Macのディスクユーティリティ入門:できること・使い方を徹底解説

Macのディスクユーティリティ入門:できること・使い方を徹底解説(約5000語)

はじめに:Macの心臓部を守る「ディスクユーティリティ」とは?

Macを快適に使い続ける上で、非常に重要な役割を担っているアプリケーションがあります。それが「ディスクユーティリティ」です。普段、Macを使っているだけではあまり意識することはないかもしれませんが、Macのストレージ(内蔵SSDや外付けHDD/SSD、USBメモリなど)の状態を確認したり、問題を修復したり、データの整理や準備をしたりする際に不可欠なツールです。

例えるなら、ディスクユーティリティはMacのストレージの「お医者さん」であり、「整備士」のような存在です。ファイルシステムのエラーを診断して治療したり、新しいストレージをMacが使えるように準備したり、古いストレージからデータを安全に消去したりと、多岐にわたる作業を行うことができます。

「でも、なんだか難しそう…」「間違った操作をしたらデータが消えてしまうのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、ディスクユーティリティはストレージの根幹に関わる操作を行うため、使い方を間違えるとデータ損失のリスクもゼロではありません。しかし、その基本的な機能や正しい使い方を知っていれば、Macをより安定して、より効率的に使いこなすことができるようになります。そして、万が一のトラブルが発生した際にも、落ち着いて対処できるようになるでしょう。

この記事では、Mac初心者の方でも安心してディスクユーティリティを使えるようになることを目指し、その「できること」と「使い方」を徹底的に解説します。各機能の目的から具体的な操作手順、そして注意点まで、約5000語にわたる詳細な説明を通じて、ディスクユーティリティをあなたのMacライフに役立つ強力な味方に変えていきましょう。

この記事で学ぶこと:

  • ディスクユーティリティで何ができるのか、その全貌
  • ディスクユーティリティの基本的な起動方法と画面構成
  • 「First Aid」でディスクの問題を診断・修復する方法
  • 新しいストレージをMac用に準備する「消去(フォーマット)」の正しい手順とファイルシステムの種類
  • ストレージを複数の領域に分割する「パーティション」の活用法
  • ディスクのクローンやディスクイメージの書き込みを行う「復元」機能
  • データのバックアップや配布に役立つ「イメージ作成」
  • その他の便利な機能(情報、マウント/マウント解除、RAIDアシスタント)
  • よくある利用シーン別の具体的な使い方
  • ディスクユーティリティ使用時の注意点とトラブルシューティング

さあ、Macのストレージ管理の要であるディスクユーティティの世界へ踏み出しましょう。

ディスクユーティリティの起動方法

ディスクユーティリティを起動する方法はいくつかあります。状況に応じて使い分けましょう。

1. Finderから起動する方法

最も一般的な方法です。Macが正常に起動しているときに使います。

  1. Finderを開く: DockにあるFinderアイコンをクリックするか、Command + N キーを押します。
  2. アプリケーションフォルダへ移動: Finderウィンドウのサイドバーから「アプリケーション」を選択します。サイドバーに表示されていない場合は、メニューバーの「移動」>「アプリケーション」を選択します。
  3. ユーティリティフォルダを開く: アプリケーションフォルダの中にある「ユーティリティ」フォルダを開きます。
  4. ディスクユーティリティを起動: ユーティリティフォルダの中にある「ディスクユーティリティ」アイコンをダブルクリックします。

これでディスクユーティリティのウィンドウが開きます。

2. Spotlightから起動する方法

手軽に起動したい場合に便利です。

  1. Spotlight検索を開く: Command + Spaceキーを押します。
  2. 「ディスクユーティリティ」と入力: 検索バーに「ディスクユーティリティ」と入力します。
  3. アプリケーションを選択して起動: 検索結果に表示された「ディスクユーティリティ」アプリケーションを選択し、Enterキーを押すかクリックします。

3. リカバリモードから起動する方法(重要)

Macの起動ディスク(macOSがインストールされているディスク)に対して、消去やFirst Aidなどの重要な操作を行う場合は、多くの場合、リカバリモード(macOS復旧)から起動する必要があります。これは、macOSが実行されていない状態でディスクを操作するため、より安全かつ確実に作業を行うためです。

注意: リカバリモードへの起動方法は、搭載しているチップによって異なります。

  • Appleシリコン(M1, M2, M3などのチップを搭載したMac)の場合:
    1. Macの電源を切ります。
    2. 電源ボタンを、起動オプションが表示されるまで長押しします。
    3. 「オプション」と表示されたギアアイコンを選択し、「続ける」をクリックします。
    4. macOS復旧の画面が表示されます。
  • Intelプロセッサ搭載Macの場合:
    1. Macの電源を切ります。
    2. 電源ボタンを押したらすぐに、Command + R キーをAppleロゴまたは起動音が聞こえるまで押し続けます。
    3. macOSユーティリティの画面が表示されます。

macOS復旧(リカバリモード)に入ると、「macOSユーティリティ」というウィンドウが表示されます。このウィンドウの中にある「ディスクユーティリティ」を選択して「続ける」をクリックすると、ディスクユーティリティが起動します。

リカバリモードから起動する必要がある主なケース:

  • 起動ディスク(macOSがインストールされているボリュームやコンテナ)に対してFirst Aidを実行する場合
  • 起動ディスクを消去してmacOSをクリーンインストールする場合
  • 起動ディスクのパーティション構成を変更する場合(ただし、APFSの場合は特殊)

Macが正常に起動しない場合や、起動ディスクに深刻な問題がある場合にも、リカバリモードからディスクユーティリティを使用して修復を試みることができます。

ディスクユーティリティの画面構成

ディスクユーティリティのウィンドウは、大きく分けて以下の3つのエリアで構成されています。

1. サイドバー

ウィンドウの左側に表示されます。Macに接続されているストレージデバイスや、作成されたディスクイメージなどがツリー構造で表示されます。

  • 表示: サイドバーに表示する内容を切り替えられます。「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」が最も詳細で、通常はこの設定にしておくと良いでしょう。
    • デバイス: SSDやHDDといった物理的なドライブそのものが表示されます。ドライブ名のメーカー名や型番が表示されることが多いです(例: APPLE SSD AP0512H, Crucial_CT1000MX500SSD1)。このレベルを選択すると、ドライブ全体に対する操作(ドライブ全体の消去、パーティションの変更、RAIDの作成など)が可能になります。
    • コンテナ: APFS形式のディスクの場合に表示されます。1つの物理的なドライブやパーティション内に作成されるAPFSコンテナが表示されます。複数のボリュームはこのコンテナ内に作成されます。APFSでは、コンテナがストレージ領域を管理する基本的な単位となります。
    • ボリューム: ディスクまたはコンテナ上に作成された、実際にファイルを保存する領域です。Macintosh HD、Home、外付けHDDのボリューム名などが表示されます。このレベルを選択すると、特定のボリュームに対する操作(ボリュームのFirst Aid、ボリュームの消去、復元など)が可能になります。
  • イメージ: 作成またはマウントされているディスクイメージファイル(.dmgなど)が表示されます。

操作したいストレージ(デバイス、コンテナ、ボリューム、イメージ)をサイドバーでクリックして選択することで、メイン表示エリアにその詳細情報が表示され、操作が可能になります。

2. メイン表示エリア

ウィンドウの右側に表示されます。サイドバーで選択した項目(デバイス、コンテナ、ボリュームなど)に関する詳細情報が表示されるほか、実行可能な操作のボタンが表示されます。

  • 情報: 選択したストレージの容量、使用済み容量、空き容量、ファイルシステムの種類、S.M.A.R.T.ステータスなどの詳細情報が表示されます。
  • First Aid: ディスクやボリュームのファイルシステム構造に論理的なエラーがないかを確認し、修復を試みる機能です。
  • 消去: 選択したストレージのデータを完全に削除し、新しいファイルシステムでフォーマットする機能です。
  • パーティション: デバイスやコンテナを複数のボリュームに分割する機能です。
  • 復元: あるボリュームの内容を別のボリュームにコピーしたり、ディスクイメージをボリュームに書き込んだりする機能です。
  • イメージ作成: 選択したボリュームやデバイスからディスクイメージファイルを作成する機能です。
  • マウント/マウント解除: 選択したボリュームをOSに認識させる(マウント)または認識を解除する(マウント解除)操作を行います。通常は自動で行われますが、手動で操作が必要な場合もあります。
  • RAIDアシスタント: 複数の物理ディスクを組み合わせて1つの論理的なストレージとして扱うRAIDボリュームを作成する機能です。

これらのボタンが表示されるかどうか、またその種類は、サイドバーで選択している項目(デバイスかボリュームかなど)や、そのディスクの状態によって異なります。

3. ツールバー

ウィンドウの上部に表示されます。

  • 表示: サイドバーの表示内容を切り替えるメニューです(「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」など)。
  • 新規イメージ: メニューバーの「ファイル」>「新規イメージ」と同じ機能で、空白のディスクイメージを作成できます。
  • マウント/マウント解除: メイン表示エリアのボタンと同じ機能です。
  • 情報: メイン表示エリアの「情報」タブと同じ機能です。

ディスクユーティリティの操作は、基本的にサイドバーで対象を選択し、メイン表示エリアまたはツールバーのボタンをクリックして行います。

ディスクユーティティの主な機能(できること)の詳細解説

ここからは、ディスクユーティリティでできること、すなわち主な機能について、それぞれの目的、使い方、注意点を詳しく解説していきます。

1. First Aid(ディスクの修復と検証)

First Aidとは?

First Aidは、ディスクまたはボリュームのファイルシステムに発生した論理的なエラーを診断し、可能な場合は修復を試みる機能です。ファイルシステムは、OSがストレージ上のファイルを管理するための構造やルールのことです。ファイルシステムに問題が発生すると、ファイルの読み書きができなくなったり、アプリケーションがクラッシュしたり、最悪の場合Macが起動しなくなったりする可能性があります。

First Aidは、このようなファイルシステムの構造的な問題をチェックし、整合性が保たれているかを確認します。物理的なディスクそのものの故障(物理的な損傷、読み取りヘッドの故障、セクターの破損など)は修復できませんが、ソフトウェアに起因する論理的なエラーの多くはFirst Aidで対処可能です。

なぜFirst Aidが必要?

ファイルシステムのエラーは、以下のような原因で発生することがあります。

  • Macを突然シャットダウンしたり、強制終了したりする
  • アプリケーションのクラッシュ
  • 停電などの予期せぬ電源断
  • 外付けストレージを正しく取り出さずにケーブルを抜く
  • ソフトウェアのバグや競合

これらの出来事により、ファイルシステムの構造を示す情報の一部が破損したり、矛盾が生じたりすることがあります。First Aidは、これらの論理的な問題を検出し、可能な限り修正することで、ディスクを正常な状態に戻そうとします。

定期的に(例えば月に一度など)First Aidを実行することで、小さな問題を早期に発見し、大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。また、Macの動作が不安定になったり、特定のファイルが開けなくなったりした際に、問題解決の第一歩としてFirst Aidを実行してみる価値は十分にあります。

First Aidの実行方法

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. サイドバーで対象を選択します。 First Aidを実行したいボリューム(例: Macintosh HD)、コンテナ、またはデバイス全体を選択します。一般的には、まずボリュームを選択して実行し、問題が解決しない場合やボリュームが表示されない場合に、そのボリュームが含まれるコンテナやデバイス全体に対して実行してみます。重要: 起動ディスクに対してFirst Aidを実行する場合(特にデバイス全体)、Macをリカバリモードから起動する必要がある場合があります。通常起動時でもボリュームに対するFirst Aidは可能ですが、より安全・確実なのはリカバリモードです。
  3. 「First Aid」ボタンをクリックします。 メイン表示エリアの上部にあるボタンです。
  4. 確認ダイアログが表示されたら「実行」をクリックします。 この操作によってディスク上のファイルが変更される可能性があること、時間がかかる場合があることが警告されます。
  5. 処理が完了するまで待ちます。 ディスクの容量や状態によっては、数分から数時間かかることがあります。進行状況が表示されます。
  6. 結果を確認します。 処理が完了すると、結果が表示されます。

First Aidの結果の解釈

  • 「Macintosh HDは正常に動作しているようです。」などのメッセージ: 問題は検出されず、ディスクは正常な状態です。
  • 「First Aidで問題を検出したため修復されました。」などのメッセージ: 問題が検出され、修復に成功しました。多くの場合、これで問題は解決します。
  • 「First Aidでディスクを修復できませんでした。」などのメッセージ: 問題が検出されたものの、First Aidだけでは修復できませんでした。この場合、さらに深刻なファイルシステムの問題か、物理的なディスクの故障の可能性があります。以下の対処法を検討する必要があります。
    • リカバリモードから再度First Aidを実行してみる(通常起動時よりも成功率が高いことがあります)。
    • Macを再起動してみる。
    • 重要なデータがある場合は、すぐにバックアップを取る。
    • ディスクを消去(フォーマット)して、macOSをクリーンインストールするか、データを復元する。
    • ディスクの物理的な故障を疑い、専門家に相談するか、ディスクの交換を検討する(S.M.A.R.T.ステータスも確認)。

ログの見方

First Aidの処理中および完了後に表示されるウィンドウ下部の詳細表示エリア(「詳細を表示」をクリックすると表示)には、実行された処理や検出された問題に関するログが表示されます。これには、ファイルシステム構造のチェック(Extent overflow B-tree、Catalog B-treeなど)に関する情報が含まれます。これらの詳細は専門的な内容ですが、エラーメッセージが含まれている場合は、問題の特定に役立つことがあります。Appleサポートに問い合わせる際などに、このログ情報が必要になる場合があります。

2. 消去(フォーマット)

消去とは?

消去(フォーマットとも呼ばれます)は、ストレージデバイス(内蔵SSD、外付けHDD/SSD、USBメモリなど)上のすべてのデータを削除し、Macがそのストレージを使用するためのファイルシステムを新しく構築する操作です。

消去は、主に以下の目的で行われます。

  • 新しいストレージをMacで使えるように準備する: 購入したばかりの外付けHDDやUSBメモリは、Macに適したファイルシステムになっていない場合があります。消去してMacに適した形式にすることで、Macからの読み書きが可能になります。
  • 不要になったストレージのデータを完全に削除する: 個人情報などが含まれるストレージを他人に譲渡したり、廃棄したりする場合に、データを復元できないように完全に削除します。
  • ファイルシステムを変更する: 特定の用途(例: Windowsとのデータ交換)のために、ストレージのファイルシステムを変更したい場合に消去を行います。
  • ディスクの問題を解決する: First Aidでも修復できないファイルシステムの問題がある場合、一度消去してファイルシステムを再構築することで問題が解決することがあります(ただしデータは消えます)。

消去の種類(セキュリティオプション)

消去を実行する際、データをどれだけ確実に削除するかを選択できる場合があります。

  • 最速(デフォルト): ファイルシステムの管理情報だけを削除し、データが保存されていた領域を「空き領域」としてマークするだけです。実際のデータはディスク上に残ったままになり、特別なソフトウェアを使えば復元される可能性があります。最も高速に完了します。
  • セキュリティオプション(macOSのバージョンやストレージの種類による): データが保存されていた領域に意味のないデータ(通常はゼロやランダムなデータ)を複数回上書きすることで、データの復元を極めて困難にする方法です。
    • 「0」を1回書き込む: データ領域全体にゼロを一度書き込みます。一般的なデータ復旧ツールでは復元できなくなります。
    • 7回書き込む: ランダムなデータを7回上書きします。軍事レベルの規格(DoD 5220.22-M)に準拠しており、非常に強力なデータ削除方法とされています。完了まで非常に時間がかかります。
    • 35回書き込む: より多くの回数、ランダムなデータを上書きします。理論上はさらに強力ですが、現代のストレージでは7回書き込みで十分とされており、時間もかかるためあまり使われません。

注意: SSDの場合、セキュリティオプションによる複数回上書きは、必ずしもデータを完全に消去できるとは限りません。SSDの仕組み(ウェアレベリングなど)により、データが異なる物理的な場所に分散して書き込まれることがあるためです。SSDのデータを完全に消去したい場合は、SSD自体に搭載されているSecure Erase機能などを使用するのがより確実です。ディスクユーティリティの「消去」でセキュリティオプションが選択できないSSDもあります。

ファイルシステムの種類

消去する際に、ストレージをどのようなファイルシステムでフォーマットするかを選択します。用途に応じて適切なファイルシステムを選ぶことが重要です。

  • APFS (Apple File System): macOS High Sierra以降の標準ファイルシステムです。SSDやフラッシュストレージに最適化されており、高速なファイルコピー、スナップショット機能、スペース共有などの特徴があります。Macで主に使う内蔵ストレージやSSDの外付けストレージに適しています。macOS、iOS、iPadOS、tvOS、watchOSで使用されます。
    • APFS (暗号化): APFSにFileVaultのような暗号化機能を追加したものです。ボリューム全体が暗号化されます。
    • APFS (大文字/小文字を区別): ファイル名の大文字と小文字を区別します(例: “File.txt” と “file.txt” は別のファイルとして扱われる)。プログラミングなどの特殊な用途以外では、互換性の問題から通常は使用しません。
    • APFS (大文字/小文字を区別、暗号化): 上記の両方の特徴を持ちます。
    • 注意: APFSは原則としてWindowsからは読み書きできません(サードパーティ製ドライバーを除く)。
  • Mac OS拡張 (HFS+): macOS Sierra以前の標準ファイルシステムです。HDDとの相性が良いですが、APFSに比べると機能面で見劣りします。古いMacとの互換性を保ちたい場合などに使用することがあります。
    • Mac OS拡張 (ジャーナリング): ファイルシステムの状態を記録(ジャーナリング)することで、停電時などにファイルシステムが破損するリスクを低減します。通常はこのオプションを選択します。
    • Mac OS拡張 (ジャーナリング、暗号化): ジャーナリング機能に加えて暗号化を行います。
    • Mac OS拡張 (大文字/小文字を区別、ジャーナリング): ファイル名の大文字/小文字を区別し、ジャーナリングを行います。
    • Mac OS拡張 (大文字/小文字を区別、ジャーナリング、暗号化): 上記の全ての機能を持ちます。
    • 注意: Mac OS拡張も原則としてWindowsからは読み書きできません(サードパーティ製ドライバーを除く)。
  • exFAT: WindowsとMacの両方で読み書きできるファイルシステムです。FAT32の容量制限(1ファイルの最大サイズが4GB、ボリュームサイズが32GB)がなく、大容量のファイルも扱えます。USBメモリや外付けHDD/SSDをMacとWindowsの両方で共有したい場合に最適です。ただし、Mac OS拡張やAPFSに比べて信頼性やパフォーマンスが若干劣ると言われています。
  • MS-DOS (FAT): いわゆるFAT32ファイルシステムです。WindowsとMacの両方で読み書きできますが、1ファイルの最大サイズが4GB、ボリュームの推奨サイズが32GBという制限があります。主に容量の小さいUSBメモリ(32GB以下)を、様々なOSやデバイス(古いデジタルカメラ、ゲーム機など)と互換性を保ちたい場合に使用します。

方式(パーティション方式)

デバイス全体を消去する際に、パーティションマップの種類を選択します。これは、ディスク上のパーティション(ボリューム)がどのように配置されるかを定義する仕組みです。

  • GUIDパーティションマップ: Macの起動ディスクとして使用する場合や、2TBを超える大容量ディスクを使用する場合に推奨される方式です。Intel MacおよびAppleシリコンMacの標準的な方式であり、macOSのインストールには必須です。Windowsでも最近のバージョンであれば対応しています。
  • マスターブートレコード (MBR): 古いWindowsシステムとの互換性を保ちたい場合や、古いMac OS(OS X Mountain Lion以前)との互換性を保ちたい場合に使用することがあります。2TBを超える容量には対応していません。一般的にはGUIDパーティションマップを使用するのが推奨されます。

消去の手順

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. サイドバーで消去したいストレージを選択します。 ボリュームだけを消去したい場合はボリュームを選択します。デバイス全体を消去したい場合はデバイスを選択します。重要: 起動ディスクを消去する場合は、必ずリカバリモードから起動してください。
  3. 「消去」ボタンをクリックします。
  4. 消去ダイアログが表示されます。
    • 名前: 新しいボリュームの名前を入力します(例: My External HDD, Backup)。
    • フォーマット: 使用したいファイルシステムを選択します(例: APFS, Mac OS拡張 (ジャーナリング), exFAT, MS-DOS (FAT))。
    • 方式 (デバイス全体を消去する場合): パーティション方式を選択します(例: GUIDパーティションマップ)。
    • セキュリティオプション (物理ディスクを選択した場合): 必要に応じてクリックし、データ削除の強度を選択します。SSDの場合はこのオプションが表示されないこともあります。
  5. 設定を確認し、「消去」をクリックします。
  6. 最終確認のダイアログが表示されたら「消去」をクリックします。
  7. 処理が完了するまで待ちます。 選択したセキュリティオプションやディスクの容量によって、時間が大きく変動します。
  8. 完了ダイアログが表示されたら「完了」をクリックします。

これで、ストレージが指定したファイルシステムでフォーマットされ、新しいボリューム名で使用できるようになります。

消去時の注意点:

  • データは完全に消えます: 消去操作は、選択したストレージ上のすべてのデータを消去します。一度消去したデータは、基本的に元に戻すことはできません。 重要なデータが含まれていないか、十分に確認してから実行してください。必要なデータは事前に必ずバックアップしておきましょう。
  • 起動ディスクの消去: macOSがインストールされている起動ディスクを消去すると、Macは起動できなくなります。macOSを再インストールする目的以外で起動ディスクを消去しないでください。また、起動ディスクを消去する場合は、必ずリカバリモードからディスクユーティリティを起動する必要があります。
  • APFSボリュームの消去: APFSコンテナ内のボリュームを消去しても、コンテナ自体の容量は減りません。コンテナ全体の容量を再利用したい場合は、コンテナそのものやデバイス全体を消去するか、パーティション機能でボリュームを削除する必要があります。

3. パーティション(ディスクの分割)

パーティションとは?

パーティション(またはスキーム)とは、1つの物理的なストレージデバイス(HDDやSSD)を論理的に複数の独立した領域に分割することです。分割されたそれぞれの領域は「ボリューム」と呼ばれ、それぞれが独立したストレージとしてMacから認識され、異なるファイルシステムでフォーマットしたり、異なるデータを保存したりできます。

なぜパーティションが必要?

パーティションを作成する目的はいくつかあります。

  • 複数のOSをインストールする: 1つのストレージにmacOSとWindows(Boot Campなど)をインストールする場合、それぞれに独立したパーティションが必要です。
  • システム領域とデータ領域を分ける: macOSをインストールする領域と、個人データ(書類、写真、音楽など)を保存する領域を分けることで、OSのクリーンインストールがしやすくなったり、システム領域のバックアップが取りやすくなったりします。
  • 異なるファイルシステムを使用する: Mac用の領域(APFSやMac OS拡張)と、Windowsなど他のOSと共有するための領域(exFATなど)を、1つのストレージ内に作成したい場合にパーティションを使用します。
  • 特定の用途に領域を確保する: バックアップ用、特定のプロジェクト用など、用途別に領域を分けて管理したい場合に便利です。

パーティションの仕組み(APFSの場合)

APFSでは、従来のパーティション管理方法とは少し異なります。APFSではまず「APFSコンテナ」という領域を作成し、そのコンテナ内に複数の「APFSボリューム」を作成します。APFSボリュームは、コンテナの空き容量を共有します。例えば、1TBのAPFSコンテナ内に「Macintosh HD」と「Data」という2つのボリュームを作成した場合、それぞれのボリュームに固定された容量が割り当てられるのではなく、コンテナ全体の1TBを共有して使用します。これにより、領域の無駄がなくなります。ただし、最大容量を設定することも可能です。

従来のMac OS拡張(HFS+)などでは、パーティション作成時に各ボリュームに固定の容量を割り当てていました。

パーティションの作成手順

注意: パーティション操作は、選択したストレージのパーティション構成を変更するため、データ損失のリスクがあります。操作を行う前に、必ずストレージのデータを完全にバックアップしておきましょう。

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. サイドバーでパーティションを作成したいデバイス(物理ディスク)を選択します。 ボリュームやコンテナではなく、最上位のデバイス名を選択してください。起動ディスクのパーティション構成を変更する場合は、リカバリモードから起動する必要があります。
  3. 「パーティション」ボタンをクリックします。
  4. 現在のパーティション構成が表示されます。 円グラフのような表示で、現在のボリュームとその容量が表示されます。
  5. 新しいパーティションを追加します。
    • 円グラフの下にある「+」ボタンをクリックします。既存のボリュームの隣に新しいパーティション領域が追加されます。
    • 追加された領域のサイズを変更するには、円グラフ上の区切り線をドラッグするか、右側の詳細エリアで「サイズ」を入力します。
  6. 新しいパーティションの設定を行います。
    • 名前: 新しいボリュームの名前を入力します。
    • フォーマット: 新しいボリュームに使用するファイルシステムを選択します(例: APFS, Mac OS拡張, exFAT)。
  7. 必要に応じて、既存のパーティションの設定を確認・変更します。 既存のパーティションを選択すると、名前やフォーマット、サイズを変更できる場合があります(ただし、既存のボリュームのサイズを小さくする場合は、そのボリュームに使用済みの容量よりも大きな空き容量が必要です)。
  8. 設定を確認し、「適用」をクリックします。
  9. パーティション構成の変更に関する最終確認が表示されます。 変更内容を確認し、問題がなければ「パーティション」をクリックします。この操作により、選択したディスク上の既存のパーティションが変更され、データが影響を受ける可能性があることが警告されます。
  10. 処理が完了するまで待ちます。 パーティションのサイズや変更内容によっては時間がかかることがあります。
  11. 完了したら「完了」をクリックします。

新しいボリュームがサイドバーに表示され、Finderからアクセスできるようになります。

パーティションの削除・サイズ変更

パーティションウィンドウで既存のボリュームを選択し、「−」ボタンをクリックすると、そのボリューム(パーティション)を削除できます。削除された領域は、隣接するパーティションに結合するか、未割り当て領域として残すことができます。

既存のパーティションのサイズを変更するには、円グラフ上の区切り線をドラッグするか、右側の詳細エリアでサイズを入力します。ただし、ボリュームのサイズを小さくするには、そのボリュームに使用済みの容量よりも十分に大きな空き容量が必要です。

APFSのパーティション(コンテナとボリューム)に関する補足:

APFSの場合、ディスク全体(デバイス)に対してパーティションを作成すると、まずAPFSコンテナが作成され、その中に最初のボリュームが作成されます。そのコンテナ内にさらにボリュームを追加したい場合は、サイドバーでAPFSコンテナを選択し、「ボリュームを追加」ボタンをクリックします。これにより、既存のコンテナ内に新しいボリュームが作成され、コンテナの空き容量を共有して使用できます。これは、従来のパーティション(領域固定)とは異なる、APFS特有の柔軟な管理方法です。APFSコンテナ内のボリュームを削除する場合は、そのボリュームを選択して「ボリュームを削除」ボタンをクリックします。

パーティション時の注意点:

  • データの消失: パーティション構成の変更は、データ消失のリスクが伴います。必ず事前にバックアップを取ってください。 特に、パーティションの削除やサイズの変更はリスクが高い操作です。
  • 起動ディスクの制限: 起動ディスクに対してパーティション操作を行う場合、Macをリカバリモードから起動する必要があります。また、起動ディスクのメインボリューム(例: Macintosh HD)のサイズを小さくしたり、場所を変更したりすることは、macOSのバージョンによっては制限がある場合があります。
  • Windowsとの互換性(Boot Camp): Boot Campアシスタントを使ってWindowsをインストールする場合は、ディスクユーティリティではなくBoot Campアシスタントの指示に従ってパーティションを作成してください。

4. 復元(ディスクイメージからの書き込み、ディスク間のコピー)

復元とは?

ディスクユーティリティの「復元」機能は、あるストレージの内容を別のストレージに完全にコピーする機能です。これは主に以下の目的で使用されます。

  • ディスクのクローンを作成する: 起動ディスクの内容(OS、アプリケーション、設定、データ)を別の外付けディスクなどに完全にコピーし、起動可能なバックアップやシステム移行用のクローンを作成します。
  • ディスクイメージをストレージに書き込む: macOSのインストーラディスクイメージ(.dmgファイル)などをUSBメモリに書き込み、起動可能なインストールメディアを作成します。
  • ボリュームの内容を別のボリュームにコピーする: データのバックアップとして、特定のボリュームの内容を別のボリュームにコピーします。

復元の手順

復元操作は「ソース」と「ターゲット」を指定して行います。ソースはコピー元、ターゲットはコピー先です。

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. サイドバーでターゲット(コピー先)となるボリュームを選択します。
  3. 「復元」ボタンをクリックします。
  4. 復元ダイアログが表示されます。
    • ソース: ここでコピー元を指定します。
      • ボリュームから復元: サイドバーに表示されている別のボリュームを選択します。
      • イメージから復元: あらかじめ作成しておいたディスクイメージファイル(.dmg, .cdrなど)を選択します。ファイル選択ダイアログが開きます。
    • ターゲットは手順2で選択したボリュームが自動的に表示されます。
  5. ソースとターゲットが正しく選択されていることを確認します。 注意: ターゲットボリュームの内容は、復元元の内容で上書きされ、データは全て消去されます。
  6. 「復元」をクリックします。
  7. 最終確認のダイアログが表示されたら「消去」または「復元」をクリックします。 ターゲットボリュームの内容が全て消去されることが警告されます。
  8. 処理が完了するまで待ちます。 データ容量やディスクの速度によって、時間がかかります。
  9. 完了したら「完了」をクリックします。

起動可能なディスクイメージの復元(USBインストーラ作成など)

macOSのインストールメディア(.dmgファイルなど)から起動可能なUSBインストーラを作成する場合も、この復元機能を使用します。

  1. macOSのインストーラアプリケーションをApp Storeからダウンロードします。
  2. アプリケーション内に含まれるディスクイメージファイル(多くの場合、アプリケーションパッケージ内のContents/SharedSupport/InstallESD.dmgや、createinstallmediaコマンドが使用する隠しファイル)を使用します。最近のmacOSではcreateinstallmediaコマンドを使用するのが推奨されていますが、古いOSや特定の状況ではディスクユーティリティでdmgを復元することも可能です。
  3. ディスクユーティティを起動します。
  4. USBメモリなどのターゲットディスクをMacに接続します。
  5. 必要であれば、ターゲットディスクをMac OS拡張形式(ジャーナリング)で消去します(これはmacOSのバージョンやdmgの種類によります)。パーティション方式はGUIDパーティションマップを選択します。
  6. サイドバーでターゲット(USBメモリのボリューム)を選択し、「復元」をクリックします。
  7. ソースとして、ダウンロードしたインストーラアプリケーション内のディスクイメージファイルを選択します(Finderでインストーラアプリを右クリックし「パッケージの内容を表示」でたどるか、デスクトップなどにコピーしておくと選択しやすい場合があります)。
  8. 復元を実行します。

復元時の注意点:

  • ターゲットのデータは消えます: 復元先のターゲットボリュームの既存のデータは、ソースの内容で完全に上書きされます。失われて困るデータが含まれていないか、十分に確認してください。
  • ターゲットの容量: ターゲットボリュームの容量は、ソースの容量以上である必要があります。
  • 起動可能なクローン/復元: 起動可能なクローンやインストールメディアを作成する場合、ターゲットディスクのパーティション方式がGUIDパーティションマップであること、適切なファイルシステムでフォーマットされていることが重要です。また、クローン元のOSが起動ディスクとして認識される形式である必要があります。macOSの起動ディスクをクローンする場合は、リカバリモードから実行するのが推奨されます。

5. イメージ作成(ディスクイメージの作成)

ディスクイメージとは?

ディスクイメージとは、ストレージデバイスやボリューム、あるいはフォルダの内容を1つのファイルとしてまとめたものです。Macでは主に.dmgという拡張子のファイルが使われます。ディスクイメージファイルは、ダブルクリックすると仮想的なボリュームとしてMacにマウントされ、通常のディスクやフォルダと同じように中身にアクセスできます。

イメージ作成の目的

  • バックアップ: ボリューム全体のバックアップを1つのファイルとして保存できます。特に、読み込み専用や圧縮形式で作成すれば、オリジナルが改変される心配がなく、容量も節約できます。
  • ソフトウェア配布: アプリケーションやファイルをディスクイメージとして配布することで、受け取り側はダブルクリックするだけで簡単にマウントして中身を取り出せます。
  • 暗号化コンテナ: 機密性の高いデータを保存するための暗号化されたコンテナとして使用できます。パスワードを知らないとマウントできず、中身にアクセスできません。
  • アーカイブ: 特定の時点でのボリュームやフォルダの状態をそのまま保存しておきたい場合に作成します。

イメージ作成の手順

ディスクイメージは、既存のボリュームやフォルダ、あるいは指定したサイズの空白の領域から作成できます。

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. 「ファイル」メニュー > 「新規イメージ」を選択し、作成したいイメージの種類を選択します。
    • 「<ボリューム名>からイメージを作成」: サイドバーで選択しているボリューム全体のイメージを作成します。
    • 「<フォルダ名>からイメージを作成」: 指定したフォルダとその中身だけのイメージを作成します。
    • 「空白のイメージを作成」: 指定したサイズの、中身が空のディスクイメージファイルを作成します。これは、後でデータを保存するための暗号化コンテナなどを作成する場合に使います。

空白のイメージを作成する場合:

  1. 「空白のイメージを作成」を選択します。
  2. 名前: イメージファイルの名前を入力します(例: My Encrypted Data.dmg)。
  3. 場所: イメージファイルを保存する場所を選択します。
  4. サイズ: 作成したいイメージのサイズを指定します。
  5. フォーマット:
    • Mac OS拡張 (ジャーナリング): 標準的なファイルシステムです。
    • APFS: 新しいファイルシステムです。
    • exFAT / MS-DOS (FAT): Windowsとの互換性が必要な場合。
  6. 暗号化:
    • なし: 暗号化しません。
    • 128ビットAES暗号化: 標準的な暗号化です。
    • 256ビットAES暗号化: より強力な暗号化です。暗号化を選択すると、パスワード設定を求められます。パスワードは忘れないように厳重に管理してください。
  7. 方式:
    • GUIDパーティションマップ: 一般的に使用します。
    • マスターブートレコード: 古いOSとの互換性が必要な場合など。
  8. イメージフォーマット:
    • 読み込み/書き出しディスクイメージ: マウント後、通常のディスクのようにファイルの追加や削除が可能です(.dmg)。
    • 読み込み専用ディスクイメージ: マウント後、中身を閲覧できますが、変更はできません。主にソフトウェア配布用に使われます(.dmg)。
    • 圧縮ディスクイメージ: 中身を圧縮して保存するため、ファイルサイズが小さくなります。マウント後、中身を閲覧できますが、変更はできません(.dmg)。
    • DVD/CDマスター: CD/DVD書き込み用のイメージを作成します(.cdr – ISO9660互換)。
    • ハイブリッドイメージ: Mac OS X、Windows、Unixシステムで読み込めるイメージを作成します(.iso)。
  9. 設定を確認し、「保存」をクリックします。
  10. 空白のイメージを作成する場合は、指定したフォーマットで初期化が行われます。 これが完了するとイメージファイルが作成されます。

ボリューム/フォルダからイメージを作成する場合:

  1. 「<ボリューム名>からイメージを作成」または「<フォルダ名>からイメージを作成」を選択します。
  2. 保存場所と名前: イメージファイルの保存場所と名前を指定します。
  3. フォーマット: 通常は「読み込み/書き出し」や「圧縮」を選択します。
  4. 暗号化: 必要に応じて暗号化を選択します。
  5. 設定を確認し、「保存」をクリックします。
  6. ソースの読み込みとイメージファイルの作成が開始されます。 データ量によって時間がかかります。
  7. 完了したら「完了」をクリックします。

イメージ作成時の注意点:

  • 容量: イメージファイルを作成するには、ソースの容量(または指定したサイズ)に見合った空き容量が、保存先のディスクに必要です。圧縮イメージの場合は、元データより小さくなりますが、ある程度の空き容量は必要です。
  • 暗号化パスワード: 暗号化イメージのパスワードを忘れると、二度と中身にアクセスできなくなります。パスワードの管理には十分注意してください。
  • イメージフォーマットの選択: 用途に合わせて適切なイメージフォーマットを選択してください。バックアップなら圧縮や読み込み専用、データを追加・変更したいなら読み込み/書き出し、他OSとの互換性が必要ならDVD/CDマスターやハイブリッドイメージを選択します。

6. 情報

「情報」機能は、サイドバーで選択したストレージデバイス、ボリューム、コンテナ、またはイメージファイルに関する詳細な情報を表示します。

表示される情報例:

  • 種別: ディスク、ボリューム、コンテナ、イメージなど
  • 名称: サイドバーに表示されている名前
  • フォーマット: ファイルシステムの種類(APFS, Mac OS拡張など)
  • 接続: 接続方法(SATA、外付け、ディスクイメージなど)
  • 容量: ストレージの総容量
  • 使用済み: データが使用している容量
  • 空き: 使用可能な空き容量
  • マウントポイント: OS上のどこにマウントされているか(例: /Volumes/MyExternalHDD, /)
  • BSDデバイスノード: OSが内部的にデバイスを識別する名前(例: disk0s2)
  • S.M.A.R.T.状況: 内蔵ディスクの場合に表示される、ディスク自身の自己診断機能による健康状態です。

S.M.A.R.T.状況について:

S.M.A.R.T. (Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology) は、HDDやSSDが内蔵している自己診断システムです。「検証済み」と表示されていれば、現状では問題ないと考えられます。「問題あり」などと表示された場合は、そのディスクが物理的に故障する兆候を示している可能性があります。S.M.A.R.T.状況で「問題あり」と表示された場合は、ディスクが近いうちに故障する可能性が高いことを意味します。 ただちに重要なデータのバックアップを取り、そのディスクの使用を中止し、交換を検討してください。

7. マウント / マウント解除

マウント/マウント解除とは?

ストレージデバイスやボリュームをOSが認識し、ファイルシステムを読み込んで、ユーザーがファイルの読み書きを行える状態にすることを「マウント」と呼びます。Finderのサイドバーにボリュームが表示され、アクセスできるようになるのがマウントされた状態です。

逆に、OSがストレージとの接続を切り離し、安全に取り外せる状態にすることを「マウント解除」と呼びます。外付けストレージをMacから取り外す際に「Finderから取り出す」操作をしますが、これはそのボリュームをマウント解除してから物理的な接続を切るための安全な手順です。

通常、ストレージを接続すると自動的にマウントされますが、何らかの理由でマウントされなかった場合や、特定の操作のために一時的にマウントを解除したい場合に、ディスクユーティリティから手動で操作できます。

手動でのマウント/マウント解除の方法:

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. サイドバーで対象のボリュームまたはイメージを選択します。
  3. メイン表示エリアまたはツールバーの「マウント解除」ボタンをクリックします。 ボタンの名前が「マウント解除」になっている場合は、現在マウントされている状態です。
  4. マウントが解除されると、ボタンの名前が「マウント」に変わります。 サイドバーのボリューム名の文字色が薄くなる場合もあります。
  5. 再度マウントしたい場合は、「マウント」ボタンをクリックします。

マウントできない場合のトラブルシューティング:

  • ディスクユーティリティにそもそも表示されない場合は、物理的な接続に問題があるか、ディスク自体が認識されないほど重篤な故障の可能性があります。別のケーブルやポートで試したり、他のコンピュータに接続してみたりしてください。
  • ディスクユーティティには表示されるがマウントできない場合は、ファイルシステムに深刻な問題がある可能性があります。そのボリュームに対してFirst Aidを実行してみてください。First Aidで修復できない場合や、消去もできない場合は、物理的な故障の可能性が高いです。
  • 外付けストレージの場合、電力不足が原因でマウントできないこともあります。ACアダプタ付きのハブを使ってみたり、別のUSBポートで試したりしてください。

8. RAIDアシスタント

RAIDとは?

RAID (Redundant Array of Independent Disks) とは、複数の物理的なストレージディスクを組み合わせて、1つの大きな論理的なストレージとして扱う技術です。RAIDを使用する目的は、主に以下の2つです。

  • パフォーマンス向上: 複数のディスクにデータを分散して読み書きすることで、アクセス速度を向上させます(例: RAID 0 – ストライピング)。
  • 冗長性の確保(データ保護): 同じデータを複数のディスクに書き込むことで、一部のディスクが故障してもデータを失わないようにします(例: RAID 1 – ミラーリング)。

ディスクユーティリティのRAIDアシスタントを使用すると、Macに接続された複数の物理ディスクを組み合わせて、RAIDアレイを作成できます。

RAIDの種類(ディスクユーティリティで作成可能な主なもの)

  • ストライピングセット (RAID 0): 複数のディスクにデータを分散して書き込みます。読み書き速度が向上しますが、冗長性はありません。構成するディスクのいずれか1台でも故障すると、全てのデータが失われます。パフォーマンス重視で、データの重要度が低い場合や、別途バックアップがある場合に使用します。
  • ミラーリングセット (RAID 1): 同じデータを複数のディスクに同時に書き込みます。構成するディスクの半分が故障してもデータを失いません(通常は2台で構成)。冗長性は高いですが、使用できる容量は構成するディスクの中で最小のディスクの容量と同じになります。データ保護重視の場合に使用します。
  • 連結セット (Concatenated Set): 複数のディスクを単に連結して、1つの大きなボリュームとして扱います。RAIDとは厳密には異なります。パフォーマンスや冗長性のメリットはありませんが、容量の異なる複数のディスクをまとめて使いたい場合に便利です。ただし、いずれか1台が故障すると、連結されたボリューム全体のデータが失われる可能性があります。

RAIDアレイの作成手順:

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. 「ファイル」メニュー > 「RAIDアシスタント」を選択します。
  3. 作成したいRAIDの種類を選択します。
    • ストライピングセット (RAID 0)
    • ミラーリングセット (RAID 1)
    • 連結セット (Concatenated Set)
  4. RAIDアレイに含めたいディスクを選択します。 同じ種類(HDD/SSD)、同じ容量、同じ速度のディスクを揃えるのが理想的です。
  5. RAIDの名前を入力し、フォーマット(ファイルシステム)を選択します。
  6. 設定を確認し、「作成」をクリックします。
  7. RAIDアレイの作成が開始されます。 選択したディスクは全て消去され、RAIDとして再構築されます。

RAID使用上の注意点:

  • データ消失: RAIDアレイを作成する際、構成するディスク上の既存データは全て消去されます。
  • RAID 0のリスク: RAID 0は高速ですが、冗長性が全くありません。必ず別途バックアップを取ってください。
  • ディスクの均一性: RAIDのパフォーマンスと信頼性を最大限に引き出すためには、構成する全てのディスクを同じメーカー、同じ型番、同じ容量、同じ速度のものにするのが推奨されます。
  • 複雑性: RAIDはディスク管理を複雑にします。導入の必要性を慎重に検討し、仕組みを理解した上で使用してください。
  • 物理的な障害: RAIDは論理的な冗長性を提供しますが、火災や物理的な衝撃、コントローラーの故障など、アレイ全体に影響する障害に対しては無力です。RAIDを組んだからといってバックアップが不要になるわけではありません。

よくある使い方・シナリオ別の解説

ディスクユーティリティの様々な機能を、具体的なシナリオに沿ってどのように活用するかを見ていきましょう。

シナリオ1:新しい外付けHDD/SSDを使う準備をする

購入したばかりの外付けHDDやSSDは、多くの場合Windowsでも使えるようにexFATやNTFSでフォーマットされています。Mac専用として使う場合や、macOSのTime Machineバックアップ先として使う場合は、Macに適したファイルシステム(APFSまたはMac OS拡張)でフォーマットし直すのが一般的です。

  1. 外付けHDD/SSDをMacに接続します。
  2. ディスクユーティリティを起動します。
  3. サイドバーの「表示」メニューから「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」を選択し、接続した外付けHDD/SSDのデバイス(最上位の名前、メーカー名など)を選択します。
  4. 「消去」ボタンをクリックします。
  5. 消去ダイアログで以下を設定します。
    • 名前: 外付けHDD/SSDの名前を入力します(例: External_Backup)。
    • フォーマット:
      • APFS: macOS High Sierra以降を使用しているMacで主に使う場合。特にSSDの場合や、macOSの起動ディスクのクローンを作成する場合に適しています。
      • Mac OS拡張 (ジャーナリング): 古いMacとの互換性が必要な場合や、Time Machineバックアップ先として使う場合(Time MachineはMac OS拡張を推奨)。HDDの場合にも適しています。
      • exFAT: MacとWindowsの両方でデータをやり取りする場合。
    • 方式: 「GUIDパーティションマップ」を選択します。
  6. 「消去」をクリックし、確認ダイアログで再度「消去」をクリックします。
  7. 完了を待ちます。

シナリオ2:古い外付けHDD/SSDのデータを完全に消去して譲渡/廃棄する

個人情報などが含まれる古いストレージを他人に譲ったり捨てたりする場合、データを完全に復元できないように消去する必要があります。

  1. 古い外付けHDD/SSDをMacに接続します。
  2. 重要なデータが残っていないか、最後の確認をします。
  3. ディスクユーティリティを起動し、サイドバーの「表示」メニューから「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」を選択し、対象のデバイスを選択します。
  4. 「消去」ボタンをクリックします。
  5. 消去ダイアログが表示されます。名前、フォーマット、方式は任意で設定します。
  6. 「セキュリティオプション」ボタンをクリックします。
  7. スライダーをドラッグして、上書き回数を選択します。データの重要度に応じて、例えば「0」を1回書き込む(一般的な復旧ソフトでは復元不可)や、7回書き込む(より強力)を選択します。SSDの場合はセキュリティオプションが選択できないこともあります。
  8. 「OK」をクリックしてセキュリティオプションを閉じます。
  9. 「消去」をクリックし、確認ダイアログで再度「消去」をクリックします。
  10. セキュリティオプションによっては、完了まで非常に時間がかかります。処理が完了するまで待ちます。

シナリオ3:Macの動作が遅い・不安定な場合にFirst Aidを実行する

Macの動作が最近不安定になったり、特定のアプリが頻繁にクラッシュしたり、ファイルがうまく開けなくなったりした場合、ファイルシステムに論理的な問題が発生している可能性があります。

  1. Macを通常起動します。
  2. ディスクユーティリティを起動します。
  3. サイドバーで、問題が発生している可能性のあるボリュームを選択します(通常は「Macintosh HD」ボリューム)。
  4. 「First Aid」ボタンをクリックします。
  5. 確認ダイアログで「実行」をクリックします。
  6. First Aidの処理が完了するまで待ちます。
  7. 結果を確認します。「正常に動作しているようです」と表示されれば問題なし。「問題を検出したため修復されました」と表示されれば、エラーが修復された可能性があります。もし問題が修復できなかった場合は、Macを再起動し、可能であればリカバリモードから起動して、再度First Aidを実行してみてください。

シナリオ4:OSをクリーンインストールするために起動ディスクを消去する

Macの動作がどうしても改善しない場合や、設定を完全にリセットしたい場合に、macOSをクリーンインストールすることがあります。そのためには、まず起動ディスクを消去する必要があります。

  1. 必ず重要なデータのバックアップを取ってください! Time Machineでバックアップを取るか、iCloud Driveや別の外付けディスクに手動でコピーするなどして、必要なデータを全て退避させます。
  2. Macをリカバリモードから起動します(AppleシリコンとIntel Macで起動方法が異なります)。
  3. macOSユーティリティ画面で「ディスクユーティリティ」を選択し、「続ける」をクリックします。
  4. ディスクユーティティが起動したら、サイドバーの「表示」メニューから「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」を選択します。
  5. 対象のデバイス(物理ディスク)を選択します。 間違えて別のディスクや、デバイスではなくボリュームを選択しないように注意してください。通常、内蔵ディスクは「APPLE SSD…」や「Macintosh HD」の上位のデバイス名です。
  6. 「消去」ボタンをクリックします。
  7. 消去ダイアログで以下を設定します。
    • 名前: 新しい起動ボリュームの名前を入力します(通常は「Macintosh HD」とします)。
    • フォーマット: 「APFS」を選択します(古いMacやOSの場合はMac OS拡張 (ジャーナリング) を選択することもありますが、最新のmacOSではAPFSが推奨)。
    • 方式: 「GUIDパーティションマップ」を選択します。
  8. 「消去」をクリックし、確認ダイアログで再度「消去」をクリックします。
  9. 消去が完了するまで待ちます。
  10. 完了したらディスクユーティリティを終了し、macOSユーティリティ画面に戻ります。
  11. 「macOSを再インストール」を選択し、画面の指示に従ってmacOSをインストールします。

シナリオ5:データを安全に保管するための暗号化ディスクイメージを作成する

機密性の高い書類やプライベートな写真など、他人に見られたくないデータを安全に保管したい場合、暗号化されたディスクイメージを作成してその中にデータを保存するのが便利です。

  1. ディスクユーティリティを起動します。
  2. 「ファイル」メニュー > 「新規イメージ」 > 「空白のイメージを作成」を選択します。
  3. 新しいイメージの設定を行います。
    • 名前: イメージファイルの名前を入力します(例: Private Data Vault.dmg)。
    • 場所: イメージファイルを保存する場所を選択します。
    • サイズ: このイメージに保存したいデータの総容量を考慮して、適切なサイズを指定します。必要に応じて後からサイズを大きくすることも可能です(ただし、そのイメージが読み込み/書き出し形式であること、特定の条件を満たす必要があります)。
    • フォーマット: 「Mac OS拡張 (ジャーナリング)」または「APFS」を選択します。
    • 暗号化: 「128ビットAES暗号化」または「256ビットAES暗号化」を選択します。強力なパスワードを設定し、絶対に忘れないように控えておきましょう。 パスワードを忘れると、イメージの中身は二度と取り出せません。パスワードをキーチェーンに保存するかどうかも選択できますが、より安全性を高めるなら保存しない方が良いかもしれません。
    • 方式: 「GUIDパーティションマップ」を選択します。
    • イメージフォーマット: 「読み込み/書き出しディスクイメージ」を選択します。
  4. 「保存」をクリックします。
  5. 指定したパスワードを入力し、「作成」をクリックします。
  6. 空白のイメージが作成され、自動的にマウントされます。Finderのサイドバーやデスクトップに、新しいボリュームが表示されるはずです。
  7. そのボリュームを開き、安全に保管したいデータをコピー&ペーストまたはドラッグ&ドロップで入れます。
  8. データの移動が終わったら、Finderのサイドバーにあるボリューム名の横の「取り出す」ボタンをクリックするか、ボリュームアイコンをゴミ箱にドラッグして、イメージをマウント解除します。

これで、暗号化されたディスクイメージファイルが作成されました。このファイルはパスワードがなければ開くことができません。再度中身にアクセスしたい場合は、.dmgファイルをダブルクリックし、パスワードを入力してマウントします。

シナリオ6:MacとWindows両方で使えるUSBメモリ/HDDを作成する

MacとWindowsの間でデータをやり取りすることが多いUSBメモリや外付けHDD/SSDは、どちらのOSからも読み書きできるファイルシステムでフォーマットする必要があります。一般的にはexFATまたはMS-DOS (FAT32) が使われます。

  1. USBメモリ/外付けHDD/SSDをMacに接続します。
  2. ディスクユーティリティを起動し、サイドバーの「表示」メニューから「デバイス、ボリューム、コンテナを表示」を選択し、対象のデバイスを選択します。
  3. 「消去」ボタンをクリックします。
  4. 消去ダイアログで以下を設定します。
    • 名前: 任意で名前を入力します。
    • フォーマット:
      • exFAT: 4GBを超えるファイルを扱いたい場合や、32GBより大きな容量のストレージの場合。
      • MS-DOS (FAT): 4GBを超えるファイルを扱わず、容量が32GB以下のUSBメモリで、幅広いデバイス(古いOSやゲーム機など)との互換性を重視する場合。
    • 方式: 「GUIDパーティションマップ」を選択します(MBRでも多くの場合は動作しますが、GUIDが推奨)。
  5. 「消去」をクリックし、確認ダイアログで再度「消去」をクリックします。
  6. 完了を待ちます。

シナリオ7:Macのシステム全体を別のディスクにクローンする(復元機能)

現在のMacのシステムの状態をそのまま別のディスクにコピーし、万が一の場合にそのディスクから起動できるようにしたい場合、ディスクユーティリティの復元機能を使用できます(ただし、より信頼性の高い有料クローンソフトを使用するユーザーも多いです)。

注意: この操作は、Macの起動ディスク全体をコピーするため、通常起動時ではなくリカバリモードから行う必要があります。また、コピー先のディスクはコピー元と同じかそれ以上の容量が必要です。

  1. 重要なデータのバックアップを取ってください!
  2. コピー先の外付けHDD/SSDをMacに接続します。
  3. コピー先の外付けHDD/SSDを、コピー元と同じファイルシステム(通常はAPFS)とパーティション方式(GUIDパーティションマップ)で消去しておきます。
  4. Macをリカバリモードから起動します。
  5. macOSユーティリティ画面で「ディスクユーティリティ」を選択し、「続ける」をクリックします。
  6. ディスクユーティリティが起動したら、サイドバーでターゲット(コピー先)の外付けHDD/SSDのボリュームを選択します。
  7. 「復元」ボタンをクリックします。
  8. 復元ダイアログの「ソース」で、「ボリュームから復元」を選択し、コピー元となるMacの起動ディスクのボリューム(通常は「Macintosh HD」)を選択します。
  9. ターゲットが正しいコピー先のボリュームになっていることを確認します。
  10. 「復元」をクリックし、確認ダイアログで再度「消去」(ターゲットの内容が消去されるため)または「復元」をクリックします。
  11. 復元が完了するまで待ちます。システム全体のコピーなので、非常に時間がかかります。
  12. 完了したら、外付けHDD/SSDから起動できるか試してみてください(Optionキーを押しながらMacを起動し、起動ディスクの選択画面で外付けHDD/SSDを選択)。

シナリオ8:ブータブルUSBインストーラを作成する(ディスクイメージの復元)

macOSの新規インストールやクリーンインストール、他のMacのトラブルシューティングなどに使用できる起動可能なUSBインストーラを作成するには、macOSインストーラに含まれるディスクイメージをUSBメモリに復元します。ただし、Appleは公式にはcreateinstallmediaコマンドラインツールを使用することを推奨しており、ディスクユーティリティによる方法よりもコマンドラインの方が確実で推奨されます。ここではディスクユーティリティでの一般的な手順を説明しますが、うまくいかない場合はAppleの公式手順(createinstallmediaの使用)を参照してください。

  1. macOSのインストーラアプリケーションをApp Storeからダウンロードします(ダウンロードすると「アプリケーション」フォルダに入ります)。
  2. 16GB以上の容量のUSBメモリを用意し、Macに接続します。
  3. USBメモリをディスクユーティティで消去します。フォーマットは「Mac OS拡張 (ジャーナリング)」、方式は「GUIDパーティションマップ」を選択します。名前は任意で良いですが、後で識別しやすい名前にしておくと良いでしょう。
  4. ディスクユーティリティを起動し、サイドバーで消去したUSBメモリのボリュームを選択します。
  5. 「復元」ボタンをクリックします。
  6. 復元ダイアログの「ソース」で、「イメージから復元」を選択します。
  7. ファイル選択ダイアログが開くので、ダウンロードしたmacOSインストーラアプリケーションの中にあるディスクイメージファイルを選択します。このファイルは、インストーラアプリを右クリックし「パッケージの内容を表示」> Contents > SharedSupport フォルダ内にあるInstallESD.dmgという名前であることが多いですが、macOSのバージョンによっては場所や名前が異なる場合があります。あるいは、デスクトップなどにコピーしておくと選択しやすいです。
  8. ターゲットが正しいUSBメモリのボリュームになっていることを確認します。
  9. 「復元」をクリックし、確認ダイアログで「消去」(USBメモリの内容が消去されるため)をクリックします。
  10. 復元が完了するまで待ちます。
  11. 完了したら、そのUSBメモリからMacを起動できるか試してみてください(Optionキーを押しながらMacを起動)。

トラブルシューティング

ディスクユーティティを使用していて遭遇する可能性のある一般的な問題とその対処法です。

  • ディスクが認識されない(サイドバーに表示されない):

    • 物理的な接続を確認します。ケーブルがしっかり刺さっているか、別のポートで試す、別のケーブルで試す、別のMacに接続してみるなどを試します。
    • 外付けHDD/SSDの場合、電力不足の可能性があります。セルフパワー(ACアダプタ付き)のハブを使ってみる、または電力供給能力の高いUSBポートに接続してみます。
    • ディスク自体が物理的に故障している可能性があります。特にS.M.A.R.T.状況が「問題あり」になっている場合は、交換が必要です。
    • Macを再起動してみます。
    • リカバリモードからディスクユーティティを起動して認識されるか確認します。
  • ディスクは認識されるが、マウントできない、アクセスできない:

    • そのボリュームを選択してFirst Aidを実行します。ファイルシステムに論理的なエラーがある可能性があります。
    • 強制的にマウント解除されている場合があります。ディスクユーティリティでボリュームを選択し、「マウント」ボタンをクリックしてみます。
    • ファイルシステムがMacでサポートされていない形式(例: WindowsのNTFS形式)かもしれません。NTFS形式のボリュームは、通常Macからは読み込みはできますが書き込みができません。読み書きしたい場合は、Mac OS拡張、APFS、exFATなどに消去(フォーマット)し直す必要があります(データは消えます)。
    • ディスクに重篤なファイルシステムエラーや物理的な故障がある可能性があります。First Aidで修復できない場合は、データのバックアップを取り(可能な場合)、ディスクを消去し直すか、交換を検討します。
  • First Aidで修復できないエラーが発生する:

    • 通常起動時ではなく、リカバリモードから起動してFirst Aidを実行してみてください。システムが起動していない状態の方が、ディスクをより深くチェック・修復できる場合があります。
    • 複数回First Aidを実行してみます。
    • エラーメッセージの詳細を確認し、Appleのサポート記事などを検索してみます。
    • エラーが継続する場合は、ファイルシステムの損傷が激しいか、物理的な故障の可能性があります。データのバックアップを取り、ディスクを消去(フォーマット)し直すか、交換を検討してください。
  • 消去やパーティション作成ができない(ボタンがグレイアウトしている、エラーが発生する):

    • 対象のストレージが起動ディスクである場合、Macをリカバリモードから起動する必要があります。通常起動時では起動ディスクの根本的な変更はできません。
    • 消去やパーティション作成の対象として、ボリュームではなくデバイス(物理ディスク)を選択しているか確認します。特にパーティション作成はデバイスに対して行います。
    • 対象のストレージが使用中である可能性があります。そのストレージ内のファイルやアプリケーションを全て閉じてから再度試します。それでもダメならMacを再起動してみます。
    • 物理的な故障の可能性があります。S.M.A.R.T.状況を確認します。
    • ディスクが書き込み禁止になっているか確認します(外付けディスクの場合、物理的なスイッチがついていることもあります)。
  • 復元がうまくいかない:

    • ソースとターゲットが正しく選択されているか確認します。
    • ターゲットディスクの容量が、ソースディスクまたはディスクイメージの容量以上であるか確認します。
    • ターゲットディスクが正しくフォーマットされているか確認します(起動ディスクの復元やインストーラ作成の場合は、GUIDパーティションマップ、Mac OS拡張またはAPFS)。
    • ソースのディスクイメージファイルが破損していないか確認します。
    • ケーブルの接続を確認します。
    • Macを再起動し、可能であればリカバリモードから操作します。
  • 「com.apple.DiskManagement.disenter error 49218」などのエラーメッセージ:

    • これはマウントに関連する一般的なエラーコードの一つです。ディスクユーティリティでボリュームを選択し、一度マウント解除してから再度マウントを試みます。
    • First Aidを実行して、ファイルシステムに問題がないか確認・修復します。
    • Macを再起動します。
    • リカバリモードから起動してディスクユーティリティを試します。
    • それでも解決しない場合は、ディスクの消去(フォーマット)が必要になるか、物理的な故障の可能性があります。

ディスクユーティリティを使う上での注意点

ディスクユーティリティは非常に強力なツールですが、ストレージの根幹に関わる操作を行うため、使い方を誤ると深刻な結果を招く可能性があります。以下の点に十分注意して使用してください。

  1. 操作の前に必ずバックアップを取る: 消去、パーティション、復元などの操作は、データの消失を伴うか、そのリスクがあります。これらの操作を行う前には、必ずTime Machineなどで重要なデータの完全なバックアップを取っておきましょう。 万が一、操作に失敗しても、バックアップがあればデータを復元できます。
  2. 起動ディスクの操作はリカバリモードで行う必要がある場合が多い: macOSが起動している状態で、その起動ディスク(通常はMacintosh HDボリューム)のファイルシステムを修復したり、消去したり、パーティション構成を変更したりすることは、制限があるか、安全ではありません。これらの操作を行う場合は、Macをリカバリモード(macOS復旧)から起動し、システムが実行されていない状態でディスクユーティリティを使用してください。
  3. 誤操作はデータ損失に直結する: サイドバーで誤ったストレージを選択したまま「消去」ボタンなどをクリックしてしまうと、意図しないストレージのデータが全て消えてしまいます。操作の対象となるストレージの名前や種類(デバイス、ボリュームなど)を十分に確認してから実行してください。特に「消去」ボタンは、押す前に内容をよく確認し、最終確認ダイアログの警告を理解した上で実行することが重要です。
  4. 物理的な故障はディスクユーティリティでは修復できない: ディスクユーティリティはファイルシステムの論理的な問題を修復するツールです。ディスクそのものが物理的に破損している場合(異音がする、S.M.A.R.T.状況が問題ありと表示されるなど)は、ディスクユーティリティで修復することはできません。そのような場合は、データのサルベージを専門業者に依頼するか、ディスクを交換する必要があります。
  5. 安易なパーティション変更は避ける: 必要がないにも関わらず安易にパーティションを作成したり変更したりすると、ディスク管理が複雑になるだけでなく、データ消失のリスクも高まります。パーティション変更は、明確な目的(複数のOSインストールなど)がある場合のみ行うようにしましょう。

まとめ:ディスクユーティティを味方につける

この記事では、Macのディスクユーティティについて、その基本的な機能から具体的な使い方、よくあるシナリオ、そしてトラブルシューティングや注意点まで、幅広く解説しました。

ディスクユーティティは、Macのストレージを健全な状態に保ち、トラブルから守り、そして様々な用途に合わせて柔軟に活用するための強力なツールです。First Aidによる定期的なメンテナンス、新しいストレージの準備、不要なデータの安全な消去、そして必要に応じたパーティションの作成や復元など、その用途は多岐にわたります。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、各機能の目的と操作手順を理解し、特に「バックアップは必ず取る」「起動ディスクの操作はリカバリモードで」といった基本的な注意点を守っていれば、安心して使いこなせるようになります。

Macを長く快適に使い続けるために、ぜひこのディスクユーティティをあなたのMacメンテナンスの強力な味方として活用してください。そして、もしストレージに関する問題が発生した場合でも、この記事が落ち着いて対処するための助けとなれば幸いです。

ディスクユーティリティを正しく理解し、活用することで、あなたのMacライフはさらに快適で安心なものになるでしょう。

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