【レビュー】WPS Cloud Proの評判は?実際に使ってみた感想と徹底解説
「Microsoft Officeは高価だけど、互換性の高いオフィスソフトが欲しい」
「Googleドキュメントは便利だけど、オフラインでの作業や複雑な書式設定に不安がある」
「大容量のクラウドストレージと高機能なオフィスソフトを、手頃な価格で両方手に入れたい」
このような悩みを抱える個人事業主、学生、そしてコスト意識の高いビジネスパーソンから、今、大きな注目を集めているサービスがあります。それが、キングソフトが提供する「WPS Cloud Pro」です。
WPS Cloud Proは、全世界で高いシェアを誇るオフィススイート「WPS Office」に、1TBもの大容量クラウドストレージを統合したオールインワンサービスです。しかし、「安いけど、本当に仕事で使えるの?」「Microsoft Officeとの互換性は大丈夫?」「実際の使い勝手はどうなの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
そこでこの記事では、筆者が実際にWPS Cloud Proを契約し、日常業務からプライベートまで徹底的に使い込んでみた経験をもとに、その実力を余すところなくレビューします。
この記事を読めば、以下のことがすべて分かります。
- WPS Cloud Proの基本機能と特徴
- 無料版との違い、そしてMicrosoft 365やGoogle Workspaceとの比較
- リアルな使用感(ファイル同期、オフィス機能の互換性、PDF編集の実力など)
- メリット・デメリットの客観的な評価
- あなたがWPS Cloud Proを導入すべきかどうかの判断基準
結論から言えば、WPS Cloud Proは「圧倒的なコストパフォーマンスを誇る、Microsoft 365の極めて強力な対抗馬」です。特定の条件を除けば、多くのユーザーにとって最適な選択肢となり得るポテンシャルを秘めています。その理由を、これからじっくりと解説していきましょう。
(※筆者プロフィール:Webメディアの編集・ライターとして活動するフリーランス。日常的にWordでの執筆、Excelでのデータ管理、PowerPointでの企画書作成を行う。クラウドストレージはGoogle DriveとDropboxを併用中。)
1. WPS Cloud Proとは?基本情報と揺るぎない特徴
まず、WPS Cloud Proがどのようなサービスなのか、その全体像を把握しておきましょう。
WPS Officeとの関係性
WPS Cloud Proを理解する上で欠かせないのが、その母体である「WPS Office」の存在です。
- WPS Office: Microsoft Officeと非常に高い互換性を持つことで知られる、世界的に人気のオフィススイート。「Writer(Word相当)」「Spreadsheets(Excel相当)」「Presentation(PowerPoint相当)」の3つのソフトで構成されています。個人利用であれば、広告付きの無料版でも基本的な機能を使えるため、多くのユーザーに支持されてきました。
- WPS Cloud: WPS Officeに標準で搭載されているクラウドストレージ機能です。無料版では1GBの容量が提供され、作成したファイルをクラウドに保存し、複数デバイスで同期できます。
- WPS Cloud Pro: このWPS Cloudの有料アップグレード版が、本記事でレビューする「WPS Cloud Pro」です。Proにアップグレードすることで、クラウドストレージ容量が1TBに激増するだけでなく、無料版WPS Officeでは制限されていた高度なオフィス機能(PDF編集、OCR、広告非表示など)がすべて解放されます。
つまり、WPS Cloud Proは単なるクラウドストレージサービスではなく、「大容量クラウドストレージ+高機能オフィススイート」が一体となった、非常にパワフルな統合サービスなのです。
信頼の提供元「キングソフト」
WPS Cloud Proを提供しているのは、キングソフト株式会社です。セキュリティソフト「KINGSOFT Internet Security」などで知られ、日本国内でも長年の実績を持つ企業です。ソフトウェア開発元は中国の「Kingsoft Office Software」社で、グローバルで10億以上のユーザーを抱える大手ソフトウェア企業であり、信頼性や開発力には定評があります。
WPS Cloud Proの主な特徴
WPS Cloud Proが他のサービスと一線を画す、際立った特徴は以下の5つです。
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 1TBのストレージと高機能オフィススイートがセットで、Microsoft 365 PersonalやGoogle Workspace Individualよりも安価な価格設定。
- 驚異的なMicrosoft Office互換性: docx, xlsx, pptxといったMicrosoft Office形式のファイルを、レイアウトの崩れを最小限に抑えて開いたり、編集・保存したりできます。
- オールインワンの利便性: ファイルの保存、編集、共有、共同作業がすべてWPS Cloud内で完結。複数のサービスを使い分ける必要がありません。
- 強力なPDFツールを標準搭載: WordやExcelへの変換はもちろん、直接編集、結合、署名まで可能な高度なPDF機能が追加料金なしで使えます。
- 充実のマルチデバイス対応: Windows、Mac、Linux、iOS、Android、そしてWebブラウザと、あらゆる環境でシームレスに利用可能です。
これらの特徴が、いかに実用的であるか。次のセクションから、より具体的に掘り下げていきます。
2. 料金プラン徹底比較:無料版とPro版、そして競合サービス
WPS Cloud Proの価値を正しく理解するために、まずは料金プランを比較してみましょう。
無料版(WPS Cloud Standard) vs Pro版
項目 | 無料版 (Standard) | WPS Cloud Pro |
---|---|---|
クラウドストレージ容量 | 1GB | 1TB (1024GB) |
広告表示 | あり | なし |
PDFからWord/Excel等への変換 | 5ページ/ファイルまで | 無制限 |
PDF編集機能 | 制限あり(閲覧・コメント程度) | 全機能解放(テキスト編集、結合、分割、署名など) |
OCR(画像からの文字起こし) | 5ページ/日 | 無制限 |
ファイル修復 | × | 〇 |
高度なテンプレート | × | 〇 |
複数デバイスでの同時ログイン | 3台まで | 9台まで(PC3台、モバイル6台) |
料金(年額) | 無料 | 5,680円(税込) |
料金(月額) | 無料 | 690円(税込) |
※料金は2023年時点の公式サイトのものです。変更される可能性があるため、契約前に必ず公式サイトをご確認ください。
表を見れば一目瞭然です。無料版は「お試し」としての側面が強く、本格的に使うには広告表示や機能制限が気になります。特にストレージが1GBでは、現代のファイルサイズを考えると心許ないでしょう。
一方、Pro版にアップグレードすると、ストレージは1000倍以上の1TBに増え、広告は消え、そして何よりPDF編集やOCRといった生産性を劇的に向上させる機能が使い放題になります。年額5,680円(月あたり約473円)という価格でこれだけの機能が手に入るのは、驚異的と言わざるを得ません。
主要クラウドサービスとの料金比較
では、他の有名なサービスと比較するとどうでしょうか。
サービス名 | ストレージ容量 | オフィス機能 | 年額料金(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
WPS Cloud Pro | 1TB | 高機能オフィススイート (WPS Office) | 約5,680円 | 圧倒的コストパフォーマンス、MS Office互換性、PDF機能 |
Microsoft 365 Personal | 1TB | Microsoft Office (本家) | 約12,984円 | 本家ならではの安定性と全機能、OutlookやTeamsとの連携 |
Google Workspace Individual | 1TB | Google Workspace (Docs, Sheets, Slides) | 約12,240円 (月額1,020円x12) | クラウドネイティブ、最強の共同編集機能、Gmail等との統合 |
Dropbox Plus | 2TB | 基本的な連携のみ (MS/Google) | 約15,840円 (月額1,320円x12) | ストレージ特化、最速クラスの同期性能、バージョン管理 |
この比較表から、WPS Cloud Proの立ち位置が明確になります。
Microsoft 365やGoogle Workspaceは、オフィス機能の元祖・本家であり、エコシステム全体での連携に強みがありますが、価格はWPS Cloud Proの倍以上です。Dropboxは同期性能に定評がありますが、高度なオフィス機能は内包しておらず、価格も高めです。
つまり、WPS Cloud Proは「本家(Microsoft 365)に匹敵するオフィス機能と十分なストレージを、半額以下のコストで実現したい」という、最もニーズの大きい層にピンポイントで応えるサービスなのです。
3. 【本音レビュー】WPS Cloud Proを実際に使い倒してみた感想
ここからは、本記事の核心である「実際の使用感」を、忖度なくレビューしていきます。インストールから日常的なファイル操作、そして気になるオフィスソフトの互換性まで、徹底的に検証しました。
セットアップと第一印象:驚くほどスムーズ
公式サイトからアカウントを作成し、Proプランの契約を済ませると、すぐにデスクトップアプリ(Windows版を使用)のダウンロードが促されます。インストールは数分で完了。ログインすると、すぐにクラウド上のファイルにアクセスできる状態になります。
UI(ユーザーインターフェース)は、非常に洗練されていて直感的です。左側に「最近使用した項目」「マイドライブ」「共有」といったメニューが並び、中央にファイルリストが表示されるレイアウトは、Google DriveやDropboxに慣れている人なら一瞬で理解できるでしょう。全体的な動作も軽快で、ストレスを感じることはありませんでした。
スマホアプリ(iOS版を使用)も同様に、App Storeからダウンロードしてログインするだけ。PCで作成したファイルが即座に同期されており、「マルチデバイス対応」が看板倒れでないことを実感しました。
ファイル管理(クラウドストレージ機能):同期は安定、共有も十分
クラウドストレージとして最も重要な「同期性能」と「ファイル管理機能」をチェックしました。
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同期の速度と安定性:
PCの特定のフォルダをWPS Cloudと同期させる設定にしました。数十MB程度のWordやExcelファイルを保存すると、ほぼ瞬時に同期が完了し、数秒後にはスマホアプリからも確認できました。1GB近い動画ファイルをアップロードした際も、回線速度の上限に近いスピードが出ており、同期エンジンは非常に優秀だと感じます。数週間使ってみて、同期漏れやファイルが破損するといったトラブルは一度もありませんでした。 -
Webブラウザ版の使い勝手:
アプリをインストールしていないPCからでも、Webブラウザ経由でファイルにアクセスし、編集できるのは非常に便利です。ブラウザ上でのオフィスソフトの動作も surprisingly(驚くほど)軽快で、簡単な修正ならこれで十分事足ります。 -
ファイル共有機能:
共有したいファイルを選択し、「共有」ボタンを押すだけで共有リンクを生成できます。リンクにはパスワードを設定したり、有効期限を設けたり、ダウンロードを禁止(閲覧のみ)したりといった、ビジネス用途で必須の機能も一通り揃っています。他のWPS Cloudユーザーを招待して、フォルダ単位で共同編集することも可能です。 -
バージョン履歴:
ファイルを上書き保存してしまっても、過去のバージョンに遡って復元できる「バージョン履歴」機能も搭載されています。誤って編集してしまった際に、安心して元に戻せるのは心強い機能です。
総じて、クラウドストレージとしての基本性能は、DropboxやGoogle Driveといった先行サービスと比較しても遜色ないレベルに達していると言えます。
オフィス機能の互換性検証:これが一番知りたかった!
WPS Cloud Proを検討する多くの人が最も気にするのが、「Microsoft Officeとの互換性」でしょう。今回は、私が実際に業務で使っている、少し複雑なファイルをWPS Officeで開いてみました。
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Writer (Word互換): ★★★★☆ (4.5/5.0)
- 検証ファイル: 図表や画像、段組み、ヘッダー・フッターを多用した20ページの報告書(.docx)
- 結果: ほぼ完璧に再現されました。 フォントがPCにインストールされていない場合の代替表示はありましたが、レイアウトの崩れは皆無。目次機能やコメント、変更履歴も問題なく表示・編集でき、MS Wordと全く同じ感覚で作業を進められました。リボンのUIもWordに酷似しているため、学習コストはゼロに近いです。唯一、一部の特殊なアドインなどは動作しませんが、99%のユーザーにとっては全く問題ないレベルでしょう。
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Spreadsheets (Excel互換): ★★★★☆ (4.0/5.0)
- 検証ファイル1: 複数のシートにまたがるVLOOKUP関数やIF関数、ピボットテーブルを使った売上管理表(.xlsx)
- 結果: これも完璧に動作しました。 関数の計算結果もピボットテーブルの集計も、MS Excelで開いた時と全く同じです。グラフの表示も崩れることなく、データの更新も問題なく行えました。一般的な関数やデータ分析機能を使う分には、互換性の心配は不要です。
- 検証ファイル2: 簡単なVBAマクロ(ボタンを押すと特定のセルにデータを転記する)を含むファイル(.xlsm)
- 結果: ここがWPS Officeの注意点です。VBAマクロの互換性は完全ではありません。 今回試した単純なマクロは動作しましたが、公式にも「すべてのVBAマクロの動作を保証するものではない」と明記されています。APIの呼び出しや複雑なユーザーフォームを含むマクロは、エラーが出るか、意図通りに動作しない可能性が高いです。業務で高度なマクロを必須とする場合は、Microsoft Officeを選択すべきでしょう。これが減点0.5の理由です。
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Presentation (PowerPoint互換): ★★★★☆ (4.5/5.0)
- 検証ファイル: アニメーションや画面切り替え効果、動画の埋め込みを多用した30枚のプレゼン資料(.pptx)
- 結果: こちらも再現度は非常に高いです。テキストや図形の配置ズレは全くなく、設定したアニメーションもほぼ意図通りに再生されました。一部、PowerPointの最新バージョンにしかない特殊なエフェクトは代替効果に置き換わることがありましたが、プレゼンの内容が伝わらなくなるような致命的な崩れはありませんでした。豊富なテンプレートも用意されており、ゼロから資料を作るのも快適です。
【互換性検証の結論】
VBAマクロを除く、一般的なビジネス文書やデータ、プレゼン資料においては、Microsoft Officeとの互換性は「極めて高い」と言い切れます。 他者とファイルをやり取りする際に、レイアウト崩れを心配する必要はほとんどないでしょう。
Pro版ならではの強力な機能レビュー:これだけで元が取れる!
WPS Cloud Proの真価は、大容量ストレージとオフィス機能だけではありません。Pro版で解放される以下の機能は、まさに「キラーコンテンツ」です。
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PDF編集機能:
これが本当に素晴らしい。これまでPDFの編集には、別途高価な専門ソフト(Adobe Acrobatなど)が必要でした。しかしWPS Cloud Proなら、以下のことがすべて標準機能でできてしまいます。- PDFからWord/Excel/PowerPointへの変換: レイアウトの再現度が非常に高く、驚くほどきれいに変換されます。PDFで送られてきた資料を再編集したい場合に、絶大な威力を発揮します。
- 直接編集: PDF内のテキストを直接打ち替えたり、画像を差し替えたり、マーカーを引いたりといった編集が、まるでWordを扱うかのように直感的に行えます。
- 結合・分割: 複数のPDFを1つにまとめたり、特定のページだけを抜き出したりする作業がドラッグ&ドロップで簡単にできます。
- 電子署名: 契約書などの書類に、手書き風のサインや印影を簡単に追加できます。
このPDF機能だけでも、年額5,680円の価値は十分にあると感じました。
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OCR (光学文字認識) 機能:
スキャンした書類の画像や、テキスト情報を持たないPDFから、文字を認識してテキストデータとして抽出する機能です。試しにスマートフォンのカメラで撮影した雑誌のページをOCRにかけてみたところ、日本語の認識精度は95%以上といったところで、非常に実用的でした。誤認識した箇所も簡単な手修正で済むレベルです。議事録や名刺、紙の資料をデジタル化する際に、大幅な時間短縮につながります。 -
広告非表示による快適性:
地味ながら、毎日使うツールとしては非常に重要なポイントです。無料版で表示される広告が一切なくなるため、作業に集中できます。クリーンなUIは、思考のノイズを減らしてくれます。
4. WPS Cloud Proのメリットとデメリット(まとめ)
ここまでのレビューを踏まえ、WPS Cloud Proのメリットとデメリットを客観的に整理します。
メリット
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圧倒的なコストパフォーマンス
これが最大の魅力です。1TBのクラウドストレージと、Microsoft Officeと高い互換性を持つ高機能オフィススイート、さらには強力なPDF編集ツールまでセットになって年額5,680円は、市場を見渡しても他に類を見ない価格設定です。 -
極めて高いMicrosoft Office互換性
VBAマクロという例外を除けば、日常業務で作成されるほとんどのOfficeファイルを問題なく扱えます。取引先とのファイル共有で「相手はMicrosoft Officeだから…」と躊躇する必要はほぼありません。 -
オールインワンによるシームレスな作業環境
文書作成からクラウド保存、複数デバイスでの同期、そして共有まで、すべてがWPS Cloudという一つのプラットフォームで完結します。あちこちのアプリやサービスを渡り歩く必要がなく、作業効率が格段に向上します。 -
単体でも価値のある強力なPDF編集機能
PDF関連の作業が多い人にとっては、この機能だけでもWPS Cloud Proを選ぶ十分な理由になります。これまでPDF編集を諦めていたか、別の有料ツールを使っていた人には、大きな福音となるでしょう。 -
完全なマルチプラットフォーム対応
Windows/Mac/LinuxのデスクトップOS、iOS/AndroidのモバイルOS、そしてWebブラウザと、利用環境を選びません。どんなデバイスからでも、一貫した使い勝手で作業を継続できるのは大きな強みです。
デメリット
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VBAマクロの互換性が不完全
繰り返しになりますが、これがWPS Cloud Pro(というよりWPS Office)の最大の弱点です。Excelで複雑な自動化マクロを組んでいる、あるいはマクロが組み込まれた基幹ファイルを使用する業務には、残念ながら推奨できません。 -
一部の専門的な機能の不足
Microsoft Officeは長年の歴史の中で、非常にニッチで専門的な機能を数多く搭載しています。例えば、Wordの文献管理機能や索引作成、Excelのソルバーや高度な統計分析ツール、PowerPointのナレーション録音機能など、特定の専門家が使用する機能はWPS Officeには搭載されていない場合があります。 -
ブランドイメージと企業導入の壁
個人や小規模チームでの利用には最適ですが、大企業への導入となると、「Microsoft製品」という絶大なブランド力とサポート体制の壁があります。セキュリティポリシーや既存システムとの連携の観点から、導入が難しいケースもあるでしょう。 -
クラウドネイティブではない操作感
Google Workspaceが最初からブラウザベースで設計されているのに対し、WPS Cloudはデスクトップアプリが主体です。そのため、共同編集機能のリアルタイム性やサクサク感においては、まだGoogleに一歩譲る面があります。複数人が同時に、一文字単位で書き換えていくようなハードな共同編集には、Google Workspaceの方が適しているかもしれません。
5. 結論:WPS Cloud Proはどんな人におすすめか?
以上のメリット・デメリットを踏まえ、WPS Cloud Proがどのような人にとって「買い」なのかを具体的に示します。
【強くおすすめできる人】
- 個人事業主・フリーランス: 低コストでビジネスに必要なオフィス環境と大容量ストレージをまとめて整備したい人。MS Officeとのファイル互換性も高いため、クライアントワークにも安心して使えます。
- 学生: レポート作成(Writer)、データ分析(Spreadsheets)、発表資料作成(Presentation)といった一連の作業と、そのファイルの管理・共有を一つのサービスで完結させたい人。コストを抑えられる点は大きな魅力です。
- コスト削減を目指す中小企業: Microsoft 365のライセンス費用が負担になっている企業。VBAマクロへの依存度が低い部署からスモールスタートで導入してみる価値は十分にあります。
- 家庭でのライトユーザー: 家族の写真や動画(1TBあれば十分)を保存しつつ、町内会の書類作成や家計簿管理などでたまにオフィスソフトを使いたい、というニーズに完璧に応えます。
- PDF作業が多いすべての人: 職種を問わず、PDFの見積書や請求書、契約書、マニュアルなどを扱う機会が多いなら、作業効率を劇的に改善するツールとして導入を強く推奨します。
【慎重に検討すべき、またはおすすめできない人】
- 業務で高度なExcel VBAマクロが必須の人: 互換性の問題から、業務に支障をきたす可能性が高いです。素直にMicrosoft 365を使い続けるべきです。
- 会社の規定でMicrosoft製品しか使えない人: 会社のコンプライアンスやセキュリティポリシーには従う必要があります。
- 常に業界最高水準のオフィス機能を求めるパワーユーザー: AIを活用した最新機能など、Microsoftが先行して投入する最先端の機能を常に使いたい場合は、本家を選ぶのが賢明です。
- 極めてリアルタイム性の高い共同編集を多用するチーム: Google Workspaceのスムーズな共同編集体験に慣れている場合、WPS Cloudの共同編集に若干の物足りなさを感じる可能性があります。
最終的なまとめ
WPS Cloud Proを徹底的に使い込んだ私の最終的な評価は、「条件さえ合えば、これ以上ないほど賢い選択」です。
その「条件」とは、突き詰めれば「高度なVBAマクロを必要としない」という一点に集約されるでしょう。この点さえクリアできれば、WPS Cloud Proは、Microsoft 365が提供する価値の大部分を、半額以下のコストで手に入れることを可能にしてくれます。
Microsoft Officeとの高い互換性、快適なクラウドストレージ、そして専門ソフト顔負けのPDF編集機能。これらすべてが、洗練されたUIのもとでシームレスに連携する体験は、価格以上の価値を感じさせてくれました。
もしあなたがWPS Cloud Proに少しでも興味を持ったなら、まずは無料版のWPS Officeをインストールし、お手持ちのファイルを開いて互換性を試してみることを強くお勧めします。そこで問題がないと判断できれば、Pro版へのアップグレードは、あなたのデジタルライフをより豊かで、効率的なものに変えるための、非常に優れた投資となるはずです。
Microsoft一強時代に、確かな実力と圧倒的なコストパフォーマンスで挑むWPS Cloud Pro。この黒船が、今後のオフィススイート市場をどう変えていくのか、非常に楽しみです。