これでわかる!M.2 SSD増設に必要なものと取り付け方法

はい、承知いたしました。M.2 SSDの増設に必要なものと取り付け方法について、詳細な説明を含む約5000語の記事を作成します。


これでわかる! M.2 SSD増設に必要なものと取り付け方法 ~PCを爆速化!容量も拡大!完全ガイド~

1. はじめに:PCの進化を体感しよう! M.2 SSD増設の魅力

お使いのPC、最近なんだか動作が重い、ストレージの容量が足りない…そんな悩みはありませんか? アプリケーションの起動に時間がかかる、ファイルのコピーが遅い、ゲームのロードが長い。これらの原因の多くは、ストレージの速度や容量にあります。

PCのストレージには、昔から使われているHDD(ハードディスクドライブ)と、近年主流になっているSSD(ソリッドステートドライブ)があります。SSDはHDDに比べて圧倒的に高速ですが、さらにSSDの中でも、特に高速な規格として登場したのが「M.2 SSD」です。

M.2 SSDは、小型ながら非常に高速なデータ転送速度を実現し、近年のPCにおいて、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションの起動、ゲームのロード時間などを劇的に短縮するのに貢献しています。特に、「NVMe (Non-Volatile Memory Express)」という新しいインターフェースを採用したM.2 SSDは、従来のSATA接続のSSDとは比較にならないほどのパフォーマンスを発揮します。

この記事では、「M.2 SSDを増設したい」「PCを高速化したい」「自分でSSDを取り付けてみたい」と考えている方を対象に、M.2 SSDの基本から、増設に必要なもの、デスクトップPCとノートPCそれぞれの詳しい取り付け手順、取り付け後の設定、さらにはデータ移行やOSインストール、そしてトラブルシューティングまで、M.2 SSD増設に関する全てを網羅した完全ガイドとしてお届けします。

この記事を読めば、M.2 SSD増設に必要な知識が身につき、ご自身のPCをアップグレードするための第一歩を踏み出すことができるでしょう。さあ、PCの潜在能力を最大限に引き出すM.2 SSD増設の世界へ踏み込みましょう!

2. M.2 SSDとは? 基本を知って失敗を防ぐ!

M.2 SSDの増設を成功させるためには、まずM.2 SSDがどのようなものなのか、基本的な知識を理解しておくことが重要です。形は同じでも、中身が全く異なる場合があり、互換性の問題で「買ったのに使えなかった!」という事態になることを防ぐためです。

2-1. M.2フォームファクターとは?

「M.2(エムドットツー)」とは、SSDだけでなく、Wi-FiカードやBluetoothカードなど、様々な拡張カードで使用される小型のコネクタ形状およびフォームファクター(物理的なサイズや形状の規格)のことです。ノートPCや小型PCなど、内部スペースが限られるデバイス向けに開発されましたが、その利便性からデスクトップPCでも広く採用されています。

M.2 SSDは、従来の2.5インチSSDのようなケースがなく、基板がむき出しのスティック状になっているのが特徴です。これにより、非常にコンパクトにPC内部に搭載できます。

2-2. SATA M.2 vs NVMe M.2:重要な違い

M.2 SSDには、大きく分けて二つの種類があります。見た目は似ていますが、接続されるインターフェース(PCとデータをやり取りする方法)が全く異なり、これが性能に直結します。

  • SATA M.2: 従来の2.5インチSSDやHDDと同じく、SATAインターフェースを使用します。M.2コネクタ形状ですが、内部的な接続はSATA 3.0規格(最大転送速度約600MB/s)に準拠します。2.5インチSATA SSDと同等の速度です。
  • NVMe M.2: PCIe (PCI Express) インターフェースを使用し、NVMeというプロトコル(通信規約)でデータをやり取りします。PCIeはグラフィックカードなどでも使われる高速なインターフェースで、CPUと直結に近い形で通信するため、SATAの限界をはるかに超える速度(理論値で最大数GB/s以上)を実現します。OSやアプリケーションの起動、大容量ファイルの読み書き、ゲームのロード時間など、体感速度に大きな差が出ます。

ポイント:
「M.2」というだけでは、SATAかNVMeかは分かりません。製品名や仕様に「NVMe」「PCIe」と明記されているかを確認しましょう。現在高速化を目的としてM.2 SSDを増設する場合、ほとんどのケースでNVMeタイプを選択することになります。

2-3. サイズ規格:2280が主流

M.2 SSDはその長さによっていくつかのサイズ規格があります。一般的なものは以下の通りです。

  • 2280: 幅22mm、長さ80mm。現在最も普及しており、多くのマザーボードやノートPCがこのサイズに対応しています。
  • 2260: 幅22mm、長さ60mm。
  • 2242: 幅22mm、長さ42mm。主に超小型PCや一部のノートPCで使用されます。
  • 22110: 幅22mm、長さ110mm。一部のエンタープライズ向けマザーボードなどで見られます。

PC本体のM.2スロットがどのサイズに対応しているかを確認する必要があります。多くのマザーボードには、複数のサイズに対応できるよう、固定用のネジ穴が複数用意されています。

2-4. Keyタイプ:コネクタの形状と互換性

M.2コネクタには、「Key(キー)」と呼ばれる切り欠きの形状によって、いくつかの種類があります。これも互換性に関わる重要なポイントです。

  • B Key: コネクタの切り欠きが左側にあります(ピン数6)。主にSATA接続のM.2 SSDや、一部のPCIe x2接続(NVMeではない場合が多い)のSSDで使用されます。
  • M Key: コネクタの切り欠きが右側にあります(ピン数5)。主にPCIe x4接続のNVMe SSDで使用されます。PCIe x2接続のNVMe SSDでもM Keyの場合があります。
  • B+M Key: コネクタの両側に切り欠きがあります(ピン数6+5)。SATA接続のM.2 SSD、またはPCIe x2接続のNVMe SSDで使われます。B KeyとM Key両方のスロットに物理的に挿すことができますが、接続できるインターフェースは製品仕様によります(SATA接続のB+M Key SSDは、B KeyスロットにもM Keyスロットにも物理的に挿せますが、SATA接続しかできません。PCIe x2接続のB+M Key NVMe SSDは、M Keyスロットに挿してPCIe x2接続で動作します)。

ポイント:
高速なNVMe SSDを使用するには、通常「M Key」のM.2 SSDと、「M Key」に対応し「NVMe」接続が可能なマザーボード/ノートPCのスロットが必要です。 マザーボードのM.2スロットがM Key形状でも、SATA接続のみに対応している場合や、SATAとNVMe両方に対応している場合があります。必ずマザーボードやPC本体の仕様を確認してください。

2-5. NANDフラッシュの種類:耐久性とコスト

SSDのデータを保存する部品であるNANDフラッシュメモリにはいくつかの種類があり、記録できる情報量や書き換え回数(耐久性)、コストが異なります。

  • SLC (Single Level Cell): 1つのセルに1ビットのデータを記録。最も高速で耐久性が高いが、コストも高い。エンタープライズ向け。
  • MLC (Multi Level Cell): 1つのセルに2ビットのデータを記録。SLCより低コストで、コンシューマ向け高性能SSDで使われた。耐久性はSLCより劣る。
  • TLC (Triple Level Cell) / 3D NAND TLC: 1つのセルに3ビットのデータを記録。現在最も主流。MLCより低コストだが、書き込み速度や耐久性は劣る傾向があった。しかし、技術進歩(3D NAND化など)により性能が向上し、コンシューマ向けSSDのほとんどがTLCを採用。
  • QLC (Quad Level Cell): 1つのセルに4ビットのデータを記録。TLCよりさらに低コストで大容量化しやすいが、書き込み速度や耐久性は最も低い。大容量のデータ保存向けSSDなどで使われる。

一般ユーザーがOSやアプリケーション用として購入するM.2 NVMe SSDは、TLCを採用しているものが多いです。QLCタイプは、大容量だが書き込み速度や耐久性がTLCに劣る点を理解して選びましょう。SSDの耐久性は「TBW (Total Bytes Written)」という指標で示されることが多いので、参考にしてください。

2-6. ヒートシンクの重要性:NVMe SSDは熱に注意!

NVMe M.2 SSDは非常に高速なため、データの読み書き時に多くの熱を発生します。温度が上がりすぎると、性能を意図的に低下させて温度上昇を抑える「サーマルスロットリング」が発生し、本来の速度が出なくなってしまいます。

そのため、特に高性能なNVMe SSDを使用する場合、ヒートシンクによる冷却が推奨されます。マザーボードのM.2スロットに専用のヒートシンクが付属している場合や、SSD本体にヒートシンクが取り付けられている製品もあります。ヒートシンクがない場合でも、市販のM.2 SSD用ヒートシンクを別途購入して取り付けることができます。

注意点: ノートPCの場合、内部スペースに余裕がないため、厚みのあるヒートシンクを取り付けることが難しい、あるいは排熱設計を崩してしまう可能性があるため注意が必要です。

3. M.2 SSD増設の前に! 必ず確認すべきこと

M.2 SSDを購入し、いざ取り付けようとしてから「しまった!」とならないために、増設作業に取り掛かる前に、お使いのPC本体の仕様をしっかりと確認することが最も重要です。

3-1. PC本体(マザーボード/ノートPC)の対応確認

これが最も重要なステップです。

  • M.2スロットの有無と数: まず、ご自身のマザーボード(デスクトップPC)やノートPCに、そもそもM.2スロットがあるかどうかを確認します。マザーボードのマニュアルを見たり、PCのモデル名を調べてメーカーのウェブサイトで仕様を確認したり、あるいは実際にPCケースを開けて目視で確認します。ノートPCの場合は、分解方法を調べる必要があります。
  • 対応するKeyタイプ: M.2スロットの切り欠きがB Key、M Key、B+M Keyのどれかを確認します。通常、NVMe SSDを使用したい場合はM Keyスロットが必要です。マニュアルに記載されています。
  • 対応するプロトコル(SATA/NVMe/両方): M.2スロットがSATA接続にのみ対応しているのか、NVMe (PCIe) 接続にのみ対応しているのか、あるいはその両方に対応しているのかを確認します。これもマニュアルに必ず記載されています。「M.2スロット (PCIe Gen3 x4 & SATA3)」のように書かれている場合、NVMeとSATA両方に対応しています。「M.2スロット (SATA3 only)」と書かれている場合はSATA M.2 SSDしか使えません。
  • PCIeレーンのバージョンと数(NVMeの場合): NVMe SSDはPCIeインターフェースを使用しますが、その速度は使用するPCIeのバージョン(Gen3, Gen4, Gen5など)とレーン数(x2, x4など)によって決まります。最新のNVMe SSDはPCIe Gen4 x4やGen5 x4接続に対応していますが、マザーボードのスロットがGen3 x4までしか対応していなければ、SSDはGen3 x4の速度で動作します。また、M.2スロットに割り当てられているPCIeレーン数は、他の拡張スロット(グラフィックボード用のPCIeスロットや他のM.2スロット、SATAポートなど)と共有されている場合があります。特定のM.2スロットを使用すると、一部のSATAポートが使用できなくなる、といった仕様があることも多いです。マザーボードのマニュアルのストレージや拡張スロットの項目をよく確認してください。
  • 対応するサイズ規格: M.2スロットの固定用ネジ穴が、2280, 2260, 2242など、どのサイズに対応しているかを確認します。多くの場合は2280に対応しています。
  • ノートPCの分解: ノートPCの場合、底面カバーを開けるのがデスクトップPCのケースを開けるより難しい場合があります。ネジの種類や位置(ゴム足の下などに隠れている場合も)、カバーを固定しているツメの位置などを事前に調べる必要があります。「[ノートPCのメーカー名] [モデル名] 分解 M.2 SSD」などで検索すると、分解方法を紹介しているウェブサイトや動画が見つかることがあります。ただし、ノートPCの分解はメーカー保証の対象外となる場合があるため、注意が必要です。

3-2. BIOS/UEFIの確認

新しいM.2 SSDを取り付けることで、BIOS/UEFIの設定を確認・変更する必要が出てくる場合があります。

  • M.2スロットの有効化: 一部のマザーボードでは、デフォルトでM.2スロットが無効になっている場合があります。BIOS設定画面で有効にする必要があります。
  • SATAモード設定: SATA接続のM.2 SSDの場合、BIOSのSATAコントローラー設定が「AHCI」になっているか確認します(通常デフォルトでAHCIですが、IDEモードになっているとSSDの性能が出ない場合があります)。NVMe SSDの場合は通常関係ありません。
  • ブートデバイスの認識: 新しいM.2 SSDにOSをインストールしたり、既存のOSをクローンしたりする場合、PCがそのSSDから起動できるようにBIOS設定を変更する必要があります。これは取り付け後に確認します。
  • PCIeレーン割り当て: 前述の通り、M.2スロットと他のスロットやポート間でPCIeレーンが共有されている場合、BIOS設定で割り当てを変更する必要があるかもしれません。マニュアルを確認してください。

3-3. 電源容量(デスクトップPCの場合)

M.2 SSD自体の消費電力は、他のPCパーツ(CPUやグラフィックボード)に比べて非常に小さいです。そのため、M.2 SSDを1台増設するだけで電源容量が不足することはまずありません。しかし、構成全体で電源容量がギリギリの場合、念のため考慮に入れても良いでしょう。高性能なNVMe SSDでも、最大消費電力は数W~十数W程度です。

3-4. 物理的なスペース

特にデスクトップPCのマザーボード上では、M.2スロットの位置がグラフィックボードの真下や、他の拡張カードに近い場所にある場合があります。増設するM.2 SSDにヒートシンクを取り付ける場合、グラフィックボードや他のパーツと干渉しないか、事前に目視で確認しておくと良いでしょう。ノートPCの場合は、内部スペースが非常に限られているため、ヒートシンク付きのSSDは物理的に収まらない可能性があります。

これらの事前確認をしっかりと行うことで、購入するM.2 SSDの種類(SATAかNVMeか、サイズ、Keyタイプ、速度規格)が決まり、スムーズな増設作業が可能になります。

4. M.2 SSD増設に必要なものリスト

さあ、事前確認を終え、購入するM.2 SSDの種類も決まったら、いよいよ取り付け作業の準備です。安全かつスムーズに作業を進めるために、以下のものを準備しましょう。

4-1. 必須のアイテム

  • 新しいM.2 SSD本体: 事前確認で互換性を確認した、目的のM.2 SSD。
  • 精密ドライバーセット: PCパーツの固定には、小さめのプラスネジが使われます。一般的な家庭用ドライバーではサイズが合わない場合や、軸が太すぎて穴に入らない場合があります。PC組み立て・メンテナンス用の精密ドライバーセットを用意しましょう。多くの場合、プラス(#1、#0、あるいはそれ以下のサイズ)が必要です。ノートPCの場合は、さらに小さいネジが使われていることもあります。
  • M.2 SSD固定用ネジ: 最も重要なアイテムの一つですが、忘れられがちです! M.2 SSDをマザーボードやノートPCに固定するための小さなネジです。
    • デスクトップPCの場合: マザーボードにM.2スロットがある場合、通常はマザーボードの付属品(箱の中の小さな袋や、マザーボード上の目立たない場所)にM.2 SSD固定用のネジとスペーサーが入っています。マザーボードのマニュアルにネジやスペーサーの種類・取り付け方が記載されています。付属品が見つからない場合は、PCケースの付属品(マザーボード固定用ネジなどと一緒に袋に入っていることが多い)に入っている場合もあります。それでも見つからない場合は、PCパーツショップなどで「M.2 SSD用ネジ」として数百円で販売されています。ネジとスペーサー(基板を浮かせるための台座)が必要なので、セットになっているものを購入しましょう。
    • ノートPCの場合: ノートPCに元々空きのM.2スロットがある場合、ネジがスロットの近くに取り付けられている、あるいは元々付いていないことがあります。ノートPCの分解手順などを調べて、使用するネジの種類を確認するか、汎用のノートPC用ネジセットを準備しておくと安心です。
  • 静電気防止手袋またはリストバンド: PCパーツは静電気に弱いため、作業前に体の静電気を逃がす、あるいは静電気防止グッズを装着することが推奨されます。金属製のPCケースに触れるだけでも効果がありますが、より安全に作業したい場合は手袋やリストバンドを用意しましょう。
  • 作業スペース: 広くて明るく、安定した場所で作業しましょう。カーペットの上など、静電気が発生しやすい場所は避けるのが無難です。
  • PC本体のマニュアル: マザーボードやノートPCの分解方法、M.2スロットの位置、ネジの種類、PCIeレーンの割り当てなど、重要な情報が記載されています。手元に置いておきましょう。
  • (ノートPCの場合)プラスチック製ヘラやピック: ノートPCの底面カバーは、ネジだけでなくツメで固定されていることが多いです。金属製の工具を使うと筐体に傷をつけたりツメを破損させたりする可能性があるため、プラスチック製のヘラやギターピックのようなものを使って慎重にこじ開けるのがおすすめです。

4-2. あると便利なアイテム

  • マグネット付きトレイや容器: 取り外した小さなネジを一時的に置いておくのに便利です。マグネット付きだとネジが転がって紛失するのを防げます。
  • エアダスター: PC内部は埃が溜まっていることが多いです。カバーを開けたついでに軽く埃を飛ばしておくと良いでしょう。
  • 懐中電灯やヘッドライト: PC内部、特にデスクトップPCのケース内は暗く、細かい作業がしづらいことがあります。手元を明るく照らせるものがあると便利です。
  • ピンセット: 小さなネジを掴んだり、ケーブルを整理したりするのに役立ちます。
  • M.2 SSD用ヒートシンク&サーマルパッド: 高性能なNVMe SSDで温度対策をしたい場合。別途購入する場合は、マザーボードやPCケースのスペースに収まるか、SSDのサイズ(特に両面実装か片面実装か)に対応しているか確認しましょう。サーマルパッドはヒートシンクとSSDの間に入れて熱伝導を助けるものです。ヒートシンクに付属している場合が多いです。
  • 帯電防止マット: PCパーツを置く作業台に敷くと、静電気対策をより強化できます。
  • OSインストール用USBメモリ: 新しいM.2 SSDにOSをクリーンインストールする場合に必要です。事前にWindowsやLinuxのインストールメディアを作成しておきましょう。
  • データ移行/クローン用ソフトウェア: 現在使用しているストレージの内容(OSを含む)を新しいM.2 SSDに丸ごとコピー(クローン)して、そのままOSを起動できるようにしたい場合に必要です。SSDメーカーが提供しているツールや、市販/フリーのクローンソフトがあります。
  • 外付けM.2ケース: クローン作業を行う際に、新しいM.2 SSDをPCに内蔵する前にUSB接続するために使用したり、取り外した古いM.2 SSDを外付けストレージとして再利用したりする場合に便利です。購入するSSDのKeyタイプ(B Key/M Key/B+M Key)、プロトコル(SATA/NVMe)、対応サイズを確認して選びましょう。

必要なものを揃えたら、いよいよ取り付け作業に入ります。デスクトップPCとノートPCでは手順が異なりますので、それぞれ分けて説明します。

5. M.2 SSDの取り付け手順 ~デスクトップPC編~

デスクトップPCへのM.2 SSD取り付けは、ノートPCに比べて比較的簡単です。落ち着いて、手順通りに進めましょう。

5-1. 準備段階

  1. PCのシャットダウンと電源断: 起動中のPCを正常にシャットダウンします。シャットダウン後、PC本体の電源ボタンを数秒押して、内部に溜まった電気を放電させます。そして、PC本体の電源ケーブルをコンセントまたはPC本体から完全に抜きます。電源ユニットにON/OFFスイッチがある場合はOFFにします。
  2. 静電気対策: 静電気防止手袋を装着するか、リストバンドを腕に巻きます。あるいは、PCケースの金属部分など、電気的に接地された部分に触れて、体に溜まった静電気を逃がします。作業中も、時々PCケースに触れるようにすると良いでしょう。
  3. PCケースの開閉: サイドパネル(通常は向かって左側、または両側)を取り外します。多くのPCケースは、背面にあるネジを数本外すか、ラッチを操作することでパネルを開けることができます。取り外したネジはマグネットトレイなどに入れて紛失を防ぎましょう。
  4. 内部の確認とM.2スロットの特定: PCケースを開けたら、マザーボード上のM.2スロットの位置を確認します。マザーボードのマニュアルを見て位置を特定するか、目視で探します。M.2スロットは、PCIeスロットの間や、チップセットヒートシンクの近くなど、マザーボード上の様々な場所に配置されています。複数ある場合もあります。

5-2. 取り付け作業

M.2スロットを特定したら、いよいよSSDを取り付けます。

  1. M.2スロットの準備: M.2スロットには、SSDを固定するためのネジ穴があります。多くの場合、複数のネジ穴があり、SSDの長さ(2280, 2260, 2242など)に合わせてネジやスペーサーを取り付けます。目的のSSDの長さ(例: 2280)に合った位置のネジ穴を確認します。
    • スロットに既にスペーサー(台座)が取り付けられている場合があります。この場合は、その上にSSDを乗せてネジで固定します。
    • スロットにネジ穴しかなく、スペーサーとネジが付属している場合は、まず対応する長さのネジ穴にスペーサーをねじ込みます。
    • 最近のマザーボードには、ネジを使わずにSSDを固定できるツールレス(ネジ無し)のラッチやクリップが採用されている場合もあります。マニュアルで固定方法を確認してください。
    • マザーボードにM.2 SSD用ヒートシンクが付いている場合、まずヒートシンクを取り外す必要があります。ヒートシンクはネジで固定されている場合や、クリップで留められている場合があります。取り外し方はマニュアルを確認してください。
  2. M.2 SSDの挿入: 新しいM.2 SSDを取り出し、コネクタ部分を確認します。M.2スロットの切り欠き(Key)とSSDの切り欠きが一致していることを確認します。無理に挿入しようとしないでください。 SSDのコネクタ部分を、スロットに対して約30度程度の斜め上から差し込みます。奥までしっかりと、ただし力を入れすぎずに挿入します。完全に挿入されると、カチッと音がしたり、抵抗がなくなったりします。
  3. M.2 SSDの固定: SSDが奥まで挿入されたら、もう一方の端を持ち、マザーボードと水平になるようにゆっくりと押し下げます。
    • ネジで固定する場合:押し下げたSSDの端にある半円形の切り欠きが、マザーボードに取り付けたスペーサーの上に来るように位置を合わせます。そこに、付属または別途用意したM.2 SSD固定用ネジを精密ドライバーで取り付けます。締め付けすぎに注意し、SSDがぐらつかない程度にしっかりと固定します。
    • ツールレスの場合:マニュアルの手順に従ってラッチやクリップを操作し、SSDを固定します。
  4. ヒートシンクの取り付け(必要な場合):
    • マザーボード側ヒートシンク: マザーボード側のヒートシンクを使用する場合、通常はヒートシンクの裏側にあるサーマルパッドの保護フィルムを剥がし、SSDの上に被せるように置いて、元のネジ穴やクリップで固定します。マザーボードのマニュアルに従ってください。
    • SSD付属/別途購入ヒートシンク: SSD本体にヒートシンクを取り付ける場合、SSDの表面(または両面実装の場合は両面)に付属のサーマルパッドを貼り付け、その上にヒートシンクを取り付けます。ヒートシンクをゴムバンドやクリップで固定するタイプ、ネジで固定するタイプなどがあります。SSDの取扱説明書やヒートシンクの取扱説明書に従ってください。取り付け済みのヒートシンクを取り外す必要がある場合もあります。
    • 注意: ノートPC用の薄型ヒートシンク以外は、マザーボード上の他のパーツと干渉しないか注意が必要です。特に、大きなグラフィックボードの真下にあるM.2スロットに分厚いヒートシンク付きSSDを取り付けると、グラボが挿せなくなる可能性があります。

5-3. 取り付け後の作業

  1. PCケースを閉じる: サイドパネルを元に戻し、ネジで固定します。
  2. 電源ケーブルの接続: PC本体に電源ケーブルを接続します。電源ユニットのスイッチをONに戻します。
  3. PCを起動: PCの電源を入れます。
  4. BIOS/UEFIでの認識確認: PC起動時に指定されたキー(Delキー、F2キーなど。メーカーやマザーボードによって異なる)を押してBIOS/UEFI設定画面に入ります。Storage情報や、接続されているデバイスの一覧などに、新しく取り付けたM.2 SSDの名前が表示されているか確認します。ここで認識されていれば、物理的な取り付けは成功です。もし認識されていない場合は、「9. トラブルシューティング」の項目を参照してください。
  5. OS上での認識と初期化: BIOSで認識が確認できたら、OSを起動します。OS上では、新しいストレージはそのままでは使えません。初期化、パーティションの作成、フォーマットという作業が必要です。これは「7. 取り付け後の設定と確認」で詳しく説明します。

これで、デスクトップPCへのM.2 SSDの物理的な取り付けは完了です。

6. M.2 SSDの取り付け手順 ~ノートPC編~

ノートPCへのM.2 SSD取り付けは、デスクトップPCに比べて難易度が少し上がります。特に底面カバーの開閉には慎重さが求められます。

6-1. 準備段階

  1. PCのシャットダウンと電源断: デスクトップPCと同様に、正常にシャットダウンし、電源ケーブルを抜きます。
  2. バッテリーの取り外し(可能であれば): 感電やショートのリスクを減らすため、内蔵バッテリーを取り外せるモデルの場合は取り外します。外付けバッテリーの場合は単純に取り外します。内蔵バッテリーで取り外しが難しい場合は、この手順はスキップし、次の静電気対策をより入念に行います。
  3. 静電気対策: デスクトップPCと同様に、静電気防止手袋やリストバンドを使用するか、金属部分に触れて放電します。
  4. ノートPC底面カバーの開閉: ノートPCを裏返し、安定した場所に置きます。
    • ネジの確認: 底面カバーを固定しているネジを全て外します。ネジのサイズや長さが異なる場合があるので、外した場所がわかるように整理しながら保管しましょう(マグネットトレイが便利)。ゴム足の下やシールで隠されているネジもあります。
    • ツメの解除: ネジを全て外しても、カバーはツメで固定されています。金属製の工具ではなく、プラスチック製ヘラやピックを使って、筐体とカバーの隙間に差し込み、少しずつツメを外していきます。力を入れすぎず、慎重に行いましょう。メーカーやモデルによってツメの位置や外し方が異なります。「[ノートPCメーカー名] [モデル名] 分解 カバー 開け方」などで事前に検索し、外し方を調べておくのがおすすめです。
  5. 内部レイアウトの確認: カバーが開いたら、内部のレイアウトを確認します。バッテリー、ファン、ヒートシンク、そして目的のM.2スロットの位置を確認します。マニュアルや事前に調べた情報と照らし合わせましょう。

6-2. 取り付け作業

M.2スロットを特定したらSSDを取り付けます。

  1. M.2スロットの準備: ノートPCのM.2スロットも、通常はSSDの長さに応じた固定用のネジ穴があります。多くのノートPCは2280サイズに対応しています。空いているスロットに増設する場合、固定用ネジがスロットの近くにあらかじめ取り付けられている場合があります。元のSSDを交換する場合は、そのSSDがネジで固定されているので、まずそのネジを外します。
    • 元のSSDの取り外し(交換の場合): 現在搭載されているM.2 SSDを取り外す場合、固定用ネジを緩めます(完全には外れないタイプもあります)。ネジが緩むと、SSDが少し斜めに浮き上がります。そのまま、慎重に斜め上に引き抜きます。取り外したSSDは安全な場所に保管します。
  2. 新しいM.2 SSDの挿入: 新しいM.2 SSDを取り出し、コネクタ部分を確認します。スロットの切り欠きとSSDの切り欠きが一致していることを確認します。スロットに対して約30度程度の斜め上から、奥までしっかりと、ただし力を入れすぎずに差し込みます。
  3. M.2 SSDの固定: SSDが奥まで挿入されたら、マザーボードと水平になるようにゆっくりと押し下げます。SSDの端にある半円形の切り欠きが、固定用ネジ穴の上にくるように位置を合わせます。付属または別途用意したノートPC用のM.2 SSD固定用ネジを精密ドライバーで取り付けます。締め付けすぎに注意し、SSDがぐらつかない程度にしっかりと固定します。
    • ヒートシンクについて: ノートPCの内部はスペースが限られているため、デスクトップPC用の厚みのあるヒートシンクは通常取り付けられません。SSD付属や別途購入するヒートシンクも、超薄型タイプでないとカバーが閉まらなくなる可能性があります。ノートPCの設計によっては、M.2 SSDの上にカバーや他の部品がすぐ近くにある場合もあり、ヒートシンクを取り付けることでそれらに干渉したり、内部の airflow (空気の流れ) を阻害したりする可能性もあります。ノートPCへのヒートシンク取り付けは慎重に判断してください。

6-3. 取り付け後の作業

  1. ノートPC底面カバーを戻す: 取り外したカバーを元に戻します。ツメの位置を合わせながら、パチパチと音がするまでしっかりと押さえて固定します。全てのツメがはまったことを確認してから、ネジを元の場所に戻し、締めます。ネジの種類や位置を間違えないように注意しましょう。
  2. バッテリーの取り付け: 取り外した場合はバッテリーを元に戻します。
  3. 電源ケーブルの接続: 電源ケーブルを接続します。
  4. PCを起動: ノートPCの電源を入れます。
  5. BIOS/UEFIでの認識確認: PC起動時に指定されたキー(F2キー、Delキーなど。メーカーやモデルによって異なる)を押してBIOS/UEFI設定画面に入り、新しく取り付けたM.2 SSDが認識されているか確認します。
  6. OS上での認識と初期化: BIOSで認識が確認できたら、OSを起動します。デスクトップPCと同様に、「ディスクの管理」などで新しいストレージを初期化、パーティション作成、フォーマットする必要があります。「7. 取り付け後の設定と確認」を参照してください。

これで、ノートPCへのM.2 SSDの物理的な取り付けは完了です。

7. 取り付け後の設定と確認 ~新しいSSDを使えるようにする~

物理的にM.2 SSDを取り付けただけでは、OS上からストレージとして認識され、ファイルなどを保存できるようにはなりません。ここからは、OS上で新しいSSDを使えるようにするための設定手順を説明します。ここではWindows 10/11を例に説明しますが、macOSやLinuxでも同様の手順が必要です。

7-1. BIOS/UEFIでの最終確認

OSを起動する前に、念のためもう一度BIOS/UEFI設定画面に入り、新しいSSDが正常に認識されているか確認しておきましょう。Storage情報の一覧などに、SSDのメーカー名やモデル名が表示されていればOKです。
(参考)BIOS/UEFIへの入り方:PC起動直後、メーカーロゴが表示されている間に、画面に表示されるキー(例: DEL, F2, F10, F12など)を繰り返し押します。どのキーかはマザーボードやPCメーカーによって異なります。

7-2. OS上での認識と初期化 (Windows)

Windows上で新しいSSDを使用可能にするには、「ディスクの管理」ツールを使います。

  1. 「ディスクの管理」を開く:
    • Windows 10の場合: スタートボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を選択します。
    • Windows 11の場合: スタートボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を選択します。
    • 別の方法: Windowsキー + Rキーを押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開き、「diskmgmt.msc」と入力してEnterキーを押します。
  2. ディスクの初期化: 「ディスクの管理」を開くと、通常、新しく取り付けたSSDが「不明」「初期化されていません」という状態で検出され、「ディスクの初期化」を促すウィンドウが表示されます。
    • もしウィンドウが表示されない場合は、「ディスクの管理」画面の下部に表示されているディスクの一覧で、新しいSSDを探します(通常、「ディスク 1」や「ディスク 2」などとして表示され、「不明」「初期化されていません」と表示されています)。そのディスクを右クリックし、「ディスクの初期化」を選択します。
  3. パーティションスタイル(GPTまたはMBR)の選択: 「ディスクの初期化」ウィンドウで、パーティションスタイルを選択します。
    • GPT (GUID Partition Table): 現在主流の方式で、2TBを超える大容量のストレージに対応し、多数のパーティションを作成できます。UEFIブートと組み合わせて使用されます。通常はこちらを選択します。
    • MBR (Master Boot Record): 以前から使われている方式で、2TBまでの容量にしか対応せず、作成できるパーティション数にも制限があります。BIOSブートと組み合わせて使用されます。古いPCや特定の互換性が必要な場合を除き、選択する必要はありません。
    • 選択後、「OK」をクリックします。 これでディスクが初期化され、オンラインの状態になります。
  4. 未割り当て領域の確認: 初期化が完了すると、「ディスクの管理」画面で新しいSSDが「未割り当て」という領域として表示されます。
  5. 新しいシンプルボリュームの作成: この「未割り当て」領域をストレージとして使えるようにするために、パーティション(ボリューム)を作成します。
    • 「未割り当て」領域を右クリックし、「新しいシンプルボリューム」を選択します。
    • 「新しいシンプルボリュームウィザード」が開始されます。「次へ」をクリックします。
    • ボリュームサイズの指定: 作成するボリュームのサイズを指定します。通常はSSDの最大容量をそのまま使って一つのボリュームを作成するので、デフォルトで表示されている最大ディスク領域サイズを確認し、そのまま「次へ」をクリックします。複数のパーティションに分けたい場合は、ここでサイズを調整します。
    • ドライブ文字の割り当て: そのボリュームに割り当てるドライブレター(例: D:ドライブ, E:ドライブなど)を選択します。通常は自動で割り当てられる文字で問題ありません。「次へ」をクリックします。
    • パーティションのフォーマット: ファイルシステム(通常はNTFS)、アロケーションユニットサイズ(デフォルトでOK)、ボリュームラベル(ドライブの名前。例: DataSSD, GameDriveなど、任意で設定)を指定します。「クイックフォーマットする」にチェックが入っていることを確認します。 「次へ」をクリックします。
    • 完了: 設定内容を確認し、「完了」をクリックします。
  6. フォーマットの完了: しばらく待つとフォーマットが完了し、「未割り当て」だった領域が、指定したドライブレターとボリュームラベルのドライブとして表示されるようになります。これで、新しいSSDがエクスプローラーなどから認識され、ファイルなどを保存できるようになります。

7-3. OS上での認識と初期化 (macOS/Linux)

macOSやLinuxでも、GUIツールやコマンドラインツールを使って新しいSSDをフォーマットする必要があります。

  • macOS: 「ディスクユーティリティ (Disk Utility)」アプリを使用します。外部または内蔵ドライブの一覧に新しいSSDが表示されているはずです。そのSSDを選択し、「消去 (Erase)」ボタンをクリックします。フォーマット形式(APFSやMac OS拡張など)と方式(GUIDパーティションマップ)を選択して実行します。
  • Linux: GUI環境であれば「GParted」のようなパーティションエディタを使用するか、コマンドラインでfdiskpartedコマンドを使ってパーティションを作成し、mkfsコマンドでフォーマットします。ファイルシステムはext4などが一般的です。

7-4. パフォーマンスの確認

新しく取り付けたM.2 NVMe SSDの速度を体感したり、仕様通りの性能が出ているか確認したりしたい場合は、ベンチマークソフトを使用するのがおすすめです。

  • Windows: CrystalDiskMarkが最も有名で使いやすいベンチマークソフトです。ダウンロードして実行し、追加したSSDを選択してテストを実行すると、読み書き速度が表示されます。製品仕様と比較してみましょう。
  • macOS/Linux: fioやddコマンド、あるいは各種ベンチマークツールを使用します。

7-5. 温度の確認(特にNVMe)

NVMe SSDは高速故に発熱しやすいです。温度が上がりすぎると性能低下の原因となるため、温度を監視することをおすすめします。

  • Windows: HWMonitorやHWiNFOといったシステム情報/監視ツールを使うと、SSDの温度を含む様々なPCコンポーネントの状態を確認できます。高負荷時(ベンチマーク実行中や大容量ファイルコピー中など)に温度をチェックし、仕様上の上限温度を超えていないか、サーマルスロットリングが発生していないか確認しましょう。温度が高い場合は、ヒートシンクの追加やPCケース内のエアフロー改善などを検討します。

これらの設定と確認を終えれば、新しいM.2 SSDをデータ保存領域やアプリケーションのインストール先としてフル活用できるようになります!

8. M.2 SSD増設に伴うデータ移行・OSインストール

新しいM.2 SSDを単なるデータ保存用としてではなく、OSの起動ドライブとして使いたい場合、現在使用しているシステム環境を新しいSSDに移行するか、新しいSSDにOSをクリーンインストールする必要があります。

8-1. データ移行(クローン)

現在使用しているHDDやSSDの内容(OS、アプリケーション、設定、ファイルなど)を、新しいM.2 SSDに丸ごと複製する作業を「クローン」と呼びます。クローンに成功すれば、新しいSSDからそのままOSを起動し、元の環境をすぐに使い始められます。

  • クローン用ソフトウェア: 多くのSSDメーカーは、自社製SSD向けにクローン用ソフトウェア(例: Samsung Data Migration, Crucial Storage Executiveなど)を無償で提供しています。これらのソフトウェアは、メーカー製SSDに合わせて最適化されており使いやすいことが多いです。それ以外のSSDの場合や、メーカー提供ツールがない場合は、EaseUS Todo Backup Free、AOMEI Backupper Standardなどのサードパーティ製クローンソフトを使用できます。
  • クローン作業の手順(一般的な流れ):

    1. 新しいM.2 SSDをPCに物理的に取り付け、「ディスクの管理」で認識されていることを確認しておきます。(フォーマットは不要なことが多いですが、ソフトウェアによる)
    2. クローン用ソフトウェアをインストールし、起動します。
    3. クローン元(現在のシステムドライブ)とクローン先(新しいM.2 SSD)を選択します。
    4. クローン先の容量がクローン元より小さい場合、そのままではクローンできません。クローン元のパーティションサイズを縮小するか、容量が新しいSSDに収まるように不要なファイルを削除する必要があります。クローン先の容量が大きい場合は、ソフトウェアが自動的にパーティションサイズを調整してくれることが多いですが、手動で調整できる場合もあります。
    5. NVMe SSDにクローンする場合、「SSDに最適化」や「4Kアライメント」といったオプションがあれば有効にします。
    6. クローンを実行します。クローン元の容量やPCの性能によりますが、数十分から数時間かかる場合があります。
    7. クローン完了後、PCをシャットダウンします。
    8. BIOS設定の変更: PCを起動し、BIOS/UEFI設定画面に入ります。「Boot」メニューなどで、起動順序(Boot Order)を新しいM.2 SSDが一番最初になるように変更します。
    9. 設定を保存して終了すると、PCが新しいM.2 SSDから起動します。
    10. 新しいSSDからの起動を確認できたら、元のシステムドライブはフォーマットしてデータ保存用として再利用したり、取り外したりできます。
  • クローン時の注意点:

    • クローン先のSSDは空である必要があります。クローン元より容量が小さい場合、そのままではクローンできません。
    • クローン元のシステムが破損している場合、クローンしてもそのまま引き継がれてしまいます。
    • ソフトウェアによっては、UEFI環境やGPTパーティションに対応していない場合があります。使用するソフトウェアの対応を確認しましょう。
    • 古いHDDなどからNVMe SSDへクローンした場合、OSがNVMeドライバを認識できずに起動できないことがあります。事前にOSを最新の状態にアップデートしておきましょう。

8-2. 新規OSインストール

新しいM.2 SSDに、OSをまっさらな状態でインストールする方法です。クローンに比べて手間はかかりますが、不要なファイルや設定がなくなり、クリーンな環境で始められるメリットがあります。

  1. OSインストール用USBメモリの作成: 使用するOS(Windows 10/11など)のインストールメディアを、別のPCなどを使ってUSBメモリに作成しておきます。Microsoftのウェブサイトから提供されているメディア作成ツールを使うのが一般的です。
  2. 新しいM.2 SSD以外のストレージの取り外し(推奨): クリーンインストール作業中に、誤って既存のシステムドライブや他のデータドライブをフォーマットしてしまうリスクを防ぐため、新しいM.2 SSD以外のストレージ(元のシステムSSD/HDDなど)を一時的に物理的に取り外しておくことを強く推奨します。
  3. PCに新しいM.2 SSDとインストール用USBメモリを取り付ける: 新しいM.2 SSDをPCに取り付け、OSインストール用USBメモリをPCのUSBポートに挿します。
  4. BIOS設定の変更: PCを起動し、BIOS/UEFI設定画面に入ります。起動順序(Boot Order)をUSBメモリが一番最初になるように変更します。
  5. OSインストーラーの起動と実行: 設定を保存して終了すると、PCがUSBメモリから起動し、OSのインストール画面が表示されます。画面の指示に従ってインストールを進めます。インストール先のストレージを選択する画面で、新しいM.2 SSD(通常は「未割り当て領域」として表示されます)を選択します。パーティションの作成やフォーマットは、インストーラーが自動的に行ってくれることが多いです。
  6. インストール完了: インストールが完了し、再起動すると、新しいM.2 SSDからOSが起動します。
  7. (オプション)他のストレージの再接続と設定: OSが正常に起動することを確認できたら、一時的に取り外しておいた他のストレージをPCに再接続します。再接続したストレージは、OS上から「ディスクの管理」を使って初期化したり、ドライブレターを割り当てたりして、データ保存用として使用できます。元のシステムドライブの場合は、必要なデータをバックアップしてからフォーマットすると良いでしょう。

新規インストールは、まっさらなPCにOSを入れるのと同じ手順です。必要なアプリケーションを再インストールする手間はかかりますが、PCの動作をより快適にする効果が期待できます。

9. トラブルシューティング ~困ったときはここをチェック!~

M.2 SSDの増設作業中に、あるいは増設後に予期せぬ問題が発生することがあります。ここでは、よくあるトラブルとその原因、対処法を紹介します。

9-1. SSDが認識されない

  • 物理的な接続不良: M.2 SSDがスロットに奥までしっかりと挿入されていない可能性があります。PCの電源を切り、SSDを一度取り外して再度しっかりと挿し直してみてください。固定ネジが緩んでいないかも確認します。
  • マザーボード/PCの互換性: M.2スロットがNVMeに対応していないのにNVMe SSDを取り付けた、あるいはSATAにしか対応していないM.2 SSDをNVMe専用スロットに取り付けた、などの互換性問題が考えられます。PCのマニュアルでM.2スロットの対応プロトコル(SATA/NVMe/両方)を再確認してください。
  • BIOS設定: M.2スロットが無効になっている、SATAモードが正しくない(SATA M.2の場合AHCI以外になっている)、PCIeレーン割り当ての設定でM.2スロットが使用できなくなっている、などの設定ミスが考えられます。BIOS/UEFI設定画面で、StorageやM.2スロット関連の設定を確認します。
  • 他のスロットとの競合: 一部のマザーボードでは、特定のM.2スロットを使用するとSATAポートの一部が使用できなくなったり、PCIeスロットのレーン数が制限されたりします。この場合、BIOS設定で割り当てを変更できる場合や、物理的に他のスロット/ポートからデバイスを取り外す必要がある場合があります。マザーボードのマニュアルのストレージ構成に関する項目をよく確認してください。
  • 「ディスクの管理」での初期化不足: OS上から認識されない場合、「ディスクの管理」で初期化が必要な状態かもしれません。「7. 取り付け後の設定と確認」の項目を参照して、初期化とボリューム作成を行ってください。
  • ドライバの問題: OSがNVMe SSD用のドライバを正しく認識していない、あるいはドライバがインストールされていない可能性があります。特に古いOSバージョンや、クローン後に発生することがあります。OSを最新の状態にアップデートするか、SSDメーカーのウェブサイトからNVMeドライバをダウンロード・インストールしてみてください。
  • SSDの初期不良: ごく稀に、購入したSSD自体が初期不良である可能性があります。別のPCに接続してみるか、PCパーツショップなどに相談してみましょう。

9-2. SSDの速度が出ない

  • 互換性による制限: 最も多い原因は、マザーボードのM.2スロットがSSDの最大速度に対応していないことです。
    • 例えば、PCIe Gen4対応のNVMe SSDを、Gen3対応のM.2スロットに取り付けた場合、速度はGen3の上限(理論値約3.5GB/s程度)に制限されます。
    • SATA接続のM.2 SSDをNVMe対応M Keyスロットに挿した場合、速度はSATAの上限(理論値約600MB/s)になります。
    • PCIe x4接続のNVMe SSDを、PCIe x2接続にしか対応していないM.2スロット(B+M Keyスロットなど)に取り付けた場合、速度はx2の上限(理論値約1.7GB/s程度)に制限されます。
    • PCのマニュアルでM.2スロットの対応速度規格(PCIe Genのバージョン、レーン数)を再確認し、取り付けたSSDの仕様と比較してください。
  • 発熱によるサーマルスロットリング: 特にNVMe SSDは高負荷時に発熱しやすく、温度が上がりすぎると意図的に性能を低下させます。HWiNFOなどのツールでSSD温度を確認し、温度が高い場合はヒートシンクの取り付けやPCケース内のエアフロー改善を検討してください。
  • ドライバの問題: NVMeドライバが正しくインストールされていない、あるいは汎用ドライバが使われていると、本来の性能が出ないことがあります。SSDメーカー提供のNVMeドライバがあればインストールしてみてください。
  • SATAモードの設定: SATA M.2 SSDの場合、BIOSのSATAモードがAHCI以外になっていると性能が低下します。AHCIに設定変更してください。
  • SSDの状態: SSDはデータを書き込むと性能が低下する性質があります(SLCキャッシュの枯渇など)。一時的なものか、常に速度が遅いのか確認し、必要であればSSDのSecure Erase(工場出荷状態に戻す)などを検討します(データは全て消えます!)。

9-3. OSが起動しない(クローン後)

  • BIOSでのブート順設定ミス: PCが新しいM.2 SSDから起動するように、BIOSの起動順序設定が正しく行われていない可能性が高いです。BIOS設定画面に入り、新しいM.2 SSDが起動順序の最優先になっているか確認してください。
  • クローン失敗: クローン作業が途中で失敗した、あるいはクローン用ソフトウェアの互換性問題などで、OSが正しく複製されなかった可能性があります。もう一度クローンを試すか、別のクローンソフトを使用してみてください。
  • 元のSSDを取り外していない: クローン元のSSDをPCに接続したまま新しいSSDから起動しようとすると、OSが混乱して起動できないことがあります。新しいSSDからの起動が確認できるまでは、一時的に元のSSDを取り外しておくことを推奨します。
  • UEFI/Legacy BIOSモードの不一致: クローン元とクローン先で、BIOSの起動モード(UEFIまたはLegacy/CSM)が異なっていると起動できないことがあります。クローン元のPCの起動モードを確認し、BIOS設定でそれに合わせるか、クローン時に対応するオプションを選択する必要があります。

9-4. ノートPCの分解に関する問題

  • カバーが開かない、ツメが割れそう: ノートPCの底面カバーは、ネジだけでなく多数のツメで固定されています。無理に力を入れると筐体やツメが破損する危険があります。プラスチック製ヘラやピックを使い、筐体とカバーの隙間に差し込み、少しずつツメを外していきます。メーカーやモデルによってツメの位置や外し方が異なるため、事前に分解方法を紹介しているウェブサイトや動画を検索して参考にすることをおすすめします。破損させた場合、メーカー保証が受けられなくなる可能性があります。
  • ネジの種類が多い、場所が分からなくなった: ノートPCの底面カバーを固定しているネジは、長さや太さが異なる場合があります。外した場所がわかるように、紙に配置図を書いてネジを置く、マグネットトレイを使う、ネジの種類ごとに分けて保管するなど、整理しながら作業しましょう。

トラブルが発生した場合は、慌てずに一つずつ原因を探り、対処法を試してみてください。問題が解決しない場合は、PCのメーカーやマザーボードメーカーのサポートに問い合わせたり、PC関連のフォーラムなどで質問したりするのも有効です。

10. まとめ:M.2 SSD増設で快適なPCライフを!

M.2 SSDの増設は、PCのパフォーマンスを飛躍的に向上させる効果的な手段です。特にNVMeタイプのM.2 SSDは、OSやアプリケーションの起動、ゲームのロード時間などを劇的に短縮し、日々のPC作業のストレスを大きく軽減してくれます。また、容量不足に悩んでいる方にとっては、大容量のM.2 SSDを追加することで、たくさんのデータやゲームを保存できるようになります。

この記事では、M.2 SSDの基本から、増設前に確認すべき重要なポイント(特にPC本体の互換性)、安全な作業のために必要なツール、デスクトップPCとノートPCそれぞれの詳細な取り付け手順、取り付け後のOS上での設定、データ移行や新規OSインストール方法、そして発生しうるトラブルとその対処法まで、M.2 SSD増設に関する包括的な情報を提供しました。

確かに、PCの内部パーツを触る作業は、特に初めての方にとっては少し抵抗があるかもしれません。しかし、事前の確認をしっかり行い、必要なものを準備し、落ち着いて手順通りに進めれば、M.2 SSDの取り付けはそれほど難しい作業ではありません。

この記事を参考に、ぜひご自身のPCにM.2 SSDを増設し、その高速化の恩恵を体感してみてください。きっと、あなたのPCライフがより快適でストレスフリーなものになるはずです。

もう一度確認!M.2 SSD増設 必須のアイテムリスト

  • 新しいM.2 SSD本体(互換性を確認したもの)
  • 精密ドライバーセット
  • M.2 SSD固定用ネジ(マザーボード/PC本体付属品、または別途購入)
  • 静電気防止手袋またはリストバンド
  • 広くて明るい作業スペース
  • PC本体のマニュアル

これらの準備ができていれば、多くの場合はスムーズに作業を進めることができます。

さあ、M.2 SSD増設にチャレンジして、あなたのPCのポテンシャルを解き放ちましょう!


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