Whitelabel Error Pageが表示されたら?原因究明と解決策を優しく解説


Whitelabel Error Pageが表示されたら?原因究明と解決策を優しく解説

はじめに:恐怖の白い画面は、実はあなたの味方

Webアプリケーション開発、特にJavaのフレームワークであるSpring Bootを使っていると、誰もが一度は遭遇するであろう、あの画面。

Whitelabel Error Page

タイムスタンプとステータスコード、そして「Error」の文字だけがぽつんと表示された、殺風景な白いページ。これが出てくると、多くの開発者は「うわ、何かやらかした…」と、一瞬心臓がヒヤッとするかもしれません。特にプログラミングを学び始めたばかりの方にとっては、エラーメッセージそのものが恐怖の対象に映ることもあるでしょう。

しかし、安心してください。このWhitelabel Error Pageは、あなたを困らせるために現れた敵ではありません。むしろ、「ここに問題がありますよ」と教えてくれる、親切な道標なのです。この画面に表示される情報は、問題解決への重要な手がかりが詰まった宝の地図の入り口です。

この記事では、そんなWhitelabel Error Pageの正体から、表示される原因、そして具体的な解決策までを、一つひとつ丁寧に、そして優しく解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたはもう白い画面を恐れることはありません。むしろ、それを冷静に分析し、迅速に問題を解決できる、頼れる開発者へと一歩近づいているはずです。

さあ、一緒にWhitelabel Error Pageの謎を解き明かし、エラー解決の探偵になりましょう。


第1章: Whitelabel Error Pageとは? – 恐怖の白い画面の正体

まずは、このページの正体を知ることから始めましょう。敵を知り、己を知れば百戦殆うからず。エラーページも同じです。

1-1. Whitelabel Error Pageの定義

Whitelabel Error Pageは、一言で言うと「Spring Bootアプリケーションで、処理できないエラーが発生した際に、デフォルトで表示される汎用的なエラーページ」です。

「Whitelabel(ホワイトラベル)」とは、もともと「特定のブランド名やロゴが入っていない、他社ブランドとして販売できる製品」を指す言葉です。このエラーページも同様に、Spring Bootという特定のロゴやデザインが入っておらず、どんなアプリケーションにも適用できるシンプルな見た目をしていることから、こう呼ばれています。

このページは、開発者が独自のエラーページ(例えば、「404 Not Found – お探しのページは見つかりませんでした」といったカスタムデザインのページ)を用意していない場合に、「とりあえずこれを表示しておきますね」とSpring Bootが親切心で表示してくれる、いわば「最後の砦」のような存在です。

1-2. なぜこのページが表示されるのか? – Spring Bootの親切心

では、なぜSpring Bootはわざわざこのようなページを用意しているのでしょうか?

それは、Spring Bootが掲げる重要な思想の一つである「Convention over Configuration(設定より規約)」に基づいています。これは、「開発者が細かな設定をいちいち書かなくても、一般的な規約(Convention)に従っていれば、フレームワーク側で良きに計らってくれる」という考え方です。

エラーハンドリングもその一つ。もしこのWhitelabel Error Pageがなければ、エラーが発生した際に何が起こるでしょうか?

  • ブラウザ依存の素っ気ないエラーメッセージ(例: Chromeの「このサイトにアクセスできません」)が表示されるだけ。
  • あるいは、ただの真っ白な画面が表示されるだけ。

これでは、エラーが起きたこと自体はわかっても、「どんな種類のエラー」「どのリクエスト」に対して発生したのか、全く情報が得られません。

Spring Bootは、開発者が特別な設定をしなくても、最低限のデバッグ情報(いつ、どのURLで、どんな種類のエラーが起きたか)を提供してくれることで、開発体験を向上させようとしているのです。つまり、この白い画面はSpring Bootの「親切心」の表れなのです。

1-3. Whitelabel Error Pageに表示される情報

このページはシンプルながら、原因究明のための重要な情報を含んでいます。表示される主な項目を見ていきましょう。

“`
Whitelabel Error Page
This application has no explicit mapping for /error, so you are seeing this as a fallback.

Tue Jun 18 10:30:00 JST 2024
There was an unexpected error (type=Not Found, status=404).
“`

  • Timestamp: エラーが発生した正確な日時です。「さっき実行したあの操作で出たな」と特定するのに役立ちます。
  • Status: HTTPステータスコードです。これが原因究明の最初の、そして最大のヒントになります。 404, 500, 403 など、数字によってエラーの種類が大きく異なります。
  • Error: HTTPステータスコードを人間が分かりやすい言葉で説明したものです。(例: Not Found, Internal Server Error, Forbidden
  • Message: (設定によっては)より具体的なエラーメッセージが表示されます。例えば、「No static resource hoge.html.」のように、何が見つからなかったのかを教えてくれることもあります。
  • Path: エラーが発生したリクエストのURLパスです。どの画面にアクセスしようとしてエラーになったのかが一目瞭然です。
  • Trace: (設定によっては)スタックトレースが表示されます。これはエラーが発生するまでのプログラムの呼び出し履歴で、デバッグにおいて最も強力な武器となります。

これらの情報こそが、私たちがこれから挑む原因究明の旅の羅針盤となるのです。


第2章: 原因究明編 – エラーの根源を探る探偵になろう

Whitelabel Error Pageの正体がわかったところで、いよいよ本題の原因究明に入ります。ここからは探偵になったつもりで、一つひとつの手がかりを冷静に分析していきましょう。

2-1. まずは落ち着いて情報を集める

エラー画面を前にして、決してパニックになる必要はありません。焦りは禁物です。まずは深呼吸をして、以下のステップで情報を整理しましょう。

  1. 画面の情報を記録する: Whitelabel Error Pageに表示されている「Status」「Error」「Path」などの情報をメモするか、スクリーンショットを撮っておきましょう。後で見返す際に非常に役立ちます。
  2. 再現手順を確認する: 「いつ」「何をしたら」このエラーが発生したのかを思い出しましょう。「トップページから商品一覧に遷移しようとしたら」「ログインボタンを押したら」など、具体的な操作手順がわかれば、原因の特定が格段に早くなります。もし可能であれば、もう一度同じ操作をしてエラーが再現することも確認します。

準備はできましたか?それでは、本格的な調査を開始します。

2-2. HTTPステータスコードから原因を絞り込む

最初に注目すべきは「Status(HTTPステータスコード)」です。この3桁の数字は、エラーの原因を大きく2つのカテゴリに分類してくれます。

  • 4xx系エラー (クライアントエラー): リクエストを送った側(ブラウザやAPIクライアント)に問題がある場合のエラーです。「URLが間違っている」「必要なデータを送っていない」などが該当します。
  • 5xx系エラー (サーバーエラー): リクエストを受け取った側(私たちのSpring Bootアプリケーション)に問題がある場合のエラーです。「プログラムのバグ」「データベースに接続できない」などが該当します。

代表的なステータスコードと、その主な原因を見ていきましょう。

【4xx系エラー】

● 404 Not Found
最もよく遭遇するエラーの一つです。「お探しのものは見つかりませんでした」という意味です。

  • 考えられる原因:

    • URLのタイプミス: ブラウザのアドレスバーに入力したURLが単純に間違っている。
    • コントローラーのマッピングミス: Spring MVCのコントローラークラスで、リクエストパスを指定するアノテーション(@RequestMapping, @GetMappingなど)のパスが間違っている、または設定し忘れている。
    • リソースの配置場所が違う: HTML, CSS, JavaScript, 画像などの静的ファイルを参照している場合、それらのファイルが正しい場所(デフォルトでは src/main/resources/static)に置かれていない。
    • ビューの名前が違う: Thymeleafなどのテンプレートエンジンを使っている場合、コントローラーが返したビュー名(文字列)に対応するテンプレートファイル(例: hoge.html)が src/main/resources/templates フォルダ内に存在しない。
  • 確認ポイント:

    1. まず、ブラウザのURLが意図したものと一致しているか確認します。
    2. 次に、対応するはずのコントローラーの@RequestMapping@GetMappingの値を確認します。
    3. 静的ファイルであれば、resources/static 以下のパスが正しいか確認します。
    4. Thymeleafなどを使っている場合は、resources/templates 以下のファイル名と、コントローラーが返している文字列が一致しているか確認します。

● 400 Bad Request
「あなたのリクエストは不正ですよ」という意味のエラーです。サーバーがリクエストを理解できなかった場合に発生します。

  • 考えられる原因:

    • パラメータの不足・型不一致: ?id=123のようにURLで渡すべきパラメータを渡し忘れたり、数値(Integer)を期待しているところに文字列(”abc”)を送ってしまったりした場合。
    • リクエストボディの形式が不正: REST APIなどでJSON形式のデータをPOSTする際に、JSONの構文が壊れている(括弧が閉じていない、カンマが余計など)。
    • バリデーションエラー: @Valid アノテーションを使って入力値検証を行っている場合、その検証ルール(例:「名前は必須入力」「メールアドレスの形式であること」)に違反したデータが送られてきた。
  • 確認ポイント:

    1. APIクライアント(Postmanなど)を使っている場合は、送信しているパラメータやJSONボディの内容を念入りに確認します。
    2. フォームの入力値を受け取るDTO (Data Transfer Object) やFormクラスに設定したバリデーションアノテーション (@NotNull, @Size, @Emailなど) と、送信データを見比べます。

● 403 Forbidden
「見ることは禁止されています」という意味のエラーです。これは、あなたが誰であるか(認証)はサーバーに伝わっているものの、そのリソースにアクセスする権限(認可)がない場合に発生します。

  • 考えられる原因:

    • Spring Securityの設定ミス: Spring Securityを導入している場合、「管理者(ADMIN)ロールを持つユーザーのみアクセス可能」と設定されたページに、一般(USER)ロールのユーザーがアクセスしようとした。
  • 確認ポイント:

    1. Spring Securityの設定クラス(WebSecurityConfigurerAdapterを継承したクラスや、SecurityFilterChainをBean定義しているクラス)を開き、http.authorizeRequests() (または http.authorizeHttpRequests()) の設定内容を確認します。
    2. antMatchers("/admin/**").hasRole("ADMIN") のような設定が、意図通りになっているかチェックします。

● 401 Unauthorized
403と似ていますが、こちらは「そもそもあなたが誰なのか分かりません(未認証)」という意味です。ログインが必要なページに、ログインせずにアクセスした場合などに発生します。
(※厳密には、Spring Securityが正しく設定されていると、401の代わりにログインページへリダイレクトされることが多いです。)

  • 考えられる原因:

    • 認証が必要なAPIに、認証トークン(JWTなど)を付けずにリクエストした。
    • セッションが切れた状態で、要認証ページにアクセスしようとした。
  • 確認ポイント:

    1. Spring Securityの設定で、どのURLが認証を必要とするように設定されているか確認します。
    2. APIの場合は、リクエストヘッダーに Authorization ヘッダーが正しく付与されているか確認します。

● 405 Method Not Allowed
「そのメソッド(やり方)は許可されていません」という意味です。URLは合っているが、HTTPメソッド(GET, POST, PUT, DELETEなど)が間違っている場合に発生します。

  • 考えられる原因:

    • データを取得するためのURL(コントローラー側では @GetMapping で定義)に対して、POSTメソッドでリクエストしてしまった。
    • フォームの送信先(コントローラー側では @PostMapping で定義)に対して、GETメソッドでアクセスしてしまった(例: ブラウザで直接URLを叩いた)。
  • 確認ポイント:

    1. コントローラーのメソッドに付与されているアノテーション (@GetMapping, @PostMappingなど) を確認します。
    2. HTMLの <form> タグの method 属性(method="post"など)や、JavaScript(Ajax)からのリクエスト、APIクライアントのメソッド指定が、コントローラー側と一致しているか確認します。
【5xx系エラー】

● 500 Internal Server Error
最も一般的で、そして最も原因が多岐にわたるのがこのエラーです。「サーバー内部で予期せぬエラーが発生しました」という意味で、アプリケーション側のプログラムに何らかのバグや問題があることを示唆しています。

  • 考えられる原因 (ほんの一例):

    • NullPointerException: null の状態の変数に対して、メソッド呼び出しなどを行おうとした(最も頻繁に遭遇するバグの一つ)。
    • データベース関連のエラー: データベースに接続できない、実行したSQLが文法的に間違っている、など。
    • 設定ファイルの不備: application.propertiesapplication.yml の記述ミス(DBのパスワードが違う、など)。
    • 外部API連携の失敗: 連携している外部サービスのAPIがダウンしている、またはレスポンス形式が変わった。
    • その他あらゆる実行時例外: 配列の範囲外アクセス、数値のゼロ除算、型のキャストミスなど。
  • 確認ポイント:

    • 何よりもまず、サーバーのログを確認すること! 500エラーの場合、Whitelabel Error Pageだけを見ていても原因はほとんど分かりません。本当の原因は、必ずログに出力されています。

2-3. ログこそが最大の味方 – ログの読み解き方

500エラーをはじめ、多くのエラーの原因はアプリケーションのログに記録されています。ログは、事件現場に残された最も雄弁な証拠です。

■ どこを見ればいい?

  • IDEのコンソール: IntelliJ IDEAやEclipseなどのIDEでアプリケーションを実行している場合、そのコンソールウィンドウにログがリアルタイムで出力されます。エラーが発生した瞬間に、コンソールに赤い文字で大量のテキストが表示されているはずです。
  • ログファイル: アプリケーションをjarファイルとしてサーバー上で実行している場合は、設定に応じたログファイル(例: logs/application.log)に出力されます。

■ 何を探せばいい?

ログの中から、以下のキーワードを探します。

  1. ERROR または WARN レベルのログメッセージ: ログには重要度に応じてレベル(TRACE, DEBUG, INFO, WARN, ERROR)があります。エラー発生時は、まず ERROR と書かれた行を探しましょう。
  2. Exception(例外)の文字列: java.lang.NullPointerExceptionorg.springframework.jdbc.CannotGetJdbcConnectionException など、Exception という単語を含む行が、エラーの種類を直接示しています。
  3. スタックトレース (Stack Trace): Exception の後に出力される、at com.example.myapp... のような行の連なりです。これがエラー発生箇所を特定するための最大のヒントです。

■ スタックトレースの読み解き方

スタックトレースは一見するとただの文字列の羅列に見えますが、読み方にはコツがあります。

java.lang.NullPointerException: Cannot invoke "com.example.myapp.model.User.getName()" because "user" is null
at com.example.myapp.service.UserService.getGreetingMessage(UserService.java:25)
at com.example.myapp.controller.UserController.getUserPage(UserController.java:30)
at java.base/jdk.internal.reflect.NativeMethodAccessorImpl.invoke0(Native Method)
... (中略) ...
Caused by: ... (根本原因がある場合はここに表示される)

  1. 一番上の行を読む: まず、一番上の java.lang.NullPointerException: ... の行を読みます。ここに例外の種類と簡単なメッセージ(この例では「”user”がnullだからgetName()を呼べません」)が書かれています。
  2. 自分のコードを探す: 次に、at ... で始まる行の中から、自分のプロジェクトのパッケージ名(例: com.example.myapp)で始まっている行を探します。フレームワーク内部のコードは一旦無視して構いません。
  3. 上から順に追う: 自分たちのコードの中で、最も上にある行が、例外が直接発生した場所です。この例では UserService.java の25行目でエラーが起きたことがわかります。
  4. 呼び出し元を辿る: その一行下の UserController.java の30行目は、エラーが起きた UserService のメソッドを呼び出した場所です。このように、下に行くほど呼び出し元を遡ることができます。
  5. Caused by: を探す: もしログの中に Caused by: というセクションがあれば、そちらがより根本的な原因を示していることが多いです。必ずチェックしましょう。

このスタックトレースを元に、IDEで UserService.java の25行目を開けば、なぜ user 変数が null になってしまったのか、具体的な調査に進むことができます。

2-4. デバッガを使ってみよう – 動きを止めて中を覗く

ログだけでは原因が特定しきれない複雑なケースでは、デバッガが強力な武器になります。デバッガは、プログラムの実行を任意の場所で一時停止させ、その時点での変数の値や状態を詳細に確認できるツールです。

IDE(IntelliJ, Eclipseなど)には標準で強力なデバッグ機能が備わっています。

  1. ブレークポイントを設置: 怪しいと思われるコードの行番号の左側をクリックして、ブレークポイント(赤い丸印)を設置します。
  2. デバッグモードで実行: 通常の実行(Run)ではなく、デバッグ(Debug)モードでアプリケーションを起動します。
  3. ステップ実行: エラーが発生する操作を行うと、プログラムの実行がブレークポイントで一時停止します。そこから、一行ずつ処理を進めたり(ステップオーバー)、メソッドの中に入ったり(ステップイン)しながら、変数の値がどのように変化していくかをリアルタイムで観察できます。

これにより、「このメソッドから返される値が null になっている」「この if文の条件が期待通りに評価されていない」といった、静的なコードリーディングだけでは見つけにくい問題を確実に発見できます。


第3章: 解決策編 – 具体的なアクションプラン

原因のあたりがついたら、次はいよいよ修正作業です。ここでは、前章で挙げたケーススタディ別に、具体的な解決策を見ていきましょう。

3-1. 【ケーススタディ別】具体的な解決策

ケース1: 404 Not Found
  • 原因: コントローラーのパスが間違っている。
    java
    // 修正前: パスにタイポがある
    @GetMapping("/uers/{id}")
    public String showUser(@PathVariable Long id, Model model) { ... }
  • 解決策: @GetMapping@RequestMapping の値を、アクセスしたいURLと正確に一致させます。
    java
    // 修正後: 正しいパスに修正
    @GetMapping("/users/{id}")
    public String showUser(@PathVariable Long id, Model model) { ... }

  • 原因: Thymeleafのテンプレートファイルが見つからない。
    java
    // コントローラーは "user/detail" を返しているが...
    @GetMapping("/users/{id}")
    public String showUser() {
    return "user/detail"; // templates/user/detail.html を探す
    }

  • 解決策: src/main/resources/templates ディレクトリ内に、コントローラーが返すパスと一致するHTMLファイルが存在することを確認します。この例では、src/main/resources/templates/user/detail.html というファイルが必要です。フォルダの階層やファイル名が正しいか、ダブルチェックしましょう。
ケース2: 400 Bad Request
  • 原因: 必須パラメータがリクエストに含まれていない。
    java
    // @RequestParam はデフォルトで必須 (required=true)
    @GetMapping("/search")
    public String search(@RequestParam String keyword, Model model) { ... }

    このコントローラーに /search というURLでアクセスすると、keyword パラメータがないため400エラーになります。
  • 解決策A(任意にする): パラメータが任意の場合は required=false を設定します。
    java
    @GetMapping("/search")
    public String search(@RequestParam(required = false) String keyword, Model model) { ... }
  • 解決策B(デフォルト値を与える): パラメータがない場合のデフォルト値を設定します。
    java
    @GetMapping("/search")
    public String search(@RequestParam(defaultValue = "") String keyword, Model model) { ... }
ケース3: 500 Internal Server Error (NullPointerException)
  • 原因(ログから判明): DBから取得したUserオブジェクトがnullだったため、user.getName()でNPEが発生。
    “`java
    // UserService.java
    public User findById(Long id) {
    // 存在しないIDの場合、repositoryはnullを返すことがある
    return userRepository.findById(id).orElse(null);
    }

    // UserController.java
    public String showUser(Long id, Model model) {
    User user = userService.findById(id);
    model.addAttribute(“name”, user.getName()); // userがnullだとここでNPE!
    return “userDetail”;
    }
    * **解決策A(nullチェック):** 使用する前に `null` でないことを確認します。java
    // UserController.java
    public String showUser(Long id, Model model) {
    User user = userService.findById(id);
    if (user != null) {
    model.addAttribute(“name”, user.getName());
    } else {
    // ユーザーが見つからなかった場合の処理(例: エラーページに飛ばす)
    return “error/404”;
    }
    return “userDetail”;
    }
    * **解決策B(Optionalの活用):** Java 8以降の`Optional`を使い、`null`の可能性をより安全かつ明確に扱います。(こちらがよりモダンで推奨される方法です)java
    // UserService.java は Optional を返すようにする
    public Optional findById(Long id) {
    return userRepository.findById(id);
    }

    // UserController.java
    public String showUser(Long id, Model model) {
    return userService.findById(id)
    .map(user -> {
    model.addAttribute(“name”, user.getName());
    return “userDetail”;
    })
    .orElse(“error/404”); // 見つからなければエラーページへ
    }
    “`

ケース4: 500 Internal Server Error (データベース関連)
  • 原因(ログから判明): org.springframework.jdbc.CannotGetJdbcConnectionException (JDBC接続が取得できない)
  • 解決策: application.properties または application.yml ファイルを開き、データベース接続情報に誤りがないか徹底的に確認します。
    properties
    # application.properties
    # URLのホスト名、ポート番号、DB名は正しいか?
    spring.datasource.url=jdbc:mysql://localhost:3306/myapp_db?useSSL=false&serverTimezone=JST
    # ユーザー名は正しいか?
    spring.datasource.username=dbuser
    # パスワードは正しいか?(タイプミスに注意!)
    spring.datasource.password=dbpassword
    # ドライバクラス名は正しいか?
    spring.datasource.driver-class-name=com.mysql.cj.jdbc.Driver

    また、そもそもデータベースサーバー(MySQL, PostgreSQLなど)が起動しているか、ファイアウォールでポート(例: 3306)がブロックされていないかも確認しましょう。

3-2. 再発防止とより良いエラーハンドリング

場当たり的な修正も大事ですが、より堅牢なアプリケーションを目指すためには、エラーハンドリングの仕組みを体系的に構築することが重要です。

■ カスタムエラーページの作成

Whitelabel Error Pageは開発中は便利ですが、本番環境でエンドユーザーにそのまま見せるのは不親切ですし、プロフェッショナルではありません。オリジナルのエラーページを用意しましょう。

Spring Bootでは、特定の場所にHTMLファイルを置くだけで、自動的にカスタムエラーページとして認識してくれます。

  • src/main/resources/public/error/404.html: 404エラーが発生した時に表示されます。
  • src/main/resources/public/error/500.html: 500エラーが発生した時に表示されます。
  • src/main/resources/public/error.html: 上記で個別に指定されていない、その他のエラーが発生した時に表示されます。

Thymeleafなどのテンプレートエンジンを使っている場合は、src/main/resources/templates/error.html を作成します。こちらの方が、エラー情報をページに埋め込むなど、より動的な表現が可能です。

@ControllerAdvice@ExceptionHandler

アプリケーション全体のエラー処理を、一箇所にまとめて記述できる非常に強力な仕組みです。

特定の例外(Exception)が発生した時に、特定の処理(例:特定のエラーページを表示する、JSON形式のエラーレスポンスを返す)を行わせることができます。

例えば、リソースが見つからなかった場合に独自の ResourceNotFoundException という例外を投げるように設計し、それを @ControllerAdvice でキャッチする、という実装がよく行われます。

“`java
// 独自の例外クラス
public class ResourceNotFoundException extends RuntimeException {
// …
}

// エラー処理を横断的に担うクラス
@ControllerAdvice
public class GlobalExceptionHandler {

// ResourceNotFoundExceptionが発生したら、このメソッドが呼ばれる
@ExceptionHandler(ResourceNotFoundException.class)
@ResponseStatus(HttpStatus.NOT_FOUND) // HTTPステータスを404に設定
public String handleResourceNotFoundException(Model model) {
    model.addAttribute("message", "お探しのリソースは見つかりませんでした。");
    return "error/custom_404"; // カスタムの404ページを表示
}

// その他の予期せぬ例外(Exception.class)はすべてここでキャッチ
@ExceptionHandler(Exception.class)
@ResponseStatus(HttpStatus.INTERNAL_SERVER_ERROR) // HTTPステータスを500に設定
public String handleException(Exception ex, Model model) {
    // 本番環境では詳細なエラーメッセージをユーザーに見せるべきではない
    model.addAttribute("message", "予期せぬエラーが発生しました。");
    // ただし、ログには詳細を記録しておく
    log.error("Unexpected error occurred", ex); 
    return "error/custom_500"; // カスタムの500ページを表示
}

}
“`
このようにエラー処理を一元管理することで、各コントローラーのコードがスッキリし、メンテナンス性も大幅に向上します。


第4章: 発展編 – Whitelabel Error Pageをカスタマイズする

最後に、Whitelabel Error Page自体の挙動を制御する方法について触れておきます。application.properties (または .yml) で簡単に設定できます。

4-1. Whitelabel Error Pageを無効にする

カスタムエラーページを完全に自前で用意した場合など、Spring Bootのデフォルトエラーページが不要になることがあります。その場合は、以下の設定で無効化できます。

“`properties

application.properties

server.error.whitelabel.enabled=false
“`

これを設定すると、Whitelabel Error Pageの代わりに、Tomcatなどのサーブレットコンテナが持っている、よりシンプルなエラーページが表示されるようになります。

4-2. エラー情報に何を含めるか制御する

開発中はデバッグのために詳細な情報が欲しいですが、本番環境でスタックトレースなどを表示するのは、セキュリティ上非常に危険です(攻撃者に内部構造のヒントを与えてしまいます)。表示する情報は環境によって切り替えるのがベストプラクティスです。

  • server.error.include-stacktrace

    • never (デフォルト): スタックトレースを一切表示しない。本番環境では必ずこれに設定します。
    • on_trace_param: リクエストに trace=true というパラメータ(例: /hoge?trace=true)が付いている時だけ表示する。開発中に便利です。
    • always: 常に表示する。ローカルでの開発時以外は非推奨です。
  • server.error.include-message

    • never (デフォルト): Whitelabel Error Pageに message を表示しません。
    • always: 常に表示します。
    • on_param: リクエストに message=true が付いている時だけ表示します。
  • server.error.include-binding-errors

    • never (デフォルト): バリデーションエラーなどのバインディングエラーの詳細を表示しません。
    • always: 常に表示します。
    • on_param: リクエストに errors=true が付いている時だけ表示します。

開発用のプロファイル(application-dev.properties)と本番用のプロファイル(application-prod.properties)でこれらの設定を切り分けることで、開発効率とセキュリティを両立させることができます。

開発用 (application-dev.properties):
properties
server.error.include-stacktrace=on_trace_param
server.error.include-message=always
server.error.include-binding-errors=always

本番用 (application-prod.properties):
properties
server.error.whitelabel.enabled=false # カスタムエラーページを用意する前提
server.error.include-stacktrace=never
server.error.include-message=never
server.error.include-binding-errors=never


おわりに:エラーを恐れず、成長の糧にしよう

ここまで、Whitelabel Error Pageの正体から原因究明のフロー、具体的な解決策、そしてより発展的なエラーハンドリングまでを詳しく見てきました。

もう一度、大切なことを繰り返します。Whitelabel Error Pageは、あなたを困らせる敵ではありません。それは、アプリケーションが抱える問題を教えてくれる、忠実で正直なメッセンジャーです。

エラーに遭遇したとき、私たちが取るべき行動はパニックになることではなく、冷静にそのメッセージを読み解くことです。

  1. 情報収集: 表示されているステータスコードやパスを確認する。
  2. 原因分析: ステータスコードを手がかりに、クライアント側の問題か、サーバー側の問題かを切り分ける。
  3. ログ確認: 特に500エラーの場合は、必ずログを見て、例外とスタックトレースから根本原因を特定する。

このフローを繰り返すうちに、あなたはどんなエラーにも動じない、問題解決能力の高いエンジニアへと成長していくはずです。エラーとデバッグの経験こそが、エンジニアを最も成長させる最高の教科書なのです。

そして、場当たり的な修正に留まらず、@ControllerAdvice を使った横断的なエラーハンドリングや、ユーザーフレンドリーなカスタムエラーページの作成にもぜひ挑戦してみてください。それは、あなたの作るアプリケーションをより堅牢で、より品質の高いものへと昇華させてくれるでしょう。

エラーを恐れないでください。エラーは、より良いコードを書くためのチャンスです。さあ、自信を持って、次の開発へと進みましょう!

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