【完全版】Ubuntuのシャットダウン&再起動コマンドのすべて

はい、承知いたしました。
「【完全版】Ubuntuのシャットダウン&再起動コマンドのすべて」というテーマで、約5000語の詳細な記事を作成します。以下に記事を直接表示します。


【完全版】Ubuntuのシャットダウン&再起動コマンドのすべて

はじめに

UbuntuをはじめとするLinuxシステムを操作する上で、シャットダウンや再起動は最も基本的な操作の一つです。多くのデスクトップユーザーはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)のボタンをクリックしてこれらの操作を行いますが、サーバー管理、リモートアクセス、自動化スクリプトの世界では、コマンドラインからの操作が不可欠となります。

コマンドラインからの電源管理は、単に「電源を切る」「再起動する」という以上の力を持っています。時間指定によるシャットダウン、接続している全ユーザーへの通知、安全なプロセスの終了、そしてシステムがフリーズした際の最終手段まで、GUIでは実現できない高度な制御を可能にします。

この記事では、Ubuntuシステムにおけるシャットダウンと再起動に関連するコマンドを、基本的なものから高度なテクニック、トラブルシューティングに至るまで、網羅的かつ詳細に解説します。初心者の方がコマンドライン操作に慣れるための第一歩として、また、経験豊富なシステム管理者が知識を再確認し、より深く理解するためのリファレンスとして役立つことを目指します。

この記事で学べること:

  • 基本的なコマンド: shutdown, reboot, poweroff の正しい使い方と違い
  • モダンな手法: systemdsystemctl コマンドによる現代的な電源管理
  • 高度なテクニック: 時間指定、メッセージ通知、シャットダウンのキャンセル、強制終了の方法
  • 自動化: cronat を用いたスケジュール実行
  • 緊急時の対応: システムフリーズ時に役立つ「Magic SysRq Key」
  • トラブルシューティング: シャットダウンや再起動がうまくいかない時の原因究明と解決策

さあ、Ubuntuの電源管理の世界へ深くダイブしていきましょう。


第1章: 基本的なシャットダウンと再起動コマンド

まずは、古くからLinuxで使われてきた、最も基本的で重要なコマンド群を見ていきましょう。これらのコマンドは、現在のUbuntuシステムでも中核的な役割を担っています。

1.1 shutdown コマンド: 最も標準的で安全な方法

shutdownコマンドは、システムを安全にシャットダウンまたは再起動するための最も推奨される方法です。単にプロセスを強制終了するのではなく、システムサービス管理デーモンであるsystemdにシグナルを送り、ログインしている全ユーザーに通知し、実行中のプロセスに終了準備の時間を与え、ファイルシステムを安全に同期・アンマウントするなど、一連の正規の終了処理を行ってくれます。

基本的な構文:
bash
sudo shutdown [オプション] [時間] [メッセージ]

sudoが必要なのは、システムの電源状態を変更する特権的な操作だからです。

今すぐシャットダウンする

システムを直ちにシャットダウン(電源断)するには、以下のコマンドを実行します。
bash
sudo shutdown -h now

または、-h(haltの意)は省略可能な場合が多く、現代のシステムでは以下でも同様に動作します。
bash
sudo shutdown now

このコマンドを実行すると、システムは正規の終了プロセスを開始し、最終的に電源が切れます。

今すぐ再起動する

システムを直ちに再起動するには、-r (reboot) オプションを使用します。
bash
sudo shutdown -r now

時間を指定して実行する

shutdownコマンドの真価は、シャットダウンや再起動を予約できる点にあります。

  • 相対時間指定 (+m)
    「m分後」に実行する場合、+に続けて分数を指定します。例えば、10分後にシャットダウンするには次のようにします。
    bash
    sudo shutdown -h +10

  • 絶対時間指定 (hh:mm)
    特定の時刻(24時間表記)に実行することも可能です。例えば、夜の23時にシャットダウンするには次のようにします。
    bash
    sudo shutdown -h 23:00

ユーザーへのメッセージ表示

サーバーなど複数のユーザーが利用している環境では、シャットダウン前に通知メッセージを送ることが非常に重要です。メッセージは引数としてコマンドの末尾に加えます。

bash
sudo shutdown -r +15 "サーバーは15分後に定期メンテナンスのため再起動します。作業中のファイルは保存してください。"

このコマンドを実行すると、ログインしている全てのユーザーの端末に指定したメッセージが表示され、突然のシャットダウンによるデータ損失を防ぐことができます。

シャットダウンのキャンセル

予約したシャットダウンや再起動を中止したい場合は、-c (cancel) オプションを使います。
bash
sudo shutdown -c "メンテナンスは延期されました。シャットダウンをキャンセルします。"

キャンセル時にもメッセージを指定でき、ユーザーに状況を知らせることができます。

shutdownコマンドは、その安全性と柔軟性から、特にサーバー環境では第一選択肢となるべきコマンドです。

1.2 reboot コマンド: シンプルな再起動

rebootコマンドは、その名の通りシステムを再起動するためのシンプルなコマンドです。

基本的な使い方:
bash
sudo reboot

このコマンドは、sudo shutdown -r nowとほぼ同等の処理を行います。実際、多くの現代的なUbuntuシステムでは、/sbin/reboot/sbin/shutdownへのシンボリックリンク(ショートカットのようなもの)となっており、内部的には同じプログラムが呼び出されています。

bash
$ ls -l /sbin/reboot
lrwxrwxrwx 1 root root 14 4月 18 2023 /sbin/reboot -> /bin/systemctl

(※注: 最近のシステムでは systemctl へのリンクになっていることが多いです。これについては第2章で詳しく解説します。)

rebootコマンドは、引数なしで即時再起動を行うため、手軽で覚えやすいのが特徴です。時間指定やメッセージ通知が必要ない、単純な即時再起動の場面で便利です。

1.3 haltpoweroff コマンド: システム停止の選択肢

rebootと同様に、システムの停止に特化したコマンドとしてhaltpoweroffがあります。

  • halt コマンド
    bash
    sudo halt

    haltは、システムの全てのCPU機能を停止させることを目的とします。歴史的には、このコマンドはシステムを安全に停止状態にするものの、必ずしも電源を切る(パワーオフする)とは限りませんでした。古いハードウェアでは、halt後に手動で電源ボタンを押す必要がありました。

  • poweroff コマンド
    bash
    sudo poweroff

    poweroffは、haltの処理に加えて、ACPIなどの電源管理機能を通じてシステムへの電力供給を断つ、つまり電源を完全に切ることを明示的に指示します。

現代のUbuntuにおける挙動

rebootと同様に、現代のsystemdベースのUbuntuでは、haltpoweroffsystemctlコマンドへのシンボリックリンクとなっています。

bash
$ ls -l /sbin/poweroff
lrwxrwxrwx 1 root root 14 4月 18 2023 /sbin/poweroff -> /bin/systemctl
$ ls -l /sbin/halt
lrwxrwxrwx 1 root root 14 4月 18 2023 /sbin/halt -> /bin/systemctl

このため、現在のUbuntuでは sudo poweroff を実行すると sudo shutdown -h now とほぼ同じ結果、つまりシステムの正規のシャットダウンと電源断が行われます。haltの挙動も、ほとんどの環境でpoweroffと同じになります。

これらのコマンド(reboot, halt, poweroff)は、シンプルさが利点ですが、時間指定やメッセージ通知といったshutdownコマンドの持つ柔軟性はありません。安全な運用のためには、特に複数人が関わる環境では、shutdownコマンドの使用を基本と考えるのが良いでしょう。


第2章: systemd時代のモダンなコマンド: systemctl

近年のほとんどのLinuxディストリビューションでは、systemdという新しいシステム・サービスマネージャーが採用されています。Ubuntuも例外ではありません。systemdは、システムの起動プロセス、サービスの管理、そして電源管理までを一手に引き受ける中核的なコンポーネントです。

systemdを操作するための主要なコマンドがsystemctlです。このコマンドを使うことで、より統一的で高機能な電源管理が可能になります。

2.1 systemd とは何か?

systemdは、伝統的なSysVinitに代わるinitシステム(カーネルが起動した後に最初に実行されるプロセス、PID 1)として開発されました。サービスの並列起動による高速化、依存関係の厳密な管理、そしてシステム全体の状態を統合的に扱う仕組みなどが特徴です。電源管理もsystemdの重要な役割の一つであり、shutdownなどの伝統的なコマンドも、現在では内部的にsystemdの機能を通じて動作しています。

2.2 systemctl を使ったシャットダウンと再起動

systemctlコマンドは、サービス管理(start, stop, statusなど)でよく使われますが、電源管理のためのサブコマンドも提供しています。

  • シャットダウン (電源断): poweroff
    bash
    sudo systemctl poweroff

    これはshutdown -h nowpoweroffコマンドと同等です。

  • 再起動: reboot
    bash
    sudo systemctl reboot

    これはshutdown -r nowrebootコマンドと同等です。

  • システム停止: halt
    bash
    sudo systemctl halt

    これはhaltコマンドと同等で、通常は電源も切れます。

2.3 systemctl を使うメリットと、より多様な電源状態

systemctlの真価は、シャットダウンや再起動だけでなく、現代的なPCに不可欠な省電力状態も統一的に扱える点にあります。

  • サスペンド (スリープ): suspend
    bash
    sudo systemctl suspend

    システムの現在の状態(メモリの内容やCPUのレジスタなど)をRAMに保存し、CPUや多くのデバイスへの電力供給を停止します。これにより大幅な省電力が可能となり、復帰も非常に高速です。ノートPCの蓋を閉じたときに行われるのが、一般的にこのサスペンドです。ただし、RAMへの電力供給は維持されるため、サスペンド中にバッテリーが切れるなどして完全に電源が失われると、作業内容は失われます。

  • ハイバネート (休止状態): hibernate
    bash
    sudo systemctl hibernate

    システムの現在の状態をRAMではなく、ハードディスクやSSDのスワップ領域に保存してから、完全に電源をオフにします。復帰時はディスクから状態を読み込んで元の作業状態に戻します。サスペンドより復帰に時間がかかりますが、電源が完全に切れるため、バッテリーを消費しません。長期間PCを使わないが、作業状態は保持したい場合に便利です。
    (※注: ハイバネートはスワップパーティションやスワップファイルの設定が正しく行われている必要があります。環境によってはデフォルトで有効になっていない場合があります。)

  • ハイブリッドスリープ: hybrid-sleep
    bash
    sudo systemctl hybrid-sleep

    これはサスペンドとハイバネートを組み合わせたものです。まずシステムの状態をRAMとディスクの両方に保存します。その後、サスペンド状態に入ります。これにより、通常はサスペンドからの高速な復帰が可能です。しかし、もしサスペンド中に停電やバッテリー切れで電源が失われたとしても、ディスクに状態が保存されているため、ハイバネートからの復帰として作業内容を安全に復元できます。デスクトップPCなどで便利な機能です。

systemctlを使うことで、これら多様な電源状態を同じコマンド体系で一貫して操作できるのが大きなメリットです。伝統的なコマンドがsystemdへのラッパーとして機能している現在、その本体であるsystemctlを直接使うことで、systemdの機能を最大限に活用できると言えるでしょう。


第3章: 高度なオプションとテクニック

基本的なコマンドを覚えたら、次はより高度な使い方を見ていきましょう。これらのテクニックは、特にシステムの管理者にとって非常に有用です。

3.1 shutdown コマンドの高度なオプション

  • -k: 警告メッセージのみを送信 (Dry Run)
    shutdownコマンドを実際には実行せず、ログイン中のユーザーに警告メッセージ(wallメッセージ)だけを送りたい場合があります。例えば、メンテナンスの事前告知などに使えます。
    bash
    sudo shutdown -k +30 "30分後にシステムメンテナンスを開始します。シャットダウンは行いませんが、パフォーマンスが低下する可能性があります。"

    このコマンドはシステムの状態を一切変更しません。純粋な通知機能として利用できます。

  • --no-wall: 警告メッセージを抑制
    逆に、スクリプトなどで自動的にシャットダウンを実行する際に、他のユーザーに通知メッセージを送りたくない場合もあります。その際は--no-wallオプションが使えます。
    bash
    sudo shutdown --no-wall +5

    ただし、他のユーザーが作業中である可能性を考慮し、このオプションの使用は慎重に行うべきです。

3.2 systemctl のオプション

systemctlの電源管理コマンドにも便利なオプションがあります。

  • --force または -f: 強制実行
    通常、システムはプロセスを正常に終了させようと試みますが、応答しないプロセスがあるとシャットダウンが停滞することがあります。--forceオプションを付けると、これらのプロセスを強制的に終了(SIGKILLシグナルを送る)させて処理を進めます。
    bash
    sudo systemctl reboot --force

    ただし、これはファイルが破損したりデータが失われたりするリスクを伴うため、通常の操作では使用せず、システムが応答しなくなった場合の最後の手段と考えるべきです。さらに、このオプションを2回重ねる (-ff) と、カーネルレベルでの即時再起動を試みるなど、より強力な動作になりますが、リスクもさらに高まります。

  • --ignore-inhibitors: 阻害ロックを無視する
    より安全な強制実行の方法として、--ignore-inhibitorsオプションがあります。これについては次のセクションで詳しく解説します。

3.3 “Inhibitor Lock” (阻害ロック) とは何か?

systemdには、重要な処理の実行中にシステムがシャットダウンやスリープに入ってしまうのを防ぐための「Inhibitor Lock」という仕組みがあります。

例えば、
* GUIのCD/DVD書き込みソフトが書き込み処理を行っている
* パッケージマネージャーがシステムのアップデートを行っている
* 動画プレイヤーが全画面で動画を再生している

などの状況で、アプリケーションはsystemdに対して「今はシャットダウン(やスリープ)をしないでほしい」というロックをかけることができます。これにより、ユーザーの意図しないデータ損失や処理の中断を防いでいます。

GUIでシャットダウンしようとすると「処理が完了していません」といったダイアログが表示されるのは、この仕組みによるものです。

Inhibitor Lockの確認

現在どのようなロックがかかっているかは、systemd-inhibitコマンドで確認できます。
bash
systemd-inhibit --list

出力例:
WHO UID USER PID COMM WHAT WHY MODE
GNOME Shell 1000 user 1234 gnome-shell sleep GNOME needs to lock the screen delay
PowerDevil 1000 user 5678 org_kde_powerde shutdown:sleep User active delay
mpv 1000 user 9012 mpv sleep Video is playing delay

この例では、GNOME Shellや動画プレイヤー(mpv)などがスリープを阻害するロックをかけていることがわかります。WHAT列にshutdownが含まれていれば、シャットダウンも阻害されます。

ロックを無視してシャットダウンする

システムが応答しなくなり、どのプロセスがロックをかけているか不明な場合や、意図的にロックを無視してシャットダウンしたい場合、--ignore-inhibitorsオプションを使います。

bash
sudo systemctl poweroff --ignore-inhibitors

このコマンドは、--forceよりも安全です。プロセスを即座に強制終了するのではなく、阻害ロックを無視して正規のシャットダウンシーケンスを開始しようと試みます。まずはこちらを試すのが良いでしょう。

3.4 Magic SysRq Key: 究極の緊急脱出手段

もしシステムが完全にフリーズしてしまい、SSH接続も受け付けず、コンソールも反応しない、という絶望的な状況に陥った場合、最後の手段として「Magic SysRq Key」があります。これはLinuxカーネルに直接コマンドを送り、低レベルの操作を強制的に実行させる機能です。

警告: これは非常に強力な機能であり、乱用はデータ損失やファイルシステムの破損に繋がります。最後の手段としてのみ使用してください。

有効化

セキュリティ上の理由から、一部の機能が無効化されている場合があります。sysctlコマンドで現在の設定を確認できます。
bash
cat /proc/sys/kernel/sysrq

値が1であれば、全ての機能が有効です。もし1以外(例: 176など)であれば、/etc/sysctl.confファイルを編集して有効化します。

bash
sudo nano /etc/sysctl.conf

ファイルの末尾に以下を追記します。
kernel.sysrq = 1
保存後、設定を反映させます。
bash
sudo sysctl -p

使い方: 安全な再起動シーケンス “REISUB”

物理キーボードがある場合、Alt + SysRq (PrintScreenキーと同じことが多い) を押しながら、以下のキーを順番に、数秒の間隔をあけて入力します。
仮想マシンのコンソールやシリアルコンソールでは、echo <キー> > /proc/sysrq-trigger という形でコマンドを送信します。

覚え方は「Raising Elephants Is So Utterly Boring (象を育てるのは全くもって退屈だ)」などの語呂合わせが有名です。

  1. Run**R**aw: キーボードの制御をXサーバーなどからカーネルに強制的に取り戻します。
    echo r > /proc/sysrq-trigger
  2. Et**E**rminate: init以外の全てのプロセスにSIGTERMシグナルを送り、正常終了を試みます。
    echo e > /proc/sysrq-trigger
  3. Ik**I**ll: それでも終了しないプロセスにSIGKILLシグナルを送り、強制終了させます。
    echo i > /proc/sysrq-trigger
  4. S**S**ync: メモリ上のキャッシュをディスクに書き込み、ファイルシステムを同期させます。データ損失を防ぐための非常に重要なステップです。
    echo s > /proc/sysrq-trigger
  5. U**U**nmount: 全てのファイルシステムを読み取り専用で再マウントします。これにより、書き込み中の破損を防ぎます。
    echo u > /proc/sysrq-trigger
  6. Bre**B**oot: システムを即時再起動します。電源ボタンでのリセットよりもはるかに安全です。
    echo b > /proc/sysrq-trigger

このREISUBシーケンスは、フリーズしたシステムからデータを可能な限り保護しつつ、安全に再起動するための黄金律です。覚えておくと、いざという時に役立つでしょう。


第4章: スクリプトと自動化

コマンドラインでの電源管理の大きな利点の一つは、タスクの自動化が容易であることです。ここでは、スクリプトやスケジュール実行の方法について解説します。

4.1 シェルスクリプトでの利用

特定の処理が完了した後に自動的にシステムをシャットダウンさせたい、といった場合にシェルスクリプトが役立ちます。

例: バックアップスクリプト完了後にシャットダウン

大規模なファイルのバックアップが完了したら、サーバーをシャットダウンする簡単なスクリプトです。

“`bash

!/bin/bash

echo “バックアップを開始します…”
rsync -avh /home/user/data /mnt/backup/

rsyncコマンドの終了ステータスを確認

if [ $? -eq 0 ]; then
echo “バックアップが正常に完了しました。5分後にシャットダウンします。”
# メッセージを付けて5分後にシャットダウンを予約
sudo shutdown -h +5 “バックアップ完了のためシャットダウンします。”
else
echo “バックアップに失敗しました。シャットダウンは行いません。”
fi
``
このスクリプトでは、
rsyncコマンドが成功した場合(終了ステータス$?0`)にのみ、シャットダウンが予約されます。

4.2 cron を使った定時シャットダウン/再起動

cronは、指定した時間にコマンドやスクリプトを定期的に実行するための標準的なツールです。サーバーの定期的な再起動などに利用されます。

crontabファイルを編集してスケジュールを登録します。root権限で実行する必要があるため、sudoを使って編集します。

bash
sudo crontab -e

初めて実行する際は、使用するエディタ(nano, vimなど)を選択するよう求められることがあります。

例1: 毎日午前3時に再起動
ファイルの末尾に以下のように記述します。
“`

分 時 日 月 曜日 コマンド

0 3 * * * /sbin/shutdown -r now
``
これは「毎日、毎月、曜日に関わらず、3時0分に
/sbin/shutdown -r now`を実行する」という意味です。コマンドはフルパスで指定するのが確実です。

例2: 毎週日曜日の午前4時半にシャットダウン
30 4 * * 0 /sbin/shutdown -h now
0または7が日曜日を表します)

crontabの書式は少し独特ですが、一度覚えてしまえば非常に強力な自動化ツールとなります。

4.3 at コマンドを使った一回限りの予約

cronが定期的な実行なのに対し、atコマンドは一回限りのタスクを未来の指定した時間に実行するために使います。

atがインストールされていない場合は、まずインストールします。
bash
sudo apt update
sudo apt install at

基本的な使い方:
例えば、今日の23:30にシステムをシャットダウンしたい場合、以下のように実行します。

bash
at 23:30

すると、at>というプロンプトが表示されるので、実行したいコマンドを入力し、Ctrl + Dで入力を終了します。
at> sudo /sbin/poweroff
at> <EOT> (ここでCtrl+Dを押す)
job 2 at Tue Sep 27 23:30:00 2023

その他の時間指定:
* at now + 1 hour (1時間後)
* at 4pm + 3 days (3日後の午後4時)
* at 10:00 tomorrow (明日の午前10時)

予約したジョブはatqコマンドで確認でき、atrm [ジョブ番号]で削除できます。shutdownコマンド自体の時間指定機能と似ていますが、より複雑なコマンドやスクリプトを予約したい場合に便利です。


第5章: トラブルシューティング

時には、シャットダウンや再起動がスムーズにいかないこともあります。ここでは、よくある問題とその対処法について解説します。

5.1 シャットダウン/再起動ができない、または非常に遅い

シャットダウンプロセスが途中で停止したり、完了までに数分以上かかったりする問題です。

原因の切り分け

多くの場合、正常に終了できないサービスやプロセスが原因です。systemdは、各サービスが停止するのを一定時間待ちますが(デフォルトは90秒)、タイムアウトすると強制終了を試みます。この待ち時間が、シャットダウンの遅延として現れます。

診断方法1: ログの確認

シャットダウンが失敗した、あるいは遅延した後の次の起動時に、journalctlコマンドを使って前回の起動セッションのログを確認するのが最も効果的です。

“`bash

前回の起動セッションのログを、エラーレベル以上で表示

journalctl -b -1 -p err
``-b -1が「前回(boot -1)」の起動セッションを指定し、-p err`がプライオリティ(優先度)を「error」以上にフィルタリングします。ここに、タイムアウトしたサービスや終了できなかったプロセスに関する手がかりが記録されていることが多いです。

診断方法2: systemd-analyze blame

このコマンドは通常、起動時間のボトルネックを調査するために使われますが、シャットダウン時の情報も得られることがあります。
bash
systemd-analyze blame

表示されたサービスの中に、ネットワーク関連(特にNFSクライアントなど)や、応答のない外部デバイスに関連するものが含まれている場合、それが原因である可能性が高いです。

対処法

  • サービスのタイムアウト設定: 原因となっているサービスが特定できた場合、そのサービスのsystemdユニットファイルを編集して、停止時のタイムアウト (TimeoutStopSec) を短く設定することで、全体の遅延を軽減できる場合があります。
  • systemdのデフォルトタイムアウト変更: システム全体の問題である場合、/etc/systemd/system.conf ファイル内の DefaultTimeoutStopSec の値を変更することで、全てのサービスのデフォルトタイムアウトを調整できます(例: DefaultTimeoutStopSec=30s)。ただし、これはシステム全体に影響するため慎重に行う必要があります。
  • 強制的な手段: どうしても原因が特定できない、あるいは緊急を要する場合は、前述したsystemctl poweroff --ignore-inhibitorsや、最後の手段としてMagic SysRq Keyを利用します。

5.2 意図しない再起動(Kernel Panic)

作業中に突然システムが再起動してしまう場合、カーネルパニックが発生している可能性があります。これは、カーネルが回復不可能な致命的なエラーに遭遇したことを意味します。

原因

  • ハードウェアの故障: メモリエラー、CPUの過熱、電源ユニットの不安定さなど。
  • ドライバのバグ: 特にサードパーティ製のグラフィックドライバや特殊なハードウェアのドライバ。
  • カーネル自体のバグ。

ログの確認

カーネルパニックのログは、通常のログファイルには書き込まれないことがあります。kdumpというメカニズムを設定しておくと、パニック発生時にメモリの内容(クラッシュダンプ)をファイルに保存し、後の解析に役立てることができます。

まずはjournalctlで、再起動直前のログに怪しいエラーメッセージがないか確認することから始めましょう。
“`bash

現在の起動セッションで、カーネルメッセージを表示

journalctl -k
“`

ハードウェアが原因であることも多いため、memtest86+などのツールでメモリテストを行ったり、システムの温度を監視したりすることも有効な切り分け手段です。


まとめ

この記事では、Ubuntuにおけるシャットダウンと再起動のコマンドについて、基本から応用、トラブルシューティングまで幅広く解説しました。最後に、主要なコマンドの役割を比較表でまとめておきましょう。

コマンド 主な用途 特徴・推奨される場面
sudo shutdown 安全なシャットダウン/再起動 最も推奨される方法。時間指定、メッセージ通知が可能で、サーバー管理に不可欠。
sudo reboot 即時再起動 shutdown -r nowのエイリアス。手軽にすぐ再起動したい場合に便利。
sudo poweroff 即時シャットダウン shutdown -h nowのエイリアス。手軽にすぐ電源を切りたい場合に便利。
sudo systemctl モダンな電源管理全般 systemdネイティブ。suspendhibernateなど多様な電源状態を統一的に扱える。
Magic SysRq Key システムフリーズ時の強制再起動 カーネルレベルで動作する最後の手段。データ保護を試みつつ安全に再起動できる。

GUIでの操作は直感的で簡単ですが、CUI(コマンドライン)での電源管理をマスターすることで、Ubuntuシステムのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。リモートサーバーの安全な運用、日々のタスクの自動化、そして万が一のトラブル発生時にも、この記事で得た知識は必ずあなたの力となるでしょう。

コマンド一つ一つが持つ意味と背景を理解し、状況に応じて最適な方法を選択することが、優れたシステム管理者への道です。ぜひ、実際にコマンドを試しながら、その挙動を体感してみてください。

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