【簡単】あなたのIPアドレスを調べる方法


【簡単】あなたのIPアドレスを調べる方法:インターネット上の「住所」を知るための完全ガイド

インターネットを使っていると、「IPアドレス」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。IPアドレスは、インターネットに接続されたコンピューターやスマートフォン、サーバーなどが持つ、いわばインターネット上の「住所」のようなものです。私たちが手紙を送る際に宛先住所が必要なように、インターネット上でデータをやり取りする際にも、送信元と送信先の「住所」が必要です。その住所がIPアドレスなのです。

自分のIPアドレスを知ることは、普段インターネットを利用する上で直接必要になることは少ないかもしれません。しかし、オンラインゲームで友達と通信する設定をしたり、自宅のネットワークトラブルを解決したり、あるいはサーバーを構築したりといった場面で、自分のIPアドレスが分からないと困ってしまうことがあります。また、セキュリティやプライバシーに関心を持つ上でも、IPアドレスがどのようなもので、自分はどのようなIPアドレスを使っているのかを知っておくことは非常に役立ちます。

この記事では、「IPアドレス」とは具体的にどのようなものなのか、なぜ知る必要があるのか、そして最も簡単で分かりやすい方法から、少し専門的な方法まで、あなたのIPアドレスを調べるためのあらゆる方法を、初心者の方にも理解できるように徹底的に解説します。約5000語というボリュームで、IPアドレスに関する基礎知識から応用的な内容、さらには知っておくべき注意点やセキュリティに関する情報まで、この一つ記事で完全に網羅することを目指します。

さあ、一緒にあなたのインターネット上の「住所」を調べてみましょう!

イントロダクション:なぜIPアドレスを知る必要があるのか?

私たちの日常生活において、住所は郵便物を受け取ったり、誰かに来てもらうために不可欠です。インターネットの世界でも、データはパケットと呼ばれる小さな塊に分割されてやり取りされます。これらのパケットが正確な宛先に届き、また、誰から送られてきたものなのかを識別するために、すべてのインターネット接続機器にはIPアドレスが割り当てられています。

あなたがウェブサイトを閲覧するとき、あなたのコンピューターやスマートフォンは、そのウェブサイトが置かれているサーバーのIPアドレスに向けて「このページの情報をください」というリクエストを送ります。サーバーはあなたのIPアドレスに向けて、ページのデータを含んだパケットを返信します。このように、インターネット上の通信は、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスが分かっているからこそ成り立つのです。

では、なぜ自分のIPアドレスを知る必要があるのでしょうか?主な理由は以下の通りです。

  1. ネットワークの問題解決: インターネットに繋がらない、特定のサイトだけ見られない、通信が不安定など、ネットワーク関連のトラブルが発生した際に、自分のIPアドレスやルーターのIPアドレスなどを確認することは、原因を特定する上で非常に重要な手がかりとなります。
  2. オンラインゲームやサービスの利用: 特定のオンラインゲームやアプリケーション、サービスでは、友達と同じゲームに参加したり、特定の機能を使ったりするために、自分のIPアドレスを教えたり、設定画面に入力したりする必要がある場合があります。
  3. リモートアクセスや自宅サーバーの構築: 外部から自宅のコンピューターにアクセスしたり(リモートデスクトップなど)、自宅でウェブサイトやゲームサーバーを公開したりする場合には、外部ネットワークからアクセスするための「グローバルIPアドレス」を知っている必要があります。
  4. ルーターやネットワーク機器の設定: 自宅のWi-Fiルーターの設定を変更したり、新しいネットワーク機器を追加したりする際には、ルーターのIPアドレス(通常はプライベートIPアドレス)を知っている必要があります。
  5. セキュリティとプライバシー: 自分のIPアドレスがどのような情報を含んでいるのか、誰に知られる可能性があるのか、そしてどのようなリスクがあるのかを理解することは、インターネットを安全に利用する上で非常に重要です。

このように、IPアドレスを知ることは、インターネットをより深く理解し、活用し、そして安全に使うための第一歩と言えます。

IPアドレスの基礎知識:住所の種類と仕組み

IPアドレスの調べ方を学ぶ前に、まずはIPアドレスに関するいくつかの基本的な知識を身につけておきましょう。これにより、なぜ様々な調べ方があるのか、そしてそれぞれの方法で分かるIPアドレスが何を表しているのかが明確になります。

IPアドレスとは? インターネット上の「住所」

IPアドレスは、Internet Protocol Addressの略で、インターネットやTCP/IPネットワークに接続された機器(コンピューター、スマートフォン、サーバー、ルーター、ネットワークプリンターなど)それぞれに割り当てられる識別番号です。これにより、ネットワーク上のどの機器が通信相手なのかを特定できます。

例えるなら、インターネットという巨大な郵便ネットワークの中で、各機器が持つユニークな「住所」のようなものです。データはこの住所を目がけて配送されます。

IPアドレスのバージョン:IPv4とIPv6

現在、主に使われているIPアドレスには2つのバージョンがあります。

  1. IPv4 (Internet Protocol version 4):

    • これは現在も広く使われている古いバージョンのIPアドレスです。
    • 「192.168.1.10」のように、0から255までの4つの数字をドット(.)で区切った形式が一般的です。
    • この形式では、約43億個のアドレスを表現できます。
    • しかし、インターネットに接続される機器が爆発的に増加した結果、IPv4アドレスはほぼ枯渇してしまいました。新しい機器にグローバルIPアドレスを割り当てるのが難しくなっています。
  2. IPv6 (Internet Protocol version 6):

    • IPv4アドレスの枯渇問題を解決するために開発された新しいバージョンのIPアドレスです。
    • 「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」のように、16進数(0-9, a-f)をコロン(:)で区切った長い形式です。省略記法もあります(例: 2001:db8::8a2e:370:7334)。
    • これにより、約340澗(かん)個(340兆の1兆倍の1兆倍)という天文学的な数のアドレスを表現できます。事実上、アドレスが枯渇する心配はありません。
    • IPv6はIPv4の後継として徐々に普及が進んでいますが、まだIPv4も多くの場所で使われています。多くのネットワーク環境では、IPv4とIPv6の両方が使えるようになっています。

この記事であなたのIPアドレスを調べる際には、IPv4アドレスとIPv6アドレスの両方が表示される場合があります。

IPアドレスの種類:グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

IPアドレスは、その使われる範囲によって大きく二つに分けられます。

  1. グローバルIPアドレス (Public IP Address):

    • インターネット全体で唯一無二のアドレスです。
    • 世界中のどこからでもアクセス可能なコンピューターやサーバーが持つアドレスです。
    • あなたの自宅や会社のネットワークがインターネットに接続する際、プロバイダー(インターネット接続業者)から割り当てられる「外向けの住所」のようなものです。
    • ウェブサイトを閲覧したり、メールを送受信したり、インターネット上のサービスを利用したりする際に、あなたの機器はグローバルIPアドレスを使って通信を行います。
    • 通常、あなたの自宅や会社のネットワーク全体に対して、プロバイダーから1つ(またはいくつか)のグローバルIPアドレスが割り当てられます。このアドレスは、ルーターなどのネットワーク機器が保持し、宅内の複数の機器がインターネットにアクセスする際に共有されます(NATという技術が使われます。これについては後述します)。
  2. プライベートIPアドレス (Private IP Address):

    • 特定の限られたネットワーク内(例えば、あなたの自宅のLAN内や会社のLAN内)でのみ有効なアドレスです。
    • インターネット全体で一意である必要はなく、他のネットワークで同じプライベートIPアドレスが使われていても問題ありません。
    • 自宅のルーターを介してインターネットに接続している複数の機器(PC、スマホ、ゲーム機、スマート家電など)には、それぞれルーターからプライベートIPアドレスが割り当てられています。
    • これらの機器同士が宅内ネットワークで通信する際に使われるアドレスです。
    • プライベートIPアドレスとして使用できる範囲は、RFC 1918という仕様で定められています。代表的な範囲は以下の通りです。
      • 10.0.0.010.255.255.255
      • 172.16.0.0172.31.255.255
      • 192.168.0.0192.168.255.255
    • 自宅のルーターの管理画面にアクセスしたり、宅内のプリンターにデータを送ったりする際に、これらのプライベートIPアドレスが使われます。

あなたがインターネット上のウェブサイトなどにアクセスする際に相手に伝わるのは、基本的にあなたのグローバルIPアドレスです。一方、あなたのコンピューターやスマートフォン自体に割り当てられている宅内ネットワーク上のアドレスはプライベートIPアドレスです。

この記事で「あなたのIPアドレスを調べる」という場合、多くの方が知りたいのは「インターネット上での自分の顔」ともいえるグローバルIPアドレスでしょう。しかし、宅内ネットワークの設定などではプライベートIPアドレスを知る必要もあります。そのため、両方の調べ方を解説します。

動的IPアドレスと固定IPアドレス

IPアドレスの割り当て方には、主に二つの方式があります。

  1. 動的IPアドレス (Dynamic IP Address):

    • インターネットに接続するたび、あるいは一定期間ごとに、プロバイダーやネットワーク管理者から自動的に割り当てられるIPアドレスです。
    • 多くの一般家庭向けインターネット接続サービスでは、コスト削減や管理の容易さから動的IPアドレスが採用されています。
    • 電源のオンオフや回線の再接続などでIPアドレスが変わる可能性があります。
    • プライベートIPアドレスも、多くの場合はルーター内のDHCPサーバー機能によって、機器に動的に割り当てられます。
  2. 固定IPアドレス (Static IP Address):

    • 常に同じアドレスが割り当てられるIPアドレスです。
    • 変更されることはありません(プロバイダー側の都合で変更される可能性はゼロではありませんが、基本的には固定です)。
    • ウェブサーバーやメールサーバー、VPN接続の終端装置など、外部から常に同じアドレスでアクセスできるようにしたい場合に利用されます。
    • 一般家庭向けのインターネット接続で固定IPアドレスを利用するには、通常、プロバイダーに別途申し込みを行い、追加料金を支払う必要があります。

あなたが現在利用しているインターネット接続が動的IPアドレスを使っている場合、今日調べたIPアドレスが明日も同じとは限りません。一方、固定IPアドレスの場合は常に同じです。

自分の「グローバルIPアドレス」を調べる方法

さあ、いよいよ実際にあなたのIPアドレスを調べてみましょう。まずは、インターネット上でのあなたの「顔」となるグローバルIPアドレスから調べます。これは、最も簡単で手軽な方法がいくつかあります。

方法1:IPアドレス確認Webサービスを利用する【最も簡単!】

これが、おそらく最も簡単で手軽な方法です。IPアドレス確認用のウェブサイトにアクセスするだけで、あなたのグローバルIPアドレスが表示されます。

仕組み:
なぜこのようなサイトにアクセスするだけでIPアドレスがわかるのでしょうか?それは、あなたがウェブサイトにアクセスする際に、あなたのコンピューターやスマートフォンが送信するデータ(HTTPリクエスト)の中に、送信元であるあなたのグローバルIPアドレスが含まれているからです。ウェブサイト側はその情報を受け取り、それを画面に表示しているというわけです。

具体的な手順:

  1. インターネットブラウザを開く: Google Chrome, Safari, Firefox, Microsoft Edgeなど、普段お使いのウェブブラウザを起動します。
  2. 以下のいずれかのウェブサイトにアクセスする:

    • CMAN: https://www.cman.jp/network/support/go_access.cgi
    • 確認くん: https://www.ugtop.com/serv/ied.html
    • WHAT’S MY IP: https://www.whatsmyip.org/ (英語サイトですがシンプルです)
    • Google検索: Googleの検索窓に「IPアドレス 確認」や「my ip address」と入力して検索します。検索結果の最上部に直接あなたのIPアドレスが表示されることがあります。
    • その他多数: 上記以外にも、多くのウェブサイトがIPアドレス確認サービスを提供しています。検索エンジンで「IPアドレス 確認」と検索すればたくさん見つかります。
  3. 表示されたIPアドレスを確認する:
    サイトにアクセスすると、特別な操作をしなくても画面上にあなたのグローバルIPアドレス(IPv4形式またはIPv6形式)が表示されているはずです。

    • IPv4アドレスの例: 123.45.67.89 のような形式
    • IPv6アドレスの例: 2400:****:****:****:****:****:****:**** のような形式(セキュリティやプライバシーに配慮して一部伏せ字になっている場合や、末尾が異なる場合があります)

    多くのサイトでは、IPアドレスだけでなく、そのIPアドレスから推定される情報(国、地域、インターネットサービスプロバイダー名など)も表示されます。これは、IPアドレスと地理情報やプロバイダー情報が関連付けられたデータベースが存在するためです。

この方法のメリット:
* 特別な設定や知識は不要。
* どのデバイス(PC、スマホ、タブレット)からでも、ブラウザさえあれば使える。
* 最も手軽で分かりやすい。

この方法のデメリット:
* ウェブサイトにアクセスする必要がある。
* サイトによっては広告が多い場合がある。
* 表示される情報(地域やプロバイダー名)はあくまで推定であり、必ずしも正確とは限らない場合がある。

この方法が、あなたがインターネット上で「今」、どのようなグローバルIPアドレスを使っているかを知るための最も簡単な方法です。

方法2:コマンドプロンプトやターミナルを利用する方法(外部サービス利用)

少しコマンドに慣れている方であれば、コマンドラインツールを使ってIPアドレス確認Webサービスを利用することも可能です。これは、ウェブブラウザを開かずに手軽に確認したい場合に便利です。

仕組み:
これも方法1と同様に、外部のIPアドレス確認サービスを利用しています。異なるのは、ブラウザではなく、コマンドラインからそのサービスにアクセスして情報を取得している点です。curl コマンドなどは、指定したURLからデータを取得するツールであり、その際に送信元IPアドレスの情報も含まれます。

具体的な手順(Windows – コマンドプロンプト):

  1. コマンドプロンプトを開く:
    • Windowsの検索バーに「cmd」または「コマンドプロンプト」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」をクリックします。
  2. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す:
    bash
    curl ifconfig.me

    または
    bash
    curl globalip.me

    curl コマンドがインストールされていない古いWindowsバージョンの場合は、PowerShellで Invoke-RestMethod ifconfig.me を使うか、curl をインストールする必要があります。Windows 10以降は多くの環境で標準で使えます。)
  3. 表示されたIPアドレスを確認する:
    コマンドを実行すると、あなたのグローバルIPアドレスが文字列として表示されます。

具体的な手順(macOS/Linux – ターミナル):

  1. ターミナルを開く:
    • macOS: アプリケーション > ユーティリティ > ターミナル
    • Linux: アプリケーションメニューから「ターミナル」を探して起動します。
  2. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す:
    bash
    curl ifconfig.me

    または
    bash
    curl globalip.me

    あるいは
    bash
    curl inet-ip.info
  3. 表示されたIPアドレスを確認する:
    コマンドを実行すると、あなたのグローバルIPアドレスが文字列として表示されます。

この方法のメリット:
* ブラウザを起動せずに素早く確認できる。
* 他のコマンド操作と組み合わせて利用しやすい。

この方法のデメリット:
* コマンドの入力が必要。
* curl などのコマンドがインストールされている必要がある。
* 利用する外部サービスの提供状況に依存する。

これらの方法で表示されるのは、あなたが「インターネット上のどこにいるか」を示すグローバルIPアドレスです。

自分の「プライベートIPアドレス」を調べる方法

次に、あなたのコンピューターやスマートフォンなどのデバイスが、自宅や会社のネットワーク内で使っているプライベートIPアドレスを調べる方法です。これは、主にネットワーク設定の確認や、宅内ネットワークのトラブルシューティング、特定の機器へのアクセスなどに使われます。

プライベートIPアドレスは、各デバイスのネットワーク設定画面や、OSに標準搭載されているネットワーク設定確認コマンドを使って調べます。

WindowsでプライベートIPアドレスを調べる方法

Windowsには、コマンドプロンプトを使う方法と、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の設定画面を使う方法があります。

方法1:コマンドプロンプトを使う (ipconfigコマンド) 【最も一般的】

これがWindowsで自分のIPアドレス(主にプライベートIPアドレス)やネットワーク設定を調べる最も一般的で強力な方法です。

具体的な手順:

  1. コマンドプロンプトを開く:
    • Windowsの検索バーに「cmd」または「コマンドプロンプト」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」をクリックします。
  2. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す:
    bash
    ipconfig
  3. 表示された情報を確認する:
    ipconfig コマンドを実行すると、現在接続しているネットワークアダプター(有線LANや無線LANなど)ごとのネットワーク設定情報が表示されます。

    出力例(一部抜粋):
    “`
    Windows IP 構成

    イーサネット アダプター イーサネット:

    接続固有の DNS サフィックス . . . .:
    リンクローカル IPv6 アドレス. . . .: fe80::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx%xx
    IPv4 アドレス . . . . . . . . . . .: 192.168.1.100 <– これがあなたのプライベートIPv4アドレス!
    サブネット マスク . . . . . . . . .: 255.255.255.0
    デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1 <– これがルーターのプライベートIPアドレス!

    ワイヤレス LAN アダプター Wi-Fi:

    メディアの状態. . . . . . . . . . . . . .: メディアは接続されていません。

    …(他のアダプター情報)…
    “`

    • あなたが現在接続しているネットワークアダプター(通常は「イーサネット アダプター イーサネット」または「ワイヤレス LAN アダプター Wi-Fi」)を探します。
    • その項目の中にある 「IPv4 アドレス」 の横に表示されているのが、あなたのコンピューターに割り当てられているプライベートIPv4アドレスです。
    • 「デフォルト ゲートウェイ」 の横に表示されているアドレスは、あなたのコンピューターが外部ネットワーク(インターネットを含む)と通信する際に経由する機器、つまり通常はあなたのルーターのプライベートIPアドレスです。このアドレスも、ルーターの設定画面にアクセスする際などに必要になることがあります。
    • もしIPv6が有効になっていれば、「IPv6 アドレス」や「一時 IPv6 アドレス」なども表示されます。

さらに詳細な情報を表示する場合:
ipconfig /all コマンドを使うと、DHCPサーバー、DNSサーバー、物理アドレス(MACアドレス)など、さらに詳しいネットワーク構成情報を表示できます。

この方法のメリット:
* OS標準機能で、外部ツール不要。
* ネットワークに関する様々な情報を一度に確認できる。
* トラブルシューティングで非常によく使われる。

この方法のデメリット:
* コマンドプロンプトの操作が必要。
* 表示される情報が多いので、必要な情報を見つけるのに慣れが必要かもしれない。

方法2:Windowsの設定画面を使う

コマンドプロンプトではなく、グラフィカルな設定画面からIPアドレスを確認することもできます。初心者の方にはこちらの方が分かりやすいかもしれません。

具体的な手順 (Windows 10/11の場合):

  1. スタートボタンをクリックし、設定を開く:
    • 画面左下のWindowsロゴ(スタートボタン)をクリックし、歯車アイコンの「設定」をクリックします。
  2. 「ネットワークとインターネット」をクリックする:
    • 設定画面が表示されたら、「ネットワークとインターネット」の項目をクリックします。
  3. 現在接続しているネットワークの種類を選択する:
    • Wi-Fiで接続している場合は「Wi-Fi」をクリックします。
    • 有線LANで接続している場合は「イーサネット」をクリックします。
  4. ネットワーク接続の詳細を表示する:
    • Wi-Fiを選択した場合: 接続しているネットワーク名(SSID)をクリックします。
    • イーサネットを選択した場合: 画面を下にスクロールし、現在接続中のネットワーク(通常はアダプター名が表示されています)をクリックします。
  5. IPアドレスを確認する:
    • 表示された画面の中に、「IPv4 アドレス」または「IPアドレス」という項目があります。その横に表示されているのが、あなたのコンピューターのプライベートIPv4アドレスです。
    • 同様に、「デフォルト ゲートウェイ」の項目でルーターのプライベートIPアドレスも確認できます。
    • IPv6が有効な場合は、「IPv6 アドレス」も表示されます。

この方法のメリット:
* 視覚的に分かりやすい。
* コマンド操作が不要。
* ネットワーク設定全般を確認しやすい。

この方法のデメリット:
* コマンドプロンプトより手間がかかる場合がある。
* 表示される情報がコマンドプロンプトより少ない場合がある(ipconfig /all と比較した場合)。

どちらの方法でも、Windowsマシンに割り当てられているプライベートIPアドレスを確認できます。通常は 192.168.x.x10.x.x.x といった形式のアドレスが表示されるはずです。

macOSでプライベートIPアドレスを調べる方法

macOSでも、ターミナルを使う方法と、システム設定(またはシステム環境設定)を使う方法があります。

方法1:ターミナルを使う (ifconfigコマンド / ip a コマンド)

Unix/Linux系のコマンドに慣れている方にはこちらが便利です。ifconfig は古いコマンドですが現在も広く使われています。より新しいのは ip a コマンドです。

具体的な手順:

  1. ターミナルを開く:
    • 画面上部のメニューバーの「移動」をクリックし、「ユーティリティ」を選択。「ターミナル」をダブルクリックして起動します。または、Spotlight検索(Command + Spaceキー)で「ターミナル」と入力して起動します。
  2. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す:
    • ifconfig (または ifconfig [ネットワークインターフェース名] 例: ifconfig en0
    • ip a (最近のmacOSでも利用可能です)
  3. 表示された情報を確認する:

    • ifconfig の場合、ネットワークインターフェース(en0 が有線LAN、en1en0 がWi-Fiなど)ごとに情報が表示されます。接続中のインターフェースを探し、inet の横に表示されているアドレスがプライベートIPv4アドレスです。inet6 の横がIPv6アドレスです。

    出力例(ifconfig en0 の一部抜粋):
    en0: flags=8863<UP,BROADCAST,SMART,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
    ether xx:xx:xx:xx:xx:xx
    inet 192.168.1.101 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.1.255 <-- これがあなたのプライベートIPv4アドレス!
    inet6 fe80::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx%en0 prefixlen 64 scopeid 0x4
    ...(他の情報)...

    • ip a の場合も同様に、インターフェース情報が表示されます。接続中のインターフェースを探し、inet の行でIPv4アドレス、inet6 の行でIPv6アドレスを確認します。

    出力例(ip a の一部抜粋):
    ...
    3: en0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP group default qlen 1024
    link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.1.101/24 brd 192.168.1.255 scope global dynamic en0 <-- これがあなたのプライベートIPv4アドレス!(/24はサブネットマスク)
    valid_lft 84862sec preferred_lft 84862sec
    inet6 fe80::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx/64 scope link <-- IPv6アドレス
    valid_lft forever preferred_lft forever
    ...

    /24 はサブネットマスク 255.255.255.0 をCIDR表記したものです)

この方法のメリット:
* OS標準機能で、外部ツール不要。
* 素早く情報を確認できる。

この方法のデメリット:
* ターミナルの操作が必要。
* Windowsの ipconfig とはコマンド名や出力形式が異なる。

方法2:システム設定(またはシステム環境設定)を使う

GUIを使って確認したい場合は、システム設定(macOS Ventura以降)またはシステム環境設定(macOS Monterey以前)から行います。

具体的な手順 (macOS Ventura以降):

  1. Appleメニューから「システム設定」を開く:
    • 画面左上のAppleロゴをクリックし、「システム設定」を選択します。
  2. 左側のメニューから「ネットワーク」を選択する:
    • 「ネットワーク」をクリックします。
  3. 現在接続しているネットワークインターフェースを選択する:
    • 左側のリストから、現在接続しているインターフェース(Wi-FiまたはEthernet)を選択します。接続中のものは緑色のランプが表示されているはずです。
  4. 詳細情報を表示する:
    • Wi-Fiの場合は、画面右側の接続中のネットワーク名の下にある「詳細…」ボタンをクリックします。
    • Ethernetの場合は、画面右側の接続中の状態表示の下にある「詳細…」ボタンをクリックします。
  5. 「TCP/IP」タブを選択し、IPアドレスを確認する:
    • 表示された詳細画面の上部にある「TCP/IP」タブをクリックします。
    • 「IPv4 アドレス」の横に、あなたのMacのプライベートIPv4アドレスが表示されています。
    • 「ルーター」の横に表示されているのが、ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)です。
    • IPv6が有効な場合は、「IPv6 アドレス」の項目も表示されます。

具体的な手順 (macOS Monterey以前):

  1. Appleメニューから「システム環境設定」を開く:
    • 画面左上のAppleロゴをクリックし、「システム環境設定」を選択します。
  2. 「ネットワーク」をクリックする:
    • システム環境設定ウィンドウの中にある「ネットワーク」アイコンをクリックします。
  3. 左側のリストから現在接続しているネットワークインターフェースを選択する:
    • 左側のリストから、現在接続しているインターフェース(Wi-FiまたはEthernet)を選択します。接続中のものは緑色のランプが表示されています。
  4. IPアドレスを確認する:
    • 画面右側に表示される情報の中に、「IPアドレス」という項目があります。その横に表示されているのが、あなたのMacのプライベートIPv4アドレスです。
    • 「ルーター」の横に表示されているのが、ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)です。
    • IPv6が有効な場合は、「IPv6 アドレス」の項目も表示されます。

この方法のメリット:
* 視覚的に分かりやすい。
* コマンド操作が不要。

この方法のデメリット:
* コマンドプロンプトより手間がかかる場合がある。
* OSのバージョンによって手順が若干異なる場合がある。

スマートフォン(iPhone/Android)でプライベートIPアドレスを調べる方法

スマートフォンも、自宅のWi-Fiなどに接続している場合はプライベートIPアドレスが割り当てられています。これは、通常Wi-Fi設定画面から確認できます。

具体的な手順 (iPhone – iOS):

  1. 「設定」アプリを開く:
    • ホーム画面から「設定」アプリのアイコンをタップします。
  2. 「Wi-Fi」をタップする:
    • 設定画面の中にある「Wi-Fi」の項目をタップします。
  3. 現在接続しているWi-Fiネットワーク名の横にある情報アイコンをタップする:
    • 接続中のWi-Fiネットワーク名(SSID)の右側に表示されている青い丸に「i」が入ったアイコン(情報アイコン)をタップします。
  4. IPアドレスを確認する:
    • 表示された詳細画面の中に、「IPv4アドレス」の項目があります。その下の「IPアドレス」の横に表示されているのが、あなたのiPhoneのプライベートIPv4アドレスです。
    • 「ルーター」の横に表示されているのが、ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)です。
    • 「IPv6アドレス」の項目も表示されます。

具体的な手順 (Android – バージョンによって若干異なります):

  1. 「設定」アプリを開く:
    • ホーム画面またはアプリ一覧から「設定」アプリのアイコンをタップします。
  2. 「ネットワークとインターネット」または「接続」などの項目をタップする:
    • 設定のカテゴリは端末やOSバージョンによって異なります。「Wi-Fi」に関連する項目を探してください。
  3. 「Wi-Fi」をタップする:
    • Wi-Fiの項目をタップします。
  4. 現在接続しているWi-Fiネットワーク名をタップする:
    • 接続中のWi-Fiネットワーク名(SSID)をタップします。
  5. IPアドレスを確認する:
    • 表示された詳細画面を下にスクロールすると、「IPアドレス」という項目が表示されます。これが、あなたのAndroidスマートフォンのプライベートIPアドレスです。
    • 多くの場合、「ルーター」または「ゲートウェイ」としてルーターのプライベートIPアドレスも表示されます。
    • 端末によっては、詳細設定などを開く必要がある場合があります。

この方法のメリット:
* 特別なアプリは不要。
* 日常的に使うスマートフォンの設定から手軽に確認できる。

この方法のデメリット:
* 端末の種類やOSバージョンによって手順が若干異なる。
* モバイルデータ通信(4G/5G)で接続している場合は、ネットワークの種類が異なるためこの方法では確認できません(モバイルデータ通信の場合に割り当てられるアドレスは、プロバイダーのネットワーク内で使われるアドレスであり、自宅のプライベートIPアドレスとは全く異なります)。

ルーターの設定画面から接続機器のIPアドレスを調べる方法

自宅のルーターに接続しているすべての機器のプライベートIPアドレスを確認したい場合や、特定の機器にどのIPアドレスが割り当てられているかを知りたい場合は、ルーターの設定画面を確認するのが最も確実です。

仕組み:
家庭用ルーターの多くには、DHCPサーバーという機能が搭載されています。これは、ネットワークに接続してきた機器に対して、空いているプライベートIPアドレスを自動的に割り当てる役割を担います。ルーターは、どの機器にどのIPアドレスを割り当てたかを記録しています。この記録は、ルーターの設定画面から確認できます。

具体的な手順 (一般的なルーターの場合):

  1. ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)を調べる:
    • 上記で解説した、PCやスマートフォンでプライベートIPアドレスを調べる方法を実行し、「デフォルト ゲートウェイ」または「ルーター」の項目に表示されているアドレスを確認します。これが通常、ルーターの設定画面にアクセスするためのアドレスです(例: 192.168.1.1, 192.168.0.1 など)。
  2. ウェブブラウザを開き、ルーターのアドレスを入力する:
    • PCやスマートフォンのウェブブラウザのアドレスバーに、手順1で調べたルーターのIPアドレスを入力してEnterキーを押します。
  3. ルーターのログイン画面にアクセスする:
    • ルーターのログイン画面が表示されます。ユーザー名とパスワードを入力してログインします。
    • 注意: ユーザー名とパスワードは、ルーターの取扱説明書に記載されている初期値を使用するか、あなたが以前に設定したものを入力します。初期値はルーター本体のシールや取扱説明書に書かれていることが多いです。ログイン情報を変更した場合は、その情報を覚えておく必要があります。もし忘れてしまった場合は、ルーターをリセットすることになりますが、その場合インターネット接続設定などもやり直しになるので注意が必要です。
  4. 接続機器リストやDHCP設定画面を探す:
    • ルーターの設定画面にログインしたら、メニューの中から「接続中の機器リスト」「DHCPクライアントリスト」「LAN設定」「ステータス」「接続端末情報」といった項目を探します。
  5. 接続機器とIPアドレスのリストを確認する:
    • これらの項目の中に、現在ルーターに接続している機器のリストと、それぞれに割り当てられているプライベートIPアドレス(IPv4アドレス)が表示されています。機器の「MACアドレス」や「ホスト名」なども同時に表示されることが多いです。

この方法のメリット:
* 自宅ネットワークに接続しているすべての機器のIPアドレスを確認できる。
* DHCP割り当て状況や、特定の機器が接続できているかなどを確認できる。

この方法のデメリット:
* ルーターの設定画面にログインする必要がある。
* ルーターのユーザー名とパスワードが必要。
* ルーターのメーカーや機種によって設定画面の構成や項目名が大きく異なる。
* 設定を誤ると、ネットワーク接続に問題が発生する可能性があるため注意が必要。

このように、プライベートIPアドレスの調べ方にも様々な方法があり、調べたいデバイスや状況に応じて最適な方法を選択できます。

なぜあなたのIPアドレスを知る必要があるのか? より具体的なシナリオ

IPアドレスの調べ方は分かりましたが、実際にどのような場面でそれが役立つのでしょうか?もう少し具体的なシナリオを見てみましょう。

シナリオ1:インターネットに繋がらない!トラブルシューティング

  • 状況: ある日突然、インターネットに接続できなくなった。特定のウェブサイトだけ見られない、といった不具合が発生した。
  • IPアドレスの活用:
    • まず、自分のPCやスマホのプライベートIPアドレスを確認します。アドレスが 169.254.x.x といった形式になっている場合、それはIPアドレスが正常に取得できていないことを意味します(APIPAアドレス)。これは、ルーターのDHCPサーバーに問題があるか、ルーターとの通信ができていない可能性を示唆します。
    • ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)にpingコマンドを打ってみて、ルーターまで通信ができているか確認します。(例: ping 192.168.1.1
    • もしルーターまでは通信できるのにインターネットに繋がらない場合は、ルーターがインターネットに接続できていない可能性があります。ルーターの管理画面にアクセスし、プロバイダーから割り当てられたグローバルIPアドレス(WAN側のIPアドレス)が正しく表示されているか確認します。ここにアドレスが表示されていない、またはエラーが表示されている場合は、プロバイダー側との接続に問題がある、あるいはルーターの設定(PPPoE設定など)に誤りがある可能性が高いです。
    • 特定のサイトだけ見られない場合、そのサイトのサーバーとの通信経路に問題があるか、あるいはDNSサーバーに問題があることが考えられます。自分のPCが使用しているDNSサーバーのIPアドレスを確認することも役立ちます(ipconfig /all コマンドなどで確認できます)。

このように、IPアドレスや関連するネットワーク設定を確認することは、ネットワークトラブルの原因を切り分ける上で非常に重要なステップとなります。

シナリオ2:友達とオンラインゲームをプレイしたい

  • 状況: 友達と協力プレイや対戦ができるオンラインゲームで遊びたい。ただし、ゲームの種類によっては、特定のネットワーク設定が必要な場合がある。
  • IPアドレスの活用:
    • 一部のゲーム(特に古いものや、サーバーを立ててプレイするもの)では、「ポート開放」という設定が必要になることがあります。これは、外部から特定のポート番号を使ってあなたのPCにアクセスできるようにする設定です。ポート開放を行う際には、ルーターの設定画面で「どのプライベートIPアドレスの機器に」「どのポート番号へのアクセスを許可するか」を指定する必要があります。そのため、ゲームをプレイするPCに割り当てられているプライベートIPアドレスを知る必要があります。また、外部の友達があなたのゲームサーバーにアクセスするためには、あなたのグローバルIPアドレスを知っている必要があります。
    • あなたのグローバルIPアドレスが動的に変わる場合、毎回友達に新しいアドレスを伝えるのは面倒です。この問題を解決するために、ダイナミックDNS(DDNS)というサービスを利用することがあります。これは、動的に変わるグローバルIPアドレスと、固定のホスト名(例: mygameserver.ddns.net)を紐付けるサービスです。DDNSを設定する際にも、現在のグローバルIPアドレスを確認したり、ルーターにDDNS設定を行ったりする必要があります。

シナリオ3:自宅にVPNでアクセスしたい

  • 状況: 外出先から自宅のPCに安全にアクセスしたい、あるいは自宅ネットワークを経由してインターネットにアクセスしたい。
  • IPアドレスの活用:
    • 自宅ネットワークに外部からVPN接続するためには、自宅ネットワークの入口であるルーターまたはVPNサーバー機器のグローバルIPアドレスを知っている必要があります。
    • VPNサーバーを自宅のPCなどで運用する場合、そのPCのプライベートIPアドレスを固定しておくと、ルーター側のポート転送設定などが容易になります。

シナリオ4:自宅でウェブサーバーやファイルサーバーを公開したい

  • 状況: 自分で作成したウェブサイトを公開したい、あるいは自宅のNAS(ネットワーク対応HDD)に外部からアクセスできるようにしたい。
  • IPアドレスの活用:
    • 外部インターネットから自宅内のサーバー機器にアクセスするには、自宅のグローバルIPアドレスと、ルーターでのポート転送設定(サーバー機器のプライベートIPアドレスとポート番号を指定)が必要です。グローバルIPアドレスが動的な場合は、前述のDDNSサービスを利用するのが一般的です。
    • サーバー機器自体に割り当てるプライベートIPアドレスも、ルーターのDHCP機能で固定割り当てにするか、機器側で手動で固定設定にしておく必要があります。

シナリオ5:ルーターの設定を変更したい

  • 状況: Wi-Fiのパスワードを変更したい、新しい機器を接続するために設定を変えたい、ポート開放設定を行いたいなど。
  • IPアドレスの活用:
    • ルーターの設定画面にアクセスするためには、ルーターのプライベートIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)を知る必要があります。

このように、IPアドレスは様々なネットワーク設定やトラブル解決の鍵となります。

IPアドレスに関するよくある疑問と注意点

IPアドレスの調べ方や活用方法を理解したところで、IPアドレスに関するいくつかの疑問や知っておくべき注意点についても触れておきましょう。

疑問1:IPアドレスから個人情報が特定されるって本当?

よく「IPアドレスから個人が特定される」と言われることがありますが、これは厳密には少し違います。

  • IPアドレスから分かること:
    • アクセス元の国、地域(都道府県、市町村レベルまで)、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の名前などは、IPアドレスと紐づけられた公開データベース(IP Geolocationデータベース)によって推定可能です。これはIPアドレス確認サイトで表示される情報のことです。
    • 企業や学校などの組織が所有するIPアドレスであれば、その組織名が分かることもあります。
  • IPアドレスだけでは分からないこと:
    • IPアドレスだけを見て、特定の個人(氏名、住所など)を直接特定することはできません。IPアドレスは、あくまでネットワーク上の機器や接続点を識別するものです。

個人特定に至る場合:
IPアドレスから個人が特定される可能性があるのは、以下のような場合です。

  • プロバイダーへの照会: 警察や裁判所からの正式な手続き(捜査令状など)があれば、インターネットサービスプロバイダーは、特定のIPアドレスを「いつ」「誰(契約者情報)」に割り当てていたか、という記録を開示することがあります。これにより、IPアドレスが特定の契約者情報と紐づけられ、個人特定に至る可能性があります。
  • ウェブサイトのログと組み合わせる: ウェブサイトの管理者は、アクセスログにIPアドレスと同時に、サイト内でログインしたユーザー情報などを記録している場合があります。この場合、IPアドレスとログイン情報が紐づくことで、特定の個人を識別できる可能性があります。
  • 他の情報との組み合わせ: SNSへの投稿や書き込みなど、IPアドレス以外の情報と組み合わせることで、個人が特定されるリスクが高まることがあります。

結論として、単にIPアドレスが第三者に知られただけで、即座に氏名や住所といった個人情報が漏洩するわけではありません。しかし、違法行為などが行われた場合には、IPアドレスが捜査の糸口となり、プロバイダーへの照会によって個人が特定される可能性はあります。

疑問2:私のIPアドレスはいつも同じなの?

前述したように、あなたがプロバイダーと固定IPアドレスの契約をしている場合は、基本的にIPアドレスは変わりません。

しかし、多くの一般家庭向けインターネット接続サービスで使われている動的IPアドレスの場合は、IPアドレスが変わる可能性があります。IPアドレスが変わるタイミングは、プロバイダーの運用によりますが、一般的には以下のような場合に更新されることが多いです。

  • ルーターの電源を入れ直したとき
  • インターネット回線(モデムやONU)の電源を入れ直したとき
  • ルーターを交換したとき
  • プロバイダー側のメンテナンスや機器の再起動があったとき
  • DHCPリース期間が終了し、新しいアドレスが割り当てられたとき(リース期間は数時間~数日であることが多い)

動的IPアドレスの場合、IPアドレスがいつ、どのように変わるかを正確に予測することは難しいです。

疑問3:IPアドレスから「今どこにいるか」が正確にわかるの?

IPアドレスから推定される地理情報は、完璧に正確ではありません。

  • 通常、IPアドレスから分かるのは、そのIPアドレスを管理しているプロバイダーがどこにあるか、あるいはプロバイダーのネットワークの比較的大きな区分けの単位(市町村やその周辺)までです。
  • 特定の番地や建物といった正確な位置(GPSのような精度)をIPアドレスから直接知ることはできません。
  • また、VPNやプロキシサーバーを経由している場合、表示されるIPアドレスはあなたが実際にいる場所のものではなく、VPNサーバーやプロキシサーバーが設置されている場所の情報になります。

IP Geolocationサービスは、IPアドレスのブロック情報と、そのブロックを割り当てられている組織(プロバイダーなど)の登録情報や、過去の接続情報などを組み合わせて推定を行っています。そのため、特にモバイル回線や新しいネットワーク環境では、情報の精度が低くなることもあります。

注意点:あなたのグローバルIPアドレスは外部から見えている

あなたがインターネット上のウェブサイトやサービスにアクセスする際、あなたのグローバルIPアドレスは通信相手に知られます。これはインターネット通信の仕組み上避けられないことです。

IPアドレスが知られること自体は通常問題ありませんが、もしあなたのIPアドレスが、特定の個人情報やオンラインでの行動と結びつけて公開されてしまうと、プライバシー上のリスクとなり得ます。例えば、匿名で書き込みをしたつもりが、IPアドレスからプロバイダーが特定され、さらにそのIPアドレスが過去に行った他の行動や、他の場所で漏洩した情報と結びつけられる可能性などが考えられます。

また、あなたのグローバルIPアドレスが分かれば、そのアドレスに対して外部から様々な通信が試みられる可能性があります。例えば、ポートスキャンによって開いているポートがないか探られたり、脆弱性を狙った攻撃を仕掛けられたりするリスクもゼロではありません(ただし、多くの家庭用ルーターは初期設定で不要な外部からのアクセスをブロックする機能を持っています)。

IPアドレスを隠したい/変更したい場合は?

もし、オンラインでの活動においてプライバシーを高めたい、あるいは地理的な制限を回避したいといった理由で、自分の実際のグローバルIPアドレスを隠したい、または異なるIPアドレスを使いたい場合は、以下のような技術が利用されます。

  • VPN (Virtual Private Network): VPNサービスに接続すると、あなたのインターネット通信は一度VPNサーバーを経由するようになります。この場合、あなたがアクセスするウェブサイトやサービスからは、あなたの本当のグローバルIPアドレスではなく、VPNサーバーのグローバルIPアドレスが見えることになります。これにより、あなたの元のIPアドレスや所在地を隠すことができます。
  • プロキシサーバー (Proxy Server): プロキシサーバーも同様に、あなたの通信を中継する役割を果たします。アクセス先からはプロキシサーバーのIPアドレスが見えます。VPNと似ていますが、プロキシはアプリケーションごとなど、より特定の通信に利用されることが多いです。VPNはネットワーク全体を暗号化して中継しますが、プロキシは必ずしも暗号化しません。
  • Tor (The Onion Router): 複数のサーバーを経由して通信をリレーすることで、発信元を特定されにくくする匿名化ネットワークです。非常に高い匿名性を提供しますが、通信速度が遅くなる傾向があります。

これらの技術を利用すると、IPアドレス確認サイトで表示されるアドレスは、あなたが利用しているVPNサーバーやプロキシサーバー、Torネットワークの出口ノードのアドレスになります。

IPアドレスと関連するネットワーク技術

IPアドレスは、インターネットを支える様々な技術と連携して機能しています。IPアドレスの理解をさらに深めるために、いくつか関連技術についても簡単に触れておきましょう。

DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol)

前述したように、DHCPはネットワークに接続された機器にIPアドレスなどのネットワーク設定情報を自動的に割り当てるプロトコルです。

自宅のルーターがDHCPサーバーとして機能し、あなたのPCやスマホにプライベートIPアドレスを自動的に割り当てています。これにより、あなたが機器ごとに手動でIPアドレスを設定する手間が省け、簡単にネットワークに接続できるようになります。

プライベートIPアドレスの調べ方で解説した ipconfig コマンドなどで表示される情報(IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバー)は、通常このDHCPサーバーから自動的に受け取ったものです。

NAT (Network Address Translation)

NATは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する技術です。

一般家庭や会社のネットワークでは、複数の機器がインターネットに接続していますが、プロバイダーから割り当てられるグローバルIPアドレスは1つ(または少数)しかありません。これらの複数の機器が同時にインターネットにアクセスできるようにするために、ルーターがNATの役割を果たします。

宅内のプライベートIPアドレスを持つ複数の機器からのインターネットへの通信は、ルーターを通過する際に、送信元IPアドレスがルーターのグローバルIPアドレスに変換されます。インターネット上のサーバーからの応答パケットは、ルーターのグローバルIPアドレス宛に返ってきます。ルーターは、どの応答が宅内のどのプライベートIPアドレスの機器に対するものかを識別し、宛先IPアドレスをプライベートIPアドレスに変換して、該当する機器にパケットを転送します。

これにより、限られた数のグローバルIPアドレスを複数の機器で共有し、インターネットに同時に接続することが可能になっています。ほとんどの家庭用ルーターはこのNAT機能を内蔵しています。

あなたがウェブサイトにアクセスする際に外部に伝わるのは、このNATによって変換されたルーターのグローバルIPアドレスです。

DNS (Domain Name System)

インターネットを利用する際、私たちは通常「www.google.com」のような「ドメイン名」を入力します。しかし、コンピューターはドメイン名ではなく、IPアドレスを使って通信を行います。

DNSは、この「ドメイン名」とそれに対応する「IPアドレス」を結びつける(名前解決という)システムです。あなたがブラウザでドメイン名を入力すると、まずコンピューターはDNSサーバーに「このドメイン名に対応するIPアドレスは何ですか?」と問い合わせます。DNSサーバーは対応するIPアドレスを返し、コンピューターはそのIPアドレスを使って通信を開始します。

DNSサーバーのIPアドレスも、通常はDHCPによってルーターから自動的に割り当てられます。このDNSサーバーのアドレスも ipconfig /all コマンドなどで確認できます。DNSに問題が発生すると、IPアドレスではアクセスできるのにドメイン名ではウェブサイトが見られない、といった現象が起こることがあります。

ポート番号

IPアドレスがインターネット上の「住所」だとすれば、ポート番号は特定の機器上の「玄関」や「窓口」のようなものです。一つのIPアドレスを持つ機器(特にサーバーなど)では、複数の種類のサービス(ウェブサイト、メール、ファイル転送など)が同時に動いています。ポート番号は、それぞれのサービスを識別するために使われます。

  • ウェブサイトの閲覧(HTTP/HTTPS)は通常ポート80または443
  • メール受信(POP3)はポート110、受信(IMAP)はポート143、送信(SMTP)はポート25または587
  • ファイル転送(FTP)はポート20/21

など、サービスごとに標準的なポート番号が割り当てられています。あなたがインターネット上のサービスにアクセスする際、IPアドレスだけでなく、そのサービスのポート番号を指定して通信を行っています(通常はブラウザなどが自動で行います)。

IPアドレスとポート番号を組み合わせることで、インターネット上の特定の機器の特定のサービスに正確にデータを送ることができます。

まとめ:IPアドレスを理解し、安全に活用するために

この記事では、IPアドレスとは何かという基礎から、あなたのグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを調べる様々な方法、そしてIPアドレスがなぜ重要なのか、関連する技術、さらには知っておくべき注意点やセキュリティに関する情報まで、幅広く詳しく解説しました。

IPアドレスは、私たちがインターネットを利用する上で不可欠な要素ですが、普段その存在を意識することは少ないかもしれません。しかし、ネットワークの仕組みを理解し、トラブルに自力で対処したり、より高度なネットワーク設定を行ったり、そしてインターネットを安全に利用したりするためには、自分のIPアドレスがどのようなもので、どのように割り当てられ、どのように機能しているのかを知っておくことは非常に有益です。

今回ご紹介した最も簡単なIPアドレス確認Webサービスを利用する方法から、コマンドラインや設定画面を使った方法まで、ぜひ実際に手を動かしてあなたのIPアドレスを確認してみてください。そして、それがグローバルIPアドレスなのか、プライベートIPアドレスなのか、静的なのか動的なのか、といった性質を理解することで、インターネットという巨大なネットワークの一員として、あなたのデバイスがどのように世界と繋がっているのかを実感できるはずです。

IPアドレスは単なる数字の羅列ではなく、インターネット通信の土台となる重要な情報です。これを機にIPアドレスへの理解を深め、より快適で安全なインターネットライフを楽しんでください。

この記事のポイント:

  • IPアドレスはインターネット上の「住所」のようなもの。
  • IPv4とIPv6の二つのバージョンがある。
  • ネットワークの外向け「グローバルIPアドレス」と宅内向け「プライベートIPアドレス」がある。
  • IPアドレスは動的に変わる場合と固定の場合がある。
  • 自分のグローバルIPアドレスは、IPアドレス確認Webサービスで簡単に調べられる。
  • 自分のプライベートIPアドレスは、PCやスマホのネットワーク設定画面やコマンド(Windowsならipconfig、Macならifconfigまたはip a)で調べられる。
  • ルーターの設定画面からも、接続機器のプライベートIPアドレスを確認できる。
  • IPアドレスを知ることは、ネットワークトラブル解決、ゲームやサービス利用、リモートアクセス、サーバー構築、ルーター設定などに役立つ。
  • IPアドレス単体で個人を特定することは難しいが、他の情報と組み合わせると可能性はある。
  • IPアドレスは通常外部に知られるため、セキュリティやプライバシーに配慮した利用が重要。
  • IPアドレスはDHCP、NAT、DNSなどの関連技術と連携して機能している。

これで、あなたは自信を持って自分のIPアドレスを調べ、それが何を意味するのかを理解できるようになったはずです。インターネットの世界をもっと深く知る旅は、まだ始まったばかりかもしれません。


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