ACI vs AKS:Azure Container Instances と Kubernetes Service の違いと使い分け

はい、承知いたしました。Azure Container Instances (ACI) と Azure Kubernetes Service (AKS) の違いと使い分けについて、詳細な説明を含む記事を記述します。


Azure Container Instances (ACI) vs. Azure Kubernetes Service (AKS): 詳細な比較と使い分けガイド

近年、コンテナ技術はアプリケーション開発とデプロイメントのあり方を大きく変革しました。コンテナは、アプリケーションとその依存関係をパッケージ化し、異なる環境間で一貫した実行を保証する軽量でポータブルなユニットです。Microsoft Azure は、コンテナ化されたアプリケーションをデプロイおよび管理するための2つの主要なサービスを提供しています。Azure Container Instances (ACI) と Azure Kubernetes Service (AKS) です。

ACI は、コンテナを迅速かつ簡単に実行するためのサーバーレスのコンテナ実行環境であり、AKS は、コンテナ化されたアプリケーションを大規模にオーケストレーションするためのマネージド Kubernetes サービスです。どちらのサービスもコンテナテクノロジーに基づいていますが、アーキテクチャ、機能、およびユースケースが大きく異なります。

この記事では、ACI と AKS の違いを詳細に比較し、それぞれのサービスが最適なシナリオについて説明します。また、具体的な使用例とベストプラクティスを提供し、読者が自身のニーズに最適なサービスを選択できるように支援します。

目次

  1. はじめに
    • コンテナ技術の概要
    • Azure におけるコンテナ戦略
    • ACI と AKS の簡単な紹介
  2. Azure Container Instances (ACI) の詳細
    • ACI のアーキテクチャと仕組み
    • ACI の主要な機能と利点
    • ACI のユースケース
    • ACI の価格モデル
    • ACI のデプロイメント方法
  3. Azure Kubernetes Service (AKS) の詳細
    • Kubernetes の概要と利点
    • AKS のアーキテクチャと仕組み
    • AKS の主要な機能と利点
    • AKS のユースケース
    • AKS の価格モデル
    • AKS のデプロイメント方法
  4. ACI と AKS の詳細な比較
    • アーキテクチャ
    • 機能
    • 管理
    • スケーリング
    • ネットワーク
    • ストレージ
    • セキュリティ
    • コスト
    • ユースケース
  5. ACI と AKS の使い分け
    • ACI が最適なシナリオ
    • AKS が最適なシナリオ
    • 両方を組み合わせるシナリオ
  6. 具体的な使用例
    • ACI を使用したイベントドリブンなアプリケーションの構築
    • AKS を使用したマイクロサービスアーキテクチャのデプロイ
    • ACI と AKS を連携させたハイブリッド環境の構築
  7. ベストプラクティス
    • ACI のベストプラクティス
    • AKS のベストプラクティス
  8. まとめ
    • ACI と AKS の選択のポイント
    • 今後の展望

1. はじめに

1.1 コンテナ技術の概要

コンテナ技術は、アプリケーションとその依存関係(ライブラリ、設定ファイル、ランタイムなど)を、ホストOSから隔離された独立したユニット(コンテナ)にパッケージ化する技術です。コンテナは、Docker などのコンテナエンジンを使用して作成および実行されます。

コンテナ技術の主な利点は以下のとおりです。

  • 移植性: コンテナは、OSやインフラストラクチャに関係なく、あらゆる環境で実行できます。
  • 一貫性: コンテナは、開発、テスト、および本番環境で同じように動作します。
  • 効率性: コンテナは、仮想マシンよりも軽量で起動が速く、リソースの使用率が向上します。
  • スケーラビリティ: コンテナは、需要に応じて簡単にスケールアップまたはスケールダウンできます。
  • 分離性: コンテナは、互いに隔離されているため、セキュリティが向上します。

1.2 Azure におけるコンテナ戦略

Microsoft Azure は、包括的なコンテナ戦略を提供しており、さまざまなニーズに対応するための複数のサービスを提供しています。

  • Azure Container Registry (ACR): プライベートな Docker コンテナイメージレジストリ。
  • Azure Container Instances (ACI): サーバーレスのコンテナ実行環境。
  • Azure Kubernetes Service (AKS): マネージド Kubernetes サービス。
  • Azure Red Hat OpenShift: マネージド OpenShift サービス。
  • Azure Functions: サーバーレスのイベントドリブンなコンピューティングプラットフォーム(コンテナイメージのサポートを含む)。
  • Azure App Service: Web アプリケーション、API、およびモバイルバックエンドを構築およびホストするためのプラットフォーム(コンテナイメージのサポートを含む)。

これらのサービスを組み合わせることで、開発者はさまざまなコンテナ化されたワークロードを Azure で効率的に実行できます。

1.3 ACI と AKS の簡単な紹介

  • Azure Container Instances (ACI): ACI は、コンテナを迅速かつ簡単に実行するためのサーバーレスのコンテナ実行環境です。仮想マシンやオーケストレーターを管理する必要がなく、単一のコンテナまたは小さなコンテナグループをデプロイするのに適しています。
  • Azure Kubernetes Service (AKS): AKS は、コンテナ化されたアプリケーションを大規模にオーケストレーションするためのマネージド Kubernetes サービスです。複雑なアプリケーションを構築、デプロイ、および管理するための包括的な機能を提供します。

次のセクションでは、ACI と AKS について詳しく説明します。

2. Azure Container Instances (ACI) の詳細

2.1 ACI のアーキテクチャと仕組み

ACI は、Azure の基盤となるインフラストラクチャ上で直接コンテナを実行するサーバーレスのコンテナ実行環境です。ACI のアーキテクチャはシンプルで、仮想マシンやオーケストレーターなどの追加のレイヤーを必要としません。

ACI の主なコンポーネントは次のとおりです。

  • Container Group: 1つ以上のコンテナをまとめた論理グループ。コンテナグループ内のコンテナは、同じネットワーク名前空間、ストレージ、およびリソースを共有します。
  • Container: Docker などのコンテナエンジンを使用して作成されたコンテナイメージからインスタンス化された実行可能なユニット。
  • IP Address: コンテナグループに割り当てられたパブリックまたはプライベート IP アドレス。
  • DNS Name: コンテナグループに割り当てられた DNS 名。

ACI は、コンテナイメージを Azure Container Registry (ACR) などのコンテナレジストリから取得し、必要に応じてコンテナグループを作成してコンテナを実行します。Azure は、基盤となるインフラストラクチャの管理、スケーリング、およびセキュリティを担当します。

2.2 ACI の主要な機能と利点

ACI の主な機能と利点は次のとおりです。

  • 迅速なデプロイメント: ACI は、仮想マシンをプロビジョニングする必要がないため、コンテナを数秒でデプロイできます。
  • サーバーレス: 仮想マシンやオーケストレーターを管理する必要がなく、コンテナの実行に集中できます。
  • オンデマンドの課金: コンテナの実行時間に対してのみ課金されます。
  • リソースの分離: 各コンテナグループは、リソースが分離された専用の環境で実行されます。
  • 組み込みのセキュリティ: ACI は、Azure のセキュリティ機能を利用し、コンテナを保護します。
  • カスタムリソース割り当て: 各コンテナに、必要な CPU コア数とメモリ量を指定できます。
  • パブリック IP アドレスと DNS 名: コンテナグループにパブリック IP アドレスと DNS 名を割り当てることができます。
  • ボリュームのマウント: Azure Files や Azure Blob Storage などのストレージボリュームをコンテナにマウントできます。
  • ログの統合: コンテナのログを Azure Monitor Logs に統合できます。

2.3 ACI のユースケース

ACI は、次のようなさまざまなユースケースに適しています。

  • タスクの自動化: バッチ処理、データ処理、およびその他のタスクを自動化するために、コンテナ化されたスクリプトまたはアプリケーションを実行します。
  • イベントドリブンなアプリケーション: HTTP 要求やメッセージキューなどのイベントに応じてコンテナを実行します。
  • 簡単な Web アプリケーション: 静的な Web サイトやシンプルな API をホストします。
  • テスト環境: コンテナ化されたアプリケーションを迅速にデプロイしてテストします。
  • マイクロサービスのバックエンド: マイクロサービスのバックエンドコンポーネントをデプロイします。
  • 機械学習の推論: トレーニング済みの機械学習モデルを使用して、コンテナ内で推論を実行します。
  • CI/CD パイプライン: コンテナイメージのビルド、テスト、およびデプロイを自動化します。
  • バーストスケーリング: AKS で実行されているアプリケーションのバーストスケーリングのために、ACI を使用します。

2.4 ACI の価格モデル

ACI の価格モデルは、コンテナグループに割り当てられた CPU コア数、メモリ量、および実行時間に基づいています。課金は秒単位で行われ、使用したリソースに対してのみ課金されます。

ACI の価格の詳細については、Azure のドキュメントを参照してください。

2.5 ACI のデプロイメント方法

ACI は、次の方法でデプロイできます。

  • Azure Portal: Azure Portal を使用して、コンテナグループをグラフィカルに作成および管理できます。
  • Azure CLI: Azure CLI を使用して、コマンドラインからコンテナグループを作成および管理できます。
  • Azure PowerShell: Azure PowerShell を使用して、スクリプトからコンテナグループを作成および管理できます。
  • ARM テンプレート: ARM テンプレートを使用して、コンテナグループを Infrastructure as Code (IaC) としてデプロイできます。
  • Azure SDK: Azure SDK を使用して、プログラムからコンテナグループを作成および管理できます。

3. Azure Kubernetes Service (AKS) の詳細

3.1 Kubernetes の概要と利点

Kubernetes は、コンテナ化されたアプリケーションをデプロイ、スケーリング、および管理するためのオープンソースのコンテナオーケストレーションプラットフォームです。Kubernetes は、アプリケーションの可用性、スケーラビリティ、および管理性を向上させるための多くの機能を提供します。

Kubernetes の主な利点は次のとおりです。

  • 自動化されたデプロイメントとロールアウト: アプリケーションのデプロイメントとロールアウトを自動化します。
  • 自己修復: コンテナが失敗した場合、自動的に再起動または再配置します。
  • 水平スケーリング: 需要に応じてアプリケーションを水平方向にスケーリングします。
  • サービスディスカバリとロードバランシング: アプリケーションのサービスディスカバリとロードバランシングを自動化します。
  • ストレージオーケストレーション: ストレージボリュームを自動的にプロビジョニングおよびマウントします。
  • 構成管理: アプリケーションの構成を集中管理します。
  • シークレット管理: アプリケーションのシークレット(パスワード、API キーなど)を安全に管理します。

3.2 AKS のアーキテクチャと仕組み

AKS は、Azure で Kubernetes を実行するためのマネージドサービスです。AKS は、Kubernetes コントロールプレーンを管理し、ユーザーはノードプールと呼ばれる仮想マシンのクラスターを管理します。

AKS の主なコンポーネントは次のとおりです。

  • Control Plane: Kubernetes API サーバー、スケジューラー、コントローラーマネージャーなどの Kubernetes コンポーネントをホストします。AKS は、コントロールプレーンの管理を担当します。
  • Node Pools: コンテナを実行する仮想マシンのクラスター。ノードプールは、同じ構成を持つ仮想マシンのグループです。
  • Nodes: 仮想マシン。各ノードは、コンテナランタイム(Docker など)と Kubernetes エージェント(kubelet)を実行します。
  • Pods: 1つ以上のコンテナをまとめた最小のデプロイ可能なユニット。
  • Services: Pod の論理グループを公開する方法。
  • Deployments: アプリケーションの望ましい状態を記述するオブジェクト。Kubernetes は、Deployment に従って Pod を作成および管理します。

AKS は、ユーザーがノードプールのサイズ、仮想マシンの種類、およびその他の構成オプションを制御できるようにします。Azure は、コントロールプレーンの管理、ノードのプロビジョニング、および Kubernetes クラスタのアップグレードを担当します。

3.3 AKS の主要な機能と利点

AKS の主な機能と利点は次のとおりです。

  • マネージド Kubernetes: Azure は、Kubernetes コントロールプレーンの管理を担当します。
  • シンプルなデプロイメント: AKS は、Kubernetes クラスタのデプロイメントを簡素化します。
  • 自動スケーリング: AKS は、ノードプールを自動的にスケーリングできます。
  • 組み込みのセキュリティ: AKS は、Azure のセキュリティ機能を利用し、Kubernetes クラスタを保護します。
  • 開発者ツールとの統合: AKS は、Visual Studio Code、Azure DevOps、およびその他の開発者ツールと統合されています。
  • オープンソース: AKS は、オープンソースの Kubernetes に基づいています。
  • ハイブリッドサポート: Azure Arc を使用して、オンプレミスまたは他のクラウドで実行されている Kubernetes クラスタを管理できます。
  • 高度なネットワーキング: Azure CNI を使用して、高度なネットワーキング機能(ネットワークポリシー、Ingress コントローラーなど)を利用できます。
  • 監視とロギング: Azure Monitor を使用して、Kubernetes クラスタを監視し、ログを収集できます。

3.4 AKS のユースケース

AKS は、次のようなさまざまなユースケースに適しています。

  • マイクロサービスアーキテクチャ: 複雑なマイクロサービスアーキテクチャをデプロイおよび管理します。
  • コンテナ化された Web アプリケーション: コンテナ化された Web アプリケーションを大規模にホストします。
  • API バックエンド: API バックエンドを構築およびデプロイします。
  • データ処理パイプライン: データ処理パイプラインを実行します。
  • 機械学習のワークロード: 機械学習のトレーニングと推論のワークロードを実行します。
  • DevOps パイプライン: CI/CD パイプラインを構築および自動化します。
  • ステートフルアプリケーション: データベースやメッセージキューなどのステートフルアプリケーションを実行します。
  • イベントドリブンなアプリケーション: Kafka や RabbitMQ などのメッセージキューを使用して、イベントドリブンなアプリケーションを構築します。

3.5 AKS の価格モデル

AKS の価格モデルは、ノードプールに割り当てられた仮想マシンの種類と数、およびその他の Azure サービス(ストレージ、ネットワークなど)の使用量に基づいています。AKS 自体には追加料金はかかりません。Kubernetes コントロールプレーンは無料で管理されます。

AKS の価格の詳細については、Azure のドキュメントを参照してください。

3.6 AKS のデプロイメント方法

AKS は、次の方法でデプロイできます。

  • Azure Portal: Azure Portal を使用して、Kubernetes クラスタをグラフィカルに作成および管理できます。
  • Azure CLI: Azure CLI を使用して、コマンドラインから Kubernetes クラスタを作成および管理できます。
  • Azure PowerShell: Azure PowerShell を使用して、スクリプトから Kubernetes クラスタを作成および管理できます。
  • ARM テンプレート: ARM テンプレートを使用して、Kubernetes クラスタを Infrastructure as Code (IaC) としてデプロイできます。
  • Terraform: Terraform を使用して、Kubernetes クラスタを Infrastructure as Code (IaC) としてデプロイできます。

4. ACI と AKS の詳細な比較

特徴 Azure Container Instances (ACI) Azure Kubernetes Service (AKS)
アーキテクチャ サーバーレス マネージド Kubernetes
管理 簡単 複雑
スケーリング 手動または自動(制限あり) 自動
ネットワーク 基本 高度
ストレージ 基本 高度
セキュリティ 組み込み 構成可能
コスト 使用量ベース 仮想マシンベース
ユースケース 単一コンテナ、タスク、API マイクロサービス、Web アプリケーション

4.1 アーキテクチャ

  • ACI: ACI はサーバーレスのコンテナ実行環境であり、仮想マシンやオーケストレーターなどの追加のレイヤーを必要としません。
  • AKS: AKS は、マネージド Kubernetes サービスであり、Kubernetes コントロールプレーンとノードプールで構成されています。

4.2 機能

  • ACI: ACI は、迅速なデプロイメント、オンデマンドの課金、およびリソースの分離などの基本的なコンテナ実行機能を提供します。
  • AKS: AKS は、自動デプロイメント、自己修復、水平スケーリング、サービスディスカバリ、およびストレージオーケストレーションなどの高度なコンテナオーケストレーション機能を提供します。

4.3 管理

  • ACI: ACI は、仮想マシンやオーケストレーターを管理する必要がないため、管理が簡単です。
  • AKS: AKS は、Kubernetes の概念と構成を理解する必要があるため、管理が複雑です。

4.4 スケーリング

  • ACI: ACI は、手動または自動でスケールできますが、スケールアップとスケールアウトのオプションは限られています。
  • AKS: AKS は、需要に応じて自動的にスケールできます。水平スケーリングと垂直スケーリングをサポートしています。

4.5 ネットワーク

  • ACI: ACI は、基本的なネットワーク機能(パブリック IP アドレス、DNS 名)を提供します。
  • AKS: AKS は、高度なネットワーク機能(ネットワークポリシー、Ingress コントローラー、Azure CNI)を提供します。

4.6 ストレージ

  • ACI: ACI は、Azure Files や Azure Blob Storage などのストレージボリュームをマウントできます。
  • AKS: AKS は、さまざまな種類のストレージボリューム(Azure Disks、Azure Files、Azure Blob Storage、NFS)をサポートし、ストレージの動的プロビジョニングを提供します。

4.7 セキュリティ

  • ACI: ACI は、Azure のセキュリティ機能を利用し、コンテナを保護します。
  • AKS: AKS は、ネットワークポリシー、RBAC、シークレット管理などのセキュリティ機能を構成できます。

4.8 コスト

  • ACI: ACI は、コンテナの実行時間に対してのみ課金されるため、コスト効率が高いです。
  • AKS: AKS は、ノードプールに割り当てられた仮想マシンの種類と数に基づいて課金されるため、コストが変動します。

4.9 ユースケース

  • ACI: ACI は、単一コンテナ、タスクの自動化、API、および簡単な Web アプリケーションに適しています。
  • AKS: AKS は、マイクロサービスアーキテクチャ、コンテナ化された Web アプリケーション、API バックエンド、および複雑なワークロードに適しています。

5. ACI と AKS の使い分け

5.1 ACI が最適なシナリオ

ACI は、次のようなシナリオで最適です。

  • 迅速なデプロイメントが必要な場合: ACI は、仮想マシンをプロビジョニングする必要がないため、コンテナを数秒でデプロイできます。
  • サーバーレスコンピューティングが必要な場合: ACI は、仮想マシンやオーケストレーターを管理する必要がないため、コンテナの実行に集中できます。
  • オンデマンドの課金が必要な場合: ACI は、コンテナの実行時間に対してのみ課金されるため、コスト効率が高いです。
  • 単一コンテナまたは小さなコンテナグループを実行する場合: ACI は、単一コンテナまたは小さなコンテナグループをデプロイするのに適しています。
  • タスクの自動化、イベントドリブンなアプリケーション、および簡単な Web アプリケーションを実行する場合: ACI は、これらのユースケースに最適です。

5.2 AKS が最適なシナリオ

AKS は、次のようなシナリオで最適です。

  • 複雑なアプリケーションをデプロイおよび管理する必要がある場合: AKS は、マイクロサービスアーキテクチャやコンテナ化された Web アプリケーションなどの複雑なアプリケーションをデプロイおよび管理するための包括的な機能を提供します。
  • 自動スケーリングが必要な場合: AKS は、需要に応じてアプリケーションを自動的にスケールできます。
  • 高可用性と信頼性が必要な場合: AKS は、アプリケーションの可用性と信頼性を向上させるための自己修復機能を提供します。
  • 高度なネットワーク機能が必要な場合: AKS は、ネットワークポリシー、Ingress コントローラー、Azure CNI などの高度なネットワーク機能を提供します。
  • ステートフルアプリケーションを実行する必要がある場合: AKS は、データベースやメッセージキューなどのステートフルアプリケーションをサポートします。
  • DevOps パイプラインを自動化する必要がある場合: AKS は、CI/CD パイプラインを構築および自動化するための多くの機能を提供します。

5.3 両方を組み合わせるシナリオ

ACI と AKS は、両方を組み合わせて使用することもできます。たとえば、AKS で実行されているアプリケーションのバーストスケーリングのために ACI を使用したり、ACI を使用してバックグラウンドタスクを実行したりできます。

6. 具体的な使用例

6.1 ACI を使用したイベントドリブンなアプリケーションの構築

ACI を使用して、HTTP 要求やメッセージキューなどのイベントに応じてコンテナを実行するイベントドリブンなアプリケーションを構築できます。たとえば、Azure Queue Storage にメッセージが追加されたときにコンテナを実行するように構成できます。

6.2 AKS を使用したマイクロサービスアーキテクチャのデプロイ

AKS を使用して、マイクロサービスアーキテクチャをデプロイできます。各マイクロサービスは、独自のコンテナで実行され、AKS は、マイクロサービスのデプロイメント、スケーリング、および管理を自動化します。

6.3 ACI と AKS を連携させたハイブリッド環境の構築

ACI と AKS を連携させて、ハイブリッド環境を構築できます。たとえば、オンプレミスで実行されているアプリケーションのバーストスケーリングのために ACI を使用したり、ACI を使用してオンプレミスで実行されているアプリケーションのバックグラウンドタスクを実行したりできます。

7. ベストプラクティス

7.1 ACI のベストプラクティス

  • コンテナイメージを最適化する: コンテナイメージを小さく保ち、必要な依存関係のみを含めます。
  • リソースの制限を設定する: コンテナにリソースの制限(CPU、メモリ)を設定し、リソースの枯渇を防ぎます。
  • ログを収集する: コンテナのログを Azure Monitor Logs に統合し、問題のトラブルシューティングを容易にします。
  • セキュリティを強化する: コンテナイメージを定期的にスキャンし、脆弱性を修正します。
  • Infrastructure as Code (IaC) を使用する: ARM テンプレートまたは Terraform を使用して、ACI リソースをデプロイおよび管理します。

7.2 AKS のベストプラクティス

  • ノードプールのサイズを適切に設定する: アプリケーションの需要に応じて、ノードプールのサイズを適切に設定します。
  • 自動スケーリングを有効にする: ノードプールの自動スケーリングを有効にし、需要の変動に対応します。
  • リソースの制限を設定する: コンテナにリソースの制限(CPU、メモリ)を設定し、リソースの枯渇を防ぎます。
  • ネットワークポリシーを使用する: ネットワークポリシーを使用して、Pod 間のネットワークトラフィックを制御します。
  • RBAC を使用する: RBAC を使用して、Kubernetes クラスタへのアクセスを制御します。
  • シークレットを安全に管理する: Azure Key Vault を使用して、Kubernetes シークレットを安全に管理します。
  • 監視とロギングを有効にする: Azure Monitor を使用して、Kubernetes クラスタを監視し、ログを収集します。
  • Infrastructure as Code (IaC) を使用する: ARM テンプレートまたは Terraform を使用して、AKS クラスタをデプロイおよび管理します。
  • Kubernetes のベストプラクティスに従う: Kubernetes のベストプラクティスに従い、アプリケーションの可用性、スケーラビリティ、および管理性を向上させます。

8. まとめ

8.1 ACI と AKS の選択のポイント

ACI と AKS のどちらを選択するかは、アプリケーションの要件とユースケースによって異なります。

  • ACI: 迅速なデプロイメント、サーバーレスコンピューティング、オンデマンドの課金、単一コンテナまたは小さなコンテナグループ、タスクの自動化、イベントドリブンなアプリケーション、簡単な Web アプリケーションに適しています。
  • AKS: 複雑なアプリケーション、自動スケーリング、高可用性、高度なネットワーク機能、ステートフルアプリケーション、DevOps パイプライン、マイクロサービスアーキテクチャに適しています。

8.2 今後の展望

コンテナ技術は進化し続けており、ACI と AKS も新しい機能と機能強化が追加されています。今後の展望としては、サーバーレスコンテナの統合、高度な自動スケーリング、セキュリティの向上、および開発者エクスペリエンスの改善が期待されます。


この記事は、Azure Container Instances (ACI) と Azure Kubernetes Service (AKS) の違いを詳細に比較し、それぞれのサービスが最適なシナリオについて説明しました。具体的な使用例とベストプラクティスを提供し、読者が自身のニーズに最適なサービスを選択できるように支援することを目的としています。 この情報が、あなたのコンテナ戦略の策定に役立つことを願っています。

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