見やすい&おしゃれ!HTMLに使える無料フォント10選と設定方法
Webサイトのデザインにおいて、フォントは単なる文字の形状ではありません。サイト全体の雰囲気、ブランドイメージ、そして何よりもユーザーの「読みやすさ」に直結する、非常に重要な要素です。しかし、世の中には無数のフォントが存在し、どれを選べば良いのか、どうやって設定すれば良いのか、迷ってしまうことも多いでしょう。
特に個人ブログや中小規模のサイトでは、予算の制約から有料フォントの導入が難しい場合もあります。しかし、ご安心ください。近年では、品質が高く、デザイン性にも優れた無料フォントが数多く公開されています。これらの無料フォントを賢く活用することで、プロフェッショナルで見やすい、そして何より「おしゃれ」なWebサイトを構築することが可能です。
この記事では、「見やすい&おしゃれ」を両立できる、HTMLで簡単に使える無料フォントを10種類厳選してご紹介します。さらに、これらのフォントをあなたのWebサイトに設定するための詳細な方法も解説します。Webデザイン初心者の方から、既存サイトのフォントを見直したい方まで、きっとあなたのサイトにぴったりのフォントと出会えるはずです。
Webサイトにおけるフォント選びの重要性
フォント選びの重要性について、改めて考えてみましょう。
1. 可読性・視認性の向上
最も基本的な、そして最も重要な役割は「可読性」と「視認性」です。どんなに素晴らしいコンテンツも、文字が読みにくければユーザーに伝わりません。適切なフォントサイズ、行間、そしてフォントの形状自体が、ユーザーがストレスなく情報を取得できるかどうかに大きく影響します。
- 可読性: 長文を読む際に、文字がスムーズに認識できるかどうかの度合い。文字の幅、高さ、字間、行間などが影響します。本文のような長いテキストには、可読性の高いフォントを選ぶことが不可欠です。
- 視認性: 一文字一文字や、単語がパッと見て区別しやすいかどうかの度合い。見出しやナビゲーションなど、短くても目立たせたい要素に重要です。
デバイスの種類(PC、タブレット、スマートフォン)や画面サイズによって、同じフォントでも見え方は異なります。多くの環境で高い可読性と視認性を維持できるフォントを選ぶことが求められます。特に日本語は漢字、ひらがな、カタカナが混在するため、それぞれの文字がバランスよく、かつ明確に表示されるフォントを選ぶ必要があります。
2. ブランディングと雰囲気作り
フォントは、サイトの「声」とも言えます。フォーマルなサイトであれば明朝体、ポップで親しみやすいサイトなら丸ゴシック、モダンでスタイリッシュなサイトなら細めのゴシック体など、フォント一つでサイト全体の印象がガラリと変わります。
- 信頼性: 明朝体や一部のゴシック体は、落ち着きや信頼性を感じさせます。企業のコーポレートサイトやニュースサイトなどに適しています。
- 親しみやすさ: 丸ゴシックや手書き風フォントは、柔らかく親しみやすい印象を与えます。ブログや個人サイト、子供向けコンテンツなどに良いでしょう。
- モダン・スタイリッシュ: 細めのゴシック体や幾何学的なサンセリフ体は、洗練された都会的な印象を与えます。デザイン性の高いポートフォリオサイトやファッション関連サイトに合います。
- 個性: デザイン性の高いフォントは、サイト独自の個性を表現するのに役立ちます。
ターゲットとするユーザー層や、サイトで伝えたいメッセージに合わせてフォントを選ぶことで、より効果的にサイトのブランドイメージを構築できます。
3. ユーザー体験(UX)の向上
読みやすく、サイトの雰囲気に合ったフォントは、ユーザーにとって快適な体験を提供します。
- 滞在時間の増加: コンテンツがスムーズに読めることで、ユーザーはサイトに長く滞在しやすくなります。
- 情報の理解促進: 重要な情報が見出しや本文で適切に区別されていると、ユーザーはサイトの構造を理解しやすくなり、目的の情報に早くたどり着けます。
- 離脱率の低下: 読みにくい、あるいはサイトの雰囲気に合わないフォントは、ユーザーにストレスを与え、早期離脱の原因となる可能性があります。
このように、フォント選びはサイトの機能性だけでなく、ユーザーの感情や行動にも影響を与える、Webデザインの根幹をなす要素と言えます。
4. SEOへの間接的な影響
直接的なSEO効果はありませんが、フォントが可読性を高め、ユーザー体験を向上させることで、結果的にSEOに良い影響を与える可能性があります。例えば、ユーザーの滞在時間が延びたり、サイト内回遊率が向上したりすることは、検索エンジンがサイトの質を評価する上で肯定的なシグナルとなり得ます。
無料フォントの種類と注意点
Webサイトで使えるフォントにはいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。また、無料フォントを利用する上で特に注意すべき点があります。
無料フォントの種類
-
システムフォント(ローカルフォント):
- ユーザーのOS(Windows, macOS, iOS, Androidなど)に標準でインストールされているフォントです。
- 例:Windowsの「游ゴシック」「メイリオ」「MS Pゴシック」、macOSの「ヒラギノ角ゴ」「ヒラギノ明朝」「游ゴシック体」など。
- メリット:
- 読み込み速度が非常に速い(ローカルにあるため)。
- 別途ファイルを読み込む必要がないため、データ量が少ない。
- デメリット:
- ユーザーの環境に依存するため、表示されるフォントがユーザーによって異なります。指定したフォントがない場合、OSのデフォルトフォントや次に指定したフォントで表示されます。
- デザインの選択肢が非常に限られる。
- OSやバージョンによって同じフォントでも見た目が微妙に異なる場合がある。
- OS標準フォントは、Webデザイン用途として必ずしも最適化されているわけではない。
-
Webフォント:
- Webサーバー上(またはCDN)にフォントファイルを置き、CSSで指定してブラウザにダウンロードさせて表示するフォントです。
- 例:Google Fonts、Adobe Fontsなどで提供されているフォント。
- メリット:
- ユーザーの環境に依存せず、指定したフォントで表示させることができる。
- デザイン性の高いフォントを豊富に利用できる。
- 多言語対応が進んでいるものが多い。
- デメリット:
- フォントファイルをダウンロードする必要があるため、サイトの読み込み速度に影響を与える可能性がある。特に日本語Webフォントはファイルサイズが大きくなりがちです。
- フォントの読み込みが完了するまでテキストが表示されない、または一時的に代替フォントで表示されるといった現象(FOIT/FOUT)が起こりうる。
- 外部サービスを利用する場合、そのサービスが停止するとフォントが表示されなくなるリスクがある(Google Fontsなどは非常に安定していますが)。
- 利用するフォントのライセンスを厳守する必要がある。
-
画像フォント:
- テキストを画像として書き出したものです。
- メリット: どんなデザインのフォントでも使用できる。
- デメリット:
- テキストではないため、検索エンジンが内容を認識できない(SEOに弱い)。
- テキストのコピー&ペーストができない。
- レスポンシブ対応が難しい(画面サイズによって画像サイズ調整が必要)。
- テキスト修正のたびに画像を再作成する必要がある。
- 音声読み上げソフトに対応できない(アクセシビリティの問題)。
- 主にロゴやデザイン性の高い短いキャッチフレーズなど、どうしてもテキストとして扱えない場合に限定的に使用されます。
この記事で紹介する無料フォントは、主に「Webフォント」として利用できるものを中心に選びます。これにより、多くの環境で意図したデザインを再現しやすくなります。
無料フォントを利用する上での注意点
無料だからといって、自由に何でもできるわけではありません。必ず以下の点を確認しましょう。
-
ライセンス: これが最も重要です。無料フォントには、それぞれ利用規約(ライセンス)が定められています。
- 商用利用: 自分のビジネスサイトや顧客のサイトで使用できるか?多くの無料フォントは商用利用可能ですが、中には個人的な非営利目的に限られるものもあります。
- 改変: フォントファイルを編集したり、アウトライン化してデザインに使用したりできるか?
- 再配布: ダウンロードしたフォントファイルを他の人に渡したり、自分のサイトでダウンロード配布したりできるか?(これは基本的に不可の場合が多いです)
- クレジット表記: サイトのどこかにフォント名や作者名を記載する必要があるか?
利用したいフォントの配布サイトで、必ずライセンス情報を確認してください。Google Fontsで提供されているフォントの多くは「Open Font License (OFL)」に基づき、商用利用を含め比較的自由度が高いですが、個別のフォントページで確認することをお勧めします。
-
文字セット(グリフ): そのフォントが対応している文字の種類を確認しましょう。
- 日本語フォントの場合、ひらがな、カタカナ、英数字、記号に加えて、どのレベルの漢字に対応しているか(常用漢字、JIS第一水準、第二水準、第三水準、第四水準など)が重要です。特に専門用語や固有名詞が多いサイトでは、対応漢字が少ないと文字化けしたり、代替フォントで表示されたりする可能性があります。
- 欧文フォントの場合、対応言語(ラテン文字、キリル文字など)、大文字・小文字、数字、記号、アクセント記号などが揃っているか確認します。
-
ファイルサイズと読み込み速度: 特にWebフォントの場合、フォントファイルのサイズが大きいとサイトの表示速度が遅くなります。日本語Webフォントは欧文フォントに比べて文字種が多いため、ファイルサイズが大きくなりがちです。
- 必要なウェイト(太さ)やスタイルだけを読み込むように設定しましょう。
- パフォーマンス最適化のためのCSSプロパティ(
font-display
など)の活用を検討しましょう。
-
デザインの品質とトレンド: 無料だからといってデザインの品質が低いわけではありませんが、中には癖が強すぎたり、古臭く見えたりするフォントもあります。サイトの目的に合った、 modernで見やすいデザインのフォントを選びましょう。
HTML/CSSでのフォント設定方法
Webサイトでフォントを設定するには、主にCSSの font-family
プロパティを使用します。Webフォントを使う場合は、事前にフォントファイルを読み込む必要があります。
基本:font-family
プロパティ
HTML要素に適用するフォントを指定します。値には、フォント名をカンマ区切りで複数指定できます。
css
selector {
font-family: 'Font Name 1', 'Font Name 2', generic-family;
}
ブラウザは、指定されたフォントを左から順に探していきます。ユーザーの環境に「Font Name 1」がインストールされていればそれを使用し、なければ「Font Name 2」を探し…という流れになります。最後の generic-family
は、指定したどのフォントも見つからなかった場合に備えて指定する「総称フォントファミリー」です。
serif
: セリフ体(明朝体やゴシック体に相当する、線の端に飾りのあるフォント)sans-serif
: サンセリフ体(ゴシック体に相当する、飾りのないフォント)monospace
: 等幅フォント(プログラミングコードの表示などに使用)cursive
: 筆記体fantasy
: 装飾性の高いフォント
特にWebフォントを使用する場合でも、予備としてシステムフォントや総称ファミリーを指定しておくことを強く推奨します。これを「フォントスタック」と呼びます。
例:font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif;
「もしNoto Sans JPが読み込めなかった場合は、ユーザー環境の標準的なゴシック体(サンセリフ体)で表示してください」という意味になります。
システムフォントの使用
最も簡単な方法は、OSに標準搭載されているフォントを指定することです。
“`css
body {
/ Windows, macOS共通の游ゴシック、次点でWindowsのメイリオ、macOSのヒラノギ角ゴ、
そして汎用的なサンセリフ体を指定 /
font-family: “ヒラギノ角ゴ ProN W3”, “Hiragino Kaku Gothic ProN”, メイリオ, Meiryo, 游ゴシック, “Yu Gothic”, YuGothic, VGothic, “MS PGothic”, sans-serif;
}
h1 {
/ macOSのヒラギノ角ゴ太字、Windowsの游ゴシック太字、汎用的なサンセリフ体 /
font-family: “ヒラギノ角ゴ ProN W6”, “Hiragino Kaku Gothic ProN”, 游ゴシック Bold, “Yu Gothic Bold”, YuGothicBold, sans-serif;
}
“`
このように複数のフォント名を指定することで、できるだけ多くの環境で意図に近い表示を試みることができます。ただし、環境によって見た目が異なることは避けられません。
Webフォントの使用(Google Fontsを例に)
多くの高品質な無料WebフォントがGoogle Fontsで提供されています。Google Fontsを利用するのが、手軽かつ安定した方法として最も一般的です。
手順1:Google Fontsでフォントを選ぶ
- Google Fontsのウェブサイト(https://fonts.google.com/)にアクセスします。
- 検索ボックスでフォント名を検索したり、フィルター機能(言語、フォントタイプ、プロパティなど)を使ってフォントを探します。
- 利用したいフォントを見つけたら、クリックして詳細ページを表示します。
- 利用したいウェイト(Thin, Light, Regular, Medium, Boldなど)とスタイル(Italicなど)を選択します。それぞれのウェイト/スタイルの右側にある「Select this style」ボタンをクリックします。
- 画面右側に選択したフォントが表示されます。「Use on the web」セクションを確認します。
手順2:HTMLでフォントを読み込む
選択したフォントをWebサイトで使えるようにするためには、HTMLの <head>
セクションでフォントファイルを読み込む必要があります。Google Fontsは、読み込み用の <link>
タグまたは @import
ルールを提供しています。
方法 A: <link>
タグを使用する(推奨)
Google Fontsの詳細ページで表示される <link>
タグをコピーし、HTMLファイルの <head>
タグ内に貼り付けます。
“`html
“`
上記の例では、Noto Sans JP
のRegular (wght@400) と Bold (wght@700) を読み込んでいます。&display=swap
は、フォントの表示方法を指定する重要なパラメータです(後述)。
方法 B: @import
ルールを使用する
CSSファイルの中で @import
ルールを使ってフォントを読み込むこともできます。
“`css
/ style.css /
@import url(‘https://fonts.googleapis.com/css2?family=Noto+Sans+JP:wght@400;700&display=swap’);
body {
/ ここにフォントを設定 /
}
“`
@import
ルールはCSSファイルの先頭に記述する必要があります。一般的には <link>
タグの方が先にフォントファイルを読み込めるため、表示速度の観点から推奨されます。
手順3:CSSでフォントを適用する
HTMLでフォントを読み込んだら、CSSの font-family
プロパティを使って、そのフォントを要素に適用します。Google Fontsの詳細ページに表示されるCSSルールをコピーして使います。
“`css
body {
font-family: ‘Noto Sans JP’, sans-serif; / 本文全体にNoto Sans JPを適用 /
}
h1, h2 {
font-family: ‘Noto Sans JP’, sans-serif; / 見出しにもNoto Sans JPを適用 /
font-weight: 700; / 太さをBoldに /
}
“`
このように、読み込んだフォント名(クォーテーションで囲むのを忘れずに)を最初に指定し、その後にシステムフォントや総称フォントファミリーをフォントスタックとして記述します。
font-display
プロパティについて
Webフォントの読み込みには時間がかかる場合があり、その間のテキスト表示をどうするかを制御するのが font-display
プロパティです。
auto
: ブラウザのデフォルト設定に任せる。block
: フォントが読み込まれるまでテキストを非表示にする (FOIT: Flash of Invisible Text)。読み込み後、表示。swap
: まず代替フォントで表示し、Webフォントが読み込まれたら置き換える (FOUT: Flash of Unstyled Text)。可読性を損なわないため、多くの場合はこの設定が推奨されます。fallback
: 短時間代替フォントで表示し、読み込まれなければそのまま代替フォントを使い続ける。optional
: ブラウザやネットワーク環境によってはWebフォントの読み込みをスキップし、代替フォントで表示する。
Google Fontsの読み込みURLに &display=swap
を含めることで、FOUTを実装し、ユーザーにストレスを与えにくくすることができます。
@font-face
ルールで手動でホスティングする場合
自分でフォントファイルをサーバーにアップロードして使用する場合は、CSSの @font-face
ルールを使用します。無料配布されているフォントファイル(.ttf
, .otf
, .woff
, .woff2
など)を利用する場合にこの方法をとります。
“`css
@font-face {
font-family: ‘My Custom Font’; / 自分で決めるフォント名 /
src: url(‘fonts/mycustomfont.woff2’) format(‘woff2’), / WOFF2形式 /
url(‘fonts/mycustomfont.woff’) format(‘woff’), / WOFF形式 /
url(‘fonts/mycustomfont.ttf’) format(‘truetype’); / TrueType形式 /
font-weight: normal; / または numeric value (例: 400) /
font-style: normal; / または italic /
font-display: swap; / 表示方法の指定 /
}
body {
font-family: ‘My Custom Font’, sans-serif;
}
“`
font-family
: この@font-face
ルールで定義するフォントファミリーの名前を自分で決めます。CSSのfont-family
プロパティでこの名前を指定して使用します。src
: フォントファイルの場所と形式を指定します。複数の形式を指定することで、様々なブラウザに対応できます。.woff2
は最も圧縮率が高く、現代のブラウザで広くサポートされているため推奨されます。font-weight
,font-style
: そのフォントファイルがどの太さ・スタイルのものかを指定します。同じフォントファミリーでも、太さやスタイルごとに別々の@font-face
ルールで定義する必要があります。font-display
: 上記と同じく表示方法を指定します。
手動ホスティングの注意点:
* フォント形式: ブラウザによって対応しているフォント形式が異なります。複数の形式を用意するのが望ましいですが、現在は woff2
と woff
があれば概ね対応できます。
* ファイルサイズ: 特に日本語フォントはファイルサイズが大きくなりがちです。必要な文字だけを抜き出す「サブセット化」という手法がありますが、日本語は複雑なため専門的なツールが必要です。
* ライセンス: 配布されているフォントのライセンスが、自己ホスティングを許可しているか確認が必要です。
* 管理の手間: アップロードやファイルパスの管理が必要です。
その他の関連CSSプロパティ
フォントの見た目をさらに調整するために、以下のCSSプロパティもよく使用されます。
font-size
: テキストの大きさを指定します。px
,em
,rem
,%
などの単位が使えます。レスポンシブデザインではrem
や%
が推奨されることが多いです。font-weight
: フォントの太さを指定します。normal
(通常, 400),bold
(太字, 700) のキーワードのほか、100
から900
までの数値で細かく指定できるフォントもあります。font-style
: フォントのスタイルを指定します。normal
(通常),italic
(イタリック体),oblique
(オブリーク体) など。line-height
: 行の高さを指定します。行間が詰まりすぎていると読みにくくなるため、適切な値を設定することが重要です。単位なしの数値(例:1.5
)は、フォントサイズの1.5倍の行高を意味し、レスポンシブに対応しやすいです。letter-spacing
: 文字と文字の間の間隔を調整します。見出しなどで文字間を詰める/広げるなどの調整に使います。text-align
: テキストの水平方向の揃えを指定します。left
(左揃え),right
(右揃え),center
(中央揃え),justify
(両端揃え) など。text-transform
: テキストを大文字や小文字に変換します。uppercase
(すべて大文字),lowercase
(すべて小文字),capitalize
(単語の先頭のみ大文字) など。text-decoration
: テキストに装飾(下線、打ち消し線など)を追加します。none
(装飾なし),underline
(下線),line-through
(打ち消し線) など。
これらのプロパティを適切に組み合わせることで、選んだフォントの魅力を最大限に引き出し、見やすくおしゃれなデザインを実現できます。
見やすい&おしゃれ!おすすめ無料フォント10選
ここからは、Webサイトで「見やすさ」と「おしゃれさ」を両立できる、おすすめの無料フォントを10種類ご紹介します。主にGoogle Fontsで提供されており、商用利用も可能なものが中心です。
1. Noto Sans JP
- カテゴリ: ゴシック体
- 特徴: GoogleとAdobeが共同開発した「Noto」フォントファミリーの日本語版。世界中のあらゆる言語で文字が表示できるよう、文字化けを防ぐ目的で作られました。「No Tofu」(豆腐=文字化けした四角い記号がない状態)から命名されています。非常にクセがなく、どの文字サイズ、どのウェイトでも高い可読性を誇ります。ウェイトが豊富(Thin〜Blackの9段階)。
- おすすめの利用シーン: サイト本文、見出し、ナビゲーション、フォーム要素など、 Webサイト全体のあらゆる場所でメインフォントとして使用できます。特に信頼性や情報伝達の正確さが求められるサイトに最適です。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 非常にニュートラルなデザインで、文字の骨格がしっかりしているため、小さなサイズでも潰れにくいです。多ウェイト展開されているため、デザインにメリハリをつけやすいのも魅力。「おしゃれ」というよりは「洗練されている」「プロフェッショナル」といった印象を与えます。システムフォントからの乗り換えで、サイト全体の質をぐっと高める定番フォントです。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)、Adobe Fonts、GitHubなどで入手可能。Google Fontsから利用するのが最も手軽です。
- CSS設定例:
css
body {
font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif;
font-weight: 400; /* Regular */
line-height: 1.6; /* 適度な行間 */
}
h2 {
font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif;
font-weight: 700; /* Bold */
margin-top: 2em;
margin-bottom: 0.8em;
}
2. Kosugi Maru
- カテゴリ: 丸ゴシック体
- 特徴: Google Fontsで提供されている日本語丸ゴシック体。角が丸められており、柔らかく、親しみやすい印象を与えます。ウェイトはRegular (400) のみです。
- おすすめの利用シーン: ブログの見出し、キャッチフレーズ、ポップな雰囲気のサイトの本文や見出し、子供向けコンテンツなど。柔らかい雰囲気を強調したい部分に適しています。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 丸みのあるデザインは視覚的に優しく、特にオンラインで読む際に目に負担をかけにくいと感じる人もいます。おしゃれさとしては、「かわいい」「親しみやすい」「優しい」といった雰囲気を演出するのに長けています。ただし、長文の本文に使うと単調に見えすぎる場合もあるため、見出しや短いテキスト、または他のフォントと組み合わせて使うのがおすすめです。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
h1 {
font-family: 'Kosugi Maru', sans-serif;
font-weight: 400; /* Kosugi MaruはRegularのみ */
color: #333;
text-align: center;
}
/* 本文は別のフォントと組み合わせるのがおすすめ */
p {
font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif;
line-height: 1.7;
}
3. M PLUS Rounded 1c
- カテゴリ: 丸ゴシック体
- 特徴: こちらも人気の日本語丸ゴシック体。Kosugi Maruと同様に角が丸いですが、より現代的で洗練されたデザインです。最大の特徴は、Thin〜Blackまでの7段階という豊富なウェイトが揃っている点です。
- おすすめの利用シーン: ポップからモダンまで幅広いテイストのサイトの見出しや本文。特に豊富なウェイトを活かして、情報の重要度を視覚的に表現したい場合に便利です。ブログ、ポートフォリオ、ECサイトなど。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 丸みがあるため目に優しく、かつゴシック体としての骨格がしっかりしているため可読性も高いです。ウェイトバリエーションが豊富なので、同じフォントファミリー内でデザインに強弱をつけやすく、おしゃれな印象を与えやすいです。「柔らかさ」と「モダンさ」を両立したい場合に非常に有効なフォントです。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
body {
font-family: 'M PLUS Rounded 1c', sans-serif;
font-weight: 400; /* Regular */
line-height: 1.65;
}
h2 {
font-family: 'M PLUS Rounded 1c', sans-serif;
font-weight: 700; /* Bold */
color: #0056b3;
}
.lead-text {
font-family: 'M PLUS Rounded 1c', sans-serif;
font-weight: 500; /* Medium */
font-size: 1.1em;
}
4. Zen Kaku Gothic New
- カテゴリ: ゴシック体
- 特徴: Zenフォントプロジェクトの一つとして開発された、シンプルで癖のない日本語ゴシック体です。バランスが良く、文字の一つ一つが明瞭です。ウェイトはLight〜Blackの7段階。
- おすすめの利用シーン: Noto Sans JPと同様、本文・見出し問わず幅広く利用できます。特にミニマルでモダンなデザインのサイトに良く馴染みます。ビジネスサイト、ポートフォリオ、Webサービス紹介サイトなど。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 字形が整っており、漢字とかなのバランスも自然で、高い可読性を持っています。デザインが過度に主張しないため、コンテンツ自体を引き立てる効果があります。モダンで清潔感のある印象を与え、「おしゃれ」というよりは「洗練された」「スマート」といった雰囲気です。Noto Sans JPからの気分転換や、少し異なるニュアンスの定番ゴシックを探している場合におすすめです。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
body {
font-family: 'Zen Kaku Gothic New', sans-serif;
font-weight: 400;
line-height: 1.7;
}
.site-title {
font-family: 'Zen Kaku Gothic New', sans-serif;
font-weight: 900; /* Black */
font-size: 2em;
text-align: center;
margin-bottom: 1em;
}
5. BIZ UDPGothic / BIZ UDPMincho
- カテゴリ: ゴシック体 / 明朝体 (UD: ユニバーサルデザイン)
- 特徴: 「すべての人にとって読みやすいこと」を目指したユニバーサルデザイン(UD)フォントファミリーです。小さなサイズでも文字が潰れにくい、誤読しにくいデザインが特徴です。BIZ UDPGothicはゴシック体、BIZ UDPMinchoは明朝体で、それぞれRegularとBoldの2ウェイトがあります。
- おすすめの利用シーン: 本文や説明文など、テキスト量の多い箇所での使用に特に適しています。ターゲットユーザーの年齢層が幅広いサイト、公共性の高い情報サイト、教育関連サイトなど、高い可読性が求められる場合に非常に有効です。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: UDフォントであるため、最も重視されているのは「見やすさ」です。画数の多い漢字なども判別しやすくデザインされています。デザイン性としては、非常に実直で真面目な印象を与えます。「おしゃれ」というよりは「親切」「信頼できる」といった雰囲気ですが、UDフォントならではの整然とした美しさも持ち合わせています。明朝体(UDPMincho)もUDの考え方でデザインされており、Web上の明朝体として使いやすいバランスです。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
body {
font-family: 'BIZ UDPGothic', sans-serif;
font-weight: 400;
line-height: 1.8; /* 本文には広めの行間がおすすめ */
}
h3 {
font-family: 'BIZ UDPGothic', sans-serif;
font-weight: 700; /* Bold */
border-bottom: 2px solid #eee;
padding-bottom: 0.3em;
}
/* 明朝体を使う場合 */
.article-body {
font-family: 'BIZ UDPMincho', serif;
font-weight: 400;
line-height: 1.8;
}
6. Sawarabi Gothic / Sawarabi Mincho
- カテゴリ: ゴシック体 / 明朝体
- 特徴: 個人のデザイナーによって作成され、Google Fontsでも提供されている日本語フォントです。Sawarabi Gothicは少し手書きのような温かみのあるゴシック体、Sawarabi Minchoは素朴で優しい印象の明朝体です。それぞれRegularウェイトのみ。
- おすすめの利用シーン: 個人のブログ、ポートフォリオサイト、手作り感や温かみを表現したいサイトなど。Sawarabi Gothicは本文や見出しに、Sawarabi Minchoはブログの本文などに使うと独特の雰囲気を演出できます。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: Sawarabi Gothicは、一般的なゴシック体よりも少し角が柔らかく、親しみやすい雰囲気があります。Sawarabi Minchoは、昔ながらの活字のような、どこか懐かしさを感じるデザインです。どちらも「素朴さ」「温かみ」「個性」といった「おしゃれ」さを演出できます。ただし、ウェイトが1種類のみなので、デザインに強弱をつけるには他のフォントと組み合わせるなどの工夫が必要です。文字セットが他の大手フォントに比べて限定的な場合があるため、使用前に確認しましょう。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
body {
font-family: 'Sawarabi Gothic', sans-serif;
font-weight: 400;
line-height: 1.7;
}
.post-excerpt { /* 抜粋などに */
font-family: 'Sawarabi Mincho', serif;
font-weight: 400;
font-size: 0.95em;
color: #555;
}
7. Shippori Mincho B1
- カテゴリ: 明朝体
- 特徴: 「しっぽり」とした、落ち着いた雰囲気の日本語明朝体です。伝統的な明朝体の美しさを持ちつつ、Webでの可読性も考慮されています。ウェイトはRegular (400) と Bold (700) の2種類。
- おすすめの利用シーン: ブログの本文、ニュース記事、文学作品の紹介、和風テイストのサイト、落ち着いた高級感を演出したいサイトの見出しや本文。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 明朝体特有の線の強弱や「うろこ」(線の端の飾り)が美しく、上品で知的な印象を与えます。特に縦書きレイアウトにも映えるデザインです。ゴシック体が多いWebサイトの中で、明朝体を使うこと自体がおしゃれな個性を演出できます。B1という名前の通り、縦の線がやや太めにデザインされており、Web上での視認性が高められています。長文を読む際に、文字の揺れが心地よく、可読性を高める効果もあります。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
.article-content {
font-family: 'Shippori Mincho B1', serif;
font-weight: 400;
line-height: 1.8;
font-size: 1.05em;
}
h2.section-title {
font-family: 'Shippori Mincho B1', serif;
font-weight: 700; /* Bold */
text-align: center;
margin: 2em 0 1em;
}
ここからは、日本語との組み合わせに優れた、汎用性の高い欧文フォントを3つ紹介します。Webサイトでは、日本語フォントと欧文フォントを組み合わせて使うことで、より洗練されたデザインを実現できます。これらのフォントは、サイトの英数字部分(ロゴ、見出しの英字、URLなど)に適用することで、日本語フォントとの調和やコントラストを生み出します。
8. Roboto
- カテゴリ: ゴシック体 (Sans-serif)
- 特徴: Googleによって開発された、Androidのシステムフォントとしても有名な欧文ゴシック体です。幾何学的でありながらも、人間の目になじむよう設計されており、非常にバランスの取れたデザインです。Thin〜Blackまでの豊富なウェイト(12種類!)とCondensedスタイルも提供されています。
- おすすめの利用シーン: 日本語サイトの英数字部分全般。見出し、ロゴ、ボタン、ナビゲーション、価格表示など、モダンでクリアな印象を与えたい箇所に最適です。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 幅広いウェイトバリエーションがあり、どのような日本語フォントとも組み合わせやすい汎用性の高さが魅力です。クリアでモダンなデザインは、サイト全体を洗練された印象にします。可読性も高く、様々なサイズやデバイスで安定して表示されます。「おしゃれ」というよりは「機能美」「標準的で高品質」といったイメージですが、その組み合わせやすさゆえにデザインの幅を広げてくれます。日本語フォントと組み合わせる際は、英数字部分のみにRobotoを適用するようCSSで指定します。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
/* 日本語はNoto Sans JP、英数字はRobotoを使う例 */
body {
font-family: 'Noto Sans JP', sans-serif; /* デフォルトは日本語フォント */
line-height: 1.6;
}
/* 特定の要素の英数字にRobotoを適用 */
h1, .nav-link, .button {
font-family: 'Roboto', 'Noto Sans JP', sans-serif; /* 最初にRobotoを指定 */
font-weight: 700; /* Bold */
}
.price {
font-family: 'Roboto', 'Noto Sans JP', sans-serif;
font-weight: 500; /* Medium */
font-size: 1.2em;
}
※font-family
プロパティに複数のフォント名を指定した場合、ブラウザは最初に指定されたフォントから順に、表示する文字に対応しているかを確認します。上記の例では、h1
などの要素内の英数字にはRobotoが適用され、日本語には次に指定されたNoto Sans JPが適用されます。
9. Open Sans
- カテゴリ: ゴシック体 (Sans-serif)
- 特徴: Steve Matteson氏によってデザインされた、非常に人気の高い欧文ゴシック体です。ウェブサイトやモバイルインターフェースでの高い可読性を目的として開発されました。ニュートラルで親しみやすいデザインが特徴です。Light〜ExtraBoldまでの豊富なウェイト(10種類!)とItalicスタイルが提供されています。
- おすすめの利用シーン: Robotoと同様、日本語サイトの英数字部分全般。特に本文中の英単語や、情報量の多いインターフェースのラベルなどに使用すると、読みやすさを向上させます。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: オープンな字形と広い文字間により、小さなサイズでも非常に高い可読性を誇ります。癖がなく、多くの日本語フォントやデザインテイストと自然に調和します。主張しすぎず、コンテンツの邪魔をしない「縁の下の力持ち」的なフォントですが、そのニュートラルさゆえに洗練された印象を与えます。「見やすい」ことに関しては、欧文フォントの中でもトップクラスの評価を得ています。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
/* 日本語はBIZ UDPGothic、英数字はOpen Sansを使う例 */
body {
font-family: 'BIZ UDPGothic', sans-serif;
line-height: 1.8;
}
/* 見出しや一部の英数字にOpen Sansを適用 */
h2 {
font-family: 'Open Sans', 'BIZ UDPGothic', sans-serif;
font-weight: 700;
font-size: 1.6em;
margin-bottom: 0.8em;
}
.card-title {
font-family: 'Open Sans', 'BIZ UDPGothic', sans-serif;
font-weight: 600; /* SemiBold */
}
10. Montserrat
- カテゴリ: ゴシック体 (Sans-serif)
- 特徴: アルゼンチンのブエノスアイレスにあるモンセラート地区の古い標識やポスターからインスピレーションを得てデザインされた、幾何学的でモダンな欧文ゴシック体です。非常に太いBlackから最も細いThinまで、驚くほど豊富なウェイト(18種類!)が提供されています。
- おすすめの利用シーン: 見出し、ロゴ、大きなテキストなど、デザイン性を強く打ち出したい英数字部分に最適です。モダン、アーバン、スタイリッシュといった雰囲気のサイトによく合います。本文に使うとやや読みにくさを感じる場合があるため、装飾的な用途がおすすめです。
- 見やすさ・おしゃれさのポイント: 個性的で力強いデザインが特徴で、特に太いウェイトは見出しとしてインパクト絶大です。幾何学的ながらも、字間が比較的広めにとられており、視認性も悪くありません。豊富なウェイトを使い分けることで、デザインに立体感とリズムを生み出せます。「おしゃれ」「個性的」「力強い」といった印象を与えたい場合にぴったりのフォントです。細いウェイトは洗練された上品さを、太いウェイトは大胆でエネルギッシュな印象を与えます。日本語フォントとの組み合わせ次第で、様々な表情を見せてくれます。
- 提供元/入手方法: Google Fonts(推奨)
- CSS設定例:
css
/* 日本語はZen Kaku Gothic New、英数字の見出しにMontserratを使う例 */
body {
font-family: 'Zen Kaku Gothic New', sans-serif;
line-height: 1.7;
}
.site-catchphrase {
font-family: 'Montserrat', 'Zen Kaku Gothic New', sans-serif;
font-weight: 900; /* Black */
font-size: 2.5em;
text-transform: uppercase; /* 大文字に変換 */
margin-bottom: 1.5em;
letter-spacing: -0.05em; /* 文字間を少し詰める */
}
.service-name {
font-family: 'Montserrat', 'Zen Kaku Gothic New', sans-serif;
font-weight: 700; /* Bold */
font-size: 1.4em;
}
フォント選びのヒントと実践的なアプローチ
10種類の無料フォントをご紹介しましたが、あなたのサイトに最適なフォントを選ぶためには、いくつかのポイントがあります。
目的とターゲット層を明確にする
あなたのWebサイトは何を目的としていますか? 誰に向けて情報を発信していますか?
信頼性を重視するビジネスサイトなのか、親しみやすさを大切にする個人ブログなのか、あるいは若者向けのトレンドを発信するサイトなのか。サイトの目的とターゲット層によって、最適なフォントの雰囲気は大きく異なります。
例えば、高齢者向けのサイトであれば、UDフォントのように見やすさを最優先したフォントが適しています。一方、デザイン事務所のポートフォリオサイトであれば、個性的でおしゃれな欧文フォントを見出しに大胆に使うのが効果的かもしれません。サイトのペルソナを設定し、その人にどのような印象を与えたいかを考えることから始めましょう。
複数フォントの組み合わせ
一つのサイト内で使用するフォントは、通常1〜3種類程度に絞るのが良いとされています。あまり多くの種類のフォントを使うと、サイト全体に統一感がなくなり、ごちゃごちゃした印象を与えてしまいます。
- 見出し用フォント: サイトの印象を決定づける重要な要素です。デザイン性の高いフォントや、太めのウェイトを持つフォントを選び、サイトの個性や雰囲気を表現します。
- 本文用フォント: 長文でも疲れずに読める、可読性の高いフォントを選びます。ゴシック体でも明朝体でも構いませんが、文字の骨格がしっかりしており、行間や字間を調整しやすいものが望ましいです。UDフォントやNoto Sans JPなどが定番です。
- 装飾用フォント: ロゴや特定のキャッチフレーズなど、ごく限られた部分にのみ使用する、デザイン性の高い個性的なフォントです。多用は避けるべきです。
これらのフォントを組み合わせる際は、「コントラスト」と「調和」のバランスが重要です。例えば、見出しに力強いゴシック体を使ったら、本文には落ち着いた明朝体を使う(コントラスト)。あるいは、どちらも同じゴシック体で、ウェイトやサイズを変えて差別化する(調和)。フォント同士の相性を確認しながら選びましょう。Google Fontsのページなどで、複数のフォントを組み合わせてプレビューしてみるのがおすすめです。
ウェイトとスタイルの活用
同じフォントファミリー内でも、ウェイト(太さ)やスタイル(イタリックなど)が複数ある場合は、これらを活用することでデザインに階調とリズムを生み出せます。
- 見出しの中で、特に重要な部分をBoldにする。
- 本文中のキーワードや引用部分をItalicにする(ただし、日本語のイタリック体はあまり一般的ではありません)。
- 細いウェイトをデザイン要素として使う。
デバイスでの表示確認
PCの大きな画面で完璧に見えても、スマートフォンの小さな画面では読みにくくなるフォントもあります。また、WindowsとmacOS、iOSとAndroidでは、同じフォントでもレンダリング(表示方法)が微妙に異なる場合があります。
フォントを設定したら、必ず様々なデバイスとブラウザで実際に表示を確認しましょう。CSSの font-size
, line-height
, letter-spacing
などをメディアクエリを使ってデバイスごとに調整することも重要です。
Webフォントのパフォーマンス最適化
Webフォントはサイトのデザイン性を高めますが、ファイルの読み込みに時間がかかると、ユーザー体験を損なう可能性があります。以下の点に注意してパフォーマンスを最適化しましょう。
- 必要なウェイトだけを読み込む: Google Fontsでフォントを選択する際に、使用しないウェイトやスタイルは選択しないようにしましょう。読み込むファイルサイズを削減できます。
font-display: swap;
の活用: これにより、フォントの読み込み中もテキストが表示され、ユーザーはコンテンツを待たずに読み始めることができます。- CDNを利用する: Google FontsのようなCDN(Contents Delivery Network)は、世界中のサーバーから高速にフォントファイルを配信してくれます。自己ホスティングする場合でも、CDNの利用を検討すると良いでしょう。
- サブセット化: 日本語フォントのファイルサイズが大きい主な原因は、文字数の多さです。もしサイトで使用する漢字が限定されている場合、必要な漢字だけを抜き出してフォントファイルを小さくする「サブセット化」が有効ですが、日本語の場合は専門的なツールが必要になります。
ライセンスの再確認
繰り返しになりますが、無料フォントを利用する際は、必ず最新のライセンス情報を確認してください。配布サイトやフォントファイル自体に含まれるライセンスドキュメントを注意深く読み、利用規約を厳守しましょう。特に商用利用を考えている場合は、そのフォントが商用利用を許可しているかどうかの確認が不可欠です。
まとめ
Webサイトの見栄えと使いやすさを決定づけるフォント選びは、サイト制作における重要なステップです。有料フォントに手が届かなくても、近年は品質が高く、デザイン性にも優れた無料フォントが数多く提供されています。
この記事では、「見やすさ」と「おしゃれさ」を兼ね備えた、HTMLで簡単に使える無料フォントを10種類厳選してご紹介しました。Noto Sans JPやZen Kaku Gothic Newのような汎用性の高いゴシック体、Kosugi MaruやM PLUS Rounded 1cのような優しい雰囲気の丸ゴシック体、Shippori Mincho B1のような上品な明朝体、そして欧文フォントとの組み合わせに優れたRoboto, Open Sans, Montserratなど、様々なテイストのフォントがありました。
また、これらのフォントを実際にWebサイトに設定するためのHTML/CSSの基本的な方法についても詳細に解説しました。特にGoogle Fontsを利用する方法は手軽で非常におすすめです。
フォントは単に文字を見せるだけでなく、サイトの個性や信頼性、提供する情報の性質までをも伝える力を持っています。ご紹介したフォントの中から、あなたのサイトの目的や雰囲気に合ったものを見つけ、HTMLとCSSを使って適切に設定することで、見ている人に快適で、そして心に響くWebサイトを作り上げることができるはずです。
ぜひこの記事でご紹介したフォントや設定方法を参考に、あなたのWebサイトをさらに魅力的にしてください。フォント一つを変えるだけで、サイトの印象は劇的に変わります。様々なフォントを試して、あなたの理想のフォントを見つけてみましょう!