約が適用されなくなる可能性があります(フレキシブルな予約タイプもありますが、割引率は若干低下します)。
多くのAVD環境では、ある程度の数のVMは常に稼働している必要があるため、これらのベースロード部分にRIを適用することで、コンピューティングコストを大きく削減できます。
Azure Spot Virtual Machines:
Azure Spot VMは、Azureの未使用キャパシティを利用することで、非常に低い料金でVMを実行できるオプションです。
- 仕組み: 通常料金よりも大幅な割引が適用されますが、Azureが必要と判断した場合、予告なくVMが停止(強制排除)される可能性があります。
- 利用シナリオ: 開発/テスト環境、バッチ処理、画像/動画レンダリングなど、中断されても問題ないワークロードに適しています。
- AVDでの適用: 本番のユーザー向けセッションホストとしては、強制停止のリスクがあるため推奨されません。しかし、テスト環境や、夜間・週末の特定の一時的な処理など、リスク許容度が高いシナリオではコスト削減に有効な場合があります。
3.2. ストレージ
AVD環境では、主に以下のストレージが利用されます。
- OSディスク: セッションホストVMのオペレーティングシステムがインストールされているディスク。
- ユーザープロファイルディスク: FSLogixなどのプロファイル管理ソリューションで利用される、ユーザーごとのプロファイルデータ(設定、ドキュメントなど)を保存する場所。AVD環境において非常に重要なストレージ要素です。
- データディスク: アプリケーションデータや共有データなどを保存する必要がある場合にVMにアタッチするディスク。
ストレージの種類と料金:
Azureでは様々なタイプのストレージを提供しており、それぞれ性能と料金が異なります。主に以下のマネージドディスクがOSディスクやデータディスクとして利用されます。
- Standard HDD: 低コストだが低性能。開発/テスト環境など、IO性能が求められないシナリオ向け。
- Standard SSD: HDDより高性能で、ウェブサーバーなど汎用的なワークロード向け。
- Premium SSD: 高性能で、本番アプリケーションやデータベースなどIO性能が重要なワークロード向け。AVDのOSディスクとして推奨されることが多い。
- Ultra Disk: 最高の性能と柔軟性を持つディスク。IOPS、スループット、容量を個別に設定・変更可能。非常にIO要求が高いアプリケーション向け。高価。
これらのマネージドディスクは、プロビジョニングされた容量に対して料金が発生します。性能(IOPSやスループット)も容量に応じて決まるティア制が多いですが、Ultra Diskは独立して設定できます。
ユーザープロファイルストレージ (FSLogix):
FSLogixは、AVD環境でユーザープロファイルを管理するために推奨されるソリューションです。ユーザーがどのセッションホストに接続しても同じプロファイルを利用できるようになります。FSLogixプロファイルは、ネットワーク共有ストレージに保存されるのが一般的です。AVD環境では、以下のAzureサービスがこの用途でよく利用されます。
- Azure Files: Azureのマネージドファイル共有サービス。SMBプロトコルでアクセス可能です。
- Standard: HDDベース。比較的低コストですが、IOPS性能は限定的です。ライトユーザーや小規模環境向け。データ転送量とトランザクション数にも課金が発生します。
- Premium: SSDベース。Standardよりも高いIOPSとスループットを提供します。多くのAVD環境で推奨されるオプションです。プロビジョニングされた容量に対して課金され、Standardのようなトランザクション課金はありません(データ転送は発生)。
- 料金: プロビジョニング容量(TB単位)と、データ転送量(Azure外への送信)に対して課金されます。PremiumではプロビジョニングされたIOPS/スループットも料金に含まれます。
- Azure NetApp Files (ANF): NetAppのONTAPテクノロジーをAzure上で利用できる高性能なマネージドファイルサービス。
- 特徴: 非常に高いIOPSとスループットを提供できます。特に大規模なAVD展開や、ヘビーユーザーが多くて高いストレージ性能が必須なシナリオに適しています。容量、パフォーマンスレベル(Standard, Premium, Ultra)、スナップショット容量に対して課金されます。
- 料金: プロビジョニング容量(TiB単位)と、選択したパフォーマンスレベル(スループットに応じて単価が異なる)に基づいて課金されます。Azure Files Premiumよりも高価ですが、その分高性能です。
適切なストレージの選択:
ストレージのコストは、選択するストレージの種類、容量、そしてユーザー数に大きく依存します。
- OSディスク: Premium SSD の small サイズ(例: P10ディスク, 128GB)で十分な場合が多いです。
- ユーザープロファイル (FSLogix):
- 容量: ユーザー一人あたりのプロファイルサイズを見積もる必要があります(例: 1GB~数GB)。これにユーザー数を掛けて合計容量を算出します。
- 性能: 同時接続ユーザー数が多いほど、ストレージへの同時アクセスが増え、高いIOPSとスループットが求められます。ライトユーザー中心で同時接続数が少なければAzure Files Standardでも検討可能ですが、快適なユーザー体験のためにはAzure Files Premium以上が推奨されます。ヘビーユーザーが多い場合や大規模展開ではANFが必要になることもあります。
- コスト比較: 一般的に ANF > Azure Files Premium > Azure Files Standard の順で高性能かつ高価になります。予算と性能要件のバランスを見て選択します。
ストレージコストは、ユーザープロファイルサイズの見積もりと、必要なパフォーマンスレベルの判断が鍵となります。
3.3. ネットワーク
ネットワークコストは、AVD環境からAzure外部(特にインターネット)へのデータ転送量(Egress)が主な要因となります。Azure内部(同じ仮想ネットワーク内や、ピアリングされた仮想ネットワーク内、同じリージョン内のサービス間)のデータ転送は、無料または非常に低コストです。
AVD利用における主なネットワークコスト:
- ユーザーデバイス ↔ セッションホスト: ユーザーがリモートデスクトップクライアントを介してAVDに接続し、画面描画データや入力データがやり取りされる際の通信。この通信は、AVDの管理プレーン(Gatewayサービス)を経由して行われます。通常、ユーザーデバイスがインターネット上にある場合、この通信の一部はセッションホストからインターネットへのデータ転送(Egress)として課金されます。転送量は、ユーザーのアクティビティ(動画視聴、ファイルダウンロードなど)に依存します。
- セッションホスト ↔ ストレージ: セッションホストがFSLogixプロファイルや共有データにアクセスする際の通信。Azure FilesやANFが同じリージョン内の仮想ネットワーク内にある場合、この通信は無料または低コストです。
- セッションホスト ↔ インターネット: セッションホスト上のアプリケーションがインターネット上のリソース(Webサイト、SaaSサービスなど)にアクセスする際の通信。これもインターネットへのデータ転送(Egress)として課金されます。
料金体系:
- インターネットへのデータ転送量 (Egress): 転送量(GB単位)に対して課金されます。料金はリージョンによって異なります。通常、最初の数GB/月は無料枠が提供されます(無料枠の詳細は変更される可能性があるため、最新情報を確認してください)。無料枠を超えた分に対して、段階的に単価が高くなるティア料金が適用されるのが一般的です。
- Azure内部のデータ転送: 同じ仮想ネットワーク内は無料。異なる仮想ネットワーク間(ピアリング)や、異なるアベイラビリティゾーン間、異なるリージョン間は、それぞれ定められた料金が発生します。ただし、インターネットEgressよりはるかに安価です。
ネットワークコスト最適化のヒント:
- ユーザーに近いリージョンに展開: ユーザーの物理的な場所から近いリージョンにAVD環境を展開することで、待ち時間(レイテンシ)を短縮できるだけでなく、データ転送の経路が最適化され、結果的にコストに影響を与える可能性があります。
- 可能な限りAzure内部で通信を完結: セッションホストが利用するデータベースやアプリケーションサーバーなどもAzure上に配置し、セッションホストと同じ仮想ネットワーク内またはピアリングされた仮想ネットワーク内に置くことで、これらの通信にかかるコストを削減できます。
- 不要なインターネット通信を抑制: セキュリティポリシー(ネットワークセキュリティグループ、Azure Firewall)を適切に設定し、必要な通信以外はインターネットへのEgressをブロックすることで、不要なデータ転送コストを削減できます。
- データ転送量を減らす技術の活用: リモートデスクトッププロトコル(RDP)自体の最適化(画面品質の調整など)や、アプリケーション側でのデータ使用量の抑制なども効果的です。
ネットワークコストは、ユーザーのアクティビティによって変動するため予測が難しい側面がありますが、上記のような対策を講じることで、コストを抑えることが可能です。
3.4. ライセンス
AVDサービスを利用するための権利は、特定のMicrosoft 365またはWindows Enterpriseライセンスに含まれています。これは、Azureインフラストラクチャの利用料金とは別に発生するコストです。
AVD接続に必要なライセンス(ユーザー単位):
以下のいずれかのライセンスをアクティブなSoftware Assurance付きで持っているユーザー、または以下のサブスクリプションライセンスを持っているユーザーは、AVDサービスに接続する権利を持ちます。
- Microsoft 365:
- Microsoft 365 F3, E3, E5
- Microsoft 365 A3, A5, Student Use Benefit
- Microsoft 365 Business Premium
- Windows Enterprise:
- Windows 10/11 Enterprise E3, E5
- Windows 10/11 Education A3, A5
- Windows VDA E3, E5 (非Azure Qualified Device向け – 例: シンクライアントやBYODデバイスから接続する場合)
これらのライセンスはユーザー単位で必要です。例えば、100人のユーザーがAVDを利用する場合、100人分の対象ライセンスが必要です。これらのライセンス費用は、通常、月額または年額の固定費用として発生します。AVDの利用時間にかかわらず発生する点が、利用量に応じて変動するAzureインフラストラクチャ料金との違いです。
既存ライセンスの活用 (BYOL – Bring Your Own License):
上記の対象ライセンスを既に持っている場合、AVDに接続するための追加のライセンス費用は発生しません。これはAVDの大きなメリットの一つです。新たにAVDのためにライセンスを購入する必要があるか、既存のライセンスで足りるかを確認することが重要です。
Windows Server OSをセッションホストにする場合:
セッションホストとしてWindows Server OSを利用する場合、上記の対象ライセンスに加えて、ユーザーまたはデバイスごとにRDS CAL(Remote Desktop Services Client Access License)が必要になります。ほとんどのAVD導入シナリオ(特にWindows 10/11 Enterprise マルチセッションを利用する場合)では、Windows Server OS + RDS CAL の組み合わせよりも、Windows 10/11 Enterprise マルチセッション + 対象ライセンスの組み合わせの方がシンプルでコスト効率が良いです。
ライセンス費用は、Azureインフラストラクチャ費用とは別に考慮すべき重要なコスト要素です。対象ライセンスを正確に把握し、必要なライセンス数を計算することが、AVDコストの全体像を把握する上で不可欠です。
3.5. その他の関連サービス
AVD環境を構築・運用する上で、必須ではないものの、利用することで利便性、セキュリティ、管理性などを向上させることができる様々なAzureサービスがあります。これらのサービスを利用する場合、別途そのサービスの利用料が発生します。
- Azure Active Directory Domain Services (AAD DS) または Active Directory Domain Services on Azure VM:
- セッションホストをドメイン参加させる必要がある場合に利用します。既存のオンプレミスADとのハイブリッド構成や、Azure AD参加(ただし一部制限あり)が利用できない場合に検討します。
- AAD DSはマネージドサービスで、稼働時間とレプリカ数(Standard, Enterprise, Premiumティア)に応じて課金されます。
- Azure VM上のAD DSは、VMのコンピューティング、ストレージ、ネットワーク費用が発生します。
- Azure Backup:
- セッションホストVMやFSLogixプロファイルを保存したAzure Files共有などのバックアップを取得する場合に利用します。
- バックアップ対象のデータ量と、バックアップの保管期間・頻度に応じて課金されます。
- Azure Monitor / Azure Log Analytics:
- AVD環境のパフォーマンス監視、診断ログの収集、利用状況の分析などに利用します。AVD Insightsなどの機能で統合されます。
- Log Analyticsは、取り込みデータ量(GB単位)とデータの保持期間に応じて課金されます。VM InsightsやApplication Insightsなどの機能利用にも関連コストが発生することがあります。
- Azure Site Recovery:
- AVD環境のディザスターリカバリー(DR)構成を構築する場合に利用します。
- 保護対象のVM台数と、レプリケーションされるデータ量に応じて課金されます。
- Azure Firewall / Network Security Group (NSG):
- AVD環境のネットワークセキュリティを強化する場合に利用します。NSG自体に料金はかかりませんが、Azure Firewallはデプロイされた時間と処理データ量に応じて課金されます。
- Azure Automation / Logic Apps:
- VMの自動シャットダウン/起動やスケーリングなどの運用自動化に利用します。実行回数やリソース消費量に応じて課金が発生します。
これらの関連サービスは、導入する機能によってコストが発生しますが、AVD環境の安定稼働やセキュリティ確保、運用効率化のために重要な役割を果たします。必要なサービスを見極め、コストを考慮して導入を検討します。
AVDの料金体系における「無料」の部分
AVDの料金体系を理解する上で非常に重要なのは、「無料」の部分と「有料」の部分を明確に区別することです。
AVDサービス自体は無料(対象ライセンスがあれば):
ユーザーが適切なMicrosoft 365またはWindows Enterpriseライセンスを持っていれば、以下のAVDサービス機能は無料で利用できます。
- 管理プレーン: AVD環境の構成、管理、デプロイを行うためのサービス機能。
- Webアクセス: Webブラウザ経由でAVDにアクセスするためのWebクライアント。
- リモートデスクトップクライアント: Windows, macOS, iOS, Android クライアントアプリケーション。
- ゲートウェイ (Gateway): ユーザーデバイスからの接続を受け付け、セッションホストへの安全な接続を仲介するサービス。
- ブローカー (Broker): ユーザー認証、セッションホストへの割り当て、ロードバランシングなどを担当するサービス。
- 診断サービス: 環境の診断やトラブルシューティングに役立つ機能。
これらのサービスは、マイクロソフトがグローバルに提供するマネージドサービスであり、ユーザーはこれらのサービスの利用権を、前述の対象ライセンスによって得ています。Citrix Virtual Apps and DesktopsやVMware Horizon CloudといったサードパーティのVDIソリューションでは、これらの管理プレーンや接続ブローカー、ゲートウェイ機能に対して別途ライセンス費用やサービス利用料が発生することが多いですが、AVDではこれが無料である点が、コスト面での大きな優位性の一つです。
しかし、基盤となるAzureインフラストラクチャは有料:
前述の通り、ユーザーが接続して実際に利用するデスクトップ環境を動かすための基盤(仮想マシン、ストレージ、ネットワーク、および関連サービス)は、Azureの利用量に応じて課金されます。
つまり、AVDのコストは、「無料のサービス利用権」+「有料のAzureインフラストラクチャ利用料」の合計となります。この点を混同しないことが、AVDの正確なコストを把握するための第一歩です。
具体的なコスト計算方法とシミュレーション
AVDの全体コストを正確に見積もるには、以下のステップで各要素のコストを積算し、合計を計算する必要があります。
- ユーザー数とワークロードの把握:
- AVDを利用する総ユーザー数を特定します。
- ユーザーをワークロードの種類(ライト、ミディアム、ヘビーなど)に分類します。これにより、ユーザーグループごとに必要なVMスペックやユーザー密度が変わります。
- 同時接続ユーザー数のピーク時と平均を予測します。
- 必要なVM台数とスペックの決定:
- ワークロードとユーザー密度に基づき、各ユーザーグループに対して必要なセッションホストVMのインスタンスタイプと台数を算出します。Windows 10/11 マルチセッションの場合、ユーザー数 ÷ ユーザー密度 = 必要なVM台数 の目安となります。
- 算出されたVM台数に対して、どの程度をReserved Instancesで賄うかを検討します(安定したベースロード分)。
- ストレージ容量と種類の決定:
- 一人あたりのOSディスク容量、ユーザープロファイル容量、データディスク容量を見積もり、合計容量を計算します。
- 必要なパフォーマンスレベル(IOPS, スループット)に基づき、OSディスク、ユーザープロファイル(FSLogix用Azure Files/ANF)、データディスクそれぞれのストレージタイプ(Standard/Premium SSD, Azure Files Standard/Premium, ANF Standard/Premium/Ultra)を決定します。
- ネットワークコストの予測:
- 一人あたりの想定されるインターネットEgressデータ転送量を見積もり、ユーザー数を掛けて合計データ転送量を予測します。ワークロード(例: 動画視聴が多いか、ファイルダウンロードが多いかなど)によって大きく変動するため、過去の利用データやPoC結果が参考になります。
- その他の関連サービスの選定とコスト見積もり:
- AAD DS、Backup、Monitoringなど、必要に応じて利用する関連サービスを決定し、それぞれの課金モデルに基づいてコストを見積もります。
- ライセンスコストの確認:
- AVDを利用するユーザー数に対して、既に必要なMicrosoft 365またはWindows Enterpriseライセンスがあるか確認します。不足している場合は、新規購入が必要なライセンス数と、その月額/年額費用を確認します。
- 合計コストの計算:
- 上記1~6で算出した、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、その他のサービス、ライセンスのコストを合計します。
Azure料金計算ツール (Azure Pricing Calculator) の活用:
これらのコスト積算を行う上で、Azure公式が提供するAzure料金計算ツールは非常に強力なツールです。
- ツールへのアクセス: Azure Webサイトから料金計算ツールにアクセスします。
- サービスの選択: 「Azure Virtual Desktop」セクションを選択し、構成要素(VM、ストレージ、ネットワークなど)を追加していきます。
- 設定の入力:
- VM: リージョン、OSタイプ(Windows クライアント マルチセッションなど)、インスタンスタイプ、インスタンス数、実行時間(例: 月744時間で常時稼働、または特定のスケジュールで稼働)、予約インスタンスの有無(1年/3年)。
- ストレージ: ディスクタイプ(Premium SSDなど)、容量、台数(VMの数と同じ)。FSLogix用ストレージ(Azure FilesまたはAzure NetApp Files)を選択し、容量、ティア、パフォーマンスレベルなどを設定します。
- ネットワーク: 想定されるインターネットEgressデータ転送量(GB/月)を入力します。
- その他のサービス: 利用するサービス(AAD DS, Azure Backup, Log Analyticsなど)を追加し、それぞれの設定(容量、データ量など)を入力します。
- 試算結果の確認: 入力した設定に基づき、各サービスの月額コスト合計が表示されます。
- シナリオの比較: 異なるVMサイズ、RIの適用有無、ストレージオプションなどを変更して、複数のシナリオでのコストを比較できます。
- ライセンス費用の追加: 料金計算ツールはAzureインフラストラクチャ費用のみを計算します。別途、必要なライセンスの費用を加えて総コストを把握する必要があります。
Azure料金計算ツールを使用することで、様々な構成パターンにおけるコストを視覚的に比較検討できます。
コストシミュレーションの例(概念):
- シナリオA: ライトユーザー中心、500ユーザー
- VM: Windows 10/11 マルチセッション、Edsv5 small (4vCPU, 32GB RAM)。ユーザー密度: 1vCPUあたり2人 → 1VMあたり8人。必要VM台数: 500人 ÷ 8人/VM = 約63台。ベースロード40台に3年RI適用、残り23台はオンデマンド+自動スケーリングで運用。
- ストレージ: OSディスクはPremium SSD small。FSLogixはAzure Files Premium、一人あたり3GB見積もり → 500人 × 3GB = 1.5TB。
- ネットワーク: 一人あたりインターネットEgress 10GB/月と見積もり → 500人 × 10GB = 5TB/月。
- その他: AAD DS, Azure Backup, Log Analytics利用。
- ライセンス: 全員Microsoft 365 E3ライセンスを保持。
- 概算コスト: VMコスト(RI適用分+オンデマンド分+スケーリング分)+ストレージコスト(OSディスク+Azure Files Premium)+ネットワークコスト+関連サービスコスト。VMコストとAzure Files Premiumコストが大きな割合を占める。
- シナリオB: ヘビーユーザー中心、100ユーザー
- VM: Windows 11 マルチセッション、Edsv5 large (8vCPU, 64GB RAM) またはシングルセッション(Edsv5 medium)。マルチセッションの場合、ユーザー密度: 1vCPUあたり1人 → 1VMあたり8人。必要VM台数: 100人 ÷ 8人/VM = 13台。またはシングルセッションで100台。ヘビーユーザーのためシングルセッションを選択。100台のEdsv5 medium。うち80台に3年RI適用、残り20台はオンデマンド+スケーリング。
- ストレージ: OSディスクはPremium SSD small。FSLogixはANF Premium、一人あたり10GB見積もり → 100人 × 10GB = 1TB。
- ネットワーク: 一人あたりインターネットEgress 20GB/月と見積もり → 100人 × 20GB = 2TB/月。
- その他: AAD DS, Azure Backup, Log Analytics利用。
- ライセンス: 全員Windows 11 Enterprise E5ライセンスを保持。
- 概算コスト: シングルセッションのためVM台数が多く、またヘビーユーザー向け高スペックVMのためVMコストが非常に高くなる。FSLogixにANFを利用するためストレージコストも高め。RIによるコスト削減効果が大きい。
これらの例は非常に単純化されていますが、ワークロードやユーザー数、構成の違いによってコストが大きく変動することが分かります。正確なコスト見積もりには、個別の要件に基づいた詳細なシミュレーションが不可欠です。
コスト最適化戦略
AVDのコストは適切に管理しなければ高額になる可能性がありますが、Azureが提供する様々な機能とAVD特有の設定を活用することで、コストを大幅に削減できます。以下に主要なコスト最適化戦略を紹介します。
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Azure Virtual Desktop スケーリングプランの活用:
- 最も効果的なコスト削減策の一つ。利用状況(曜日、時間帯、同時接続ユーザー数など)に応じて、セッションホストVMの台数を自動的に増減させます。
- ピーク時の拡張: ユーザーが増える時間帯にVMを起動してユーザーを受け入れられるようにする。
- オフピーク時の縮小/停止: ユーザーが少ない時間帯や営業時間外、週末などにVMを停止(割り当て解除)してコンピューティングコストを削減する。また、残った少数のVMでユーザー密度を高める設定も可能。
- 設定: スケジュールベース、CPU使用率ベース、セッション数ベースなどの条件でスケーリングルールを定義できます。
- この機能により、VMの稼働時間を最小限に抑え、コンピューティングコストを大幅に削減できます。
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予約インスタンス (RI) の徹底活用:
- 前述の通り、安定して稼働が必要なベースロードのVMに対してRIを適用することで、オンデマンド料金から大幅な割引を得られます。スケーリングプランで常に一定台数以上稼働するVM数を設計し、その台数に対してRIを適用するのが効果的です。
- 1年または3年のコミットメント期間を選択できますが、3年の方が割引率は高いです。
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適切なVMサイズの選択と定期的な見直し:
- ユーザーの実際のワークロードに対して、過剰なスペックのVMを選ばないことが重要です。Azure Monitor for AVD Insightsなどを利用して、VMのCPU、メモリ、ディスクI/Oなどの使用率を監視し、定期的にVMサイズの適切性を見直します。
- 必要であれば、より安価で適切なサイズのVMにダウンサイジングします。
- PoC段階で、異なるVMサイズでユーザー密度とパフォーマンスをテストし、最適なサイズを見極めることも有効です。
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Windows 10/11 Enterprise マルチセッションの最大活用:
- 可能な限り、マルチセッションOSを使用してVM台数を削減します。ワークロードに応じてユーザー密度を最適化するための検証を行います。シングルセッションが必要な特別な要件がない限り、マルチセッションがコスト効率に優れています。
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ストレージの最適化:
- FSLogix用ストレージ: ユーザー数、ワークロード、予算を考慮し、Azure Files Standard/Premium、ANFの中から最適なオプションを選択します。安易に高性能・高価なANFを選択するのではなく、Azure Files Premiumで十分な性能が得られるか検証します。
- ディスクタイプ: OSディスクやデータディスクには、必要な性能を満たす最も安価なマネージドディスクタイプを選択します。多くの場合はPremium SSDで十分です。
- 容量: 必要以上に大きな容量のディスクをプロビジョニングしないようにします。
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VMのシャットダウン/割り当て解除の徹底:
- AVDスケーリングプランが主な手段ですが、その他にもAzure Automation runbooksやAzure Logic Appsなどを使用して、利用されない開発/テスト環境などのVMを自動的にシャットダウン(割り当て解除)するように設定します。単にOS上でシャットダウンするだけでなく、Azureポータル等から「停止」または「割り当て解除」することが重要です。
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コスト監視と分析の実践:
- Azure Cost Management + Billing を定期的に確認し、AVD関連のコストの内訳(VM、ストレージ、ネットワークなど)を把握します。
- コストの内訳を分析し、予期せぬコスト発生がないか、どのリソースがコストを押し上げているかを特定します。
- リソースに適切なタグを付けておくことで、部門ごと、プロジェクトごとなどにコストを分類し、分析やチャージバックに役立てることができます。
- 予算を設定し、コストが予算を超過しないように監視アラートを設定することも有効です。
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データ転送量の抑制:
- 前述のネットワークコスト最適化のヒント(ユーザーに近いリージョン、Azure内部通信の活用、セキュリティポリシーによる不要通信ブロックなど)を実践します。
- リモートデスクトッププロトコルの設定(画面解像度、フレームレート、ビデオ再生設定など)を調整することで、データ転送量を削減できる場合があります。
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ライセンスの棚卸し:
- AVDを利用しているユーザーに対して、適切かつ過不足のないライセンスが付与されているか定期的に確認します。不要なライセンスがあれば解放します。
これらのコスト最適化戦略を組み合わせることで、AVD環境の総保有コスト(TCO – Total Cost of Ownership)を大幅に削減し、よりコスト効率の高いVDI環境を実現することが可能です。
よくある質問 (FAQ)
Q1: AVDの料金は「ユーザー単位」ですか?
A1: いいえ、AVDの料金体系は、「サービス利用権」と「Azureインフラストラクチャ利用料」に分かれます。
* サービス利用権: これは特定のMicrosoft 365またはWindows Enterpriseライセンス(ユーザー単位)に含まれており、追加のAVDサービス利用料は発生しません。
* Azureインフラストラクチャ利用料: これは、仮想マシン(コンピューティング)、ストレージ、ネットワークなど、実際に利用したAzureリソースの量に応じて課金されます。これはユーザー数ではなく、利用したリソースのスペックと稼働時間によって変動します。
したがって、AVDの総コストは、「ユーザー単位のライセンス費用」+「利用量に応じたAzureインフラストラクチャ費用」の合計となります。
Q2: CitrixやVMware Horizon Cloudといった他のVDIソリューションと比べて、AVDのコストメリットは何ですか?
A2: AVDの最大のコストメリットは、AVDサービス自体(管理プレーン、Gatewayなど)の利用権が、対象のMicrosoft 365/Windowsライセンスに含まれており、追加料金が不要である点です。他のサードパーティVDIソリューションでは、通常、これらの管理インフラや接続ブローカー/ゲートウェイ機能に対して、別途高額なライセンス費用やサービス利用料が発生します。
AVDは、Azure基盤上にネイティブに構築されており、Azureの豊富な機能(予約インスタンス、自動スケーリング、様々なストレージオプションなど)を活用してインフラコストを最適化できる点も優位性となります。
Q3: 既に持っているMicrosoft 365やWindowsライセンスは利用できますか? (BYOL)
A3: はい、利用できます。AVD接続に必要な対象ライセンス(前述のリスト参照)を既に所有している場合、そのライセンスを利用してAVDサービスに接続する権利を得られます。追加でAVDのためにライセンスを購入する必要はありません。これにより、既存のIT投資を有効活用できます。
Q4: 開発/テスト環境としてAVDを利用する場合、コスト削減方法はありますか?
A4: 開発/テスト環境は、本番稼働のように常時利用されるわけではないことが多いです。
* VMの自動シャットダウン/割り当て解除: 利用しない時間帯(夜間、週末など)にVMを確実に停止(割り当て解除)することで、コンピューティングコストをゼロにできます。Azure Automationやスケーリングプラン(テスト用に構成)を活用します。
* Azure Spot Virtual Machines: 開発/テスト環境であれば、強制停止のリスクを受け入れられる場合、Spot VMを利用することでコンピューティングコストを大幅に削減できます。
* 安価なストレージ: 高性能なディスクが必要なければ、Standard SSDやStandard HDDを選択することでストレージコストを抑えられます。
Q5: AVDのコストを見積もる上で、最も重要な要素は何ですか?
A5: 最も重要な要素は以下の3点です。これらがVMの台数、スペック、稼働時間、ストレージ容量/性能に大きく影響します。
1. 利用ユーザー数: ユーザー総数と、同時に接続するユーザー数のピーク時。
2. ユーザーのワークロード: ユーザーが利用するアプリケーションや作業内容(ライト、ミディアム、ヘビー)。これにより、必要なVMスペックやユーザー密度が決まります。
3. 利用時間/稼働時間: VMをどれくらいの時間稼働させる必要があるか。これは自動スケーリングや予約インスタンスの設計に直結します。
これらの情報を正確に把握し、Azure料金計算ツールでシミュレーションを行うことが、適切なコスト見積もりにつながります。
まとめ
Azure Virtual Desktop (AVD) は、先進的なデスクトップ仮想化ソリューションとして多くのメリットを提供しますが、その料金体系は複数のAzureサービスによって構成されており、一見複雑に感じられるかもしれません。
この記事では、「図解でわかる」というコンセプトで、AVDの価格を構成する主要な要素(コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、ライセンス、その他関連サービス)に分解し、それぞれの課金方法、選択肢、コストに影響を与える要因を詳細に解説しました。AVDサービス自体の利用権は対象ライセンスに含まれており無料である一方、その基盤となるAzureインフラストラクチャの利用量に応じてコストが発生することを明確に理解することが、AVDコストを把握するための第一歩です。
また、約5000語のボリュームで、具体的なコスト計算方法や、Azure料金計算ツールの活用方法、そして何よりも重要なコスト最適化戦略を網羅的に紹介しました。Azure Virtual Desktop スケーリングプランによるVMの自動化、予約インスタンス (RI) の活用、適切なVMサイズやストレージの選択、コスト監視・分析の徹底といった様々な手法を組み合わせることで、AVDの総保有コストを効果的に削減することが可能です。
AVDの導入を成功させるためには、事前の丁寧なサイジングと、本記事で解説した料金体系に基づいた詳細なコストシミュレーションが不可欠です。ぜひ本記事を参考に、ご自身の環境に最適なAVD構成とコスト計画を立て、コスト効率の高い安全な仮想デスクトップ環境を実現してください。常に最新の料金情報はAzure公式ドキュメントや料金計算ツールでご確認いただくことをお勧めします。