Ubuntu ホスト名の変更方法:初心者向け完全ガイド


Ubuntuホスト名の変更方法:初心者向け完全ガイド

Ubuntuを含むLinuxシステムにおいて、ホスト名とは、ネットワーク上であなたのコンピュータを識別するための名前です。ホスト名は、ネットワーク内の他のコンピュータと通信したり、サーバーとして動作したりする際に重要な役割を果たします。Ubuntuのデフォルトホスト名は通常、自動生成された文字列ですが、自分でわかりやすい名前に変更することができます。

このガイドでは、Ubuntuのホスト名を変更するためのすべての必要な手順を、初心者にも理解しやすいように説明します。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を使う方法と、CLI(コマンドラインインターフェース)を使う方法の両方を網羅し、変更を有効にする方法、起こりうる問題点とトラブルシューティングについても解説します。

目次

  1. ホスト名とは何か?なぜ変更する必要があるのか?
  2. ホスト名の種類:一時的なホスト名と永続的なホスト名
  3. ホスト名変更前の準備:確認事項と注意点
  4. GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を使ったホスト名の変更
    • 4.1. 設定アプリを使う方法
    • 4.2. Ubuntu Software Centerを使う方法
  5. CLI(コマンドラインインターフェース)を使ったホスト名の変更
    • 5.1. hostnamectlコマンドを使う方法
    • 5.2. /etc/hostnameファイルを編集する方法
    • 5.3. /etc/hostsファイルを編集する方法
  6. 変更を有効にする:再起動 vs. ネットワークサービス再起動
  7. 変更されたホスト名の確認
  8. ホスト名変更時の注意点とトラブルシューティング
    • 8.1. ホスト名の命名規則
    • 8.2. ネットワークサービスへの影響
    • 8.3. DNSサーバーへの登録
    • 8.4. SSH接続の問題
    • 8.5. その他一般的な問題と解決策
  9. 実践的な例:具体的なシナリオと変更手順
    • 9.1. ローカルネットワークでのホスト名変更
    • 9.2. サーバー環境でのホスト名変更
    • 9.3. Dockerコンテナ内のホスト名変更
  10. セキュリティに関する考慮事項
  11. まとめ

1. ホスト名とは何か?なぜ変更する必要があるのか?

ホスト名とは、ネットワーク上でコンピュータを識別するために使用される名前です。これは、インターネットやローカルネットワーク上の他のデバイスがあなたのコンピュータを見つける方法です。IPアドレスが住所だとすれば、ホスト名はそれに相当する名前のようなものです。

ホスト名を変更する必要がある理由はいくつかあります。

  • 識別の容易さ: デフォルトのホスト名は通常、意味のないランダムな文字列です。わかりやすいホスト名に変更することで、ネットワーク上のコンピュータを容易に識別できるようになります。例えば、「webserver1」や「desktop-user」のような名前は、デフォルトの「ubuntu-abcdefg」よりもずっとわかりやすいでしょう。
  • ネットワーク管理: ネットワーク管理者は、ネットワーク内のすべてのコンピュータを管理する必要があります。わかりやすいホスト名があれば、管理作業が大幅に簡素化されます。
  • アプリケーション要件: 一部のアプリケーションは、特定のホスト名を必要とする場合があります。例えば、データベースサーバーやウェブサーバーなど、特定の役割を担うコンピュータには、適切なホスト名を設定する必要があります。
  • セキュリティ: ホスト名を使って、ネットワーク上のコンピュータへのアクセスを制御することができます。
  • 個人的な好み: シンプルに、自分のコンピュータに好きな名前を付けたい場合もあります。

2. ホスト名の種類:一時的なホスト名と永続的なホスト名

Ubuntu (および Linux システム全般) には、主に2種類のホスト名があります。

  • 一時的なホスト名 (Transient hostname): これは、システムの再起動後にリセットされるホスト名です。一時的なホスト名は、通常、DHCPサーバーによって割り当てられるか、hostnameコマンドを使って一時的に設定されます。
  • 永続的なホスト名 (Static hostname): これは、システムの再起動後も保持されるホスト名です。永続的なホスト名は、通常、設定ファイルに保存され、システムの起動時に読み込まれます。

ほとんどの場合、永続的なホスト名を変更する必要があります。一時的なホスト名だけを変更しても、再起動すると元の名前に戻ってしまうため、意味がありません。

3. ホスト名変更前の準備:確認事項と注意点

ホスト名を変更する前に、いくつかの点を確認しておく必要があります。

  • 既存のホスト名を確認: 現在のホスト名を確認するには、ターミナルでhostnameコマンドを実行します。また、hostnamectl statusコマンドを実行すると、より詳細な情報が表示されます。
  • 命名規則を確認: ホスト名の命名規則に従っていることを確認してください。ホスト名は、通常、ASCII文字(a-z, A-Z, 0-9)とハイフン(-)のみを使用できます。また、ホスト名の最初の文字は英字でなければならず、最後の文字は英字または数字でなければなりません。アンダースコア (_) は使用を避けるべきです。
  • ネットワークへの影響を考慮: ホスト名を変更すると、ネットワーク上の他のコンピュータに影響を与える可能性があります。特に、他のコンピュータがホスト名を使ってあなたのコンピュータにアクセスしている場合は注意が必要です。
  • DNSサーバーへの登録を検討: あなたのコンピュータが、他のコンピュータからホスト名を使ってアクセスされる必要がある場合は、DNSサーバーに新しいホスト名を登録する必要があります。
  • バックアップを作成: ホスト名の変更中に問題が発生した場合に備えて、重要な設定ファイルのバックアップを作成しておくことをお勧めします。具体的には、/etc/hostname/etc/hosts ファイルをバックアップしておくと安心です。
  • 管理者権限: ホスト名を変更するには、管理者権限が必要です。sudo コマンドを使用するか、rootユーザーとしてログインする必要があります。

4. GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を使ったホスト名の変更

GUIを使ってホスト名を変更する方法は、コマンドラインに慣れていないユーザーにとって簡単な方法です。

4.1. 設定アプリを使う方法

Ubuntuには、システムのさまざまな設定を管理するための標準的な設定アプリが付属しています。このアプリを使って、ホスト名を変更できます。

  1. 設定アプリを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「設定」と入力して設定アプリを開きます。または、画面右上のシステムメニューから「設定」を選択することもできます。
  2. 「詳細」または「情報」セクションに移動: 設定アプリの左側のメニューから、「詳細」または「情報」というセクションを探してクリックします。Ubuntuのバージョンによって、表示されるテキストが異なる場合があります。
  3. 「デバイス名」または「コンピュータ名」を変更: 「詳細」または「情報」セクションに、「デバイス名」または「コンピュータ名」という項目があるはずです。現在のホスト名が表示されているテキストボックスをクリックして、新しいホスト名を入力します。
  4. 変更を適用: 新しいホスト名を入力したら、ウィンドウを閉じるか、別のセクションに移動することで、変更が自動的に保存される場合があります。場合によっては、「適用」または「変更」ボタンをクリックする必要があるかもしれません。
  5. 再起動: ホスト名が正常に変更されたことを確認するために、システムを再起動します。

4.2. Ubuntu Software Centerを使う方法

一部のバージョンのUbuntuでは、Ubuntu Software Centerを使ってホスト名を変更できる場合があります。

  1. Ubuntu Software Centerを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「Ubuntu Software Center」と入力して開きます。
  2. 「システムツール」を検索: Ubuntu Software Centerの検索バーに「システムツール」と入力して検索します。
  3. 「システム設定」または類似のツールをインストール: 検索結果から、「システム設定」またはそれに類似するシステム管理ツールを見つけてインストールします。
  4. インストールしたツールからホスト名を変更: インストールしたシステム管理ツールを開き、ホスト名を変更するオプションを探します。手順は、ツールによって異なる場合があります。

注意: Ubuntu Software Centerを使ってホスト名を変更する方法は、一部のバージョンでのみ利用可能です。また、インストールするツールの信頼性を確認することを忘れないでください。

5. CLI(コマンドラインインターフェース)を使ったホスト名の変更

CLIを使ってホスト名を変更する方法は、より柔軟性があり、技術的な知識を持つユーザーにとって好ましい方法です。

5.1. hostnamectlコマンドを使う方法

hostnamectl コマンドは、systemd システムで使用されるホスト名を管理するためのコマンドです。Ubuntu 16.04 以降では、このコマンドが標準的に使用されています。

  1. ターミナルを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「ターミナル」と入力してターミナルアプリを開きます。
  2. hostnamectlコマンドを実行: 次のコマンドをターミナルに入力して実行します。[新しいホスト名] の部分は、実際に設定したいホスト名に置き換えてください。

    bash
    sudo hostnamectl set-hostname [新しいホスト名]

    例:

    bash
    sudo hostnamectl set-hostname mynewserver

  3. パスワードを入力: sudo コマンドを使用しているため、パスワードの入力を求められます。パスワードを入力して Enter キーを押します。

  4. 変更を有効にする: 変更を有効にするために、システムを再起動するか、ネットワークサービスを再起動します(後述)。

5.2. /etc/hostnameファイルを編集する方法

/etc/hostname ファイルは、永続的なホスト名を保存するために使用されるテキストファイルです。このファイルを編集することで、ホスト名を変更できます。

  1. ターミナルを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「ターミナル」と入力してターミナルアプリを開きます。
  2. /etc/hostnameファイルを編集: 次のコマンドをターミナルに入力して実行します。[新しいホスト名] の部分は、実際に設定したいホスト名に置き換えてください。

    bash
    sudo nano /etc/hostname

    このコマンドは、nano テキストエディタを使って /etc/hostname ファイルを開きます。
    もし nano がインストールされていない場合は、代わりに sudo vi /etc/hostname を使用できます。
    3. ホスト名を変更: ファイル内の既存のホスト名を削除し、新しいホスト名を入力します。
    4. ファイルを保存して閉じる: nano を使用している場合は、Ctrl + X を押してファイルを閉じます。変更を保存するかどうかを尋ねられたら、Y を押して Enter キーを押します。vi を使用している場合は、:wq と入力して Enter キーを押します。
    5. 変更を有効にする: 変更を有効にするために、システムを再起動するか、ネットワークサービスを再起動します(後述)。

5.3. /etc/hostsファイルを編集する方法

/etc/hosts ファイルは、ホスト名とIPアドレスのマッピングを保存するために使用されるテキストファイルです。このファイルを編集して、ローカルネットワーク内でホスト名を解決することができます。

  1. ターミナルを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「ターミナル」と入力してターミナルアプリを開きます。
  2. /etc/hostsファイルを編集: 次のコマンドをターミナルに入力して実行します。

    bash
    sudo nano /etc/hosts

    このコマンドは、nano テキストエディタを使って /etc/hosts ファイルを開きます。
    3. ホスト名のマッピングを変更: ファイル内で、現在のホスト名が記述されている行を探し、ホスト名を新しいホスト名に変更します。通常、127.0.0.1 (localhost) の行と、あなたのコンピュータのIPアドレスの行を編集する必要があります。

    例:

    127.0.0.1 localhost
    127.0.1.1 旧ホスト名

    を以下のように変更します。

    127.0.0.1 localhost
    127.0.1.1 新しいホスト名

    127.0.1.1 は、システムの実際のIPアドレスに置き換えてください)
    4. ファイルを保存して閉じる: nano を使用している場合は、Ctrl + X を押してファイルを閉じます。変更を保存するかどうかを尋ねられたら、Y を押して Enter キーを押します。vi を使用している場合は、:wq と入力して Enter キーを押します。
    5. 変更を有効にする: 変更を有効にするために、システムを再起動するか、ネットワークサービスを再起動します(後述)。

重要: /etc/hosts ファイルの編集は、ローカルネットワーク内でのホスト名解決にのみ影響します。インターネット上のホスト名解決には、DNSサーバーが必要です。

6. 変更を有効にする:再起動 vs. ネットワークサービス再起動

ホスト名を変更した後、変更を有効にするには、システムを再起動するか、ネットワークサービスを再起動する必要があります。

  • 再起動: 最も簡単な方法は、システム全体を再起動することです。これにより、すべてのサービスが再起動され、新しいホスト名が適用されます。

    bash
    sudo reboot

  • ネットワークサービス再起動: システム全体を再起動せずに、ネットワークサービスだけを再起動することもできます。これにより、再起動にかかる時間を短縮できます。ただし、一部のアプリケーションは、新しいホスト名を認識するために再起動が必要な場合があります。

    ネットワークサービスを再起動するコマンドは、Ubuntu のバージョンによって異なる場合があります。

    • Ubuntu 16.04 以降:

      bash
      sudo systemctl restart systemd-networkd
      sudo systemctl restart networking

      * Ubuntu 14.04 以前:

      bash
      sudo service networking restart

推奨: 問題が発生する可能性を最小限に抑えるために、最初にネットワークサービスの再起動を試み、それでも問題が解決しない場合は、システムを再起動することをお勧めします。

7. 変更されたホスト名の確認

ホスト名を変更した後、変更が正常に適用されたことを確認する必要があります。

  1. ターミナルを開く: 画面左下の「Show Applications」アイコンをクリックし、「ターミナル」と入力してターミナルアプリを開きます。
  2. hostnameコマンドを実行: 次のコマンドをターミナルに入力して実行します。

    bash
    hostname

    このコマンドは、現在のホスト名を表示します。表示されたホスト名が、あなたが設定した新しいホスト名と一致することを確認してください。
    3. hostnamectl statusコマンドを実行: より詳細な情報を確認するには、次のコマンドを実行します。

    bash
    hostnamectl status

    このコマンドは、一時的なホスト名、静的なホスト名、Pretty hostname など、ホスト名に関する詳細な情報を表示します。静的なホスト名が、あなたが設定した新しいホスト名と一致することを確認してください。
    4. 他のコンピュータからpingコマンドを実行: ローカルネットワーク内の別のコンピュータから、新しいホスト名を使って ping コマンドを実行してみます。

    bash
    ping 新しいホスト名

    ping コマンドが正常に動作すれば、ネットワーク上で新しいホスト名が正しく解決されていることを意味します。

8. ホスト名変更時の注意点とトラブルシューティング

ホスト名の変更は比較的簡単な作業ですが、いくつかの注意点と潜在的な問題点があります。

8.1. ホスト名の命名規則

ホスト名を決定する際には、以下の命名規則に従う必要があります。

  • ホスト名は、1文字以上255文字以下にする必要があります。
  • ホスト名は、ASCII文字(a-z, A-Z, 0-9)とハイフン(-)のみを使用できます。
  • ホスト名の最初の文字は英字でなければならず、最後の文字は英字または数字でなければなりません。
  • アンダースコア (_) は使用を避けるべきです。
  • ホスト名は、大文字と小文字を区別しません。ただし、一貫性を保つために、すべて小文字を使用することをお勧めします。
  • ホスト名は、ネットワーク内で一意である必要があります。同じネットワーク内に同じホスト名を持つコンピュータが複数存在すると、名前解決の問題が発生する可能性があります。

8.2. ネットワークサービスへの影響

ホスト名を変更すると、ネットワークサービスに影響を与える可能性があります。特に、以下のサービスはホスト名に依存している場合があります。

  • SSH: SSH は、ホスト名を使ってコンピュータに接続します。ホスト名を変更した場合は、SSH クライアントの設定を更新する必要がある場合があります。
  • ウェブサーバー: ウェブサーバーは、ホスト名を使ってウェブサイトをホストします。ホスト名を変更した場合は、ウェブサーバーの設定を更新する必要があります。
  • メールサーバー: メールサーバーは、ホスト名を使ってメールを送信および受信します。ホスト名を変更した場合は、メールサーバーの設定を更新する必要があります。
  • データベースサーバー: データベースサーバーは、ホスト名を使ってクライアントからの接続を受け入れます。ホスト名を変更した場合は、データベースサーバーの設定を更新する必要

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