【初心者向け】ffmpegとAudacityの使い方を徹底解説!

はい、承知いたしました。FFmpegとAudacityの初心者向け徹底解説記事を約5000語で記述します。詳細な手順、概念説明、具体的な使用例を含めます。


【初心者向け】FFmpegとAudacityの使い方を徹底解説!動画・音声編集の強力な味方を手に入れよう

動画や音声の編集に興味はありますか? YouTubeへの動画投稿、ポッドキャストの制作、大切な思い出のビデオ編集、オーディオブックの作成など、様々なシーンで動画や音声の編集スキルは役立ちます。

プロフェッショナルな編集ソフトは高価なものが多いですが、実は世界中で使われている非常に強力で、しかも無料のツールがあるのをご存知でしょうか? それが「FFmpeg」と「Audacity」です。

「FFmpeg」は主に動画や音声の形式変換、結合、分割、抽出など、幅広いメディア処理をコマンドラインで行えるツールです。「Audacity」は高機能な音声編集・録音ソフトで、ノイズ除去や音量調整、エフェクト適用などを直感的な操作で行えます。

これら二つのツールを組み合わせることで、動画と音声に関する多くの編集作業を効率的に、そして無料で行うことができます。

しかし、特にFFmpegはコマンドラインツールであるため、「難しそう」「どうやって使うの?」と感じる初心者の方も多いかもしれません。

ご安心ください! この記事では、全くの初心者の方でもFFmpegとAudacityを使いこなせるようになるための、徹底的な解説を行います。それぞれのツールの基本概念から、具体的なインストール方法、よく使う機能の使い方まで、ステップバイステップで詳しく説明します。

この記事を読めば、あなたも動画・音声編集の強力な味方、FFmpegとAudacityを使いこなせるようになり、あなたのクリエイティブな活動の幅が大きく広がるはずです。

さあ、一緒にFFmpegとAudacityの世界へ飛び込みましょう!

この記事で学ぶこと

  • FFmpegとは何か、何ができるのか
  • FFmpegのインストール方法(Windows, macOS, Linux)
  • FFmpegの基本的な使い方とコマンド例
  • Audacityとは何か、何ができるのか
  • Audacityのインストール方法
  • Audacityの基本的な使い方と機能
  • FFmpegとAudacityを連携させた実用的なワークフロー例

Part 1: FFmpegを理解し、使ってみよう

FFmpegとは?なぜ初心者にもおすすめ?

FFmpeg(エフエフエムペグ)は、動画・音声ファイルを扱うための非常に強力なオープンソースプロジェクトです。その中核である同名のコマンドラインツール「ffmpeg」は、以下のような驚くべき能力を持っています。

  • 形式変換 (Transcoding): MP4をMP3に変換したり、MOVをMP4に変換したり、WAVをAACに変換したりといった、様々な動画・音声形式間の変換が可能です。
  • 多機能な処理 (Manipulation): 動画の解像度変更、フレームレート変更、ビットレート調整、音声トラックの抽出、動画トラックの抽出、複数の動画・音声の結合、一部の切り出し(トリミング)、字幕の埋め込みなど、数え切れないほどの処理ができます。
  • ストリーミング (Streaming): ネットワーク経由でのメディアの送受信にも対応しています。
  • 幅広い対応形式: 現在存在するほとんど全ての動画・音声コーデックやコンテナフォーマットに対応しています。

「コマンドライン」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本的なコマンドは非常にシンプルです。そして、一度使い方を覚えれば、GUIツールでは手間のかかる作業も、コマンド一つで自動化したり、複数のファイルを一括処理したりできるようになります。

初心者の方におすすめする理由は以下の通りです。

  • 無料・オープンソース: 誰でも無料で利用でき、機能制限もありません。
  • 高機能・高品質: プロフェッショナルな現場でも利用されるほど、性能が高く、変換品質も優れています。
  • 幅広い対応: ほとんど全ての形式に対応しているため、「あのファイルが開けない」「この形式に変換したい」といった問題に直面しにくくなります。
  • 自動化・効率化: 慣れれば、手作業よりもはるかに速く、大量のファイルを処理できます。

最初は基本的な変換や抽出から始めて、徐々にステップアップしていきましょう。

FFmpegの基本概念:コーデックとコンテナ

FFmpegを使う上で知っておきたい基本的な概念に「コーデック」と「コンテナ」があります。

  • コンテナ (Container Format): 動画や音声のデータを、付随する情報(字幕、メタデータなど)と一緒に一つのファイルにまとめる「箱」のようなものです。.mp4, .mkv, .avi, .mov, .mp3, .wav といった拡張子で示されることが多いです。コンテナはデータの「入れ物」であり、データそのものの形式ではありません。
  • コーデック (Codec): 動画や音声のデータを圧縮・解凍するための「符号化・復号化方式」です。データのサイズを小さくするために圧縮し、再生時に元のデータに戻すために解凍します。動画コーデックには H.264 (AVC), H.265 (HEVC), VP9 などがあり、音声コーデックには AAC, MP3, Opus, FLAC などがあります。

例えば、.mp4 ファイルはコンテナ形式がMP4ですが、その中にはH.264でエンコードされた動画データと、AACでエンコードされた音声データが入っている、というような構成になっています。

FFmpegを使う際には、「どのコンテナ形式で出力するか (.mp4, .mp3など)」だけでなく、「中の動画や音声をどのコーデックでエンコードするか (libx264, aacなど)」を指定することが重要になります。

FFmpegのインストール方法

FFmpegはコマンドラインツールなので、インストールして「PATH」を通すことで、ターミナルやコマンドプロンプトからどこでも実行できるようになります。OS別にインストール方法を説明します。

Windowsでのインストール

  1. ダウンロード: FFmpegの公式サイト (https://ffmpeg.org/download.html) にアクセスします。
  2. 「Get packages & executable files」の下にあるWindowsのアイコンをクリックします。
  3. 「Windows builds from gyan.dev」または「Windows builds from BtbN」のリンクを開くのが一般的です。どちらも信頼できるビルドを提供していますが、ここでは「gyan.dev」を例に進めます。
  4. gyan.devのページで、「release」または「full」バージョンのzipファイルをダウンロードします。「full」には様々なライブラリが含まれており、多くの形式に対応できるためおすすめです。例えば、「ffmpeg-git-full.7z」のようなファイル名です。(.7z 形式を開くには別途7-Zipなどの解凍ソフトが必要です。)
  5. ダウンロードしたファイルを解凍します。解凍したフォルダの中に bin というフォルダがあります。この bin フォルダの中に ffmpeg.exe, ffplay.exe, ffprobe.exe といった実行ファイルが入っています。
  6. フォルダの配置: 解凍したフォルダを、あなたが管理しやすい場所(例: C:\Program Files\ffmpegC:\Utilities\ffmpeg など)に移動または配置します。今回は例として C:\ffmpeg に配置し、その中の bin フォルダのパスが C:\ffmpeg\bin であるとします。
  7. PATHの設定: コマンドプロンプトやPowerShellから ffmpeg コマンドを実行できるようにするため、「環境変数」の「PATH」に C:\ffmpeg\bin を追加します。
    • Windowsの検索バーに「環境変数」と入力し、「システム環境変数の編集」を開きます。
    • 「システムのプロパティ」ウィンドウが開いたら、「詳細設定」タブの「環境変数」ボタンをクリックします。
    • 「環境変数」ウィンドウが開いたら、「ユーザー環境変数」または「システム環境変数」の中から「Path」を選択し、「編集」ボタンをクリックします。
    • 「環境変数名の編集」ウィンドウで、「新規」をクリックし、FFmpegの bin フォルダのパス(例: C:\ffmpeg\bin)を入力します。
    • 「OK」を閉じて、すべてのウィンドウを閉じます。
  8. 確認: 新しいコマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、ffmpeg -version と入力してEnterキーを押します。FFmpegのバージョン情報が表示されれば、インストール成功です。もし「’ffmpeg’ は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。」と表示される場合は、PATHの設定が間違っているか、コマンドプロンプトを再起動していない可能性があります。

macOSでのインストール

macOSでは、パッケージマネージャーであるHomebrewを使うのが最も簡単でおすすめです。

  1. Homebrewのインストール (まだの場合): ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。表示される指示に従ってインストールを完了させてください。
    bash
    /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
  2. FFmpegのインストール: Homebrewのインストールが完了したら、以下のコマンドをターミナルで実行します。
    bash
    brew install ffmpeg

    Homebrewが自動的にFFmpegと必要な依存関係をダウンロードしてインストールしてくれます。
  3. 確認: インストールが完了したら、ターミナルで ffmpeg -version と入力してEnterキーを押します。バージョン情報が表示されれば成功です。

Linuxでのインストール

Linuxの場合、各ディストリビューションのパッケージマネージャーを使って簡単にインストールできます。

  • Debian/Ubuntu:
    bash
    sudo apt update
    sudo apt install ffmpeg
  • Fedora:
    bash
    sudo dnf install ffmpeg
  • CentOS/RHEL: EPELリポジトリの追加が必要な場合があります。
    bash
    sudo yum install epel-release
    sudo yum localinstall --nogpgcheck https://download1.rpmfusion.org/free/el/rpmfusion-free-release-7.noarch.rpm https://download1.rpmfusion.org/nonfree/el/rpmfusion-nonfree-release-7.noarch.rpm
    sudo yum install ffmpeg ffmpeg-devel

    (バージョンによってコマンドやリポジトリが異なる場合があります。お使いの環境に合わせて検索してください。)

  • 確認: インストールが完了したら、ターミナルで ffmpeg -version と入力してEnterキーを押します。バージョン情報が表示されれば成功です。

FFmpegの基本的な使い方とコマンド例

FFmpegの基本的なコマンド構文は以下のようになります。

bash
ffmpeg [グローバルオプション] {[入力オプション] -i [入力ファイル]} ... {[出力オプション] [出力ファイル]} ...

  • ffmpeg: コマンド名です。
  • [グローバルオプション]: FFmpeg全体の動作に影響するオプション(例: -y 上書き確認をスキップ)。
  • [入力オプション]: 入力ファイルに対して適用されるオプション(例: -ss 開始位置)。
  • -i [入力ファイル]: 入力ファイルを指定します。複数のファイルを指定する場合は -i を繰り返します。
  • [出力オプション]: 出力ファイルに対して適用されるオプション(例: -c:v 動画コーデック指定)。
  • [出力ファイル]: 出力ファイル名を指定します。

最初は難しく考えず、まずは具体的な例を見ながら使ってみましょう。

例1: 動画ファイル (.mp4) を音声ファイル (.mp3) に変換する

動画ファイルから音声だけを抽出したい場合に使います。

bash
ffmpeg -i input.mp4 output.mp3

  • -i input.mp4: 入力ファイルとして input.mp4 を指定します。
  • output.mp3: 出力ファイル名を output.mp3 と指定します。拡張子を .mp3 にするだけで、FFmpegは自動的に音声をMP3形式でエンコードしようとします。

このコマンドを実行すると、input.mp4 の音声トラックがMP3形式に変換され、output.mp3 というファイルが作成されます。動画部分は無視されます。

例2: 音声ファイル (.wav) を別の形式 (.aac) に変換する

音声形式を変換したい場合です。

bash
ffmpeg -i input.wav output.aac

  • -i input.wav: 入力ファイルとして input.wav を指定します。
  • output.aac: 出力ファイル名を output.aac と指定します。FFmpegは音声をAAC形式でエンコードします。

例3: 動画ファイル (.mov) を別のコンテナ形式 (.mp4) に変換する

コンテナ形式だけを変えたい場合です。必要に応じてコーデックも変換します。

bash
ffmpeg -i input.mov -c:v libx264 -c:a aac output.mp4

  • -i input.mov: 入力ファイルとして input.mov を指定します。
  • -c:v libx264: 動画コーデックとして H.264 (FFmpegでは libx264) を指定します。
  • -c:a aac: 音声コーデックとして AAC を指定します。
  • output.mp4: 出力ファイル名を output.mp4 と指定します。

このコマンドは、input.mov の動画と音声をそれぞれH.264とAACに再エンコードし、MP4コンテナに格納します。コーデックを指定しない場合、FFmpegはデフォルトのコーデックを使用します。元のコーデックを維持したい場合は -c copy を使います。

例4: 動画・音声の再エンコードをせず、コンテナ形式だけを変更する

エンコード・デコードの処理をスキップするため、変換が非常に高速で画質・音質の劣化もありません。ただし、元のコーデックが出力コンテナ形式に対応している必要があります。

bash
ffmpeg -i input.mkv -c copy output.mp4

  • -c copy: 動画 (-c:v copy) と音声 (-c:a copy) の両方をコピーします。

これで、MKVコンテナに入っていた動画・音声データを、そのままMP4コンテナに移動させることができます。対応していない組み合わせ(例: MP4コンテナにVC-1ビデオを入れる)の場合はエラーになります。

例5: 動画から音声トラックだけを抽出する (再エンコードなし)

動画ファイルから元の品質そのままに音声だけを取り出したい場合に便利です。

bash
ffmpeg -i input.mp4 -vn -acodec copy output.aac

  • -vn: 動画を処理しない (No Video)。
  • -acodec copy: 音声コーデックをコピーする (再エンコードしない)。
  • output.aac: 出力ファイル名。元の音声がAACなら .aac、MP3なら .mp3 のように、元の形式に合わせると良いでしょう。

例6: 動画から動画トラックだけを抽出する (再エンコードなし)

音声を除去した動画ファイルを作成したい場合に。

bash
ffmpeg -i input.mp4 -an -vcodec copy output_video_only.mp4

  • -an: 音声を処理しない (No Audio)。
  • -vcodec copy: 動画コーデックをコピーする (再エンコードしない)。
  • output_video_only.mp4: 出力ファイル名。

例7: 動画の一部を切り出す (トリミング)

動画の指定した時間範囲だけを切り出したい場合に。

bash
ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:01:30 -t 00:00:10 -c copy output_cut.mp4

  • -i input.mp4: 入力ファイル。
  • -ss 00:01:30: 開始位置を指定します。時:分:秒 または 秒数 で指定できます。この例では1分30秒から開始。
  • -t 00:00:10: 継続時間を指定します。開始位置から10秒間を切り出します。終了時刻を指定する場合は -to オプションを使います。
  • -c copy: 再エンコードせずコピーします。これが最も高速で劣化がありません。ただし、キーフレームの位置によっては指定した時間ぴったりにならないことがあります。正確に切り出したい場合は -c copy を付けずに再エンコードさせますが、時間がかかり品質も劣化する可能性があります。初心者には -c copy がおすすめです。

-ss オプションは -i の前に置くこともできます (ffmpeg -ss 00:01:30 -i input.mp4 ...)。この場合、入力ファイルを指定位置までシークするため処理開始が高速ですが、キーフレームからの開始となるため不正確になることがあります。-i の後に置く場合は、入力全体を読み込んでから指定位置でカットするため正確ですが、処理開始まで時間がかかります。用途に応じて使い分けますが、まずは -i の後に置く方法で試すのが良いでしょう。

例8: 画像ファイルから簡単な動画を作成する

静止画を動画にしたい場合に。スライドショーのようなものを作成できます。

bash
ffmpeg -loop 1 -i input_image.png -c:v libx264 -t 10 -pix_fmt yuv420p output_video.mp4

  • -loop 1: 画像をループして入力を供給します。
  • -i input_image.png: 入力画像ファイル。複数の画像から連番画像として入力することも可能ですが、ここでは単一画像をループする例です。
  • -c:v libx264: 動画コーデックにH.264を指定。
  • -t 10: 動画の長さを10秒に指定。
  • -pix_fmt yuv420p: 一部のプレイヤーとの互換性を高めるためのオプションです。
  • output_video.mp4: 出力ファイル名。

例9: 動画と音声ファイルを結合する (多重化/Muxing)

動画ファイルと、別途編集した音声ファイルを結合したい場合に。

bash
ffmpeg -i input_video.mp4 -i input_audio.aac -c:v copy -c:a aac -map 0:v:0 -map 1:a:0 output_merged.mp4

  • -i input_video.mp4: 最初の入力ファイル(動画)。
  • -i input_audio.aac: 二番目の入力ファイル(音声)。
  • -c:v copy: 動画ストリームは再エンコードせずコピー。
  • -c:a aac: 音声ストリームはAACに再エンコード。もし元の音声がAACで再エンコード不要なら -c:a copy でもOKです。
  • -map 0:v:0: 最初の入力ファイル (0) の最初の動画ストリーム (v:0) を出力にマップします。
  • -map 1:a:0: 二番目の入力ファイル (1) の最初の音声ストリーム (a:0) を出力にマップします。
  • output_merged.mp4: 出力ファイル名。

このコマンドは、FFmpegで動画から音声を抽出し(例5)、Audacityなどでその音声を編集し、その編集済み音声(input_audio.aac と仮定)を元の動画(input_video.mp4)に結合する、といったワークフローで非常に役立ちます。

FFmpegを使う上でのヒントと注意点

  • 正確なコマンド入力: コマンドラインは一文字でも間違えるとエラーになります。ファイル名やオプション、パスなどを正確に入力する必要があります。
  • スペースを含むファイル名: ファイル名やパスにスペースが含まれる場合は、ダブルクォーテーション (") で囲む必要があります。例: ffmpeg -i "My Video.mp4" output.mp3
  • 上書きの確認: デフォルトでは、出力ファイルが既に存在する場合、上書きするかどうか確認を求められます。常に上書きしたい場合は、グローバルオプションとしてコマンドの最初に -y を付けます。例: ffmpeg -y -i input.mp4 output.mp3
  • 進行状況の確認: FFmpegは処理中に進行状況(時間、フレーム数、速度など)をターミナルに表示します。これを見て処理が進んでいるか確認できます。
  • エラーメッセージ: エラーが発生した場合、FFmpegは通常、具体的なエラーメッセージを表示します。メッセージをよく読んで、何が問題なのか(ファイルが見つからない、コーデックが不明、構文エラーなど)を把握することが解決への近道です。エラーメッセージが英語でも、DeepLなどの翻訳ツールを使えば内容を理解できます。
  • 公式ドキュメント: FFmpegは非常に多くのオプションと機能を持っています。より高度な使い方を知りたい場合は、公式ドキュメント (https://ffmpeg.org/documentation.html) を参照するのが一番ですが、初心者には少し難解かもしれません。まずは基本的なコマンドを覚え、必要に応じて特定の機能(例: FFmpeg filter)について検索するのがおすすめです。
  • チートシートやオンラインツール: FFmpegのよく使うコマンドをまとめたチートシートや、GUIでFFmpegコマンドを生成してくれるオンラインツールなども存在します。これらを活用するのも良い方法です。

FFmpegは最初はとっつきにくいかもしれませんが、一度基本的なコマンドを覚えれば、メディアファイルの処理が格段に楽になります。まずは簡単な変換や抽出から試してみて、徐々に慣れていきましょう。

Part 2: Audacityを理解し、使ってみよう

Audacityとは?なぜ初心者にもおすすめ?

Audacity(オーダシティ)は、無料で使用できる高機能なオープンソースの音声編集・録音ソフトウェアです。FFmpegがコマンドラインで低レベルなメディア処理を行うのに対し、AudacityはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を備えており、視覚的かつ直感的に音声ファイルを編集できます。

Audacityでできることの一例です。

  • 音声録音: マイクやライン入力からの音声を録音できます。
  • 音声編集: カット、コピー、ペースト、削除、トリミングなどの基本的な編集が容易に行えます。
  • マルチトラック編集: 複数の音声トラックを重ねてミキシングできます。BGMとナレーションを組み合わせるなどが可能です。
  • エフェクト: ノイズ除去、イコライザー、音量調整(ノーマライズ、コンプレッサー)、リバーブ、エコーなど、様々な音声エフェクトを適用できます。
  • 形式変換・書き出し: WAV, MP3, FLAC, Ogg Vorbisなど、様々な形式で音声を書き出すことができます。
  • 波形表示: 音声を波形として視覚的に表示し、編集箇所を正確に指定できます。

初心者の方におすすめする理由は以下の通りです。

  • 無料・オープンソース: FFmpegと同様に、無料で全ての機能を利用できます。
  • 直感的な操作: GUIなので、マウス操作で簡単に編集ができます。
  • 充実した機能: 無料とは思えないほど、音声編集に必要な機能が豊富に揃っています。
  • 豊富な情報: 世界中で利用されているため、使い方に関する情報やチュートリアルがインターネット上に多数存在します。

Audacityのインストール方法

Audacityのインストールは、一般的なソフトウェアと同様に簡単です。

  1. ダウンロード: Audacityの公式サイト (https://www.audacityteam.org/download/) にアクセスします。
  2. お使いのOS (Windows, macOS, GNU/Linux) に合ったダウンロードリンクをクリックします。
  3. インストーラーまたはディスクイメージファイルがダウンロードされるので、実行します。
  4. インストーラーの指示に従って進めます。インストール先のフォルダや、デスクトップショートカットを作成するかなどを選択できますが、通常はデフォルト設定のままで問題ありません。
  5. インストールが完了したら、Audacityを起動します。

MP3形式での書き出しについて:
以前はAudacityでMP3形式で書き出すために、別途LAMEエンコーダーライブラリをダウンロードして設定する必要がありました。しかし、最近のAudacityのバージョンでは、インストール時にLAMEエンコーダーが同梱されるか、初めてMP3書き出しを行う際に自動的にダウンロード・設定されるようになっています。もしMP3で書き出せない場合は、公式サイトのFAQなどを参照してLAMEエンコーダーの設定を確認してください。FFmpegライブラリも同様に、より多くの形式に対応するために別途インストールを求められる場合があります。

Audacityのインターフェース概要

Audacityを起動すると、以下のようなウィンドウが表示されます。主要な部分を把握しましょう。

  1. メニューバー: ファイル操作(ファイル)、編集(編集)、表示(表示)、トラック操作(トラック)、生成(生成)、エフェクト(エフェクト)、解析(解析)、ツール(ツール)、ヘルプ(ヘルプ)などのメニューが集まっています。
  2. トランスポートツールバー: 再生、録音、停止、一時停止、始めへ移動、終わりへ移動といった基本的な再生・録音操作を行います。キーボードのスペースバーで再生/停止、Rキーで録音などができます。
  3. ツールバー: 編集に使用するツールを選択します。
    • 選択ツール (I): 音声の一部を選択します。最もよく使います。
    • エンベロープツール (F2): トラック全体の音量変化(フェードイン/アウトなど)を視覚的に編集できます。
    • 描画ツール (F3): 波形を拡大して、個々のサンプルレベルで編集(ノイズの除去など)ができます。
    • ズームツール (F4): 波形表示の拡大・縮小を行います。
    • タイムシフトツール (F5): トラック全体やクリップ(トラック内の音声ブロック)を時間軸上で左右に移動させます。
    • マルチツールモード (F6): 上記のツールを組み合わせて使用できるモードです。
  4. ミキサーツールバー: 各トラックの再生音量と左右のパン(定位)を調整します。
  5. 編集ツールバー: 切り取り、コピー、ペースト、トリミング、無音化などの基本的な編集操作を行います。アンドゥ/リドゥ(元に戻す/やり直し)ボタンもあります。
  6. メーターツールバー: 再生時と録音時の音量レベルを表示します。録音前に適切な音量に調整するために重要です。
  7. トラックコントロールパネル: 各音声トラックの左側に表示されます。トラック名、ミュート(M)、ソロ(S)ボタン、ゲイン(音量)、パン(左右の定位)などの設定があります。波形表示の高さや表示形式(波形、スペクトログラムなど)もここで設定できます。
  8. 波形表示領域: 音声が波形として表示されるメインの領域です。時間軸(秒数)が横軸に、音量レベルが縦軸に表示されます。複数のトラックがある場合は、上下に並んで表示されます。
  9. タイムライン: 波形表示領域の上部に表示される時間軸です。再生位置などを確認できます。
  10. 選択領域/音声位置表示: ウィンドウ下部に、現在の再生位置、選択範囲の開始・終了・長さなどが表示されます。

Audacityの基本的な使い方:実践編

それでは、Audacityを使った基本的な音声編集の手順を見ていきましょう。

1. 音声ファイルのインポート

編集したい音声ファイルをAudacityに読み込みます。

  • メニューバーから「ファイル(File)」>「インポート(Import)」>「オーディオ(Audio)…」を選択します。
  • ファイル選択ダイアログが開くので、編集したいファイルを選択して「開く」をクリックします。
  • 選択した音声ファイルが新しいトラックとして波形表示領域に表示されます。

複数のファイルをインポートすると、それぞれが別のトラックとして追加されます。

2. 音声の再生とナビゲーション

編集箇所を確認するために音声を再生します。

  • 再生: トランスポートツールバーの▶ボタンをクリックするか、キーボードのスペースバーを押します。
  • 停止: ■ボタンをクリックするか、スペースバーを再度押します。
  • 一時停止: ❚❚ボタンをクリックします。
  • 始めへ移動: |◀◀ ボタンをクリックします。
  • 終わりへ移動: ▶▶| ボタンをクリックします。
  • 特定の箇所から再生: 波形表示領域のタイムライン上でクリックすると、再生カーソルがその位置に移動します。スペースバーを押すとそこから再生が始まります。
  • ズーム: 虫眼鏡アイコンのズームツールでクリックするか、Ctrl(MacはCmd)を押しながらマウスホイールを上下すると、波形表示の拡大縮小ができます。メニューの「表示(View)」>「ズーム(Zoom)」からも操作できます。

3. 音声の一部分を選択する

編集したい範囲を選択します。

  • ツールバーから「選択ツール (I)」が選択されていることを確認します。
  • 波形表示領域で、選択したい範囲の開始位置をマウスクリックし、ドラッグして終了位置まで移動してクリックを離します。選択された範囲が反転表示されます。
  • 選択範囲の開始・終了・長さはウィンドウ下部の表示で確認できます。

4. 基本的な編集操作 (カット、コピー、ペースト、削除)

選択した範囲に対して基本的な編集を行います。

  • 削除 (Delete): 選択範囲をキーボードのDeleteキーで削除します。または編集ツールバーのはさみアイコンをクリックします。
  • 切り取り (Cut): 選択範囲を編集ツールバーのはさみアイコンをクリックして切り取り、クリップボードに保存します。
  • コピー (Copy): 選択範囲を編集ツールバーの二枚の書類アイコンをクリックしてクリップボードに保存します。
  • ペースト (Paste): 編集ツールバーのクリップボードアイコンをクリックすると、再生カーソルがある位置にクリップボードの内容が貼り付けられます。
  • トリミング (Trim): 選択した範囲だけを残して、それ以外の部分を削除します。編集ツールバーの「選択範囲外を切り取る」ボタン(はさみアイコンの右隣)をクリックします。
  • 無音化 (Silence): 選択した範囲を無音にします。編集ツールバーの「選択範囲を無音化」ボタン(左向き矢印に横棒)をクリックします。

これらの操作は、「編集(Edit)」メニューからも行えます。編集を間違えた場合は、「編集(Edit)」>「元に戻す(Undo)」で直前の操作を取り消せます。

5. 音声エフェクトの適用

Audacityの強力な機能の一つが、様々な音声エフェクトです。音質を改善したり、特別な効果を加えたりできます。「エフェクト(Effect)」メニューから適用できます。

  • エフェクトの適用手順:
    1. エフェクトを適用したい音声の範囲を選択ツールで選択します。トラック全体に適用したい場合は、トラックコントロールパネルのトラック名部分をクリックしてトラック全体を選択します。
    2. メニューバーから「エフェクト(Effect)」を選び、適用したいエフェクト名をクリックします。
    3. エフェクトの設定ダイアログが表示されます。様々なパラメータを調整できます。
    4. 多くのエフェクトダイアログには「プレビュー(Preview)」ボタンがあります。クリックすると選択範囲の一部にエフェクトが適用された音が聴けるので、設定を調整しながら最適な効果を探せます。
    5. 設定が終わったら「OK」をクリックすると、選択範囲にエフェクトが適用されます。

いくつか代表的なエフェクトを紹介します。

  • ノーマライズ (Normalize): 音声のピーク音量を指定したレベルに揃え、全体の音量を調整します。音源によって音量がバラバラな場合に、均一な音量にしたいときによく使われます。
  • ノイズの除去と修復 (Noise Reduction and Repair): 背景のノイズ(サーっという音、ブーンというハムノイズなど)を軽減します。
    1. まず、音声ファイルの中からノイズだけが含まれている部分(声などが入っていない無音部分)を選択ツールで選択します。数秒程度の長さがあれば十分です。
    2. 「エフェクト(Effect)」>「ノイズの除去と修復(Noise Reduction and Repair)」>「ノイズ除去(Noise Reduction)…」を選択します。
    3. ダイアログが表示されたら、「ノイズプロファイルの取得(Get Noise Profile)」ボタンをクリックします。これでAudacityは選択した範囲のノイズの特性を学習します。
    4. ダイアログは一度閉じ、今度はノイズを除去したい範囲全体を選択します。
    5. 再度「エフェクト(Effect)」>「ノイズの除去と修復(Noise Reduction and Repair)」>「ノイズ除去(Noise Reduction)…」を開きます。
    6. 今度は下のセクション(ステップ2)で、ノイズ除去の強度などを調整します。通常はデフォルト設定から始め、プレビューで確認しながら調整します。設定ができたら「OK」をクリックします。
      ノイズ除去は強力な処理なので、かけすぎると不自然な音(機械的な音)になることがあります。控えめに適用するか、複数回に分けて適用する方が自然な結果になることが多いです。
  • イコライザー (Equalization): 音声の特定の周波数帯域の音量レベルを調整します。声の聞き取りやすさを向上させたり、低音を強調したり、特定の不要な周波数を取り除いたりするのに使います。
  • フェードイン / フェードアウト (Fade In / Fade Out): 選択範囲の最初を徐々に大きく、または最後を徐々に小さくします。曲の始まりや終わりに自然な効果を加えたい場合に。
  • コンプレッサー (Compressor): 音量の大きい部分を抑え、小さい部分を持ち上げることで、音量全体のバラつきを減らします。ナレーションや歌声など、音量の変動が大きい場合に使うと、聞き取りやすくなります。

他にもたくさんのエフェクトがありますので、少しずつ試してみてください。

6. 複数のトラックを扱う (ミキシング)

Audacityは複数のオーディオトラックを扱えます。BGMとナレーションを重ねるなど、複雑な音声構成を作成できます。

  • 新しいトラックを追加: メニューから「トラック(Tracks)」>「新規追加(Add New)」>「モノラルトラック」または「ステレオトラック」を選択します。空の新しいトラックが追加されます。
  • 別の音声をインポート: 新しいトラックに別の音声ファイルを追加するには、前述のインポート手順を行います。ファイルごとに新しいトラックとして追加されます。
  • トラックの移動: タイムシフトツール (F5) を選択し、波形表示領域のトラック全体またはクリップ部分をドラッグすると、時間軸上で音声を移動できます。
  • 音量・定位の調整: 各トラックの左側にあるトラックコントロールパネルで、スライダーを使ってそのトラック全体のゲイン(音量)やパン(左右の定位)を調整できます。
  • ミュート/ソロ: トラックコントロールパネルの「ミュート(M)」ボタンをクリックすると、そのトラックだけが再生されなくなります。「ソロ(S)」ボタンをクリックすると、そのトラックだけが再生され、他のトラックはミュートされます。
  • ミキシング: 複数のトラックを配置し、音量や定位を調整して再生すると、全てのトラックが同時に再生されます。この状態がミキシングされた音になります。

7. 音声ファイルの書き出し (エクスポート)

編集が終わった音声を一つのファイルとして保存するには、「エクスポート(Export)」を行います。Audacity形式(.aup)で「プロジェクトの保存」をしただけでは、他のソフトで開ける一般的な音声ファイルにはなりません。

  • メニューバーから「ファイル(File)」>「エクスポート(Export)」を選択し、書き出したい形式を選びます(例: 「Export as MP3…」、「Export as WAV…」)。
  • ファイル保存ダイアログが表示されます。保存場所、ファイル名、形式、音質(MP3の場合はビットレートなど)を設定します。
  • 「保存」をクリックします。
  • メタデータ編集ダイアログが表示されることがあります。アーティスト名や曲名などを入力できます。不要なら空のまま「OK」をクリックします。
  • 書き出し処理が開始され、指定した形式の音声ファイルが作成されます。

よく使う書き出し形式:

  • WAV: 高音質で劣化がない非圧縮形式です。ファイルサイズは大きくなりますが、音質の劣化を避けたい場合や、他の編集ソフトでさらに編集する場合におすすめです。
  • MP3: 圧縮形式で、ファイルサイズを小さくできます。ウェブ配布や音楽プレイヤーでの再生など、幅広い用途で使われますが、圧縮により音質はわずかに劣化します。ビットレートを高くするほど音質は良くなりますが、ファイルサイズも大きくなります。通常は192kbpsや320kbpsあたりがよく使われます。
  • FLAC: 可逆圧縮形式です。WAVよりファイルサイズは小さいですが、WAVと同じ音質を保てます。高音質を保ちたいがWAVほど大きくしたくない場合に使われます。

プロジェクトの保存とエクスポートの違い

  • プロジェクトの保存 (Save Project): 編集中の状態(トラック構成、波形データ、アンドゥ履歴など)をAudacity独自の .aup ファイル(とそれに付随するデータフォルダ)として保存します。これはAudacityで再び開いて編集を再開するためのものです。他の音声プレイヤーや編集ソフトでは開けません。
  • エクスポート (Export): 編集結果をWAVやMP3などの標準的な音声ファイル形式で出力します。これにより、他のプレイヤーやソフトで再生・利用できるファイルが作成されます。一度エクスポートすると、後からAudacityで元の編集状態に戻って微調整するのは困難です(プロジェクトを保存していれば可能)。

編集作業中はこまめにプロジェクトを保存し、編集が完了したら最後にエクスポートするという流れになります。

Audacityを使う上でのヒントと注意点

  • こまめな保存: Audacityは安定していますが、予期せぬ終了に備えてプロジェクトをこまめに保存しましょう。
  • バックアップ: 大切な元の音声ファイルは、編集前に必ずバックアップを取っておきましょう。
  • エフェクトは慎重に: 特にノイズ除去やコンプレッサーのような強いエフェクトは、かけすぎると不自然な音になります。プレビュー機能を活用し、効果を注意深く確認しながら適用しましょう。元に戻すことも忘れずに。
  • ショートカットキー: Audacityにはたくさんの便利なショートカットキーがあります(例: スペースバーで再生/停止、Ctrl+Cでコピー、Ctrl+Vでペースト、Ctrl+Zで元に戻す)。よく使う操作のショートカットを覚えると作業効率が大幅にアップします。メニューの横にショートカットが表示されているので確認してみてください。
  • ASIOドライバー: Windows環境で低遅延な録音・再生を行いたい場合、オーディオインターフェースなどがASIOドライバーに対応していれば、Audacityの設定でASIOドライバーを選択することでパフォーマンスが向上することがあります。ただし、ASIOドライバーの利用にはAudacityの特別なビルドが必要な場合があります。通常利用ではMMEやWindows DirectSoundで問題ありません。
  • 公式マニュアル: Audacityには非常に詳細な公式マニュアル (https://manual.audacityteam.org/) があります。困ったときや高度な機能を知りたいときに役立ちます。

Audacityを使えば、面倒な音声編集作業を視覚的に楽しく行うことができます。まずは基本的なカットや貼り付け、音量調整から始めてみましょう。

Part 3: FFmpegとAudacityを連携させたワークフロー例

FFmpegとAudacityは、それぞれ得意なことが異なります。FFmpegはファイル形式変換や抽出、結合といった「コンテナ」や「ストリーム」レベルの処理に強く、自動化やバッチ処理が得意です。一方、Audacityは音声の「波形」レベルでの詳細な編集、ノイズ除去、エフェクト適用、ミキシングといった作業に特化しています。

これら二つを組み合わせることで、より高度な動画・音声編集が可能になります。典型的な連携ワークフロー例を紹介します。

ワークフロー例: 動画から音声を抽出し、Audacityで編集し、元の動画に戻す

これは、動画に付いている音声をBGMだけに変えたい、ナレーションを録音し直して差し替えたい、元の動画の音声をノイズ除去して品質を向上させたい、といった場合に非常に役立つワークフローです。

  1. FFmpegで動画から音声トラックを抽出する:

    • 目的の動画ファイル(例: original_video.mp4)から、音声トラックを抽出します。再エンコードせずにコピーするのが品質劣化がなく高速です。
    • 元の音声形式に合わせて出力形式を選びます。MP4の音声は大抵AACですが、WAVなどAudacityで扱いやすい形式に変換することも可能です。ここではAACとして抽出する例を示します。
      bash
      ffmpeg -i original_video.mp4 -vn -acodec copy extracted_audio.aac
    • これで、extracted_audio.aac という音声ファイルが作成されます。もし元の音声がAAC以外(例: MP3, AC3など)であれば、extracted_audio.mp3extracted_audio.ac3 のように拡張子を合わせます。Audacityでの編集を考慮して、WAV形式に変換して抽出する方が安全な場合もあります。
      bash
      ffmpeg -i original_video.mp4 -vn -acodec pcm_s16le -ar 44100 -ac 2 extracted_audio.wav
    • -acodec pcm_s16le: リニアPCM(非圧縮)16bit Little Endian形式に変換(WAVの一般的な中身)。
    • -ar 44100: サンプリングレートを44.1kHzに指定。
    • -ac 2: チャンネル数を2(ステレオ)に指定。
    • 抽出した音声ファイル(extracted_audio.aac または extracted_audio.wav)を次のステップで使用します。
  2. Audacityで抽出した音声を編集する:

    • Audacityを起動し、「ファイル」>「インポート」>「オーディオ…」で抽出した音声ファイル(extracted_audio.aac または extracted_audio.wav)を読み込みます。
    • 必要に応じて以下の作業を行います。
      • 不要な部分のカットや無音化。
      • ノイズ除去。
      • 音量レベルの調整(ノーマライズ、コンプレッサーなど)。
      • イコライザーでの音質調整。
      • BGMや効果音の追加(複数のトラックを使う)。
      • ナレーションの録音・追加。
    • 編集が完了したら、一つの音声ファイルとして書き出します。「ファイル」>「エクスポート」から、動画に戻す際にFFmpegが扱いやすい形式(例: WAV, AAC, MP3など)で書き出します。元の形式と同じにすると、再エンコードの手間が省ける場合がありますが、Audacityで編集した結果を確実に反映させるためには、再エンコードを前提とした形式(WAVや高品質なAAC/MP3)で書き出すのが一般的です。ここでは編集後の音声を edited_audio.aac として書き出したと仮定します。
  3. FFmpegで元の動画と編集済み音声を結合する:

    • FFmpegを使って、元の動画ファイル(音声トラックは不要)と、Audacityで編集・書き出した音声ファイル(edited_audio.aac)を結合します。
    • 元の動画から音声トラックを取り除く必要はありません。-map オプションを使うことで、どの入力ファイルのどのストリームを使用するかを正確に指定できます。
      bash
      ffmpeg -i original_video.mp4 -i edited_audio.aac -c:v copy -c:a aac -map 0:v:0 -map 1:a:0 final_video.mp4
    • -i original_video.mp4: 最初の入力として元の動画。
    • -i edited_audio.aac: 二番目の入力として編集済み音声。
    • -c:v copy: 元の動画ストリームは再エンコードせずコピー。これにより画質劣化を防ぎ、処理を高速化します。
    • -c:a aac: 編集済み音声ストリームはAACに再エンコード。AudacityからWAVで書き出した場合でも、ここでAACに変換してMP4コンテナに入れます。もしAudacityからAACで書き出していて、そのままコピーしたい場合は -c:a copy とすることも可能ですが、Audacityでの編集内容によっては再エンコードした方が良い結果になることもあります。
    • -map 0:v:0: 最初の入力(0番目)の最初の動画ストリーム(v:0)を出力に含めます。
    • -map 1:a:0: 二番目の入力(1番目)の最初の音声ストリーム(a:0)を出力に含めます。
    • final_video.mp4: 完成した動画ファイル名。

この一連のワークフローにより、動画の音声部分だけを高品質に編集し、元の動画と組み合わせた新しい動画ファイルを作成できます。

まとめ:FFmpegとAudacityで広がる可能性

この記事では、無料でありながら非常に強力なメディア処理ツールであるFFmpegと、高機能な音声編集ソフトであるAudacityの使い方を、初心者向けに徹底解説しました。

  • FFmpegはコマンドラインで動作し、形式変換や抽出、結合など、幅広いメディアファイルの処理を高速かつ柔軟に行えます。最初はコマンドに慣れるまで少し戸惑うかもしれませんが、基本的な構文とよく使うオプションを覚えれば、その強力さを実感できるはずです。
  • Audacityは直感的なGUI操作で、音声の録音、編集、ミキシング、エフェクト適用など、専門的な音声編集作業を行うことができます。ノイズ除去や音質改善など、音声のクオリティを向上させるのに非常に役立ちます。

これら二つのツールを連携させることで、単独では難しかったり時間がかかったりする作業も効率的にこなすことができます。動画の音声だけを抽出して編集し、再び動画に戻すというワークフローは、その代表的な例です。

この記事で紹介したのは、それぞれのツールの機能のほんの一部に過ぎません。FFmpegには動画フィルター、字幕処理、ストリーミング機能など、AudacityにはVSTプラグインの利用、スペクトログラム表示、解析ツールなど、さらに多くの高度な機能があります。

しかし、まずはこの記事で解説した基本的な使い方をしっかりとマスターすることから始めましょう。簡単なファイル変換や音声のカット・貼り付けなど、実際に手を動かして操作に慣れることが重要です。

無料でありながらプロレベルの機能を持つFFmpegとAudacityは、あなたの動画・音声編集の強力な味方になってくれるはずです。ぜひこれらのツールを活用して、あなたのクリエイティブなアイデアを実現させてください。

Happy Editing!


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