MacでFileZillaを使おう!初心者向け導入・使い方ガイド

はい、承知いたしました。MacでFileZillaを使う初心者向け導入・使い方ガイドとして、約5000語の詳細な記事を作成します。


MacでFileZillaを使おう!初心者向け導入・使い方ガイド

Webサイトの運営やサーバー管理、あるいは単に大容量のファイルをやり取りする際に、「FTP」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。FTP(File Transfer Protocol)は、文字通りファイルを転送するための通信規約(プロトコル)です。このFTPを使って、自分のMacにあるファイルをインターネット上のサーバーにアップロードしたり、逆にサーバーにあるファイルをMacにダウンロードしたりするためのソフトウェアを「FTPクライアント」と呼びます。

Macユーザーにとって、FTPクライアントの選択肢はいくつかありますが、その中でも世界中で広く使われ、無料で高機能なのが「FileZilla」です。Windows、Mac、Linuxと様々なOSに対応しており、多くのユーザーが利用しているため、情報も豊富に見つかります。

この記事は、Macを使っていて、これから初めてFileZillaを使ってみようと考えている初心者の方を対象としています。FileZillaの基本的な仕組みから、Macへのインストール方法、そしてサーバーへの接続やファイルのアップロード・ダウンロードといった基本的な使い方、さらには知っておくと便利な応用機能や、安全に利用するためのセキュリティ知識まで、FileZillaを使いこなすために必要な情報を網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、あなたは以下のことができるようになります。

  • FileZillaがなぜ必要なのか理解できる。
  • MacにFileZillaを安全にインストールできる。
  • FileZillaを使ってサーバーに接続し、ファイルを転送できる。
  • FileZillaの基本的な操作方法を習得できる。
  • より安全なファイル転送方法を知り、設定できる。
  • FileZillaを使う上での基本的なトラブルに対処できる。

さあ、MacでFileZillaを使って、ファイル転送の世界に足を踏み入れましょう!

1. FileZillaの基本を知ろう

FileZillaを使う前に、いくつかの基本的な概念を理解しておくと、その後の操作がスムーズになります。

1.1. FTP、SFTP、FTPSとは?プロトコルの違い

FileZillaは単なる「FTPクライアント」として紹介されることが多いですが、実際にはFTPだけでなく、SFTPやFTPSといった異なるプロトコルにも対応しています。これらの違いを理解することは、特にセキュリティの観点から非常に重要です。

  • FTP (File Transfer Protocol):

    • 最も古くから使われているファイル転送プロトコルです。
    • 大きな特徴は、データや接続情報(ユーザー名やパスワードを含む)が暗号化されずに平文でやり取りされる点です。
    • このため、通信経路を傍受されると、重要な情報が第三者に漏洩するリスクがあります。
    • 現代においては、特別な理由がない限り、セキュリティリスクが高いため単独での使用は推奨されません。
  • SFTP (SSH File Transfer Protocol):

    • SSH(Secure Shell)という、安全なリモート接続のためのプロトコルを利用してファイルを転送します。
    • SSH接続が確立された安全なトンネルを通じてファイル転送を行うため、データや接続情報はすべて暗号化されます
    • サーバーへの接続には、一般的にポート番号「22」を使用します(ただし、サーバー側で変更されている場合もあります)。
    • FTPやFTPSとは技術的に異なるプロトコルですが、FileZillaのようなクライアントソフトウェア上では同じような操作感で利用できます。
    • 現代のファイル転送において、最も推奨される安全なプロトコルの一つです。
  • FTPS (FTP over SSL/TLS):

    • 既存のFTPプロトコルに、SSL/TLSという暗号化技術を追加したものです。SSL/TLSは、ウェブサイトのHTTPS接続などでも使われている技術です。
    • 接続の確立時やデータ転送時に、SSL/TLSによって通信が暗号化されます。
    • FTPSにはいくつかのモードがありますが、大きく分けて「Explicit (明示的)」と「Implicit (暗黙的)」があります。Explicit FTPSが一般的で、通常のFTP接続を開始した後、明示的に暗号化を要求します。Implicit FTPSは最初から暗号化された接続を確立します(通常ポート990を使用)。
    • こちらもSFTPと同様に、安全なファイル転送のためのプロトコルとして推奨されます。

まとめ:
安全にファイルを転送するためには、SFTPまたはFTPSを利用することを強くお勧めします。特に理由がない限り、暗号化されないFTPの使用は避けるべきです。FileZillaはこれらすべてに対応しており、サーバーに合わせて最適なプロトコルを選択できます。

1.2. クライアントとサーバーの関係

FileZillaは「FTPクライアント」です。これは、ファイル転送における「クライアント・サーバーモデル」におけるクライアント側のソフトウェアであることを意味します。

  • サーバー: ファイルを保管しており、FTPやSFTP、FTPSといったプロトコルに対応したファイル転送サービスを提供しているコンピューター(Webサーバーやファイルサーバーなど)。
  • クライアント: サーバーに接続を要求し、サーバーからファイルをダウンロードしたり、サーバーにファイルをアップロードしたりするソフトウェア(FileZillaなど)が動作しているコンピューター(あなたのMac)。

あなたはFileZilla(クライアント)を使って、Webサーバーなど(サーバー)に接続し、ファイルのやり取りを行います。

1.3. FileZillaの主な機能概要

FileZillaは、ファイル転送を効率的かつ安全に行うための様々な機能を備えています。

  • デュアルペインインターフェース: 画面がローカルサイト(あなたのMac)とリモートサイト(サーバー)の2つの領域に分かれており、ファイルやフォルダ構造を同時に確認しながら直感的に操作できます。
  • サイトマネージャー: 頻繁に接続するサーバーの接続情報を登録しておけます。これにより、毎回ホスト名やユーザー名、パスワードを入力する手間が省け、素早く接続できます。
  • 転送キュー: 複数のファイルをまとめて転送する際に、転送待ちリスト(キュー)を作成し、順番に処理できます。これにより、大量のファイル転送を効率的に管理できます。
  • 接続プロトコルの選択: FTP、SFTP、FTPSに対応しており、安全なプロトコルを選択できます。
  • パーミッション変更: サーバー上のファイルやフォルダのアクセス権限(パーミッション)をGUIで簡単に変更できます。Webサイト運営においては重要な機能です。
  • 再開機能: ファイル転送が中断された場合に、中断した箇所から転送を再開できる場合があります(サーバー側の対応状況によります)。
  • ディレクトリ比較: ローカルとリモートのディレクトリ内容を比較し、更新されたファイルや不足しているファイルなどを視覚的に確認できます。
  • ファイル編集: リモート上のファイルをローカルのテキストエディタで開き、編集後に保存すると自動的にサーバーにアップロードし直す機能。

これらの機能は、FileZillaを使ったファイル転送を非常に便利にしてくれます。

2. MacにFileZillaを導入しよう (インストール手順)

FileZillaを使うには、まずあなたのMacにFileZillaクライアントソフトウェアをインストールする必要があります。手順は非常にシンプルです。

2.1. 公式サイトからのダウンロード

FileZillaは以下の公式サイトからダウンロードします。必ず公式サイトからダウンロードするようにしてください。不正なサイトからのダウンロードは、マルウェア感染などのリスクを伴います。

  • FileZilla公式サイト: https://filezilla-project.org/

  • 公式サイトにアクセスします。

  • トップページに大きなダウンロードボタンが表示されています。多くの場合、「Download FileZilla Client」というボタンです。(間違えて「Download FileZilla Server」をダウンロードしないように注意してください。サーバー版はファイルを配布する側のもので、あなたが使うのはクライアント版です。)
  • 「Download FileZilla Client」ボタンをクリックすると、ダウンロードオプションのページに遷移します。
  • ここで、あなたのMacに対応したバージョンを選択します。通常は「Mac OS X」または「macOS」と表示されているバージョンを選択します。
  • 「Download」ボタンをクリックします。無料版と有料版(Pro版)が表示される場合がありますが、基本的なFTP/SFTP/FTPS機能だけであれば無料版で十分です。「Download FileZilla Client」のような無料版ダウンロードリンクをクリックしてください。
  • ダウンロードが開始されます。ファイル形式は「.dmg」となっているはずです。

2.2. ダウンロードしたファイルの解凍と配置

ダウンロードが完了したら、ダウンロードした「.dmg」ファイルをダブルクリックして開きます。

  1. ダブルクリックすると、ディスクイメージがマウントされ、新しいFinderウィンドウが開きます。
  2. ウィンドウ内にFileZillaのアイコンと、「Applications」フォルダのエイリアスが表示されているはずです。
  3. FileZillaのアイコンを「Applications」フォルダのエイリアスにドラッグ&ドロップします。 これで、FileZillaアプリケーションがMacのアプリケーションフォルダにコピーされ、インストールが完了します。

注意: ディスクイメージ内のFileZillaアイコンを直接ダブルクリックして起動することも可能ですが、この場合、ディスクイメージがマウントされている間しか使用できません。アプリケーションフォルダにコピーすることで、Finderの「アプリケーション」やLaunchpadからいつでもFileZillaを起動できるようになります。

アプリケーションフォルダへのコピーが完了したら、ディスクイメージのウィンドウを閉じても構いません。Finderのサイドバーにあるディスクイメージのアイコン(通常は「FileZilla x.x.x」のような名前)の横にある取り出しボタン(▲)をクリックして、ディスクイメージをアンマウントしておきましょう。

2.3. 初回起動時の注意点

初めてFileZillaを起動する際には、Macのセキュリティ機能によっていくつかの警告が表示されることがあります。

  1. セキュリティ警告: 「”FileZilla”はインターネットからダウンロードされました。開いてもよろしいですか?」のような警告が表示されることがあります。これは、App Store以外からダウンロードしたアプリケーションを開く際にMacが表示する標準的な警告です。「開く」をクリックして続行します。
  2. プライバシー設定(アクセス権限): FileZillaがあなたのMac上のファイルにアクセスすることを許可するかどうかを尋ねられる場合があります。「OK」や「許可」を選択して進めてください。これは、FileZillaがローカルサイト(あなたのMac)のファイルリストを表示したり、ファイルを操作したりするために必要な権限です。
  3. FileZillaのアップデート設定: FileZillaは定期的にアップデートされます。初回起動時や設定画面で、自動アップデートを確認するかどうか設定できます。セキュリティのためにも、常に最新版を利用することが推奨されますので、アップデートの自動確認は有効にしておくのが良いでしょう。

これらの初回設定や警告への対応を終えると、FileZillaのメインウィンドウが表示されます。これでMacでのFileZillaの導入は完了です!

3. FileZillaの基本的な使い方

FileZillaのインストールが完了したら、いよいよ実際にサーバーに接続してファイルのやり取りをしてみましょう。まずは基本的なインターフェースの確認と、サーバーへの接続方法、そしてファイルのアップロード・ダウンロード手順を説明します。

3.1. ユーザーインターフェースの解説

FileZillaを起動すると、以下のようなウィンドウが表示されます。ウィンドウはいくつかの主要な領域に分かれています。

  1. クイック接続バー: ウィンドウ上部に位置します。「ホスト」「ユーザー名」「パスワード」「ポート」の入力欄があり、ここに情報を入力して「クイック接続」ボタンをクリックすると、登録せずに一度だけサーバーに接続できます。
  2. メッセージログ: クイック接続バーのすぐ下に表示される領域です。FileZillaとサーバー間の通信状況(接続試行、応答、エラーなど)がログとして表示されます。トラブル発生時にはここを確認すると原因の手がかりが得られます。
  3. サイトリスト/ローカルサイトペイン: ウィンドウの左側に位置します。上半分がサイトリスト(お気に入り登録したサイト一覧)が表示される領域(初期状態では非表示の場合があります)で、下半分がローカルサイト、つまりあなたのMac上のファイルやフォルダ構造が表示される領域です。エクスプローラーやFinderのように、フォルダを開いたりファイルを操作したりできます。
  4. リモートサイトペイン: ウィンドウの右側に位置します。リモートサイト、つまり接続中のサーバー上のファイルやフォルダ構造が表示される領域です。サーバーに接続するとここにサーバー上のファイルリストが表示されます。
  5. 転送キュー: ウィンドウ下部に位置します。アップロードまたはダウンロード待ちのファイル、現在転送中のファイル、転送が完了したファイルなどがリスト表示されます。非表示になっている場合は、「表示」メニューから「転送キュー」を選択して表示できます。

これらの領域を使い分けて、ファイル転送を行います。特にローカルサイトとリモートサイトのペインは、ファイルをドラッグ&ドロップする際に使用する主要な領域です。

3.2. サーバーへの接続方法

サーバーに接続するには、主に「クイック接続」と「サイトマネージャーを使った接続」の2つの方法があります。

3.2.1. クイック接続

一度だけ、あるいは滅多に接続しないサーバーに対してはクイック接続が便利です。

  1. FileZillaウィンドウ上部のクイック接続バーに、サーバー情報を入力します。
    • ホスト: サーバーのホスト名またはIPアドレスを入力します(例: ftp.example.com または 192.168.1.100)。多くの場合、サーバーの契約情報などに記載されています。
    • ユーザー名: サーバーにログインするためのユーザー名(アカウント名)を入力します。
    • パスワード: サーバーにログインするためのパスワードを入力します。
    • ポート: サーバーが使用しているポート番号を入力します。特別な指定がなければ、FTPは21、SFTPは22、FTPSは21または990(Implicitの場合)が一般的です。ポート番号を空欄にした場合、FileZillaはプロトコルに応じてデフォルトのポート番号を使用します(例: sftp://hostname と入力すればポート22を試します)。
  2. 入力後、「クイック接続」ボタンをクリックします。

情報が正しければ、メッセージログに接続試行のログが表示され、リモートサイトペインにサーバー上のファイルやフォルダが表示されます。

注意点:
* クイック接続バーに入力したパスワードは、デフォルトではFileZillaを閉じると消去されます。繰り返し使う場合はサイトマネージャーへの登録をお勧めします。
* SFTP接続の場合、初めて接続するサーバーだと「未知のホスト鍵」に関する警告が表示されることがあります。これはサーバーの正当性を確認するためのものです。表示されたフィンガープリントがサーバー提供者から知らされているものと一致するか確認し、「信頼する」を選択します。

3.2.2. サイトマネージャーを使った接続

頻繁に接続するサーバーは、サイトマネージャーに情報を登録しておくと非常に便利です。ホスト名、ユーザー名、パスワード、プロトコル、ポート番号などを一度登録しておけば、次回以降はサイトマネージャーからワンクリックで接続できます。

サイトマネージャーの使い方は後述しますが、ここでは基本的な接続手順のみ触れます。

  1. FileZillaのメニューバーから「ファイル」>「サイトマネージャー」を選択するか、ツールバーのサイトマネージャーアイコン(サーバーとフォルダーのようなアイコン)をクリックしてサイトマネージャーを開きます。
  2. サイトマネージャーウィンドウで、接続したい登録済みサイトを選択します。
  3. 接続」ボタンをクリックします。

これで、登録された情報を使ってFileZillaがサーバーへの接続を試みます。

3.3. ファイルのアップロード・ダウンロード方法

サーバーに接続できたら、いよいよファイルの転送です。FileZillaでは、ローカルサイトとリモートサイトのペイン間でファイルを直感的に転送できます。

  1. アップロード(Macからサーバーへ):

    • ローカルサイトペインで、アップロードしたいファイルやフォルダを探します。
    • リモートサイトペインで、アップロード先のフォルダを開いておきます。
    • ローカルサイトペインから、アップロードしたいファイルやフォルダを選択します。複数のファイルを選択する場合は、Commandキーを押しながらクリックするか、Shiftキーを押しながら範囲選択します。
    • 選択したファイルやフォルダを、ローカルサイトペインからリモートサイトペインの目的のフォルダへドラッグ&ドロップします。
    • または、選択したファイルやフォルダを右クリックし、コンテキストメニューから「アップロード」を選択します。
    • 転送キューに転送待ちのファイルが追加され、自動的に転送が開始されます。転送の進行状況は転送キュー領域で確認できます。
  2. ダウンロード(サーバーからMacへ):

    • リモートサイトペインで、ダウンロードしたいファイルやフォルダを探します。
    • ローカルサイトペインで、ダウンロード先のフォルダを開いておきます。
    • リモートサイトペインから、ダウンロードしたいファイルやフォルダを選択します。
    • 選択したファイルやフォルダを、リモートサイトペインからローカルサイトペインの目的のフォルダへドラッグ&ドロップします。
    • または、選択したファイルやフォルダを右クリックし、コンテキストメニューから「ダウンロード」を選択します。
    • 転送キューに転送待ちのファイルが追加され、自動的に転送が開始されます。

転送が完了すると、転送キューの該当ファイルの状態が「完了」となります。エラーが発生した場合は、「失敗した転送」リストに表示されます。

3.4. ディレクトリの移動と操作

ローカルサイトペインとリモートサイトペインでは、Finderやエクスプローラーと同じようにディレクトリ(フォルダ)を操作できます。

  • ディレクトリを開く: ディレクトリ名をダブルクリックします。
  • 親ディレクトリへ移動: ペイン上部に表示されているディレクトリパスの「..」という項目をダブルクリックするか、ツールバーの「一つ上のディレクトリへ移動」ボタン(緑色の上向き矢印アイコン)をクリックします。
  • ディレクトリ作成: ペイン内で右クリックし、コンテキストメニューから「ディレクトリを作成」を選択します。新しいディレクトリ名を入力して確定します。
  • ファイル/ディレクトリの削除: 削除したいファイルやディレクトリを選択し、右クリックして「削除」を選択します。確認ダイアログが表示されるので、「はい」を選択します(サーバー上のファイルを削除する場合は十分に注意してください)。
  • ファイル/ディレクトリの名前変更: 名前を変更したいファイルやディレクトリを選択し、右クリックして「名前変更」を選択します。新しい名前を入力して確定します。

これらの基本操作を駆使して、サーバー上のファイルを整理したり、新しいファイル構造を作成したりできます。

3.5. パーミッション(権限)の変更方法

Webサイトを運営している場合、サーバー上のファイルやディレクトリに対して適切な「パーミッション(権限)」を設定することが非常に重要です。パーミッションは、誰がそのファイルやディレクトリに対して「読み取り」「書き込み」「実行」ができるかを定義します。FileZillaでは、GUIで簡単にパーミッションを変更できます。

  1. リモートサイトペインで、パーミッションを変更したいファイルまたはディレクトリを選択します。
  2. 右クリックし、コンテキストメニューから「ファイルのパーミッション」を選択します。
  3. 「ファイルのパーミッション」ウィンドウが表示されます。
  4. このウィンドウでは、「オーナー」「グループ」「パブリック」それぞれに対して、「読み取り」「書き込み」「実行」のチェックボックスが表示されます。また、「数値」として3桁または4桁の数字が表示されます。
    • オーナー: そのファイルやディレクトリを所有しているユーザー。
    • グループ: そのファイルやディレクトリが属するグループのユーザー。
    • パブリック: 上記以外のすべてのユーザー。
    • 読み取り (Read, r): ファイルの内容を読める、ディレクトリの内容一覧を見れる。数値は4。
    • 書き込み (Write, w): ファイルの内容を変更できる、ディレクトリにファイルを作成/削除できる。数値は2。
    • 実行 (Execute, x): ファイルを実行できる(スクリプトなど)、ディレクトリに入ることができる。数値は1。
    • これらの組み合わせによって数値が決まります。例えば、「読み取り」+「書き込み」+「実行」は 4+2+1=7、「読み取り」+「書き込み」は 4+2=6、「読み取り」のみは 4 となります。3桁の数値は「オーナー」「グループ」「パブリック」の権限をこの順に並べたものです(例: 755 は オーナー:読み書き実行、グループ:読み取りと実行、パブリック:読み取りと実行)。
    • 4桁の場合は先頭の桁が特殊権限(SetUID, SetGID, Sticky Bit)を表しますが、通常は0から始まることが多いです(例: 0755)。
  5. 必要なパーミッション設定となるようにチェックボックスをオン/オフするか、数値入力欄に直接パーミッションを入力します。
  6. ディレクトリに対してパーミッションを変更する場合、ウィンドウ下部の「サブディレクトリと含まれているファイルに適用」のオプションが表示されます。これをチェックすると、そのディレクトリ内のすべてのファイルやサブディレクトリに対しても同じパーミッションを再帰的に適用できます。ただし、慎重に使用してください。通常は「このディレクトリのみに適用」または「すべてのファイルとディレクトリに適用」などのオプションから適切なものを選択します。
  7. 設定後、「OK」ボタンをクリックします。

メッセージログにパーミッション変更の結果が表示されます。Webサイトのファイル(例: HTML, CSS, JavaScript, 画像など)は 644755、ディレクトリは 755 などに設定することが多いですが、具体的な設定値はWebアプリケーションやサーバー環境によって異なりますので、利用しているサービスの指示に従ってください。特にWordPressなどのPHPファイルや、特定のディレクトリ(例: アップロードディレクトリ)にはセキュリティ上注意が必要なパーミッション設定(例えば 777 は非常に危険)があります。

4. サイトマネージャーを使いこなす

FileZillaを便利に使う上で、サイトマネージャーは非常に重要な機能です。頻繁に接続するサーバーの情報を登録しておけば、接続のたびに情報を入力する手間が省けます。

4.1. 新規サイトの登録手順

  1. メニューバーから「ファイル」>「サイトマネージャー」を選択するか、ツールバーのサイトマネージャーアイコンをクリックします。
  2. サイトマネージャーウィンドウが表示されます。
  3. ウィンドウ左下の「新しいサイト」ボタンをクリックします。
  4. 左側のリストに「新しいサイト」という項目が追加されるので、分かりやすい名前(例: 「自分のWebサイト」「開発サーバー」など)に変更します。
  5. ウィンドウ右側の設定項目を入力していきます。

4.2. 基本設定タブ

最も重要な設定項目が含まれています。

  • ホスト: サーバーのホスト名またはIPアドレスを入力します。
  • ポート: サーバーが使用しているポート番号を入力します。空欄でも構いませんが、明示的に指定する方が確実です。
  • プロトコル: ドロップダウンメニューから、接続に使用するプロトコルを選択します。
    • FTP - ファイル転送プロトコル (非推奨、非暗号化)
    • SFTP - SSH ファイル転送プロトコル (推奨、暗号化)
    • FTPS - FTP over TLS/SSL (明示的) (推奨、暗号化)
    • FTPS - FTP over TLS/SSL (暗黙的) (サーバーが対応していれば使用)
      セキュリティのため、可能な限り SFTP または FTPS を選択してください。 サーバーの契約情報や管理者から指定されたプロトコルを選択します。
  • ログオンタイプ: サーバーへの認証方法を選択します。
    • 匿名(Anonymous): ユーザー名やパスワードなしで接続する場合(公開FTPサーバーなど)。
    • 通常(Normal): ユーザー名とパスワードを入力して接続する場合。ほとんどの個人用サーバー接続でこれを使用します。
    • 対話(Interactive): 接続時にパスワードを毎回手動で入力する場合。セキュリティは向上しますが手間がかかります。
    • アカウント(Account): FTPの古い認証方法でアカウント情報を利用する場合(稀)。
    • 鍵ファイル(Key file): SFTP接続でパスワード認証ではなく公開鍵認証を行う場合。高度な設定ですが、パスワード漏洩リスクを減らせます。
  • ユーザー名: ログオンタイプで「通常」や「鍵ファイル」を選択した場合に、サーバーにログインするためのユーザー名を入力します。
  • パスワード: ログオンタイプで「通常」を選択した場合に、サーバーにログインするためのパスワードを入力します。ここにパスワードを保存しておくと、次回から入力不要で便利ですが、FileZillaがインストールされているMacが悪意のある第三者に操作された場合、パスワードが漏洩するリスクがあることを理解しておいてください。 Macにログインパスワードを設定し、適切にロックするなど、Mac自体のセキュリティを確保することが重要です。

4.3. 詳細設定タブ

より詳細な接続設定やファイル転送設定を行います。

  • サーバータイプ: 自動検出で通常問題ありません。特定のサーバータイプを指定したい場合に使用します。
  • 転送モード: パッシブ または アクティブ を選択します。ファイル転送の際に、データの送信に使う接続をサーバーとクライアントのどちらが開始するかを決めます。
    • パッシブ (Passive): クライアント側からデータ接続を確立します。ファイアウォールやNAT環境にあるクライアントからサーバーに接続する場合、一般的にこちらが推奨されます。 ほとんどの場合、「デフォルト」または「パッシブ」を選択しておけば問題ありません。
    • アクティブ (Active): サーバー側からクライアントへデータ接続を確立しようとします。クライアント側にファイアウォールやルーターがあると接続できない場合があります。
    • デフォルト (Default): FileZillaの設定で指定されたモードに従います。
  • 転送設定:
    • 同時転送の最大数: このサイトへの接続時に同時に転送するファイル数を制限できます。サーバーの負荷軽減や、回線速度によっては少ない方が安定することがあります。
  • 文字コード: ファイル名やディレクトリ名の文字コードを指定します。サーバーが使用している文字コードに合わせてください。
    • 自動: FileZillaが自動で判断します。
    • カスタム: 手動で文字コードを指定します(例: UTF-8Shift_JIS など)。ファイル名が文字化けする場合は、ここでサーバー側の文字コードに合わせてみてください。Webサーバーの多くはUTF-8を使用しています。
  • 同期ブラウジング: このオプションを有効にすると、ローカルサイトとリモートサイトで同じ名前のディレクトリを開いたときに、自動的にもう一方のペインもそのディレクトリに移動するようになります。Webサイトのローカルコピーとサーバー上のファイルを比較しながら作業する際に便利です。ただし、両方のディレクトリ構造が一致している必要があります。
  • ローカルディレクトリ / リモートディレクトリ: サイトに接続した際に、自動的に開くローカルディレクトリとリモートディレクトリを指定できます。これにより、毎回目的のフォルダまで移動する手間が省けます。

4.4. 転送設定タブ (サイトマネージャー)

主にファイル転送の種類に関する設定です。

  • 転送タイプ: 自動, ASCII, バイナリ から選択します。
    • 自動 (Auto): ファイルの種類(拡張子など)に基づいて、FileZillaが自動的に転送タイプを判断します。通常はこの設定で問題ありません。
    • ASCII: テキストファイル(.txt, .html, .css, .phpなど)に適しています。改行コードなどが環境に合わせて自動変換される場合があります。
    • バイナリ (Binary): テキスト以外のファイル(画像、動画、圧縮ファイルなど)に適しています。ファイルのバイトデータをそのまま転送します。
      転送タイプが誤っていると、テキストファイルで改行がおかしくなったり、バイナリファイルが破損したりすることがあります。自動でうまくいかない場合は、手動で適切なタイプを指定してください。

4.5. サイトのエクスポート・インポート

サイトマネージャーに登録した情報は、XMLファイルとしてエクスポート・インポートできます。

  • エクスポート: サイトマネージャーウィンドウ下部の「エクスポート…」ボタンをクリックします。登録済みの全サイト情報または選択したサイト情報をファイルとして保存できます。新しいMacへの移行時や、複数のMacで同じ設定を使いたい場合に便利です。設定のバックアップとしても利用できます。
  • インポート: サイトマネージャーウィンドウ下部の「インポート…」ボタンをクリックします。以前エクスポートしたXMLファイルを選択すると、サイト情報がFileZillaに読み込まれます。

4.6. サイトマネージャーのその他の機能

  • コピー: 選択したサイトの設定をコピーして、新しいサイトとして追加できます。似た設定のサイトを登録する際に便利です。
  • 名前変更: 登録したサイトの名前を変更できます。
  • 削除: 登録したサイトを削除します。

サイトマネージャーを上手に活用することで、サーバーへの接続と管理が非常に効率的になります。

5. セキュリティについて理解する

FileZillaを含むファイル転送ソフトを利用する上で、セキュリティは最も重要な要素の一つです。特にFTPはセキュリティ上の問題があるプロトコルであり、SFTPやFTPSを利用することが強く推奨されます。

5.1. FTPのセキュリティリスク

前述の通り、FTPは接続情報(ユーザー名、パスワード)や転送されるファイルデータが暗号化されずにインターネット上を流れます。これは、まるで郵便はがきにパスワードを書いて送るようなものです。

  • パスワードやユーザー名の漏洩: 悪意のある第三者が通信経路を傍受すると、簡単にあなたのサーバーへのログイン情報を知ることができます。これにより、サーバーに不正にアクセスされ、ファイルの改ざんや削除、個人情報の窃盗などの被害に遭う可能性があります。
  • ファイル内容の漏洩: 転送しているファイルの内容も暗号化されないため、機密性の高い情報を含むファイルをFTPで転送することは非常に危険です。

5.2. SFTP/FTPSの利用を推奨する理由

SFTPやFTPSは、FTPの抱えるセキュリティリスクを解決するために開発されました。

  • SFTP: SSHトンネル内で全ての通信を暗号化します。ログイン情報はもちろん、ファイルデータそのものも暗号化されて転送されます。通信経路を傍受されても、内容を解読することは非常に困難です。
  • FTPS: SSL/TLSによって通信を暗号化します。こちらもログイン情報やファイルデータは保護されます。

現代において、サーバーへのファイル転送はSFTPまたはFTPSで行うのが常識です。あなたが契約しているサーバーがSFTPまたはFTPSに対応しているか確認し、可能な限りこれらのプロトコルを利用するように設定してください。多くのレンタルサーバーやVPSはSFTPに対応しています。

5.3. 証明書の検証 (SFTP接続時)

SFTPで初めてサーバーに接続する際、FileZillaはサーバーの「ホスト鍵(公開鍵)」の正当性を確認するために、以下のようなダイアログを表示することがあります。

「未知のホスト鍵」または「ホスト鍵が以前保存されたものと異なります!」

これは、接続しようとしているサーバーが本物であることを確認するためのセキュリティ機能です。表示された「フィンガープリント」と呼ばれる文字列は、サーバーのホスト鍵を短く表現したものです。

  • 初回接続時: 表示されたフィンガープリントが、サーバー提供者から事前に知らされているものと一致するか確認します。一致していれば、そのサーバーは正規のものである可能性が高いです。「今後このホストを常に信頼する」にチェックを入れて「OK」をクリックすると、次回以降このサーバーに接続する際にフィンガープリントの確認はスキップされます。一致しない場合は、何らかの不正なサーバー(なりすましなど)である可能性があるので、接続を中止しサーバー提供者に確認してください。
  • フィンガープリントが異なる場合: 以前接続したことのあるサーバーなのにフィンガープリントが異なると警告された場合は注意が必要です。サーバー側でホスト鍵が再生成された(サーバー移転やOSアップデートなど)可能性もありますが、悪意のある第三者があなたの接続を傍受し、なりすましサーバーへ誘導しようとしている「中間者攻撃 (Man-in-the-Middle attack)」の可能性もゼロではありません。この場合も、接続を中止しサーバー提供者に確認することを強くお勧めします。

少し面倒に感じるかもしれませんが、このホスト鍵の検証はSFTPのセキュリティを確保するための重要なステップです。

5.4. パスワードの管理

サイトマネージャーにパスワードを保存しておくと便利ですが、FileZillaがインストールされているMacのセキュリティが侵害された場合、保存されたパスワードが漏洩するリスクがあります。

  • リスクを理解する: パスワード保存の利便性とリスクを理解し、自己責任で利用してください。
  • Macのセキュリティ対策: Mac自体に強力なログインパスワードを設定し、不在時は必ず画面をロックする、FileVaultでディスク全体を暗号化する、信頼できるセキュリティソフトを導入するなど、Macそのもののセキュリティを徹底することが、FileZillaに保存したパスワードを保護する上で最も重要です。
  • パスワードを保存しない設定: セキュリティを最優先する場合は、ログオンタイプを「対話」に設定し、接続時に毎回パスワードを手動で入力する方法もあります。
  • 鍵ファイル認証 (SFTP): SFTP接続の場合は、パスワード認証ではなく鍵ファイル(公開鍵認証)を利用するのが最も安全な方法です。Macに秘密鍵を保存しておき、サーバーには対応する公開鍵を登録しておきます。パスワードを使わないため、パスワード漏洩のリスクがありません。設定には少し専門知識が必要になりますが、重要なサーバーへの接続には検討すべき方法です。

5.5. ファイル転送時の暗号化

SFTPやFTPSを使用していれば、転送されるファイルデータは自動的に暗号化されます。FileZillaの転送キュー領域で、転送中のファイルの状態を確認できます。安全なプロトコルで接続しているか、常に意識するようにしましょう。

6. よくある問題とトラブルシューティング

FileZillaを使っていて、サーバーに接続できなかったり、ファイル転送でエラーが出たりすることはよくあります。ここでは、よく遭遇する問題とその原因、そして対策について解説します。

6.1. 接続できない場合

最も頻繁に起こるトラブルです。接続できない原因は多岐にわたりますが、以下の点を確認してみてください。

  • 入力情報の誤り:
    • ホスト名/IPアドレス: 正しいホスト名またはIPアドレスを入力していますか?スペルミスや入力間違いがないか確認してください。
    • ユーザー名: 正しいユーザー名を入力していますか?大文字/小文字も区別されます。
    • パスワード: 正しいパスワードを入力していますか?大文字/小文字、記号など正確に入力してください。特にサイトマネージャーに保存したパスワードが最新か確認してください。
    • ポート番号: サーバーが使用しているポート番号は正しいですか? SFTPは22、FTP/FTPSは21が一般的ですが、サーバーによっては異なるポート番号を使用している場合があります。サーバー管理者や契約情報で確認してください。
  • プロトコルの不一致: FileZillaで選択しているプロトコル(FTP/SFTP/FTPS)が、サーバー側が待ち受けているプロトコルと一致していますか? 例えば、サーバーがSFTPしか受け付けていないのにFileZillaでFTPを選択しても接続できません。
  • ファイアウォールの問題:
    • あなたのMacのファイアウォール: Macのシステム環境設定(またはシステム設定)でファイアウォールが有効になっている場合、FileZillaの通信がブロックされている可能性があります。FileZillaの通信を許可するように設定を確認してください。
    • ネットワークのファイアウォール: あなたが利用しているネットワーク(会社のネットワーク、公共Wi-Fiなど)のファイアウォールがFTPやSFTPの通信をブロックしている可能性があります。ネットワーク管理者に確認するか、別のネットワーク環境で試してみてください。
    • サーバー側のファイアウォール: サーバー側で特定のIPアドレスからの接続を制限していたり、ファイアウォールでポートを閉じたりしている可能性があります。サーバー管理者に確認してください。
  • 転送モード(パッシブ/アクティブ)の問題: 特にFTP接続の場合、転送モードの設定が原因で接続が確立できないことがあります。多くの環境では「パッシブ」モードが推奨されます。サイトマネージャーまたはFileZilla全体の接続設定で転送モードを変更して試してみてください。
  • サーバーの負荷や停止: サーバーが一時的に高負荷状態にあるか、メンテナンスや障害で停止している可能性があります。時間をおいて再度試すか、サーバー提供者のアナウンスを確認してください。
  • メッセージログを確認する: 接続試行のエラー内容はメッセージログに詳しく表示されます。エラーメッセージ(例: Connection refused, Authentication failed, Connection timed outなど)を確認し、エラーコードやメッセージを手がかりに原因を特定してください。

6.2. ファイルの転送中にエラーが発生する場合

接続はできるものの、ファイルのアップロードやダウンロード中にエラーが発生する場合の原因と対策です。

  • パーミッションの問題: アップロード先のディレクトリに「書き込み」権限がない場合、ファイルのアップロードは失敗します。パーミッション設定(書き込み権限があるか)を確認し、必要であれば変更してください。
  • サーバーのディスク容量不足: サーバーのディスク容量がいっぱいになっている場合、新しいファイルをアップロードすることはできません。サーバーの容量を確認してください。
  • ファイル名の問題: ファイル名に使用できない文字が含まれている、長すぎる、または日本語ファイル名で文字コードの設定が間違っている場合に転送エラーや文字化けが発生することがあります。ファイル名をシンプルにし、日本語の場合はFileZillaの文字コード設定(サイトマネージャーまたはグローバル設定)がサーバーと一致しているか確認してください。
  • ネットワークの不安定さ: 通信中にネットワークが不安定になると、転送が中断されてエラーになることがあります。回線状況を確認するか、ファイルサイズを小さくして転送してみるなどの対策があります。
  • タイムアウト: 転送中に一定時間データが流れなかった場合に、接続がタイムアウトして切断されることがあります。FileZillaの接続設定でタイムアウト時間を長くすることで改善される場合がありますが、根本的にはネットワークの安定性やサーバー側の設定に依存します。
  • サーバー側のファイルロック: サーバー上のファイルが別のプロセスによって使用中(ロックされている)場合、上書きアップロードなどができないことがあります。
  • 転送モード(パッシブ/アクティブ): FTP接続で特定のサイズのファイルを転送するとエラーになる場合、転送モードが影響していることがあります。

6.3. 日本語ファイル名・ディレクトリ名の文字化け

リモートサイトペインで日本語のファイル名やディレクトリ名が正しく表示されない、あるいは転送した日本語ファイル名が文字化けする場合、文字コードの設定が原因です。

  • 対策:
    • サイトマネージャーの「詳細設定」タブで、文字コードを「自動」から「カスタム」に変更し、サーバーが使用している文字コード(多くの場合は「UTF-8」)を指定します。
    • または、FileZilla全体の文字コード設定(メニューバー「FileZilla」>「設定」>「接続」>「FTP」>「文字コード」)で、「カスタム文字コードを使用」を選択し「UTF-8」を指定する方法もあります。
    • 設定変更後に再度接続し直し、表示が改善されるか確認してください。

6.4. 接続が切断される

接続後、しばらく操作しないと自動的に切断される場合があります。これは、サーバー側やFileZilla側のタイムアウト設定によるものです。

  • 対策:
    • FileZilla全体の接続設定(メニューバー「FileZilla」>「設定」>「接続」)で、「アイドル状態が指定時間を経過したら切断」のチェックを外し、タイムアウトしないように設定できます。
    • ただし、サーバー側にもタイムアウト設定がある場合があり、FileZillaの設定だけでは回避できないこともあります。サーバー側の設定を確認してください。
    • SFTP接続の場合、SSHのKeep-Alive設定によって接続を維持できることがあります。FileZillaの設定(「接続」>「SFTP」)でKeep-Alive関連のオプションを探してみてください。

6.5. GUIが固まる、動作が重い

FileZillaのウィンドウが応答しなくなったり、ファイルリストの表示が遅かったりする場合。

  • 原因:
    • リモートサイトのディレクトリ内のファイル数が非常に多い。
    • ネットワークが不安定で、ファイルリストの取得に時間がかかっている。
    • 同時に多数のファイルを転送している。
    • Macのシステムリソース(CPU、メモリ)が不足している。
  • 対策:
    • 開いているディレクトリを整理する。
    • 転送キューで同時転送数を減らす。
    • 不要なアプリケーションを閉じてMacの負荷を減らす。
    • FileZillaを再起動してみる。

これらのトラブルシューティングのヒントは、FileZillaを使う上で非常に役立ちます。問題が発生したら、まずはメッセージログを確認し、上記のような一般的な原因と対策を順に試してみてください。

7. FileZillaの応用的な使い方

基本的なファイル転送以外にも、FileZillaには作業効率を高めるための便利な機能がいくつかあります。

7.1. 転送キューの管理

FileZillaのウィンドウ下部にある転送キュー領域は、ファイル転送のハブです。

  • 転送待ちリスト: アップロードまたはダウンロードを指示したが、まだ転送が開始されていないファイルがリストされます。リスト内のファイルをドラッグ&ドロップして転送順序を変更できます。右クリックメニューからファイルの削除や転送の強制開始も可能です。
  • 現在の転送: 現在転送中のファイルが表示されます。進行状況や転送速度を確認できます。右クリックメニューから転送を一時停止したりキャンセルしたりできます。
  • 失敗した転送: 転送中にエラーが発生したファイルが表示されます。リスト内のファイルを右クリックして、「選択した転送をリセットして再開」を選択すると、再試行できます。
  • 完了した転送: 正常に転送が完了したファイルが表示されます。右クリックメニューからリストから削除したり、特定のファイルを見つけたりできます。

大量のファイルを扱う際に、転送キューを監視・管理することで、転送状況を把握し、必要に応じて介入できます。ツールバーのアイコンで、転送キューの処理を開始/一時停止することも可能です。

7.2. ディレクトリ比較機能

ローカル環境にあるWebサイトデータと、サーバー上にあるWebサイトデータを比較したい場合に便利な機能です。

  1. ローカルサイトペインで比較したいローカルディレクトリを開きます。
  2. リモートサイトペインで比較したいサーバー上のディレクトリを開きます。
  3. メニューバーから「表示」>「ディレクトリ比較」を選択するか、ツールバーのディレクトリ比較アイコン(緑色の矢印が向かい合っているアイコン)をクリックします。
  4. 表示されるオプションで、比較方法(ファイルサイズ、最終更新日時のいずれか、または両方)を選択し、「OK」をクリックします。
  5. ローカルサイトとリモートサイトのファイルリストに、比較結果が色分けされて表示されます。
    • 緑色: ローカルとリモートの両方に存在し、内容が同一(比較条件による)
    • 黄色: ローカルまたはリモートのどちらかにのみ存在する、または内容が異なる(更新されているなど)
    • 赤色: 転送中にエラーが発生したファイルなど(比較機能の色分けとは異なる場合も)
      比較機能を使うことで、更新し忘れているファイルや、誤って削除してしまったファイルなどを簡単に見つけられます。

7.3. ファイル編集機能

リモートサイト上のテキストファイルを、一度ダウンロードしてからローカルで編集し、保存すると自動的にサーバーにアップロードし直すという一連の作業をFileZillaから行うことができます。

  1. リモートサイトペインで、編集したいテキストファイルを選択します(例: .html, .css, .js, .php ファイルなど)。
  2. 右クリックし、コンテキストメニューから「表示/編集」を選択します。
  3. FileZillaの設定で関連付けられているローカルのテキストエディタ(デフォルトではTextEditなどが開くことが多いですが、VS CodeやSublime Textなどお気に入りのエディタを関連付けられます)でファイルが開きます。
  4. エディタでファイルを編集し、保存します。
  5. エディタでファイルを保存すると、FileZillaがそれを検知し、「ファイルは変更されました。サーバーにアップロードし直しますか?」のような確認ダイアログを表示します。
  6. 「はい」を選択すると、FileZillaが自動的に編集したファイルをサーバーにアップロードし直します。

この機能を使うと、簡単な修正であればFileZillaから直接効率的に行えます。ただし、編集中のファイルがサーバー側で別のプロセスによって変更される可能性など、注意点もあります。重要なファイルを編集する場合は、念のため編集前にバックアップを取得することをお勧めします。

7.4. フィルタ機能

ファイルリストに表示されるファイルを特定の条件で絞り込むことができます。

  1. メニューバーから「表示」>「ファイル名フィルタ」を選択するか、ツールバーのフィルタアイコン(漏斗のようなアイコン)をクリックします。
  2. 「ファイル名フィルタ」ウィンドウが表示されます。
  3. 「新しいフィルタ」ボタンをクリックし、フィルタ名を入力します。
  4. フィルタ条件を設定します。例えば、「拡張子」が「.html」に「一致する」といった条件を設定すると、HTMLファイルのみを表示できます。複数の条件をAND/ORで組み合わせることも可能です。
  5. 作成したフィルタにチェックを入れると、そのフィルタが適用され、ファイルリストの表示内容が絞り込まれます。

特定の種類のファイルだけを表示させたい場合などに役立ちます。

8. その他の設定とカスタマイズ

FileZillaは様々な詳細設定を行うことで、あなたの作業環境や好みに合わせてカスタマイズできます。設定ウィンドウは、メニューバー「FileZilla」>「設定…」から開けます。

8.1. インターフェースの表示設定

  • レイアウト: ウィンドウの各領域(サイトマネージャー、メッセージログ、ファイルリスト、転送キュー)の配置を変更できます。上下左右に分割するなど、使いやすいレイアウトを選択できます。
  • ツールバー: 表示するツールバーのアイコンをカスタマイズできます。

8.2. 転送設定の詳細

  • 同時転送数: FileZilla全体で同時に転送するファイルの最大数を設定できます。回線速度やサーバー負荷に合わせて調整します。
  • 転送バッファサイズ: ファイル転送に使用するメモリバッファのサイズを設定できます。通常はデフォルト設定で問題ありません。
  • 転送モード (デフォルト): サイトマネージャーでサイトごとに設定するだけでなく、FileZilla全体でのデフォルトの転送モード(パッシブ/アクティブ)を設定できます。

8.3. 接続設定の詳細

  • タイムアウト: アイドル状態(操作がない状態)が続いた場合に接続を切断するまでの時間を設定できます。
  • リトライ: 接続や転送が失敗した場合に、自動的に再試行する回数や待機時間を設定できます。ネットワークが不安定な場合に役立ちます。
  • SFTP設定: SFTP接続に関する詳細設定(SSHキーエージェントの使用、圧縮、SSHコマンドパスなど)を行えます。公開鍵認証を利用する際などに設定します。
  • FTPS設定: FTPS接続に関する詳細設定(SSL/TLSのバージョン、証明書の設定など)を行えます。

8.4. ログファイルの設定

FileZillaのメッセージログをファイルとして保存するかどうかや、保存先のディレクトリなどを設定できます。トラブル発生時にサーバー提供者などに状況を伝える際に、ログファイルが役立ちます。

8.5. ファイル編集関連の設定

「表示/編集」機能で使用するローカルのテキストエディタを関連付けられます。

  1. 設定ウィンドウの左側リストから「ファイル編集」を選択します。
  2. 「カスタムエディタを使用」を選択し、「参照…」ボタンをクリックして、使用したいエディタアプリケーション(例: VS Code.app, Sublime Text.appなど)を指定します。
  3. 「ファイルの関連付け」では、特定のファイルタイプ(例: .html, .css)に対してどのエディタを使用するか細かく設定できます。

このように、FileZillaは多くのカスタマイズオプションを提供しています。必要に応じてこれらの設定を調整することで、より快適かつ効率的にファイル転送作業を進めることができます。

9. FileZillaを使う上でのヒントとコツ

FileZillaをより効果的に使うためのいくつかのヒントを紹介します。

  • サイトマネージャーを積極的に活用する: 頻繁に接続するサーバーの情報は必ずサイトマネージャーに登録しましょう。接続の手間が省けるだけでなく、プロトコルやパスワードなどの設定ミスを防ぐことができます。
  • SFTP/FTPSを優先的に使用する: セキュリティのため、可能な限りSFTPまたはFTPSで接続してください。サーバーが対応しているか確認し、対応していれば必ずそちらを利用する設定にしましょう。
  • 重要なファイルはバックアップを取る: 特にサーバー上のファイルを操作する際は、誤って削除したり、上書きしてしまったりするリスクがあります。重要なファイルやディレクトリを操作する前には、ローカル環境にバックアップをダウンロードしておく習慣をつけましょう。
  • パーミッション設定の重要性を理解する: Webサイトのファイルやディレクトリのパーミッション設定は、サイトのセキュリティや動作に直接影響します。特に書き込み権限(w2)は慎重に設定し、安易に 777 のような誰でも書き込み可能な設定にしないようにしてください。
  • メッセージログを確認する習慣をつける: ファイル転送中にエラーが発生したり、接続がうまくいかなかったりした場合は、まずメッセージログを確認しましょう。エラーメッセージは原因特定のための重要なヒントになります。
  • 最新版のFileZillaを利用する: FileZillaはセキュリティの脆弱性対応や機能改善のために定期的にアップデートされています。常に最新版を利用することで、より安全かつ快適に利用できます。設定で自動アップデート確認を有効にしておくことをお勧めします。
  • ドラッグ&ドロップと右クリックメニューを使い分ける: ファイル転送や操作はドラッグ&ドロップが直感的で便利ですが、パーミッション変更やファイル編集など、特定の機能を使う場合は右クリックメニューを活用しましょう。

これらのヒントを実践することで、FileZillaをより安全に、そして効率的に使いこなすことができるはずです。

10. まとめ

この記事では、MacでFileZillaを初めて使う方向けに、FileZillaの基本的な導入から使い方、応用機能、そして最も重要なセキュリティについて詳しく解説しました。

FileZillaは、Mac上でFTP、SFTP、FTPSといったプロトコルを使ってファイル転送を行うための強力で柔軟なツールです。直感的なインターフェース、サイトマネージャーによる接続情報の効率的な管理、転送キューによるファイル転送の制御、そしてディレクトリ比較やファイル編集といった便利な機能は、Webサイト運営やサーバー管理を行う上で非常に役立ちます。

しかし、その便利さゆえに、特にセキュリティに関しては注意が必要です。暗号化されないFTPは情報漏洩のリスクが高いため、可能な限りSFTPやFTPSといった安全なプロトコルを利用することが現代のファイル転送における常識です。また、Mac自体のセキュリティ対策や、サイトマネージャーに保存するパスワードのリスクを理解しておくことも重要です。

この記事が、あなたがMacでFileZillaを使い始め、安全にファイル転送を行うための一助となれば幸いです。FileZillaの機能を理解し、セキュリティに配慮しながら活用することで、ファイル転送作業がよりスムーズで安心できるものになるでしょう。

もし記事を読んでも解決しない問題に遭遇した場合は、FileZillaの公式サイトにあるFAQやフォーラム、あるいは利用しているサーバー提供者のサポート情報を参照することも有効です。

さあ、FileZillaを最大限に活用して、あなたのファイル転送ライフを快適にしましょう!


付録: 用語集

記事中で使用した専門用語について簡単に解説します。

  • FTP (File Transfer Protocol): ファイル転送のための標準的なプロトコル。非暗号化のためセキュリティリスクが高い。
  • SFTP (SSH File Transfer Protocol): SSHプロトコルを利用した安全なファイル転送プロトコル。通信が暗号化される。ポート22を使用することが多い。
  • FTPS (FTP over TLS/SSL): FTPにSSL/TLSによる暗号化を追加したプロトコル。通信が暗号化される。
  • クライアント/サーバー: ファイル転送において、要求する側(Mac上のFileZillaなど)がクライアント、提供する側(Webサーバーなど)がサーバー。
  • ホスト: サーバーのインターネット上の住所。ホスト名(例: ftp.example.com)またはIPアドレス(例: 192.168.1.100)で指定する。
  • ユーザー名/パスワード: サーバーにログインするための認証情報。
  • ポート: サーバー上で特定のサービス(この場合はFTP/SFTP/FTPS)が稼働している論理的な窓口番号。
  • アップロード: ローカル(Mac)からリモート(サーバー)へファイルを送信すること。
  • ダウンロード: リモート(サーバー)からローカル(Mac)へファイルを受信すること。
  • パーミッション (Permission): ファイルやディレクトリに対するアクセス権限(読み取り、書き込み、実行)の設定。数値(例: 644, 755)または記号(rwx)で表される。
  • パッシブモード/アクティブモード: FTP接続において、データ転送用の接続をクライアント側とサーバー側のどちらが開始するかを決めるモード。パッシブモードが一般的。
  • サイトマネージャー: 頻繁に接続するサーバーの情報を登録・管理するFileZillaの機能。
  • 転送キュー: アップロードまたはダウンロード待ちのファイル、転送中のファイル、完了したファイルなどをリスト表示する機能。
  • ホスト鍵 (Host Key): SFTP接続時にサーバーの正当性を確認するための公開鍵。初回接続時にフィンガープリントを確認することが推奨される。
  • フィンガープリント (Fingerprint): ホスト鍵を短く要約した文字列。ホスト鍵の正当性を確認するために使用される。
  • 中間者攻撃 (Man-in-the-Middle Attack): 悪意のある第三者が通信経路に入り込み、正規のサーバーになりすまして情報を盗み取ったり改ざんしたりする攻撃。SFTPのホスト鍵検証はこれを防ぐ一助となる。

これで、MacでFileZillaを使うための初心者向けガイドとして、約5000語の詳細な記事が完成しました。FileZillaの導入から基本的な使い方、セキュリティ、トラブルシューティング、応用機能まで、幅広い内容を網羅しています。

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