RivaTuner Statistics Server (RTSS) 完全ガイド:ゲーマー必須のオーバーレイ表示と高度な制御でパフォーマンスを最大限に引き出す
ゲーミングPCのパフォーマンスを最大限に引き出し、ゲーム体験を向上させるためには、ハードウェアの状態をリアルタイムで監視し、必要に応じて調整することが重要です。そんな時に役立つのが、RivaTuner Statistics Server(以下、RTSS)です。RTSSは、ハードウェアモニターリング、フレームレート制限、Direct3DやOpenGLアプリケーションのパフォーマンス調整など、多岐にわたる機能を備えた強力なツールです。
この記事では、RTSSの概要から、インストール、基本的な使い方、高度な設定、そしてメリット・デメリットまで、徹底的に解説します。RTSSを使いこなして、あなたのゲーミングPCを最大限に活用しましょう。
目次
- RivaTuner Statistics Server (RTSS) とは?
- RTSSの主な機能
- RTSSのインストール方法
- RTSSの基本的な使い方
- ハードウェアモニターリングの設定
- オーバーレイ表示の設定
- フレームレート制限の設定
- RTSSの高度な使い方
- Direct3DとOpenGLのフック設定
- アプリケーションごとのプロファイル設定
- ビデオキャプチャ機能
- モニタリンググラフのカスタマイズ
- RTSSを使用するメリット
- RTSSを使用するデメリット
- よくある質問 (FAQ)
- まとめ
1. RivaTuner Statistics Server (RTSS) とは?
RivaTuner Statistics Server (RTSS) は、ロシアのプログラマーAlexey Nicolaychuk氏によって開発された、フリーウェアのハードウェアモニターリングおよびオーバーレイ表示ソフトウェアです。もともとはRivaTunerというグラフィックカードのオーバークロックツールの一部として開発されましたが、そのオーバーレイ表示機能が非常に強力であったため、独立したソフトウェアとして発展しました。
RTSSは、グラフィックカード、CPU、メモリなどのハードウェア情報をリアルタイムで監視し、フレームレート(FPS)、CPU使用率、GPU温度、メモリ使用量などを画面上にオーバーレイ表示することができます。これにより、ゲームプレイ中にパフォーマンスのボトルネックを特定し、必要に応じて設定を調整することができます。
また、RTSSは、フレームレート制限機能も備えており、ゲームのフレームレートを特定の数値に固定することができます。これにより、画面のティアリング(画面の上下がずれて表示される現象)を軽減し、よりスムーズなゲーム体験を実現することができます。
さらに、Direct3DやOpenGLアプリケーションのパフォーマンスを調整するための高度な設定も提供しています。これにより、特定のゲームやアプリケーションに対して、最適なパフォーマンスを実現することができます。
RTSSは、その強力な機能と柔軟性から、ゲーマーだけでなく、ハードウェアレビューアやオーバークロッカーなど、幅広いユーザーに利用されています。
2. RTSSの主な機能
RTSSは、以下の主要な機能を備えています。
- ハードウェアモニターリング: CPU温度、GPU温度、CPU使用率、GPU使用率、メモリ使用量、フレームレートなど、様々なハードウェア情報をリアルタイムで監視します。
- オーバーレイ表示: 監視しているハードウェア情報を、ゲーム画面やアプリケーション画面上にオーバーレイ表示します。表示する情報の種類やフォント、色、位置などを自由にカスタマイズできます。
- フレームレート制限: フレームレートを特定の数値に固定することができます。これにより、画面のティアリングを軽減し、入力遅延を最小限に抑えることができます。
- Direct3DとOpenGLのフック: Direct3DとOpenGLアプリケーションの動作をフックし、パフォーマンスを調整するための高度な設定を提供します。
- アプリケーションごとのプロファイル: 各アプリケーションごとに異なる設定を保存し、自動的に適用することができます。
- ビデオキャプチャ: ゲームプレイやアプリケーションの動作をビデオとしてキャプチャすることができます。
- モニタリンググラフ: 時間経過に伴うハードウェア情報の変化をグラフで表示することができます。
- プラグインサポート: 機能を拡張するためのプラグインをサポートしています。
3. RTSSのインストール方法
RTSSは、Afterburnerに同梱されています。以下の手順でインストールしてください。
- MSI Afterburnerのダウンロード: MSI Afterburnerの公式サイト(https://www.msi.com/page/afterburner)から、最新版のMSI Afterburnerをダウンロードします。
- MSI Afterburnerのインストール: ダウンロードしたインストーラーを実行し、MSI Afterburnerをインストールします。インストール時に、RivaTuner Statistics Server (RTSS) をインストールするオプションにチェックが入っていることを確認してください。
- RTSSの起動: インストールが完了すると、MSI AfterburnerとRTSSが自動的に起動します。RTSSが起動しない場合は、MSI Afterburnerのインストールフォルダから「RTSS.exe」を実行してください。
4. RTSSの基本的な使い方
RTSSを起動すると、タスクトレイにアイコンが表示されます。アイコンを右クリックすると、メニューが表示されます。
- Show: RTSSのメインウィンドウを表示します。
- Settings: RTSSの設定画面を表示します。
- Close: RTSSを終了します。
4.1 ハードウェアモニターリングの設定
RTSSのメインウィンドウでは、監視するハードウェア情報を設定することができます。
- 表示項目の選択: メインウィンドウの「Hardware monitoring」タブをクリックします。監視したいハードウェア情報(CPU温度、GPU温度、CPU使用率、GPU使用率、メモリ使用量、フレームレートなど)にチェックを入れます。
- 表示オプションの設定: チェックを入れたハードウェア情報ごとに、表示オプションを設定することができます。例えば、フレームレートの平均値や最小値、最大値を表示したり、グラフを表示したりすることができます。
- Applyボタンをクリック: 設定が完了したら、「Apply」ボタンをクリックして変更を適用します。
4.2 オーバーレイ表示の設定
RTSSのオーバーレイ表示を設定することで、ゲーム画面やアプリケーション画面上にハードウェア情報を表示することができます。
- 表示設定の有効化: メインウィンドウの「On-Screen Display」タブをクリックします。「Show on-screen display」のチェックボックスにチェックを入れます。
- 表示項目の選択: 「Show on-screen display」を有効にすると、監視しているハードウェア情報がリストに表示されます。表示したいハードウェア情報を選択し、「Show in OSD」のチェックボックスにチェックを入れます。
- 表示オプションの設定: チェックを入れたハードウェア情報ごとに、表示オプションを設定することができます。例えば、フォントの種類、サイズ、色、位置などを設定できます。
- Applyボタンをクリック: 設定が完了したら、「Apply」ボタンをクリックして変更を適用します。
オーバーレイ表示のカスタマイズ:
- フォント: 「Font」ボタンをクリックして、フォントの種類、サイズ、色などを変更できます。
- 色: 「Color」ボタンをクリックして、テキストの色、背景の色、影の色などを変更できます。
- 位置: 「Position」ドロップダウンリストから、オーバーレイ表示の位置(左上、右上、左下、右下、中央)を選択できます。また、「X offset」と「Y offset」の値を調整することで、オーバーレイ表示の位置を微調整できます。
- 透明度: 「Transparency」スライダーを調整することで、オーバーレイ表示の透明度を変更できます。
- 背景: 「Background」チェックボックスを有効にすると、オーバーレイ表示の背景を表示することができます。背景の色は、「Color」ボタンから変更できます。
- 影: 「Shadow」チェックボックスを有効にすると、オーバーレイ表示のテキストに影を付けることができます。影の色は、「Color」ボタンから変更できます。
4.3 フレームレート制限の設定
RTSSのフレームレート制限を設定することで、画面のティアリングを軽減し、入力遅延を最小限に抑えることができます。
- フレームレート制限の設定: メインウィンドウの「General」タブをクリックします。「Framerate limit」のテキストボックスに、制限したいフレームレートの値を入力します。
- Applyボタンをクリック: 設定が完了したら、「Apply」ボタンをクリックして変更を適用します。
フレームレート制限の推奨値:
- モニターのリフレッシュレートと同じ値に設定することを推奨します。例えば、144Hzのモニターを使用している場合は、フレームレート制限を144FPSに設定します。
- ゲームのフレームレートがモニターのリフレッシュレートよりも大幅に高い場合は、フレームレート制限を設定することで、GPUの負荷を軽減し、消費電力を抑えることができます。
- ゲームのフレームレートが不安定な場合は、フレームレート制限を設定することで、フレームレートの変動を抑え、より安定したゲーム体験を実現することができます。
5. RTSSの高度な使い方
RTSSは、より高度な設定を行うことで、さらにパフォーマンスを向上させることができます。
5.1 Direct3DとOpenGLのフック設定
RTSSは、Direct3DとOpenGLアプリケーションの動作をフックし、パフォーマンスを調整するための高度な設定を提供します。
- フック設定の有効化: メインウィンドウの「Setup」タブをクリックします。「Global exclusion list」のチェックボックスにチェックを入れます。これにより、すべてのアプリケーションに対してフック設定が無効になります。
- アプリケーションごとのプロファイル設定: 特定のアプリケーションに対してのみフック設定を有効にするには、アプリケーションごとのプロファイル設定を行います。
- フック設定の調整: アプリケーションごとのプロファイル設定で、「Application detection level」や「Stealth mode」などのフック設定を調整することができます。
フック設定のオプション:
- Application detection level: アプリケーションの検出レベルを設定します。検出レベルを高くすると、より多くのアプリケーションを検出できるようになりますが、互換性の問題が発生する可能性が高まります。
- Stealth mode: RTSSがアプリケーションにフックしていることを隠蔽します。アンチチートシステムなど、RTSSの使用を禁止しているアプリケーションで使用すると効果的です。
- Custom Direct3D support: Direct3Dのサポートをカスタマイズします。特定のDirect3Dバージョンを有効または無効にしたり、Direct3Dのパフォーマンスを調整したりすることができます。
- Custom OpenGL support: OpenGLのサポートをカスタマイズします。特定のOpenGLバージョンを有効または無効にしたり、OpenGLのパフォーマンスを調整したりすることができます。
5.2 アプリケーションごとのプロファイル設定
RTSSは、各アプリケーションごとに異なる設定を保存し、自動的に適用することができます。
- プロファイルの作成: メインウィンドウの「Profile」タブをクリックします。「Add」ボタンをクリックして、新しいプロファイルを作成します。プロファイル名を入力し、「OK」ボタンをクリックします。
- アプリケーションの関連付け: 作成したプロファイルを右クリックし、「Assign application」を選択します。関連付けたいアプリケーションの実行ファイルを選択し、「開く」ボタンをクリックします。
- 設定の調整: プロファイルごとに、オーバーレイ表示、フレームレート制限、フック設定などを調整することができます。
- プロファイルの適用: アプリケーションを起動すると、自動的に関連付けられたプロファイルが適用されます。
5.3 ビデオキャプチャ機能
RTSSは、ゲームプレイやアプリケーションの動作をビデオとしてキャプチャすることができます。
- ビデオキャプチャの設定: メインウィンドウの「Video capture」タブをクリックします。
- 保存先フォルダ: 「Save to」テキストボックスに、ビデオを保存するフォルダのパスを入力します。
- ビデオコーデック: 「Video codec」ドロップダウンリストから、使用するビデオコーデックを選択します。
- フレームレート: 「Framerate」ドロップダウンリストから、キャプチャするフレームレートを選択します。
- ビットレート: 「Bitrate」スライダーを調整して、ビデオのビットレートを設定します。
- キャプチャの開始/停止: キャプチャを開始するには、ホットキー(デフォルトではF9キー)を押します。キャプチャを停止するには、もう一度ホットキーを押します。
5.4 モニタリンググラフのカスタマイズ
RTSSは、時間経過に伴うハードウェア情報の変化をグラフで表示することができます。
- グラフの表示: メインウィンドウの「Hardware monitoring」タブで、グラフを表示したいハードウェア情報にチェックを入れ、「Show graph in OSD」のチェックボックスにチェックを入れます。
- グラフのカスタマイズ: グラフの色、線幅、背景色などをカスタマイズすることができます。RTSSのインストールフォルダにある「Styles」フォルダに、グラフのスタイルファイルが格納されています。これらのファイルを編集することで、グラフの外観をカスタマイズすることができます。
6. RTSSを使用するメリット
RTSSを使用する主なメリットは以下のとおりです。
- パフォーマンスの監視: ハードウェアの状態をリアルタイムで監視し、パフォーマンスのボトルネックを特定することができます。
- フレームレートの安定化: フレームレート制限を設定することで、画面のティアリングを軽減し、よりスムーズなゲーム体験を実現することができます。
- ゲーム体験の向上: パフォーマンスを最適化することで、より快適なゲーム体験を実現することができます。
- ハードウェアの保護: 温度を監視することで、ハードウェアの過熱を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
- ビデオキャプチャ: ゲームプレイやアプリケーションの動作を簡単に録画することができます。
- カスタマイズ性: オーバーレイ表示やグラフなど、様々な要素を自由にカスタマイズすることができます。
- 無料: RTSSはフリーウェアであり、無料で利用することができます。
7. RTSSを使用するデメリット
RTSSを使用する主なデメリットは以下のとおりです。
- 互換性の問題: 一部のゲームやアプリケーションで、RTSSとの互換性の問題が発生する可能性があります。
- パフォーマンスへの影響: RTSSがハードウェア情報を監視し、オーバーレイ表示を行うことで、わずかにパフォーマンスが低下する可能性があります。
- 設定の複雑さ: 高度な設定を行うためには、ある程度の知識が必要になります。
- アンチチートシステムとの干渉: 一部のゲームでは、アンチチートシステムがRTSSの使用を禁止している場合があります。
- セキュリティ: ソフトウェアを常に最新の状態に保ち、信頼できるソースからダウンロードする必要があります。
8. よくある質問 (FAQ)
- Q: RTSSが起動しない。
- A: MSI Afterburnerが正しくインストールされているか確認してください。RTSS.exeがMSI Afterburnerのインストールフォルダにあるか確認してください。WindowsのセキュリティソフトがRTSSの起動をブロックしていないか確認してください。
- Q: オーバーレイ表示が表示されない。
- A: RTSSの設定で「Show on-screen display」が有効になっているか確認してください。ゲームやアプリケーションがDirect3DまたはOpenGLを使用しているか確認してください。RTSSがゲームやアプリケーションにフックされているか確認してください。
- Q: フレームレート制限が効かない。
- A: RTSSの設定で「Framerate limit」が正しく設定されているか確認してください。ゲームの設定で垂直同期が無効になっているか確認してください。RTSSがゲームにフックされているか確認してください。
- Q: RTSSがゲームをクラッシュさせる。
- A: RTSSの設定で「Stealth mode」を有効にしてみてください。RTSSのバージョンを最新版にアップデートしてみてください。グラフィックドライバを最新版にアップデートしてみてください。
- Q: MSI AfterburnerをアンインストールしてもRTSSは残るの?
- A: いいえ。MSI Afterburnerをアンインストールすると、通常、RTSSも一緒にアンインストールされます。念のため、プログラムと機能からRTSSが残っていないか確認してください。
9. まとめ
RivaTuner Statistics Server (RTSS) は、ゲーミングPCのパフォーマンスを監視し、最適化するための非常に強力なツールです。ハードウェアモニターリング、オーバーレイ表示、フレームレート制限、高度なフック設定など、多岐にわたる機能を備えており、ゲーマーだけでなく、ハードウェアレビューアやオーバークロッカーなど、幅広いユーザーに利用されています。
この記事で解説した内容を参考に、RTSSを使いこなして、あなたのゲーミングPCを最大限に活用し、最高のゲーム体験を実現してください。ただし、高度な設定を行う場合は、慎重に設定を行い、自己責任で作業を行うようにしてください。
この記事が、RTSSの理解を深め、有効活用するための助けとなれば幸いです。