RHEL 10 クラウド連携:AWS、Azure、GCPでの活用事例
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) は、その堅牢性、セキュリティ、そして幅広いハードウェア・ソフトウェアのサポートにより、エンタープライズ Linux のデファクトスタンダードとしての地位を確立しています。最新バージョンの RHEL 10 は、クラウドネイティブなワークロードへの対応を強化し、パブリッククラウド環境である AWS、Azure、GCP との連携をさらに深めています。本記事では、RHEL 10 のクラウド連携機能と、AWS、Azure、GCP それぞれにおける活用事例を詳細に解説します。
目次
- RHEL 10 のクラウド連携強化ポイント
- クラウドネイティブアプリケーションへの最適化
- イメージビルドとデプロイの自動化
- セキュリティとコンプライアンスの統合
- ハイブリッドクラウド環境の管理機能強化
- サブスクリプション管理とコスト最適化
- AWS における RHEL 10 の活用事例
- Amazon EC2 での RHEL 10 の利用
- Red Hat OpenShift on AWS (ROSA) との連携
- AWS Marketplace での RHEL 10 の提供
- AWS 上での SAP 環境における RHEL 10
- AWS Lambda での RHEL 10 の利用 (カスタムランタイム)
- Azure における RHEL 10 の活用事例
- Azure Virtual Machines での RHEL 10 の利用
- Red Hat OpenShift on Azure (ARO) との連携
- Azure Marketplace での RHEL 10 の提供
- Azure 上での SAP 環境における RHEL 10
- Azure Container Apps での RHEL 10 の利用
- GCP における RHEL 10 の活用事例
- Google Compute Engine での RHEL 10 の利用
- Red Hat OpenShift on Google Cloud (ROSA) との連携
- Google Cloud Marketplace での RHEL 10 の提供
- GCP 上での SAP 環境における RHEL 10
- Google Cloud Functions での RHEL 10 の利用 (カスタムランタイム)
- RHEL 10 と各クラウドプラットフォーム連携における考慮事項
- イメージの最適化とサイズ削減
- 自動化とオーケストレーション
- 監視とロギング
- セキュリティ対策
- コスト管理
- まとめと今後の展望
1. RHEL 10 のクラウド連携強化ポイント
RHEL 10 は、従来の RHEL の強みを受け継ぎながら、クラウドネイティブなワークロードへの対応を強化するために、以下の点が重点的に強化されています。
-
クラウドネイティブアプリケーションへの最適化: RHEL 10 は、コンテナ技術、Kubernetes、サーバーレスアーキテクチャなど、クラウドネイティブアプリケーションに必要な機能を標準で搭載しています。これにより、開発者はより迅速かつ効率的にアプリケーションを開発・デプロイできます。
- コンテナイメージの最適化: RHEL 10 は、Podman などのコンテナツールをサポートし、軽量でセキュアなコンテナイメージの作成を支援します。また、Universal Base Image (UBI) を提供し、RHEL のセキュリティと安定性を備えたコンテナイメージを自由に利用できます。
- Kubernetes のサポート: RHEL 10 は、Kubernetes を容易にデプロイ・管理できるツールを提供します。これにより、コンテナ化されたアプリケーションのスケーリング、デプロイ、管理が容易になります。
- サーバーレスアーキテクチャのサポート: RHEL 10 は、関数型プログラミング言語や、サーバーレスフレームワークをサポートし、イベント駆動型のアプリケーション開発を支援します。
-
イメージビルドとデプロイの自動化: RHEL 10 は、イメージビルドとデプロイの自動化を支援するツールを提供します。これにより、開発者はインフラストラクチャの管理に時間を費やすことなく、アプリケーション開発に集中できます。
- Image Builder: RHEL 10 には、カスタマイズされた RHEL イメージを簡単に作成できる Image Builder が含まれています。Image Builder を使用することで、必要なパッケージや設定を含む RHEL イメージを自動的に作成し、様々なクラウドプラットフォームにデプロイできます。
- Ansible: RHEL 10 は、Red Hat Ansible Automation Platform との連携を強化し、インフラストラクチャのプロビジョニング、アプリケーションのデプロイ、構成管理を自動化できます。
-
セキュリティとコンプライアンスの統合: RHEL 10 は、セキュリティとコンプライアンスを重視した設計になっており、クラウド環境におけるセキュリティリスクを軽減します。
- SELinux: RHEL 10 は、Mandatory Access Control (MAC) の実装である SELinux を標準で搭載しています。SELinux は、プロセスの権限を制限し、セキュリティ侵害による被害を最小限に抑えます。
- OpenSCAP: RHEL 10 は、OpenSCAP を使用して、システムがセキュリティポリシーに準拠しているかどうかを定期的にチェックできます。
- イメージ署名と検証: RHEL 10 は、コンテナイメージの署名と検証をサポートし、信頼できないソースからのイメージの使用を防ぎます。
-
ハイブリッドクラウド環境の管理機能強化: RHEL 10 は、複数のクラウド環境やオンプレミス環境を統合的に管理できる機能を強化しています。
- Red Hat Insights: Red Hat Insights は、RHEL 環境を継続的に監視し、パフォーマンスの問題、セキュリティ脆弱性、設定エラーなどを検出します。また、Red Hat Insights は、問題を解決するための推奨事項を提供します。
- Red Hat Satellite: Red Hat Satellite は、RHEL システムのパッチ適用、構成管理、プロビジョニングなどを一元的に管理できます。
-
サブスクリプション管理とコスト最適化: RHEL 10 は、クラウド環境におけるサブスクリプション管理を簡素化し、コストを最適化するための機能を提供します。
- Cloud Access: Cloud Access を使用することで、オンプレミスの RHEL サブスクリプションをパブリッククラウド環境で使用できます。
- サブスクリプションマネージャ: サブスクリプションマネージャは、RHEL サブスクリプションの管理、アクティベーション、更新などを一元的に行えます。
- コスト分析: Red Hat Insights は、RHEL の利用状況を分析し、コスト削減のための推奨事項を提供します。
2. AWS における RHEL 10 の活用事例
AWS は、世界で最も広く利用されているクラウドプラットフォームであり、RHEL 10 は AWS 上で様々な用途に利用できます。
-
Amazon EC2 での RHEL 10 の利用: RHEL 10 は、Amazon EC2 の仮想マシンイメージとして提供されており、数クリックで簡単に起動できます。
- ワークロード: ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバー、HPC (High Performance Computing) など、様々なワークロードを RHEL 10 上で実行できます。
- メリット:
- AWS の豊富なサービスとの連携: Amazon S3、Amazon RDS、Amazon DynamoDB など、AWS の様々なサービスと RHEL 10 を組み合わせて利用できます。
- スケーラビリティと柔軟性: AWS の自動スケーリング機能を利用することで、ワークロードの変化に応じて RHEL 10 インスタンスを自動的にスケールアップ/ダウンできます。
- グローバルインフラストラクチャ: AWS のグローバルインフラストラクチャを利用することで、世界中のリージョンで RHEL 10 インスタンスをデプロイできます。
-
Red Hat OpenShift on AWS (ROSA) との連携: ROSA は、Red Hat と AWS が共同でマネージドサービスとして提供する OpenShift プラットフォームです。ROSA を利用することで、Kubernetes の運用管理の負担を軽減し、アプリケーション開発に集中できます。
- RHEL CoreOS: ROSA のノードには、RHEL CoreOS が採用されており、RHEL のセキュリティと信頼性を備えたコンテナプラットフォームを実現します。
- メリット:
- フルマネージド: Red Hat と AWS が OpenShift クラスタのライフサイクル全体を管理します。
- OpenShift の全機能: OpenShift の豊富な機能 (自動スケーリング、ローリングアップデート、自己修復など) を利用できます。
- AWS サービスとの統合: AWS の様々なサービス (Amazon EC2、Amazon S3、Amazon RDS など) と OpenShift クラスタを統合できます。
-
AWS Marketplace での RHEL 10 の提供: RHEL 10 は、AWS Marketplace で提供されており、手軽に RHEL 10 のサブスクリプションを購入できます。
- BYOS (Bring Your Own Subscription): 既存の RHEL サブスクリプションを AWS で利用することもできます。
- メリット:
- 簡単な購入手続き: AWS Marketplace を通じて、RHEL 10 のサブスクリプションを簡単に購入できます。
- 統合された請求: AWS の請求と RHEL のサブスクリプション料金をまとめて管理できます。
-
AWS 上での SAP 環境における RHEL 10: RHEL 10 は、SAP HANA などの SAP 製品の実行をサポートしており、AWS 上で SAP 環境を構築する際に最適なプラットフォームです。
- SAP 認定: RHEL は、SAP によって認定されており、SAP 製品との互換性が保証されています。
- 高可用性: RHEL の高可用性クラスタリング機能を利用することで、SAP 環境の可用性を向上させることができます。
- メリット:
- パフォーマンス: RHEL は、SAP 製品のパフォーマンスを最適化するように設計されています。
- セキュリティ: RHEL は、SAP 環境のセキュリティを強化するための様々な機能を提供します。
- サポート: Red Hat と SAP が共同でサポートを提供します。
-
AWS Lambda での RHEL 10 の利用 (カスタムランタイム): AWS Lambda は、サーバーレスコンピューティングサービスであり、RHEL 10 のカスタムランタイムを利用することで、RHEL 10 上で実行される任意のコードを Lambda 関数として実行できます。
- メリット:
- RHEL のパッケージマネージャの利用: RHEL の yum パッケージマネージャを利用して、Lambda 関数に必要なライブラリやツールをインストールできます。
- カスタムランタイム環境の構築: Lambda 関数の実行環境を自由にカスタマイズできます。
- メリット:
3. Azure における RHEL 10 の活用事例
Azure は、Microsoft が提供するクラウドプラットフォームであり、RHEL 10 は Azure 上で様々な用途に利用できます。
-
Azure Virtual Machines での RHEL 10 の利用: RHEL 10 は、Azure Virtual Machines の仮想マシンイメージとして提供されており、数クリックで簡単に起動できます。
- ワークロード: ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバー、HPC など、様々なワークロードを RHEL 10 上で実行できます。
- メリット:
- Azure の豊富なサービスとの連携: Azure Storage、Azure SQL Database、Azure Cosmos DB など、Azure の様々なサービスと RHEL 10 を組み合わせて利用できます。
- スケーラビリティと柔軟性: Azure の自動スケーリング機能を利用することで、ワークロードの変化に応じて RHEL 10 インスタンスを自動的にスケールアップ/ダウンできます。
- グローバルインフラストラクチャ: Azure のグローバルインフラストラクチャを利用することで、世界中のリージョンで RHEL 10 インスタンスをデプロイできます。
-
Red Hat OpenShift on Azure (ARO) との連携: ARO は、Red Hat と Microsoft が共同でマネージドサービスとして提供する OpenShift プラットフォームです。ARO を利用することで、Kubernetes の運用管理の負担を軽減し、アプリケーション開発に集中できます。
- RHEL CoreOS: ARO のノードには、RHEL CoreOS が採用されており、RHEL のセキュリティと信頼性を備えたコンテナプラットフォームを実現します。
- メリット:
- フルマネージド: Red Hat と Microsoft が OpenShift クラスタのライフサイクル全体を管理します。
- OpenShift の全機能: OpenShift の豊富な機能 (自動スケーリング、ローリングアップデート、自己修復など) を利用できます。
- Azure サービスとの統合: Azure の様々なサービス (Azure Virtual Machines, Azure Storage, Azure Databasesなど) と OpenShift クラスタを統合できます。
-
Azure Marketplace での RHEL 10 の提供: RHEL 10 は、Azure Marketplace で提供されており、手軽に RHEL 10 のサブスクリプションを購入できます。
- BYOS (Bring Your Own Subscription): 既存の RHEL サブスクリプションを Azure で利用することもできます。
- メリット:
- 簡単な購入手続き: Azure Marketplace を通じて、RHEL 10 のサブスクリプションを簡単に購入できます。
- 統合された請求: Azure の請求と RHEL のサブスクリプション料金をまとめて管理できます。
-
Azure 上での SAP 環境における RHEL 10: RHEL 10 は、SAP HANA などの SAP 製品の実行をサポートしており、Azure 上で SAP 環境を構築する際に最適なプラットフォームです。
- SAP 認定: RHEL は、SAP によって認定されており、SAP 製品との互換性が保証されています。
- 高可用性: RHEL の高可用性クラスタリング機能を利用することで、SAP 環境の可用性を向上させることができます。
- メリット:
- パフォーマンス: RHEL は、SAP 製品のパフォーマンスを最適化するように設計されています。
- セキュリティ: RHEL は、SAP 環境のセキュリティを強化するための様々な機能を提供します。
- サポート: Red Hat と SAP が共同でサポートを提供します。
-
Azure Container Apps での RHEL 10 の利用: Azure Container Apps は、サーバーレスコンテナプラットフォームであり、RHEL 10 ベースのコンテナイメージを実行できます。
- メリット:
- RHEL のセキュリティ機能の利用: RHEL のセキュリティ機能 (SELinux など) を活用して、コンテナアプリケーションを安全に実行できます。
- マイクロサービスアーキテクチャの構築: RHEL 10 ベースのマイクロサービスを Azure Container Apps で簡単にデプロイできます。
- メリット:
4. GCP における RHEL 10 の活用事例
GCP は、Google が提供するクラウドプラットフォームであり、RHEL 10 は GCP 上で様々な用途に利用できます。
-
Google Compute Engine での RHEL 10 の利用: RHEL 10 は、Google Compute Engine の仮想マシンイメージとして提供されており、数クリックで簡単に起動できます。
- ワークロード: ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバー、HPC など、様々なワークロードを RHEL 10 上で実行できます。
- メリット:
- GCP の豊富なサービスとの連携: Google Cloud Storage、Google Cloud SQL、Google Cloud Datastore など、GCP の様々なサービスと RHEL 10 を組み合わせて利用できます。
- スケーラビリティと柔軟性: GCP の自動スケーリング機能を利用することで、ワークロードの変化に応じて RHEL 10 インスタンスを自動的にスケールアップ/ダウンできます。
- グローバルインフラストラクチャ: GCP のグローバルインフラストラクチャを利用することで、世界中のリージョンで RHEL 10 インスタンスをデプロイできます。
-
Red Hat OpenShift on Google Cloud (ROSA) との連携: ROSA は、Red Hat と Google が共同でマネージドサービスとして提供する OpenShift プラットフォームです。ROSA を利用することで、Kubernetes の運用管理の負担を軽減し、アプリケーション開発に集中できます。
- RHEL CoreOS: ROSA のノードには、RHEL CoreOS が採用されており、RHEL のセキュリティと信頼性を備えたコンテナプラットフォームを実現します。
- メリット:
- フルマネージド: Red Hat と Google が OpenShift クラスタのライフサイクル全体を管理します。
- OpenShift の全機能: OpenShift の豊富な機能 (自動スケーリング、ローリングアップデート、自己修復など) を利用できます。
- GCP サービスとの統合: GCP の様々なサービス (Google Compute Engine, Google Cloud Storage, Google Kubernetes Engineなど) と OpenShift クラスタを統合できます。
-
Google Cloud Marketplace での RHEL 10 の提供: RHEL 10 は、Google Cloud Marketplace で提供されており、手軽に RHEL 10 のサブスクリプションを購入できます。
- BYOS (Bring Your Own Subscription): 既存の RHEL サブスクリプションを GCP で利用することもできます。
- メリット:
- 簡単な購入手続き: Google Cloud Marketplace を通じて、RHEL 10 のサブスクリプションを簡単に購入できます。
- 統合された請求: GCP の請求と RHEL のサブスクリプション料金をまとめて管理できます。
-
GCP 上での SAP 環境における RHEL 10: RHEL 10 は、SAP HANA などの SAP 製品の実行をサポートしており、GCP 上で SAP 環境を構築する際に最適なプラットフォームです。
- SAP 認定: RHEL は、SAP によって認定されており、SAP 製品との互換性が保証されています。
- 高可用性: RHEL の高可用性クラスタリング機能を利用することで、SAP 環境の可用性を向上させることができます。
- メリット:
- パフォーマンス: RHEL は、SAP 製品のパフォーマンスを最適化するように設計されています。
- セキュリティ: RHEL は、SAP 環境のセキュリティを強化するための様々な機能を提供します。
- サポート: Red Hat と SAP が共同でサポートを提供します。
-
Google Cloud Functions での RHEL 10 の利用 (カスタムランタイム): Google Cloud Functions は、サーバーレスコンピューティングサービスであり、RHEL 10 のカスタムランタイムを利用することで、RHEL 10 上で実行される任意のコードを Cloud Functions として実行できます。
- メリット:
- RHEL のパッケージマネージャの利用: RHEL の yum パッケージマネージャを利用して、Cloud Functions に必要なライブラリやツールをインストールできます。
- カスタムランタイム環境の構築: Cloud Functions の実行環境を自由にカスタマイズできます。
- メリット:
5. RHEL 10 と各クラウドプラットフォーム連携における考慮事項
RHEL 10 を AWS、Azure、GCP などのクラウドプラットフォームで利用する際には、以下の点に注意する必要があります。
-
イメージの最適化とサイズ削減:
- 不要なパッケージの削除: RHEL イメージには、様々なパッケージが含まれていますが、実際に利用するワークロードに必要なパッケージのみをインストールし、不要なパッケージは削除することで、イメージサイズを削減できます。
- イメージの圧縮: RHEL イメージを圧縮することで、イメージの転送時間を短縮できます。
- レイヤーの削減: Dockerfile を使用してコンテナイメージを構築する際には、レイヤー数を減らすことで、イメージサイズを削減できます。
-
自動化とオーケストレーション:
- Ansible の活用: Red Hat Ansible Automation Platform を活用して、RHEL インスタンスのプロビジョニング、構成管理、アプリケーションのデプロイなどを自動化できます。
- Terraform の活用: Terraform を活用して、AWS、Azure、GCP などのクラウドインフラストラクチャをコードで定義し、自動的にプロビジョニングできます。
- Kubernetes の活用: Kubernetes を活用して、コンテナ化されたアプリケーションのスケーリング、デプロイ、管理を自動化できます。
-
監視とロギング:
- Red Hat Insights の活用: Red Hat Insights を活用して、RHEL 環境を継続的に監視し、パフォーマンスの問題、セキュリティ脆弱性、設定エラーなどを検出します。
- CloudWatch (AWS), Azure Monitor, Cloud Logging (GCP) の活用: 各クラウドプラットフォームが提供する監視サービスやロギングサービスを活用して、RHEL インスタンスのパフォーマンスやセキュリティを監視できます。
- ログ集約ツールの利用: Fluentd、Elasticsearch、Kibana などのログ集約ツールを利用して、RHEL インスタンスのログを一元的に管理・分析できます。
-
セキュリティ対策:
- SELinux の有効化: RHEL に標準で搭載されている SELinux を有効化して、プロセスの権限を制限し、セキュリティ侵害による被害を最小限に抑えます。
- ファイアウォールの設定: ファイアウォールを設定して、不要なポートへのアクセスを遮断します。
- 脆弱性スキャンの実施: 定期的に脆弱性スキャンを実施して、セキュリティ脆弱性を早期に発見し、修正します。
- イメージの署名と検証: コンテナイメージの署名と検証を有効化して、信頼できないソースからのイメージの使用を防ぎます。
-
コスト管理:
- RHEL のサブスクリプションモデルの理解: RHEL の様々なサブスクリプションモデルを理解し、ワークロードに最適なサブスクリプションを選択します。
- インスタンスサイズの最適化: ワークロードに必要なリソースに基づいて、適切なインスタンスサイズを選択します。
- 未使用リソースの削除: 使用されていない RHEL インスタンスやストレージなどのリソースを削除して、コストを削減します。
- コスト分析ツールの利用: 各クラウドプラットフォームが提供するコスト分析ツールを利用して、RHEL の利用状況を分析し、コスト削減のための推奨事項を見つけます。
6. まとめと今後の展望
RHEL 10 は、クラウドネイティブなワークロードへの対応を強化し、AWS、Azure、GCP などの主要なクラウドプラットフォームとの連携を深めています。本記事では、RHEL 10 のクラウド連携機能と、各クラウドプラットフォームにおける活用事例を詳細に解説しました。
RHEL 10 をクラウド環境で利用することで、アプリケーション開発の迅速化、インフラストラクチャの管理コスト削減、セキュリティの強化など、様々なメリットが得られます。
今後の展望として、RHEL 10 は、クラウドネイティブテクノロジーの進化に合わせて、さらなるクラウド連携の強化が期待されます。特に、AI/ML ワークロードへの対応、エッジコンピューティングとの連携、サーバーレスアーキテクチャのサポートなどが強化されると考えられます。
RHEL 10 は、クラウド時代におけるエンタープライズ Linux のデファクトスタンダードとしての地位を確立し、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるための重要な役割を担うことになるでしょう。