Pandasより速い?話題のPolarsを紹介 – なぜ人気なのか

はい、承知いたしました。「Pandasより速い?話題のPolarsを紹介 – なぜ人気なのか」と題し、約5000語の詳細な記事を作成します。


Pandasより速い?話題のPolarsを紹介 – なぜ人気なのか

データ分析の世界では、PythonとPandasは長らくデファクトスタンダードとして君臨してきました。手軽さ、豊富な機能、そして巨大なコミュニティに支えられ、データ操作、クリーニング、集計において欠かせないツールとなっています。しかし、データ量の増加に伴い、Pandasの処理速度やメモリ効率に限界を感じる場面も増えてきました。特にギガバイト、テラバイトといった大規模なデータを扱う際には、その課題はより顕著になります。

そんな中、近年急速に注目を集めているのが、新しいDataFrameライブラリである「Polars」です。「Pandasより速いらしい」という噂を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。では、Polarsは本当に速いのでしょうか? なぜこれほどまでに人気が高まっているのでしょうか? 本稿では、その秘密を詳細に掘り下げていきます。

1. データ分析におけるパフォーマンスの課題

なぜ新しいライブラリが求められるのでしょうか?それは、データ分析の現場が直面している以下の課題に起因します。

  • データ量の爆発的な増加: IoT、Webサービス、ログデータなど、生成されるデータ量は加速度的に増加しています。Pandasが想定していたよりもはるかに大きなデータセットを扱う機会が増えました。
  • 処理時間の増大: データ量が増えれば、当然処理にかかる時間も増えます。数百MB程度であれば問題なくても、数GB、数十GBとなると、数分、数十分、あるいはそれ以上の時間がかかり、インタラクティブな分析が困難になります。
  • メモリ不足: Pandasはデータをメモリ上にロードして処理します。そのため、データセットが利用可能なメモリ容量を超えると、処理が非常に遅くなるか、メモリ不足エラーで停止してしまいます。大規模データを扱う際には、このメモリ効率がボトルネックになりがちです。
  • CPUの有効活用: 近年のコンピュータはマルチコアCPUが一般的ですが、Pandasの多くの操作はシングルコアで実行されるため、CPUの能力を十分に引き出せていない場合があります。

これらの課題を解決するために、より高速でメモリ効率が高く、マルチコアを最大限に活用できる新しいツールが求められていました。Polarsは、まさにこれらのニーズに応える形で登場したのです。

2. Polarsとは何か?

Polarsは、Rust言語で書かれた、高速なオープンソースのDataFrameライブラリです。Pythonのバインディングが提供されており、PythonコードからPolarsの強力な機能を利用できます。Pandasと同様に、表形式データ(スプレッドシートやデータベースのテーブルのような構造)を扱うことに特化しています。

Polarsの設計思想の根幹には、以下の点が挙げられます。

  • パフォーマンス最優先: ゼロオーバーヘッドの抽象化、効率的なメモリ管理、並列処理を徹底的に追求しています。
  • 使いやすさ: Pandasユーザーが比較的容易に移行できるよう、似たようなAPIを提供しつつも、より一貫性があり、意図が明確に伝わる設計を目指しています。
  • モダンな設計: Apache Arrowという、カラムナー形式のインメモリデータフォーマットをバックエンドに採用しており、効率的なデータ処理と他のシステムとの連携を可能にしています。

3. なぜPolarsはPandasより速いのか?

さて、本題です。PolarsがPandasより高速であるとされる主な理由を、技術的な側面から詳細に見ていきましょう。

3.1. Rustによるバックエンド

Polarsのコア部分は、C++やJavaといったコンパイル言語よりもさらに低レベルのメモリ管理が可能なシステムプログラミング言語であるRustで書かれています。Python自体はインタプリタ言語であり、その動的な性質やGlobal Interpreter Lock (GIL) が計算集約的な処理においてはボトルネックとなることがあります。

PolarsがRustで書かれていることの利点は以下の通りです。

  • 低レベルな最適化: RustはメモリレイアウトやCPUキャッシュの利用効率など、ハードウェアに近いレベルでの最適化が可能です。これにより、データアクセスや操作が非常に高速になります。
  • GILの回避: PythonのGILは、複数のスレッドが同時にPythonバイトコードを実行するのを制限するため、マルチコアCPUの恩恵を受けにくいという性質があります。Polarsの重い計算処理はRustコード内で実行されるため、GILの影響を受けずに真のマルチコア並列処理を実現できます。
  • メモリ安全性: Rustは静的な所有権システムにより、コンパイル時にメモリ安全性を保証します。これにより、実行時エラーの原因となる可能性のあるメモリ関連のバグ(Use-After-Free, Data Raceなど)を防ぎつつ、C/C++のような低レベルな制御が可能です。これは高速な処理を実現する上で重要な要素です。

Pandasも内部的にNumPyやC/C++のライブラリを利用して高速化を図っていますが、DataFrameオブジェクト自体の操作や管理はPythonレイヤーで行われる部分も多く、完全にGILの制約から逃れることはできません。Polarsは、データ操作のエンジン部分をRustで徹底的に構築することで、この点を根本的に改善しています。

3.2. 並列処理の積極的な活用

現代のコンピュータは、ほとんどが複数のCPUコアを搭載しています。Polarsは、これらのコアを最大限に活用するように設計されています。データ読込、フィルタリング、集計、ソートといった多くの操作が、自動的に複数のスレッドやプロセスに分割され、並列に実行されます。

  • 自動並列化: ユーザーが明示的に並列処理を指示する必要はほとんどありません。Polarsのクエリエンジンが、処理内容と利用可能なCPUリソースを判断し、最適な並列実行プランを立てて実行します。
  • タスク分割: 大規模なデータセットに対する処理は、小さなチャンクに分割され、それぞれが異なるコアで処理されます。例えば、巨大なCSVファイルを読み込む際、ファイルの各部分が異なるスレッドで同時に解析されるといったことが可能です。
  • ボトルネックの回避: 各コアが独立して作業を進めることで、全体の処理時間を大幅に短縮できます。Pandasでは、applyのような操作で並列化を試みることもありますが、オーバーヘッドが大きかったり、使い勝手が悪かったりする場合が多いです。Polarsはコアとなる操作で効率的な並列化を実現しています。

この自動的な並列処理は、ユーザーにとっては「同じコードなのにPolarsの方が圧倒的に速い!」と感じる最も体感しやすい違いの一つです。

3.3. 遅延評価 (Lazy Evaluation) – Polarsのキラーフィーチャー

Polarsの最も強力で、Pandasとの思想的な違いが明確に現れる機能の一つが「遅延評価(Lazy Evaluation)」です。

遅延評価とは何か?

通常のPythonやPandasのようなライブラリでは、「即時評価(Eager Evaluation)」が行われます。これは、コードに書かれた処理が、書かれた順番にその場で即座に実行される方式です。

“`python

Pandas (即時評価)

df = pd.read_csv(“large_data.csv”) # CSVを読み込み、メモリに展開
df = df[df[“column_a”] > 100] # 条件を満たす行をフィルタリングし、新しいDataFrameを作成
df = df[[“column_b”, “column_c”]] # 特定の列を選択し、新しいDataFrameを作成
result = df.groupby(“column_b”).agg({“column_c”: “mean”}) # グループ化と集計を実行
“`

この即時評価の問題点は、各ステップで中間結果が生成され、その都度メモリを消費し、データ全体を走査する必要がある可能性があることです。特に大規模データでは、この中間結果がメモリを圧迫したり、不要な計算が発生したりします。

一方、遅延評価では、コードに書かれた処理はすぐには実行されません。代わりに、どのような処理を行いたいかという「実行計画(Query Plan)」だけを構築していきます。そして、最終的にユーザーが結果を要求した時点(Polarsでは通常 .collect() メソッドを呼び出した時)で、構築された計画に基づいて最適な方法で一連の処理を一括で実行します。

“`python

Polars (遅延評価)

実行計画を構築

ldf = pl.scan_csv(“large_data.csv”) \ # CSVを読み込むプランを作成
.filter(pl.col(“column_a”) > 100) \ # フィルタリングするプランを追加
.select([“column_b”, “column_c”]) \ # 列を選択するプランを追加
.group_by(“column_b”) \ # グループ化するプランを追加
.agg(pl.col(“column_c”).mean()) # 集計するプランを追加

結果を要求 -> 最適化された計画に基づいて処理を実行

result = ldf.collect()
“`

遅延評価のメリット(最適化の可能性)

遅延評価の最大のメリットは、実行計画を「見る」ことができるため、Polarsのクエリオプティマイザが様々な最適化を施せる点です。

  1. 述語プッシュダウン (Predicate Pushdown): フィルタリング(条件で絞り込む処理)を、できるだけデータの読み込みや他の処理よりも「前」に実行します。これにより、後続の処理で扱うデータ量を大幅に減らすことができます。例えば、CSVファイルを読み込む前に、ファイルの内容をストリーミングしながらフィルタリングを行うことで、メモリにロードする必要のあるデータ量を削減できます。即時評価では、まず全体をメモリに読み込んでからフィルタリングすることになります。
  2. 射影プッシュダウン (Projection Pushdown): 必要な列だけを読み込み、不要な列は最初から無視します。例えば、select操作がクエリの早い段階で計画に含まれている場合、Polarsはデータソース(ファイルなど)からその列だけを読み込むように最適化できます。Pandasでは、通常すべての列を読み込んでから不要な列を削除することになります。
  3. 結合の順序最適化: 複数のテーブルを結合(Join)する際に、より効率的な結合順序を自動的に選択します。
  4. 共通部分式の排除: 複数の場所で同じ計算が行われている場合、その計算を一度だけ実行するように計画を変更します。
  5. 不要な計算の省略: 中間ステップで計算された結果が最終的に使われない場合、その計算自体を省略します。
  6. メモリ管理の最適化: 実行計画全体が見えているため、中間結果をメモリに保持する必要があるか、あるいはストリーミングで処理できるかなどを効率的に判断できます。

これらの最適化は、特に大規模なデータセットに対して複数の操作をチェーンしていく場合に絶大な効果を発揮します。データの読み込み、フィルタリング、列選択、変換、集計といった一連のETL(Extract, Transform, Load)処理を効率的に記述するのに非常に適しています。

遅延評価は、最初は少し慣れが必要な考え方かもしれませんが、Polarsが大規模データで高速な理由の核心部分であり、その強力さを引き出す上で不可欠な概念です。

3.4. Apache Arrowによる効率的なメモリ管理

Polarsは内部的にApache Arrowを採用しています。Arrowは、インメモリデータ分析のための標準的なカラムナー(列指向)データフォーマットです。

  • カラムナー形式: データを列ごとに連続したメモリブロックとして格納します。Pandasは行ごとにデータを格納する(または行指向に近い)側面が強いのに対し、PolarsやArrowは列指向です。列指向の利点は、特定の列全体に対する操作(例:列の合計、平均、特定の列だけを読み込む)が非常に効率的に行える点です。関連データがメモリ上で近くに配置されるため、CPUキャッシュの利用効率が高まります。
  • 効率的なデータ型: Arrowは数値、テキスト、カテゴリなどの様々なデータ型を効率的に扱うための最適化された構造を提供します。
  • 他のシステムとの連携: Arrowは、Spark, Dask, Presto, Rなどの他の多くのデータ処理システムでサポートされています。これにより、Polarsで処理したデータを他のArrow対応システムに渡す際に、データのコピーやシリアライズ/デシリアライズのオーバーヘッドを最小限に抑えることができます。

この効率的なメモリ管理は、処理速度だけでなく、より大きなデータセットをメモリに乗せられることにも貢献します。

3.5. 最適化されたアルゴリズム

Polarsは、ソート、グループ化、結合などのコアとなるデータ操作のために、最新かつ高性能なアルゴリズムをRustで実装しています。これらのアルゴリズムは、並列実行やキャッシュ効率を考慮してゼロから設計されており、一般的な実装よりも高速に動作します。

これらの技術的な要素(Rustバックエンド、並列処理、遅延評価、Arrow、最適化アルゴリズム)が組み合わさることで、Polarsは特に大規模データのバッチ処理やETL処理において、Pandasを凌駕するパフォーマンスを発揮します。

4. Polarsの主要な機能と概念

Polarsを使い始めるにあたり、理解しておくべき主要な機能や概念を紹介します。

4.1. DataFrameとSeries

PolarsにもPandasと同様に、DataFrameSeriesという基本的なデータ構造があります。DataFrameは複数のSeries(列)から構成される表形式データ、Seriesは1次元のデータ配列を表します。概念的にはPandasと似ていますが、APIや内部実装には違いがあります。

  • Immutability (不変性): PolarsのDataFrameは、基本的に不変(Immutable)です。Pandasのように df['new_col'] = ... のようにDataFrameをインプレースで変更する操作は推奨されません。代わりに、新しい列を追加したり、既存の列を変換したりする場合は、with_columnsのようなメソッドを使って「変換された新しいDataFrameを返す」というスタイルを取ります。これにより、クエリ最適化が容易になり、意図しない副作用を防ぐことができます。
  • Method Chaining: PolarsのAPIは、メソッドチェーンを前提として設計されています。複数の操作を.で繋いで記述することで、実行計画が構築されていきます。これは、即時評価の場合でも遅延評価の場合でも一貫しています。

4.2. 式 (Expressions)

Polarsの最も特徴的な概念の一つが「式 (Expression)」です。Pandasでは、列に対する操作はNumPyの関数を使ったり、ラムダ関数を使ったり、DataFrameのメソッドを使ったりと様々な方法がありますが、Polarsでは多くの操作を「式」として表現します。

式は、計算や変換の「レシピ」のようなものです。それ自体はすぐには計算を実行せず、データフレームの操作メソッド(例: select, filter, with_columns, group_by().agg(), sort) の引数として渡されることで、どの列に対してどのような処理を適用するかをPolarsに伝えます。

式は pl.col() から始めることが多いです。

“`python
import polars as pl

df = pl.DataFrame({
“a”: [1, 2, 3],
“b”: [4, 5, 6]
})

例: 式の利用

expr1 = pl.col(“a”) + pl.col(“b”) # ‘a’列と’b’列を足すという式
expr2 = pl.col(“a”).mean() # ‘a’列の平均を計算するという式
expr3 = pl.col(“b”).filter(pl.col(“a”) > 1) # ‘a’ > 1 の条件で’b’列をフィルタリングするという式

これらの式をDataFrameのメソッド内で使用

df_selected = df.select([
pl.col(“a”), # ‘a’列をそのまま選択
(pl.col(“a”) * 2).alias(“a_doubled”), # ‘a’列を2倍にして’a_doubled’という新しい列を作成
expr1.alias(“sum_a_b”) # 式expr1の結果を’sum_a_b’という新しい列として追加
])
print(df_selected)

出力:

shape: (3, 3)

┌─────┬─────────────┬─────────┐

│ a ┆ a_doubled ┆ sum_a_b │

│ i64 ┆ i64 ┆ i64 │

╞═════╪═════════════╪═════════╡

│ 1 ┆ 2 ┆ 5 │

│ 2 ┆ 4 ┆ 7 │

│ 3 ┆ 6 ┆ 9 │

└─────┴─────────────┴─────────┘

df_filtered = df.filter(pl.col(“a”) > 1) # ‘a’ > 1 という条件式でフィルタリング
print(df_filtered)

出力:

shape: (2, 2)

┌─────┬─────┐

│ a ┆ b │

│ i64 ┆ i64 │

╞═════╪═════╡

│ 2 ┆ 5 │

│ 3 ┆ 6 │

└─────┴─────┘

df_agg = df.group_by(“a”).agg([
pl.col(“b”).sum().alias(“b_sum”), # グループごとに’b’列の合計を計算
pl.count().alias(“count”) # グループごとの行数をカウント
])
print(df_agg)

出力例 (グループ化のため順序は不定):

shape: (3, 3)

┌─────┬───────┬───────┐

│ a ┆ b_sum ┆ count │

│ i64 ┆ i64 ┆ u32 │

╞═════╪═══════╪═══════╡

│ 1 ┆ 4 ┆ 1 │

│ 2 ┆ 5 ┆ 1 │

│ 3 ┆ 6 ┆ 1 │

└─────┴───────┴───────┘

“`

式は、単なる列参照 (pl.col("col_name")) だけでなく、数学演算子 (+, -, *, /)、比較演算子 (>, <, ==)、論理演算子 (&, |, ~)、そして様々なメソッド(例: .mean(), .sum(), .std(), .is_null(), .str.contains(), .dt.year() など)を組み合わせて構築できます。

この式システムにより、Polarsは強力なクエリ最適化を適用できるだけでなく、ユーザーはより宣言的なスタイルでデータ変換を記述できます。「〇〇という列を、△△という条件でフィルタリングし、その結果の合計を計算する」といった処理を、式の組み合わせで表現するのです。

4.3. 遅延評価と即時評価 (Lazy vs Eager)

Polarsは、デフォルトでは即時評価(Eager API)で動作します。これはPandasの操作感に近く、DataFrameオブジェクトに対して直接操作を行うと、その場で結果が返されます。

“`python

即時評価 (Eager)

df = pl.read_csv(“data.csv”) # 即座に読み込み
filtered_df = df.filter(pl.col(“column”) > 10) # 即座にフィルタリングして新しいDataFrameを生成
“`

一方、大規模データや複雑なETL処理でPolarsの真価を発揮するのが遅延評価(Lazy API)です。即時評価のDataFrameに対して .lazy() メソッドを呼び出すか、pl.scan_csv()pl.scan_parquet() のように scan_* 系関数を使ってデータソースを指定することで、遅延評価モードに入ります。

遅延評価モードでは、メソッドチェーンで操作を繋いでも、実際の計算は実行されません。代わりに、内部的に実行計画が構築されていきます。最後に .collect() メソッドを呼び出すことで、構築された計画がオプティマイザによって最適化された上で実行され、結果がPolarsのDataFrameとして返されます。

“`python

遅延評価 (Lazy)

ldf = pl.scan_csv(“large_data.csv”) # 読み込み計画を構築 (まだデータは読み込まない)
ldf = ldf.filter(pl.col(“column”) > 10) # フィルタリング計画を追加
ldf = ldf.select([“column_a”, “column_b”]) # 列選択計画を追加

print(ldf) # ここで表示されるのは計画情報

result_df = ldf.collect() # 計画を実行し、結果のDataFrameを取得
“`

遅延評価モードでは、.show_graph() メソッドを使って構築された実行計画を可視化することも可能です。これにより、Polarsがどのように処理を最適化しようとしているのかを確認できます。

どちらのモードを使うかは、データサイズや処理の複雑性によります。小規模なデータでインタラクティブな操作を行う場合は即時評価が手軽です。大規模なデータでパフォーマンスが重要な場合や、複雑なETLパイプラインを構築する場合は、遅延評価を利用するのが一般的です。

4.4. コンテキストとGroupBy

Polarsの操作は、特定の「コンテキスト」内で実行されると考えることができます。例えば、selectwith_columns はDataFrame全体やその指定された列のコンテキストで式を評価します。

特に重要なのが group_by コンテキストです。group_by でグループ化された後、.agg() メソッドを使って集計操作を行います。.agg() の中に渡される式は、各グループのコンテキストで評価されます。

“`python
df = pl.DataFrame({
“group”: [“A”, “A”, “B”, “B”, “A”],
“value”: [1, 2, 3, 4, 5]
})

グループ化と集計

grouped = df.group_by(“group”)

グループごとにvalueの合計と平均を計算

agg_df = grouped.agg([
pl.col(“value”).sum().alias(“value_sum”),
pl.col(“value”).mean().alias(“value_mean”)
])
print(agg_df)

出力例 (グループ順序は不定):

shape: (2, 3)

┌───────┬─────────┬────────────┐

│ group ┆ value_sum ┆ value_mean │

│ str ┆ i64 ┆ f64 │

╞═══════╪═════════╪════════════╡

│ A ┆ 8 ┆ 2.666667 │

│ B ┆ 7 ┆ 3.5 │

└───────┴─────────┴────────────┘

“`

agg の中で使用する式は、group_by の外部で使用する場合とは少し意味合いが変わることがあります。例えば、pl.col("value").sum() は、グループ化されていないコンテキストでは列全体の合計を計算しますが、agg の中では「各グループの」value 列の合計を計算します。このコンテキストの理解は、Polarsで複雑なデータ変換を行う上で重要です。

4.5. スキーマとデータ型

Polarsは、データ型(スキーマ)を明示的に扱うことを重視しています。多くの場合、CSVやParquetファイルからデータを読み込む際にスキーマは自動的に推論されますが、大規模なデータセットで型推論に時間がかかったり、意図しない型になったりするのを避けるために、ユーザーが明示的にスキーマを指定することも推奨されます。

Polarsのデータ型は、PandasやNumPyの型と対応していますが、より細分化されていたり、異なる命名だったりします(例: Int64, Float64, Boolean, String, Date, Datetime, Categorical, List)。特に Categorical 型は、文字列データのメモリ使用量を削減し、比較やグループ化を高速化するのに役立ちます。

また、Polarsは欠損値を null として扱います。これはSQLやRDBのNULLに近く、Pandasが数値型で NaN、オブジェクト型で NoneNaN を使い分けるのと比べて一貫性があります。null の扱いは、フィルタリングや集計関数で自然な振る舞いをします(例: sum()null を無視する)。

5. Polars vs. Pandas: 詳細比較

これまでの議論を踏まえ、PolarsとPandasを様々な側面から比較してみましょう。

側面 Polars Pandas
パフォーマンス 大規模データ、並列処理、遅延評価により高速 中〜大規模データで遅くなる傾向がある
バックエンド Rust(GILフリー) Python (NumPy, C/C++も利用するがGILの影響を受ける場面がある)
並列処理 多くの操作で自動的に並列実行 一部の操作で並列化のオプションがあるが限定的
評価方法 デフォルト即時評価 + 強力な遅延評価 (.lazy().collect()) 即時評価のみ (DaskやModinのような外部ライブラリで遅延実行は可能)
メモリ効率 Apache Arrowベースのカラムナー形式、効率的なメモリ管理 行指向に近い部分があり、メモリ効率が劣る場合がある
APIスタイル メソッドチェーン、式(Expressions)ベース、不変性 インプレース変更、インデックス/列ラベルベースの操作
学習曲線 Pandasからの移行には、式や遅延評価の概念理解が必要 Pythonユーザーには直感的(特にSeriesの操作など)
コミュニティ/エコシステム 急速に成長中、活発な開発、Discordなど 巨大なコミュニティ、豊富なライブラリ連携 (SciPy, Statsmodels, Scikit-learnなど)
欠損値 null (一貫している) NaN (数値)、None など (型によって異なる場合がある)
データの順序 通常、操作によって順序が保存されるとは限らない(ソートが必要な場合が多い) 多くの場合、操作後も元の行順序が維持される(インデックスによる)
インデックス 明示的なインデックスを持たない(必要なら列として扱う) 強力なインデックス機能 (MultiIndexなど)

パフォーマンス: これはPolarsの最大の強みです。特に数GB以上のデータセットに対するフィルタリング、集計、結合といった操作で、Pandasと比較して数倍、時には数十倍以上の速度差が見られることがあります。これは前述のRust、並列処理、遅延評価、Arrowといった技術スタックの直接的な恩恵です。

APIの違い: PolarsのAPIはメソッドチェーンと式を中心に構築されており、関数型プログラミングに近い宣言的なスタイルを好むユーザーには馴染みやすいかもしれません。一方、Pandasのインデックスや列ラベルを使った操作は、スプレッドシートのような感覚で直感的に操作できる側面があります。Pandasのインプレース変更は手軽ですが、大規模データや複雑なパイプラインでは意図しない挙動やパフォーマンス低下の原因になることもあります。Polarsの不変性は、より堅牢なコードを書くのに役立ちます。

学習曲線: Pandasを使い慣れているユーザーがPolarsに移行する場合、APIの違い、特に「式」の考え方と「遅延評価」のワークフローに慣れるのに時間がかかる可能性があります。しかし、基本的な操作(読み込み、フィルタリング、列選択など)については、PolarsのAPIも比較的シンプルで分かりやすいように設計されています。

エコシステム: Pandasは長い歴史を持ち、データ分析・機械学習分野の他の多くのPythonライブラリ(SciPy, Statsmodels, Scikit-learn, Matplotlib, Seabornなど)との連携が非常に密です。Polarsのエコシステムはまだ発展途上ですが、PyArrowを介したデータのやり取りはスムーズに行えます。特定の専門的なライブラリに依存した処理を行う場合は、まだPandasの方が都合が良い場合があります。

インデックス: Pandasの強力なインデックス機能(特にMultiIndex)は、時系列データや階層的なデータを扱う際に非常に便利です。Polarsは明示的なインデックスを持たず、必要であれば通常の列としてデータを管理します。これは設計思想の違いであり、どちらが良いかはユースケースによります。インデックス操作が複雑な場合、Polarsでは少し手間がかかるかもしれません。

6. Polarsはどんな時に選ぶべきか? Pandasを使い続けるべきか?

PolarsとPandas、どちらを選ぶべきかは、プロジェクトの要件や個人の慣れ、チームのスキルセットによって異なります。

Polarsを選ぶべきケース:

  • 処理速度がボトルネックになっている: 現在のデータ処理がPandasで非常に遅く、待機時間が生産性を著しく低下させている場合。
  • 大規模なデータセットを扱う: メモリに乗り切らないほどではないにしても、数GBから数十GBといったサイズのデータを頻繁に扱う場合。
  • ETLパイプラインの構築: データの前処理、変換、集計といった複雑な一連の処理を効率的かつ高速に実行したい場合。遅延評価と最適化が威力を発揮します。
  • システムリソースを有効活用したい: マルチコアCPUを最大限に活用して並列処理を行いたい場合。
  • モダンなデータ処理技術に興味がある: 遅延評価や式ベースのAPIといった新しいパラダイムを学びたい、取り入れたい場合。
  • Apache Arrowエコシステムとの連携: Arrow形式でのデータの入出力が多い場合。

Pandasを使い続けるべき(またはPolarsが向かない可能性が高い)ケース:

  • データセットが比較的小さい: 数十MB〜数百MB程度のデータであれば、Pandasでも十分な速度が得られることが多く、Polarsに移行するメリットが小さい場合があります。
  • 既存のコードベースが大きい: プロジェクトの大部分が既にPandasで書かれており、書き直しにかかるコストが大きい場合。
  • 特定のライブラリとの連携が必須: Statsmodelsでの統計モデリング、特定のSciPy関数の利用、古いバージョンのScikit-learnとの緊密な連携など、PandasのDataFrameを直接引数として要求するライブラリに強く依存している場合。
  • インタラクティブな探索的データ分析 (EDA): Jupyter Notebookなどでデータを手軽に操作しながら、逐次的に結果を確認していくような作業では、即時評価のPandasの方が直感的に感じる場合があります(ただしPolarsの即時評価モードでも十分可能)。
  • 強力なインデックス機能が必要: 時系列データや複雑な階層構造を持つデータなど、Pandasのインデックス機能に強く依存した処理を行っている場合。
  • チームメンバーの習熟度: チーム全体がPandasに慣れており、Polarsの新しい概念を学習する時間やコストをかけられない場合。

多くの場合、Pandasで始めて、パフォーマンスが問題になったらPolarsへの移行を検討する、あるいはプロジェクトの一部にPolarsを導入して並行して使う、といったアプローチが現実的です。PolarsとPandasは、データをPythonで扱うという点では共通していますが、得意とする領域や設計思想が異なるため、それぞれの長所を理解して使い分けることが重要です。

7. Polarsを使ってみる – 基本的な操作

Polarsを実際に使ってみましょう。インストールから基本的なデータ操作までを簡単に紹介します。

7.1. インストール

Polarsはpipで簡単にインストールできます。

bash
pip install polars

追加でApache Arrowのサポートを有効にしたい場合は、以下のようにインストールします。

bash
pip install polars pyarrow

7.2. DataFrameの作成

Pythonのリスト、辞書、NumPy配列、Pandas DataFrameなどからPolars DataFrameを作成できます。

“`python
import polars as pl
import pandas as pd
import numpy as np

辞書から作成

data_dict = {
“col_int”: [1, 2, 3, 4, 5],
“col_str”: [“A”, “B”, “C”, “D”, “E”],
“col_float”: [1.1, 2.2, 3.3, 4.4, 5.5]
}
df = pl.DataFrame(data_dict)
print(df)

NumPy配列から作成

data_np = np.array([[1, 2], [3, 4]])
df_np = pl.DataFrame(data_np, schema=[“col1”, “col2”]) # スキーマを明示的に指定可能
print(df_np)

Pandas DataFrameから変換

pandas_df = pd.DataFrame({
“col_a”: [10, 20],
“col_b”: [30, 40]
})
df_from_pandas = pl.DataFrame(pandas_df)
print(df_from_pandas)
“`

7.3. データ読み込み (CSV, Parquetなど)

read_* 系関数(即時評価)や scan_* 系関数(遅延評価)を使用します。

“`python

即時評価でCSVを読み込み

try:
df_csv_eager = pl.read_csv(“sample.csv”)
print(df_csv_eager.head())
except FileNotFoundError:
print(“sample.csv not found. Skipping read_csv example.”)
# ダミーデータでDataFrameを作成
df_csv_eager = pl.DataFrame({
“id”: [1, 2, 3],
“value”: [100, 200, 300],
“category”: [“X”, “Y”, “X”]
})
print(df_csv_eager)

遅延評価でCSVをスキャン (大規模ファイルに推奨)

scan_csv はファイルパスを受け取り、LazyFrameを返す

try:
ldf_csv_lazy = pl.scan_csv(“large_sample.csv”) # まだ読み込まない
# print(ldf_csv_lazy) # <- 計画情報が表示される
result_df = ldf_csv_lazy.head(3).collect() # 先頭3行を取得する計画を実行
print(result_df)
except FileNotFoundError:
print(“large_sample.csv not found. Skipping scan_csv example.”)
# ダミーのLazyFrameを作成 (実際にはファイルからスキャンする方が一般的)
ldf_csv_lazy = pl.DataFrame({
“big_id”: list(range(1000)),
“big_value”: [i * 10 for i in range(1000)]
}).lazy()
print(ldf_csv_lazy.head(3).collect())

Parquetファイルの読み込みも同様

df_parquet_eager = pl.read_parquet(“sample.parquet”)

ldf_parquet_lazy = pl.scan_parquet(“large_sample.parquet”)

“`

scan_* 系関数は、遅延評価の最適化(述語プッシュダウンや射影プッシュダウンなど)が適用されるため、特に大規模ファイルからの読み込み時に高いパフォーマンスを発揮します。

7.4. 列の選択 (select)

select メソッドは、特定の列を選択したり、式を使って新しい列を作成したりするのに使います。必ず結果として新しいDataFrameを返します。

“`python
df = pl.DataFrame({
“a”: [1, 2, 3],
“b”: [4, 5, 6],
“c”: [“X”, “Y”, “Z”]
})

単一の列を選択

df_a = df.select(“a”)
print(df_a)

複数の列を選択

df_a_c = df.select([“a”, “c”])
print(df_a_c)

式を使って新しい列を作成しながら選択

df_transformed = df.select([
pl.col(“a”),
(pl.col(“a”) * 10).alias(“a_times_10”), # a*10の結果を’a_times_10’という列名で追加
pl.col(“b”).cast(pl.Float64).alias(“b_float”) # b列をFloat64型に変換して’b_float’列として追加
])
print(df_transformed)
“`

7.5. 行のフィルタリング (filter)

filter メソッドは、ブール式(条件式)を使って行を抽出します。

“`python
df = pl.DataFrame({
“a”: [1, 2, 3, 4, 5],
“b”: [10, 20, 30, 40, 50]
})

‘a’列が3より大きい行をフィルタリング

df_filtered = df.filter(pl.col(“a”) > 3)
print(df_filtered)

複数の条件を組み合わせる (論理AND: &)

df_filtered_multi = df.filter((pl.col(“a”) > 2) & (pl.col(“b”) < 50))
print(df_filtered_multi)
“`

7.6. 新しい列の追加/変換 (with_columns)

with_columns メソッドは、既存の列を変換したり、新しい列を追加したりするのに使います。結果として、元の列に加えて新しい列や変換された列を含む新しいDataFrameを返します。

“`python
df = pl.DataFrame({
“a”: [1, 2, 3],
“b”: [4, 5, 6]
})

‘c’という新しい列を追加 (a + b の結果)

df_with_c = df.with_columns((pl.col(“a”) + pl.col(“b”)).alias(“c”))
print(df_with_c)

‘a’列をインプレース(のように見える)で変換 (a * 2 の結果で置き換え)

実際には新しいDataFrameが返される

df_transformed_a = df.with_columns((pl.col(“a”) * 2).alias(“a”))
print(df_transformed_a)
“`

7.7. 集計 (group_by, agg)

group_byagg を組み合わせて集計を行います。agg の中には、集計したい列とその方法を示す式をリストで渡します。

“`python
df = pl.DataFrame({
“category”: [“A”, “B”, “A”, “C”, “B”, “C”, “A”],
“value”: [10, 20, 15, 25, 30, 35, 12],
“weight”: [1, 1, 2, 1, 2, 1, 1]
})

category ごとに value の合計と平均を計算

agg_result = df.group_by(“category”).agg([
pl.col(“value”).sum().alias(“total_value”),
pl.col(“value”).mean().alias(“average_value”),
pl.count().alias(“count”) # 各グループの行数
])
print(agg_result)

複数の列でグループ化し、加重平均を計算

weighted_avg = df.group_by(“category”).agg([
(pl.col(“value”) * pl.col(“weight”)).sum() / pl.col(“weight”).sum()
]).alias(“weighted_average_value”)
print(weighted_avg)
“`

7.8. ソート (sort)

sort メソッドで指定した列の値に基づいて行を並べ替えます。

“`python
df = pl.DataFrame({
“name”: [“Alice”, “Bob”, “Charlie”, “David”],
“score”: [85, 92, 78, 85]
})

score 列で昇順にソート

df_sorted = df.sort(“score”)
print(df_sorted)

score 列で降順にソートし、次に name 列で昇順にソート

df_sorted_multi = df.sort([“score”, “name”], descending=[True, False])
print(df_sorted_multi)
“`

7.9. 欠損値の扱い

Polarsは欠損値を null として扱います。is_null(), is_not_null(), fill_null() などのメソッドや式を使って処理できます。

“`python
df = pl.DataFrame({
“col_a”: [1, 2, None, 4, 5],
“col_b”: [“A”, “B”, “C”, None, “E”]
})

欠損値を含む行をフィルタリング

df_no_null = df.filter(pl.col(“col_a”).is_not_null())
print(df_no_null)

欠損値を特定の値で埋める

df_filled = df.with_columns([
pl.col(“col_a”).fill_null(0).alias(“col_a_filled_0”),
pl.col(“col_b”).fill_null(“Missing”).alias(“col_b_filled_missing”)
])
print(df_filled)
“`

これらの基本的な操作だけでも、PolarsがPandasと似た目的を、少し異なるAPIスタイル(特に式の利用)で達成していることがわかるかと思います。遅延評価と組み合わせることで、これらの操作が最適化された上で高速に実行されます。

8. Polarsコミュニティと今後の展望

Polarsは比較的新しいライブラリですが、非常に活発に開発されており、急速にコミュニティを拡大しています。GitHubリポジトリは多くのスターを集め、Discordサーバーでは開発者やユーザーが積極的に情報交換を行っています。

今後の展望としては、さらなるパフォーマンス最適化はもちろん、機能の拡充(例: 空間データ、ネットワークデータへの対応など)、他のデータサイエンスツールとの連携強化が期待されます。特に遅延評価と式のシステムは強力であり、より複雑なクエリや最適化を可能にする基盤となります。

PolarsがPandasを完全に置き換えるかどうかはまだ分かりませんが、少なくとも大規模データ処理の分野において、最も有力な代替手段の一つとしてその地位を確立しつつあります。

9. まとめ

本稿では、話題のDataFrameライブラリであるPolarsについて、なぜPandasより高速とされ、人気を集めているのかを詳細に解説しました。

Polarsの速度の秘密は、主に以下の点に集約されます。

  • Rustによる高性能バックエンド: GILの制約を受けず、低レベルでの最適化と並列処理を実現。
  • 自動的な並列処理: 複数のCPUコアを最大限に活用。
  • 遅延評価とクエリ最適化: 実行計画を立て、述語プッシュダウンや射影プッシュダウンなどの最適化を適用。
  • Apache Arrowベースのメモリ効率: カラムナー形式で効率的なデータアクセス。
  • 最適化されたアルゴリズム: 各種データ操作アルゴリズムが高性能に実装されている。

Polarsは、特に大規模なデータセットに対するETL処理やバッチ処理において、Pandasを大きく上回るパフォーマンスを発揮する可能性があります。その強力な遅延評価と式ベースのAPIは、効率的なパイプライン構築を可能にします。

一方で、Pandasも依然として多くのユーザーにとって強力で使い慣れたツールであり、その広範なエコシステムは魅力的です。小規模データでのインタラクティブな分析や、Pandasに強く依存する他のライブラリとの連携においては、引き続き有力な選択肢となります。

Polarsはまだ発展途上であり、APIの変更や機能追加も頻繁に行われていますが、その将来性は非常に高いと言えます。もしあなたが現在、Pandasのパフォーマンスに課題を感じている、あるいは大規模データ処理の効率化を目指しているなら、Polarsを試してみる価値は十分にあります。

Polarsの学習には、式と遅延評価という新しい概念への慣れが必要ですが、それを乗り越えれば、データ分析のワークフローを劇的に高速化し、より大きなデータセットを扱えるようになるでしょう。データ分析の世界は常に進化しています。新しい強力なツールであるPolarsを理解し、使いこなすことは、データサイエンティストやデータエンジニアにとって、ますます重要になっていくはずです。

ぜひ、あなたの環境にPolarsをインストールして、その速さと可能性を体感してみてください。


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