Aterm(エーターム)とは?NECの人気Wi-Fiルーターを紹介

はい、承知いたしました。「Aterm(エーターム)とは?NECの人気Wi-Fiルーターを紹介」というテーマで、約5000語の詳細な解説記事を作成します。


Aterm(エーターム)とは?NECの人気Wi-Fiルーターを徹底解説 – 選び方から最新モデルまで網羅

インターネットは、現代社会において空気のような存在になりました。仕事、学習、エンターテイメント、コミュニケーション、生活のあらゆる場面でインターネット接続は不可欠です。そして、家庭やオフィスで複数のデバイスを同時にインターネットに繋ぐために欠かせないのが、「Wi-Fiルーター」です。

数あるWi-Fiルーターメーカーの中でも、国内メーカーとして長年にわたり高い支持を得ているのが、NECプラットフォームズが提供する「Aterm(エーターム)」シリーズです。街中や家電量販店でAtermのロゴや製品を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

なぜAtermは多くのユーザーに選ばれ続けているのでしょうか?その歴史、製品の特徴、人気の秘密、そしてあなたにぴったりの一台を選ぶためのポイントまで、この記事ではAtermについて徹底的に掘り下げて解説します。

Wi-Fiルーター選びで迷っている方、Atermに興味がある方、今使っているWi-Fi環境に不満がある方は、ぜひ最後までお読みください。

はじめに:Aterm(エーターム)とは何か?

「Aterm(エーターム)」は、日本の大手電気通信機器メーカーであるNECプラットフォームズ株式会社が製造・販売するWi-Fiルーターを中心とした家庭用通信機器のブランド名です。1990年代後半にADSLやISDNといったブロードバンドインターネット接続が普及し始めた頃から、その歴史をスタートさせ、常に時代の最先端技術を取り入れながら日本の家庭のインターネット環境を支えてきました。

単にWi-Fiルーターだけでなく、モバイルルーターやPLCアダプターなど、家庭内の様々な通信環境を構築するための幅広い製品を展開していますが、特に「Wi-Fiルーター」のブランドとして広く認知されています。

国内メーカーならではの高い品質管理、日本家屋に合わせた設計、そして充実した日本語サポートが特徴で、多くの日本人ユーザーから信頼を得ています。

1. Aterm(エーターム)とは?NECが提供するWi-Fiルーターのブランド

Atermがどのようなブランドであるかをより深く理解するために、その背景にあるNECの歴史や、Atermが持つ独自の強みを見ていきましょう。

NECの通信事業とAtermの歴史

NEC(日本電気株式会社)は、1899年創業の日本の総合電機メーカーです。創業当初から電気通信分野に深く関わり、日本の通信インフラの発展に大きく貢献してきました。電信電話、交換機、半導体、コンピューターなど、情報通信技術のあらゆる分野でリーダーシップを発揮してきたNECのDNAは、Atermブランドにもしっかりと受け継がれています。

インターネットが一般家庭に普及し始めた1990年代、NECはブロードバンド時代の到来を見据え、一般家庭向けのネットワーク機器開発に注力しました。ISDNやADSL接続のためのターミナルアダプター(TA)やモデム、そして家庭内ネットワークを構築するルーター製品を開発・販売する中で、「Aterm」ブランドは生まれました。

黎明期のインターネット接続は、設定が複雑で専門知識が必要な場合が多く、多くのユーザーにとって敷居が高いものでした。Atermは、こうした状況を変えるべく、「誰でも簡単にインターネットに接続できる」というコンセプトのもと、分かりやすい設定方法や、ユーザーフレンドリーな操作性を追求しました。この思想は、現在のAterm製品にも一貫して息づいています。

光回線、無線LAN(Wi-Fi)技術の進化と共に、Atermもまた進化を続けてきました。IEEE 802.11bから始まり、g、n、ac、そして最新のax(Wi-Fi 6/6E)、be(Wi-Fi 7)といった規格に対応した製品をいち早く市場に投入し、常に最新のWi-Fi技術を日本のユーザーに提供しています。

Atermブランドの立ち位置と特徴

Atermは、日本の家庭用Wi-Fiルーター市場において、常に主要なプレイヤーの一つであり続けています。その立ち位置を確立している要因として、以下の点が挙げられます。

  • 高い技術力: NECが長年培ってきた通信技術や無線技術のノウハウがAterm製品に活かされています。電波の飛ばし方、安定した通信を維持するための設計、多端末接続時の処理能力など、見えない部分での技術力がAtermの信頼性の源泉です。
  • 日本市場への最適化: 日本の住宅事情(壁の材質、間取りなど)や通信環境(光回線、VDSL、ADSLなど)を考慮した設計がされています。電波干渉を避けるための機能や、日本の主要なプロバイダとの接続互換性も高く、安心して利用できます。
  • ユーザー目線の設計: 設定の簡単さ、操作アプリの使いやすさ、困ったときのサポートなど、ユーザーが快適にAtermを利用できるための配慮が行き届いています。特に、初めてWi-Fiルーターを設置する方や、IT機器に苦手意識がある方でも迷いにくい設計は、Atermの大きな強みです。
  • 豊富なラインナップ: 一人暮らし向けのシンプルなモデルから、大家族やSOHO向けのハイスペックモデル、家全体をカバーするメッシュWi-Fiシステム、さらには持ち運び可能なモバイルルーターまで、ユーザーの様々なニーズに対応できる幅広い製品を展開しています。

国内メーカーとしての強み

海外メーカーの製品も数多く流通していますが、Atermが国内メーカーであることには特有の強みがあります。

  • 日本語による充実したサポート: 製品に関する問い合わせやトラブル発生時など、日本語で丁寧なサポートを受けることができます。オンラインマニュアルやFAQも日本語で充実しており、安心して利用できます。
  • 日本の通信環境への適合性: 前述の通り、日本の通信インフラや住宅環境に合わせて設計されているため、接続トラブルが少なく、安定した性能を発揮しやすい傾向があります。
  • 品質管理: 日本国内の厳しい品質基準に基づいた設計・製造が行われています。これにより、製品の信頼性や耐久性が向上し、安心して長期間利用することができます。
  • 最新技術の迅速な国内展開: Wi-Fiの新規格やIPv6といった新しい技術への対応が早く、日本のユーザーがいち早く最先端の通信環境を体験できる機会を提供しています。

これらの要素が組み合わさることで、Atermは「安心して使える、頼れるWi-Fiルーター」として多くのユーザーから支持されています。

2. なぜAtermが人気なのか?その魅力と強み

Atermが長年にわたり日本のWi-Fiルーター市場で人気を保ち続けているのは、単にNECという大メーカーの製品だからというだけではありません。ユーザーが実際に製品を使った際に感じる具体的なメリットがあるからです。その魅力と強みを深掘りしてみましょう。

高い信頼性と安定性

インターネット接続において最も重要なのは、通信が途切れず安定していることです。特に動画視聴、オンラインゲーム、Web会議など、リアルタイム性の高いサービスを利用する際には、安定性が直接的なユーザー体験に影響します。

Aterm製品は、長年の開発ノウハウと高品質な部品、そして厳しいテストを経て市場に投入されています。これにより、

  • 長時間稼働での安定性: 24時間365日稼働し続けるルーターにおいて、熱による性能低下やフリーズといったトラブルが起こりにくい設計がされています。
  • 多端末接続時の安定性: スマートフォン、PC、タブレット、ゲーム機、スマート家電など、近年家庭内でインターネットに接続されるデバイスは爆発的に増加しています。Atermは、複数のデバイスが同時に高速通信を行っても、全体の通信速度が極端に低下したり、特定のデバイスだけが繋がりにくくなったりといった問題を抑えるための工夫が凝らされています。強力なCPUや十分なメモリを搭載し、効率的なデータ処理を行っています。
  • 電波の安定性: 日本の住宅によく使われる建材(木材、石膏ボードなど)での電波の減衰を考慮したアンテナ設計や、周囲のWi-Fiとの干渉を避けるためのチャネル選択機能などが、安定した電波供給に貢献しています。

といった点で高い評価を得ています。一度設定すれば、滅多に再起動や調整が必要ないという安心感は、忙しい現代人にとって非常に大きなメリットです。

簡単な設定と使いやすさ

IT機器に詳しくない方にとって、新しいルーターの設定は億劫に感じられるものです。Atermは、この初期設定のハードルを極力低くするための工夫を凝らしています。

  • 初期設定ウィザード: PCやスマートフォンのWebブラウザからAtermに接続すると、対話形式でインターネット回線やWi-Fiの設定を進められるウィザードが用意されています。必要な情報を入力していくだけで、簡単に設定が完了します。
  • QRコード設定: スマートフォンやタブレットの場合、Aterm本体や付属のカードに印刷されたQRコードを読み取るだけで、Wi-Fi接続に必要なSSID(ネットワーク名)やパスワードを自動で設定できる機能があります。手入力が不要で、入力間違いのリスクもありません。
  • Atermスマートリモコンアプリ: スマートフォンやタブレット向けの専用アプリ「Atermスマートリモコン」を利用することで、ルーターの初期設定から、接続中のデバイス確認、ゲストWi-Fiの設定、ファームウェアアップデート、さらには一部機能のON/OFFといった詳細設定まで、アプリ上で直感的に操作できます。PCを立ち上げる必要がないため、手軽に管理できます。
  • 引っ越し機能: 以前のAtermルーターから新しいAtermルーターに買い替える際に、SSIDやパスワードなどのWi-Fi設定を簡単に引き継げる「Wi-Fi設定引っ越し機能」を搭載したモデルもあります。これにより、接続しているすべてのデバイス(スマートフォン、PC、スマート家電など)の設定を変更する手間が省け、スムーズに買い替えができます。

これらの機能は、ユーザーがAtermを導入してから実際に使えるようになるまでのステップを大幅に簡略化し、「難しい」というイメージを払拭しています。

充実したサポート体制

製品を使っていて困ったとき、問題が発生したときに頼りになるのがメーカーのサポートです。Atermは国内メーカーとして、ユーザーが安心して利用できるサポート体制を提供しています。

  • 電話サポート: 専門オペレーターによる電話サポートが利用できます。困ったときに直接相談できる安心感があります。
  • Webサポート: NECプラットフォームズのWebサイトには、オンラインマニュアル、FAQ、Q&A検索、設定方法の解説、トラブルシューティング情報などが豊富に掲載されています。多くの問題はこれらの情報で解決できます。
  • 修理サービス: 製品保証期間内の無償修理はもちろん、有償での修理サービスも提供されています。
  • ファームウェアアップデート: 製品の機能改善やセキュリティ対策のために、ファームウェア(ルーターの内部ソフトウェア)のアップデートが定期的に提供されます。Atermの多くのモデルは、自動アップデート機能に対応しており、常に最新かつ安全な状態でルーターを利用できます。

これらの手厚いサポートは、特にIT機器に不慣れなユーザーや、問題発生時に自分で解決するのが難しいと感じるユーザーにとって、Atermを選ぶ大きな理由となります。

最新技術への対応力

Wi-Fi技術は日進月歩で進化しています。Atermは、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6/6E)、IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)といった最新のWi-Fi規格や、高速なインターネット接続方式であるIPv6(IPoE方式)への対応を迅速に進めています。

  • Wi-Fi 6/6E/7対応: 最新規格に対応することで、より高速な通信速度、多くの端末を同時に接続した際の安定性向上、消費電力の抑制といったメリットを享受できます。特にWi-Fi 6Eで利用可能になった6GHz帯は、従来の2.4GHz/5GHz帯よりも電波干渉が少なく、非常に安定した通信が期待できます。Wi-Fi 7ではさらに高速化・低遅延化が進んでいます。
  • IPv6 High Speed(IPoE/IPv4 over IPv6)対応: 近年主流になっているIPv6接続方式(IPoE)は、従来のIPv4接続方式(PPPoE)に比べて通信が混雑しにくく、特に夜間や休日などインターネット利用者が増える時間帯でも速度低下が起こりにくいという特徴があります。Atermは多くのモデルでこのIPv6 IPoE方式に対応しており、「IPv6 High Speed」として訴求しています。これにより、回線本来のポテンシャルを引き出し、快適なインターネット接続を実現します。多くのプロバイダのIPv6サービスに特別な設定なしで対応できる互換性の高さもAtermの強みです。

これらの最新技術への対応は、ユーザーが将来にわたって快適なインターネット環境を維持するために非常に重要です。Atermは、常に最新の技術トレンドを捉え、製品に反映させています。

多様なラインナップ

ユーザーの住居環境、家族構成、インターネットの利用スタイルは様々です。Atermは、そうした多様なニーズに応えるために、豊富な種類の製品を提供しています。

  • ホームルーター: 一般的なマンションや戸建て住宅で使用する据え置き型のルーター。エントリーモデルからフラッグシップまで、性能や機能によって幅広い選択肢があります。
  • メッシュWi-Fi: 複数のサテライト(子機)と連携し、家の中のWi-Fiが届きにくい場所をなくして、家全体を一つの大きなWi-Fiエリアでカバーするシステム。広い家や複雑な間取りの家に最適です。Atermでは、メッシュ対応のルーターとサテライトのセットや、後から追加できるサテライト単体モデルなどが用意されています。
  • モバイルルーター: 持ち運びが可能で、外出先や電源がない場所でもインターネット接続ができるルーター。SIMカードを挿して利用するタイプが多く、工事不要で手軽に導入できるため、一時的な利用や一人暮らしにも選ばれることがあります。
  • ポータブルルーター: 主にホテルの有線LANをWi-Fi化するなど、出張や旅行先での利用を想定した小型ルーター。

このように、Atermは様々な利用シーンや予算に合わせて最適な製品を選ぶことができます。

これらの「信頼性」「使いやすさ」「サポート」「最新技術」「多様性」といった強みが組み合わさることで、Atermは多くのユーザーから支持され続ける人気ブランドとなっています。

3. Wi-Fiルーターの基礎知識:Atermを知る前に押さえておきたいこと

Atermの製品ラインナップや機能を理解するためには、まずWi-Fiルーターに関する基本的な知識があると役立ちます。ここでは、Wi-Fiの仕組みや主要な規格、ルーターの機能について解説します。

Wi-Fiの仕組みと規格(IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax – Wi-Fi 6/6E/7)

Wi-Fiは、IEEE 802.11という国際的な標準規格に基づいて行われる無線通信技術です。この規格は、時代の変化と共に改訂され、新しいバージョンが登場しています。規格によって通信速度や電波の特性が異なります。

一般的に、Wi-Fiルーターの製品仕様には、対応する規格が記載されています。新しい規格ほど理論上の最大通信速度は高速になります。

  • IEEE 802.11b: (登場年: 1999年頃) 最大11Mbps。初期のWi-Fi規格。現在の製品ではほとんど見かけません。
  • IEEE 802.11a: (登場年: 1999年頃) 最大54Mbps。5GHz帯を使用。当時はb規格が主流でした。
  • IEEE 802.11g: (登場年: 2003年頃) 最大54Mbps。2.4GHz帯を使用。b規格との互換性があり広く普及しました。
  • IEEE 802.11n: (登場年: 2009年頃) 最大600Mbps(MIMO技術使用時)。「Wi-Fi 4」とも呼ばれます。2.4GHz帯と5GHz帯の両方を使用可能になり、MIMO(複数アンテナによる同時送受信)技術により大幅に高速化しました。
  • IEEE 802.11ac: (登場年: 2013年頃) 最大6.9Gbps(理論値)。「Wi-Fi 5」とも呼ばれます。主に5GHz帯を使用し、より広い帯域幅(チャネル幅)やMU-MIMO(複数端末への同時通信)技術により、n規格からさらに高速化・高効率化しました。現在でも多くの機器で利用されています。
  • IEEE 802.11ax: (登場年: 2019年頃) 最大9.6Gbps(理論値)。「Wi-Fi 6」とも呼ばれます。ac規格の高速化に加え、OFDMA(複数ユーザーへの同時データ送信)やTWT(端末のスリープ制御)といった技術により、多端末接続時の効率性や安定性、省電力性が向上しました。現在の主流規格です。
  • IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6E): Wi-Fi 6の拡張版で、従来の2.4GHz/5GHz帯に加えて、新しく6GHz帯を利用可能にした規格です。6GHz帯は利用機器が少なく、電波干渉が少ないため、より高速で安定した通信が期待できます。対応機器が必要です。
  • IEEE 802.11be: (登場年: 2024年頃) 最大46Gbps(理論値)。「Wi-Fi 7」とも呼ばれます。Wi-Fi 6Eで利用可能な3つの帯域(2.4GHz/5GHz/6GHz)を同時に利用するMLO (Multi-Link Operation) や、より高密度な変調方式(4K-QAM)、320MHz幅といった技術により、さらなる高速化、低遅延化、安定性向上を実現します。最新のフラッグシップモデルに搭載され始めています。

ルーターを選ぶ際は、接続したい機器(スマートフォン、PCなど)が対応している最も新しい規格に対応したルーターを選ぶことで、その機器の性能を最大限に活かすことができます。ただし、Wi-Fiの通信速度はルーターと端末の両方が同じ規格に対応している必要があります。

周波数帯(2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯)の違いと使い分け

Wi-Fiで使用される電波には、主に2.4GHz帯、5GHz帯、そしてWi-Fi 6E/7で利用可能な6GHz帯があります。それぞれの周波数帯には異なる特性があります。

  • 2.4GHz帯:
    • 特徴: 壁や障害物に強く、遠くまで電波が届きやすい性質があります。
    • デメリット: 電子レンジやBluetooth機器など、他の多くの無線機器でも使われているため、電波干渉が多く発生しやすく、通信が不安定になったり速度が低下したりすることがあります。利用できるチャネル数も限られています。
    • 使い分け: ルーターから距離がある部屋や、壁を隔てた場所での接続に適しています。古いWi-Fi機器(Wi-Fi 4以前)や一部のスマート家電は2.4GHz帯のみ対応している場合があります。
  • 5GHz帯:
    • 特徴: 電波干渉が少なく、高速通信が可能です。利用できるチャネル数も多く、安定した通信が期待できます。
    • デメリット: 壁や障害物に弱く、電波が届く範囲が2.4GHz帯よりも狭くなる傾向があります。
    • 使い分け: ルーターの近くで使用するデバイスや、高速・安定通信が必要なデバイス(PC、スマートフォン、ゲーム機など)での利用に適しています。多くの最新デバイスが対応しています。
  • 6GHz帯: (Wi-Fi 6E/7対応ルーター・端末のみ)
    • 特徴: 利用機器が非常に少なく、電波干渉がほとんどありません。5GHz帯よりもさらに広い帯域幅を利用でき、超高速・低遅延な通信が可能です。
    • デメリット: 5GHz帯と同様に、壁や障害物に弱いです。対応機器がまだ少ないです。
    • 使い分け: 6GHz帯対応の最新デバイスで、ルーターのすぐ近くで最大のパフォーマンスを得たい場合に最適です。

Atermの多くのモデルは、これらの周波数帯を同時に利用できる「デュアルバン(2.4GHz/5GHz)」や「トライバンド(2.4GHz/5GHz/6GHz)」に対応しています。ルーターが接続している端末や電波状況に応じて最適な周波数帯を自動的に選択してくれる「バンドステアリング」機能も搭載されている製品が多く、ユーザーが意識することなく快適な通信を利用できます。

通信速度の目安(理論値と実効値)

ルーターの仕様に記載されている「最大通信速度」は、あくまで電波環境が理想的な場合の「理論上の最大値」です。実際の通信速度は、

  • ルーターと端末の間の距離
  • 壁などの障害物の有無、材質
  • 周囲の電波干渉
  • 同時に接続している端末数
  • 利用しているインターネット回線の速度
  • プロバイダの混雑状況

など、様々な要因によって大きく変動します。この実際に計測される速度を「実効速度」と呼びます。

例えば、「最大4804Mbps(5GHz帯)」と記載されているルーターでも、実効速度がそれだけ出ることはまずありません。一般的な家庭環境では、数百Mbps~1Gbps程度出れば非常に高速と言えます。動画視聴やウェブブラウジングであれば数十Mbpsあれば十分快適に利用できますが、高画質の動画ストリーミングやオンラインゲーム、大容量ファイルのダウンロードなどでは、より高速な通信環境が求められます。

ルーターを選ぶ際は、理論値だけでなく、レビューサイトや口コミで実際に利用しているユーザーの「実効速度」に関する情報を参考にすると良いでしょう。また、ご自身が契約しているインターネット回線の最大速度を超えるルーターを選んでも、回線速度以上に速くなるわけではない点に注意が必要です。

ルーターの機能(ルーター機能、ブリッジ機能、メッシュWi-Fi、ビームフォーミング、MU-MIMO、IPv6など)

Wi-Fiルーターは単に電波を出すだけでなく、様々な便利機能や通信を最適化する機能を搭載しています。

  • ルーター機能: 複数のデバイスを同時にインターネットに接続するための機能。インターネット回線から送られてくるデータを、どの端末に送るべきかを判断し、適切に振り分ける役割を担います(ルーティング)。また、家庭内ネットワーク(LAN)とインターネット(WAN)を区別し、セキュリティを維持する役割も果たします(NAT機能)。通常、インターネット回線(光回線など)に直接接続して使用します。
  • ブリッジ機能(APモード): ルーター機能を停止し、単なる無線LANアクセスポイントとして動作させる機能。既に別のルーターがある場合(例:プロバイダから提供されたルーターがある場合など)に、AtermをWi-Fiの電波を出すためだけに利用したい場合に設定します。二重ルーター状態を防ぎ、ネットワークの安定性を保つために重要です。Atermでは「APモード」や「アクセスポイントモード」などと呼ばれます。多くのモデルでは、自動判別機能により適切なモードに切り替わります。
  • メッシュWi-Fi: 複数のWi-Fi機器(ルーターとサテライト)を連携させ、家全体に統一された一つの大きなWi-Fiネットワークを構築するシステム。電波の届きにくい部屋や場所をなくし、家の中どこでも快適なWi-Fiを利用できるようになります。端末が家の中を移動しても、自動的に最も電波状態の良い機器に切り替わる(ローミング機能)ため、途切れにくいシームレスな通信が可能です。AtermのメッシュWi-Fi対応モデルは「メッシュ親機」「メッシュ中継機」として動作します。
  • ビームフォーミング: 接続している特定のデバイス(スマートフォンやPCなど)に向けて、集中的に電波を飛ばす技術。これにより、端末側で受信する電波強度が高まり、通信速度や安定性が向上します。対応しているルーターと端末が必要です。
  • MU-MIMO (Multi User – Multiple Input Multiple Output): 複数のデバイスと同時にデータの送受信を行う技術。MU-MIMO非対応のルーターは、複数のデバイスと通信する際に順番に通信を行うため、端末数が増えると待ち時間が発生しやすくなりますが、MU-MIMO対応ルーターは同時通信により、多端末接続時でも個々の端末の通信速度低下を抑えられます。対応しているルーターと端末が必要です。
  • IPv6 (IPoE/IPv4 over IPv6): 次世代のインターネット接続方式。従来のIPv4アドレス枯渇問題に対応し、より多くの機器をインターネットに接続できます。特に、IPv4 over IPv6技術を利用したIPoE方式は、従来のPPPoE方式に比べてインターネットの出入口が混雑しにくいため、通信速度が安定しやすいという特徴があります。Atermの「IPv6 High Speed」はこのIPoE方式に対応しています。
  • バンドステアリング: 2.4GHz帯と5GHz帯(対応モデルは6GHz帯も)の電波を同時に利用できるルーターが、接続している端末がどちらの周波数帯に接続すると最も快適に通信できるかを自動的に判断し、適切な周波数帯に誘導する機能です。ユーザーが手動で切り替える手間が省けます。
  • オートチャネルセレクト: ルーターの設置場所周辺の電波干渉状況を自動的にスキャンし、最も混雑していない(電波干渉が少ない)無線チャネルを自動的に選択してくれる機能です。これにより、周囲の他のWi-Fiルーターなどの影響を受けにくく、安定した通信を維持できます。

これらの機能を知っておくことで、Atermの各モデルがどのような特徴を持ち、どのような環境に適しているのかをより正確に判断できるようになります。

中継機とメッシュWi-Fiの違い

Wi-Fiの電波が家全体に届かない場合に利用されるのが、「中継機」や「メッシュWi-Fi」です。どちらも電波の届く範囲を広げるためのものですが、仕組みと効果に違いがあります。

  • 中継機: 親機(ルーター)から届いた電波を増幅して再送信することで、電波の届く範囲を広げます。設定は比較的簡単ですが、親機と中継機の間に壁など障害物があると、電波の中継効率が悪くなったり、中継機自身の通信速度がボトルネックになったりすることがあります。また、親機と中継機でSSID(ネットワーク名)が分かれる場合や、手動で切り替えが必要な場合があります。
  • メッシュWi-Fi: 複数の機器(親機とサテライト)が相互に連携し、家全体を一つの大きなWi-Fiネットワークでカバーします。各機器が最適な通信経路を自動的に選択し、端末は常に最も近くの機器に接続します。家の中を移動しても、自動的に接続機器が切り替わるため(ローミング)、動画視聴中でも途切れることなくスムーズな通信が可能です。設定は中継機よりやや複雑な場合がありますが、一度設定すれば家全体が快適なWi-Fi空間になります。AtermのメッシュWi-Fi対応モデルは、親機としてもサテライト(中継機)としても機能するものがあります。

どちらを選ぶかは、家の広さや形状、予算、そしてどれだけ簡単に設定・運用したいかによって異なります。一般的に、電波が届かない部屋が限られている場合や、コストを抑えたい場合は中継機、広い家全体をムラなくカバーしたい場合や、シームレスな通信を重視する場合はメッシュWi-Fiが適しています。

Atermの製品ラインナップには、ルーター単体モデルだけでなく、中継機モデルやメッシュWi-Fiシステムモデルも用意されています。

4. Atermの主なラインナップと特徴

Atermは、ユーザーの様々なニーズに応えるために、非常に幅広い製品ラインナップを展開しています。ここでは、主なカテゴリに分けてその特徴と代表的なモデル(記事執筆時点での主要モデル例)を紹介します。

注意: 製品ラインナップやモデル名は常に変動します。最新の情報はNECプラットフォームズの公式サイトでご確認ください。ここで挙げるモデル名はあくまで例であり、後継機種や新製品が発売されている可能性があります。

ホームルータータイプ(マンション・戸建て向け)

家庭で固定回線(光回線など)に接続して使用する据え置き型のルーターです。部屋数や必要な性能に応じて、主にフラッグシップ、スタンダード、エントリーの3つのクラスに分かれます。

  • フラッグシップモデル(ハイスペックモデル)

    • 特徴: 最新のWi-Fi規格(Wi-Fi 6EやWi-Fi 7など)や技術に対応し、理論上の最大通信速度が非常に高速です。多くの端末を同時に接続しても安定した通信が可能な処理能力を持ち、広い範囲に電波を届けられます。CPUやメモリも強力で、高負荷な通信(4K/8K動画ストリーミング、オンラインゲーム、VRなど)も快適にこなせます。デザイン性や付加機能も充実していることが多いです。価格は高めになります。
    • 適している環境: 広い戸建て住宅、家族が多く接続端末が多い家庭、オンラインゲームや高画質動画視聴を頻繁に行うユーザー、最新技術をいち早く体験したいユーザー。
    • 代表的なモデル例:
      • WX15000HP: Wi-Fi 6E/Wi-Fi 6対応のトライバンドモデル(2.4GHz/5GHz/6GHz)。非常に高速な通信速度(5GHz帯最大4804Mbps + 6GHz帯最大4804Mbps)と多ストリーム(8ストリーム+8ストリーム)により、多端末・高負荷環境に強い。強力なCPU搭載。メッシュWi-Fi親機/中継機としても機能。
      • WX11000HP: Wi-Fi 6対応のトライバンドモデル(2.4GHz/5GHz/5GHz)。高速な通信速度(5GHz帯最大4804Mbps + 5GHz帯最大4804Mbps)と多ストリーム(8ストリーム+8ストリーム)。オンラインゲームなど特定の通信を優先する機能なども搭載。メッシュWi-Fi親機/中継機としても機能。
      • WX7800T8: Wi-Fi 6対応のデュアルバンモデル。5GHz帯で最大4804Mbpsの高速通信。多ストリーム(8ストリーム)対応。メッシュWi-Fi親機/中継機としても機能。コストと性能のバランスが良いモデル。
      • (Wi-Fi 7対応モデル): 今後、Wi-Fi 7対応のフラッグシップモデルが登場する可能性があります。
  • スタンダードモデル(普及価格帯モデル)

    • 特徴: 最新規格であるWi-Fi 6に対応し、十分な通信速度と安定性を提供します。一般的な家庭での利用において、不満なく快適にインターネットを利用できる性能を持っています。フラッグシップモデルに比べると、最大通信速度や同時接続可能な端末数、一部の付加機能などが控えめになる場合がありますが、コストパフォーマンスに優れています。メッシュWi-Fi親機/中継機として利用できるモデルも多いです。
    • 適している環境: マンションや標準的な戸建て住宅、家族数や接続端末数が標準的な家庭、コストを抑えつつWi-Fi 6のメリットを享受したいユーザー。
    • 代表的なモデル例:
      • WX5400HP: Wi-Fi 6対応のデュアルバンモデル。5GHz帯で最大4804Mbpsの高速通信。多ストリーム(6ストリーム)対応。多くの家庭で十分な性能を発揮する人気のモデル。メッシュWi-Fi親機/中継機としても機能。
      • WX4200D5: Wi-Fi 6対応のデュアルバンモデル。5GHz帯で最大3603Mbpsの通信速度。スタンダードクラスの中でも比較的コンパクトなモデルも。メッシュWi-Fi親機/中継機としても機能。
      • WG2600HS2: Wi-Fi 5(ac規格)対応のハイスペックモデル(Wi-Fi 6非対応)。5GHz帯で最大1733Mbps。多ストリーム(4ストリーム)。価格が手頃になっており、Wi-Fi 6対応端末が少ない場合や予算重視の場合に選択肢となることがあります。ただし、新規購入であればWi-Fi 6対応モデルがおすすめです。
  • エントリーモデル(シンプル機能モデル)

    • 特徴: 必要な機能を絞り込み、価格を抑えたモデルです。Wi-Fi 5(ac規格)や、Wi-Fi 6に対応したモデルでも、最大通信速度や同時接続可能な端末数が少ない場合があります。一人暮らしや小規模な家庭、接続端末数が少ない場合に適しています。
    • 適している環境: 一人暮らしや二人暮らし、部屋数の少ないマンション、Webブラウジングや動画視聴がメインで高負荷な通信をあまり行わないユーザー、予算を最優先したいユーザー。
    • 代表的なモデル例:
      • WG1200HP4: Wi-Fi 5(ac規格)対応のデュアルバンモデル。5GHz帯最大867Mbps。コンパクトなモデルが多く、シンプルな機能。手頃な価格で必要十分な性能。
      • WX1500HP: Wi-Fi 6対応のエントリーモデル。5GHz帯最大1201Mbps。Wi-Fi 6対応ながら価格を抑えたモデル。

メッシュWi-Fi対応モデル

家全体のWi-Fi環境を改善したい場合に最適なシリーズです。ルーター単体でメッシュ親機として機能するものと、メッシュ専用のサテライト(中継機)を組み合わせて使用します。

  • 特徴: 複数の機器が連携して家全体をカバーするため、ルーターから離れた部屋でも安定した高速通信が可能になります。設定は比較的簡単で、一つのSSIDで家全体をカバーできます。
  • 適している環境: 2階建て以上の戸建て住宅、壁が多くて電波が届きにくいマンション、複雑な間取りの家、家の中どこでも快適にWi-Fiを使いたいユーザー。
  • 代表的なモデル例:
    • AtermのメッシュWi-Fi対応モデルは、多くの場合、既存のホームルーターシリーズ(WXシリーズなど)がメッシュ機能に対応しています。例えば、「WX5400HP」は単体でルーターとして使用できますが、もう一台同じモデルや対応するサテライトモデルを追加することでメッシュWi-Fiを構築できます。
    • メッシュWi-Fi構築に必要な機器をセットにした「メッシュプラス」シリーズなども展開されています。例えば、「Aterm WX5400HP + EX5400HP (メッシュセット)」のように、親機と中継機がセットになった製品が購入できます。
    • EX5400HP: メッシュWi-Fi専用の中継機(サテライト)モデル。WX5400HPなどの対応親機と組み合わせて使用します。コンセント直挿しタイプなど、設置しやすい形状のモデルもあります。

モバイルルータータイプ

外出先や電源のない場所でインターネットに接続したい場合に便利なタイプです。主にSIMカードを挿して利用します。

  • 特徴: 小型・軽量で持ち運びやすく、バッテリーを内蔵しているため場所を選ばずに利用できます。光回線などの固定回線工事が不要なため、引っ越しが多い方や一時的にネット環境が必要な方にも選ばれることがあります。
  • 適している環境: 外出先でのテザリング代替、自宅に固定回線を引くのが難しい/不要な方、引っ越しが多い方、車内や移動中でのインターネット利用。
  • 代表的なモデル例:
    • MP02LN: SIMフリー対応のモバイルルーター。LTE通信に対応し、比較的小型軽量でバッテリー持ちが良いモデル。
    • MR10LN: SIMフリー対応のモバイルルーター。より高速なLTE通信や、接続可能台数が多いモデル。Wi-Fi 5(ac規格)対応など。
    • (5G対応モデル): 今後、より高速な5G通信に対応したモバイルルーターが登場する可能性があります。

ポータブルルータータイプ

主にホテルの有線LANをWi-Fi化するなど、特定の用途に特化した小型ルーターです。

  • 特徴: 超小型で持ち運びに便利。ホテルなどの有線LANポートに接続するだけで、手軽に自分専用のWi-Fi環境を構築できます。給電はUSBから行うモデルが多いです。
  • 適している環境: 出張や旅行先でのホテル滞在時、一時的に有線LANしかない場所でWi-Fiを使いたい場合。
    • 代表的なモデル例: WMR-4FE (※過去のモデルであり、現行ラインナップにあるかは要確認。概念として紹介)

Atermのラインナップは非常に豊富であり、ここで紹介したモデルはごく一部です。ご自身の利用環境や予算、求める機能に合わせて、最適なモデルを選ぶことが重要です。NECプラットフォームズの公式サイトでは、モデルごとの詳細なスペックや比較情報を確認できます。

5. Atermの機能解説:より快適なWi-Fi環境のために

Atermルーターは、単にインターネットに接続するだけでなく、様々な高度な機能を搭載することで、より快適で安定したWi-Fi環境を実現します。ここでは、主要な機能を掘り下げて解説します。

Wi-Fi 6/6E/7対応とそのメリット

先述の通り、Wi-Fiの最新規格への対応は、通信速度と安定性の向上に直結します。

  • Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) の主な技術とメリット:

    • OFDMA (直交周波数分割多重アクセス): 複数の端末に対して同時にデータを送信できる技術。従来のOFDMが一つの端末にしかデータを送れなかったのに対し、OFDMAは帯域を分割して複数端末に同時に送信することで、特に多端末接続時の通信効率が大幅に向上します。スマート家電など、常時接続している端末が多い家庭で効果を発揮します。
    • MU-MIMO (Multi-User Multiple Input Multiple Output): 複数の端末と同時にデータの送受信を行える技術(Wi-Fi 5でも導入されましたが、Wi-Fi 6で送受信双方向に対応し、さらに強化されました)。端末数が増えても速度低下を抑えられます。
    • 1024QAM (1024 Quadrature Amplitude Modulation): 一度に多くのデータを送信できる変調方式。これにより、理論上の最大通信速度が向上します。
    • TWT (Target Wake Time): 端末との通信スケジュールを調整し、端末が必要な時だけ通信できるようにする技術。これにより、スマートフォンのような端末のバッテリー消費を抑えることができます。
    • 160MHz幅: 5GHz帯で利用できるチャネル幅を広げることで、より多くのデータを一度に送信可能にし、通信速度を向上させます。

    • Wi-Fi 6のメリットまとめ: 単なる速度向上だけでなく、多端末接続時の安定性向上、通信効率の向上、そして端末の省電力化といった、現代の家庭環境に即したメリットが多くあります。

  • Wi-Fi 6E (IEEE 802.11ax 6GHz帯) のメリット:

    • 6GHz帯の利用: 従来の2.4GHz/5GHz帯に加え、新しく利用可能になった6GHz帯は、他のWi-Fi機器や無線機器の利用が非常に少ないため、電波干渉がほとんどありません。これにより、非常にクリーンで安定した高速通信が可能になります。
    • 広いチャネル幅: 6GHz帯は利用できるチャネル数が多く、160MHz幅のような広帯域チャネルも確保しやすいため、Wi-Fi 6の高速性能を最大限に引き出しやすい環境です。

    • Wi-Fi 6Eのメリットまとめ: 電波干渉の心配が少なく、Wi-Fi 6の高速性能を最大限に発揮できる、新しい「空いている高速道路」のようなものです。ただし、ルーターと端末の両方がWi-Fi 6Eに対応している必要があります。

  • Wi-Fi 7 (IEEE 802.11be) の主な技術とメリット:

    • MLO (Multi-Link Operation): 複数の周波数帯(2.4GHz/5GHz/6GHz)を同時に利用して通信を行う技術。これにより、通信速度の向上、低遅延化、通信の安定性向上を実現します。まるで複数の車線を同時に使ってデータが流れるイメージです。
    • 4K-QAM (4096 Quadrature Amplitude Modulation): Wi-Fi 6の1024QAMよりもさらに多くのデータを一度に送信できる変調方式。理論上の最大速度をさらに向上させます。
    • 320MHz幅: 6GHz帯で最大320MHz幅の超広帯域チャネルを利用可能に。これにより、Wi-Fi 6Eの160MHz幅の2倍の帯域でデータを送信でき、圧倒的な高速通信を実現します。

    • Wi-Fi 7のメリットまとめ: MLOによる劇的な速度向上と低遅延、さらなる安定性、そして最大320MHz幅による超高速通信など、Wi-Fi 6/6Eからさらに性能が向上し、AR/VR、8K動画、クラウドゲームといった次世代のアプリケーションを快適に利用できるようになります。ただし、対応製品の普及はこれからです。

Atermはこれらの最新規格にいち早く対応したモデルを投入しており、ユーザーは最新のWi-Fi環境を構築できます。ただし、最新規格のメリットを享受するためには、接続するスマートフォンやPCなどの端末もその規格に対応している必要があります。

IPv6 High Speed(IPoE/IPv4 over IPv6)対応

インターネット回線は、データ通信のルールである「IP(Internet Protocol)」によって成り立っています。現在の主流は「IPv4」ですが、インターネットに接続されるデバイスの増加により、利用できるIPv4アドレスが不足するという問題が発生しています。そこで登場したのが「IPv6」です。IPv6は利用できるアドレス数が実質無限大であり、将来にわたって多くのアドレスを提供できます。

多くのインターネットプロバイダは、このIPv6を使った新しい接続方式を提供しています。特にIPoE(IP over Ethernet)方式は、従来のPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)方式とは異なるネットワーク構成をとるため、インターネットの「出入口」が混雑しにくく、通信速度が安定しやすいというメリットがあります。PPPoE方式では、特に夜間などインターネット利用者が集中する時間帯に速度が低下しやすい傾向がありますが、IPoE方式ではそうした混雑の影響を受けにくいとされています。

さらに、多くのWebサイトはまだIPv4にしか対応していません。そのため、IPv6回線を利用しつつ、IPv4のWebサイトも快適に閲覧できるようにする技術が「IPv4 over IPv6」です。この技術を使うことで、IPv6 IPoE方式の高速かつ安定した回線で、IPv4のサイトもスムーズに利用できます。

Atermの「IPv6 High Speed」機能は、このIPv4 over IPv6技術を利用したIPoE方式に多くのプロバイダで対応しています。Atermを回線に接続するだけで、ルーター側でプロバイダの方式を自動的に判別し、最適な設定を適用してくれるため、ユーザーは複雑な設定を行うことなく、IPoE方式による高速・安定通信のメリットを享受できます。

「最近インターネットの速度が遅い」「特に夜間や休日が遅くなる」といった悩みを抱えている方は、ご契約のプロバイダがIPv6 IPoE方式に対応しているか確認し、対応していればAtermのIPv6 High Speed対応モデルに切り替えることで、速度が改善する可能性があります。

メッシュWi-Fi機能(特徴と設定方法)

AtermのメッシュWi-Fi対応モデルは、家の中のWi-Fiデッドゾーン(電波の届かない場所)を解消し、快適なWi-Fi環境を家全体に広げる強力な機能です。

  • 特徴:

    • 家全体を一つのネットワークでカバー: 親機と複数のサテライト(中継機)が連携し、家全体を一つの大きなWi-Fiエリアでカバーします。SSIDは基本的に一つにまとまります。
    • 自動最適化とローミング: 端末が家の中を移動しても、自動的に最も電波状態の良い親機またはサテライトに接続が切り替わります(ローミング)。これにより、通信が途切れることなく、常に最適な機器に接続されます。
    • 設置の柔軟性: サテライトを電波の弱くなる場所に設置することで、効率的にカバーエリアを広げられます。コンセント直挿しタイプなど、設置場所を選ばないサテライトもあります。
    • 簡単な追加・設定: 対応モデルであれば、後からサテライトを追加してメッシュネットワークを拡張することも可能です。Atermスマートリモコンアプリを使えば、メッシュネットワークの構築や管理も簡単に行えます。
  • 設定方法(概要):

    1. 親機の設定: まず、メッシュWi-Fi対応のAtermルーターを親機として設定し、インターネットに接続します(通常のルーター設定と同様)。
    2. サテライトの準備: 追加したいサテライト(対応Atermルーターまたは専用サテライト)を親機の近くに設置し、電源を入れます。
    3. メッシュ接続設定: AtermスマートリモコンアプリまたはWeb設定画面から、メッシュネットワークの構築を開始します。親機とサテライトの間でボタン操作やアプリでの指示に従うことで、自動的にペアリングが行われ、メッシュネットワークが構築されます。
    4. サテライトの設置: ペアリングが完了したら、サテライトを電波の弱くなる場所(親機とデッドゾーンの中間地点など)に設置します。設置場所の電波状態は、Atermスマートリモコンアプリなどで確認できる場合があります。

メッシュWi-Fiは、広い家や複雑な間取りの家で、家中のどこでも快適にWi-Fiを利用したい場合に非常に有効なソリューションです。AtermのメッシュWi-Fi対応モデルは、NEC独自の技術により、安定したメッシュネットワークを構築できる点が強みです。

ビームフォーミング、MU-MIMO

これらの技術は、Wi-Fi通信の効率を高め、個々の端末の通信速度と安定性を向上させます。

  • ビームフォーミング: ルーターが接続中のスマートフォンやPCなどのデバイスの位置を検知し、そのデバイスに向けて集中的に電波を送信する技術です。これにより、電波が拡散せず、端末側で受信する電波強度が高まります。特にルーターから離れた場所や、壁などの障害物がある場所での通信品質を改善する効果があります。ただし、ルーターと端末の両方がビームフォーミングに対応している必要があります。Atermの多くのモデルがこの機能に対応しています。
  • MU-MIMO (Multi User – Multiple Input Multiple Output): 複数の端末に対して同時にデータを送受信できる技術です。MU-MIMO非対応のルーターは、端末ごとに順番に通信を行うため、接続端末数が増えると待ち時間が発生し、個々の端末の通信速度が低下しがちです。MU-MIMO対応ルーターは、同時に複数の端末と通信することで、多端末接続時でもスムーズな通信を実現します。特に動画視聴やゲームなど、データ通信量の多い複数のデバイスが同時に利用される家庭で効果を発揮します。Wi-Fi 5(ac規格)で導入され、Wi-Fi 6(ax規格)でさらに強化されました。AtermのWi-Fi 5/6/6E/7対応モデルの多くがMU-MIMOに対応しています。

これらの技術は、ルーターが自動的に適用してくれるため、ユーザー側で特に設定する必要はありません。対応しているルーターと端末を使うだけで、通信速度や安定性の恩恵を受けることができます。

バンドステアリング、オートチャネルセレクト

これらの機能は、ルーターが自動的に最適な通信環境を選択・維持するための機能です。

  • バンドステアリング: Atermのデュアルバン(2.4GHz/5GHz)やトライバンド(2.4GHz/5GHz/6GHz)対応モデルに搭載されている機能です。接続している端末が、2.4GHz帯と5GHz帯(および6GHz帯)のどちらに接続すると最も安定して高速に通信できるかをルーターが自動的に判断し、適切な周波数帯に誘導します。例えば、ルーターの近くにいる端末は高速な5GHz帯へ、ルーターから離れて壁を隔てている端末は遠くまで届きやすい2.4GHz帯へ、といった具合に自動で切り替えてくれます。これにより、ユーザーは手動で周波数帯を選択する手間が省け、常に最適な環境で通信できます。
  • オートチャネルセレクト: Wi-Fiは、特定の「チャネル」と呼ばれる周波数帯域を使って通信を行います。ルーターを設置した場所の近くに別のWi-Fiルーターや電波干渉源が多い場合、同じチャネルを使っていると電波が干渉し合い、通信速度が低下したり不安定になったりします。オートチャネルセレクト機能は、ルーターが起動時や定期的に周囲の電波環境をスキャンし、他の機器があまり使用していない空いているチャネルを自動的に選択してくれる機能です。これにより、電波干渉の影響を最小限に抑え、安定した通信環境を維持できます。Atermの多くのモデルがこの機能を搭載しており、電源を入れるだけで自動的に最適なチャネルを選択してくれます。

これらの自動最適化機能は、ユーザーが専門知識を持っていなくても、常に快適なWi-Fi環境を利用できるAtermの使いやすさの根幹をなす機能と言えます。

セキュリティ機能(暗号化方式、不正アクセス対策など)

インターネットに接続する上で、セキュリティは非常に重要です。Atermルーターは、ユーザーが安心してインターネットを利用できるよう、様々なセキュリティ機能を搭載しています。

  • 暗号化方式: Wi-Fi通信は電波として空間を飛び交うため、内容を傍受されるリスクがあります。これを防ぐために通信内容を暗号化します。現在の主流はWPA3という最新の暗号化方式です。WPA3は従来のWPA2よりも強力なセキュリティを提供します。Atermの多くのモデルがWPA3に対応しており、対応端末との間で安全な通信が行えます。下位互換としてWPA2にも対応しています。
  • 不正アクセス対策:
    • SSIDステルス機能: Wi-Fiネットワークの名前(SSID)を非表示にする機能です。これにより、周囲の人が容易にSSIDを見つけられなくなり、不正アクセスを試みにくくします。
    • MACアドレスフィルタリング: 接続を許可する端末のMACアドレス(デバイスごとに固有の識別番号)を事前に登録しておき、登録されていない端末からの接続を拒否する機能です。これにより、許可していない端末をネットワークに接続させないようにできます。
    • ファームウェアアップデート: ルーターの内部ソフトウェアであるファームウェアには、セキュリティ上の脆弱性が発見されることがあります。Atermは定期的にファームウェアアップデートを提供し、これによりセキュリティを最新の状態に保ちます。多くのモデルは自動アップデートに対応しており、ユーザーの手間なくセキュリティ対策が行われます。
  • ゲストポート機能: 来客などに一時的にWi-Fiを利用させたい場合に便利な機能です。メインのネットワークとは分離された、ゲスト専用のWi-Fiネットワークを提供できます。これにより、来客がメインネットワーク上のファイルやデバイスにアクセスすることを防ぎ、セキュリティを確保できます。利用時間の制限などを設定できるモデルもあります。
  • 悪質サイトブロック機能(一部モデル): 一部のAtermモデルや、別途セキュリティサービスとの連携により、フィッシングサイトやウイルス配布サイトといった悪質サイトへのアクセスをルーター側でブロックする機能です。家庭内の全てのデバイスに対して有効なセキュリティ対策となります。

これらのセキュリティ機能を適切に設定・利用することで、家庭内ネットワークを安全に保つことができます。Atermは初期設定の段階である程度のセキュリティ設定がされている場合が多く、ユーザーが追加で設定することも容易に行えます。

Atermスマートリモコンアプリ

Atermユーザーにとって非常に便利なのが、スマートフォン・タブレット向けの専用アプリ「Atermスマートリモコン」です。このアプリを使うことで、ルーターの管理や設定をスマートフォンから直感的に行えます。

  • 主な機能:
    • 初期設定: アプリの指示に従うだけで、ルーターの初期設定やインターネット接続設定を行えます。QRコードを使ったWi-Fi設定も可能です。
    • 接続状況の確認: 現在Atermに接続しているデバイスの一覧や、それぞれの通信状況を確認できます。「見えて安心ネット」機能との連携により、どのデバイスがどれくらい通信しているかなどを視覚的に把握できます。
    • 各種設定変更: Wi-FiのSSIDやパスワードの変更、ゲストWi-Fiの設定、セキュリティ設定、IPv6設定、メッシュWi-Fi設定など、ルーターの詳細設定をアプリから簡単に行えます。
    • ファームウェアアップデート: ルーターのファームウェアが最新版か確認し、アップデートをアプリから実行できます。
    • 再起動: アプリからルーターを再起動できます。トラブル発生時に物理的にルーターまで行く必要がなくなります。
    • 見えて安心ネット: 接続されているデバイスごとに、インターネットへの接続許可/拒否を設定したり、特定の時間帯だけ接続を許可したりといった制限をかけられます。子供のインターネット利用管理などに役立ちます。
    • メッシュWi-Fiの管理: メッシュネットワークに参加している機器の状態確認や、サテライトの追加・削除、最適な設置場所の確認などがアプリから行えます。

PCのWebブラウザから設定画面を開くよりも手軽で、外出先から自宅のルーターの状態を確認するといった使い方も可能です(一部機能)。Atermの使いやすさを大きく向上させている重要なツールです。

見えて安心ネット

「見えて安心ネット」は、AtermスマートリモコンアプリやWeb設定画面から利用できる、家庭内のネットワークに接続されているデバイスを一覧で確認し、管理できる機能です。

  • 機能:
    • 接続デバイスの一覧表示: 現在Atermに接続しているすべてのデバイス(スマートフォン、PC、ゲーム機、スマート家電など)を一覧で表示します。デバイスの名前(設定されていれば)やMACアドレス、IPアドレスなどが確認できます。
    • デバイス識別のサポート: 各デバイスに分かりやすい名前を付けたり、アイコンを設定したりすることで、どのデバイスが接続しているかを簡単に識別できます。
    • 接続許可/拒否設定: 特定のデバイスからのインターネット接続を一時的に停止したり、完全に拒否したりすることができます。
    • スケジュール設定: 特定のデバイスに対して、インターネット接続を許可する時間帯を設定できます。例えば、子供のゲーム機やタブレットのインターネット接続を夜間は停止するといった使い方が可能です。

この機能を使うことで、「知らないデバイスが勝手に接続していないか」を確認したり、家族のインターネット利用を管理したりすることができます。特に、スマート家電など設定が難しいデバイスも増えている中で、接続状態を可視化できるのは安心に繋がります。

特定の機能(QRコード設定、引っ越し機能など)

Atermには、ユーザーの利便性を高めるための細かい機能も搭載されています。

  • QRコード設定: スマートフォンやタブレットでAtermに接続する際に、ルーター本体や添付のカードに印刷されたQRコードを読み取るだけで、SSIDや暗号化キーなどの設定を自動で行える機能です。手動入力の手間や間違いがなくなり、簡単にWi-Fiに接続できます。
  • Wi-Fi設定引っ越し機能: 以前使っていたAtermルーターから新しいAtermルーターに買い替える際に、古いルーターのWi-Fi設定(SSIDやパスワードなど)を新しいルーターに簡単にコピーできる機能です。これにより、買い替え後も接続しているすべてのデバイス(スマートフォン、PC、スマート家電など)のWi-Fi設定を変更する必要がなく、スムーズに移行できます。AtermからAtermへの買い替えを考えているユーザーにとって非常に便利な機能です。
  • リモートワーク支援機能(一部モデル): 特定のオンライン会議サービス(Zoom、Teamsなど)の通信を優先したり、VPN接続を安定させたりといった、リモートワークを快適に行うための機能を搭載したモデルもあります。

これらの機能は、Atermの「使いやすさ」や「ユーザーフレンドリー」という特徴を具体的に表しています。

6. Atermルーターの選び方:失敗しないためのポイント

豊富なラインナップの中から自分にぴったりのAtermルーターを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

設置場所(マンション、戸建て、部屋数)

ルーターの性能、特に電波のカバレッジは、住居の構造や広さに大きく影響されます。

  • マンション(〜3LDK程度): 比較的広さが限られており、隣室との距離も近いことが多いです。スタンダードクラス以上のモデルであれば、多くの部屋をカバーできるでしょう。ただし、鉄筋コンクリート造りのマンションは壁が厚く電波が遮断されやすいため、スタンダードクラス以上の性能を持つモデルや、必要に応じてメッシュWi-Fiの導入を検討する価値があります。エントリーモデルは、一人暮らしや1K/1DKといった小規模な部屋に適しています。
  • 戸建て住宅(2階建て以上): 1階にルーターを設置した場合、2階や3階、またはルーターから離れた部屋には電波が届きにくい場合があります。フラッグシップクラスの高性能モデルや、より効果的なメッシュWi-Fiシステムの導入を検討する必要があります。特に電波が届きにくい場所がある場合は、ルーター単体よりもメッシュWi-Fi対応モデルを選ぶのがおすすめです。
  • 部屋の材質: 木造住宅に比べて、鉄筋コンクリート造りや壁に金属などが使用されている建物は、電波が通りにくくなります。こうした環境では、より強力な電波を飛ばせる高性能モデルや、メッシュWi-Fiがより有効になります。

Atermの製品仕様には、「推奨環境:〜4LDK/3階建て」といった目安が記載されています。これはあくまで理想的な環境での目安であり、実際の建物構造や壁の材質、設置場所などによって大きく左右される点に注意が必要です。迷う場合は、少し余裕を持った性能のモデルを選ぶか、将来的なメッシュWi-Fi拡張も可能なモデルを選ぶと良いでしょう。

同時接続台数

現代の家庭では、スマートフォン、PC、タブレットだけでなく、ゲーム機、スマートテレビ、スマートスピーカー、スマート家電(エアコン、照明、カメラなど)など、多くのデバイスがWi-Fiに接続されます。家族が多い場合は、一人あたり複数のデバイスを接続していることも珍しくありません。

接続端末数がルーターの処理能力を超えると、通信速度が低下したり、一部のデバイスが繋がりにくくなったりといった問題が発生します。

  • 目安:
    • 一人暮らし、接続端末数〜10台程度: エントリーモデルでも対応可能な場合が多いです。
    • 家族数人、接続端末数〜20台程度: スタンダードモデルがおすすめです。
    • 家族が多い、接続端末数20台以上、スマート家電が多い家庭: フラッグシップモデルや、多端末接続に強いWi-Fi 6/6E/7対応モデルがおすすめです。

Atermの製品仕様には、「最大接続台数」が記載されています。これはあくまで理論上の最大値であり、快適に利用できる台数はそれより少なくなるのが一般的です。特に同時に高速通信を行うデバイスが多い場合は、処理能力の高いモデルを選ぶことが重要です。MU-MIMOやOFDMAといった多端末接続効率化技術に対応したWi-Fi 6以降のモデルは、多端末環境で真価を発揮します。

必要な通信速度(契約している回線速度)

快適なインターネット通信のためには、ご自身が契約しているインターネット回線の速度と、ルーターのWi-Fi速度のバランスが重要です。

  • 回線速度が遅い場合(例:100Mbps以下): エントリーモデルやスタンダードモデルでも十分な速度が出る可能性があります。最新の超高速ルーターを選んでも、回線速度がボトルネックとなり、それ以上の速度は出ません。ただし、将来的に回線速度を上げる可能性がある場合は、少し余裕のあるルーターを選ぶのも手です。
  • 回線速度が速い場合(例:1Gbps以上): 回線速度を最大限に活かすためには、ルーターのWi-Fi速度も高速である必要があります。Wi-Fi 5(ac規格)対応モデルでも最大1Gbpsを超える理論値を持つモデルはありますが、実効速度を考えると、Wi-Fi 6以降の規格に対応し、5GHz帯で1Gbps以上の理論値を持つスタンダードモデル以上がおすすめです。特に10Gbpsなどの超高速回線を契約している場合は、それに対応したWi-Fi 6E/7対応のフラッグシップモデルを選ぶ必要があります。

重要なのは、ルーターのWi-Fi速度が回線速度以上であることです。ルーターの理論値はあくまで目安ですが、回線速度に見合った、またはそれ以上の理論値を持つモデルを選ぶことで、回線本来の速度を活かしたWi-Fi環境を構築できます。また、前述のIPv6 High Speed(IPoE方式)への対応も、回線速度を安定させるために重要な要素です。

予算

ルーターの価格は、性能や機能によって大きく異なります。エントリーモデルは数千円から購入できますが、フラッグシップモデルやメッシュWi-Fiシステムは数万円するものもあります。

ご自身の予算に合わせて、必要な性能・機能を持つモデルを選ぶことになります。ただし、安価なモデルは性能が低く、特に多端末接続時や広い範囲で不安定になる可能性があります。インターネットは生活の基盤となりつつあるため、快適性を重視するのであれば、ある程度の予算をかけることを検討しても良いでしょう。少し前の世代のフラッグシップモデルやスタンダードモデルが、新製品の発売に伴って価格が下がることもあります。

必要な機能(メッシュWi-Fi、IPv6、Wi-Fi 6/6E/7など)

ルーターに求める機能も、モデル選びの重要な基準です。

  • 家全体に電波を届けたい: メッシュWi-Fi機能に対応したモデルが必要です。親機単体で購入し、後からサテライトを追加するか、親機とサテライトがセットになったモデルを選びます。
  • 回線速度を安定させたい、夜間や休日も快適に使いたい: IPv6 High Speed(IPoE方式)に対応したモデルが必要です。ご契約のプロバイダがIPoE方式に対応しているか確認しましょう。Atermのほとんどの現行モデルはIPv6 High Speedに対応しています。
  • 最新のスマートフォンやPCの性能を最大限に活かしたい: Wi-Fi 6/6E/7対応モデルが必要です。特に多端末接続環境ではWi-Fi 6以降の恩恵が大きいです。接続するデバイスがどのWi-Fi規格に対応しているか確認しましょう。
  • 多端末接続時の安定性を重視したい: MU-MIMOやOFDMAといった技術に対応したWi-Fi 6以降のモデルがおすすめです。同時接続可能な端末数が多いモデルを選びましょう。
  • 電波干渉が気になる、周波数帯の切り替えが面倒: バンドステアリングやオートチャネルセレクト機能があると便利です。Atermの多くのモデルに搭載されています。
  • セキュリティを強化したい: WPA3やゲストポート機能に対応したモデルを選びましょう。「見えて安心ネット」のような管理機能があると、接続デバイスの把握や制限が容易になります。

必要な機能をリストアップし、それに対応しているAtermモデルの中から予算や性能に合わせて絞り込んでいくと良いでしょう。

現在利用しているAtermからの買い替え検討

現在Atermを利用していて、新しいモデルに買い替える場合、Atermならではのメリットがあります。

  • Wi-Fi設定引っ越し機能: 前述の通り、古いAtermから新しいAtermへの買い替え時に、Wi-Fi設定を簡単に引き継げます。これはAtermユーザーにとって非常に便利な機能です。
  • 操作感の継続: AtermスマートリモコンアプリやWeb設定画面のUI(ユーザーインターフェース)は、モデルによって多少の違いはありますが、基本的な操作感は共通しています。そのため、新しいモデルに買い替えても迷わずに設定・運用できます。
  • 互換性: AtermのメッシュWi-Fiは、対応モデル間であれば比較的容易にメッシュネットワークを構築できます。古いAtermルーターをメッシュの子機(サテライト)として活用できる場合もあります(対応状況はモデルによります)。

買い替えを検討する際は、現在抱えている不満点(速度が遅い、電波が届かない、多端末で不安定など)を解消できる性能や機能を持つモデルを選びましょう。例えば、古いWi-Fi 5モデルからWi-Fi 6対応モデルに買い替えることで、速度や安定性が向上する可能性があります。

最新モデルか、少し前のモデルか

ルーターを選ぶ際に、最新モデルを選ぶべきか、価格が下がった少し前のモデルを選ぶべきか迷うことがあります。

  • 最新モデル: 最新のWi-Fi規格や技術にいち早く対応しており、最高の性能と機能を持っています。将来性も高く、長く快適に利用できる可能性が高いです。価格は高い傾向にあります。最新技術の恩恵を受けたい方、最高のパフォーマンスを求める方におすすめです。
  • 少し前のモデル: 最新モデルに比べて価格が手頃になっている場合があります。ただし、対応しているWi-Fi規格が一つ前だったり、一部機能が省略されていたりすることがあります。ご自身の回線速度や必要な機能が、少し前のモデルで十分満たせるのであれば、コストパフォーマンスに優れる選択肢となります。ただし、Wi-Fi 6/6E/7などの新しい規格に対応した端末が増えている現状では、将来的なことも考慮するとWi-Fi 6以降のモデルがおすすめです。

Wi-Fiルーターは一度購入すると数年間使用することが多いため、将来的なデバイスの増加や技術の進化も考慮して、少し余裕のある性能のモデルを選ぶのが賢明と言えます。

7. Atermルーターの設定方法:初めてでも安心

Atermルーターは、初めての方でも比較的簡単に設定できるように設計されています。ここでは、一般的な設定の流れを解説します。モデルや回線種類、プロバイダによって詳細な手順は異なる場合がありますが、基本的な流れは共通しています。

開梱と接続(モデムとの接続)

  1. 内容物の確認: パッケージを開封し、ルーター本体、ACアダプター、LANケーブル、つなぎかたガイド(セットアップガイド)などが揃っているか確認します。
  2. 機器の配置: Atermルーターを設置する場所を決めます。電波はルーターを中心に球状に広がるため、家の中心付近や、よく利用する部屋の近くに設置するのが理想的です。棚の中や家具の裏、床に直置きなどは避け、できるだけ高い位置で遮蔽物の少ない場所に置くと電波が広がりやすくなります。
  3. モデムとの接続:
    • まず、インターネット回線終端装置(ONU)やモデムの電源を切ります。
    • 付属のLANケーブルを使って、ONU/モデムのLANポートと、AtermルーターのWANポート(通常、色が異なる、または「WAN」「インターネット」などの表示があるポート)を接続します。
    • 必要に応じて、ONU/モデムの電源を入れ直します。
    • AtermルーターにACアダプターを接続し、電源を入れます。ルーターの電源ランプが点灯するのを確認します。

初期設定ウィザード(Windows、Mac、スマートフォン)

Atermルーターの電源を入れると、多くの場合、初期設定が必要な状態になります。設定は、Wi-Fi接続したPCやスマートフォンのWebブラウザから行うか、Atermスマートリモコンアプリから行います。

Webブラウザからの設定(PC推奨):

  1. Atermへの接続: PCのWi-Fi設定を開き、Atermルーター本体に記載されている初期SSID(ネットワーク名)に接続します。初期パスワード(暗号化キー)も本体に記載されています。
  2. 設定画面へのアクセス: Webブラウザを起動し、アドレスバーに「http://aterm.me/」または「http://192.168.10.1/」と入力して設定画面にアクセスします。
  3. 管理者パスワードの設定: 初回アクセス時、管理者パスワードの設定を求められます。推測されにくいパスワードを設定し、忘れないように控えておきます。
  4. 初期設定ウィザードの開始: ウィザード画面が表示されたら、「インターネット接続設定」や「かんたん設定」などを選択して進みます。
  5. インターネット回線の選択: 契約しているインターネット回線の種類(光回線など)を選択します。
  6. 接続方式の選択/自動判別: プロバイダとの接続方式(PPPoE、IPoEなど)を選択するか、ルーターが自動的に判別するのを待ちます。IPoE方式の場合は、特に設定不要で自動接続されることが多いです。PPPoE方式の場合は、プロバイダから送られてきた接続IDとパスワードを入力します。
  7. Wi-Fi設定の変更: 任意のSSID(ネットワーク名)とパスワード(暗号化キー)を設定します。初期設定のままでも使えますが、セキュリティのためにも変更することをおすすめします。
  8. 設定完了: 設定内容を確認し、完了します。ルーターが再起動する場合があります。

Atermスマートリモコンアプリからの設定(スマートフォン/タブレット):

  1. アプリのインストール: App StoreまたはGoogle Playストアから「Atermスマートリモコン」アプリをインストールします。
  2. Atermへの接続: スマートフォンのWi-Fi設定を開き、Atermルーター本体に記載されている初期SSIDに接続します。
  3. アプリの起動とルーター登録: アプリを起動し、表示される手順に従ってAtermルーターをアプリに登録します。ルーター本体のQRコードを読み取るだけで登録できる場合があります。
  4. 初期設定の開始: アプリのメニューから「初期設定」などを選択し、表示される指示に従って進みます。
  5. インターネット接続設定: 回線の種類やプロバイダ情報(必要な場合)を入力します。IPoE方式の場合は自動判別されることが多いです。
  6. Wi-Fi設定: 任意のSSIDとパスワードを設定します。QRコードを利用して、アプリから他のデバイスにWi-Fi設定を共有することも可能です。
  7. 設定完了: 設定内容を確認し、完了します。

多くのAtermモデルでは、電源を入れてONU/モデムと接続するだけで、回線種別や接続方式(IPoEかPPPoEか)を自動的に判別し、インターネットに接続できる「らくらくスタート機能」や自動判別機能が搭載されています。これにより、ユーザーはほとんど設定することなくインターネットを利用開始できる場合があります。

Wi-Fi接続設定(SSIDとパスワード)

ルーターの設定が完了したら、スマートフォン、PC、タブレットなどのデバイスを新しいWi-Fiネットワークに接続します。

  1. デバイスのWi-Fi設定を開く: スマートフォンやPCの「設定」からWi-Fi設定画面を開きます。
  2. SSIDを選択: 利用可能なネットワークの一覧から、先ほど設定したAtermのSSID(ネットワーク名)を選択します。
  3. パスワードを入力: 設定したパスワード(暗号化キー)を入力します。
  4. 接続完了: 正しいパスワードを入力すると、Wi-Fiへの接続が完了します。Wi-Fiのアイコンが表示されているか確認します。

他の家族のデバイスやスマート家電なども同様の手順でWi-Fiに接続します。QRコード設定機能を使えば、スマートフォンなどはより簡単に接続できます。

ゲストポートの設定

来客用などに一時的なWi-Fiを提供したい場合は、ゲストポート機能を設定します。

  1. 設定画面へアクセス: WebブラウザまたはAtermスマートリモコンアプリからルーターの設定画面にアクセスします。
  2. ゲストポート設定項目へ: メニューから「ゲストポート」や「ゲストSSID」といった項目を探します。
  3. ゲストSSIDの設定: ゲスト用のSSID(ネットワーク名)とパスワードを設定します。メインのSSID/パスワードとは異なるものに設定します。
  4. セキュリティ設定: ゲストネットワークからメインネットワーク上のデバイスへのアクセスを制限する設定などが可能です。通常はデフォルトで分離されていますが、念のため確認しましょう。
  5. 設定有効化: ゲストポート機能を有効にします。

ゲスト用のSSIDは、メインのSSIDとは別に表示されるようになります。ゲストにはそのSSIDとパスワードを教えることで、安全にWi-Fiを利用してもらえます。

詳細設定画面へのアクセス

初期設定後、さらに詳細な設定を行いたい場合(例:ポート開放、VPN設定、特定のセキュリティ設定など)は、Webブラウザから詳細設定画面にアクセスします。

  1. AtermにWi-Fi接続: 設定したいデバイスをAtermのWi-Fiに接続します。
  2. 設定画面へアクセス: Webブラウザを起動し、「http://aterm.me/」または「http://192.168.10.1/」にアクセスします。
  3. 管理者パスワード入力: 設定した管理者パスワードを入力してログインします。

これにより、ルーターの全ての機能や設定項目にアクセスできます。ただし、詳細設定を誤るとインターネットに接続できなくなる可能性もあるため、設定を変更する際は慎重に行い、必要に応じてオンラインマニュアルなどを参考にしましょう。

Atermスマートリモコンアプリでの設定

多くの設定は、スマートフォンからAtermスマートリモコンアプリを使って行うのが最も手軽です。

  1. アプリ起動とログイン: アプリを起動し、必要に応じて管理者パスワードを入力してログインします。
  2. 設定項目の選択: アプリのメイン画面やメニューから、変更したい設定項目(Wi-Fi設定、セキュリティ設定、見えて安心ネットなど)を選択します。
  3. 設定変更: 各設定項目で、アプリの画面に表示される指示や項目に従って設定を変更します。
  4. 設定反映: 変更した設定は、多くの場合すぐにルーターに反映されます。

Atermスマートリモコンアプリは、直感的な操作が可能で、ルーターの状態も視覚的に確認できるため、初心者から上級者まで便利に利用できます。

Atermルーターの設定は、このようにいくつかのステップで完了します。つなぎかたガイドやオンラインマニュアル、Atermスマートリモコンアプリのヘルプ機能なども活用しながら進めれば、初めての方でもスムーズに設定できるでしょう。

8. Atermに関するよくある質問(FAQ)

Atermルーターを利用していて、あるいは購入前にユーザーから寄せられることが多い質問とその回答をまとめました。

繋がらない、遅い場合の対処法

インターネットに繋がらない、または速度が遅いといったトラブルは、Wi-Fiルーターで最も多い悩みの一つです。

  • ルーター・モデムの再起動: 多くの通信トラブルは、ルーターやモデムの一時的な不具合が原因です。まず、ルーターとモデム(ONU)の電源アダプターをコンセントから抜き、1〜2分待ってから、先にモデム(ONU)の電源を入れ、ランプ状態が安定したらルーターの電源を入れます。これにより、機器の状態がリフレッシュされ、問題が解決することが多いです。
  • 配線確認: モデムとルーター、ルーターとPC(有線接続の場合)のLANケーブルがしっかり奥まで差し込まれているか確認します。ケーブルが劣化している場合は交換も検討します。
  • ルーターのランプ状態確認: Atermルーター本体のランプ(POWER, ACTIVE, WAN, WLANなど)の状態を確認します。正常な状態はつなぎかたガイドやオンラインマニュアルに記載されています。異常なランプ状態の場合は、その状態に応じた対処法を確認します。
  • 設置場所の変更: ルーターが壁や家具に囲まれていたり、他の電化製品(電子レンジなど)の近くに置かれていたりすると、電波が遮られたり干渉を受けたりして通信が不安定になることがあります。ルーターを高い位置で、障害物の少ない場所に移動させてみます。
  • 周波数帯の変更: 2.4GHz帯は電波干渉を受けやすいため、可能な場合は5GHz帯または6GHz帯に切り替えて接続してみます。Atermのバンドステアリング機能がONになっているか確認します。
  • チャネルの変更: オートチャネルセレクト機能がONになっているか確認します。ONになっていても改善しない場合は、Web設定画面から手動で空いているチャネルを選択してみるのも手です(ただし、ある程度の知識が必要です)。
  • ファームウェアのアップデート: ルーターのファームウェアが最新でない場合、不具合が起きている可能性があります。AtermスマートリモコンアプリやWeb設定画面からファームウェアを最新版にアップデートします。
  • 周辺機器の影響: 接続している端末(PCやスマホ)側のWi-Fi設定や、セキュリティソフト、OSのアップデートなどが影響している可能性も考えられます。他のデバイスでも同様の問題が起きるか確認します。
  • プロバイダや回線の問題: ルーターや宅内環境に問題がない場合、ご契約のプロバイダ側やインターネット回線自体に問題が発生している可能性も考えられます。プロバイダの障害情報を確認したり、問い合わせてみたりします。特にPPPoE方式の場合は、夜間などの混雑が原因で速度が低下しやすい傾向があります。IPv6 IPoE方式への切り替えを検討するのも良いでしょう。
  • ルーターの初期化: 上記を試しても改善しない場合は、ルーターを初期化し、再度設定し直すことで解決することがあります。ただし、初期化すると全ての設定が消去されるため、設定情報を控えておく必要があります。
  • ルーターの寿命: 長期間(5年以上など)同じルーターを使用している場合、機器の劣化により性能が低下したり、不具合が出やすくなったりすることがあります。新しいモデルへの買い替えを検討する時期かもしれません。

最新ファームウェアへのアップデート方法

ファームウェアのアップデートは、ルーターの性能改善やセキュリティ強化のために重要です。

  • 自動アップデート: 多くのAtermモデルは自動アップデート機能に対応しています。この機能が有効になっていれば、ルーターが自動的に最新ファームウェアを確認し、夜間など通信が少ない時間帯にアップデートを実行してくれます。通常は初期設定でONになっていますが、設定画面で確認・変更可能です。
  • 手動アップデート(アプリ/Web設定画面): AtermスマートリモコンアプリまたはWeb設定画面からも手動でアップデートを実行できます。アプリ/設定画面にログインし、「ファームウェアアップデート」や「保守」といった項目から、最新版の確認とアップデートを行えます。手動で行う場合も、アップデート中はルーターの電源を切らないように注意が必要です。

初期化の方法

ルーターの設定トラブルなどで、購入時の状態に戻したい場合に初期化を行います。

  • RESETボタン: Atermルーター本体には、「RESET」ボタン(または穴の奥にあるボタン)があります。ルーターの電源が入った状態で、細いピンなど(つまようじなど)でこのボタンを長押しします。POWERランプが点滅し始めたらボタンを離すと、初期化が開始されます。初期化が完了するとルーターは再起動します。
  • 初期化後の再設定: 初期化すると、ルーターの全ての個人設定(SSID、パスワード、管理者パスワード、インターネット接続設定など)が消去され、工場出荷時の状態に戻ります。初期設定を最初からやり直す必要があります。

IPv6にしたいがどうすればいいか

IPv6 IPoE方式での接続は、高速かつ安定した通信のために有効です。

  1. プロバイダの対応確認: ご契約のインターネットプロバイダがIPv6 IPoE方式に対応しているか確認します。プロバイダの公式サイトなどで確認できます。多くの大手プロバイダや、光コラボレーション事業者はIPoE方式に対応しています。
  2. Atermルーターの対応確認: 使用しているAtermルーターがIPv6 High Speed(IPoE方式)に対応しているか確認します。現行のAtermホームルーターのほとんどは対応しています。少し古いモデルの場合は、製品仕様を確認します。
  3. 申し込み/切り替え: プロバイダに対して、IPv6 IPoE接続サービスの申し込み(または現在の接続方式からの切り替え)を行います。多くの場合、追加料金はかかりませんが、プロバイダによっては手続きが必要です。
  4. Atermの設定: プロバイダでの手続きが完了したら、Atermルーターを再起動します。AtermのIPv6 High Speed対応モデルは、多くの場合、自動的にIPoE方式での接続を確立します。特別な設定は不要なことが多いですが、プロバイダから指定がある場合は、Web設定画面で手動設定を行います。
  5. IPv6接続の確認: AtermスマートリモコンアプリやWeb設定画面で、IPv6で接続できているか確認できます。また、「IPv6 接続確認」などのキーワードで検索して表示されるウェブサイトでも確認できます。

中継機とルーターの組み合わせ

AtermルーターとAtermの中継機(またはメッシュ対応モデル)を組み合わせて、Wi-Fiの電波が届く範囲を広げることができます。

  • 中継機の設置: Atermの中継機モデルは、親機となるAtermルーターの電波が届く範囲内で、かつ電波を広げたい場所に近いコンセントに挿して設定します。親機と中継機の間の電波状態が良い場所に設置するのがポイントです。
  • メッシュWi-Fiの構築: メッシュ対応のAtermルーターを親機とし、対応するAtermルーターまたは専用サテライトを子機(中継機)として追加設定します。親機と子機をペアリング設定した後、電波を広げたい場所に子機を設置します。Atermスマートリモコンアプリを使えば、最適な設置場所の目安を確認できるモデルもあります。

同じAtermブランドで揃えることで、相互の互換性が高く、設定もスムーズに行えるというメリットがあります。異なるメーカーのルーターと中継機/メッシュ子機を組み合わせる場合、互換性がない場合や性能を十分に発揮できない場合があります。

買い替え時の設定移行

古いAtermルーターから新しいAtermルーターに買い替える場合、Wi-Fi設定引っ越し機能が非常に便利です。

  1. 古いAtermの準備: 古いAtermルーターの電源を入れたままにしておきます。
  2. 新しいAtermの準備: 新しいAtermルーターを、古いAtermルーターの近くに設置し、電源を入れます(まだモデムには接続しません)。
  3. 引っ越し機能の実行: 新しいAtermルーターの本体に記載されている初期SSIDにPCやスマートフォンで接続します。Webブラウザで設定画面にアクセスし、「Wi-Fi設定引っ越し機能」を選択します。
  4. 設定の転送: 画面の指示に従って、古いAtermルーターの「らくらくスタートボタン」などを押す操作を行います。これにより、古いルーターのWi-Fi設定が新しいルーターに自動的に転送されます。
  5. 接続の切り替え: 設定の転送が完了したら、新しいAtermルーターをモデムに接続し、古いルーターの電源を切ります。接続しているデバイスは、以前と同じSSIDで新しいルーターに自動的に接続されるはずです。

この機能を使えば、接続している全てのデバイスのWi-Fi設定を一つずつ変更する手間が省け、スムーズに新しいルーターに切り替えられます。対応しているモデルは、製品仕様で確認できます。

寿命の目安

Wi-Fiルーターの寿命は、一般的に4年〜6年程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、使用環境やモデルによって異なります。

  • 性能劣化: 長期間使用すると、内部部品の劣化により通信速度が不安定になったり、熱を持ちやすくなったりすることがあります。
  • 技術の陳腐化: 新しいWi-Fi規格や技術が登場し、古いルーターではそれらに対応できないため、最新デバイスの性能を活かせなくなったり、通信効率が悪くなったりします。
  • セキュリティリスク: 古いルーターは、最新のセキュリティ規格(WPA3など)に対応していなかったり、ファームウェアアップデートの提供が終了したりして、セキュリティ上のリスクが高まる可能性があります。

インターネットの速度が以前より遅くなったと感じる、よく通信が途切れる、ルーターが頻繁に熱を持つといったサインがあれば、買い替えを検討する時期かもしれません。新しいモデルに買い替えることで、通信速度や安定性が大幅に改善される可能性があります。

9. Atermのサポート体制

Atermは、ユーザーが安心して製品を利用できるよう、充実したサポート体制を提供しています。

  • 電話サポート: 製品の操作方法や設定方法、トラブルシューティングなど、専門のオペレーターによる電話サポートが利用できます。困ったときに直接相談できるのは大きな安心材料です。
  • Webサポート: NECプラットフォームズの公式サイトには、Aterm製品に関する様々な情報が掲載されています。
    • オンラインマニュアル: 各モデルの詳細な取扱説明書がPDF形式などで閲覧できます。
    • Q&A、FAQ: よくある質問とその回答がまとめられています。多くの疑問やトラブルはここで解決できます。
    • 設定方法ガイド: 初期設定や特定の機能設定に関する手順が分かりやすく解説されています。
    • ファームウェアダウンロード: 手動でファームウェアアップデートを行う場合に、最新版のファームウェアファイルをダウンロードできます。
    • 対応プロバイダ情報: IPv6 High Speed(IPoE)など、特定のサービスに対応しているプロバイダ情報が確認できます。
  • 修理サービス: 製品保証期間内の無償修理はもちろん、保証期間経過後も有償で修理サービスを受けることができます。Webサイトから修理の申し込みや状況確認ができる場合もあります。
  • チャットサポート: Webサイト上でリアルタイムに質問できるチャットサポートを提供している場合もあります。

これらのサポートを組み合わせることで、Atermユーザーは、製品の購入前から購入後、そしてトラブル発生時まで、安心して製品を利用することができます。特に国内メーカーならではの日本語による手厚いサポートは、多くのユーザーから高く評価されています。

10. まとめ:Atermはどんな人におすすめ?

Aterm(エーターム)は、NECプラットフォームズが提供する、長年にわたり日本の家庭向け通信機器市場を牽引してきたWi-Fiルーターブランドです。その人気の秘密は、NECが培ってきた高い技術力に基づいた「高い信頼性と安定性」、そして初心者でも迷わない「簡単な設定と使いやすさ」、困ったときに頼りになる「充実したサポート体制」、常に最新のWi-Fi規格やIPv6に対応する「最新技術への対応力」、そして多様なニーズに応える「豊富なラインナップ」にあります。

これらの特徴を踏まえると、Atermルーターは特に以下のような方におすすめできます。

  • IT機器の扱いに自信がない方、初めてWi-Fiルーターを導入する方: Atermは初期設定が非常に簡単で、Atermスマートリモコンアプリを使えばスマートフォンから直感的に操作できます。困ったときも日本語の充実したサポートを受けられるため、安心して利用できます。
  • 通信の安定性、信頼性を重視する方: 長年の実績と国内メーカーならではの品質管理により、Atermは安定した通信性能に定評があります。オンラインゲームやWeb会議など、安定した通信が必須な用途で安心して利用できます。
  • IPv6 IPoE方式で快適なインターネットを利用したい方: 多くのAtermモデルがIPv6 High Speedに対応しており、自動判別機能により簡単にIPoE方式による高速・安定通信を確立できます。夜間などの混雑による速度低下に悩んでいる方におすすめです。
  • 家全体にWi-Fiの電波を届けたい方: メッシュWi-Fi対応モデルが豊富に用意されており、広い家や複雑な間取りでも家全体を快適なWi-Fi空間にできます。同じAtermブランドで揃えることで、設定もスムーズです。
  • 買い替えを検討しているAtermユーザー: Wi-Fi設定引っ越し機能を使えば、接続している全てのデバイスの設定変更なしに新しいAtermにスムーズに移行できます。
  • 最新のWi-Fi技術の恩恵を受けたい方: Wi-Fi 6/6E/7といった最新規格にいち早く対応したモデルがラインナップされており、最新のスマートフォンやPCの性能を最大限に活かせます。
  • 日本製にこだわる方、国内メーカーのサポートを重視する方: 国内メーカーならではの手厚い日本語サポートは、Atermを選ぶ大きな理由の一つとなります。

もちろん、Aterm以外にも優れたWi-Fiルーターはたくさん存在しますが、Atermが長年多くのユーザーに選ばれ続けているのは、こうしたユーザーにとっての具体的なメリットがあるからに他なりません。

もしあなたが現在Wi-Fiルーター選びで悩んでいるのであれば、Atermの製品ラインナップをぜひ検討してみてください。あなたの住環境や利用スタイル、そして予算に合わせて、きっと最適な一台を見つけることができるはずです。

この記事が、Atermルーターへの理解を深め、快適なインターネット環境を構築するための一助となれば幸いです。最新の製品情報や詳細な仕様については、必ずNECプラットフォームズの公式サイトでご確認ください。


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