【初心者必見】最初に覚えるべきPython必須ライブラリ15選


【初心者必見】最初に覚えるべきPython必須ライブラリ15選(詳細解説付き)

Pythonの学習を始めたばかりの皆さん、こんにちは!基本的な文法(変数、if文、for文、関数など)を学び終え、「次は何をすればいいんだろう?」と感じていませんか?その答えこそが「ライブラリの活用」です。Pythonの真の力は、そのシンプルで美しい文法だけでなく、世界中の開発者が作り上げた豊富で強力なライブラリ群にあります。

ライブラリとは、便利な機能があらかじめまとめられた「部品箱」のようなものです。これらを使えば、複雑な処理を短いコードで実現でき、データ分析、Webサイト作成、日々の作業の自動化など、あなたの「やりたいこと」をすぐに形にすることができます。

この記事では、膨大な数のPythonライブラリの中から、初心者がキャリアの第一歩として絶対に押さえておくべき必須ライブラリを15個厳選しました。それぞれが「何をするためのものか」「なぜ重要なのか」「どうやって使うのか」を、具体的なコード例を交えながら、約5000語のボリュームで徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたはPythonで何ができるのかを具体的にイメージでき、次の学習ステップへと自信を持って進めるようになっているはずです。それでは、Pythonの素晴らしいライブラリの世界へ旅立ちましょう!


カテゴリ別・必須ライブラリ15選 早見表

これから紹介する15個のライブラリを、目的別にカテゴリ分けしました。まずは全体像を掴んでみましょう。

カテゴリ ライブラリ名 一言でいうと?
A. データサイエンス・機械学習 1. NumPy 高速な数値計算の土台
2. Pandas 表形式データの分析・操作の王様
3. Matplotlib データの可視化・グラフ作成の定番
4. Scikit-learn 機械学習を手軽に実践できる総合キット
5. Jupyter Notebook/Lab 対話的にデータ分析を進めるための開発環境
B. Web・スクレイピング 6. Requests Webサイトとの通信(HTTP)を驚くほど簡単に
7. Beautiful Soup 4 Webページから情報を抽出する魔法のスープ
8. Flask 軽量でシンプル、Webアプリ開発の第一歩
C. 自動化・ユーティリティ 9. Pillow (PIL Fork) 画像の読み込み、加工、保存を自由自在に
10. OpenPyXL ExcelファイルをPythonで自動操作
11. os / glob ファイルやフォルダを操作する基本ツール(標準)
D. GUIアプリケーション開発 12. Tkinter Python標準のGUI作成キット(標準)
E. 開発の基礎・効率化 13. datetime 日付と時刻を扱うなら必須(標準)
14. json Web APIで必須のデータ形式を扱う(標準)
15. Poetry モダンなPython開発のプロジェクト・パッケージ管理

※(標準)と記載のあるものは、Pythonをインストールした時点で使える「標準ライブラリ」です。


A. データサイエンス・機械学習

現代のPythonを語る上で欠かせないのが、データサイエンスと機械学習の分野です。このカテゴリのライブラリは、データを分析し、価値ある洞察を引き出すための強力な武器となります。

1. NumPy (ナムパイ) – 数値計算の高速な土台

【キャッチフレーズ】Pythonの数値計算を、もっと速く、もっとパワフルに。

概要

NumPyは “Numerical Python” の略で、Pythonで数値計算、特に多次元配列(ベクトルや行列)を効率的に扱うための最も基本的なライブラリです。Python標準のリスト型は非常に柔軟ですが、大量の数値を一括で計算するには速度が遅いという欠点があります。NumPyは、ndarrayという高速な配列オブジェクトを提供し、この問題を解決します。データサイエンス、機械学習、科学技術計算など、数値が関わるあらゆる分野で土台となる、まさに必須中の必須ライブラリです。

なぜ初心者が学ぶべきか?

この後紹介するPandas、Matplotlib、Scikit-learnといった主要なデータサイエンス系ライブラリは、すべて内部でNumPyのndarrayをデータ構造の基礎として利用しています。つまり、NumPyを理解することは、これらの応用ライブラリをより深く、効果的に使いこなすための前提知識となります。また、画像データ(ピクセルの集まり)や音声データなども本質的には数値の配列であるため、NumPyの知識はデータ分析以外の分野にも広く応用が効きます。最初に学んでおくことで、その後の学習効率が劇的に向上します。

主な機能・できること

  • 高速な多次元配列 ndarray の作成と操作: ベクトル(1次元)、行列(2次元)、さらに高次元のテンソルを扱えます。
  • 要素ごとの演算(ユニバーサル関数): forループを使わずに、配列の全要素に対して一度に計算(足し算、引き算、sin, cosなど)ができます。これによりコードが簡潔かつ高速になります。
  • ブロードキャスティング: 形の異なる配列同士でも、ルールに基づいて自動的に形状を合わせて計算してくれる強力な機能です。
  • 豊富な数学関数: 線形代数(行列積、逆行列など)、フーリエ変換、乱数生成など、科学技術計算に必要な関数が網羅されています。

簡単なコード例

まずはNumPyをインストールします。
bash
pip install numpy

次に、基本的な使い方を見てみましょう。Pythonのリストとの違いに注目してください。
“`python
import numpy as np # npという別名でインポートするのが慣例です

Pythonのリスト

list_a = [1, 2, 3, 4, 5]

NumPyの配列 (ndarray) を作成

array_a = np.array(list_a)

各要素を10倍にする処理

Pythonリストの場合 (forループが必要)

list_result = []
for item in list_a:
list_result.append(item * 10)
print(f”Pythonリストの結果: {list_result}”)

NumPy配列の場合 (ループ不要!)

array_result = array_a * 10
print(f”NumPy配列の結果: {array_result}”)

NumPy配列同士の計算も簡単

array_b = np.array([10, 20, 30, 40, 50])
print(f”NumPy配列の足し算: {array_a + array_b}”) # 各要素が足し算される
“`
この例から、NumPyがいかに数値計算を直感的かつ効率的に行うかが一目瞭然でしょう。

学習のヒント

最初は np.array() での配列作成、形状の確認 (.shape)、そして配列同士や配列と数値の四則演算に慣れることから始めましょう。その後、スライシング(配列の一部分を取り出す操作)や、np.sum(), np.mean() などの集計関数を学ぶと、できることの幅が大きく広がります。

2. Pandas (パンダス) – 表形式データの分析・操作の王様

【キャッチフレーズ】Excelやスプレッドシートの操作を、Pythonで自動化・高度化。

概要

Pandasは、CSVファイルやExcelファイルのような表形式のデータを扱うためのライブラリです。Series(1次元のデータ、列に相当)とDataFrame(2次元のデータ、表全体に相当)という2つの強力なデータ構造を提供します。データの読み込み、クリーニング、加工、集計、可視化まで、データ分析の一連のプロセスをスムーズに行うことができます。NumPyが数値計算の土台なら、Pandasはデータ分析の実践的な土台と言えるでしょう。

なぜ初心者が学ぶべきか?

現実世界のデータの多くは、表形式で存在します。売上データ、アンケート結果、Webサイトのアクセスログなど、これらすべてをPandasで扱うことができます。「特定の条件を満たす行だけを抽出する」「月別に売上を集計する」「欠損しているデータを補完する」といった、Excelで手作業で行っていたような面倒な作業を、Pythonコードで再現・自動化できるのが最大の魅力です。データ分析家やデータサイエンティストを目指すなら、避けては通れないライブラリです。

主な機能・できること

  • 多様なデータ形式の読み書き: CSV, Excel, SQLデータベース, JSONなど、様々な形式のデータを簡単に読み込んでDataFrameに変換できます。
  • データの選択・抽出(スライシング・フィルタリング): 行や列の名前、位置、条件式を使って、必要なデータを自由自在に取り出せます。
  • データクリーニング: 欠損値(NaN)の検出・補完・削除、データ型の変換、重複データの削除など、分析前のデータ準備を効率化します。
  • 集計・統計処理: グループごとの集計(groupby)、ピボットテーブル作成、移動平均の計算など、高度な集計が簡単に行えます。
  • データの結合・連結: 複数のテーブルをSQLのように結合(マージ)したり、縦横に連結したりできます。

簡単なコード例

bash
pip install pandas openpyxl # Excelファイルを扱うためにopenpyxlも同時にインストール

簡単な売上データ(CSVファイル)を扱う例を見てみましょう。
sales.csv というファイルが以下のような内容だとします。
csv
Date,Category,Amount
2023-10-01,Food,500
2023-10-01,Drink,200
2023-10-02,Food,700
2023-10-02,Stationery,300
2023-10-02,Drink,150

“`python
import pandas as pd

CSVファイルを読み込んでDataFrameを作成

df = pd.read_csv(‘sales.csv’)

データの最初の5行を表示

print(“— 元のデータ —“)
print(df.head())

‘Amount’が400より大きいデータを抽出

print(“\n— Amount > 400 のデータ —“)
print(df[df[‘Amount’] > 400])

‘Category’ ごとに ‘Amount’ の合計を計算

print(“\n— カテゴリ別の合計金額 —“)
category_sum = df.groupby(‘Category’)[‘Amount’].sum()
print(category_sum)

新しい列を追加

df[‘Tax_included’] = df[‘Amount’] * 1.1
print(“\n— 税込み価格列を追加 —“)
print(df.head())
“`
このように、数行のコードで複雑なデータ操作が可能なことがわかります。

学習のヒント

pd.read_csv()pd.read_excel() でデータを読み込むことから始めましょう。次に、df.head(), df.info(), df.describe() でデータの概要を掴む練習をします。その後、列の選択 (df['列名'])、行の条件指定 (df[条件式])、そして最重要機能である groupby をマスターすることが目標です。

3. Matplotlib (マットプロットリブ) – データ可視化の定番

【キャッチフレーズ】百聞は一見に如かず。データをグラフで語らせよう。

概要

Matplotlibは、Pythonで静的なグラフ(折れ線グラフ、棒グラフ、散布図、ヒストグラムなど)を作成するための、最も標準的で歴史のあるライブラリです。Pandasがデータ分析の「操作」を担当するなら、Matplotlibはその結果を「可視化」し、人間が直感的に理解できるようにする役割を担います。非常に柔軟性が高く、細かい部分までカスタマイズできるため、学術論文で使われるような高品質なグラフも作成可能です。

なぜ初心者が学ぶべきか?

データ分析において、数値をただ眺めているだけでは気づけないパターンや傾向、異常値などを発見するために、可視化は不可欠なスキルです。Pandasの計算結果をMatplotlibでグラフにすることで、分析結果を他者に説得力を持って伝えられるようになります。また、多くの他の可視化ライブラリ(Seabornなど)も内部でMatplotlibを利用しているため、これを学んでおくことは可視化全般の基礎知識となります。

主な機能・できること

  • 基本的なグラフの描画: 折れ線グラフ、棒グラフ、散布図、円グラフ、ヒストグラムなど、一般的なグラフはすべて描画できます。
  • グラフのカスタマイズ: タイトル、軸ラベル、凡例、色、線のスタイル、マーカーの種類など、グラフの見た目を細かく調整できます。
  • 複数のグラフの描画: 1つの描画領域に複数のグラフを並べて表示(サブプロット)することができます。
  • 画像の保存: 作成したグラフをPNG, JPG, PDFなどの形式でファイルに保存できます。

簡単なコード例

bash
pip install matplotlib

“`python
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

— 折れ線グラフ —

x軸のデータ

x = np.linspace(0, 10, 100) # 0から10までを100等分した配列

y軸のデータ

y_sin = np.sin(x)
y_cos = np.cos(x)

グラフの描画

plt.figure(figsize=(8, 5)) # グラフのサイズを指定
plt.plot(x, y_sin, label=’sin(x)’, color=’blue’, linestyle=’-‘)
plt.plot(x, y_cos, label=’cos(x)’, color=’red’, linestyle=’–‘)

グラフの装飾

plt.title(‘Sine and Cosine Waves’) # タイトル
plt.xlabel(‘x-axis’) # x軸ラベル
plt.ylabel(‘y-axis’) # y軸ラベル
plt.grid(True) # グリッド線
plt.legend() # 凡例を表示

グラフを表示

plt.show()

— 棒グラフ (Pandasと連携) —

import pandas as pd

前のPandasの例で作ったカテゴリ別合計データを使う

category_sum = pd.Series({‘Food’: 1200, ‘Drink’: 350, ‘Stationery’: 300})

plt.figure(figsize=(7, 4))
category_sum.plot(kind=’bar’, color=[‘skyblue’, ‘lightgreen’, ‘salmon’])
plt.title(‘Total Sales by Category’)
plt.ylabel(‘Total Amount’)
plt.xticks(rotation=0) # x軸ラベルを水平に
plt.show()
“`

学習のヒント

まずは plt.plot() で簡単な折れ線グラフを描くことから始めましょう。次に、plt.title(), plt.xlabel(), plt.ylabel(), plt.legend() でグラフを装飾する方法を覚えます。PandasのDataFrameやSeriesには .plot() メソッドが用意されており、これを使うとMatplotlibと簡単に連携できるので、合わせて学ぶと非常に効率的です。

4. Scikit-learn (サイキットラーン) – 機械学習を手軽に実践

【キャッチフレーズ】未来を予測する力を、あなたのPythonに。

概要

Scikit-learnは、Pythonで機械学習を実装するための総合的なライブラリです。分類、回帰、クラスタリング、次元削減など、機械学習の主要なアルゴリズムが豊富に実装されており、統一されたシンプルなインターフェースで利用できるのが最大の特徴です。難しい数式を意識することなく、数行のコードで高度な予測モデルを構築し、評価することができます。

なぜ初心者が学ぶべきか?

「機械学習」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、Scikit-learnのおかげで、初心者がその第一歩を踏み出すハードルは劇的に下がりました。NumPyやPandasで準備したデータを使って、「このメールはスパムか?(分類)」「明日の気温は?(回帰)」といった予測タスクを手軽に試すことができます。機械学習の基本的な流れ(データ準備→モデル学習→予測→評価)を実践的に学ぶのに最適なツールであり、このライブラリを使いこなせることが、データサイエンティストへの登竜門と言っても過言ではありません。

主な機能・できること

  • 分類 (Classification): データがどのクラスに属するかを予測(例: スパムメール判定、画像認識)。
  • 回帰 (Regression): 連続する数値を予測(例: 株価予測、不動産価格予測)。
  • クラスタリング (Clustering): 教師なしでデータを似た者同士のグループに分ける(例: 顧客セグメンテーション)。
  • 次元削減 (Dimensionality Reduction): データの特徴量を減らして、可視化や計算効率の向上を図る。
  • モデル選択・評価: データを学習用とテスト用に分割する機能や、モデルの性能を評価するための様々な指標が用意されています。
  • 前処理: データの標準化や正規化など、機械学習モデルに適した形にデータを変換する機能も豊富です。

簡単なコード例

bash
pip install scikit-learn

アヤメ(Iris)の花の種類を、がく片と花びらのサイズから分類する有名な例を見てみましょう。
“`python
from sklearn.datasets import load_iris
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.neighbors import KNeighborsClassifier
from sklearn.metrics import accuracy_score

1. データの準備

iris = load_iris()
X = iris.data # 特徴量 (がく片の長さ/幅, 花びらの長さ/幅)
y = iris.target # 目的変数 (花の種類: 0, 1, 2)

データを学習用とテスト用に分割 (80%を学習用, 20%をテスト用)

X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

2. モデルの選択と学習

K-近傍法というアルゴリズムを選択

model = KNeighborsClassifier(n_neighbors=3)

学習データを使ってモデルを学習させる

model.fit(X_train, y_train)

3. 予測

テストデータを使って予測を行う

y_pred = model.predict(X_test)

4. 評価

実際の答え(y_test)とモデルの予測(y_pred)を比較して、正解率を計算

accuracy = accuracy_score(y_test, y_pred)
print(f”モデルの正解率: {accuracy:.2f}”) # .2fは小数点以下2桁まで表示

5. 未知のデータで予測

例: がく片長5.0, 幅3.5, 花びら長1.5, 幅0.2 のアヤメは何か?

unknown_flower = [[5.0, 3.5, 1.5, 0.2]]
predicted_species_index = model.predict(unknown_flower)
predicted_species_name = iris.target_names[predicted_species_index[0]]
print(f”新しい花の予測結果: {predicted_species_name}”)
“`

学習のヒント

まずはScikit-learnの基本的な使い方「fit(学習)してpredict(予測)する」という流れを覚えましょう。上記のIrisの分類問題は、機械学習の”Hello, World!”とも言える定番のチュートリアルです。これを自分で書き写し、test_sizen_neighborsの値を変更して結果がどう変わるか試してみるのが良いスタートです。

5. Jupyter Notebook / Lab – 対話的な開発環境

【キャッチフレーズ】試行錯誤が楽しくなる、データ分析のための魔法のノート。

概要

厳密にはライブラリではありませんが、データサイエンス分野では欠かすことのできない「開発環境」です。Jupyterは、Webブラウザ上で動作し、「セル」と呼ばれる単位でコードを記述・実行できます。実行結果(数値、表、グラフなど)がコードのすぐ下に表示されるため、試行錯誤しながら対話的に分析を進めるのに非常に適しています。Jupyter Notebookがクラシックなバージョン、JupyterLabが高機能な次世代バージョンです。

なぜ初心者が学ぶべきか?

データ分析は、一度に完璧なコードを書くのではなく、「データを読み込む→中身を確認する→前処理する→可視化する→モデルを作る…」というように、少しずつ段階を踏んで進めます。Jupyterを使えば、各ステップの結果を即座に確認しながら作業できるため、思考を中断させることがありません。PandasのDataFrameの中身を見たり、Matplotlibのグラフをその場で表示したりするのに最適です。初心者が分析のプロセスを学ぶ上で、これ以上ないほど便利なツールです。

主な機能・できること

  • セル単位でのコード実行: プログラム全体を一度に実行するのではなく、好きな部分だけを実行し、結果を確認できます。
  • インライン表示: Matplotlibで作成したグラフなどを、コードセルの直下に直接表示できます。
  • Markdownのサポート: コードだけでなく、Markdown記法を使って説明文や見出しをノート内に記述でき、分析の過程や考察を記録するのに役立ちます。
  • 多様なフォーマットへのエクスポート: 作成したノートブックをHTMLやPDF、Pythonスクリプト(.py)として保存できます。

簡単なコード例

まず、JupyterLabをインストールします。
bash
pip install jupyterlab

インストール後、ターミナル(コマンドプロンプト)で以下のコマンドを実行すると、ブラウザが起動してJupyterLabの画面が開きます。
bash
jupyter lab

JupyterLab上で、以下のようなコードをセルに1つずつ入力し、「Shift + Enter」で実行してみてください。
“`python

— セル1 —

import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt

— セル2 —

CSVを読み込んでDataFrameを作成

df = pd.read_csv(‘sales.csv’)
df.head() # このセルの実行結果として表が表示される

— セル3 —

カテゴリ別の売上合計を計算

category_sum = df.groupby(‘Category’)[‘Amount’].sum()
print(category_sum) # このセルの実行結果としてSeriesが表示される

— セル4 —

棒グラフを描画

plt.figure()
category_sum.plot(kind=’bar’)
plt.title(‘Sales by Category’)

このセルの実行結果としてグラフが表示される

“`

学習のヒント

とにかく使ってみることです。これまでに紹介したNumPy, Pandas, Matplotlibのコードを、JupyterLab上で実行してみてください。その便利さをすぐに体感できるはずです。ショートカットキー(Shift+Enterで実行、EscAで上にセルを追加など)を覚えると、さらに作業が快適になります。


B. Web・スクレイピング

インターネット上にあふれる情報をプログラムで自動的に取得したり、自分でWebサービスを作ったりするためのライブラリ群です。

6. Requests – HTTP通信を驚くほど簡単に

【キャッチフレーズ】Webの世界への扉を開く、最も人間的なHTTPライブラリ。

概要

Requestsは、PythonでHTTP通信を行うための事実上の標準ライブラリです。「人間のためのHTTP」を謳っており、非常にシンプルで直感的なコードでWebサイトの情報を取得したり、API(Application Programming Interface)を叩いたりすることができます。Pythonの標準ライブラリにもurllibというHTTPクライアントがありますが、Requestsはより使いやすく、高機能です。

なぜ初心者が学ぶべきか?

現代のアプリケーションの多くは、何らかの形でインターネットと通信します。Webサイトからデータを取得する「スクレイピング」の第一歩は、そのサイトのHTMLを取得することです。また、天気予報、株価、地図情報などを提供する多くのWebサービスは、APIを通じてデータを提供しています。Requestsを使いこなせれば、これらの膨大な情報源にプログラムからアクセスできるようになり、作れるアプリケーションの幅が飛躍的に広がります。

主な機能・できること

  • GETリクエスト: WebページやAPIから情報を取得します。
  • POSTリクエスト: フォームの送信やAPIへのデータ登録など、サーバーに情報を送信します。
  • その他HTTPメソッド: PUT, DELETE, HEAD, OPTIONSなどもサポート。
  • パラメータの指定: URLのクエリパラメータ(?key=valueの部分)を辞書形式で簡単に指定できます。
  • ヘッダー、Cookieの管理: ブラウザのふりをするためのヘッダー情報や、セッション管理のためのCookieを簡単に扱えます。
  • レスポンス情報の取得: ステータスコード(200 OKなど)、レスポンスヘッダー、テキスト内容、JSON内容などを簡単に取り出せます。

簡単なコード例

bash
pip install requests

指定したURLのWebページの内容を取得し、気象庁のAPIから東京の天気予報を取得する例です。
“`python
import requests
import json # JSONデータを整形するためにインポート

— WebページのHTMLを取得 —

try:
# Yahoo! JAPANのトップページにGETリクエストを送る
response_web = requests.get(‘https://www.yahoo.co.jp/’)

# ステータスコードを確認 (200なら成功)
response_web.raise_for_status()

print(f"Yahoo! JAPAN のステータスコード: {response_web.status_code}")
# print(response_web.text[:500]) # 取得したHTMLの先頭500文字を表示

except requests.exceptions.RequestException as e:
print(f”Webページ取得エラー: {e}”)

— Web APIからJSONデータを取得 —

try:
# 気象庁の天気予報API (東京)
url_api = ‘https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/data/forecast/130000.json’
response_api = requests.get(url_api)
response_api.raise_for_status()

# レスポンスをJSON形式(Pythonの辞書/リスト)に変換
weather_data = response_api.json()

# データを整形して表示
# print(json.dumps(weather_data, indent=2, ensure_ascii=False))

# 東京の今日の天気予報を取得して表示
tokyo_forecast = weather_data[0]['timeSeries'][0]['areas'][0]
print(f"\n--- {tokyo_forecast['area']['name']}の天気予報 ---")
print(f"今日の天気: {tokyo_forecast['weathers'][0]}")

except requests.exceptions.RequestException as e:
print(f”API取得エラー: {e}”)
“`

学習のヒント

まずは requests.get() で好きなWebサイトの情報を取得してみましょう。response.status_code で通信が成功したか確認する癖をつけると良いです。次に、公開されている無料のAPI(上記の気象庁APIなど)を探して、.json() メソッドでデータを取得し、中身をprintしてみるのがおすすめです。

7. Beautiful Soup 4 – Webページから情報を抽出する魔法のスープ

【キャッチフレーズ】ごちゃごちゃのHTMLを、意味のあるデータに変える。

概要

Beautiful Soup 4(bs4)は、HTMLやXMLファイルからデータを抽出するためのライブラリです。Requestsで取得したWebページのHTMLは、ただの長い文字列です。Beautiful Soupは、この文字列をパース(解析)して、タグ(<a>, <div>, <p>など)を頼りに目的の情報へ簡単にアクセスできるオブジェクトに変換してくれます。

なぜ初心者が学ぶべきか?

Webスクレイピングを行う際の定番の組み合わせが「Requests + Beautiful Soup」です。RequestsでHTMLを取得し、Beautiful Soupでその中からニュースのタイトル、商品の価格、ブログの本文といった必要な部分だけを抜き出します。このスキルを身につければ、Web上にあるほぼすべてのテキスト情報を自動で収集・整理できるようになり、データ収集の強力な武器になります。

主な機能・できること

  • HTML/XMLのパース: 文字列のHTMLを、Pythonで扱いやすいツリー構造のオブジェクトに変換します。
  • タグ名での検索: soup.find('h1') のように、タグ名を指定して要素を検索できます。
  • CSSセレクタでの検索: soup.select('#main-contents .article-title') のように、CSSセレクタを使って柔軟かつ強力に要素を特定できます。
  • 属性の取得: tag['href'] のようにして、タグの属性(リンクのURLなど)を取得できます。
  • テキストの取得: tag.get_text() で、タグに囲まれたテキスト部分だけを抽出できます。

簡単なコード例

bash
pip install beautifulsoup4 lxml # パースを高速化するlxmlも入れるのがおすすめ

架空のニュースサイトから記事タイトルとリンクを抜き出す例です。
“`python
import requests
from bs4 import BeautifulSoup

スクレイピング対象のURL

url = ‘https://news.yahoo.co.jp/topics/top-picks’

RequestsでHTMLを取得

response = requests.get(url)
response.raise_for_status() # エラーチェック

Beautiful SoupでHTMLをパース

‘lxml’ は高速なパーサー

soup = BeautifulSoup(response.text, ‘lxml’)

CSSセレクタを使ってニュースのヘッドライン要素を取得

実際のサイトの構造は開発者ツールで確認する必要がある

このセレクタは2023年時点のYahoo!ニュース トピックスの構造に基づいた例です

aタグで、クラス名に’sc-fLlhyt’が含まれるものを探す

headlines = soup.select(‘a.sc-fLlhyt’)

print(“— Yahoo!ニュース トピックス —“)
for i, headline in enumerate(headlines[:8]): # 最初の8件だけ表示
# タグの中からテキスト部分を取得
title = headline.get_text(strip=True)
# aタグのhref属性(リンク先URL)を取得
link = headline[‘href’]
print(f”{i+1}. {title}”)
print(f” Link: {link}”)
“`
※WebサイトのHTML構造は頻繁に変わるため、このコードが将来も動くとは限りません。CSSセレクタは、ブラウザの「開発者ツール」で確認しながら調整する必要があります。

学習のヒント

ブラウザの「開発者ツール(検証モード)」を使って、取得したい情報がHTMLのどのタグ、どのクラス名で囲まれているかを確認するスキルが必須です。find()(最初の一つを見つける)とfind_all()(全てを見つける)、そしてより強力なselect()(CSSセレクタで探す)の3つの使い方をマスターすることが目標です。

8. Flask (フラスコ) – 軽量でシンプルなWebアプリ開発

【キャッチフレーズ】最小限のコードで、アイデアをWebアプリケーションに。

概要

Flaskは、PythonでWebアプリケーションを開発するための「マイクロフレームワーク」です。マイクロという名前の通り、コア機能は非常にシンプルで、学習コストが低いのが特徴です。それでいて、拡張機能を追加することで、大規模なアプリケーションにも対応できる柔軟性を持っています。ルーティング(URLと関数を紐付ける)、リクエスト処理、テンプレートエンジン(HTMLを動的に生成)といったWebアプリの基本機能を備えています。

なぜ初心者が学ぶべきか?

自分でWebサービスを作ってみたいと思ったとき、Flaskは最高の出発点です。数行のコードで「Hello, World!」をブラウザに表示でき、成功体験を得やすいです。例えば、Scikit-learnで作った機械学習モデルをFlaskでAPI化し、Web経由で予測結果を返す、といった実践的なアプリケーションも比較的簡単に作れます。もう一つの有名なフレームワークであるDjangoは多機能で大規模開発向きですが、初心者が学ぶには少し複雑です。まずはFlaskでWebアプリ開発の基本を掴むのがおすすめです。

主な機能・できること

  • ルーティング: @app.route('/') のようなデコレータを使って、特定のURLへのアクセスを特定のPython関数に結びつけます。
  • リクエスト・レスポンス処理: ユーザーからのリクエスト情報(フォームのデータなど)を受け取ったり、サーバーからのレスポンス(HTMLやJSON)を返したりします。
  • テンプレートエンジン (Jinja2): HTMLファイル内に {{ variable }}{% for item in items %} のような記述を埋め込み、動的なWebページを生成できます。
  • 拡張性: データベース連携、ユーザー認証、フォーム処理など、必要な機能は拡張機能として追加できます。

簡単なコード例

bash
pip install Flask

このコードを app.py という名前で保存します。
“`python
from flask import Flask, render_template, request

Flaskアプリケーションのインスタンスを作成

app = Flask(name)

— ルーティングの定義 —

http://127.0.0.1:5000/ にアクセスされたときの処理

@app.route(‘/’)
def index():
# ‘index.html’というテンプレートをレンダリングして返す
return render_template(‘index.html’, message=”ようこそ!”)

http://127.0.0.1:5000/greet にアクセスされたときの処理

@app.route(‘/greet’, methods=[‘GET’, ‘POST’])
def greet():
if request.method == ‘POST’:
# フォームから’name’というキーで送信された値を取得
name = request.form[‘name’]
return f”

こんにちは、{name}さん!


return “””




“””

このスクリプトが直接実行された場合にのみ、開発用サーバーを起動

if name == ‘main‘:
app.run(debug=True) # debug=Trueにするとコード変更時に自動で再起動する
さらに、`templates` というフォルダを作成し、その中に `index.html` を保存します。html






My Flask App

Flaskのテストページ

{{ message }}


挨拶ページへ

``
ターミナルで
python app.pyを実行し、ブラウザでhttp://127.0.0.1:5000/` にアクセスしてみてください。

学習のヒント

まずは @app.route() で簡単なページをいくつか作ってみましょう。次に、render_template() を使ってHTMLファイルを返す方法を学びます。最終的には、フォームからのデータを受け取って処理する (request.form) ところまでできるようになるのが目標です。


C. 自動化・ユーティリティ

日々の定型作業を自動化したり、PC上のファイルを操作したりするのに役立つライブラリです。

9. Pillow (PIL Fork) – 画像処理のスタンダード

【キャッチフレーズ】画像のリサイズ、トリミング、フィルタ適用を、コードで一括処理。

概要

Pillowは、Python Imaging Library (PIL) からフォーク(分岐)して開発が続けられている、画像処理のためのライブラリです。画像の読み込み、表示、保存はもちろん、リサイズ(拡大・縮小)、回転、トリミング(切り抜き)、色調補正、フィルタ適用など、多彩な画像操作をプログラムで行うことができます。

なぜ初心者が学ぶべきか?

「フォルダ内にある大量の画像をすべて同じサイズにリサイズしたい」「画像にウォーターマーク(透かし)を入れたい」といった作業を手作業で行うのは大変です。Pillowを使えば、このような面倒な画像処理タスクを自動化できます。Webサイト用のサムネイル画像を自動生成したり、機械学習用の画像データを前処理したりと、応用範囲は非常に広いです。

簡単なコード例

bash
pip install Pillow

“`python
from PIL import Image, ImageFilter, ImageDraw, ImageFont

try:
# 元となる画像を開く
# ‘sample.jpg’という名前の画像を同じフォルダに用意してください
with Image.open(‘sample.jpg’) as img:
# 1. 画像のリサイズ
resized_img = img.resize((300, 200))
resized_img.save(‘sample_resized.jpg’)
print(“画像をリサイズして保存しました: sample_resized.jpg”)

    # 2. 画像を白黒に変換
    grayscale_img = img.convert('L')
    grayscale_img.save('sample_grayscale.jpg')
    print("画像を白黒化して保存しました: sample_grayscale.jpg")

    # 3. 画像にぼかしフィルタを適用
    blurred_img = img.filter(ImageFilter.BLUR)
    blurred_img.save('sample_blurred.jpg')
    print("画像にぼかしを入れて保存しました: sample_blurred.jpg")

    # 4. 画像に文字を追加 (ウォーターマーク)
    draw = ImageDraw.Draw(img)
    # フォントを指定(環境に合わせてパスを変更してください)
    # font = ImageFont.truetype("arial.ttf", 40)
    text = "© My Website"
    draw.text((10, 10), text, fill=(255, 255, 255)) # (x, y), text, color
    img.save('sample_watermarked.jpg')
    print("画像にウォーターマークを入れて保存しました: sample_watermarked.jpg")

except FileNotFoundError:
print(“エラー: ‘sample.jpg’が見つかりません。”)
“`

学習のヒント

まずは Image.open() で画像を開き、.size でサイズを確認し、.show() で表示する基本操作を覚えましょう。次に .resize(), .rotate(), .crop() といった変形操作を試してみるのがおすすめです。

10. OpenPyXL – Excelファイルの自動操作

【キャッチフレーズ】退屈なExcel作業はPythonに任せよう。

概要

OpenPyXLは、PythonでExcelファイル(.xlsx形式)の読み書きを行うためのライブラリです。PandasもExcelの読み書きはできますが、Pandasがデータ分析のための「表」として扱うのに対し、OpenPyXLはセル単位の細かい操作、書式設定(色、フォント)、数式の埋め込み、グラフの作成など、よりExcelネイティブな操作を得意とします。

なぜ初心者が学ぶべきか?

多くのオフィスワークでは、依然としてExcelが多用されています。定型的なレポート作成、請求書の発行、複数ファイルからのデータ集計など、毎月・毎週繰り返している作業はありませんか?OpenPyXLを使えば、これらの作業を完全に自動化できます。プログラマーやデータサイエンティストだけでなく、事務職や営業職の方にとっても、業務効率を劇的に改善できる強力なツールとなります。

簡単なコード例

bash
pip install openpyxl

“`python
import openpyxl
from openpyxl.styles import Font, Alignment

— Excelファイルの作成と書き込み —

1. 新しいワークブック(Excelファイル)を作成

wb = openpyxl.Workbook()

2. アクティブなワークシートを取得

ws = wb.active
ws.title = “請求書”

3. セルに値を書き込む

ws[‘A1’] = “請求書”
ws[‘A2’] = “株式会社ABC”
ws[‘A4’] = “商品名”
ws[‘B4’] = “単価”
ws[‘C4’] = “数量”
ws[‘D4’] = “金額”

データをリストで用意

items = [
(‘商品X’, 1000, 5),
(‘商品Y’, 1500, 2),
(‘商品Z’, 3000, 1),
]

データを書き込み、数式を設定

row_num = 5
for item in items:
ws.cell(row=row_num, column=1, value=item[0]) # 商品名
ws.cell(row=row_num, column=2, value=item[1]) # 単価
ws.cell(row=row_num, column=3, value=item[2]) # 数量
# 金額のセルに数式を設定
ws.cell(row=row_num, column=4, value=f”=B{row_num}*C{row_num}”)
row_num += 1

合計金額の計算

total_row = row_num
ws.cell(row=total_row, column=3, value=”合計”)
ws.cell(row=total_row, column=4, value=f”=SUM(D5:D{total_row-1})”)

4. 書式設定

タイトルを太字・大きく

ws[‘A1’].font = Font(bold=True, size=20)

ヘッダーを中央揃え

for col in [‘A’, ‘B’, ‘C’, ‘D’]:
ws[f'{col}4′].alignment = Alignment(horizontal=’center’)

5. ファイルを保存

wb.save(“invoice.xlsx”)
print(“請求書ファイル ‘invoice.xlsx’ を作成しました。”)

— 既存ファイルの読み込み —

作成したファイルを読み込んでみる

wb_read = openpyxl.load_workbook(“invoice.xlsx”, data_only=True) # data_only=Trueで数式の結果を値として読む
ws_read = wb_read.active
total_value = ws_read[f’D{total_row}’].value
print(f”読み込んだファイルの合計金額: {total_value}”)
“`

学習のヒント

openpyxl.Workbook() で新規作成、openpyxl.load_workbook() で既存ファイルを開く。wb.active でシートを選択し、ws['A1']ws.cell(row, column) でセルにアクセスする、という基本の流れを覚えましょう。

11. os / glob – ファイル・フォルダ操作の基本(標準)

【キャッチフレーズ】PC上のファイルを、Pythonで自在に操る。

概要

osglobは、Pythonに標準で備わっているライブラリで、ファイルシステムの操作を行います。osライブラリは、フォルダ(ディレクトリ)の作成・削除・名前変更、パスの結合、環境変数の取得など、OSとのやりとり全般を担います。globライブラリは、*.csvdata_??.txtのようなワイルドカード(パターン)を使って、条件に一致するファイルやフォルダのリストを一度に取得するのに便利です。

なぜ初心者が学ぶべきか?

これらは外部ライブラリではありませんが、プログラムを書く上で避けては通れない超重要モジュールです。ファイルの読み書きをする前に、ファイルが存在するか確認する (os.path.exists)。結果を保存するためのフォルダを作成する (os.makedirs)。特定のフォルダ内にあるすべての画像ファイルに対して処理を行う (glob.glob)。これらは、あらゆる種類のプログラムで頻出する基本的な操作です。

簡単なコード例

インストールは不要です。
“`python
import os
import glob

— osモジュールの基本操作 —

カレントディレクトリ(現在いる場所)の取得

current_dir = os.getcwd()
print(f”カレントディレクトリ: {current_dir}”)

新しいフォルダを作成

output_dir = “output_folder”
os.makedirs(output_dir, exist_ok=True) # exist_ok=Trueだとフォルダが既に存在してもエラーにならない
print(f”‘{output_dir}’ フォルダを作成しました。”)

ファイルパスの結合 (OSの違いを吸収してくれる)

file_path = os.path.join(output_dir, “my_file.txt”)
print(f”結合されたパス: {file_path}”)

ファイルの存在確認

if not os.path.exists(file_path):
# ファイルへの書き込み
with open(file_path, ‘w’) as f:
f.write(“This is a test file.”)
print(f”‘{file_path}’ を作成しました。”)
else:
print(f”‘{file_path}’ は既に存在します。”)

— globモジュールの基本操作 —

カレントディレクトリにある.pyファイルのリストを取得

py_files = glob.glob(‘*.py’)
print(f”\nカレントディレクトリのPythonファイル: {py_files}”)

output_folder内の.txtファイルを取得

txt_files = glob.glob(os.path.join(output_dir, ‘*.txt’))
print(f”‘{output_dir}’ 内のテキストファイル: {txt_files}”)

— 応用例: フォルダ内の全テキストファイルを結合する —

all_text = “”
for txt_file in txt_files:
with open(txt_file, ‘r’) as f:
all_text += f.read() + “\n—\n”

with open(os.path.join(output_dir, “combined.txt”), ‘w’) as f:
f.write(all_text)
print(“\nすべてのテキストファイルを ‘combined.txt’ にまとめました。”)
“`

学習のヒント

os.path.join(), os.path.exists(), os.makedirs() の3つは非常によく使うので、最初に覚えましょう。次に、glob.glob() を使って、特定の拡張子を持つファイルのリストを取得する練習をすると、自動化処理の幅が広がります。


D. GUIアプリケーション開発

12. Tkinter – Python標準のGUI作成キット(標準)

【キャッチフレーズ】コマンドラインを卒業し、クリックできるアプリを作ろう。

概要

Tkinter(ティーケー・インター)は、Pythonに標準で付属しているGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)ツールキットです。これを使えば、ウィンドウ、ボタン、テキストボックス、ラベルなどの部品(ウィジェット)を配置して、マウスで操作できるデスクトップアプリケーションを作成できます。

なぜ初心者が学ぶべきか?

自分で作ったプログラムを、プログラミングを知らない人にも使ってもらいたいと思ったことはありませんか?Tkinterを使えば、黒い画面(CUI)ではなく、親しみやすいウィンドウアプリケーション(GUI)として提供できます。標準ライブラリなので追加のインストールが不要で、手軽に始められるのが最大の魅力です。より高機能で見た目の良いGUIライブラリ(PyQt, Kivyなど)もありますが、GUIプログラミングの基本概念(イベントループ、ウィジェット配置、コールバック関数など)を学ぶための最初のステップとして、Tkinterは最適です。

簡単なコード例

インストールは不要です。
“`python
import tkinter as tk
from tkinter import ttk # よりモダンな見た目のウィジェット

— メインウィンドウの作成 —

root = tk.Tk()
root.title(“My First GUI App”)
root.geometry(“300×200”) # ウィンドウサイズ

— ウィジェットの作成と配置 —

ラベル

label = ttk.Label(root, text=”名前を入力してください:”)
label.pack(pady=10)

テキスト入力ボックス (Entry)

name_entry = ttk.Entry(root, width=30)
name_entry.pack(pady=5)

ボタンが押されたときの処理を定義する関数

def on_button_click():
name = name_entry.get()
if name:
result_label.config(text=f”こんにちは、{name}さん!”)
else:
result_label.config(text=”名前が入力されていません。”)

ボタン

button = ttk.Button(root, text=”挨拶する”, command=on_button_click)
button.pack(pady=10)

結果表示用ラベル

result_label = ttk.Label(root, text=””)
result_label.pack(pady=10)

— イベントループの開始 —

この命令でウィンドウが表示され、ユーザーの操作を待ち受ける

root.mainloop()
“`

学習のヒント

Tkinterのプログラムは、①ウィジェットの作成、②ウィジェットの配置(pack, grid, place)、③イベントループの開始、という3つのステップで構成されることを理解するのが第一歩です。まずはラベルとボタンを配置し、ボタンが押されたら何かが起こる(コールバック関数が呼ばれる)という基本的な仕組みをマスターしましょう。


E. 開発の基礎・効率化

最後に、特定の分野に特化しているわけではありませんが、あらゆるPythonプログラミングで役立つ、縁の下の力持ち的なライブラリを紹介します。

13. datetime – 日付と時刻を扱うなら必須(標準)

【キャッチフレーズ】時間よ止まれ!…とはいかないけれど、自在に操ろう。

概要

datetimeは、Pythonで日付と時刻を扱うための標準ライブラリです。現在時刻の取得、特定の日時の表現、日付同士の差分の計算、書式(フォーマット)を指定した文字列との相互変換など、時間に関するあらゆる操作を提供します。

なぜ初心者が学ぶべきか?

ログファイルにタイムスタンプを記録する、データの期間を指定して集計する、タスクの実行時間を計測するなど、日付や時刻の扱いはプログラミングの様々な場面で登場します。datetimeオブジェクトの扱い方を理解しておくことは、Pythonプログラマーとしての基礎体力になります。特に、タイムゾーンの扱いは少し複雑ですが、グローバルなサービスを作る上では必須の知識です。

簡単なコード例

インストールは不要です。
“`python
from datetime import datetime, timedelta, timezone

1. 現在の日時を取得

now = datetime.now()
print(f”現在の日時 (ローカル): {now}”)

タイムゾーンを指定して現在時刻を取得 (UTC)

utc_now = datetime.now(timezone.utc)
print(f”現在の日時 (UTC): {utc_now}”)

2.特定の日時オブジェクトを作成

birthday = datetime(1999, 12, 31, 23, 59)
print(f”特定の日時: {birthday}”)

3. 日時の計算 (timedelta)

tomorrow = now + timedelta(days=1)
one_hour_ago = now – timedelta(hours=1)
print(f”明日: {tomorrow}”)
print(f”1時間前: {one_hour_ago}”)

日付の差を計算

diff = now – birthday
print(f”生まれてから今日まで: {diff.days} 日”)

4. 文字列とdatetimeオブジェクトの相互変換

strftime: datetime -> string

date_str = now.strftime(“%Y年%m月%d日 %H:%M:%S”)
print(f”フォーマットされた文字列: {date_str}”)

strptime: string -> datetime

str_to_parse = “2025-01-01 12:30:00”
parsed_date = datetime.strptime(str_to_parse, “%Y-%m-%d %H:%M:%S”)
print(f”パースされた日時: {parsed_date}”)
“`

学習のヒント

datetime.now() で現在時刻を取得し、strftime() で好きな書式の文字列に変換する、という流れが最もよく使われます。%Y, %m, %d などの書式コードの意味を覚えることが重要です。次に、timedelta を使った日時の加算・減算に慣れましょう。

14. json – Web API時代の共通言語(標準)

【キャッチフレーズ】プログラムとプログラムを繋ぐ、シンプルなデータ交換形式。

概要

jsonは、JSON (JavaScript Object Notation) 形式のデータを扱うための標準ライブラリです。JSONは、軽量で人間にも読みやすいデータ交換フォーマットで、Web APIのレスポンスや設定ファイルなど、現代のプログラミングで広く利用されています。jsonライブラリは、Pythonのオブジェクト(辞書やリスト)とJSON形式の文字列を相互に変換する機能を提供します。

なぜ初心者が学ぶべきか?

Requestsライブラリの項で触れたように、Web APIの多くはデータをJSON形式で返します。requests.json()メソッドは、内部でこのjsonライブラリを使ってレスポンスボディをPythonの辞書に変換しています。自分でAPIを作るときや、設定ファイルをプログラムで読み書きするときにも必須の知識です。構造がPythonの辞書やリストと非常によく似ているため、初心者でも直感的に理解しやすいです。

簡単なコード例

インストールは不要です。
“`python
import json

Pythonのオブジェクト (辞書とリストの組み合わせ)

python_data = {
“name”: “Taro Yamada”,
“age”: 30,
“is_student”: False,
“courses”: [
{“title”: “Python Basics”, “credits”: 3},
{“title”: “Data Science”, “credits”: 4}
],
“address”: None
}

— Pythonオブジェクト -> JSON文字列への変換 (dump/dumps) —

dumps: “dump string” の略

json_string = json.dumps(python_data, indent=2, ensure_ascii=False)

indent=2: 見やすくインデント

ensure_ascii=False: 日本語をそのまま出力する

print(“— JSON文字列 —“)
print(json_string)

ファイルに書き出す場合は dump を使う

with open(‘data.json’, ‘w’, encoding=’utf-8′) as f:

json.dump(python_data, f, indent=2, ensure_ascii=False)

— JSON文字列 -> Pythonオブジェクトへの変換 (load/loads) —

loads: “load string” の略

retrieved_data = json.loads(json_string)

print(“\n— JSONから復元されたPythonオブジェクト —“)
print(retrieved_data)
print(f”名前: {retrieved_data[‘name’]}”)
print(f”2つ目のコース名: {retrieved_data[‘courses’][1][‘title’]}”)
“`

学習のヒント

json.dumps()(Pythonオブジェクト→JSON文字列)と json.loads()(JSON文字列→Pythonオブジェクト)の2つの関数の役割をしっかり区別して覚えることが重要です。indentensure_asciiといったオプション引数もよく使うので覚えておくと便利です。

15. Poetry – モダンなプロジェクト・パッケージ管理

【キャッチフレーズ】依存関係の地獄から解放され、再現可能な開発環境を手に入れる。

概要

Poetryは、Pythonのパッケージ管理と仮想環境管理を統合した、モダンな開発支援ツールです。プロジェクトで利用するライブラリ(依存関係)をpyproject.tomlという設定ファイルで一元管理し、そのプロジェクト専用の独立したPython環境(仮想環境)を自動で作成・管理してくれます。

なぜ初心者が学ぶべきか?

pipでライブラリを直接インストールしていくと、プロジェクトAでは「pandas==1.5.0」が必要なのに、プロジェクトBでは「pandas==2.0.0」が必要、といったバージョン競合の問題が発生します。また、自分のPCで動いたプログラムが、他人のPCやサーバーでは動かない、という「環境差異」の問題も頻発します。Poetryは、これらの問題を解決し、誰でも同じ環境を簡単に再現できるようにしてくれます。少し学習コストはかかりますが、最初に良い開発習慣を身につけることは、将来の自分を助ける最高の投資です。チーム開発や本格的なアプリケーション開発を目指すなら、必須のツールと言えます。

主な機能・できること

  • 依存関係の解決と管理: pyproject.tomlに基づき、ライブラリ間の複雑な依存関係を解決して最適なバージョンをインストールします。
  • 仮想環境の自動管理: プロジェクトごとに隔離されたPython環境を自動で作成し、利用します。
  • プロジェクトのビルドと公開: 作成したライブラリをPyPI(Python Package Index)に公開するための機能も備えています。
  • 直感的なコマンド: poetry add pandasでライブラリを追加、poetry installで環境を再現、poetry run python my_script.pyでスクリプトを実行、など分かりやすいコマンド体系。

簡単なコード例

Poetry自体のインストールが必要です(公式ドキュメント参照)。
https://python-poetry.org/docs/#installation

“`bash

1. 新しいプロジェクトを作成

poetry new my-poetry-project
cd my-poetry-project

pyproject.toml というファイルが自動で生成される

2. ライブラリを追加する

pandasとmatplotlibを開発用ではなく、本番でも使うライブラリとして追加

poetry add pandas matplotlib

jupyterlabを開発時にのみ使うライブラリとして追加

poetry add jupyterlab –group dev

pyproject.toml に依存関係が追記され、poetry.lock ファイルが更新される

3. 依存関係をインストール(他の人がこのプロジェクトを使う場合)

git clone した後にこのコマンドを実行すれば、全く同じ環境が再現される

poetry install

4. 仮想環境内でスクリプトを実行

poetry run の後につけたコマンドは、このプロジェクトの仮想環境内で実行される

poetry run python -c “import pandas; print(pandas.version)”
“`

学習のヒント

まずはpiprequirements.txtを使った従来の方法の問題点(バージョンの衝突など)を理解することが大切です。その上で、Poetryがpyproject.tomlpoetry.lockファイルを使って、いかにしてその問題を解決しているのかを学びましょう。poetry new, poetry add, poetry install, poetry runの4つのコマンドをマスターすれば、日々の開発は格段に快適になります。


まとめ

今回は、Python初心者が最初に覚えるべき必須ライブラリを15個、詳細な解説とともにご紹介しました。

  • NumPy, Pandas, Matplotlib, Scikit-learn, Jupyter は、データを扱う世界への扉を開きます。
  • Requests, Beautiful Soup, Flask は、Web上の情報を活用し、自ら発信するための道具です。
  • Pillow, OpenPyXL, os/glob は、日々の面倒な作業を自動化する魔法の杖となります。
  • Tkinter は、あなたのプログラムに親しみやすい「顔」を与えてくれます。
  • datetime, json, Poetry は、堅牢で再現性の高いプログラムを作るための、プロフェッショナルな土台です。

もちろん、Pythonのライブラリ生態系はこれだけではありません。今回紹介したものは、広大で豊かな世界への入り口に過ぎません。しかし、この15個をマスターすれば、あなたはPythonを使って「やりたいこと」のほとんどを実現できるだけの基礎力を手に入れたと言えるでしょう。

今後の学習のヒント:
1. 公式ドキュメントを読む: 一次情報である公式ドキュメントに目を通す習慣をつけましょう。
2. 小さなプロジェクトを作る: 「習うより慣れよ」です。学んだライブラリを使って、何か小さなものを作ってみましょう。それが一番の近道です。
3. エラーを恐れない: エラーは敵ではなく、成長のヒントです。エラーメッセージをよく読み、解決するプロセスを楽しんでください。

この記事が、あなたのPython学習の旅における、信頼できる地図となることを願っています。Happy Coding

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