SQL Server 2022 Express:ダウンロードから初期設定、運用まで

SQL Server 2022 Express: ダウンロードから初期設定、運用までの詳細ガイド

SQL Server 2022 Express は、マイクロソフトが提供する無償のデータベース管理システム (DBMS) です。小規模なアプリケーション開発、学習、あるいは大規模システムの本番環境への移行前の検証環境など、幅広い用途で利用できます。本記事では、SQL Server 2022 Express のダウンロードからインストール、初期設定、基本的な運用までを、詳細な手順と具体的な例を交えて解説します。

目次

  1. SQL Server 2022 Express について
    • 1.1 SQL Server Express の特徴
    • 1.2 制限事項とエディション選択
    • 1.3 システム要件の確認
  2. ダウンロードとインストール
    • 2.1 ダウンロード
    • 2.2 インストール
      • 2.2.1 インストールメディアの起動
      • 2.2.2 インストールの種類選択 (基本/カスタム/メディアのダウンロード)
      • 2.2.3 機能の選択 (データベースエンジン/SQL Server レプリケーション/フルテキスト検索/…)
      • 2.2.4 インスタンス構成 (既定のインスタンス/名前付きインスタンス)
      • 2.2.5 サーバー構成 (サービスアカウント/照合順序)
      • 2.2.6 データベースエンジンの構成 (認証モード/管理者/データディレクトリ/…)
      • 2.2.7 インストールの完了と確認
  3. 初期設定
    • 3.1 SQL Server Management Studio (SSMS) のインストール
    • 3.2 SSMS を使用したサーバーへの接続
    • 3.3 認証モードの確認と変更
    • 3.4 データベースの作成
      • 3.4.1 SSMS を使用したデータベース作成
      • 3.4.2 T-SQL を使用したデータベース作成
    • 3.5 ユーザーの作成と権限付与
      • 3.5.1 SSMS を使用したユーザー作成と権限付与
      • 3.5.2 T-SQL を使用したユーザー作成と権限付与
  4. 基本的な運用
    • 4.1 データベースのバックアップと復元
      • 4.1.1 SSMS を使用したバックアップと復元
      • 4.1.2 T-SQL を使用したバックアップと復元
    • 4.2 データベースのメンテナンス
      • 4.2.1 インデックスの再構築
      • 4.2.2 統計情報の更新
      • 4.2.3 データベースの整合性チェック
    • 4.3 SQL Server Agent の活用
      • 4.3.1 ジョブの作成とスケジュール
      • 4.3.2 アラートの設定
  5. パフォーマンスチューニングの基礎
    • 5.1 インデックスの設計
    • 5.2 クエリの最適化
    • 5.3 ハードウェアリソースの監視
  6. トラブルシューティング
    • 6.1 接続エラーの解決
    • 6.2 リソース不足によるエラーの解決
    • 6.3 その他の一般的なエラーと解決策
  7. まとめと今後の学習

1. SQL Server 2022 Express について

1.1 SQL Server Express の特徴

SQL Server Express は、以下の特徴を持つ無償のデータベース管理システムです。

  • 無償: 商用利用を含む、あらゆる用途で無償で利用できます。
  • 小規模なデータベースに最適: 小規模なアプリケーションやプロジェクトに適しています。
  • 容易な導入: インストールと設定が簡単で、すぐに利用を開始できます。
  • SQL Server の機能をほぼ網羅: 有償版の SQL Server とほぼ同じ機能を備えています。
  • 他の Microsoft 製品との連携: .NET Framework や Visual Studio との連携が容易です。

1.2 制限事項とエディション選択

SQL Server Express には、以下の制限事項があります。

  • データベースサイズ: 各データベースの最大サイズは 10 GB です。
  • メモリ: SQL Server データベース エンジンが使用できる最大メモリは、エディションによって異なります。Express Edition の場合、1.4 GB です。
  • CPU: SQL Server データベース エンジンが使用できる最大 CPU は 4 コアです。
  • Reporting Services: 一部の高度な Reporting Services 機能は利用できません。
  • Analysis Services: Analysis Services は利用できません。

これらの制限を超える要件がある場合は、より上位のエディション (SQL Server Standard や SQL Server Enterprise) の検討が必要になります。

SQL Server 2022 には、Express Edition 以外にも様々なエディションが存在します。主なエディションと特徴は以下の通りです。

  • SQL Server Express: 無償で利用できる基本的なエディション。小規模なアプリケーションや開発環境に最適。
  • SQL Server Web: Web ホスティング事業者向けの低価格なエディション。
  • SQL Server Standard: 中規模の企業向けの標準的なエディション。
  • SQL Server Enterprise: 大規模な企業向けの最高級エディション。高可用性、パフォーマンス、セキュリティ機能を備えています。
  • SQL Server Developer: 開発者向けの無償エディション。本番環境での利用はできません。

1.3 システム要件の確認

SQL Server 2022 Express をインストールする前に、以下のシステム要件を満たしていることを確認してください。

  • オペレーティングシステム: Windows 10 以降 (64 ビット版) または Windows Server 2016 以降
  • プロセッサ: 1.4 GHz 以上のプロセッサ (2 GHz 以上推奨)
  • メモリ: 2 GB 以上の RAM (4 GB 以上推奨)
  • ハードディスク空き容量: 6 GB 以上の空き容量
  • .NET Framework: .NET Framework 4.7.2 以降

2. ダウンロードとインストール

2.1 ダウンロード

SQL Server 2022 Express は、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードできます。以下の手順でダウンロードしてください。

  1. Web ブラウザを開き、SQL Server 2022 Express のダウンロードページにアクセスします。
    (例: https://www.microsoft.com/ja-jp/sql-server/sql-server-downloads)
  2. 「Express」セクションを見つけ、「今すぐダウンロード」ボタンをクリックします。
  3. ダウンロードが開始されます。ダウンロードしたファイル (通常は SQLEXPR_x64_JPN.exe のような名前) を保存します。

2.2 インストール

ダウンロードしたファイルを実行して、SQL Server 2022 Express のインストールを開始します。

2.2.1 インストールメディアの起動

ダウンロードした実行ファイル (SQLEXPR_x64_JPN.exe など) をダブルクリックします。セキュリティ警告が表示された場合は、「実行」をクリックします。

2.2.2 インストールの種類選択 (基本/カスタム/メディアのダウンロード)

インストーラが起動すると、インストールの種類を選択する画面が表示されます。

  • 基本: 最も簡単なインストール方法で、既定の設定で SQL Server Express をインストールします。
  • カスタム: 詳細な設定を行うことができます。データベースの場所や認証モードなどを指定できます。
  • メディアのダウンロード: インストールに必要なファイルをダウンロードして、後でオフラインでインストールできます。

ここでは、「カスタム」を選択して、詳細な設定を行う方法を説明します。「カスタム」を選択し、「インストール」ボタンをクリックします。

2.2.3 機能の選択 (データベースエンジン/SQL Server レプリケーション/フルテキスト検索/…)

次の画面で、インストールする機能を選択します。通常は、「データベースエンジンサービス」と「SQL Server レプリケーション」を選択します。必要に応じて、「フルテキスト検索」や「Data Quality Services」などの機能も選択できます。

  • データベースエンジンサービス: SQL Server の主要な機能。データベースの作成、管理、クエリの実行などを担当します。
  • SQL Server レプリケーション: 複数の SQL Server インスタンス間でデータを同期するための機能。
  • フルテキスト検索: テキストデータに対する高速な検索機能。
  • Data Quality Services: データの品質を向上させるための機能。
  • Integration Services: データ統合のための機能。
  • Reporting Services: レポート作成のための機能。
  • Analysis Services: データ分析のための機能。
  • Machine Learning Services (In-Database): SQL Server 内で機械学習モデルを実行するための機能。

必要な機能を選択したら、「次へ」ボタンをクリックします。

2.2.4 インスタンス構成 (既定のインスタンス/名前付きインスタンス)

次の画面で、インスタンス構成を選択します。

  • 既定のインスタンス: コンピュータに SQL Server がインストールされていない場合は、通常は既定のインスタンスを選択します。この場合、SQL Server に接続する際には、サーバー名のみを指定します。
  • 名前付きインスタンス: コンピュータに複数の SQL Server インスタンスをインストールする場合は、名前付きインスタンスを選択します。この場合、SQL Server に接続する際には、サーバー名に加えてインスタンス名も指定します (例: ServerName\InstanceName)。

ここでは、「名前付きインスタンス」を選択し、インスタンス名として SQLEXPRESS2022 を指定します。「次へ」ボタンをクリックします。

2.2.5 サーバー構成 (サービスアカウント/照合順序)

次の画面で、サーバー構成を設定します。

  • サービスアカウント: SQL Server のサービスを実行するアカウントを指定します。通常は、既定の「NT SERVICE\MSSQL$SQLEXPRESS2022」を使用します。
  • 照合順序: データベースで使用する文字コードやソート順序を指定します。通常は、既定の「Japanese_CI_AS」を使用します。

ここでは、既定の設定のまま、「次へ」ボタンをクリックします。

2.2.6 データベースエンジンの構成 (認証モード/管理者/データディレクトリ/…)

次の画面で、データベースエンジンの構成を設定します。

  • 認証モード: SQL Server への接続に使用する認証方法を選択します。
    • Windows 認証モード: Windows ユーザーアカウントを使用して認証します。
    • 混合モード (SQL Server 認証と Windows 認証): SQL Server 固有のユーザーアカウントとパスワード、または Windows ユーザーアカウントを使用して認証します。

ここでは、「混合モード (SQL Server 認証と Windows 認証)」を選択し、sa (System Administrator) ユーザーのパスワードを設定します。sa ユーザーは、SQL Server の管理者権限を持つ特別なユーザーです。強力なパスワードを設定してください。

  • SQL Server 管理者の指定: SQL Server の管理者権限を持つ Windows ユーザーまたはグループを指定します。「現在のユーザーの追加」ボタンをクリックすると、現在ログインしているユーザーが管理者として追加されます。
  • データディレクトリ: データベースファイルを保存する場所を指定します。既定の場所を使用することも、カスタムの場所を指定することもできます。
  • TempDB ディレクトリ: 一時的なデータを保存する場所を指定します。既定の場所を使用することも、カスタムの場所を指定することもできます。

必要な設定を入力したら、「次へ」ボタンをクリックします。

2.2.7 インストールの完了と確認

インストーラが自動的に構成を適用し、SQL Server 2022 Express をインストールします。インストールには数分かかる場合があります。インストールが完了すると、「完了」画面が表示されます。「閉じる」ボタンをクリックして、インストーラを閉じます。

インストールが正常に完了したことを確認するために、SQL Server サービスが起動していることを確認します。Windows のサービスマネージャーを開き ( services.msc を実行)、SQL Server (SQLEXPRESS2022) という名前のサービスが実行中であることを確認してください。

3. 初期設定

SQL Server 2022 Express のインストールが完了したら、初期設定を行います。

3.1 SQL Server Management Studio (SSMS) のインストール

SQL Server Management Studio (SSMS) は、SQL Server を管理するためのGUIツールです。SSMS を使用して、データベースの作成、テーブルの作成、クエリの実行などを行うことができます。

SSMS は、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードできます。以下の手順でダウンロードしてください。

  1. Web ブラウザを開き、SSMS のダウンロードページにアクセスします。
    (例: https://learn.microsoft.com/ja-jp/sql/ssms/download-sql-server-management-studio-ssms?view=sql-server-ver16)
  2. 最新版の SSMS をダウンロードします。
  3. ダウンロードしたファイルを実行して、SSMS をインストールします。

SSMS のインストール手順は、通常の Windows アプリケーションのインストールと同じです。画面の指示に従ってインストールを進めてください。

3.2 SSMS を使用したサーバーへの接続

SSMS のインストールが完了したら、SSMS を起動し、SQL Server 2022 Express インスタンスに接続します。

  1. Windows のスタートメニューから「Microsoft SQL Server Tools 19」 (SSMS のバージョンによって異なります) を開き、「Microsoft SQL Server Management Studio 19」をクリックします。
  2. SSMS が起動したら、「サーバーへの接続」ダイアログが表示されます。
  3. 「サーバーの種類」で「データベースエンジン」を選択します。
  4. 「サーバー名」に、SQL Server 2022 Express インスタンスの名前を入力します。名前付きインスタンスを選択した場合は、「ServerName\SQLEXPRESS2022」のように入力します。既定のインスタンスを選択した場合は、「.」または「(local)」と入力します。
  5. 「認証」で、使用する認証方法を選択します。
    • Windows 認証: Windows ユーザーアカウントを使用して認証します。
    • SQL Server 認証: SQL Server 固有のユーザーアカウントとパスワードを使用して認証します。sa ユーザーを使用する場合は、SQL Server 認証を選択し、sa ユーザー名とパスワードを入力します。
  6. 「接続」ボタンをクリックします。

SSMS が SQL Server 2022 Express インスタンスに正常に接続されると、オブジェクトエクスプローラーにデータベースやセキュリティなどのノードが表示されます。

3.3 認証モードの確認と変更

SQL Server の認証モードは、SSMS を使用して確認および変更できます。

  1. オブジェクトエクスプローラーで、サーバーを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
  2. 「セキュリティ」ページに移動します。
  3. 「サーバー認証」セクションで、現在の認証モードが表示されます。
  4. 認証モードを変更するには、「SQL Server 認証と Windows 認証モード」または「Windows 認証モードのみ」を選択し、「OK」ボタンをクリックします。
  5. 認証モードを変更した場合、SQL Server サービスを再起動する必要があります。サービスマネージャーで SQL Server (SQLEXPRESS2022) サービスを再起動してください。

3.4 データベースの作成

SQL Server 2022 Express でデータベースを作成する方法は、SSMS を使用する方法と T-SQL を使用する方法があります。

3.4.1 SSMS を使用したデータベース作成

  1. オブジェクトエクスプローラーで、「データベース」ノードを右クリックし、「新しいデータベース」を選択します。
  2. 「新しいデータベース」ダイアログが表示されます。
  3. 「データベース名」に、作成するデータベースの名前を入力します (例: MyDatabase)。
  4. 必要に応じて、「オプション」ページで、データベースのサイズやファイルの場所などの詳細設定を変更します。
  5. 「OK」ボタンをクリックします。

3.4.2 T-SQL を使用したデータベース作成

クエリウィンドウを開き (SSMS のツールバーにある「新しいクエリ」ボタンをクリック)、以下の T-SQL ステートメントを入力して実行します。

sql
CREATE DATABASE MyDatabase;
GO

このステートメントを実行すると、MyDatabase という名前のデータベースが作成されます。

3.5 ユーザーの作成と権限付与

SQL Server 2022 Express でユーザーを作成し、データベースへのアクセス権限を付与する方法は、SSMS を使用する方法と T-SQL を使用する方法があります。

3.5.1 SSMS を使用したユーザー作成と権限付与

  1. オブジェクトエクスプローラーで、「セキュリティ」ノードを展開し、「ログイン」ノードを右クリックし、「新しいログイン」を選択します。
  2. 「ログイン – 新規」ダイアログが表示されます。
  3. 「ログイン名」に、作成するユーザーのログイン名を入力します (例: MyUser)。
  4. 「SQL Server 認証」を選択し、パスワードを設定します。
  5. 「サーバーロール」ページに移動し、必要なサーバーロールを選択します。通常は、public ロールのみを選択します。
  6. 「ユーザーマッピング」ページに移動し、ユーザーにアクセス権限を付与するデータベースを選択します。
  7. 選択したデータベースの「データベースロールメンバシップ」で、必要なデータベースロールを選択します。db_datareader ロールはデータの読み取り権限、db_datawriter ロールはデータの書き込み権限、db_owner ロールはデータベースの所有者権限を付与します。
  8. 「OK」ボタンをクリックします。

3.5.2 T-SQL を使用したユーザー作成と権限付与

クエリウィンドウを開き、以下の T-SQL ステートメントを入力して実行します。

“`sql
— ログインの作成
CREATE LOGIN MyUser WITH PASSWORD = ‘MyPassword’;
GO

— ユーザーの作成
USE MyDatabase;
GO
CREATE USER MyUser FOR LOGIN MyUser;
GO

— 権限の付与 (SELECT 権限)
GRANT SELECT ON dbo.MyTable TO MyUser; — MyTable はテーブル名
GO
“`

このステートメントは、以下の処理を行います。

  1. MyUser というログインを、パスワード MyPassword で作成します。
  2. MyDatabase データベースに、MyUser というユーザーを作成し、作成したログインに関連付けます。
  3. MyDatabase データベースの MyTable テーブルに対する SELECT 権限を MyUser に付与します。

4. 基本的な運用

SQL Server 2022 Express の基本的な運用について説明します。

4.1 データベースのバックアップと復元

データベースのバックアップは、データの損失を防ぐために非常に重要です。定期的にデータベースのバックアップを作成し、万が一の障害に備えてください。

4.1.1 SSMS を使用したバックアップと復元

  • バックアップ:

    1. オブジェクトエクスプローラーで、バックアップするデータベースを右クリックし、「タスク」、「バックアップ」を選択します。
    2. 「データベースのバックアップ」ダイアログが表示されます。
    3. 「バックアップの種類」で、「完全」または「差分」を選択します。
    4. 「バックアップ先」で、バックアップファイルの保存先を指定します。
    5. 「OK」ボタンをクリックします。
  • 復元:

    1. オブジェクトエクスプローラーで、「データベース」ノードを右クリックし、「データベースの復元」を選択します。
    2. 「データベースの復元」ダイアログが表示されます。
    3. 「ソース」で、「デバイス」を選択し、バックアップファイルを選択します。
    4. 「データベース」で、復元するデータベースの名前を指定します。
    5. 「オプション」ページで、復元オプションを設定します。
    6. 「OK」ボタンをクリックします。

4.1.2 T-SQL を使用したバックアップと復元

  • バックアップ:

“`sql
— 完全バックアップ
BACKUP DATABASE MyDatabase
TO DISK = ‘C:\Backup\MyDatabase.bak’;
GO

— 差分バックアップ
BACKUP DATABASE MyDatabase
TO DISK = ‘C:\Backup\MyDatabase_Diff.bak’
WITH DIFFERENTIAL;
GO
“`

  • 復元:

sql
RESTORE DATABASE MyDatabase
FROM DISK = 'C:\Backup\MyDatabase.bak'
WITH REPLACE; -- データベースが存在する場合は上書きします
GO

4.2 データベースのメンテナンス

データベースのパフォーマンスを維持するために、定期的なメンテナンスが必要です。

4.2.1 インデックスの再構築

インデックスが断片化すると、クエリのパフォーマンスが低下する可能性があります。定期的にインデックスを再構築して、断片化を解消します。

sql
ALTER INDEX ALL ON MyTable REBUILD;
GO

4.2.2 統計情報の更新

SQL Server は、統計情報を使用してクエリの実行プランを最適化します。古い統計情報は、最適な実行プランの選択を妨げる可能性があります。定期的に統計情報を更新します。

sql
UPDATE STATISTICS MyTable;
GO

4.2.3 データベースの整合性チェック

データベースの整合性をチェックして、エラーや破損がないことを確認します。

sql
DBCC CHECKDB (MyDatabase);
GO

4.3 SQL Server Agent の活用

SQL Server Agent は、SQL Server のジョブのスケジュール実行やアラートの監視を行うための機能です。

4.3.1 ジョブの作成とスケジュール

定期的に実行する必要のあるタスク (バックアップ、メンテナンスなど) をジョブとして作成し、スケジュールを設定します。

  1. オブジェクトエクスプローラーで、「SQL Server Agent」ノードを展開し、「ジョブ」ノードを右クリックし、「新しいジョブ」を選択します。
  2. 「新しいジョブ」ダイアログが表示されます。
  3. 「全般」ページで、ジョブの名前と説明を入力します。
  4. 「ステップ」ページに移動し、ジョブのステップを追加します。各ステップは、実行する T-SQL スクリプトまたはオペレーティングシステムのコマンドを指定します。
  5. 「スケジュール」ページに移動し、ジョブの実行スケジュールを設定します。

4.3.2 アラートの設定

特定のイベントが発生した場合に通知を受け取るように、アラートを設定します。

  1. オブジェクトエクスプローラーで、「SQL Server Agent」ノードを展開し、「アラート」ノードを右クリックし、「新しいアラート」を選択します。
  2. 「新しいアラート」ダイアログが表示されます。
  3. 「全般」ページで、アラートの名前とタイプを入力します。
  4. 「応答」ページに移動し、アラートが発生した場合のアクションを設定します (例: 電子メールの送信)。

5. パフォーマンスチューニングの基礎

SQL Server のパフォーマンスを向上させるための基本的なテクニックについて説明します。

5.1 インデックスの設計

適切なインデックスを作成することで、クエリのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。クエリで頻繁に使用される列にインデックスを作成します。

sql
CREATE INDEX IX_MyTable_Column1 ON MyTable (Column1);
GO

5.2 クエリの最適化

クエリの実行プランを確認し、ボトルネックとなっている箇所を特定して最適化します。SQL Server Management Studio の「実行プランの表示」機能を使用すると、クエリの実行プランをグラフィカルに表示できます。

5.3 ハードウェアリソースの監視

CPU 使用率、メモリ使用量、ディスク I/O などを監視し、ハードウェアリソースが不足していないか確認します。Windows のパフォーマンスモニターを使用すると、これらのリソースの使用状況をリアルタイムで監視できます。

6. トラブルシューティング

SQL Server 2022 Express の使用中に発生する可能性のある一般的な問題とその解決策について説明します。

6.1 接続エラーの解決

SQL Server に接続できない場合は、以下の点を確認してください。

  • SQL Server サービスが起動しているか。
  • SQL Server のポート (既定では 1433) がファイアウォールでブロックされていないか。
  • 認証モードが正しく設定されているか。
  • ユーザーアカウントとパスワードが正しいか。
  • サーバー名が正しいか (名前付きインスタンスの場合はインスタンス名を含む)。

6.2 リソース不足によるエラーの解決

データベースのサイズが 10 GB を超えた場合や、メモリが不足している場合は、エラーが発生する可能性があります。SQL Server Express の制限事項を確認し、必要に応じてより上位のエディションへの移行を検討してください。

6.3 その他の一般的なエラーと解決策

  • エラーログを確認する: SQL Server のエラーログには、エラーに関する詳細な情報が記録されています。エラーログを確認して、原因を特定し、解決策を見つけてください。
  • オンラインドキュメントを参照する: Microsoft のオンラインドキュメントには、SQL Server に関する詳細な情報が掲載されています。
  • コミュニティフォーラムで質問する: SQL Server のコミュニティフォーラムで質問すると、他のユーザーからアドバイスや解決策を得られる可能性があります。

7. まとめと今後の学習

本記事では、SQL Server 2022 Express のダウンロードからインストール、初期設定、基本的な運用までを詳細に解説しました。SQL Server 2022 Express は、小規模なアプリケーション開発や学習に最適な無償のデータベース管理システムです。

今後の学習としては、以下のトピックについて学習することをお勧めします。

  • T-SQL の詳細な構文と機能
  • データベースの設計と正規化
  • インデックスの設計と最適化
  • クエリの最適化
  • ストアドプロシージャ、トリガー、ユーザー定義関数の作成
  • 高可用性とディザスタリカバリ

SQL Server は非常に強力で柔軟なデータベース管理システムであり、その機能を最大限に活用するためには継続的な学習が必要です。

本記事が、SQL Server 2022 Express の利用開始の一助となれば幸いです。

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