電気回路の基本!a接点とb接点の違いを図解で解説
電気回路を扱う上で、リレーやスイッチなどの接点の種類を理解することは非常に重要です。特に「a接点」と「b接点」は、回路設計の基本となる考え方であり、これらを正しく理解することで、より複雑な回路の動作原理も理解できるようになります。この記事では、a接点とb接点の違いを図解を用いて分かりやすく解説し、それぞれの特徴、用途、応用例について詳しく説明します。
1. はじめに:電気回路における接点の重要性
電気回路は、電気エネルギーを利用して様々な動作を実現するための基本的な要素です。その中でも、接点は回路の一部を物理的に接続したり、切り離したりすることで、電気の流れを制御する役割を担っています。スイッチやリレーなど、様々な部品に組み込まれており、その種類や特性を理解することは、回路設計やトラブルシューティングにおいて不可欠です。
2. 接点の種類:a接点とb接点
電気回路における接点には、大きく分けて「a接点」と「b接点」の2種類があります。これらの接点は、それぞれの動作状態によって電気的な接続状態が異なります。
-
a接点 (Make接点/Normally Open接点):
- 通常時は回路が開いた状態 (OFF) で、電気は流れません。
- 何らかの操作(リレーの励磁、スイッチの操作など)によって回路が閉じて (ON)、電気が流れるようになります。
- 「Make接点」または「Normally Open接点 (NO接点)」とも呼ばれます。
-
b接点 (Break接点/Normally Closed接点):
- 通常時は回路が閉じた状態 (ON) で、電気が流れています。
- 何らかの操作(リレーの励磁、スイッチの操作など)によって回路が開いて (OFF)、電気が流れなくなります。
- 「Break接点」または「Normally Closed接点 (NC接点)」とも呼ばれます。
3. a接点とb接点の図解解説
以下に、a接点とb接点の動作状態を図を用いて説明します。
3.1 a接点 (Normally Open接点) の図解
図1:a接点の動作状態 (非動作時)
┌───┐
│ │
│ a接点 │
│ │
└───┘
○───○ (非接続)
説明:
- 図1は、a接点の非動作時の状態を示しています。
- 接点は開いており、回路は接続されていません。
- したがって、電気は流れません。
図2:a接点の動作状態 (動作時)
┌───┐
│ │
│ a接点 │
│ │
└───┘
●───● (接続)
説明:
- 図2は、a接点の動作時の状態を示しています。
- 何らかの操作(リレーの励磁など)によって接点が閉じます。
- 回路が接続され、電気が流れるようになります。
3.2 b接点 (Normally Closed接点) の図解
図3:b接点の動作状態 (非動作時)
┌───┐
│ │
│ b接点 │
│ │
└───┘
●───● (接続)
説明:
- 図3は、b接点の非動作時の状態を示しています。
- 接点は閉じており、回路は接続されています。
- したがって、電気が流れています。
図4:b接点の動作状態 (動作時)
┌───┐
│ │
│ b接点 │
│ │
└───┘
○───○ (非接続)
説明:
- 図4は、b接点の動作時の状態を示しています。
- 何らかの操作(リレーの励磁など)によって接点が開きます。
- 回路が切断され、電気が流れなくなります。
4. a接点とb接点の特性比較
特性 | a接点 (Normally Open) | b接点 (Normally Closed) |
---|---|---|
通常時の状態 | 開 (OFF) | 閉 (ON) |
動作時の状態 | 閉 (ON) | 開 (OFF) |
別名 | Make接点, NO接点 | Break接点, NC接点 |
主な用途 | 信号のオン/オフ制御 | 異常時の遮断/アラーム |
5. a接点とb接点の具体的な用途例
a接点とb接点は、それぞれ異なる特性を持っているため、様々な用途で利用されます。以下に、具体的な用途例を紹介します。
5.1 a接点の用途例
- 照明のオン/オフ制御: スイッチを押すとa接点が閉じて照明が点灯します。
- モーターの起動/停止制御: リレーのa接点を使用して、モーターの電源をオン/オフ制御します。
- センサー信号の検出: センサーが特定の条件を検出するとa接点が閉じて、制御回路に信号を送ります。
- PLC (Programmable Logic Controller) の入力信号: PLCに信号を入力する際に、a接点を使用します。例えば、ボタンが押されたときにPLCに信号を送る場合などです。
具体例:押しボタン式スイッチ
押しボタン式スイッチは、a接点の代表的な例です。通常は接点が開いており、ボタンを押すことで接点が閉じて回路が接続されます。
図5:押しボタン式スイッチの回路図
+Vcc
|
R (プルダウン抵抗)
|
○───┬───○ (a接点)
|
Input to Microcontroller
|
GND
説明:
- 通常時、a接点は開いているため、マイクロコントローラーの入力ピンはプルダウン抵抗によってGNDレベルに保たれています。
- ボタンを押すとa接点が閉じて、マイクロコントローラーの入力ピンは+Vccレベルになります。
- マイクロコントローラーはこの電圧の変化を検知して、ボタンが押されたことを認識します。
5.2 b接点の用途例
- 非常停止回路: 異常が発生した場合にb接点が開いて、システムを緊急停止させます。
- アラーム回路: センサーが異常値を検出した場合にb接点が開いて、アラームを鳴らします。
- 電源監視回路: 電源電圧が低下した場合にb接点が開いて、バックアップ電源に切り替えます。
- 自己保持回路: リレーが一度動作したら、電源が遮断されるまで動作状態を維持する回路です。b接点を利用して、リレーの自己保持回路を構成することがあります。
具体例:非常停止ボタン
非常停止ボタンは、b接点の代表的な例です。通常は接点が閉じており、回路が接続されています。緊急時にボタンを押すことで接点が開き、回路が遮断されます。
図6:非常停止ボタンの回路図
+Vcc
|
R (プルアップ抵抗)
|
○───┬───○ (b接点)
|
Input to Microcontroller
|
GND
説明:
- 通常時、b接点は閉じているため、マイクロコントローラーの入力ピンはプルアップ抵抗によって+Vccレベルに保たれています。
- 非常停止ボタンを押すとb接点が開き、マイクロコントローラーの入力ピンはGNDレベルになります。
- マイクロコントローラーはこの電圧の変化を検知して、非常停止状態であることを認識します。
6. リレーにおけるa接点とb接点の利用
リレーは、電気信号によって機械的なスイッチを動作させる部品です。リレーには、通常、複数の接点が組み込まれており、a接点、b接点、そしてa接点とb接点を組み合わせたc接点 (切換接点) があります。
- リレーの構造: リレーは、コイルと接点で構成されています。コイルに電流が流れると電磁力が発生し、接点を動作させます。
- c接点 (切換接点): c接点は、1つの共通端子と、a接点、b接点の2つの接点を持つ接点です。非動作時には共通端子がb接点に接続されており、動作時には共通端子がa接点に接続されます。
図7:リレーの構造と接点
“`
+Vcc
|
+—-┴—-+
| |
| コイル |
| |
+—-┬—-+
|
GND
┌───┐
│ │
│ リレー │
│ 接点 │
└───┘
/|\
/ | \
/ | \
/ | \
/ | \
●────● (a接点)
|
●────● (b接点)
|
●────● (共通端子)
“`
説明:
- コイルに電流が流れると、電磁力が発生し、共通端子がa接点側に切り替わります。
- コイルに電流が流れなくなると、共通端子はb接点側に戻ります。
リレーの活用例:信号の増幅と絶縁
リレーは、微弱な信号で大電流を制御したり、異なる回路間を電気的に絶縁したりする際に利用されます。例えば、マイクロコントローラーからの微弱な信号で、高電圧の機器を制御する場合などに役立ちます。
7. まとめ:a接点とb接点の使い分け
a接点とb接点は、それぞれ異なる特性を持っているため、用途に応じて適切に使い分けることが重要です。
- a接点: 通常時はOFFで、動作時にONになる特性を利用して、信号のオン/オフ制御、機器の起動/停止制御などに使用します。
- b接点: 通常時はONで、動作時にOFFになる特性を利用して、異常時の遮断、アラーム、電源監視などに使用します。
回路設計においては、これらの接点の特性を理解し、目的に合った接点を選択することで、より安全で信頼性の高いシステムを構築することができます。
8. 補足:接点の記号
電気回路図では、a接点とb接点はそれぞれ特定の記号で表されます。
- a接点:
-| |-' または
-| NO -‘ - b接点:
-|/|-' または
-| NC -‘
これらの記号を理解することで、回路図を読み解く際に、各接点の役割を把握しやすくなります。
9. 最後に:実践的な学習の重要性
この記事では、a接点とb接点の基本的な概念と用途について解説しました。しかし、電気回路の理解を深めるためには、実際に回路を組んで動作を確認することが重要です。ブレッドボードや電子工作キットなどを活用して、簡単な回路から始めて、徐々に複雑な回路に挑戦していくことで、より実践的な知識とスキルを習得することができます。
この記事が、電気回路の学習の一助となれば幸いです。