WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORが発生!原因と今すぐできる対処法

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORが発生!原因と今すぐできる対処法の詳細

PCを使っている最中に突然画面が真っ青になり、見慣れないエラーメッセージが表示される――。これは「ブルースクリーン(BSoD: Blue Screen of Death)」と呼ばれるWindowsの深刻なエラー表示です。中でも「WHEA_UNCORRECTABLE_ERROR」は、遭遇すると非常に不安になるエラーの一つでしょう。このエラーは、PCの心臓部であるハードウェアに回復不可能な問題が発生したことを示唆しており、放置すると最悪の場合、PCが起動不能になったり、データが失われたりする可能性もあります。

しかし、WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORが表示されたからといって、すぐに絶望する必要はありません。このエラーが発生する原因は多岐にわたりますが、適切な手順を踏んで原因を特定し、対応することで、問題を解決できる可能性があります。この記事では、WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORがなぜ発生するのか、その主な原因は何か、そしてエラーに遭遇したあなたが「今すぐできる対処法」をステップバイステップで詳しく解説します。約5000語にわたる詳細な情報を提供することで、読者の皆さんが冷静に、そして効果的にこの困難な状況に対処できるようになることを目指します。

目次

  1. はじめに:WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORとは何か?

    • ブルースクリーンとは?
    • WHEAとは? UNCORRECTABLEとは?
    • このエラーが示す深刻さ
  2. WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの主な原因

    • ハードウェアの故障:最も可能性の高い要因
      • CPUの異常 (過熱、劣化、電力問題)
      • メモリ (RAM) の異常 (接触不良、故障、タイミング、電圧)
      • ストレージ (SSD/HDD) の異常 (故障、セクターエラー)
      • マザーボードの異常 (コンデンサ、チップセット、BIOS)
      • グラフィックカード (GPU) の異常 (過熱、故障、ドライバ)
      • 電源ユニット (PSU) の異常 (電力不足、劣化)
    • ハードウェアの設定問題
      • オーバークロックの失敗 (CPU, RAM, GPU)
      • BIOS/UEFI設定の不適切さ
    • ドライバの問題
      • ハードウェアドライバの互換性やバグ
    • ソフトウェアの問題 (稀なケース)
      • 特定のソフトウェアの干渉
      • Windowsシステムファイルの破損
    • 外部要因
      • 過熱 (PC内部の温度上昇)
      • 電力供給の不安定さ (コンセント、延長コード、停電など)
  3. エラー発生時にまず確認すべき重要な情報

    • ブルースクリーン画面の情報 (エラーコード 0x00000124)
    • イベントビューアーのログ (WHEA-Logger)
    • ミニダンプファイルの解析 (C:\Windows\Minidump)
    • エラー発生時の状況
    • PCの構成と使用年数
  4. 今すぐできる対処法:ステップバイステップガイド

    • ステップ0: 落ち着いて、情報を集めることから
    • ステップ1: シンプルな再起動を試す
    • ステップ2: セーフモードで起動し、原因を切り分ける
      • セーフモードで安定する場合の対処 (ドライバ、クリーンブート)
    • ステップ3: PC内部の物理的な確認と清掃
      • ケーブル接続、メモリの抜き差し、ホコリ除去
    • ステップ4: オーバークロック設定を無効にする (BIOS/UEFI)
    • ステップ5: BIOS/UEFIを最新バージョンにアップデートする
    • ステップ6: 各種ハードウェアドライバの更新またはロールバック
      • チップセット、グラフィックドライバは特に重要
    • ステップ7: メモリ (RAM) の徹底的なテスト
      • Windowsメモリ診断ツール
      • MemTest86による詳細テスト
    • ステップ8: ストレージ (SSD/HDD) の健全性をチェック
      • Windowsのエラーチェック (chkdsk)
      • メーカー製診断ツールとS.M.A.R.T.情報の確認
    • ステップ9: CPUの安定性をテストする (慎重に)
      • 高負荷テストツールの利用 (Prime95など)
      • CPUメーカー製診断ツール
    • ステップ10: PC各部の温度を監視する
      • 温度監視ツールの活用 (HWiNFOなど)
      • 冷却性能の確認
    • ステップ11: 電源ユニット (PSU) の状態を確認する
      • 容量不足や劣化の可能性
      • 異音や異臭の確認
    • ステップ12: Windowsシステムファイルの修復
      • sfc /scannow と DISMコマンド
      • システムの復元
    • ステップ13: Windowsのクリーンインストール (最終手段の一つ)
    • ステップ14: ハードウェア部品の交換 (原因特定後)
  5. 原因特定のさらに詳細な方法

    • イベントビューアーの詳細解析 (WHEA-Loggerの内容)
    • ダンプファイルの専門的な解析 (Windbgなど)
    • 最小構成での動作確認
  6. 自力での解決が難しい場合:専門家への相談

  7. WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの予防策

    • 定期的なメンテナンスと清掃
    • 適切な温度管理
    • ドライバ/BIOSの適切な管理
    • 過度な設定変更を避ける
    • 信頼できるハードウェアの選択
    • 安定した電力環境の確保
  8. まとめ:冷静な対処と原因の切り分けが鍵


1. はじめに:WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORとは何か?

ブルースクリーンとは?

Windowsを使用している際に突然、画面が青一色になり、白い文字でエラーメッセージが表示されることがあります。これが一般に「ブルースクリーン・オブ・デス(Blue Screen of Death, BSoD)」と呼ばれるものです。ブルースクリーンは、Windowsが致命的なシステムエラーを検知し、続行するとシステムやハードウェアに損害を与える可能性があると判断した場合に、システムを保護するために強制的に停止させる機能です。通常、ブルースクリーンが表示されると、PCは再起動を余儀なくされます。

ブルースクリーンには様々な種類があり、表示されるエラーコードやメッセージによって、問題の性質がある程度特定できます。例えば、「PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA」はメモリ関連、「DRIVER_IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」はドライバ関連など、それぞれが示唆する原因が異なります。

WHEAとは? UNCORRECTABLEとは?

今回扱う「WHEA_UNCORRECTABLE_ERROR」も、ブルースクリーンの一種です。このエラー名の構成を理解することで、その性質がより明確になります。

  • WHEA (Windows Hardware Error Architecture): これは、Windowsがハードウェアのエラーを検知し、報告するためのアーキテクチャ(仕組み)です。CPUやマザーボード、メモリなどのハードウェアで発生したエラーをWindowsに伝え、適切に処理するための枠組みを提供します。WHEAは、特にプロセッサやメモリ、PCI Expressといった主要なハードウェアで発生したエラーを監視しています。
  • UNCORRECTABLE (回復不可能な): この単語がエラーの深刻さを示しています。UNCORRECTABLEとは、「回復不可能」「修正不可能」という意味です。つまり、WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORは、「Windowsがハードウェアレベルで発生したエラーを検知したが、そのエラーはソフトウェア的な処理では修復できない、あるいは続行すると危険な状態である」と判断したことを意味します。

このエラーが示す深刻さ

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORは、ハードウェアレベルの深刻な問題を示唆しているため、他のブルースクリーンエラーと比較しても特に注意が必要です。多くの場合、このエラーはCPU、メモリ、マザーボード、ストレージ、または電源ユニットといった、PCの根幹をなす部品の物理的な故障、あるいは設定上の致命的な不整合によって発生します。

単なるソフトウェアのバグやドライバの一時的な問題ではなく、ハードウェア自体に根本的な原因がある可能性が高いため、安易に無視したり、システムの再起動だけで解決したと考えたりするのは危険です。再発する可能性が高く、最悪の場合はPCの起動不能につながることもあります。

この記事では、この深刻なエラーの原因を一つずつ掘り下げ、あなたが今すぐ実行できる具体的な対処法を網羅的に解説していきます。慌てず、冷静に、手順を踏んで問題解決に臨みましょう。

2. WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの主な原因

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORが発生する原因は一つではありません。様々なハードウェアの異常や設定の問題が複合的に絡み合っていることもあります。ここでは、可能性の高い原因を詳しく見ていきます。

ハードウェアの故障:最も可能性の高い要因

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの最も一般的な原因は、PCを構成するハードウェア部品の故障です。

  • CPU (中央演算処理装置) の異常:

    • 過熱: CPUはPCの中で最も発熱する部品の一つです。CPUクーラーの性能不足、ホコリの蓄積による冷却効率の低下、熱伝導グリスの劣化などによりCPUが過熱すると、異常を検知してエラーが発生することがあります。特に高負荷時にエラーが出る場合は、過熱の可能性が高いです。
    • 劣化/物理的損傷: CPUは経年劣化や製造時の初期不良、取り付け時の物理的な衝撃などによって故障することがあります。CPU内部の演算ユニットやキャッシュ、メモリコントローラーなどが異常を起こすと、回復不可能なエラーとして報告されます。
    • 電力供給の問題: マザーボードのCPU電源回路の異常や電源ユニットからの電力供給が不安定な場合、CPUが要求する電力を適切に受け取れず、演算エラーや不安定動作を引き起こし、WHEAエラーにつながることがあります。
  • メモリ (RAM) の異常:

    • 接触不良: メモリモジュールがマザーボードのスロットにしっかりと挿入されていない、または経年劣化で接触が悪くなっている場合にエラーが発生することがあります。メモリの抜き差しで改善することがあるのはこのためです。
    • 故障: メモリモジュール自体が物理的に故障している場合です。特定のメモリアドレスへの読み書きに失敗したり、データを正しく保持できなかったりすることで、システム全体が不安定になりエラーが発生します。
    • タイミングや電圧設定: BIOS/UEFIでメモリの動作周波数やタイミング、電圧を手動で設定している場合(XMP/DOCPプロファイルを含む)、これらの設定が不安定だとエラーの原因となります。特にオーバークロックされたメモリや、マザーボードとの相性が完璧でない場合に起こりやすいです。
    • 互換性の問題: マザーボードとメモリの組み合わせに互換性の問題がある場合も不安定動作の原因となります。
  • ストレージ (SSD/HDD) の異常:

    • 故障/セクターエラー: SSDやHDDが物理的に故障している、あるいは読み書き不可能な不良セクターが発生している場合、OSや重要なシステムファイルへのアクセスに失敗し、致命的なエラーにつながることがあります。特にOSがインストールされているドライブの異常はWHEAエラーの直接的な原因となり得ます。
    • ケーブルの問題: ストレージとマザーボードを接続するSATAケーブルや電源ケーブルの接触不良、劣化もデータの読み書きエラーを引き起こし、エラーの原因となることがあります。
  • マザーボードの異常:

    • コンデンサの劣化/破損: マザーボード上にあるコンデンサは電力供給の安定化に重要な役割を果たしています。これらが劣化したり膨張・破損したりすると、各部品への電力供給が不安定になり、CPUやメモリなどが異常動作し、WHEAエラーにつながります。
    • チップセットの故障: マザーボード上のチップセットは、CPUと他の部品(メモリ、ストレージ、拡張スロットなど)の間でデータのやり取りを仲介する重要な役割を担っています。チップセットが故障すると、システム全体の通信に異常が生じ、回復不可能なエラーが発生します。
    • BIOS/UEFIの破損: マザーボードのファームウェアであるBIOS/UEFIが破損している場合、ハードウェアの初期設定や管理が正しく行われず、不安定動作やエラーの原因となります。
  • グラフィックカード (GPU) の異常:

    • 過熱: CPUと同様、GPUも高温になりやすい部品です。GPUの冷却不足は描画エラーだけでなく、システムの不安定化を引き起こし、WHEAエラーとして報告されることがあります。
    • 故障: GPU自体が故障している場合です。特にVRAM(ビデオメモリ)の異常は深刻なエラーを引き起こしやすいです。
    • 注:GPU関連のエラーは「VIDEO_TDR_TIMEOUT_DETECTED」など別のエラーコードで報告されることが多いですが、GPUのハードウェアレベルの深刻な問題はWHEAとして報告されることもあります。
  • 電源ユニット (PSU) の異常:

    • 電力不足: PCに搭載しているハードウェア(特に高性能なCPUやGPU)に対して、電源ユニットの容量が不足している場合、高負荷時に電力供給が追いつかず、各部品が不安定動作を起こし、エラーが発生します。
    • 劣化/故障: 電源ユニットは内部の部品(特にコンデンサ)が経年劣化しやすい部品です。劣化により安定した電圧を供給できなくなったり、ノイズが増えたりすることで、PC全体の動作が不安定になり、WHEAエラーの原因となります。

ハードウェアの設定問題

物理的な故障ではなく、ハードウェアの設定が原因でエラーが発生することもあります。

  • オーバークロック: CPU、メモリ、またはGPUを定格以上の性能で動作させる設定(オーバークロック)は、電力や熱に関するマージンを削って行うため、不安定になりやすいです。不安定な設定(電圧不足、高すぎる周波数、緩すぎる/きつすぎるタイミング設定など)は、ハードウェアのエラーを直接引き起こし、WHEAエラーとして報告されます。
  • BIOS/UEFI設定の不適切さ: オーバークロック設定以外にも、BIOS/UEFIの特定の項目設定が環境と合わない場合や、古いBIOSバージョンが新しいハードウェアに完全に対応していない場合など、設定上の問題がエラーの原因となることがあります。

ドライバの問題

特定のハードウェアドライバ(部品をOSが認識・制御するためのソフトウェア)のバグや、他のドライバまたはWindowsとの互換性の問題が、ハードウェアのエラーと誤認識されたり、ハードウェアの異常な状態を引き起こしたりして、WHEAエラーにつながることもあります。特に、直前にドライバをアップデートしたり、Windowsアップデートを適用したりした後にエラーが発生した場合、ドライバ関連が原因である可能性も考慮すべきです。

ソフトウェアの問題 (稀なケース)

非常に稀なケースですが、特定のアプリケーションが高負荷をかけることでハードウェアが不安定になったり、低レベルなシステムリソースに異常なアクセスを試みたりする場合に、エラーが発生することがあります。また、Windowsシステムファイル自体が破損している場合も、ハードウェアとの連携がうまくいかず、エラーにつながる可能性はゼロではありません。ただし、WHEAエラーは基本的にハードウェアの問題を報告するものであるため、ソフトウェア単体が原因であるケースは少ないと考えられます。

外部要因

PCの内部だけでなく、使用環境もエラーの原因となり得ます。

  • 過熱: PC内部の部品が全体的に過熱している状態は、それぞれの部品の不安定動作を招き、エラー発生のリスクを高めます。室温が高すぎる、PCの通気性が悪い、ホコリが溜まっているなどが原因となります。
  • 電力供給の不安定さ: 家庭やオフィスのコンセントからの電力供給が不安定(電圧変動が大きいなど)な場合や、使用している延長コードや電源タップに問題がある場合、PC内部の電源ユニットや各部品の動作が不安定になることがあります。雷サージなどもPCにダメージを与え、後々エラーの原因となることがあります。

このように、WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの原因は多岐にわたりますが、そのほとんどがハードウェアレベルに起因するものです。原因を特定するためには、これらの可能性を一つずつ検証していく必要があります。

3. エラー発生時にまず確認すべき重要な情報

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORが発生したら、慌てずに以下の情報を確認し、記録することが、原因特定に向けた最初の重要なステップです。

  • ブルースクリーン画面の情報:

    • ブルースクリーンには、「WHEA_UNCORRECTABLE_ERROR」というエラー名の他に、「STOPコード」と呼ばれるエラーコードが表示されます。WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの場合、多くは0x00000124です。このコード自体が原因を直接示すわけではありませんが、他の情報と組み合わせることで手掛かりになります。
    • 画面下部に表示される可能性のあるファイル名やメモリアドレス。特定のファイル名が示されている場合、そのファイルに関連するハードウェアやドライバに問題がある可能性があります。
    • エラー発生後にPCが自動的に再起動するまでのカウントダウン。
  • イベントビューアーのログ:

    • Windowsはシステムで発生したイベントやエラーを「イベントビューアー」に記録しています。ブルースクリーン発生後、PCが再起動したら、すぐにイベントビューアーを確認しましょう。
    • Windows ログ -> Systemを開きます。
    • エラーが発生したと思われる時刻のログを探します。
    • 特に重要なのは、ソースがWHEA-LoggerでイベントIDが18のログです。このログには、発生したハードウェアエラーの種類に関する詳細な情報が含まれていることがあります。例えば、エラーが発生したプロセッサのコア番号(APIC ID)、エラーの種類(キャッシュエラー、バスエラー、メモリ関連のエラーなど)、エラーが発生したハードウェアの階層(L1キャッシュ、L2キャッシュ、L3キャッシュ、メモリコントローラーなど)などが記載されている場合があります。この情報は、原因となっているハードウェア(主にCPUやメモリ)を特定する上で非常に有力な手掛かりとなります。ただし、ログの内容は専門的で、読み解くにはある程度の知識が必要です。
  • ミニダンプファイルの解析:

    • ブルースクリーンが発生すると、Windowsはシステムの状態に関する情報を記録した小さなファイル(ミニダンプファイル)を作成することがあります。これらのファイルは通常、C:\Windows\Minidump\フォルダーに保存されます。
    • ミニダンプファイルを解析することで、エラーが発生した際のカーネルやドライバ、メモリの状態など、より詳細な情報を得られます。
    • 解析には専用のツールが必要です。一般ユーザー向けには、「WhoCrashed」という無料ツールが比較的簡単にダンプファイルを解析し、エラーの原因となった可能性のあるドライバやモジュールをレポートしてくれます。より専門的な解析には、Microsoftが提供する「Debugging Tools for Windows」に含まれるWindbgなどを使用します。
    • WhoCrashedを使えば、原因としてどのドライバファイルが疑われるか、スタックトレースからどのモジュールが関与しているかといった情報が得られる可能性があります。
  • エラー発生時の状況:

    • エラーはPCの起動中に発生したか?
    • 特定のアプリケーション(ゲーム、動画編集ソフト、ベンチマークツールなど、PCに負荷をかけるもの)を使用中に発生したか?
    • 何も操作していないアイドル中に発生したか?
    • PCを長時間使用した後に発生したか?
    • PCの構成(新しい部品を追加した、オーバークロック設定を変更したなど)を変更した直後に発生したか?
      これらの情報は、エラーが発生するトリガーや、問題が発生しているハードウェアの種類(高負荷時のみ問題が出るならCPUやGPU、常に問題が出るならメモリやマザーボードの可能性など)を推測する上で役立ちます。
  • PCの構成と使用年数:

    • 使用しているCPU、マザーボード、メモリ(容量、枚数、種類)、グラフィックカード、ストレージの種類(SSDかHDDか)、電源ユニット(容量、メーカー)などの情報を把握しておきましょう。これらの情報は、原因を絞り込む際に必要になります。
    • PCの使用年数も重要な情報です。使用期間が長いほど、部品の経年劣化による故障の可能性が高まります。

これらの情報を可能な限り多く集めることで、次に説明する対処法を効果的に実行するための指針が得られます。

4. 今すぐできる対処法:ステップバイステップガイド

収集した情報を元に、いよいよ具体的な対処法を実行していきます。ハードウェアエラーの可能性が高いため、物理的な確認や専用ツールを使ったテストが含まれます。簡単なものから順に試していきましょう。

ステップ0: 落ち着いて、情報を集めることから

前述の「エラー発生時にまず確認すべき重要な情報」の収集をまだ行っていない場合は、まずここから始めましょう。エラーコード、イベントビューアーのログ、ダンプファイルの情報は、今後の対処法を進める上で非常に重要な手掛かりとなります。特にイベントビューアーのWHEA-Logger (ID 18) の内容は、原因特定の強力なヒントになります。

ステップ1: シンプルな再起動を試す

一時的なソフトウェアの不具合やハードウェアの一瞬の不安定さであれば、PCを再起動するだけで問題が解消することがあります。エラーが発生したら、まずは通常のシャットダウンから再起動を試みてください。ただし、これで問題が解決したとしても、原因が解消されたわけではない可能性が高いため、可能であれば後述のハードウェアテストなども実行して、潜在的な問題がないか確認することをお勧めします。

ステップ2: セーフモードで起動し、原因を切り分ける

PCがブルースクリーンを繰り返し、正常にWindowsを起動できない場合は、セーフモードでの起動を試みます。セーフモードは、必要最低限のドライバとサービスのみでWindowsを起動する診断用の起動モードです。

  • セーフモードでの起動方法: Windows 10/11の場合、通常起動が3回連続で失敗すると、自動的に「自動修復」モードに入ります。そこから「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択し、再起動後の画面で数字キーの4を押して「セーフモードを有効にする」を選択します。正常に起動できる場合は、起動後のサインイン画面でShiftキーを押しながら再起動メニューから同じ操作を行うか、Windowsが起動している状態であれば「設定」→「更新とセキュリティ (Windows 10) / システム (Windows 11)」→「回復」→「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」から詳細オプションに進みます。

  • セーフモードで安定する場合の対処: セーフモードでWindowsが安定して起動し、エラーが発生しない場合、問題の原因は通常起動時に読み込まれるドライバやサービス、または常駐しているソフトウェアにある可能性が高いです。

    • ドライバの更新/ロールバック: 最近インストールまたはアップデートしたドライバがあれば、それをアンインストールまたはロールバックしてみてください。特にグラフィックドライバやチップセットドライバは影響が大きい場合があります。セーフモードからでもデバイスマネージャーを使ってドライバを管理できます。
    • クリーンブート: Windowsをクリーンブート(Microsoft以外のサービスやスタートアップ項目を無効にして起動する)することで、特定の常駐ソフトウェアが原因でないか切り分けることができます。「システム構成」(msconfig)ツールを使用します。セーフモードでクリーンブートを実行し、問題が解消するか確認後、サービスやスタートアップ項目を一つずつ有効にして原因を特定していきます。

ステップ3: PC内部の物理的な確認と清掃

WHEAエラーがハードウェアに起因する可能性が高いことから、PC内部の物理的な状態を確認することが非常に重要です。作業を行う際は、必ずPCの電源を完全に切り、電源ケーブルをコンセントから抜いてから行ってください。静電気による部品の損傷を防ぐため、PCケースの金属部分などに触れて身体の静電気を逃がしてから作業を開始しましょう。

  • ケーブル接続の確認: マザーボード上の電源コネクタ(メイン24ピン、CPU 4/8ピンなど)、グラフィックカードの補助電源コネクタ、ストレージ(SSD/HDD)のSATAケーブルと電源ケーブルなどがしっかりと接続されているか確認します。一度抜き差ししてみるのも良いでしょう。
  • メモリの抜き差し: メモリモジュールがスロットに正しく、奥までしっかり挿入されているか確認します。可能であれば、一度すべてのメモリモジュールを抜き、スロットの向きや切り欠きを確認しながら再度しっかり挿入し直してください。複数のメモリモジュールがある場合は、1枚だけ挿して起動できるか、スロットを変えてみるなども有効な切り分け方法です。
  • グラフィックカードの抜き差し: グラフィックカードがPCIeスロットにしっかり挿入されているか確認します。補助電源が必要なモデルの場合は、そちらも確認します。
  • CPUクーラーの確認: CPUクーラーがマザーボードにしっかりと固定されており、ぐらつきがないか確認します。クーラーが浮いているとCPUが適切に冷却されず過熱の原因となります。
  • ホコリ除去: PC内部、特にCPUクーラー、グラフィックカード、ケースファンのフィンなどにホコリが溜まっていないか確認します。ホコリは空気の流れを妨げ、過熱の大きな原因となります。エアダスターなどを使って丁寧にホコリを取り除きましょう。

ステップ4: オーバークロック設定を無効にする (BIOS/UEFI)

CPU、メモリ、またはGPUをオーバークロックしている場合、その設定が不安定さの原因である可能性が非常に高いです。BIOS/UEFI設定画面に入り、オーバークロック関連の設定(CPU倍率、電圧、メモリ周波数、タイミング、電圧など)をすべて無効にし、デフォルト設定に戻してください。メモリのXMP/DOCPプロファイルを有効にしている場合も、一旦無効にして基本周波数(DDR4なら2133MHzや2400MHz、DDR5なら4800MHzなど)で動作させてみましょう。

BIOS/UEFIの設定画面に入るには、PCの電源を入れた直後に特定のキー(Deleteキー、F2キーなど、マザーボードによって異なります)を連打します。操作方法はマザーボードのマニュアルを確認してください。設定変更後は、「Save and Exit」を選んで変更を保存し、PCを再起動します。

ステップ5: BIOS/UEFIを最新バージョンにアップデートする

マザーボードのBIOS/UEFIが古い場合、最新のハードウェアとの互換性問題や、既知のバグが原因で不安定動作やエラーが発生することがあります。マザーボードメーカーのウェブサイトで、お使いのマザーボード用の最新BIOS/UEFIバージョンが公開されていないか確認してください。

BIOS/UEFIのアップデートは、新しいバージョンでハードウェアの互換性や安定性が向上することが期待できますが、手順を誤るとマザーボードが起動不能になるリスクも伴います。アップデート方法や注意点(アップデート中の電源断は厳禁など)は、必ずマザーボードのマニュアルやメーカーウェブサイトの指示をよく読んで、その通りに行ってください。

ステップ6: 各種ハードウェアドライバの更新またはロールバック

古い、または破損したドライバが原因でハードウェアが異常動作し、WHEAエラーを引き起こすことがあります。特に、チップセットドライバとグラフィックドライバはシステムの安定性に大きく影響します。

  • ドライバの更新:
    • チップセットドライバ: マザーボードメーカーまたはCPUメーカー(IntelならIntel Download Center、AMDならAMD Drivers & Support)のウェブサイトから、お使いのマザーボード/チップセットに対応する最新のチップセットドライバをダウンロードし、インストールしてください。
    • グラフィックドライバ: NVIDIA、AMD、またはIntelの公式ウェブサイトから、お使いのグラフィックカードに対応する最新ドライバをダウンロードし、カスタムインストールで「クリーンインストール」または「Perform a clean installation」を選択してインストールすることをお勧めします。これにより、古い設定やファイルが完全に削除されます。
    • その他のドライバ: サウンドドライバ、ネットワークドライバ、ストレージコントローラドライバなども、必要に応じて最新版を確認してください。
  • ドライバのロールバック: エラーが発生する直前に特定のドライバをアップデートした場合、そのアップデートが原因である可能性があります。デバイスマネージャーを開き、問題が疑われるデバイス(ディスプレイアダプター、IDE ATA/ATAPI コントローラーなど)を右クリックし、「プロパティ」→「ドライバー」タブ→「ドライバーを元に戻す」を選択して、以前のバージョンに戻してみてください。

ステップ7: メモリ (RAM) の徹底的なテスト

メモリの異常はWHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの非常に一般的な原因の一つです。メモリテストツールを使用して、メモリに物理的なエラーがないか確認しましょう。

  • Windowsメモリ診断ツール: Windowsに標準搭載されているツールです。検索バーで「メモリ診断」と入力して起動できます。「今すぐ再起動して、問題の有無を確認する」を選択すると、PCが再起動し、Windowsが起動する前にメモリテストが実行されます。テスト結果はWindows起動後に通知されますが、より詳細な結果はイベントビューアー(Windowsログ→System、ソース:MemoryDiagnostics-Results)で確認できます。ただし、このツールは比較的簡易的なテストです。
  • MemTest86: これは、PCの起動前に実行される、より徹底的なメモリテストツールです。USBメモリなどに書き込んで使用します。
    1. MemTest86の公式サイトからイメージファイルをダウンロードします。
    2. Rufusなどのツールを使って、ダウンロードしたイメージファイルをUSBメモリに書き込み、起動可能なUSBメモリを作成します。
    3. 作成したUSBメモリをPCに挿し、PCを再起動します。BIOS/UEFI設定で、USBメモリから起動するようにブート順を変更します。
    4. MemTest86が起動したら、テストを開始します。テストは数時間かかる場合があります(メモリ容量が多いほど時間がかかります)。
    5. テスト中に一つでもエラーが検出された場合、そのメモリ(またはスロット)に問題がある可能性が極めて高いです。複数のメモリモジュールを搭載している場合は、1枚ずつテストして、どのモジュールが不良なのか特定します。

メモリテストでエラーが検出された場合、そのメモリモジュールの故障、または挿しているスロットの故障が考えられます。他のスロットに挿し直してみるか、エラーが出たメモリを外して他のメモリだけで動作させてみるなどの切り分けを行います。

ステップ8: ストレージ (SSD/HDD) の健全性をチェック

OSがインストールされているストレージに問題がある場合もWHEAエラーの原因となり得ます。

  • Windowsのディスクエラーチェック (chkdsk): コマンドプロンプトを管理者権限で実行し、「chkdsk C: /f /r」(C:はOSがインストールされているドライブ文字)と入力して実行します。次回のPC起動時にディスクのエラーチェックと修復が行われます。不良セクターがないかなども確認されます。
  • SSD/HDDメーカー提供の診断ツール: 各ストレージメーカー(Crucial, Samsung, Western Digital, Seagateなど)は、自社製のストレージの状態を診断するツールを提供しています。これらのツールを使って、ストレージの物理的な状態やS.M.A.R.T.情報(ストレージの自己診断機能情報)を確認します。S.M.A.R.T.情報でエラーや異常な値(代替処理済みのセクター数、不安定なセクター数など)が表示されている場合、ストレージの寿命が近づいているか、故障している可能性があります。
  • CrystalDiskInfo: これは様々なメーカーのストレージのS.M.A.R.T.情報を簡単に確認できるフリーソフトです。ストレージの「健康状態」が「注意」や「異常」と表示されている場合は、早めにデータのバックアップを取り、ストレージの交換を検討しましょう。

ステップ9: CPUの安定性をテストする (慎重に)

CPU自体に問題がないか確認するために、高負荷をかけるテストツールを使用することがあります。しかし、CPUの故障が疑われる状態で高負荷テストを行うと、さらに状態を悪化させる可能性もあるため、慎重に行ってください。特に過熱には十分注意が必要です。

  • 高負荷テストツール: Prime95 (特にSmall FFTsテストはCPUに高い熱負荷をかけます) やIntelBurnTest、OCCT (CPU Linpackテスト) などは、CPUに非常に高い負荷をかけ、その安定性をテストするツールです。これらのツールを実行中にエラーが発生したり、PCがシャットダウンしたりする場合、CPUの不安定さ(過熱、電圧不足、故障など)が疑われます。実行中はCPUの温度を監視ツール(後述)で常に確認してください。
  • CPUメーカー製診断ツール: IntelはIntel Processor Diagnostic Toolを、AMDはRyzen Master(監視ツールですが、安定性の目安になります)やAMD Ryzen Processor Master Utility(古いCPU向け)を提供しています。これらの公式ツールでのテストも有効です。

CPUテストでエラーが出たり、過熱が確認されたりした場合、CPUクーラーの再装着、熱伝導グリスの塗り直し、またはCPU自体の故障の可能性を検討します。

ステップ10: PC各部の温度を監視する

過熱はハードウェアの不安定動作や故障の主要な原因の一つです。WHEAエラーが発生する状況(高負荷時など)で、CPU、GPU、マザーボードの温度を監視しましょう。

  • 温度監視ツール: HWiNFO (非常に詳細な情報が得られます)、Core Temp (CPU温度)、MSI Afterburner (GPU温度) などのフリーソフトを利用します。
  • 監視方法: PC起動直後(アイドル時)の温度と、PCに負荷をかけた状態(ゲームやベンチマーク実行時など)の温度を比較します。CPUが90℃を超える、GPUが80℃を超える(モデルによりますが目安として)、マザーボードのVRM(電源回路)部分が異常に高温になる(触って熱い、HWiNFOなどで確認)といった場合は、過熱の兆候です。
  • 冷却性能の確認: ケースの吸排気ファンが正しく機能しているか、PC内部に空気の流れを妨げるものがないか確認します。必要に応じてケースファンの追加や、より高性能なCPUクーラー/GPUクーラーへの交換を検討します。前述のホコリ除去も重要です。

ステップ11: 電源ユニット (PSU) の状態を確認する

電源ユニットは、PC全体の電力供給を担う非常に重要な部品です。電源ユニットの容量不足や劣化は、特に高負荷時に電力供給が不安定になり、各部品がエラーを起こす原因となります。

  • 容量の確認: PCに搭載しているハードウェア(特にCPUとGPU)が必要とする電力に対して、電源ユニットの容量が十分か確認します。高性能なCPUやGPUを搭載している場合は、550W〜850W以上の電源が推奨されることが多いです。PCパーツ構成を入力すると推奨電源容量を計算してくれるウェブサイトなどもあります。
  • 劣化や故障の兆候: 電源ユニットから異音(コイル鳴きなど)がする、異臭がする、ファンが回らない、といった場合は、故障している可能性があります。電源ユニットは内部に高電圧の部品があるため、自分で分解したり修理したりするのは非常に危険です。
  • 交換による確認: 可能であれば、他の正常な電源ユニットと交換して問題が解決するか試すのが最も確実ですが、これは一般ユーザーには難しい場合が多いです。もし知人から借りるなどが可能であれば試してみる価値はあります。

電源ユニットの劣化や容量不足が疑われる場合は、信頼できるメーカーの適切な容量の新品に交換することを検討してください。

ステップ12: Windowsシステムファイルの修復

稀ではありますが、Windowsシステムファイル自体の破損がハードウェアとの連携に問題を引き起こし、エラーにつながる可能性もゼロではありません。

  • システムファイルチェッカー (sfc): コマンドプロンプトを管理者権限で実行し、「sfc /scannow」と入力して実行します。これは、保護されているシステムファイルをスキャンし、破損しているファイルをWindowsのキャッシュされているコピーに置き換えるツールです。
  • DISMコマンド: sfcコマンドで問題が解決しない場合、またはsfcが正しく機能しない場合は、Deployment Image Servicing and Management (DISM) ツールを使用します。コマンドプロンプトを管理者権限で実行し、「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」と入力して実行します。これはWindowsイメージを修復し、システムファイルの修復に必要なコンポーネントを復元します。インターネット接続が必要です。
  • システムの復元: 問題が発生する前の時点で「システムの復元ポイント」が作成されている場合、PCをその復元ポイントの状態に戻すことで、問題が解消する可能性があります。ただし、システムの復元はエラーの原因となっている設定やソフトウェアの変更を取り消すものなので、ハードウェアの物理的な故障には効果がありません。また、復元ポイント以降にインストールしたアプリケーションやドライバは削除される場合があります。

ステップ13: Windowsのクリーンインストール (最終手段の一つ)

上記すべてのソフトウェア的な対処法や一部のハードウェアテストを行っても問題が解決しない場合、ソフトウェア側の問題を完全に排除するために、Windowsをクリーンインストールするのも有力な手段です。クリーンインストールを行うと、OS、アプリケーション、設定、個人ファイルがすべて削除され、Windowsがまっさらな状態で再構築されます。

クリーンインストールを行う際は、事前に必要なデータのバックアップを必ず取得してください。クリーンインストール後もWHEAエラーが頻発する場合、原因はほぼ間違いなくハードウェアにあります。

ステップ14: ハードウェア部品の交換 (原因特定後)

これまでのステップで、どのハードウェア部品に問題があるかの見当がついた場合、その部品を交換することでエラーを根本的に解決できます。例えば、MemTest86で特定したメモリモジュール、S.M.A.R.T.情報で異常が示されたストレージ、イベントビューアーのログでCPUの特定のキャッシュエラーが頻繁に報告されている場合などは、その部品を交換することを検討します。

ただし、PCパーツの交換には専門知識が必要な場合もありますし、コストもかかります。交換作業に自信がない場合は、専門の修理業者に依頼することも視野に入れるべきです。

5. 原因特定のさらに詳細な方法

上記のステップを踏んでも原因が特定できない場合や、より確実に原因を突き止めたい場合は、さらに詳細な診断を行うことができます。

  • イベントビューアーの詳細解析 (WHEA-Loggerの内容): WHEA-Logger (ID 18) のログには、エラーに関する技術的な詳細情報が含まれています。例えば、「Error Source」、「Error Type」、「Processor APIC ID」、「Validation Bits」、「Section 0 Type (Processor Generic)」、「Section 1 Type (x86/x64 Processor Specific)」といった項目です。これらの項目に含まれる数値やフラグ(例えば、MCE – Machine Check Exception、CMC – Corrected Machine Checkなど)は、エラーが発生したハードウェア(CPUの特定のコア、キャッシュ階層など)やエラーの種類(TLBエラー、キャッシュエラー、バスエラー、メモリ関連エラーなど)を示唆しています。これらの情報は非常に専門的ですが、インターネットで情報を検索したり、ハードウェアメーカーの技術資料を参照したりすることで、原因特定の手がかりが得られることがあります。例えば、特定のAPIC IDで繰り返しエラーが発生する場合、そのAPIC IDに対応するCPUコアに問題がある可能性が高いです。
  • ダンプファイルの専門的な解析 (Windbgなど): ミニダンプファイルやフルダンプファイルを、Microsoftが提供するWindbg(Debugging Tools for Windowsの一部)などの専門的なデバッガーツールを使って解析することで、エラー発生時のシステム内部のより詳細な状態、エラーの原因となった可能性のあるカーネルモジュールやドライバ、スタックトレースなどを調べることができます。これは高度な知識とスキルが必要な作業ですが、原因特定に非常に有効です。
  • 最小構成での動作確認: PCのすべての部品を取り外し、OS起動に必要最低限の部品(マザーボード、CPU、CPUクーラー、1枚のメモリ、OSがインストールされたストレージ、グラフィックカード – CPUに内蔵GPUがある場合はグラフィックカードも外す)のみを接続した状態でPCを起動し、エラーが再現するか確認します。最小構成でエラーが発生しない場合、取り外した部品のいずれかに問題がある可能性が高いです。次に、取り外した部品を一つずつ追加していき、エラーが再発した時点で原因となっている部品を特定します。この方法は原因特定に非常に有効ですが、部品の取り付け/取り外しには注意が必要です。

6. 自力での解決が難しい場合:専門家への相談

上記の色々な対処法を試しても問題が解決しない場合や、物理的な部品の交換・検証などが難しいと感じる場合は、迷わずPCの修理業者や専門家、または購入店に相談することを検討してください。

  • 保証期間内の場合: PC本体や個別の部品に保証期間が残っている場合は、メーカーや販売店に問い合わせて修理または交換を依頼するのが最善です。この場合、自分で分解したり部品を交換したりすると保証が無効になることがあるので注意が必要です。
  • 専門の修理業者: PCの診断・修理を専門に行っている業者に依頼します。原因特定から修理、部品交換までを任せられます。ただし、診断料や修理費用が発生します。

専門家は適切な診断ツールや知識を持っており、より効率的かつ正確に原因を特定し、対処してくれます。特にハードウェアの深刻な故障が疑われる場合は、無理せず専門家に頼ることも重要な選択肢です。

7. WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの予防策

一度このエラーに遭遇すると、次にいつ発生するか不安になるものです。将来的にWHEA_UNCORRECTABLE_ERRORの発生リスクを低減するための予防策をいくつかご紹介します。

  • 定期的なメンテナンスと清掃: PC内部に溜まったホコリは過熱の原因となります。定期的にPCケースを開けて、エアダスターなどで内部のホコリを取り除きましょう。特にファンやヒートシンクのフィン部分は重点的に清掃します。
  • 適切な温度管理: PC各部の温度を定期的に監視し、異常な高温になっていないか確認します。ケースファンを適切に設置したり、エアフローの良いPCケースを使用したり、室温を適切に保ったりすることで、過熱を防ぎます。必要であれば、より高性能なCPUクーラーやグラフィックカードクーラーへの交換を検討します。
  • ドライバ/BIOSの適切な管理: ドライバやBIOS/UEFIは、必ずしも常に最新版が最適とは限りません。システムの安定性が確認されているバージョンを使用し、アップデートは必要に応じて(例えば、新しいハードウェアに対応するためや、既知のバグを修正するためなど)行うようにします。アップデートする際は、提供元(ハードウェアメーカー)の公式ウェブサイトからダウンロードし、指示に従って行います。
  • 過度な設定変更を避ける: オーバークロックは性能向上につながる可能性がありますが、PCの安定性を損なうリスクを伴います。安定動作を優先する場合は、オーバークロックは控えめにするか、行わない方が安全です。行う場合も、安定性が確認された範囲内で行い、ストレステストで十分に安定性を確認しましょう。
  • 信頼できるハードウェアの選択: PCを自作する場合や部品を交換する場合、実績があり信頼性の高いメーカーの部品を選ぶことが、初期不良や早期故障のリスクを減らすことにつながります。特に電源ユニットはPC全体の安定性に直結するため、品質の良いものを選ぶことが重要です。
  • 安定した電力環境の確保: PCを接続するコンセントや電源タップは、電圧が安定しているか確認します。可能であれば、雷サージ保護機能付きの電源タップを使用したり、無停電電源装置(UPS)を導入したりすることも、PCを電力トラブルから保護する上で有効です。

これらの予防策を実践することで、ハードウェア関連のエラー発生リスクを低減し、PCをより長く安定して使用できるようになります。

8. まとめ:冷静な対処と原因の切り分けが鍵

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORは、PCのハードウェアに深刻な問題が発生したことを示す、非常に不安になるエラーです。しかし、このエラーが表示されたからといって、すぐにPCが完全に壊れてしまうとは限りません。原因は多岐にわたるため、重要なのは慌てずに、冷静に、そして論理的に原因を一つずつ切り分けていくことです。

この記事でご紹介した対処法は、簡単なものから専門的なものまで多岐にわたります。まずはエラー発生時の情報(ブルースクリーン、イベントビューアー、ダンプファイル)を丁寧に収集し、そこから推測される原因に基づいて、物理的な確認、BIOS設定の変更、ドライバの管理、そして専用ツールを使ったハードウェアテストへと進めていくのが効果的な手順です。

特にメモリやストレージは、専用ツールを使うことで比較的容易に診断できる可能性のある部品です。過熱も非常に一般的な原因なので、温度監視も欠かさず行いましょう。

自力での解決が難しいと感じた場合や、原因がどうしても特定できない場合は、専門家や修理業者に相談することも賢明な選択です。保証期間内の場合は、メーカーや販売店への問い合わせを優先してください。

WHEA_UNCORRECTABLE_ERRORはハードウェアの寿命や限界を示唆していることもあります。繰り返し発生する場合や、特定の部品のテストで異常が検出された場合は、部品の交換が必要となる可能性が高いです。適切な対処と予防策を講じることで、PCの安定性を取り戻し、再び快適にPCを使用できるようになることを願っています。

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